JP4492522B2 - レーザーマーキング用樹脂組成物およびそれを用いた成形品 - Google Patents

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本発明は、レーザー光照射により有色マーキング部を形成させる用途に適したレーザーマーキング用樹脂組成物およびそれを用いた成形品に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、その優れた射出成形性、機械特性、耐熱性、電気特性、耐薬品性などを利用して、機械部品、電気・通信部品、自動車部品などの分野で射出成形品として広範囲に利用されている。成形品表面に文字等の印字を施す場合、これまでは、シルク印刷やタンポ印刷が多用されていたが、塗料を用いる印刷方法から、塗料を使用せず、環境に優しい、レーザー光を成形品表面に照射し、マーキングを行うレーザーマーキングに注目が集まっている。既に多くの方法が提案されており、ポリブチレンテレフタレート系樹脂にレーザーマーキングする方法も開示されている。
特許文献1には、難燃性ポリアルキレンテレフタレートにレーザーマークする方法が、また、特許文献2には、熱可塑性ポリエステル樹脂に、カーボンブラックと有機染顔料を配合し、レーザーマークする技術が開示されている。また、特許文献3には、熱可塑性ポリエステル樹脂に低次酸化チタン及び/またはカーボンブラックと有機顔料系、有機染料系着色剤を配合し、レーザーマークする方法が、また、特許文献4には、ポリブチレンテレフタレートに金属酸化物よりなる釉薬および顔料または染料を配合し、レーザーマークする技術が開示されている。また、特許文献5には、熱可塑性ポリエステルに特定カーボンブラックを添加し、レーザーマークする方法が開示されている。さらに特許文献6には、熱可塑性樹脂に炭酸カルシウムと着色剤を配合し、マーキングの鮮明性を改良する技術が開示されている。
しかしながら、いずれの方法も、マーキングの鮮明性を改良することは可能であるが、機械的特性の低下を伴うものであり、特に、ガラス繊維強化した系に、酸化チタンや炭酸カルシウムを配合した系では、機械的特性の低下が著しく、レーザーマーキング性と機械的特性のバランスに欠けるものであった。
特開平5−96386号公報 特開平6−297828号公報 特開平8−127175号公報 特開平9−71726号公報 特開平11−140284号公報 特開2002−309104号公報
本発明は、上述した従来の問題点を解消し、ポリブチレンテレフタレート系樹脂において、レーザーマーキング性が優れ、且つ機械的特性の低下がない樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは以上の状況を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ポリブチレンテレフタレート系樹脂に、硫化亜鉛、およびカーボンブラックを配合することにより、レーザーマーキング性に優れ、機械的特性の低下がないレーザーマーキング用樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
前記課題を解決するため、本発明は次の構成からなる。すなわち、
(1)(A)ポリブチレンテレフタレートまたは、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体からなるポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)硫化亜鉛0.1〜1.0重量部、(C)カーボンブラック0.001〜0.01重量部配合してなるレーザーマーキング用樹脂組成物であり、(C)カーボンブラックの平均粒子径が25〜70nmであるレーザーマーキング用樹脂組成物、
)(D)無機充填材を、(A)100重量部に対し1〜200重量部添加配合してなる(1)に記載のレーザーマーキング用樹脂組成物、
)(E)エチレン(共)重合体を、(A)100重量部に対し1〜30重量部添加配合してなる(1)または(2)に記載のレーザーマーキング用樹脂組成物、
)(1)〜()のいずれかに記載のレーザーマーキング用樹脂組成物からなる成形品、
)()に記載の成形品を用いたレーザーマーキング方法、
を提供するものである。
本発明は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂に、硫化亜鉛、およびカーボンブラックを配合することで、レーザーマーキング性が良好で、且つ機械的特性の低下がないレーザーマーキング用樹脂組成物が得ることが可能である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明でいう(A)ポリブチレンテレフタレート系樹脂(以下、(A)成分とも言う)とは、前記ポリブチレンテレフタレート単独であっても良いし、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体との併用であっても良い。
本発明において用いられるポリブチレンテレフタレートとは、テレフタル酸(あるいはそのジメチルテレフタレート等エステル形成性誘導体)と1,4−ブタンジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを重縮合反応して得られる重合体である。
