JP2008050582A - 樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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Kiyotsuna Toyohara
清綱 豊原
Takaaki Matsuda
貴暁 松田
Keiichiro Ino
慶一郎 井野
Yuichi Matsuno
勇一 松野
Fumitaka Kondo
史崇 近藤
Saneo Oda
実生 小田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、バイオポリマーをベースとし、しかも従来にない耐熱性、外観性を有する成形品となる樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、ブチレンテレフタレート骨格を主たる構成単位とする芳香族ポリエステル(A成分)、融点が190℃以上のポリ乳酸(B成分)および無機充填剤(C成分)を含有する樹脂組成物および該樹脂組成物からなる成形品である。
【選択図】なし

Description

本発明はバイオベースポリマーのポリ乳酸をベースとし、従来にない外観性、耐熱性、耐加水分解性、ハイサイクル成形性等に優れた樹脂組成物に関する。また本発明は、該組成物からなる成形品に関する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)は、耐酸化性、耐溶剤性をはじめとして種々の優れた特性を有する熱可塑性樹脂であり、射出成形により良好な物理的、機械的性質を有する成形品を得ることができる。しかしながら、PBTは結晶性が大きいため、剛性、耐熱性を付与する意図で、充填剤を配合した場合、成形品が表面外観性に劣る欠点を有し、表面外観性が要求される電子部品用成形品、家電製品用成形品用途には適用が困難であった。
他方PBTも含めたプラスチック材料は、使用後、廃棄する際、ゴミの量を増し、さらに自然環境下で分解され難いため、埋設処理しても、半永久的に地中に残留する。そして焼却処理された場合には大気中の二酸化炭素を増加させ、温暖化を助長する懸念がある。また投棄されたプラスチック類により、景観が損なわれ地上ならびに海洋生物の生活環境が破壊されるなど、生態系に対して直接的に悪影響を及ぼすような問題が起こっている。
近年の資源保全、環境保護の観点から、非石油資源を原料とし、廃棄時の減容化および細粒化の容易性、生分解性等の環境に配慮したプラスチック材料が要望されるようになってきた。このためバイオベースポリマーが注目を集め、特にポリ乳酸系樹脂は、原料のL−乳酸が発酵法により大量かつ安価に製造されるようになってきたこと、高い剛性を特徴とすること等により、その利用が期待されている。
しかし、最も有望なポリ乳酸では、耐熱性や耐薬品性の問題が指摘されているが、D−乳酸を原料に含むステレオコンプレックスポリ乳酸(非特許文献1参照。)は、従来のポリL−乳酸に比べて格段に高い融点と結晶性樹脂を有する樹脂であり、かかる特性をいかした用途が期待される。しかし、現在のところステレオコンプレックス結晶を再現性よく高度に発現させる技術はまだ完成されていない。
かかるバイオポリマーとPBTなどの芳香族ポリエステルとを併用し生分解性と芳香族ポリエステルの汎用ポリマーとしての特性をあわせ有する樹脂組成物の検討がなされている。例えば、PBTとポリ乳酸等の混合体を混入した構造材が提案されている(特許文献1参照)。
この提案によれば、構造材に含まれる脂肪族ポリエステルを加熱分解または加溶媒分解することにより熱可塑性ポリエステルに含まれるエステル結合部も同時に分解することができること、従って、使用終了後、廃棄処理が容易な成形品が得られると記載されている。
しかしながら、このような芳香族ポリエステルに脂肪族ポリエステルを配合した樹脂組成物は、溶融成形時の熱安定性が悪く、成形性も極めて悪いためエンジニアリングプラスチックとしての実用化が困難であると考えられていた。
このため芳香族ポリエステルとして成形性に優れるPBTを選択し、成形性の問題を解決した樹脂組成物を得る検討がなされてきた。
例えばポリ乳酸と高融点のPBTからなる樹脂組成物において、成形性を改善するため、PBTを15重量%以下含ませて、かつそれが溶融しない条件で成形し、成形品の熱変形温度を高め、成形性を向上が提案されている(特許文献2参照)。
また、ポリ乳酸とPBTに加えて、ポリアセタールを加えることによって成形性を改善する方法が開示されている(特許文献3参照)。しかしこの方法ではガラス転移温度が低下するために、耐熱性が低下する問題が指摘できる。
これらの提案においては、ポリ乳酸として、安定的に生産されるポリL−乳酸またはポリD−乳酸(以下乳酸ホモポリマーと略称することがある。)選択使用するため、組成物の耐熱性は大きく低下し、さらに耐溶剤性の問題も明らかになった。
これらの物性の向上が期待されるが、必ずしも安定的にステレオコンプレックス相の形成が進みにくいステレオコンプレックスポリ乳酸とPBTとの組成物の提案はいまだなされていない。さらにステレオコンプレックス結晶が十分に発現したポリ乳酸とPBTとの組成物については開示されていない。
Macromolecules 1987, 20, 904−906 特開平8−104797号公報 特開2006−36818号公報 特開2003−342459号公報
本発明の目的は、バイオポリマーをベースとし、しかも従来にない耐熱性、外観性を有する成形品となる樹脂組成物を提供することにある。また本発明は、難燃性に優れた樹脂組成物を提供することにある。また本発明は、該樹脂組成物よりなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、ポリ乳酸、PBTおよび無機充填剤を含有する樹脂組成物において、ポリ乳酸としてステレオコンプレックス相を含有し、高融点で、結晶性に優れたステレオコンプレックスポリ乳酸を用いると、耐熱性、外観性に優れた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ブチレンテレフタレート骨格を主たる構成単位とする芳香族ポリエステル(A成分)、融点が190℃以上のポリ乳酸(B成分)および無機充填剤(C成分)を含有する樹脂組成物である。また本発明は樹脂組成物からなる成形品である。
本発明の樹脂組成物は、バイオベースポリマーであるポリ乳酸を含有するので、環境への負荷が小さい。本発明の樹脂組成物は高い融点を有し耐熱性に優れる。本発明の樹脂組成物は難燃性に優れる。本発明の成形品は優れた外観を有する。本発明の成形品は難燃性に優れる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(ポリ乳酸:B成分)
本発明で用いるポリ乳酸は、融点が190℃以上のポリ乳酸である。ポリ乳酸は、ステレオコンプレックスを含有する、所謂、ステレオコンプレックスポリ乳酸であることが好ましい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸は、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸から形成される。ポリL−乳酸は、主として下記式で表されるL−乳酸単位を含有する。ポリD−乳酸は、主として下記式で表されるD−乳酸単位を含有する。
Figure 2008050582
ポリL−乳酸は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに高融点を実現するためには99〜100モル%の、ステレオ化度を優先するならば95〜99モル%のL−乳酸単位から構成されることがさらに好ましい。他の単位としては、D−乳酸単位、乳酸以外の共重合成分が挙げられる。他の成分は、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
ポリD−乳酸は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに高融点を実現するためには99〜100モル%の、ステレオ化度を優先するならば95〜99モル%のL−乳酸単位から構成されることがさらに好ましい。他の単位としては、L−乳酸単位、乳酸以外の共重合成分が挙げられる。他の成分は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
共重合成分として、2個以上のエステル結合形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等由来の単位およびこれら種々の構成成分からなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等由来の単位が例示される。
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール等あるいはビスフェノールにエチレンオキシドが付加させたもの等の芳香族多価アルコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ステレオコンプレックスポリ乳酸は、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸の混合物である。ポリL−乳酸およびポリD−乳酸は、共に重量平均分子量が、好ましくは10万〜50万、より好ましくは15万〜35万である。
ポリL−乳酸およびポリD−乳酸は、公知の方法で製造することができる。例えば、L−またはD−ラクチドを金属触媒の存在下、加熱し開環重合させ製造することができる。また、金属触媒を含有する低分子量のポリ乳酸を結晶化させた後、減圧下または不活性ガス気流下で加熱し固相重合させ製造することができる。さらに、有機溶媒の存在/非存在下で、乳酸を脱水縮合させる直接重合法で製造することができる。
重合反応は、従来公知の反応容器で実施可能であり、例えばヘリカルリボン翼等、高粘度用攪拌翼を備えた縦型反応器あるいは横型反応器を単独、または並列して使用することができる。また、回分式あるいは連続式あるいは半回分式のいずれでも良いし、これらを組み合わせてもよい。
重合開始剤としてアルコールを用いてもよい。かかるアルコールとしては、ポリ乳酸の重合を阻害せず不揮発性であることが好ましく、例えばデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール等を好適に用いることができる。
固相重合法では、前述した開環重合法や乳酸の直接重合法によって得られた、比較的低分子量の乳酸ポリエステルをプレポリマーとして使用する。プレポリマーは、そのガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲にて予め結晶化させることが、融着防止の面から好ましい形態と言える。結晶化させたプレポリマーは固定された縦型或いは横型反応容器、またはタンブラーやキルンの様に容器自身が回転する反応容器(ロータリーキルン等)中に充填され、プレポリマーのガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度範囲に加熱される。重合温度は、重合の進行に伴い段階的に昇温させても何ら問題はない。また、固相重合中に生成する水を効率的に除去する目的で前記反応容器類の内部を減圧することや、加熱された不活性ガス気流を流通する方法も好適に併用される。
ポリ乳酸の重合時に使用された金属触媒は失活剤で不活性化しておくのが好ましい。かかる失活剤として、例えばイミノ基を有し且つ金属触媒に配位し得るキレート配位子の群からなる有機リガンド、酸価数5以下の低酸化数リン酸、メタリン酸系化合物およびこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エスエテル、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体等が例示される。
酸価数5以下の低酸化数リン酸として、ジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III)酸、ヒドリドペンタオキソ二(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)III、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等が挙げられる。
メタリン酸系化合物として、式xHO.yPで表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸およびこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸が挙げられる。メタリン酸系化合物は、3〜200程度のリン酸単位が縮合した環状のメタリン酸あるいは立体網目状構造を有するウルトラ領域メタリン酸あるいはそれらの(アルカル金属塩、アルカリ土類金属塩、オニウム塩)を包含する。なかでも環状メタリン酸ナトリウムやウルトラ領域メタリン酸ナトリウム、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体のジヘキシルホスホノエチルアセテート(以下DHPAと略称することがある)等が好適に使用される。
ステレオコンプレックスポリ乳酸におけるポリL−乳酸とポリD−乳酸との重量比は、90:10〜10:90である。75:25〜25:75であることが好ましく、さらに好ましくは60:40〜40:60であり、できるだけ50:50に近いことが好ましい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸の重量平均分子量は、10万〜50万である。より好ましくは10万〜30万である。重量平均分子量は溶離液にクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量値である。
