JP4497708B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体装置に関し、より特定的にはカウンタ回路を含む半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
外部から与えられるクロックに同期して動作する半導体装置は、与えられた外部クロックを分周するためにカウンタ回路を内蔵している場合が多い。カウンタには、いろいろ種類がある。最も一般的なのは、n個のラッチで2のn乗の状態を表わすことができるバイナリカウンタである。バイナリカウンタは、n個のラッチの出力が各ビットに対応し、各ビットがそれぞれ2の0乗、2の1乗、…、2のn乗に対応するものである。
【0003】
しかしながら、バイナリカウンタは、下位ビットが確定してから上位ビットが確定するまでにクリティカルパスが存在するため、動作周波数が制限される。また、ある一定周期ごとにパルス信号を出力するような用途には、各ビットの出力をAND回路でデコードして用いる必要がある。このようなデコードによって作られたパルス信号は、動作の基準となる内部クロック信号として使用するためには一度Dフリップフロップで受ける必要がある。
【0004】
近年、半導体装置は高速化が進み、外部クロックを内部で逓倍してさらに高速な内部クロックを発生し、これに同期して処理を行なうような場合がある。このような高速動作が要求されるような用途には、バイナリカウンタよりも高速動作が可能なリングカウンタが用いられる。リングカウンタは、たとえばクロックの分周器や、内部回路の動作の基準となるタイミング信号を生成するために用いられる。
【0005】
リングカウンタ回路(ring counter:環状計数器)は、フリップフロップ等の二安定ユニットをループ状に接続したものである。任意の与えられた時刻に,ただ一つのフリップフロップだけが“H”データを保持しており、他のフリップフロップは“L”データを保持している状態にある。クロック入力信号を数えるごとに、“H”データを保持しているフリップフロップの位置がループ上を回って順に動いていく。
【0006】
図8は、従来の半導体装置452の概略構成を示すブロック図である。
図8を参照して、半導体装置452は、外部から与えられるクロック信号CLKおよびリセット信号/RESETを受け、外部クロック信号CLKのn倍の周波数の内部クロック信号ICLKを出力する内部クロック発生回路454と、外部から与えられる入力信号DINを受け内部クロック信号ICLKに同期した処理を行ない、外部に対して出力信号DOUTを出力する内部回路456とを含む。
【0007】
内部クロック発生回路454は、クロック信号CLKを受けて内部クロック信号ICLKを出力するPLL(Phase Locked Loop)回路458と、外部から与えられるリセット信号/RESETによって初期化された後に動作を開始し、内部クロック信号ICLKを分周して内部クロック信号RCLKを出力するリングカウンタ500とを含む。内部クロック信号RCLKは、クロック信号ICLKのn分の1の周波数となる。内部クロック信号RCLKは、PLL回路458によって外部から与えられるクロック信号CLKと位相の比較が行なわれる。
【0008】
図9は、図8に示したリングカウンタ500の構成を示す回路図である。
図9を参照して、リングカウンタ500は、内部クロック信号RCLKとリセット信号/RESETを受けるゲート回路502♯1を含む。
【0009】
ゲート回路502♯1は、リセット信号/RESETがLレベルに活性化されると出力がHレベルとなり、また内部クロック信号RCLKがHレベルとなると出力がHレベルとなる回路である。
【0010】
リングカウンタ500は、さらに、内部クロック信号ICLKに同期してゲート回路502♯1の出力を受取るDフリップフロップ504♯1と、Dフリップフロップ504♯1の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路502♯2と、AND回路502♯2の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ504♯2とを含む。
【0011】
リングカウンタ500は、さらに、Dフリップフロップ504♯2の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路502♯3と、AND回路502♯3の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ504♯3と、Dフリップフロップ504♯3の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路502♯4と、AND回路502♯4の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ504♯4とを含む。
【0012】
リングカウンタ500は、さらに、Dフリップフロップ504♯4の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路502♯5と、AND回路502♯5の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ504♯5と、Dフリップフロップ504♯5の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路502♯6と、AND回路502♯6の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ504♯6とを含む。
