JP4328529B2 - 高い酸素貯蔵能力を有する触媒支持体材料およびこれの製造方法 - Google Patents

高い酸素貯蔵能力を有する触媒支持体材料およびこれの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は酸化セリウムと酸化ジルコニウムの混合酸化物が基になっていて高い酸素貯蔵能力(oxygen storage capacity)を有する新規な組成物に関する。本発明は、また、前記混合酸化物組成物を製造する新規な方法、そして前記混合酸化物組成物を触媒および/または触媒支持体として特に内燃機関から出る排気ガスの浄化および/または変換で用いる方法にも関する。
酸化セリウムは良好な酸素貯蔵能力を有することから、内燃機関から放出される排気ガスを浄化する目的で触媒の助触媒として幅広く用いられている。酸化セリウムは典型的にこれの酸素貯蔵能力(OSC)が向上するように通常は比較的高い比表面積を有する小さい粒子として用いられる。しかしながら、不幸なことには、酸化セリウムは高温条件下で焼結を起こして表面積の損失が生じることで酸素貯蔵成分としての効力を失う傾向がある。
より最近になって、酸化セリウムが基になった触媒がより高い温度で起こす不活性化に対して熱的に安定にする必要が生じたことから、酸化セリウムに幅広い範囲の金属酸化物をドーパントとして添加する(doping)ことに興味の焦点が当てられるようになってきた。この目的で、酸化セリウムが起こす焼結過程の速度を遅くしかつ高い表面積を有する材料を生じさせる目的でそれに酸化ジルコニウムまたは他の希土類元素の酸化物を混合することを提案している従来技術の文献が数多く存在していた。例えば、酸化セリウムと酸化ジルコニウムの混合物を製造する方法が特許文献1に開示されており、そこでは、三価セリウムの塩とジルコニウム塩が入っている溶液に塩基による共沈を過酸化水素の存在下で受けさせている。そのような方法を用いると高い比表面積と優れた耐熱性を示すセリウムとジルコニウムの混合酸化物が生じる。
また、酸化セリウムと酸化ジルコニウムの純粋な高表面積固溶体を自動車用触媒コンバーターに入れた時にそれが有効な酸素貯蔵成分になることが求められていることも提案された。高い表面積を有するいろいろな酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物が報告された。
例えば、熱安定性を示しかつ少なくとも80m/gの非常に高い比表面積を有する混合酸化物である酸化セリウム/酸化ジルコニウムが特許文献2に開示されている。この混合酸化物を熱加水分解で得ており、それは純粋な単相CeO立方晶癖(cubic crystalline habit)を示し、ジルコニウムがその酸化セリウムの晶癖の中に組み込まれている。
また、安定な高い比表面積を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物粒子も特許文献3に開示されている。その混合酸化物は、ジルコニウムのゾルとセリウムのゾルを密に混合し、塩基を用いてその混合物に沈澱を起こさせることで沈澱物を回収した後、その回収した沈澱物に焼成を受けさせることで得た混合酸化物である。焼成を1,000℃で受けさせた生成物が示した測定酸素貯蔵能力は2.8ml CO/g CeO(1グラムのCeO当たり62.5ミクロモルのO)のみであると報告された。
酸化セリウムが基になった触媒が厳しいさらなる排出基準に合致するようにするには、それが1,000℃を超える温度にさらされた時でも高いOSCを示すようにする必要がある。セリウムが基になった触媒がそのような高い温度にさらされると典型的に表面積の損失が起こることから、セリウムが基になっていて表面積から独立して高いOSCを示す材料を開発する必要がある。