ステレオコンプレックスポリ乳酸は、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを所定の重量比で共存させ混合することにより製造することができる。
混合は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、ポリL−乳酸とポリD−乳酸が溶解するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、フェノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、トリオキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール等の単独あるいは2種以上混合したものが好ましい。
また混合は、溶媒の非存在下で行うことができる。即ち、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを所定量混合した後に溶融混練する方法、いずれか一方を溶融させた後に残る一方を加えて混練する方法を採用することができる。
あるいは、ポリL−乳酸セグメントとポリD−乳酸セグメントが結合している、ステレオブロックポリ乳酸も好適に用いることが出来る。
ステレオブロックポリ乳酸は、ポリL−乳酸セグメントとポリD−乳酸セグメントが分子内で結合してなる、ブロック重合体である。このようなブロック重合体は、例えば、逐次開環重合によって製造する方法や、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を重合しておいてあとで鎖交換反応や鎖延長剤で結合する方法、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を重合しておいてブレンド後、固相重合して鎖延長する方法、立体選択開環重合触媒を用いてラセミラクチドから製造する方法、等上記の基本的構成を持つ、ブロック共重合体であれば製造法によらず、用いることができる。しかしながら、逐次開環重合によって得られる高融点のステレオブロック重合体、固相重合法によって得られる重合体を用いることが製造の容易さからより好ましい。
(ポリ乳酸のステレオ化度)
ポリ乳酸(B成分)のステレオ化度(S)は、DSC測定において、結晶融解ピークより定義される下記式(1)で表される。B成分は、ステレオ化度(S)が好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%、さらに好ましくは95〜100%である。すなわち、B成分はステレオコンプレックス相が高度に形成されていることが好ましい。ステレオ化度(S)がこの範囲にあることにより、表面外観性、寸法安定性、耐熱性およびハイサイクル成形性を好適に発現することができる。ステレオ化度(S)は熱処理過程において最終的に生成するステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の割合を示すパラメーターである。
S(%)=(ΔHms/ΔHms0)/(ΔHmh/ΔHmh0+ΔHms/ΔHms0) (1)
但し、ΔHms=203.4J/g、ΔHmh=142J/g、ΔHms=ステレオコンプレックス融点の融解エンタルピー、ΔHmh=ホモ結晶の融解エンタルピーである。
(ポリ乳酸のステレオ結晶化比率)
ポリ乳酸(B成分)は、結晶性を有しており、XRD測定で、ステレオ結晶化比率(Cr)が、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは60〜100%、とりわけ好ましくは70〜100%の範囲である。ステレオ結晶化比率(Cr)はXRD測定における回折ピークの強度比によって定義される下記式(2)で表される。
Cr(%)=ΣISCi/(ΣISCi+IHM)×100 (2)
ここで、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3はステレオコンプレックス結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和で、ISCi(i=1〜3)はそれぞれ2θ=12.0°、20.7°、24.0°付近の各回折ピークの積分強度、IHMはホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度を表す。
(ポリ乳酸のカルボキシル基濃度)
ポリ乳酸(B成分)のカルボキシル基濃度は15eq/ton以下である。好ましくは10eq/ton以下、さらに好ましくは2eq/tonである。カルボキシル基濃度がこの範囲内にある時には、溶融安定性、湿熱耐久性が良好な樹脂組成物を得ることができる。カルボキシル末端基濃度は、末端封止剤、アミド化剤により調整することができる。末端封止剤として、モノカルボジイミド類、ジカルボジイミド類、ポリカルボジイミド類、オキサゾリン類、エポキシ化合物等が挙げられる。またアミド化剤として、アルコール、アミン等が挙げられる。
(ポリ乳酸の融点)
ポリ乳酸(B成分)の融点は、好ましくは195〜250℃、より好ましくは200〜220℃である。融解エンタルピーは、20J/g以上、好ましくは30J/g以上である。
(ポリ乳酸の結晶化度)
ポリ乳酸(B成分)は、DSC測定による融解エンタルピーから下記式(3)で表される結晶化度(Dcry)が、好ましくは5〜60%、より好ましくは7〜50%、さらに好ましくは10〜50%である。
cry={(ΔHms/ΔHms)+(ΔHmh/ΔHmh)}×100% (3)
(但し、ΔHms=203.4J/g、ΔHmh=142J/g、ΔHms=ステレオコンプレックス融点の融解エンタルピー、ΔHmh=ホモ結晶の融解エンタルピー)
(ポリ乳酸のラクチド含有量)
ポリ乳酸(B成分)のは、好ましくは0〜700重量ppm、より好ましくは0〜500重量ppm、さらに好ましくは0〜200重量ppm、特に好ましくは0〜100重量ppmである。
ポリ乳酸(B成分)がかかる範囲のラクチド含有量を有することにより、本発明樹脂組成物の溶融時の安定性を向上せしめ、成形品の製造を効率よくハイサイクルで実施できる利点および成形品の耐加水分解性、低ガス性を高めることが出来る。
ラクチド含有量をかかる範囲に低減させるには、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸の重合時点からB成分製造の終了までの任意の段階において、従来公知のラクチド軽減処理あるいはこれらを組み合わせて実施することによって達成することが可能である。
B成分は、ステレオ結晶化比率(Cr)が50%以上、ステレオ化度(S)が80%以上、カルボキシル基濃度が10eq/ton以下、ラクチド含有量が0〜700重量ppmであることが好ましい。
また、B成分は、ステレオ結晶化比率(Cr)が50%以上、ステレオ化度(S)が80%以上、カルボキシル基濃度が10eq/ton以下、ラクチド含有量が0〜700重量ppmであることが好ましい。かかるポリ乳酸を含有する樹脂組成物は、耐熱性、耐加水分解性、ハイサイクル成形性に加え、低ガス性に優れる。
B成分は、ステレオ結晶化比率(Cr)が50%以上、ステレオ化度(S)が95%以上、カルボキシル基濃度が10eq/ton以下、ラクチド含有量が0〜400重量ppmであることが好ましい。
B成分の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部あたり、好ましくは5〜95重量部、より好ましくは10〜90重量部、さらに好ましくは20〜80重量部である。B成分の含有量をこの範囲にすることにより、耐熱性、耐加水分解性に優れた樹脂組成物となる。
B成分が、上述のステレオ化度、ステレオ結晶化比率さらには結晶化度を有することにより、本発明の樹脂組成物の外観性、耐熱性などの各種物性を高いものとすることができ、さらにハイサイクル成形性を好適に達成するこができる。
(リン酸金属塩)
ポリ乳酸(B成分)は、ステレオコンプレックス相の形成を安定的且つ高度に進めるため、下記式で表されるリン酸金属塩を含有することが好ましい。リン酸金属塩は下記式で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008050582
式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。炭素原子数1〜4のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
およびRは、同一または異なり、それぞれ水素原子または炭素原子数1〜12のアルキル基を表する。炭素原子数1〜12のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表す。アルカリ金属原子として、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属原子として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等が挙げられる。Mは、好ましくはナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムであり、カリウム、ナトリウム、アルミニウムを好適に用いることができる
nは、Mがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子または亜鉛原子のときは0を表し、Mがアルミニウム原子のときは1または2を表す。
リン酸金属塩は、ポリ乳酸(B成分)に対して、好ましくは10ppm〜2wt%、より好ましくは50ppm〜0.5wt%、さらに好ましくは100ppm〜0.3wt%用いることが好ましい。少なすぎる場合には、ステレオ化度を向上する効果が小さく、多すぎると樹脂自体を劣化させるので好ましくない。
(結晶核剤)
ポリ乳酸(B成分)は、リン酸金属塩の作用を強化するためいわゆる結晶核剤を併用することが好ましい。かかる結晶核剤として、珪酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトが好ましい。結晶核剤の含有量は、ポリ乳酸(B成分)100重量部あたり、0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.06〜2重量部、より好ましくは0.06〜1重量部である。
(ブロック形成剤)
ポリ乳酸(B成分)は、ブロック形成剤を含有することが好ましい。ブロック形成剤は、好ましくは、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサジン基、イソシアネート基およびケテン基からなる群より選ばれる基を分子中少なくとも1個有する化合物である。
ブロック形成剤は、特定官能基がポリ乳酸(B成分)の分子末端と反応して、部分的にポリL−乳酸ユニットとポリD−乳酸ユニットを連結しブロック化ポリ乳酸を形成、ステレオコンプレックス相形成を促進させる。
ブロック形成剤として、樹脂組成物の色調、熱分解性、耐加水分解性等に与える影響により、特定官能基としてカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(H成分)が好ましい。H成分の含有量は、B成分100重量部あたり0.001〜5重量部が好ましく、0.01〜3重量部がさらに好ましい。
カルボジイミド化合物(H成分)として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジイソブイチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、オクチルデシルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−トリルカルボジイミド、ジ−o−トルイルカルボジイミド、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ビス(p−アミノフェニル)カルボジイミド、ビス(p−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−エチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−エチルフェニル)カルボジイミドビス(o−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(o−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2−エチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2−ブチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリブチルフェニル)カルボジイミド、ジβナフチルカルボシイミド、N−トリル−N’−シクロヘキシルカルボシイミド、N−トリル−N’−フェニルカルボシイミド、p−フェニレンビス(o−トルイルカルボジイミド)、p−フェニレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレンンビス(p−クロロフェニルカルボジイミド)、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、エチレンビス(フェニルカルボジイミド)、エチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、等のモノまたはポリカルボジイミド化合物が例示される。