また、上記ポリブチレンテレフタレートと併用して用いることができるポリブチレンテレフタレート共重合体としては、テレフタル酸(あるいはそのジメチルテレフタレート等エステル形成性誘導体)と1,4−ブタンジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)およびこれらと共重合可能なその他のジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)あるいはその他のジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)を共重合したものが挙げられ、なかでも第三成分としてその他のジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)を共重合した共重合体が好ましい。
その他のジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)の共重合割合は、全ジカルボン酸成分中、3〜30モル%の範囲であることが成形性の点から好ましく、3〜20モル%の範囲であることがより好ましい。
また、その他のジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)の共重合割合は、全ジオール成分中、3〜30モル%の範囲であることが成形性の点から好ましく、3〜20モル%の範囲であることがより好ましい。
上記その他のジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
(A)成分の粘度は溶融混練が可能であれば特に制限は無いが、通常、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度は0.36〜1.60であることが好ましい。また、(A)成分がポリブチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート共重合体からなる場合には、その物理的あるいは溶融混合物を粉砕後もしくはペレット状のまま用いてo−クロロフェノールに溶解し、o−クロロフェノール溶液を調整し、粘度測定した結果が前記粘度条件内にあればよい。
本発明でいう(B)硫化亜鉛は、熱可塑性樹脂の着色用顔料として配合されるもので、硫化亜鉛の性状は限られないが、平均粒子径が0.1〜1μm、特に0.2〜0.8μmで、純度が90%以上、特に95%以上のものが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であると分散性が悪くなることがあり、1μmを超えると着色性が低下することがある。また、純度が90%未満であると耐熱性、耐候性が低下することがある。
本発明における(B)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対し、0.1〜1.0重量部である。添加量が0.1重量部未満では(B)成分添加によるマーキングの鮮明性が発現せず、1.0重量部を越えると機械的特性が低下するので好ましくない。
本発明で言う(C)カーボンブラックは、その製法により、ファーネスブラック、チャネルブラック、サーマルブラック等に、また原料の違いにより、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、オイルブラック、ガスブラック等に分類され、本発明においては、いずれも使用出来るが、その平均粒子径は、25〜70nmであり、好ましくは平均粒子系が30〜60nmである。平均粒子径が25nm未満では、樹脂への分散性、およびレーザーマーキング性が低下、一方、70nmを越えると機械的特性が低下す
本発明における(C)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対し、0.001〜0.01重量部である。該範囲外であると、マーキングの鮮明性が発現しない。
本発明においては、さらに(D)無機充填材を配合することができる。(D)成分としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミックス繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維等の繊維状強化材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィラメント、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナリケート等の珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物、炭化カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、ガラスビーズ、セラミックスビーズ、窒化硼素、炭化珪素、硼酸亜鉛及びシリカ等の非繊維状強化材等が挙げられ、これらは1種、または2種以上使用することができる。本発明における好ましい例としてはガラス繊維が挙げられる。さらに、これら充填材をシラン系、エポキシ系あるいはチタネート系などのカップリング剤で予備処理して使用することは、機械的強度などの面からより好ましい。
本発明で用いられる(D)成分の添加量は、流動性と機械的強度のバランスから、(A)成分100重量部に対し1〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜120重量部であり、特に10〜85重量部が好ましい。