更に、近年エンジン制御技術が進展して来たことから、より新しいエンジンでは空気:燃料比が更に厳格に制御され、その結果として、触媒の所で酸素の分圧が急激に変化する。そのようなエンジンで用いるに有用な触媒は、従来の公知触媒よりも高い酸素貯蔵能力を有することが要求されるばかりでなくまたそのような酸素分圧の変動に応答して高い酸素放出速度を示すことも要求される。その結果として、自動車産業では、高い温度条件下で高い酸素貯蔵能力と向上した酸素放出速度の両方を示す触媒/触媒支持体材料の必要性が存在している。
日本特許出願55,15/1992 米国特許第5,693,299号 米国特許第5,607,892号
セリウムとジルコニウムの混合酸化物が基になっていて非常に高い酸素貯蔵能力と放出能力を有する新規な組成物を開発した。本発明に従う混合酸化セリウム/酸化ジルコニウムは、ドメイン結晶基礎構造(domain crystalline substructure)をユニークに制御したことが基になって、名目上立方晶の多相晶癖(nominally cubic,polyphasic crystalline habit)を示す。本発明に従う混合酸化物組成物は、予想外に、表面積から独立して高い酸素貯蔵能力を有する。
本発明に従う混合酸化物組成物は酸化セリウムと酸化ジルコニウムが基になった多結晶性(polycrystalline)粒子を構成している。その多結晶性粒子を構成している結晶子は不完全結晶のレベル(subcrystalline level)でいろいろなセリウム:ジルコニウム原子比を有する領域、即ち「ドメイン)」を含有する。本発明に従い、単一結晶子内の隣接ドメインがセリウム:ジルコニウム原子比の点で充分に異なる時に向上した酸素貯蔵および酸素放出を助長するユニークな結晶基礎構造(crystalline sub−structure)が存在することを見いだした。
如何なる特別な理論にも範囲を限定することを望むものでないが、隣接するドメインとドメインの間の組成が異なることが理由で隣接するドメインがいろいろな格子パラメーターを示すと理論付けする。そのように格子パラメーターに差があると結果としてドメイン境界の所に局所的な歪みが生じると考えている。そのように隣接するドメインの境界に沿って局在する歪みによって内部通路網が結晶子全体に渡って生じると仮定する。そのような通路が存在するとバルク(bulk)な結晶格子の中に酸素が迅速に吸収されかつ放出されることでこの粒子の外側表面積から独立して酸素貯蔵および放出能力が向上すると考えている。
従って、本発明の主要な利点は、従来の酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物に比べて向上した酸素貯蔵能力および酸素放出速度を助長する特定のドメイン結晶基礎構造を有する新規な酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物を提供する点にある。
本発明の別の利点は、表面積から独立して高い酸素貯蔵能力を示す新規な酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物を提供する点にある。
本発明の利点は、また、従来技術で今までに教示されたように酸化セリウムが酸化ジルコニウムに溶解しているか或は酸化ジルコニウムが酸化セリウムに溶解している純粋に単相の立方晶(pure mono−phasic cubic)固溶体を必要としないで高い酸素貯蔵能力を示す酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物を提供する点にある。
本発明の更に別の利点は、排出ガス浄化用触媒/触媒支持体として非常に有効な新規なセリウムとジルコニウムの混合酸化物を提供する点にある。
本発明の更に別の利点は、そのような新規な酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物を製造する方法および使用する方法を提供する点にある。説明の詳細、実施例および請求の範囲から本発明の他の利点および目的が理解されるであろう。
ここに、本発明を本明細書の以下に詳細に説明する。