【0013】
リングカウンタ500は、さらに、Dフリップフロップ504♯6の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路502♯7と、AND回路502♯7の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ504♯7と、Dフリップフロップ504♯7の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路502♯8と、AND回路502♯8の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ504♯8とを含む。
【0014】
Dフリップフロップ504♯8の出力は、内部クロック信号RCLKとして、図8のPLL回路458に与えられ、クロック信号CLKと位相比較が行なわれる。
【0015】
図10は、図9に示したリングカウンタ500の動作を説明するための動作波形図である。
【0016】
図9、図10を参照して、Q1〜Q8は、それぞれDフリップフロップ504♯1〜504♯8の出力信号である。まず、クロックサイクル♯1において、信号Q1がHレベルで信号Q2〜Q8がLレベルである。続いてクロックサイクル♯2において内部クロック信号ICLKの立上がりに応じて信号Q1がLレベルに立下がり、信号Q1の代わりに信号Q2がHレベルに立上がる。信号Q3〜Q8はLレベルの状態のままである。
【0017】
以降、クロック信号の立上がりエッジが入力されるごとにHレベルを出力しているフリップフロップは1段ずつ後段へシフトしていく。そして、クロックサイクル♯8が終了し、クロックサイクル♯9において再び、信号Q1がHレベルで信号Q2〜Q8がLレベルの状態に戻る。このようなシフトレジスタをリング状に接続したリングカウンタは高速動作が可能であり、また、フリップフロップ504♯8の出力信号がそのままタイミング基準信号として用いることが可能である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、シフトレジスタを構成するフリップフロップのうち1つのフリップフロップのみがHデータを保持しており、内部クロック信号ICLKが入力されるごとに次段にそのHデータが伝達される。これにより、フリップフロップの個数に相当する内部クロック信号ICLKが入力されると内部クロック信号RCLKとして1クロック幅でフリップフロップの個数分の周期を有する基準パルス信号が得られる。このようなリングカウンタはフリップフロップの数を変更することにより簡単に出力信号の周期を変更することができる。
【0019】
しかしながら、このようなリングカウンタには、一旦誤動作が発生するとリセット信号が再度入力されるまで誤動作から復帰できないという問題点がある。
【0020】
図11は、従来のリングカウンタの誤動作を説明するための波形図である。
図9、図11を参照して、信号Q1〜Q8は、それぞれDフリップフロップ504♯1〜504♯8の出力信号を示している。
【0021】
クロックサイクル♯1〜♯4では、図10で説明した動作と同様に順次Hレベルを出力するDフリップフロップの位置が順にシフトしている。
【0022】
クロックサイクル♯5において、Dフリップフロップ504♯1の出力ノードに、たとえば放射線などによりHレベルのノイズが発生し、そのノイズが保持されてしまう場合があり得る。
【0023】
すると、クロックサイクル♯6では、ノイズによるHデータが次段にシフトされ信号Q2がHレベルとなってしまう。したがって、クロックサイクル♯6以降はHレベルのデータを保持するフリップフロップが8個のフリップフロップのうち2個存在する状態となってしまう。
【0024】
たとえばクロックサイクル♯8では、信号Q4と信号Q8とがHレベルになってしまう。したがって、クロックサイクル♯8以降は、リングカウンタ500から出力される内部クロック信号RCLKは本来の2倍の周波数となってしまう。すると、図8のPLL回路458は、発生すべき内部クロック信号ICLKの2分の1の周波数のクロック信号を発生するという誤動作を生ずることになる。
【0025】
すなわち、図9に示したリングカウンタ500は、正常時は8通りの状態しか示すことがないが、組合せとしては256通りの状態をとり得るので、異常な状態である248通りの組合せのいずれかの状態に陥った場合には正常動作に復帰することができないという問題点がある。たとえば、終夜運転をするワークステーション、工場の室温を管理するためのエアコン、警備システム、インターネットサーバなどのような長時間連続運転され、電源投入による初期化がなされないような用途では、このような誤動作が起こると大きな問題となる。
【0026】