更に、本発明の樹脂組成物には、靭性を改良する目的でエラストマ成分として(E)エチレン(共)重合体を配合することができ、かかるエチレン(共)重合体としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなどのエチレン重合体および/またはエチレン共重合体が挙げられる。
エチレン重合体としては、上記の通り高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンが好ましい例としてあげられ、それらに酸無水物あるいはグリシジルメタクリレートがグラフトもしくは重合された共重合体が(A)成分との相溶性が良く、好ましい例として挙げられる。なお、これらは1種、または2種以上使用することができる。
エチレン共重合体としては、エチレンおよびそれと共重合可能なモノマーを共重合して得られるもの、具体的にはプロピレン、ブテン−1、酢酸ビニル、イソプレン、ブタジエンあるいはアクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸類あるいはこれらのエステル酸類、マレイン酸、フマル酸あるいはイタコン酸等のジカルボン酸等の共重合体が挙げられる。エチレン(共)重合体は通常公知の方法で製造することが可能である。
(E)成分として本発明において好ましく使用されるのはエチレン共重合体である。具体例としては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン−1、エチレン/酢酸ビニル、エチレン/エチルアクリレート、エチレン/メチルアクリレートまたはエチレン/メタクリル酸エチルアクリレートから選ばれる1種または2種以上のものが挙げられる。また、上記のエチレン共重合体に酸無水物あるいはグリシジルメタクリレートをグラフトもしくは重合された共重合体も好ましく用いられ、これらは1種または2種以上で使用されてもよく、上記のエチレン共重合体と混合して用いても良い。
また、(E)成分を配合する場合の配合量は、得られる組成物の難燃性と衝撃強度の点から(A)成分100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、特に好ましくは5〜25重量部である。
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、結晶核剤、末端封鎖剤、紫外線吸収剤、(B)および(C)成分以外の着色剤、難燃剤など、通常の添加剤および少量の他種ポリマーを添加することができるが、特に結晶核剤を添加することにより、結晶化速度(固化速度)が速くなり、成形サイクルを短くすることが可能である。
例えば離型剤としては、モンタン酸ワックス類、またはステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリルアミド等の高級脂肪酸アミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物などを挙げることができ、なかでも、モンタン酸ワックス類、エチレンビスステアリルアミドが好ましい。
酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジン)イソシアヌレート等のフェノール系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ化合物、トリスノニルフェニルホスファイト、ジスエアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系化合物等が挙げられ、なかでも、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンが好ましい。
安定剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾール系化合物、ならびに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物などを挙げることができる。
また、結晶核剤としてはポリエーテルエーテルケトン樹脂、タルク等を挙げることができる。これら結晶核剤を添加することにより、結晶化速度(固化速度)が速くなり、成形サイクルを短くすることが可能となる。
また、末端封鎖剤としては脂肪族および芳香族のグリシジルエステルもしくはグリシジルエーテル等を挙げることができる。
これらの各種添加剤は、2種類以上を組み合わせることによって相乗的な効果が得られることがあるので、併用して使用してもよい。
なお、例えば酸化防止剤として例示した添加剤は、安定剤や紫外線吸収剤として作用することもある。また、安定剤として例示したものについても酸化防止作用や紫外線吸収作用のあるものがある。すなわち前記分類は便宜的なものであり、作用を限定したものではない。
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物の製造方法については通常知られている方法で実施すればよく、特に限定する必要はない。代表例としては、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロールなど、公知の溶融混合機を用いて、200〜350℃の温度で溶融混練する方法を挙げることができる。各成分は、予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい。あるいは(A)〜(D)成分の合計量100重量部に対し、例えば1重量部以下であるような少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加することもできる。なお、各成分に付着している水分は少ない方がよく、予め事前乾燥しておくことが望ましいが、必ずしも全ての成分を乾燥させる必要がある訳ではない。