用語「酸素貯蔵能力」(OSC)を本明細書では通常の熱重量分析(TGA)を用いた重量損失測定で測定してサンプルが貯蔵する酸素の量を示す目的で用いる。そのサンプルを1分当たり120ccの流量で流れる500℃の空気の中にそれが完全に酸化されるように60分間保持する。その後直ちに、空気の流れを温度および流量が同じ窒素にHが10%入っている混合物に置き換えて等温に更に60分間保持する。酸化条件から還元条件に移行させた時の重量損失を測定することで酸素貯蔵能力を決定する。OSCの特徴付けで用いた単位はサンプル1グラム当たりのOのミクロモルである。
用語「酸素放出速度」を本明細書ではTGAで測定した時に酸素がCe/Zr粒子を出る時の速度を示す目的で用いる。そのサンプルを1分当たり120ccの流量で流れる500℃の空気の中にそれが完全に酸化されるように60分間保持する。その後直ちに、空気の流れを温度および流量が同じ窒素にHが10%入っている混合物に置き換えて等温に更に60分間保持する。時間に対する重量損失の曲線の一次導関数(first derivative)から酸素放出速度を計算した後、それに粒子の表面積による正規化を受けさせる。酸素放出速度の特徴付けで用いた単位はmg・O/m・分である。
用語「多結晶性粒子」を本明細書では通常のX線回折で測定した時に3種類以上の結晶子で構成されている粒子を示す目的で用いる。
用語「結晶子」を本明細書では通常のX線回折を用いて線の広がり(line broadening)で測定した時に同じ結晶学的配向および構造を有する領域(1つの粒子内の)を示す目的で用いる。
用語「ドメイン」を本明細書では小角X線散乱(SAXS)で測定した時に均一または実質的に均一な組成を有する領域または体積(単一結晶子内の)を示す目的で用いる。本発明に従い、あるドメインのCe:Zr比がその結晶子を構成する隣接するドメインのそれとは異なるように制御する。
用語「不完全結晶構造」を本明細書では2つ以上のドメインで構成されている領域(単一結晶子内の)を示す目的で用いる。
用語「多相」を本明細書では結晶相を2相以上含有する材料を示す目的で用いる。この相は2種以上の結晶構造、例えば立方晶と正方晶で構成されているか或は格子パラメーターは異なるが同じ構造で構成されている可能性がある。
用語「不均一」を本明細書では異なるCe:Zr原子比を有する隣接するドメイン(単一結晶子内の)を示す目的で用いる。
用語「表面積」を本明細書では標準的BET分析で測定した時の粒子の表面積を示す目的で用いる。
用語「老化」を本明細書ではサンプルが有する特性の変化を加速させる目的でサンプルを加熱することを示す。
用語「正規化散乱強度I(Q)」を本明細書では小角X線散乱(SAXS)測定で測定した時の散乱強度を中心がほぼQ=2.06Å−1の1番目の回折ピークの下の積分強度が1に等しくなるような定数で割った値を示す目的で用いる。
本発明に従う混合酸化物組成物は多相結晶構造を有していて多結晶粒子で構成されている。各粒子は酸化セリウム成分と酸化ジルコニウム成分を有していて多数の結晶子で構成されている。1つの粒子内の各結晶子は不完全結晶構造で構成されていて、前記不完全結晶構造は、隣接するドメインのCe:Zr原子比が異なる多数のドメインを含んで成り、ここでは、前記Ce:Zr原子比を、小角X線散乱(SAXS)で測定した時の互いに関する不均一さの特定度合で特徴付ける。SAXS測定を多数粒子サンプル(multi−particle sample)に関して実施しそしてその集めたデータは当該サンプルの粒子の不完全結晶レベルにおいてドメインとドメインの間の不均一さの程度の平均分散を表していることは理解されるであろう。従って、SAXSデータから個々の粒子は平均でこの上に記述した構造を有するであろうと推測する。
本発明に従い、新しく調製した材料に含まれるドメインの平均的大きさは約10から約50Å、好適には約10から約30Åである。それに老化を1000℃で5時間受けさせた後のドメインの平均サイズは約10から50Åであろう。