なかでも反応性、安定性の観点からビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミドが好ましい。また工業的に入手可能なジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドが好適に使用できる。さらに市販のポリカルボジイミド化合物は、合成する必要もなく好適に使用することができる。かかる市販のポリカルボジイミド化合物としては例えば日清紡(株)より市販されているカーボジライトの商品名で販売されているカーボジライトLA−1、あるいはHMV−8CA等を例示することができる。
エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリジジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、グリシジルアミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。かかるエポキシ化合物を含有させることで、機械的特性、成形性、耐熱性、耐久性に優れた樹脂組成物および成形品を得ることができる。
グリシジルエーテル化合物として、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングルコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、その他ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応で得られるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。なかでもビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
グリシジルエステル化合物として、安息香酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、バーサティック酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル等が挙げられる。なかでも安息香酸グリシジルエステル、バーサティック酸グリシジルエステルが好ましい。
グリシジルアミン化合物として、テトラグリシジルアミンジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、等が挙げられる。
グリシジルイミド化合物、グリシジルアミド化合物として、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジル−1,2,3,4−テトラヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジルステアリルアミド等が挙げられる。なかでもN−グリシジルフタルイミドが好ましい。
脂環式エポキシ化合物として、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、等が挙げられる。その他のエポキシ化合物としてエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化鯨油等のエポキシ変性脂肪酸グリセリド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、等を用いることができる。
オキサゾリン化合物として、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ステアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−ベンジルオキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチルー2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)等が挙げられる。
さらに上記化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物等も挙げられる。
オキサジン化合物として、2−メトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−デシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−アリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−クロチルオキシー5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン等が挙げられる。さらに2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−メチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−エチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−p−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−P,P’−ジフェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)等が挙げられる。さらに上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサジン化合物等が挙げられる。上記オキサゾリン化合物やオキサジン化合物のなかでは2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)や2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)が好ましいものとして選択される。
イソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環族イソシアネート化合物およびこれらの混合物を使用することができる。
モノイソシアネート化合物として、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネートとして、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、(2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)混合物、シクロヘキサン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンー4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニル−1,4−ジイソシアネート、等を例示することができる。これらのイソシアネート化合物のなかでは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニルイソシアネート等の芳香族イソシアネートが好ましい。
ケテン化合物として、芳香族、脂肪族、脂環族ケテン化合物およびこれらの混合物を使用することができる。具体的には、ジフェニルケテン、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ケテン、ビス(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)ケテン、ジシクロヘキシルケテン等を例示することができる。これらのケテン化合物のなかではジフェニルケテン、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ケテン、ビス(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)ケテン等の芳香族ケテンが好ましい。
ブロック形成剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部あたり0.001〜5重量部が好ましく、0.01〜3重量部がさらに好ましい。この範囲を超えて多量に適用すると樹脂色相を悪化、あるいは可塑化がおこる懸念が大きくなり好ましくない。また0.001重量部未満の使用量であるとその効果はほとんど認められず工業的な意義は小さい。
リン酸金属塩とブロック形成剤は、組み合わせて用いると、ポリ乳酸(B成分)のステレオコンプレックス相形成をより一層効果的に促進できる。
(芳香族ポリエステル:A成分)
本発明で用いる芳香族ポリエステル(A成分)は、ブチレンテレフタレート骨格を主たる構成単位とする。ブチレンテレフタレート骨格は以下の式で表される。
Figure 2008050582
ここで主たるとは、芳香族ポリエステル中で、ブチレンテレフタレート骨格がモル分率50モル%以上を占めることを意味する。ブチレンテレフタレート骨格がモル分率において70%以上含まれていることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらには95%以上であることが成形性向上の観点から好ましい。
芳香族ポリエステルは、ブチレンテレフタレート骨格以外に、共重合成分を含んでいても良い。共重合成分としては、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール等を挙げることができる。
例えば、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、D−乳酸、L−乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸等のような芳香族ジカルボン酸や、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等のような脂肪族環式ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のような脂肪族ジカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε−オキシ安息香酸等のようなオキシ酸等の二官能性カルボン酸等が挙げられる。
ジオールとしては、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等が挙げられる。
芳香族ポリエステル(A成分)の固有粘度は、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.7〜1.8、さらに好ましくは0.8〜1.5である。
芳香族ポリエステル(A成分)は、カルボキシル末端基濃度が60eq/ton以下であることが好ましい。カルボキシル末端基濃度は、耐湿熱性改善剤の適用、固相重合等により調整することができる。
樹脂組成物中の芳香族ポリエステル(A成分)の割合は、A成分とB成分の合計100重量部に対して、好ましくは5〜95重量部、より好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは20〜70重量部である。
(無機充填剤:C成分)
無機充填剤の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部あたり好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜90重量部、さらに好ましくは20〜80重量部である。無機充填剤を配合することにより、樹脂組成物の耐熱性、剛性とともに外観性、寸法安定性を好適に発現することができる。
無機充填剤としては、粉体状充填材、板状充填材、板状充填材、繊維状充填材等が例示されるが、繊維状充填剤とりわけ好ましくはガラス繊維が好ましい。
粉体状、板状充填剤としてはガラスフレーク、金属フレーク、マイカ、タルク、カオリン等を挙げることができる。これらのうちガラスフレーク、金属フレーク、マイカ、タルクが好ましい物として、更にガラスフレーク、マイカ、タルクが最も好ましいものとして例示される。
球状充填剤としてはガラスビーズ、金属ビーズ、シリカビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズシリカアルミナビーズ、真球状シリカ、真球状アルミナ、真球状ジルコニア、真球状シリカアルミナなどが例示される。球状充填剤の平均粒径は10〜1000μmのものが好ましい。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、カーボン繊維、金属系導電性繊維、チタン酸カリウィスカー、ホウ酸アルミウィスカーの如くのウィスカー等を挙げることができる。中でもガラス繊維、ワラストナイト、カーボン繊維、金属系導電性繊維が好ましく、更にガラス繊維、ワラストナイト、炭素繊維が最も好ましい。
ガラス繊維を含有させると良好な外観の樹脂組成物が得られる。ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス等のガラス組成を特に限定するものでなく、場合によりTiO、ZrO、BeO、CeO、SO、P等の成分を含有するものであってもよい。但しより好ましくは、Eガラス(無アルカリガラス)が樹脂に悪影響を及ぼさない点で好ましい。
かかるガラス組成については、以下に示すガラスミルドファイバーにおいても同様である。本発明のガラス繊維は溶融ガラスを種々の方法にて延伸しながら急冷し、所定の繊維状にしたものである。かかる場合の急冷および延伸条件についても特に限定されるものでない。