好ましい製造方法の例としては、シリンダ温度230〜300℃の2軸押出機を用い、(D)成分以外を該押出機の上流側から供給・混練し、次いで(D)成分をサイドフィードしてさらに混練する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形、真空成形など一般に熱可塑性樹脂の公知の成形方法により成形されるが、なかでも射出成形が好ましい。
これらの成形品の用途については、電気、電子、自動車、機械、雑貨など特に制限はないが、本発明の成形品の特徴から、文字や記号等が印字・表示される用途に有効である。なかでもOA機器・電気・電子製品のハウジングおよび冷蔵庫の構造体部品、パチンコの受け皿等の雑貨用途、トイレ・台所等のサニタリー用途、自動車用内外装材の文字や記号等を印字・表示される部位に適用することができる。
本発明においては、かかる樹脂組成物からなる成形品に対し、その所望位置にレーザー光線を照射するだけで、容易に鮮明なマーキングが行われる。所望の形状のマーキングを行うためには、例えば、レーザー光を適当な大きさのスポットにして対象物に表面を走査する方法、レーザー光をマスクすることによって所望形状のレーザー光とし、これを対象物の表面に照射する方法等が挙げられる。使用されるレーザーの種類としては特に限定はないが、例えば炭酸ガスレーザー、ルビーレーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザー、YAGレーザー等が挙げられる。なかでも波長が1.06μmであることを特徴とするNd:YAGレーザーが好ましい。その発振形態は連続発振であってもパルス発振であっても構わないが、特に適したものはQスイッチを用いた連続発振であるスキャン式のNd:YAGレーザーである。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。以下に実施例および比較例の材料特性評価方法を示す。
(1)成形性評価
射出成形機(日精60E9ASE)を使用して、シリンダ温度260℃、金型温度80℃の成形条件において引張試験片(ASTM1号タイプ、厚み3.2mm)を作製した。成形の際に、成形品突き出し時に試験片が変形したり、突き出し箇所が大きく挫屈するようなものを成形性不良として表中「×」で示した。一方、変形のないものには表中「○」で示した。
成形不良であった「×」表示のものは、その他の特性評価を実施するための試験片作製が困難であったため、その後の評価ができなかった。これらについては表中の特性の項で「−」と示した。
(2)成形サイクル性評価
成形サイクルについては、金型内での樹脂の固化速度を現すゲートシール時間を評価した。ゲートシール時間は、試験片を射出成形した際に最低充填圧力から1次保圧時間を順次延ばし、成形品重量が一定となる1次保圧時間をゲートシール時間と定義した。ゲートシール時間は(1)における射出成形の際に、この定義に従って測定を行った。ゲートシール時間が短い材料は、固化速度が速く、ハイサイクル成形に好適である。
(3)引張強度
ASTM D638に準拠する方法で評価を行った。試験片はASTM1号タイプ(厚み3.2mm)を用い、その成形条件はシリンダ温度260℃、金型温度80℃とした。
(4)曲げ弾性率
ASTM D790に準拠する方法で評価を行った。試験片は厚さ3.2mmのものを用い、成形条件をシリンダ温度260℃、金型温度80℃とした。
(5)衝撃強度
ASTM D256に準拠する方法で評価を行った。試験片は幅3.2mmのノッチ付き試験片を用いた。試験片の成形条件をシリンダ温度260℃、金型温度80℃とした。
(6)荷重たわみ温度
ASTM D648に準拠する方法で評価を行った。負荷応力を1.82MPaとした。試験片は厚さ6.4mmとして、成形条件をシリンダ温度260℃、金型温度80℃とした。
(7)耐冷熱性評価
下記方法によって得られた成形品を130℃環境下1時間処理後、−40℃環境下1時間処理を行い、再び130℃環境下に放置する冷熱サイクル処理を行い、成形品の外観を目視した。インサート成形品にクラックが発生したサイクル数を表中に記載し、その数値の大小を耐冷熱性の指標とした。
インサート成形品は以下の方法により作成される。図1(a)に上記インサート成形品の平面図、および(b)に同成形品の側面図を示す。インサート成形品1は、金型キャビティ内にインサート金属4(図1(a)および(b)波線で明示)を装着・固定し、インサート金属4を覆うように溶融樹脂を射出し、樹脂2およびスプルー3を固化させる射出成形法により成形される。作製条件はシリンダ温度260℃、金型温度80℃である。
インサート成形品1の、四角柱部分の底面(正方形)の辺の長さL1は50mm、高さHは30mm、そして樹脂2の厚みW1は1.5mmである。
(8)レーザーマーキング性評価
シリンダ温度260℃、金型温度80℃の成形条件で射出成形した角板(80×80×3mm)の表面に、Nd:YAGレーザーマーカー、波長1064nmでマーキング部を形成し、そのマーキング部をスガ試験機(株)のSMカラーコンピューター(SM−5)で測色し、未マーキング部との色差(ΔE)を測定した。ΔEが5以上であるものを「◎」、3以上5未満であるものを「○」、3未満であるものを「×」として、レーザーマーキング性の指標とした。