そのようなドメインは酸化セリウムと酸化ジルコニウムで出来ていて約40から約200Å、好適には約50から120Åの平均結晶子サイズを有する結晶子内に分布しており、これは、それに焼成を900℃で4時間受けさせた後、X線回折を用い、28−30°2θの所のピークを用いることで容易に測定可能である。その結晶子は、逆に、平均粒子サイズが約0.1から約50μm、好適には約0.5から20μmの範囲の多結晶性粒子を構成している。
本発明の混合酸化物粒子は、一般に、CeOを約80から20重量%とZrOを約20から80重量%、好適にはCeOを約40から60重量%とZrOを約60から40重量%含んで成る。好適な態様における混合酸化物組成物はCeOを50重量%とZrOを50重量%含有する。場合により、本発明の混合酸化物粒子はセリウム以外の追加的金属酸化物も約10重量%以下、好適には約8重量%以下、最も好適には約2から約70重量%含有していてもよい。適切な追加的金属酸化物には、これらに限定するものでないが、セリウム以外の希土類金属の酸化物、酸化カルシウムおよびこれらの混合物が含まれる。適切な希土類金属酸化物には、これらに限定するものでないが、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムおよびイットリウムの酸化物が含まれる。
本発明の混合酸化物組成物に焼成を500℃で2時間受けさせた後にこれが示す比表面積は、典型的に少なくとも30m/g、より好適には少なくとも40m/g、更により好適には少なくとも50m/g、典型的には約30から約120、好適には約40から約100、最も好適には約50から90m/gの範囲であろう。老化を1000℃で4時間受けさせた後の比表面積は10m/g以下、好適には5m/g以下、最も好適には3m/g以下、典型的には約10から約1、好適には約5から約1、最も好適には約3から約1m/gの範囲である。
本発明の混合酸化物は有利に高い酸素放出速度と高い酸素貯蔵能力を同時に示す。本発明の混合酸化物に老化を1000℃で4時間受けさせた後にこれが示す酸素貯蔵能力は、500℃の等温で測定して、典型的にサンプル1g当たり少なくとも260μモルのO、好適にはサンプル1g当たり300μモルを超えるO、更により好適にはサンプル1g当たり315μモルを超えるO、最も好適にはサンプル1g当たり330μモルを超えるOである。本発明の混合酸化物に老化を1000℃で4時間受けさせた後にこれが示すOSCは、典型的にサンプル1g当たり約260から約800、好適には約300から約600、最も好適には約350から約450μモルの範囲のOであろう。
本発明の混合酸化物に老化を1000℃で4時間受けさせた後にこれが示す酸素放出速度は高く、典型的に1.0mg・O/m・分を超え、好適には2.0mg・O/m・分を超え、最も好適には5.0mg・O/m・分を超える。混合酸化物に老化を1000℃で4時間受けさせた後にこれが示す酸素放出速度は典型的に約1から約100、好適には約2から約50、最も好適には約5から約10mg・O/m・分の範囲であろう。
本発明の酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物が示す向上した酸素貯蔵および放出特性は、単一結晶子内の隣接するドメインの間に異なる格子パラメーターが作り出されるように隣接ドメインが有するCe:Zr原子比が組成的に異なるように制御することで達成したものである。本分野の技術者が理解するであろうように、あるドメインでは酸化セリウムが豊富に存在、即ち主に酸化セリウムで構成されていて酸化ジルコニウムが酸化セリウムに溶解している一方で、他のドメインでは酸化ジルコニウムが豊富に存在、即ち主に酸化ジルコニウムで構成されていて酸化セリウムがその酸化ジルコニウムに溶解しているであろう。しかしながら、そのように隣接するドメインの組成があまりにも均一またはあまりにも不均一であると、本混合組成物に所望の酸素貯蔵および放出能力を与えるに必要なドメイン構造が存在しなくなってしまうであろう。このように、表面積から独立して向上した酸素貯蔵能力を有すると同時に向上した酸素放出速度を示す組成物を達成するには、隣接するドメインの間の組成的変差または不均一さの度合が重要である。