本発明の目的は、一旦誤動作が発生してもすみやかに正常状態に復帰することが可能な信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の半導体装置は、各々がクロック信号に同期してデータを受け次段に伝達する、環状に直列接続された複数の保持回路と、複数の保持回路の保持データを監視し、異常を検出すると保持データを初期化するリセット回路とを備え、リセット回路は、複数の保持回路のうちの第1部分に第1の論理値のデータが存在し、かつ、複数の保持回路から第1部分を除外した第2部分に第1の論理値のデータが存在する場合、または、複数の保持回路のうちの第1部分に第1の論理値のデータが存在せず、かつ、複数の保持回路から第1部分を除外した第2部分に第1の論理値のデータが存在しない場合に、保持データの初期化を行なう。
【0028】
好ましくは、第1の論理値は、1であり、リセット回路は、第1部分に属する保持回路の出力を受ける第1のOR回路と、第2部分に属する保持回路の出力を受ける第2のOR回路と、第1、第2のOR回路の出力が一致した場合に、複数の保持回路を初期化するためのリセット信号を出力する一致検出回路とを含む。
【0030】
好ましくは、第2部分は、第1の保持回路を含み、第1部分は、複数の保持回路のうちから第1の保持回路を除外した残りの保持回路を含み、リセット回路は、第1部分に属する保持回路の出力を受けるOR回路と、OR回路の出力と第1の保持回路の出力とが一致した場合に、複数の保持回路を初期化するためのリセット信号を出力する一致検出回路とを含む。
【0031】
好ましくは、第1の論理値は、1であり、縮退回路は、第1部分の保持データに対応する入力信号を受けるOR回路を有し、OR回路の出力と第1の保持回路の出力とが一致したときにリセット信号を出力するエクスクルッシブNOR回路とを含む。
【0032】
好ましくは、複数の保持回路は、リセット回路の出力に応じて第1の論理値に初期化される第1の保持回路と、リセット回路の出力に応じて第1の論理値と相補な第2の論理値に初期化される複数の第2の保持回路とを含む。
【0033】
好ましくは、半導体装置は、複数の保持回路の出力のいずれかひとつと外部クロック信号とに応じて外部クロックより周波数の高いクロック信号を出力するクロック発生回路と、クロック信号に同期して処理を行なう内部回路とをさらに備える。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0037】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1の半導体装置2の構成を示す概略ブロック図である。
【0038】
図1を参照して、半導体装置2は、外部から与えられるクロック信号CLKを受け外部クロック信号CLKのn倍の周波数を有する内部クロック信号ICLKを出力する内部クロック発生回路4と、外部から与えられる入力信号DINを受け内部クロック信号ICLKに同期した処理を行ない、外部に対して出力信号DOUTを出力する内部回路6とを含む。
【0039】
内部クロック発生回路4は、クロック信号CLKを受けて内部クロック信号ICLKを出力するPLL(Phase Locked Loop)回路8と、電源が投入されると初期値が正常な状態かどうかを判別し、正常な状態でない場合にはデータの初期化を行なった後に動作を開始し、内部クロック信号ICLKを分周して内部クロック信号RCLKを出力するリングカウンタ10とを含む。内部クロック信号RCLKは、クロック信号ICLKのn分の1の周波数となる。内部クロック信号RCLKは、PLL回路8によって外部から与えられるクロック信号CLKと位相の比較が行なわれる。
【0040】
図2は、図1におけるPLL回路8の構成を示したブロック図である。
図2を参照して、PLL回路8は、クロック信号CLKを受けて内部クロック信号ECLKを出力するクロックバッファ8aと、内部クロック信号RCLKの位相と内部クロック信号ECLKの位相とを比較し制御信号UP/DOWNを出力する位相比較器8bと、制御信号UPに応じて制御信号CT(n:0)の活性化ビットを上位方向にシフトさせ制御信号DOWNに応じて制御信号CT(n:0)の活性化ビットを下位方向にシフトさせるシフトレジスタ8cと、制御信号CT(n:0)に応じて遅延量が変化する遅延ライン8dとを含む。遅延ライン8dは、奇数段の反転回路によって構成されており、その遅延段数が制御信号CT(n:0)に応じて2段ずつ変化する。遅延ライン8dは内部クロック信号ICLKを出力しており、この内部クロック信号ICLKは、また、遅延ライン8dに入力され、これにより遅延ライン8dは自励発振するリングオシレータとして動作する。
【0041】
図3は、図1に示したリングカウンタ10の構成を示す回路図である。
図3を参照して、リングカウンタ10は、内部クロック信号RCLKとリセット信号/RESETを受けるゲート回路12♯1を含む。
【0042】
ゲート回路12♯1は、リセット信号/RESETがLレベルに活性化されると出力がHレベルとなり、また内部クロック信号RCLKがHレベルとなると出力がHレベルとなる回路である。
【0043】
リングカウンタ10は、さらに、内部クロック信号ICLKに同期してゲート回路12♯1の出力を受取るDフリップフロップ14♯1と、Dフリップフロップ14♯1の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路12♯2と、AND回路12♯2の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ14♯2とを含む。
【0044】