また断面の形状は一般的な真円状の他に、真円状の繊維を平行に重ね合わせたものに代表される各種の異形断面形状のものを使用してもよい。さらに真円状と異形断面形状の混合したガラス繊維であってもよい。
かかるガラス繊維は、平均繊維径が1〜25μm、好ましくは5〜17μmである。平均繊維径が1μm未満のガラス繊維を使用したのでは、成形加工性がそこなわれ、平均繊維径が25μmより大きいガラス繊維を使用したのでは、外観が損なわれ、補強効果も十分ではない。これらの繊維は、現在公知のエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの各種化合物により集束処理することができ、また後述するシランカップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。またこれら繊維の成形品中の平均繊維長は0.01〜50mm程度である。
本発明で使用するガラスミルドファイバーは、L/D≦10のものであり、ガラス繊維のロービングまたはチョップドストランドを切断またはボールミル等により所定の長さになるまで粉砕して得られたものであり、本発明の組成物から得られる成形品外観を向上させようとする場合に好ましく使用できる。ここにLはミルドファイバーの繊維軸方向の長さ、Dは断面方向の繊維径を表す。ガラス繊維としては上記に示したガラス繊維と同じものが使用できる。これらの粉末は、ガラス繊維同様シランカップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。該ガラスミルドファイバーとしては、平均繊維径が6〜23μmで且つ平均繊維長が0.02〜0.1mmのものが好ましい
かかるガラス繊維に導電性等を付与するために、繊維表面に金属コートを施しうる。この金属コートガラス繊維の直径は6〜20μmが特に好ましい。金属コートガラス繊維は、ガラス繊維に公知のメッキ法および蒸着法等でニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄等およびこれらの合金等の金属をコーティングしたものである。
かかる金属は導電性、耐食性、生産性、更に経済性の観点からニッケル、銅およびコバルトから選ばれる1種または2種以上の金属が好ましい。これらの繊維は、現在公知のエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの各種化合物により集束処理することができ、また後述するシランカップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。またこれら繊維の成形品中の平均繊維長は0.02〜400μm程度である。
本発明で使用する炭素繊維は、特に制限がなく公知の各種炭素繊維、例えばポリアクリロニトリル、ピッチ、レーヨン、リグニン、炭化水素ガス等を用いて製造される炭素質繊維や黒鉛質繊維であり、特に繊維強度に優れるポリアクリロニトリル系の炭素繊維が好ましい。また炭素繊維は繊維表面をオゾン、プラズマ、硝酸、電解等に代表される現在公知の方法により酸化処理することも可能であり、樹脂成分との密着性を増加するため好ましく行われる。炭素繊維は通常チョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバーなどの形状である。
かかる炭素繊維に導電性等を付与するために、繊維表面に金属コートを施しうる。金属コート炭素繊維の直径は6〜20μmが特に好ましい。金属コート炭素繊維は、炭素繊維に公知のメッキ法および蒸着法等でニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄等およびこれらの合金等の金属をコーティングしたものである。かかる金属は導電性、耐食性、生産性、更に経済性の観点からニッケル、銅およびコバルトから選ばれる1種または2種以上の金属が好ましく、特に好ましくはニッケルコート炭素繊維である。
またこれらの炭素繊維は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の各種のサイジング剤で集束されたものが好適に使用でき、好ましくはエポキシ樹脂および/またはウレタン樹脂が挙げられる。
本発明で使用する金属系導電性繊維は、特に制限する必要はなく、金属繊維や金属コート繊維をいい、例えばステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維等の金属繊維等があげられる。これらは二種以上併用することもできる。金属繊維の直径は4〜80μmが好ましく、6〜60μmが特に好ましい。かかる導電性繊維はシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等で表面処理されていてもよい。またオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等で集束処理されていてもよい。これらの繊維状充填材は単独でまたは2種以上を併用してもよい。
かかる繊維状充填材はシランカップリング剤等で表面処理されているものが好ましい。この表面処理により、芳香族ポリカーボネート樹脂の分解が抑制されるとともに、密着性をより向上させることにより、本発明の目的である湿熱疲労性や面衝撃性をより良好なものとすることができる。
シランカップリング剤は下記式で表される化合物が好ましい。
Figure 2008050582
ここでYはアミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、ビニル基、メルカプト基、ハロゲン原子等の樹脂マトリックスと反応性または親和性を有する基である。Z、Z、Z、Zはそれぞれ独立に、単結合または炭素数1〜7のアルキレン基を表わし、そのアルキレン分子鎖中に、アミド結合、エステル結合、エーテル結合あるいはイミノ結合が介在してもよい。X、X、Xはそれぞれ独立に、アルコキシ基、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子である。
上記式で表される化合物として、具体的には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
本発明で使用するガラスフレークおよび金属フレークとしては、平均粒径が10〜1000μmのものが好ましく、かつその平均粒径を(a)、厚さを(c)とした時、(a)/(c)比が5〜500のものが好ましく、6〜450のものがより好ましく、7〜400のものがさらに好ましい。平均粒径が10μm未満もしくは(a)/(c)比が5未満であると剛性が十分でなく、平均粒径が1000μmを越えるかもしくは(a)/(c)比が500を越えると成形品の外観、およびウエルド強度が悪くなり好ましくない。ここでいうガラスフレークおよび金属フレークの平均粒径とは、標準ふるい法により求められる粒度の重量分布のメジアン径として算出されるものである。かかるガラスフレークおよび金属フレークの中でもガラスフレークが特に好ましい。
これらガラスフレークおよび金属フレークは、現在公知のエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの各種化合物により集束処理することができ、また後述するシランカップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。
また、本発明で使用するガラスフレークとして、金属コートガラスフレークを使用することもできる。ガラスフレークにコーティングする金属は、ガラスにコーティング可能な金属であればよく、例えば金、銀、ニッケル、アルミニウム等があげられる。また、コーティングする方法には特に制限がなく、任意の方法が採用される。例えば無電解メッキによる方法が好ましく、コーティングの膜厚は通常0.00001〜10μmであり、ガラスフレークの平滑面、好ましくは更に端面にも均一にコーティングする。かかる金属をコーティングしたガラスフレークは、そのまま使用できるが、更にその表面に、酸化防止剤等のために、処理剤をコーティングしてもよい本発明におけるマイカとしては、剛性確保の面から、平均粒径が1〜80μmの粉末状のものが好ましい。
マイカとは、アルミニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄等を含んだケイ酸塩鉱物の粉砕物である。マイカには白雲母、金雲母、黒雲母、人造雲母等があり、本発明のマイカとしてはいずれのマイカも使用できるが、金雲母、黒雲母は白雲母に比べてそれ自体が柔軟であり、また、金雲母、黒雲母は白雲母に比べて主成分中にFeが多く含まれているためそれ自体の色相が黒っぽくなるため、更に人造雲母は天然金雲母のOH基がFに置換されたものであるがそれ自体が高価であり実用的ではない。好ましくは白雲母である。また、マイカの製造に際しての粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法とマイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法があり、乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるがマイカを薄く細かく粉砕することが困難であるため本発明においては湿式粉砕法により製造されたマイカを使用するのが好ましい。
マイカの平均粒径としては、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10〜100μmのものを使用できる。好ましくは平均粒径が20〜50μmのものである。マイカの平均粒径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分ではなく、100μmを越えても剛性の向上が十分でなく、ウエルド強度も十分ではない。
マイカの厚みとしては、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを使用できる。好ましくは厚みが0.03〜0.3μmである。マイカの厚みが0.01μm未満のものは溶融加工の段階でマイカが割れ易くなるためそれ以上の剛性の向上が認められず、1μmを越えると剛性に対する改良効果が十分ではない。更にかかるマイカは、シランカップリング剤等で表面処理されていてもよく、更に結合剤で造粒し顆粒状とされていても良い。マイカの具体例としては、株式会社山口雲母工業所 雲母粉(マイカ粉)A−41、等があり、これらは市場で容易に入手できる。
また、本発明で使用するマイカとして、金属コートマイカを使用することもできる。マイカにコーティングする金属は、マイカにコーティング可能な金属であればよく、例えば金、銀、ニッケル、アルミニウム等があげられる。また、コーティングする方法には特に制限がなく、任意の方法が採用される。例えば無電解メッキによる方法が好ましく、コーティングの膜厚は通常0.00001〜10μmであり、マイカの平滑面、好ましくは更に端面にも均一にコーティングする。かかる金属をコーティングしたマイカは、そのまま使用できるが、更にその表面に、酸化防止剤等のために、処理剤をコーティングしてもよい。
タルクは、層状構造を持つ含水ケイ酸マグネシウムであり、化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常SiO約63重量%、MgO約32%、HO約5重量%、その他Fe、Alなどを含有しており、比重は約2.7である。本発明においては、剛性確保の面から、平均粒径が0.01〜20μmの粉末状のものが好ましい。ここでいうタルクの平均粒径とはレーザー回折法により測定された値をいう。タルクの場合には、平均粒径がこの範囲より小さくなると剛性が不十分となり、この範囲を越えると成形品の外観が悪くなり好ましくない。
カオリンは、層状構造を持つ含水ケイ酸アルミニウムであり、化学式AlSi(OH)で表される。通常、天然に算出されるカオリンは、カオリナイト、ディッカイト、ナクライトの3つのタイプがありいずれも使用できる。本発明においては、剛性確保の面から、平均粒径が0.01〜20μmの粉末状のものが好ましい。ここでいうカオリンの平均粒径とはレーザー回折法により測定された値をいう。カオリンの場合には、平均粒径がこの範囲より小さくなると剛性が不十分となり、この範囲を越えると成形品の外観が悪くなり好ましくない。
かかる板状充填材はシランカップリング剤等で表面処理されているものが好ましい。この表面処理により、芳香族ポリカーボネート樹脂の分解が抑制されるとともに、密着性をより向上させることにより、本発明の目的である湿熱疲労性やウエルド強度をより良好なものとすることができる。
ワラストナイトは、珪酸カルシウムを主成分とする繊維状無機充填材は針状結晶をもつ天然白色鉱物であり、実質的に化学式CaSiOで表わされ、通常SiOが約50重量%、CaOが約47重量%、その他Fe、Al等を含有しており、比重は約2.9である。本発明において用いるワラストナイトとしては、粒子径分布において3μm以上が75%以上、10μm以上が5%以下で且つアスペクト比L/Dが3以上、特にL/Dが8以上であるものが好ましい。粒子径分布において3μm以上が75%以上の場合、補強効果が十分であり、剛性がより高くなり易い。また10μm以上が5%以下の場合は、良好な衝撃強度を有する一方、得られる成形品の表面外観もより良好となり易い。特にアスペクト比が8以上の場合は、補強効果が十分であり、より高い剛性が得られる。但し作業環境面を考慮し、アスペクト比が50以下であるものがより好ましい。また、かかるワラストナイトには、通常の表面処理剤、例えば後述するシラン系カップリング剤や、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理を施しても差し支えない。