隣接するドメイン間の組成的変差の度合は本明細書の以下に記述する如きSAXSを用いて測定可能である。
通常のX線散乱の目的は結晶構造と原子の位置を測定することにあるが、SAXS測定の目的は局所的な構造的特徴を原子の距離よりも大きな規模、通常は数十オングストロームおよび数百オングストロームの規模で探索することにある。入射線と検出器の間の散乱角2θはQ=(4π/λ)sinθ[ここで、λはX線の波長である]として散乱ベクトルQに関係している。X線を用いてπ/Qとして求める特徴的長さは散乱ベクトルQの大きさで限定される。X線回折強度をより低い角度、従ってより小さな散乱ベクトルQで測定することによって、ある材料に含まれる空間的に広がった構造的特徴(spatially extended structural features)を探求することができる。SAXSでは、入射線と非常に小さな角度で測定するX線散乱強度の間に干渉が起こらないように、その入射線には非常に厳格な視準条件が要求される。このように、標準的なX線回折装置を用いたのではSAXS測定を実施するのは不可能である。しかしながら、本明細書に記述する測定では、以下に詳細に説明するように、散乱強度を正規化する目的で、散乱強度を相対的に大きな角度で同時に測定する必要がある。シンクロトロンX線放射は前記目的を達成する理想的な手段である、と言うのは、その入射線の開き(divergence)が狭く強度が高いことから視準が容易になり、その結果として、X線散乱強度を幅広い範囲の角度に渡って測定することができかつ測定時間が最小限であるからである。
本明細書に記述するSAXS散乱測定はBrookhaven National Laboratory(Upton、NY)のNational Synchrotron Light Sourceのビームライン(beamline)X−7Aで実施した測定である。波長λ=0.912Åの入射X線をカプトン(capton)、即ちX線を高度に透過する重合体材料の薄層の間に詰め込んだサンプル材料に照射した。このサンプルの典型的な厚みを10から100μmの範囲にした。標準的な検出器を用いて散乱強度を角度0.66°<2θ<25.15°(これはQが約0.08Å−1から約3.0Å−1の範囲であることに相当する)に渡って測定した。入射X線ビームに視準を入射線が測定散乱強度に対して示す貢献度を2θ=0.66°の最も小さな角度の時でも無視することが出来るような様式で受けさせた。X線散乱強度を各測定毎に数秒間に渡って集めた。
前記装置から得たSAXSの強度は相分離(phase separation)を伴ってPorodの法則
I(Q)=K/Q (1)
[ここで、I(Q)は正規化散乱強度である]
に従う。図1に示したQに対する正規化散乱強度I(Q)のプロットは、中心がほぼQ=2.06Å−1の所に1番目の回折ピークが位置することを示しており、それから得た散乱強度に正規化を受けさせた(normalized)。
式(1)中のKは式(2):
K=2π(Δρ)S (2)
[式中、Δρは2相間の電子密度差であり、Sは相と相の間の界の面積(これをÅの単位で測定する)である]
で得られる。Sの値が決まっている場合、Iの大きさはΔρが大きくなるにつれて大きくなり、これは、(Ce,Zr)O混合酸化物の場合には主に1つの結晶の中のドメイン間の組成的差異によるものである。一方の相の組成が(Ce1−X1ZrX1)Oでありそしてもう一方の相の組成が(Ce1−X2ZrX2)Oである2相サンプルを考慮すると、Δρは0.49(X1−X2)に等しい。特定のQにおける強度の大きさは組成的不均一性の尺度である。
式(1)の対数プロット(logarithmic plot)は式(3):
ln(I(Q))=ln(K)−4ln(Q) (3)
で記述される直線である。
従って、いろいろなサンプルから集めた散乱強度に正規化を同じ様式で受けさせた場合、結果として得られる直線の傾きは−4であるが、その切片はパラメーターΔρとSに依存する。