リングカウンタ10は、さらに、Dフリップフロップ14♯2の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路12♯3と、AND回路12♯3の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ14♯3と、Dフリップフロップ14♯3の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路12♯4と、AND回路12♯4の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ14♯4とを含む。
【0045】
リングカウンタ10は、さらに、Dフリップフロップ14♯4の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路12♯5と、AND回路12♯5の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ14♯5と、Dフリップフロップ14♯5の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路12♯6と、AND回路12♯6の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ14♯6とを含む。
【0046】
リングカウンタ10は、さらに、Dフリップフロップ14♯6の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路12♯7と、AND回路12♯7の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ14♯7と、Dフリップフロップ14♯7の出力とリセット信号/RESETとを受けるAND回路12♯8と、AND回路12♯8の出力を内部クロック信号ICLKに同期して受取るDフリップフロップ14♯8とを含む。
【0047】
Dフリップフロップ14♯8の出力は内部クロック信号RCLKとして、図1のPLL回路8に与えられ、クロック信号CLKと位相比較が行なわれる。
【0048】
リングカウンタ10は、さらに、信号Q1〜Q8を受けてシフトレジスタの状態を監視し異常を検出するとリセット信号/RESETを出力するリセット回路16を含む。
【0049】
図4は、図3におけるリセット回路16の検討例であるリセット回路16aの構成を示す回路図である。
【0050】
図4を参照して、リセット回路16aは、デコード回路18♯1〜18♯8と、デコード回路18♯1〜18♯8の出力を受けてリセット信号/RESETを出力するOR回路20とを含む。
【0051】
デコード回路18♯1は、図3のDフリップフロップ14♯1の出力信号Q1がHレベルで他のDフリップフロップの出力信号がLレベルである状態を検出してHレベルを出力する。出力信号Q1〜Q8が他の組合せであるときには、デコード回路18♯1は、Lレベルを出力する。
【0052】
デコード回路18♯2は、図3のDフリップフロップ14♯2の出力信号Q2がHレベルで他のDフリップフロップの出力信号がLレベルである状態を検出してHレベルを出力する。出力信号Q1〜Q8が他の組合せであるときには、デコード回路18♯2は、Lレベルを出力する。
【0053】
デコード回路18♯3は、図3のDフリップフロップ14♯3の出力信号Q3がHレベルで他のDフリップフロップの出力信号がLレベルである状態を検出してHレベルを出力する。出力信号Q1〜Q8が他の組合せであるときには、デコード回路18♯3は、Lレベルを出力する。
【0054】
デコード回路18♯4は、図3のDフリップフロップ14♯4の出力信号Q4がHレベルで他のDフリップフロップの出力信号がLレベルである状態を検出してHレベルを出力する。出力信号Q1〜Q8が他の組合せであるときには、デコード回路18♯4は、Lレベルを出力する。
【0055】
デコード回路18♯5は、図3のDフリップフロップ14♯5の出力信号Q5がHレベルで他のDフリップフロップの出力信号がLレベルである状態を検出してHレベルを出力する。出力信号Q1〜Q8が他の組合せであるときには、デコード回路18♯5は、Lレベルを出力する。
【0056】
デコード回路18♯6は、図3のDフリップフロップ14♯6の出力信号Q6がHレベルで他のDフリップフロップの出力信号がLレベルである状態を検出してHレベルを出力する。出力信号Q1〜Q8が他の組合せであるときには、デコード回路18♯6は、Lレベルを出力する。
【0057】
デコード回路18♯7は、図3のDフリップフロップ14♯7の出力信号Q7がHレベルで他のDフリップフロップの出力信号がLレベルである状態を検出してHレベルを出力する。出力信号Q1〜Q8が他の組合せであるときには、デコード回路18♯7は、Lレベルを出力する。
【0058】
デコード回路18♯8は、図3のDフリップフロップ14♯8の出力信号Q8がHレベルで他のDフリップフロップの出力信号がLレベルである状態を検出してHレベルを出力する。出力信号Q1〜Q8が他の組合せであるときには、デコード回路18♯8は、Lレベルを出力する。
【0059】
リセット回路16aのような構成とすれば、誤動作を生じた場合には直ちにリセット信号が出力されるため、次のクロック信号の立上がりエッジに同期してすぐさま正常状態に復帰することが可能である。ただし、デコード回路18♯1〜18♯8およびOR回路20は、いずれも入力信号が多い複雑な回路となるため、回路規模が大きくなってしまい経済的ではない。