また、本発明で使用するガラスフレーク、マイカとして、金属コートガラスフレーク、金属コートマイカを使用することもできる。ガラスフレーク、マイカにコーティングする金属は、ガラスにコーティング可能な金属であればよく、例えば金、銀、ニッケル、アルミニウム等があげられる。また、コーティングする方法には特に制限がなく、任意の方法が採用される。例えば無電解メッキによる方法が好ましく、コーティングの膜厚は通常0.00001〜10μmであり、ガラスフレークの平滑面、好ましくは更に端面にも均一にコーティングする。かかる金属をコーティングしたガラスフレークは、そのまま使用できるが、更にその表面に、酸化防止剤等のために、処理剤をコーティングしてもよい本発明におけるマイカとしては、剛性確保の面から、平均粒径が1〜80μmの粉末状のものが好ましい。
また、マイカとして、金属コートマイカを使用することもできる。マイカにコーティングする金属は、マイカにコーティング可能な金属であればよく、例えば金、銀、ニッケル、アルミニウム等があげられる。また、コーティングする方法には特に制限がなく、任意の方法が採用される。例えば無電解メッキによる方法が好ましく、コーティングの膜厚は通常0.00001〜10μmであり、マイカの平滑面、好ましくは更に端面にも均一にコーティングする。かかる金属をコーティングしたマイカは、そのまま使用できるが、更にその表面に、酸化防止剤等のために、処理剤をコーティングしてもよい。
本発明における無機充填材の配合割合は、(A)、(B)の合計100重両部に対して、5〜100重量部、好ましくは10〜100重量部である。5重量部未満だと、組成物の剛性が不十分であり、200重量部を超えると、得られる組成物の押出が困難であり、実用的でない。
(樹脂組成物の製造)
本発明の樹脂組成物を製造するにあたっては、芳香族ポリエステル(A成分)、ポリ乳酸(B成分)および無機充填剤(C成分)を混合すればよい。混合は、溶融ブレンド、溶液ブレンドなど、均一に混合することができればあらゆる方法によってブレンドすることが可能である。特に、ニーダー、一軸式混練機、二軸式混練機、溶融反応装置などの中で溶融状態にて混練することが好ましい。
混練温度は両樹脂が溶融する温度であれば良いが、樹脂の安定性などを加味すると、230〜280℃の範囲が好ましく、230〜260℃の範囲で混練することがより好ましい。混練する際に、相溶化剤を用いることは、樹脂の均一性を向上し、混練温度が下げられるのでより好ましい。
相溶化剤としては、例えば、無機充填剤、グリシジル化合物または酸無水物をグラフトまたは共重合した高分子化合物、芳香族ポリカーボネート鎖を有するグラフトポリマー、および有機金属化合物が挙げられ、一種または2種以上で用いてもよい。
また、相溶化剤の配合量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、15〜1重量部が好ましく、より好ましくは10〜1重量部であり、1重量部未満では相溶化剤としての効果が小さく、15重量部を超えると機械特性が低下するため好ましくない
(難燃剤)
本発明の樹脂組成物は、A成分およびB成分の合計100重量部あたり、5〜80重量部の臭素系難燃剤(D成分)および0〜30重量部のアンチモン系難燃助剤(E成分)を含有することが好ましい。臭素系難燃剤(D成分)の含有量は、より好ましくは10〜40重量部である。アンチモン系難燃助剤(E成分)の含有量は、より好ましくは2〜10重量部である。
本発明の樹脂組成物は、難燃剤を含有することにより、アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL−94)の方法による難燃性試験にてV0を達成することができる。
臭素系難燃剤(D成分)は、臭素含有率が20重量%以上のものが好ましい。臭素系難燃剤(D成分)として、臭素化ビスフェノールA型ポリカーボネート難燃剤、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の末端グリシジル基の一部または全部を封鎖した変性物、臭素化ジフェニルエーテル難燃剤、臭素化イミド難燃剤、臭素化ポリスチレン難燃剤等が挙げられる。
具体例としては、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモベンゼン、1,1−スルホニル[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)]ベンゼン、ポリジブロモフェニレンオキサイド、テトラブロムビスフェノールS、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、トリブロモフェニルアリルエーテル、トリブロモネオペンチルアルコール、ブロム化ポリスチレン、ブロム化ポリエチレン、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA誘導体、テトラブロムビスフェノールA−エポキシオリゴマーまたはポリマー、テトラブロムビスフェノールA−カーボネートオリゴマーまたはポリマー、ブロム化フェノールノボラックエポキシなどのブロム化エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシジエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモシクロオクタン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ジブロモネオペンチルグリコール、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、N,N’−エチレン−ビス−テトラブロモフタルイミドなどが挙げられる。なかでも、テトラブロムビスフェノールA−エポキシオリゴマー、テトラブロムビスフェノールA−カーボネートオリゴマー、ブロム化エポキシ樹脂が好ましい。
アンチモン系難燃助剤(E成分)としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、および(NaO)・(Sb)・qHO(p=0〜1、q=0〜4)で表される五酸化アンチモンまたは一部がNa塩化されたアンチモン酸ナトリウムが挙げられる。(NaO)p・(Sb)・qHO(p=0〜1、q=0〜4)で表される五酸化アンチモンまたは一部がNa塩化されたアンチモン酸ナトリウムを用いると、金属腐食性がより好ましくなる。就中、アンチモン酸ナトリウムのエタノール溶液としたときにpH6〜pH9となるものを用いると、樹脂組成物の分解が少なく更に好ましい。アンチモン系難燃助剤(E)の粒径は、好ましくは0.02〜5μmである。また必要に応じてエポキシ化合物、シラン化合物、イソシアネート化合物、チタネート化合物等で表面処理されていてもよい。アンチモン系難燃助剤(E成分)の含有量は、全組成に対して好ましくは0〜25重量%であり、好ましくは1〜15重量%である。
(ドロッピング防止剤)
本発明の樹脂組成物は、A成分およびB成分の合計100重量部あたり、0.01〜5重量部のドロッピング防止剤を含有することが好ましい。ドロッピング防止剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。PTFEは、繊維状、粒子状など種々の形状のものを用いることができるが繊維状のものが最適である。
(エステル交換抑制剤:F成分)
本発明の樹脂組成物は、A成分およびB成分の合計100重量部に対し、エステル交換抑制剤(F成分)を0.01〜5重量部含有することが好ましい。エステル交換抑制剤(F成分)の含有量は、さらに好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.02〜0.5重量部の範囲である。
エステル交換抑制剤(F成分)は、樹脂組成物の溶融粘度安定性をたかめ、樹脂の成形時の分解、分子量低下を抑制し、樹脂成形性をたかめて、溶融成形を好適に行うことができるからである。
エステル交換抑制剤(F成分)として、リン酸2水素ナトリウム、酢酸カリウム、トリメチルホスフェート、フェニルホスホン酸などが挙げられる。またエステル交換抑制剤(F)として、前述したポリ乳酸製造触媒の触媒失活剤を好適に適用することができる。触媒失活能から、式xHO.yPで表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸およびこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタリン酸系化合物と呼ぶことがある。)、およびこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステルリンオキソ酸あるいはこれらの酸性エステル類および上記のメタリン酸系化合物、ホスホノ置換脂肪族カルボン酸誘導体が好適に使用される。なかでも環状メタリン酸ナトリウムやウルトラ領域メタリン酸ナトリウム、DHPAなどが好適に使用される。
(酸化防止剤:G成分)
本発明の樹脂組成物は、A成分およびB成分の合計100重量部に対し、酸化防止剤(G成分)を0.01〜5重量部含有することが好ましい。酸化防止剤(G成分)の含有量は、より好ましくは0.01〜2重量部、さらに好ましくは、0.02〜0.5重量部である。酸化防止剤(G成分)は、樹脂組成物の酸化安定性を向上させ、溶融成形時の着色、劣化および成形品の酸化劣化を抑制する。
酸化防止剤(G成分)として、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などを挙げることができる。
ヒンダードフェノール系化合物として、n−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス[3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ジアミン、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミドなどを挙げることができる。
好ましくは、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が例示される。
ホスファイト系化合物として、少なくとも1つのP−O結合が芳香族基に結合しているものが好ましい。具体的には、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられる。中でも、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラフェニル−4,4’−ビフェニレンホスファイトなどが好ましく使用できる。
チオエーテル系化合物としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)などが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
(その他の添加剤)
本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない範囲において、所望により公知の各種添加剤、例えば結晶核剤、離型剤、表面平滑剤、難燃剤、フィラー、UV吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、エラストマー、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネートからなる群から選ばれた添加物を含有させることができる。
結晶核剤としては、無機系結晶核剤、有機系結晶核剤が挙げられる。
無機系結晶核剤としては、珪酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、硫化カルシウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などを挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていることが好ましい。
有機系結晶核剤としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなどのリン化合物金属塩、および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどが挙げられる。
樹脂組成物の溶融時の安定性の観点より、有機系核剤よりも無機系核剤の適用が好ましく、粒子径は低いほうが好ましい。例えば、平均一次粒子径は0.2〜0.05μmの範囲にあると樹脂組成物に適度に分散するので、樹脂組成物の耐熱性は良好なものとなる。
また、無機系の核剤のなかでは、ケイ酸カルシウムを添加することが好ましい。ケイ酸カルシウムとしては、例えば、六方晶を含むものを用いることができ、添加量は樹脂組成物を基準として、0.01〜1重量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましいのは0.05〜0.5重量%の範囲である。多すぎる場合には、外観が悪くなりやすく、少なければ特段の効果を示さないので好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、離型剤を含有することが好ましい。本発明において使用する離型剤は通常の熱可塑性樹脂に用いられるものを使用することができる。
離型剤として、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、パラフィン低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸部分鹸化エステル、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸高級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコール部分エステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変性シリコーンなどを挙げることができる。これらを配合することで機械特性、成形性、耐熱性に優れたポリ乳酸樹脂組成物および成形品を得ることができる。