本発明に従う混合酸化物の不完全結晶ドメイン構造の中の不均一性の度合を決定しようとする時、SAXS測定を約0.08Å−1から約3.0Å−1の範囲の散乱ベクトルQに渡って実施する。次に、正規化散乱強度I(Q)を、通常実施されているような2θの関数としてではなく、この上に定義したように、散乱ベクトルQ(Å−1の単位で表す)の関数としてプロットする。
散乱Qを0.10Å−1にした時に本発明に従う混合酸化物が約49から約119、好適には約50から約100、最も好適には約54から約85の範囲の正規化散乱強度I(Q)を示す時、これは臨界不均一度(critical degree of inhomogeneity)を示す。正規化散乱強度の対数ln(I(Q))を散乱ベクトルの対数ln(Q)の関数としてプロットした図の−2.5<ln(Q)<−1の所の直線部分の傾きは典型的に約−4.0であり、従って、Porodの法則に従う。SAXSデータがPorodの法則に従うことは所望ドメイン構造の予測に最も役立つであろうことを本分野の技術者は熟知している。
本発明に従う混合酸化物の調製を典型的には適切な溶媒、例えば水または有機溶媒に溶解させたセリウム塩とジルコニウム塩が入っている混合塩溶液に共沈を起こさせることで行う。好適な態様における溶媒は水である。
本発明の混合酸化物を調製する時、用いる混合塩溶液の固体濃度が重要である。この固体含有量があまりにも低いと、所望度合の不均一性を示す不完全結晶構造が生じないであろう。このように、所望の不均一性が確保されるように前記溶液の固体含有量を調節する。典型的には、この混合塩溶液の固体濃度を所望ドメイン構造の形成が助長されるに充分な濃度にする。この混合塩溶液の濃度を酸化物基準を基にして好適には約23重量%固体以上、更により好適には約25重量%固体以上、最も好適には約27重量%固体以上にする。この混合塩溶液の濃度を酸化物基準を基にして典型的には約24重量%から約39重量%固体、好適には約25重量%から約29重量%固体の範囲にする。
本発明に従う混合酸化物を調製する時に用いるに有用な混合塩溶液の調製は如何なる通常方法で行われてもよい。典型的には、セリウム塩とジルコニウム塩を適切な溶媒に入れて固体内容物の全部または実質的に全部が溶解するに充分な様式および条件下で混合することを通して、そのような混合塩溶液を生じさせる。1つの態様では、セリウム塩をカチオンとアニオンのモル比が典型的に1:1から1:2のジルコニウム塩水溶液と一緒に混合することでそのような混合塩溶液を生じさせる。例えばジルコニウム塩がオキシ硝酸ジルコニウムの時には、そのジルコニウム塩溶液のカチオンとアニオンのモル比を典型的に1:2にする。他方、ジルコニウム塩がヒドロキシ硝酸ジルコニウムの時にはジルコニウム塩溶液のカチオンとアニオンのモル比を典型的に1:1にする。
本発明の別の態様では、炭酸セリウムをジルコニウム塩水溶液にカチオンとアニオンのモル比が1:2の溶液が生じるように溶解させた後、この溶液に酸を前記炭酸塩の全部または実質的に全部が溶解する(奇麗または透明な溶液が生じることで明らかなように)に充分な量であるが最小限の量で添加することを通して、そのような混合塩溶液を生じさせる。
本発明の方法で用いるに有用な混合塩溶液を生じさせる時に用いることができる適切なセリウム塩およびジルコニウム塩には、これらに限定するものでないが、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、炭酸塩などが含まれる。追加的酸化物成分、即ちドーパントを前記混合塩溶液に如何なる可溶塩形態で添加してもよい。
この混合塩溶液を撹拌しながら塩基、好適にはアンモニアで処理して相当する水酸化物を沈澱させることを通して、前記混合塩溶液の沈澱を達成することができる。この沈澱を起こさせている時のpHを塩基性、例えば典型的に約8から11の範囲のpHにする。