【0060】
図5は、改良したリセット回路16bの構成を示す回路図である。
図5を参照して、リセット回路16bは、信号Q1〜Q4を受けるOR回路22と、信号Q5〜Q8を受けるOR回路24と、OR回路22,24の出力を受けてリセット信号/RESETを出力するエクスクルシブOR回路26とを含む。OR回路22の出力信号は、信号Q1〜Q4を縮退した信号であり、信号Q1〜Q4のいずれかが1つでもHレベルであればHレベルとなる。OR回路24の出力信号は、信号Q5〜Q8を縮退した信号であり、信号Q5〜Q8のいずれかが1つでもHレベルであればHレベルとなる。
【0061】
図6は、図5に示したリセット回路16bの動作を説明するための動作波形図である。
【0062】
図5、図6を参照して、クロックサイクル♯1においては信号Q1がHレベルであり信号Q2〜Q8がLレベルである。また、Hレベルの信号Q1が入力されているOR回路22の出力がHレベルであり、またいずれもLレベルの信号が入力されているOR回路24の出力はLレベルである。したがって、OR回路22の出力とOR回路24の出力は一致していないため、リセット信号/RESETはHレベルである。
【0063】
クロックサイクル♯2〜♯4では、クロック信号が入力されるごとにデータが順番にシフトするためHレベルとなる信号も順に信号Q2、Q3、Q4とシフトしている。この場合にもOR回路22の出力がHレベルであり、OR回路24の出力はLレベルであるため、リセット信号/RESETはHレベルである。
【0064】
ここで、クロックサイクル♯5において、たとえば放射線による誤動作などにより図3のDフリップフロップ14♯1に異常が生じ信号Q1がHレベルになってしまった場合を考えると、OR回路22は信号Q1がHレベルであり、信号Q2〜Q4がLレベルであるため出力はHレベルとなる。
【0065】
一方、本来のデータが転送されたため信号Q5がHレベルとなる。そして、信号Q6〜Q8はLレベルである。したがって、OR回路24の出力はHレベルとなる。このため、OR回路22の出力およびOR回路24の出力が両方ともHレベルとなる。OR回路22の出力およびOR回路24の出力が一致したため、リセット信号/RESETはLレベルに活性化される。
【0066】
そして、次のクロックサイクル♯6において図3のDフリップフロップ14♯1〜14♯8には初期状態のデータが入力されるため、信号Q1はHレベルとなり、信号Q2〜Q8はLレベルとなる。したがって、クロックサイクル♯6以降はリングカウンタ10は正常な動作を行なうこととなる。
【0067】
ここで、図6の動作波形図では、放射線による誤動作によってLレベルのデータがHレベルに変ってしまう場合を説明したが、たとえばクロックサイクル♯1においてHレベルである信号Q1が誤動作によってLレベルになってしまう場合も考えられる。
【0068】
この場合には、OR回路22、OR回路24の出力は、ともにLレベルとなる。エクスクルシブOR回路26は、この状態も検出可能であるので、異常が検出されリングカウンタはリセットされる。
【0069】
また、リセット回路として、8サイクルごとにリセット信号を出力する回路を設ける場合も考えられる。しかし、リセット回路16bの場合には、最低でも誤動作が起きてから3クロック後には正常状態に復帰することが可能であるため、より迅速に正常状態に復帰することができる。
【0070】
以上説明したように、実施の形態1で説明した半導体装置によれば誤動作が生じた場合にもすみやかに正常状態に復帰することが可能となるので、半導体装置の動作の信頼性を高めることができる。
【0071】
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2の半導体装置において用いられるリセット回路16cの構成を示した回路図である。
【0072】
図7を参照して、リセット回路16cは、信号Q1〜Q7を受けるOR回路32と、OR回路32の出力と信号Q8とを受けるエクスクルシブOR回路34とを含む。OR回路32の出力信号は、信号Q1〜Q7を縮退した信号であり、信号Q1〜Q7のいずれかが1つでもHレベルであればHレベルとなる。エクスクルシブOR回路34はリセット信号/RESETを出力する。
【0073】
すなわち、図5で示したリセット回路16bの構成は、フリップフロップの出力を4本ずつに分けてそれぞれOR回路22、24で受けていた。そしてOR回路22、24の出力が一致するか否かをエクスクルシブOR回路26でチェックしていたが、フリップフロップの出力は必ずしも4対4に分割してそれぞれOR回路で受ける必要はない。
【0074】
すなわち、図7に示したように7対1に出力を分割してもよい。他にも3対5に分割しても2対6に分割してもかまわない。すべてのフリップフロップの出力が2分割されて結果が監視されるような構成であればかまわない。
【0075】
以上説明したように、実施の形態2で説明した半導体装置も、異常時に迅速に正常状態に復帰することができるため、動作の信頼性が向上する。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0077】
【発明の効果】
本発明の半導体装置は、放射線等のノイズにより誤動作が発生した場合でも、誤動作状態から正常動作状態に復帰させることができるので、動作の信頼性を高めることができる。
【0078】