以下に実施例および比較例に使用した配合組成物を示す。
[参考例1]ポリブチレンテレフタレート系樹脂
(A−1)固有粘度0.81dl/gのポリブチレンテレフタレート(東レ株式会社製“トレコン”1100S)
(A−2)ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体
テレフタル酸(以下、TPAともいう)450部、イソフタル酸(以下、IPAともいう)50部[TPA/IPA=90/10mol%]、1,4−ブタンジオール407部、テトラ−n−ブチルチタネート1部を精留塔付き反応器に仕込み、500mmHgの減圧環境下で、180℃から230℃まで徐々に昇温してエステル化反応率95%以上にまで反応させ、次いで240℃、0.5mmHgにまで昇温、減圧して3時間30分後に重合を完結させ、イソフタル酸10mol%のポリブチレンテレフタレート共重合体を得た。得られた共重合体の固有粘度は0.80dl/gであった。
[参考例2]
(B−1)堺化学工業社製硫化亜鉛
(B−2)石原産業社製酸化チタン“CR60”
[参考例3]
(C−1)三菱化学社製カーボンブラック#32:平均粒径30nm
(C−2)三菱化学社製カーボンブラック#25:平均粒径47nm
(C−3)三菱化学社製カーボンブラックMA600:平均粒径20nm
(C−4)三菱化学社製カーボンブラック#10:平均粒径75nm
[参考例4]ガラス繊維
(D−1)日本電気硝子社製ガラス繊維“T−120”(平均繊維径:13μm、繊維長3mmのチョップドストランド)。
[参考例5]エラストマ
(E−1)エチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体。各成分の共重合比(重量比)はエチレン単位/メチルアクリレート単位/グリシジルメタクリレート単位=64/30/6(重量%)。MFR=9g/10min(測定法:JIS−K6760(190℃、2160g荷重))。
(E−2)エチレン−エチルアクリレート共重合物。両成分の共重合比(重量比)はエチレン単位/エチルアクリレート単位=65/35(重量%)。MFR=25g/10min(測定法:JIS−K6760(190℃、2160g荷重))。
[参考例6]
(F−1)タルク(結晶核剤):竹原化学工業社製含水ケイ酸マグネシウム、見掛け比重=0.20g/cc、pH=9.3、平均粒子径=5.29μm。
[実施例1〜11]、[参考例1〜2]、[比較例1〜7]
実施例1〜11、参考例1〜2及び比較例1〜7に記載した材料の製造方法は次の通りである。すなわちシリンダ温度260℃に設定したスクリュー径57mm直径の2軸押出機を用いて製造した。(A)成分(ポリブチレンテレフタレート系樹脂)、(B)成分(硫化亜鉛)、(C)成分(カーボンブラック)並びにその他の添加剤は元込め部から、(D)成分(ガラス繊維)をサイドフィーダーから供給して溶融混練を行い、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。得られた各材料は、130℃の熱風乾燥機で3時間乾燥した後、前記評価方法記載の方法を用いて成形し、評価を行った。
実施例1〜11、参考例1〜2及び比較例1〜7の配合処方と結果を表1、表2に記載した。実施例1〜11で得られた樹脂組成物は、いずれもレーザーマーキング性、および機械的特性が良好であり、また、実施例11は、耐冷熱性にも優れるものであった。一方、比較例1〜7で得られた樹脂組成物は、レーザーマーキング性、および機械的特性が劣るものであった。
Figure 0004492522
Figure 0004492522
(a)は実施例で耐冷熱性評価に用いたインサート成形品の平面図であり、(b)は同成形品の側面図である。
符号の説明
1.インサート成形品
2.樹脂
3.スプルー
4.インサート金属
5.樹脂未充填部
L1.インサート成型品1の、四角柱部分の底面(正方形)の辺の長さ
H. インサート成型品1の高さ
W1.樹脂2の厚み

Claims (5)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレートまたは、ポリブチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート共重合体からなるポリブチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、
    (B)硫化亜鉛0.1〜1.0重量部、
    (C)カーボンブラック0.001〜0.01重量部配合してなるレーザーマーキング用樹脂組成物であり、(C)カーボンブラックの平均粒子径が25〜70nmであるレーザーマーキング用樹脂組成物。
  2. (D)無機充填材を、(A)100重量部に対し1〜200重量部添加配合してなる請求項1に記載のレーザーマーキング用樹脂組成物。
  3. (E)エチレン(共)重合体を、(A)100重量部に対し1〜30重量部添加配合してなる請求項1または2に記載のレーザーマーキング用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜4のいずれかに記載のレーザーマーキング用樹脂組成物からなる成形品。
  5. 請求項に記載の成形品を用いたレーザーマーキング方法。
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