脂肪酸としては炭素数6〜40のものが好ましく、具体的には、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、パルミチン酸、モンタン酸およびこれらの混合物などが挙げられる。脂肪酸金属塩としては、炭素数6〜40の脂肪酸のアリカリ(土類)金属塩が好ましく、具体的にはステアリン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、などが挙げられる。オキシ脂肪酸としては1,2−オキシステリン酸、などが挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、アジピン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、モンタン酸エステル、イソステアリン酸エステルなどが挙げられる。脂肪酸部分鹸化エステルとしてはモンタン酸部分鹸化エステルなどが挙げられる。
パラフィンとしては炭素数18以上のものが好ましく、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどをあげることができ、低分子量のポリオレフィンとしては例えば分子量5000以下のものが好ましく、具体的にはポリエチレンワックス、マレイン酸変性ポリエチレンワックス、酸化タイプポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
脂肪酸アミドとしては炭素数6以上のものが好ましく、具体的にはアレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、などが挙げられる。アルキレンビス脂肪酸アミドとしては炭素数6以上のものが好ましく、具体的にはメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミドなどが挙げられる。脂肪族ケトンとしては炭素数6以上のものが好ましく、高級脂肪族ケトンなどが挙げられる。脂肪酸エステルとしては炭素数6以上のものが好ましく、エチルステアレート、ブチルステアレート、エチルベヘネート、ステアリルステアレート、ステアリルオレート、ライスワックスなどが挙げられる。
脂肪酸多価アルコールエステルとしてはグリセロールトリステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールモノステアレート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスルトールトリステアレート、ペンタエリスルトールジミリステート、ペンタエリスルトールものステアレート、ペンタエリスルトールアジペートステアレート、ソルビタンモノベヘネート、などが挙げられる。脂肪酸ポリグリコールエステルとしてはポリエチレングリコール脂肪酸エステルやポリプロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。変性シリコーンとしてはポリエーテル変性シリコーン、高級脂肪酸アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸含有シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどが挙げられる。
そのほかカルナウバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、蜜ろう、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の石油系ワックス、ひまし油およびその誘導体、脂肪酸およびその誘導体等の油脂系ワックスが挙げられる。
そのうち脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、が好ましく、脂肪酸部分鹸化エステル、アルキレンビス脂肪酸アミドがより好ましい。なかでもモンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステルワックス、ポリエチレンワックッス、酸価ポリエチレンワックス、ソルビタン脂肪酸エステル、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドが特に好適に用いられ、ハイサイクル性を向上させる効果に優れる。
特に、モンタン酸部分鹸化エステルワックス、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。本発明において離型剤は1種でも2種以上を組み合わせて用いても良い。離型剤の配合量はポリ乳酸(B成分)100重量部に対し、0.01〜3重量部が好ましく、0.03〜2重量部がさらに好ましい。
表面平滑剤としては、公知のものをいずれも用いることができるが、シリコーン系化合物、フッ素系界面活性剤、有機界面活性剤を挙げることができる。
難燃剤としては、前述した臭素系難燃剤以外の公知の下記の剤をいずれも所望により用いることができ、具体的には、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、その他の無機系難燃剤等を挙げることができる。
塩素系難燃剤の具体例としては、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、パークロロシクロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸などが挙げられる。
リン系難燃剤としては、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物や、赤リン等を挙げることができる。
安定剤として、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の各種金属せっけん系安定剤が挙げられる。またラウレート系、マレート系やメルカプト系各種有機錫系安定剤が挙げられる。またステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の各種鉛系安定剤が挙げられる。またエポキシ化植物油等のエポキシ化合物、アルキルアリルホスファイト、トリアルキルホスファイト等の前述のエステル交換抑制剤で例示した化合物を含むホスファイト化合物、ジベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸等のβ−ジケトン化合物、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール等のポリオール、ハイドロタルサイト類、ゼオライト類が挙げられる。またベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
可塑剤として、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。
ポリエステル系可塑剤としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネートなどを挙げることができる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシルなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸エステルなどが挙げられる。また、ビス(メチルジグリコール)サクシネート、メチルジグリコールブチルジグリコールサクシネート、プロピルジグリコールブチルジグリコールサクシネート、メチルジグリコールブチルジグリコールサクシネート、ベンジルメチルジグリコールサクシネート、ベンジルブチルジグリコールサクシネート、メチルジグリコールブチルジグリコールアジペート、ベンジルメチルジグリコールアジペート、ベンジルブチルジグリコールアジペート、メトキシカルボニルメチルジブチルサイトレート、エトキシカルボニルメチルジブチルサイトレート、ブトキシカルボニルメチルジブチルサイトレート、ジメトキシカルボニルメチルモノブチルサイトレート、ジエトキシカルボニルメチルモノブチルサイトレート、ジブトキシカルボニルメチルモノブチルサイトレートを挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシルおよびリン酸トリクレシル等を挙げることができる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロックおよび/またはランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、および末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などを挙げることができる。
エポキシ系可塑剤としては、エポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどがあるが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするようなエポキシ樹脂も使用することができる。
その他、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイル、およびパラフィン類などを挙げることができる。
帯電防止剤としては、公知のものをいずれも用いることができるが、アニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤、両性系帯電防止剤等の低分子型帯電防止剤および高分子型帯電防止剤等が挙げられる。
好適なアニオン系帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルキルホスフェートを挙げることができる。アルキル基としては、炭素数が4〜20の直鎖状のアルキル基が好ましく用いられる。
好適なカチオン系帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸ホスホニウム、アルキルベンゼンスルホン酸ホスホニウムおよび4級アンモニウム塩化合物を挙げることができる。アルキル基としては、炭素数が4〜20の直鎖状のアルキル基が好ましく用いられる。
好適な非イオン系帯電防止剤としては、ポリオキシエチレン誘導体、多価アルコール誘導体およびアルキルエタノールアミンを挙げることができる。ポリオキシエチレン誘導体として、例えばポリエチレングリコールは、数平均分子量が500〜100000のものが好ましく用いられる。
好適な両性系帯電防止剤としては、アルキルベタインおよびスルホベタイン誘導体を挙げることができる。
好適な高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリアルキレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシドーエピクロルヒドリン共重合体およびポリエーテルエステルを挙げることができる。これらの帯電防止剤は併用してもよい。
エラストマーとしては、公知のものをいずれも用いることができるが、ポリエステルエラストマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、各種アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、ジエンゴム(例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えばスチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエンまたはイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴムなどが挙げられる。
ゴム強化スチレン系樹脂としては、公知のものをいずれも用いることができるが、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)およびAES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などを挙げることができる。
これらの添加物は、付与しようとする特性に応じて単独であるいは複数種を組み合わせて用いることができ、例えば、安定剤、離型剤およびフィラーを組み合わせて添加することができる。
以下に、樹脂組成物に付与する特性と剤の組み合わせの一般的処方について記載する。
(1)ハイサイクル性:
ハイサイクル性とは、射出成形サイクルの短さを意味する。ハイサイクル性を向上させるにあたっては、例えば、結晶核剤、安定剤、タルク、離型剤を組み合わせて用いればよい。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は、0.05〜5.0重量%、タルクの添加割合は1〜10重量%で使用されるのが一般的である。
(2)靱性・耐低温衝撃性:
靭性は、粘り強さを意味し、破壊に対する抵抗の指標で、一般にシャルピー衝撃試験により評価されるものである。靭性および耐低温衝撃性を向上させるにあたっては、離型剤、安定剤およびエラストマーを組み合わせて用いるか、あるいは、離型剤、安定剤、エラストマーおよびポリカーボネートを組み合わせて用いればよい。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は、0.05〜5.0重量%、ポリエステルエラストマーの添加割合は1〜10重量%、ポリカーボネートの添加割合は1〜10重量%で使用されるのが一般的である。靭性・耐低温衝撃性を有するポリ乳酸樹脂組成物は、特に自動車部品のハーネスコネクタ、バンパー部品に好適に用いることができる。