沈澱を起こさせた後、その結果として生じた沈澱物をいくらか存在するCe+3がCe+4に完全または実質的に酸化されるに充分な量の酸化剤で処理する。適切な酸化剤には、これらに限定するものでないが、臭素の水溶液、過酸化水素、臭素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、オゾン、二酸化塩素などが含まれる。好適な酸化剤は過酸化水素である。典型的には、その沈澱物をCeに対する過酸化水素のモル比が典型的には約0.25から約1になるに充分な量の過酸化水素の水溶液で処理する。この過酸化水素水溶液は好適には過酸化水素が約35重量%未満の希過酸化水素水溶液である。典型的には、希過酸化水素をCeに対する過酸化水素のモル比が約0.5から約1になるに充分な量で添加する。
沈澱段階中および酸化段階中の両方とも温度が80℃、好適には70℃、最も好適には60℃を超えないようにするのが望ましい。本発明の好適な態様では、沈澱段階または酸化段階中の温度を典型的には約20℃から約70℃、好適には約30℃から約60℃の範囲にする。沈澱後、その沈澱物に場合により熟成を典型的には約70℃から100℃の温度で約30分から約5時間受けさせてもよい。
その結果として得た沈澱物を濾過した後、水で洗浄することでフィルターケーキ(filter cake)を生じさせる。このフィルターケーキを任意の通常技術で乾燥させて自由流れする粉末を生じさせる。好適な態様では、その洗浄した沈澱物を水に入れて再びスラリー状にした後、その結果として得たスラリーにスプレー乾燥(spraying drying)を受けさせる。その後、その乾燥させた沈澱物に焼成を約500℃から約600℃の温度で約30分から約6時間、好適には約1から約4時間、最も好適には約2から約3時間受けさせることで、本発明に従う混合酸化物を生じさせる。
場合により、本混合酸化物にドーパントを添加してもよい。ドーパントを添加する場合、本混合酸化物調製中の如何なる地点でそれを添加してもよい。ドーパントの添加を好適には沈澱を起こさせた後であるが本混合酸化物に焼成を受けさせる前または後に行う。適切なドーパントには酸化物、塩などの形態のVIII族の遷移金属が含まれる。そのようなドーパントには好適にはニッケル、パラジウムまたは白金が含まれるが、パラジウムおよび白金が最も好適である。ドーパントを、典型的には、最終的な生成物である混合酸化物に含まれる混合酸化物の重量を基準にして約15ppmから約1000ppmになるに充分な量で添加する。試験を容易にする目的でドーパントを添加するのが望ましい。
その後、その焼成を受けさせた混合酸化物を衝撃粉砕技術(impact milling technique)で粉砕して所望の粒子サイズを達成してもよい。適切な粉砕技術には、これらに限定するものでないが、高エネルギーボールミリング(ball milling)、Spexミリング、流体エネルギーミリングなどが含まれる。
本発明の混合酸化物組成物は向上した酸素貯蔵能力と酸素放出速度を示すことから、これらはいろいろな用途で使用可能である。本発明の混合酸化物は特に触媒用途で触媒および/または触媒支持体として用いるに良好に適する。好適な態様では、本発明に従う混合酸化物組成物を内燃機関から放出される排気ガスに処理または変換を受けさせるための触媒の成分として用いる。このような用途では、本発明の混合酸化物組成物を一般にアルミナと混合するが、この混合を、前記アルミナに触媒活性要素、例えば貴金属などを含浸させる前または後に行う。その後、前記混合物に成形を受けさせて触媒、例えば球の形態の触媒にしてもよいか、或は前記混合物を耐火性素地、例えばセラミックまたは金属製モノリス(monolith)の被膜を生じさせる目的で用いてもよく、そのような被膜は例えば米国特許第5,491,120号、5,015,617号、5,039,647号、5,045,521号、5,063,193号、5,128,306号、5,139,992号および4,965,245号(このような引用文献は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されているように、本技術分野で「ウォッシュコート(washcoat)」として本質的に良く知られている。
本発明および本発明の利点を更に説明する目的で、下記の具体的実施例を示す。本実施例は請求する発明の具体的な説明として示すものである。しかしながら、本発明を本実施例に挙げる具体的な詳細に限定すると理解されるべきでない。