また、複数のフリップフロップの出力を1対多に分割して観測することにより、放射線等のノイズにより誤動作が発生した場合でも、誤動作状態から正常動作状態に復帰させることができるので、動作の信頼性を高めることができる。
【0079】
さらに、複数のフリップフロップのうちの1つにHデータが設定される回路において、誤動作状態から正常動作状態に復帰させることができる。
【0080】
また、内部で高速クロックを発生する場合に、高速クロックの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の半導体装置2の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】 図1におけるPLL回路8の構成を示したブロック図である。
【図3】 図1に示したリングカウンタ10の構成を示す回路図である。
【図4】 図3におけるリセット回路16の検討例であるリセット回路16aの構成を示す回路図である。
【図5】 改良したリセット回路16bの構成を示す回路図である。
【図6】 図5に示したリセット回路16bの動作を説明するための動作波形図である。
【図7】 実施の形態2の半導体装置において用いられるリセット回路16cの構成を示した回路図である。
【図8】 従来の半導体装置452の概略構成を示すブロック図である。
【図9】 図8に示したリングカウンタ500の構成を示す回路図である。
【図10】 図9に示したリングカウンタ500の動作を説明するための動作波形図である。
【図11】 従来のリングカウンタの誤動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
2 半導体装置、8a クロックバッファ、8c シフトレジスタ、8b 位相比較器、8 PLL回路、8d 遅延ライン、10 リングカウンタ、12#1 ゲート回路、12#2〜12#8 AND回路、14#1〜14#8 Dフリップフロップ、16,16a,16b,16c リセット回路、18#1〜18#8 デコード回路、20,22,24,32 OR回路、26,34 エクスクルッシブOR回路。

Claims (5)

  1. リセット信号が非活性である場合には各々がクロック信号に同期してデータを受け次段に伝達する、環状のデータ転送経路上に配置された、複数の保持回路と、
    前記複数の保持回路の保持データを監視し、前記保持データが正常な時には前記リセット信号を非活性化し、前記保持データの異常を検出すると前記リセット信号を活性化して前記保持データを初期化するリセット回路とを備え、
    前記リセット回路は、
    前記複数の保持回路のうちの第1部分のいずれかのうち少なくとも1つに第1の論理値のデータが存在するか否かを検出した第1の結果信号と、前記複数の保持回路から前記第1部分を除外した第2部分のいずれかのうち少なくとも1つに前記第1の論理値のデータが存在するか否かを検出した第2の結果信号とを出力する論理回路部と
    記第1、第2の結果信号が一致した場合に前記リセット信号を活性化する一致検出回路を含み、
    前記複数の保持回路の各々は、前記リセット信号の活性化に応じて対応する初期値に保持値が設定される、半導体装置。
  2. 前記第1の論理値は、1であり、
    前記論理回路部は、
    前記第1部分に属する保持回路の出力を受けて前記第1の結果信号を出力する第1のOR回路と、
    前記第2部分に属する保持回路の出力を受けて前記第2の結果信号を出力する第2のOR回路とを含み、
    前記一致検出回路は、前記第1、第2のOR回路の出力が一致した場合に、前記複数の保持回路を初期化するための前記リセット信号を活性化する、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記第2部分は、
    第1の保持回路を含み、
    前記第1部分は、
    前記複数の保持回路のうちから前記第1の保持回路を除外した残りの保持回路を含み、
    前記論理回路部は、
    前記第1の保持回路の出力を前記第1の結果信号として前記一致検出回路に伝達する伝達部と、
    前記第1部分に属する保持回路の出力を受けて前記第2の結果信号を出力するOR回路とを含み、
    前記一致検出回路は、前記OR回路の出力と前記第1の保持回路の出力とが一致した場合に、前記複数の保持回路を初期化するための前記リセット信号を活性化する、請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記複数の保持回路は、
    前記リセット信号の活性化に応じて前記第1の論理値に初期化される第1の保持回路と、
    前記リセット信号の活性化に応じて前記第1の論理値と相補な第2の論理値に初期化される複数の第2の保持回路とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. 前記複数の保持回路の出力のいずれかひとつと外部クロック信号とに応じて前記外部クロックより周波数の高い前記クロック信号を出力するフェーズロックドループ回路と、
    前記クロック信号に同期して処理を行なう内部回路とをさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
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