(3)難燃性:
難燃性を向上させるにあたっては難燃剤を添加するだけでもよいが、離型剤、安定剤、難燃剤およびフィラーを組み合わせて用いることが好ましい。難燃剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜5.0重量%、離型剤の添加割合は、0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は0.05〜5.0重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%で使用されるのが一般的である。
(4)低そり性:
低そり性を向上させるにあたっては、離型剤、安定剤、フレークおよびフィラーを組み合わせて用いるか、あるいは、離型剤、安定剤、フィラーおよびポリカーボネートを組み合わせて用いればよい。また、離型剤、安定剤、フィラーおよびポリカーボネートに更に、ポリエチレンテレフタレートを添加物として加えてもよい。更に、離型剤、安定剤、フィラーおよびゴム強化スチレン系樹脂を組み合わせて用いてもよい。
離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は、0.05〜5.0重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%、ポリカーボネートの添加割合は1〜10重量%、ポリエチレンテレフタレートの添加割合は1〜10重量%、ゴム強化スチレン系樹脂の添加割合は1〜10重量%で使用されるのが一般的である。低そり性が良好な樹脂組成物は、家電用途に好適に用いることができる。
(5)表面外観性:
表面外観性は、樹脂組成物を成形したときの表面平滑性と光沢性とからなり、一般的に、触感および目視により判断されるものである。表面外観性を向上させるにあたっては、離型剤、安定剤、フィラーおよびポリエチレンテレフタレートを組み合わせて用いればよい。また離型剤、安定剤、フィラーおよびポリエチレンテレフタレートに更に、ポリカーボネートを添加物として加えてもよい。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0wt、安定剤の添加割合は、0.05〜5.0重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%、ポリカーボネートの添加割合は1〜10重量%、ポリエチレンテレフタレートの添加割合は1〜10重量%で使用されるのが一般的である。表面外観性が高い樹脂組成物は、家電用途に好適に用いることができる。
(6)耐加水分解性:
耐加水分解性を向上させるには、耐湿熱性改善剤を添加するだけでもよいが、離型剤、安定剤、フィラーおよび耐質熱性改善剤を組み合わせて用いることが好ましい。更に、樹脂成分のカルボキシル末端基濃度、芳香族ポリエステルのカルボキシル末端基濃度を低下させておくことが好ましく、カルボキシル末端基濃度は例えば、固相重合反応等により低下させることができる。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は、0.05〜5.0重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%、耐質熱性改善剤の添加割合は0.05〜5.0重量%で使用されるのが一般的である。耐加水分解が高い樹脂組成物は、自動車部品用途に好適に用いることができる。
(7)耐ヒートショック性:
ヒートショック性は、低温保持(−40℃前後30分間程度)と高温保持(100℃前後30分間程度)とを交互に繰り返した場合の樹脂の耐久性の度合いを意味するものである。耐ヒートショック性を向上するにあたっては、離型剤、安定剤、フィラー、エラストマーおよび耐質熱性改善剤を組み合わせて用いることが好ましい。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は、0.05〜5.0重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%、エラストマーの添加割合は、1〜10重量%、耐質熱性改善剤の添加割合は0.05〜5.0重量%で使用されるのが一般的である。耐ヒートショック性の良好な樹脂組成物は、自動車部品用途に好適に用いることができる。
(8)耐トラッキング性:
耐トラッキング性とは、材料に永久的な炭化導電路を生じさせる電圧の程度を評価するものであって、高いほど好ましいものである。耐トラッキング性を向上させるにあたっては、離型剤、安定剤、難燃剤、タルクおよびフィラーを組み合わせて用いることが好ましい。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0wt、安定剤の添加割合は0.05〜5.0重量%、難燃剤の添加割合は0.05〜5.0重量%、タルクの添加割合は1〜10重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%で使用されるのが一般的である。耐トラッキング性の良好な樹脂組成物は、電気部品、特にリレー、スイッチ等に好適に用いることができる。
(9)耐光性:
耐光性を向上させるにあたっては、安定剤を添加するだけでもよいが、離型剤、安定剤、フィラーおよび難燃剤を組み合わせて用いることが好ましい。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は、0.05〜5.0重量%、難燃剤の添加割合は、0.05〜5.0重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%で使用されるのが一般的である。耐光性の良好な樹脂組成物は、照明部品等に好適に用いることができる。
(10)静音性:
静音性とは、騒音源を有する構造材料やハウジング類またはリレー部品等の電気電子部品、モーターケース等に使用した場合の、静音性、振動減衰特性を意味する。静音性を向上させるにあたっては、離型剤、安定剤、エラストマー、タルクおよびフィラーを組み合わせて用いることが好ましい。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は0.05〜5.0重量%、エラストマーの添加割合は、1〜10重量%、タルクの添加割合は、1〜10重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%で使用されるのが一般的である。静音性の良好な樹脂組成物は、上記の通りに騒音源を有する構造材料やハウジング類またはリレー部品等の電気電子部品、モーターケース等に好適に用いることができる。
(11)低ガス性
低ガス性とは、樹脂組成物を高温または長期間使用した際のガス発生量が少なく且つ溶融加工時の昇華物量の少ないことを意味し、シリコンウエハーキャリアの成形などに好適に使用することができる。低ガス性を向上させるにあたっては、離型剤、安定剤、難燃剤およびフィラーを組み合わせて用いればよく、更に、エステル交換反応抑制剤の添加と樹脂成分のカルボキシル基量の低減が好ましい。なお、エステル交換反応抑制剤としては、PBT樹脂にたいしてはリン酸2水素ナトリウム、酢酸カリウム、トリメチルホスフェート、フェニルホスホン酸などが公知であるが本発明においては前述のポリ乳酸重合触媒の失活剤が好適に使用される。離型剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.05〜3.0重量%、安定剤の添加割合は0.05〜5.0重量%、難燃剤の添加割合は0.05〜5.0重量%、フィラーの添加割合は1〜10重量%、エステル交換反応抑制剤の添加割合は0.01〜5.0重量%で使用されるのが一般的である。低ガス性の良好なポリ乳酸樹脂組成物は、電気部品、特にリレー等に好適に用いることができる。
(12)制電性:
制電性を向上させるに当たっては、帯電防止剤を添加すればよい。帯電防止剤の添加割合は、樹脂組成物を基準として0.1〜10重量%であればよい。制電性の良好なポリ乳酸樹脂組成物は、例えば、半導体製造時に用いられるウェハーキャリアー用途として好適に用いることができる。
(樹脂組成物の物性)
樹脂組成物のステレオ化度(S)は、80%以上であることが好ましい。但し、ステレオ化度(S)は下記式(1)
S(%)=(ΔHms/ΔHms0)/(ΔHmh/ΔHmh0+ΔHms/ΔHms0) (1)
(式中、ΔHms0=203.4J/g、ΔHmh0=142J/g、ΔHms=ステレオコンプレックス融点の融解エンタルピー、ΔHmh=ホモ結晶の融解エンタルピーである。)
で表される。
樹脂組成物のステレオ結晶化比率(Cr)は50%以上であることが好ましい。但し、ステレオ結晶化比率(Cr)は、下記式(2)
Cr(%)=ΣISCi/(ΣISCi+IHM)×100 (2)
(式中、ΣISCiおよびIHMは、XRD測定における回折ピークの強度であり、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3はステレオコンプレックス結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和で、ISCi(i=1〜3)はそれぞれ2θ=12.0°、20.7°、24.0°付近の各回折ピークの積分強度であり、IHMはホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度である。)で表される。
樹脂組成物は、ステレオ化度(S)が95%以上、かつステレオ結晶化比率(Cr)が50%以上であることが好ましい。
樹脂組成物は、カルボキシル基濃度が30eq/ton以下であることが好ましい。樹脂組成物のカルボキシル基濃度が30eq/ton以下であることにより、樹脂、難燃剤、難燃助剤の分解が抑制され、成形加工時の分解発生物により、金型が腐食、汚染し、成形品寸法精度や加工効率が悪化したり、成形品使用時に、接触または近在する金属が腐食または汚染され部品の機能が害される難点を抑制することができる。
樹脂組成物は、ラクチド含有量が0〜600重量ppmであるであることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、電子部品成形、家電製品成形に用いることができる。
(成形品)
本発明の樹脂組成物は、成形して種々の成形品にすることができる。成形の方法としては溶融した後に成形する方法や、圧縮して溶着する方法など通常知られている溶融成形樹脂の成形法をとることができるが、例えば射出成形、押出成形、ブロー成形、発泡成形、プレス成形などを好適に用いることができる。成形品の用途として電子部品、家電製品が挙げられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものでは無い。
1.樹脂
PBTとして、ウインテックポリマー株式会社製「ジュラネックス2002」を使用した。
2.ポリ乳酸の物性は以下の方法により測定した。
(1)融点(Tm)、ガラス転移点(Tg)
本発明において、融点(Tm)ならびにガラス転移温度(Tg)はDSC(TAインストルメント社製 TA−2920)を用いて、20℃/分にて昇温した場合の融解ピーク、熱容量の変曲点を測定した。
(2)重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量(Mw)はWaters社製GPC装置 AllienceにShodexカラム GPC−804Lを装着して使用し、試料50mgを5mlのクロロホルムおよびHFIPの混合溶媒に溶解させ、40℃のクロロホルムにて展開して測定した。重量平均分子量(Mw)、はポリスチレン換算値として算出した。
(3)ラクチド含有量
ラクチド含有量はWaters社製GPC装置 AllienceにShodexカラム GPC−804Lを装着して使用し、試料50mgを5mlのクロロホルムおよびHFIPの混合溶媒に溶解させ、40℃のクロロホルムにて展開して測定し、得られたクロマトグラムのポリマー成分の面積とラクチド成分の面積の和に対するラクチド成分の面積の比として百分率を求めた。
(4)カルボキシル末端基濃度
試料を精製o−クレゾールに溶解、窒素気流下溶解、ブロモクレゾールブルーを指示薬とし、0.05規定水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定した。
(5)ステレオ化度(S)
ステレオ化度(S)は、DSC(TAインストルメント社製 TA−2920)を用いて融解エンタルピーを測定し、そのエンタルピーから下記式(1)に従って求めた。
S(%)=(ΔHms/ΔHms0)/(ΔHmh/ΔHmh0+ΔHms/ΔHms0) (1)
(但し、ΔHms=203.4J/g、ΔHmh=142J/g、ΔHms=ステレオコンプレックス融点の融解エンタルピー、ΔHmh=ホモ結晶の融解エンタルピー)
(6)ステレオ結晶化比率(Cr)
ステレオコンプレックス結晶化比率(Cr)は、理化学電気社製ROTA FLEX RU200B型X線回折装置にて、赤道方向の回折強度プロファイルを求め、2θ=12.0°、20.7°、24.0°付近に現れるステレオコンプレックス結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣISCiと2θ=16.5°付近に現れるホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度IHMから下記式(2)に従い求めた。
測定条件
X線源 Cu−Kα線(コンフォーカル ミラー)
出力 45kV×70mA
スリット 1mmΦ−0.8mmΦ
カメラ長 120mm
積算時間 10分
Cr(%)=ΣISCi/(ΣISCi+IHM)×100 (2)
(ここで、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3、ISCi(i=1〜3)はそれぞれ2θ=12.0°、20.7°、24.0°付近の各回折ピークの積分強度である。)
3.樹脂組成物、成形品の物性は以下の方法により測定した。
(1)ステレオ化度(S)
ポリ乳酸と同じ方法で測定した。
(2)ステレオ結晶化比率(Cr)
ポリ乳酸と同じ方法で測定した。
(3)ラクチド含有量
ポリ乳酸と同じ方法で測定した。
(4)成形品の耐薬品性
成形品を、トルエン、ジクロロメタン、THF,アセトン、エタノール、20%硫酸、10%NaOHに浸し25℃で1日保持した後、その外観、重量変化を調べ、以下の基準で評価した。重量変化率は、取り出した成形品から薬品を軽くふき取って除いた後、初期重量との差を測定した。
○:重量変化率の絶対値が10%以内であり、外観に変化が無いもの
△:重量変化率の絶対値が10%以内であり、外観に変化があるもの
×:重量変化率の絶対値が10%を超え、外観も大きく変化したもの
(4)カルボキシル基濃度:
試料をベンジルアルコールに溶解し、フェノールフタレーンを指示薬として、0.01規定NaOHベンジルアルコールで滴定した。
(5)荷重たわみ温度
荷重撓み温度はASTM−648に準拠し測定した。
(6)曲強度、曲げ弾性率
曲強度、曲げ弾性率はASTM−790に準拠し測定した。
(7)表面外観性
表面外観性は、JISK7105に従い60度鏡面光沢度により測定した。光沢度が90%に満たないものは不合格、90%以上のものを合格と判定した。平滑性は手でふれた感覚で(PBT/ガラス)成形品に比較して良化していると判断されるものを合格、良化が見られないものを不合格と判定した。
(8)難燃性
アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL−94)の方法により、5本の試験片(厚み0.8mm)を用いて測定した。
[製造例1および2](ポリL−乳酸の製造:PLLA1,2)
Lラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応した。その後、13.3kPaで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸を得た。得られたポリL−乳酸の物性を表1に示す。
[製造例3および4](ポリD−乳酸の製造:PDLA1,2)
Dラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応した。その後、13.3kPaで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリD−乳酸を得た。得られたポリD−乳酸の物性を表1に示す。
Figure 2008050582
[製造例5−1〜5−4]
製造例1および2で得られたポリL−乳酸、製造例3および4で得られたポリD−乳酸と、以下のリン酸金属塩、カルボジイミド、結晶核剤とを表2中に示す組成で混練し樹脂組成物を得た。
NA−11:リン酸金属塩(株式会社ADEKA(旧:旭電化工業株式会社)製アデカスタブNA−11)
NA−71:リン酸金属塩(株式会社ADEKA(旧:旭電化工業株式会社)製アデカスタブNA−71)
LA−1:カルボジイミド(日清紡(株)製カルボジライトLA−1)
J1:結晶核剤(珪酸カルシウム)
J2:結晶核剤(タルク)
結晶核剤を添加する場合は、2軸混練機の第一供給口より供給した。カルボジイミドを添加する場合は、2軸混練機の第二供給口より供給した。シリンダー温度は、230℃とし溶融混練し、水槽中にストランドを押出して、チップカッターにてチップ化して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の名称、重量平均分子量(Mw)、ラクチド含有量、カルボキシル基濃度、ステレオ化度(S)、ステレオ結晶化比率(Cr)、融点(Tm)をまとめて表2に示す。
Figure 2008050582
Figure 2008050582
[実施例1〜6]
製造例5のステレオコンプレックスポリ乳酸(B成分)とPBT(ウインテックポリマー株式会社製「ジュラネックス2002」)(A成分)を表3中記載の量比にて混合し120℃、5時間乾乾燥した。その後、無機充填剤(C成分)、エステル交換抑制剤(F成分)、酸化防止剤(G成分)を表3中記載の量比にて配合し、二軸混練機を使い、シリンダー温度、250℃、送り速度2Kg/hrにて混練し樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のステレオ化度(S)、ステレオ結晶化比率(Cr)の測定結果を表3に示す。
得られた樹脂組成物を、金型温度110℃、型締め時間2分にて射出成形し成形品を得た。成形品は白色で良好な形状を有していた。成形品の表面外観性、荷重たわみ温度、曲げ弾性率の測定結果を表3に示す。表3から明らかなように、本発明の成形品は、表面外観性に優れ、荷重たわみ温度、曲げ弾性率は、樹脂成分がPBTのみの成形品と同程度である。
[比較例1〜2]
実施例1においてポリ乳酸を表3中記載の種類、量に変更してPBT(ウインテックポリマー株式会社製「ジュラネックス2002」)(A成分)を表3中記載の量比にて混合し120℃、5時間乾乾燥した。その後、ガラス繊維(C成分)、エステル交換抑制剤(F成分)、酸化防止剤(G成分)を表3中記載の量比にて配合し、二軸混練機を使い、シリンダー温度、250℃、送り速度2Kg/hrにて混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のステレオ化度(S)、ステレオ結晶化比率(Cr)の測定結果を表3に示す。
得られた樹脂組成物を、金型温度110℃、型締め時間4分(ただしPBT単独の場合は2分)にて射出成形し、得られた成形品は光沢が90%以下であり表面性不合格と判定した。表3から明らかなように本発明の樹脂組成物は、高い剛性と耐熱性を有する。
Figure 2008050582
表3中の略号は以下の通りである。
C1:ガラス繊維(13μm径、5mmチョップドストランド:日本電気硝子(株)製)
F1:ラサ晃栄(株)製 酸性メタリン酸ナトリウム
F2:DHPA
G1:n−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート
G2:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
[実施例7〜12]
製造例ステレオコンプレックスポリ乳酸(B成分)とPBT(ウインテックポリマー株式会社製「ジュラネックス2002」)(A成分)を表4中記載の量比にて混合し120℃、5時間乾乾燥した。その後、無機充填剤(C成分)、臭素系難燃剤(D成分)、アンチモン系難燃助剤(E成分)、エステル交換抑制剤(F成分)、酸化防止剤(G成分)、結晶核剤(J1:珪酸カルシウム、J2:タルク)およびドロッピング防止剤として繊維状PTFEを表4中記載の量比にて配合し、二軸混練機を使い、シリンダー温度、250℃、送り速度2Kg/hrにて混練し樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のステレオ化度(S)、ステレオ結晶化比率(Cr)を表4に示す。
得られた樹脂組成物を、金型温度110℃、型締め時間2分にて射出成形し成形品を得た。得られたは白色で良好な形状を有していた。成形品の難燃性、表面外観性、荷重たわみ温度、曲げ弾性率の評価結果を表4に示す。
[比較例3〜4]
実施例1においてポリ乳酸を表4中記載の種類、量に変更してPBT樹脂(ウインテックポリマー株式会社製「ジュラネックス2002」)(A成分)を表4中記載の量比にて混合し120℃、5時間乾乾燥した。その後、無機充填剤、臭素系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、エステル交換抑制剤、酸化防止剤およびドロッピング防止剤として繊維状PTFEを表4中記載の量比にて配合し、二軸混練機を使い、シリンダー温度、250℃、送り速度2Kg/hrにて混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のステレオ化度(S)およびステレオ結晶化比率(Cr)の測定結果を表4に示す。
得られた樹脂組成物を、金型温度110℃、型締め時間4分(ただしPBT単独の場合2分)にて射出成形し成形品を得た。
成形品の難燃性、表面外観性、荷重たわみ温度、曲げ弾性率の評価結果を表4に示す。表4に示すとおり、成形品は表面外観性が不合格であった。
Figure 2008050582
表4中の略号は以下の通りである。
(注)A成分とB成分の合計100重量部あたりの重量部
C1:ガラス繊維(13μm径、5mmチョップドストランド:日本電気硝子(株)製)
D1:(帝人化成(株)製ファイヤーガード7500 重合度n=約5
E1:三酸化アンチモン(PATOX−M:日本精鉱(株)製)
F1:ラサ晃栄(株)製 酸性メタリン酸ナトリウム
F2:DHPA
G1:n−オクタデシル −(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート
G2:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
J1:珪酸カルシウム
J2:タルク
PTFE:繊維状PTFE
実施例4〜8で得られた成形品の耐薬品性を表5に示す。
Figure 2008050582
Figure 2008050582
本発明の樹脂組成物は、電子部品、家電製品の成形に利用することができる。

Claims (15)

  1. ブチレンテレフタレート骨格を主たる構成単位とする芳香族ポリエステル(A成分)、融点が190℃以上のポリ乳酸(B成分)および無機充填剤(C成分)を含有する樹脂組成物。
  2. A成分およびB成分の合計100重量部に対し、A成分を5〜95重量部含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  3. A成分およびB成分の合計100重量部に対し、C成分を5〜100重量部含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  4. C成分がガラス繊維である請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. A成分およびB成分の合計100重量部に対し、5〜80重量部の臭素系難燃剤(D成分)および0〜30重量部のアンチモン系難燃助剤(E成分)を含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  6. A成分およびB成分の合計100重量部に対し、エステル交換抑制剤(F成分)を0.01〜5重量部含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  7. A成分およびB成分の合計100重量部に対し、酸化防止剤(G成分)を0.01〜5重量部含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  8. A成分およびB成分の合計100重量部に対し、カルボジイミド化合物(H成分)を0.001〜5重量部含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  9. ステレオ化度(S)が80%以上である請求項1記載の樹脂組成物。
    {但し、ステレオ化度(S)は下記式(1)
    S(%)=(ΔHms/ΔHms0)/(ΔHmh/ΔHmh0+ΔHms/ΔHms0) (1)
    (式中、ΔHms0=203.4J/g、ΔHmh0=142J/g、ΔHms=ステレオコンプレックス融点の融解エンタルピー、ΔHmh=ホモ結晶の融解エンタルピーである。)で表される。}
  10. ステレオ結晶化比率(Cr)が50%以上である請求項1記載の樹脂組成物。
    {但し、ステレオ結晶化比率(Cr)は、下記式(2)
    Cr(%)=ΣISCi/(ΣISCi+IHM)×100 (2)
    (式中、ΣISCiおよびIHMは、XRD測定における回折ピークの強度であり、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3はステレオコンプレックス結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和で、ISCi(i=1〜3)はそれぞれ2θ=12.0°、20.7°、24.0°付近の各回折ピークの積分強度であり、IHMはホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度である。)で表される。}
  11. ステレオ化度(S)が95%以上、かつステレオ結晶化比率(Cr)が50%以上の請求項1記載の樹脂組成物。
  12. カルボキシル基濃度が30eq/ton以下の請求項1記載の樹脂組成物。
  13. ラクチド含有量が0〜600重量ppmである請求項1記載の樹脂組成物。
  14. 電子部品成形用または家電製品成形用の請求項1記載の樹脂組成物。
  15. 請求項1記載の樹脂組成物よりなる電子部品用または家電製品用の成形品。
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