本実施例ばかりでなく本明細書の残りの部分に示す部およびパーセントは全部特に明記しない限り重量である。
その上、ある範囲の数値、例えば個々の組の特性、測定の単位、条件、物理的状態またはパーセントなどを本明細書または請求の範囲に示す場合、文字通り、それに前記範囲内に入る如何なる数[その示したある範囲内に入る如何なるサブセット(subset)の数も包含]も本明細書に明らかに言及したようにか或は他の様式で入れることを意図する。
実施例
本実施例に示す酸素貯蔵能力(OSC)は通常の熱重量分析を用いて重量損失を測定することで決定した酸素貯蔵能力である。サンプルを流れる500℃の空気の中に60分間保持してそれを完全に酸化させた後、窒素にHが10%入っている混合物に切り替えて等温に更に60分間保持する。酸化条件から還元条件にした時の重量損失を用いて酸素貯蔵能力を決定する。
本実施例に示す酸素放出速度は、全部、OSC測定の時間に対する重量変化のプロファイル(profile)の一次導関数を計算しそしてそれに当該サンプルの表面積による正規化を受けさせることで決定した酸素放出速度である。
1105gの硝酸ジルコニル水溶液(20%)と310gの濃硝酸に炭酸セリウム(III)(酸化物が49.5%)を586g溶解させた。最終溶液は固体を酸化物として26.7重量%含有していた。この溶液を一晩撹拌することで前記炭酸塩を完全に溶解させた。93gの前記溶液を温度が40Cの400mlの5Nアンモニア溶液の中に連続撹拌下で注ぎ込んだ。前記硝酸溶液の全部を添加した後の最終pHは約9であった。このスラリーを40℃で30分間混合し、この時間が経過した後、3重量%の過酸化水素溶液を52g加えた。酸化セリウムに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。
その沈澱物を5体積等量の熱DI水で洗浄した。伝導率が5mS/cmになるまで前記沈澱物から硝酸アンモニウムを洗い流した。
そのフィルターケーキを水で1:1の比率で希釈してスラリーを生じさせた後、この水性スラリーにスプレー乾燥を受けさせることで粉末を得た。この乾燥させた粉末に焼成を500℃で1時間受けさせることで酸化ジルコニウムが42重量%で酸化セリウムが58重量%の最終的混合酸化物組成物を得た。この粉末に小角X線散乱(SAXS)を用いた分析を受けさせた。この粉末は図2に示すようにQ=0.1Å−1の時に57の正規化散乱強度I(Q)を示した。Qに対する正規化散乱強度I(Q)を図1にプロットした。
OSCを測定する目的で、その焼成を受けさせた混合酸化物粉末に15ppmのパラジウムを硝酸塩水溶液として含浸させた後、焼成を500℃で受けさせた。その粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、この上に記述したTGA試験でOSCを測定した。老化後の表面積は1.0m/gであり、酸素貯蔵能力(OSC)はサンプル1g当たり363μモルのOでありそして酸素放出速度は1.8mg・O/m・分であった。
フィルターケーキを水で1:1の比率で希釈してスラリーを生じさせ、このスラリーに15ppmのパラジウムを硝酸塩水溶液として添加した後、スプレー乾燥を行う以外は実施例1に記述した手順と同じ手順を用いてフィルターケーキを生じさせた。その乾燥させた粉末に焼成を500℃で1時間受けさせた。その粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、この上に記述したTGA試験でOSCを測定した。老化後の表面積は1.0m/gであり、酸素貯蔵能力(OSC)はサンプル1g当たり376μモルのOでありそして酸素放出速度は7.5mg・O/m・分であった。Q=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は57であった。
1105gの硝酸ジルコニル水溶液(固体が20重量%)と310gの濃硝酸に炭酸セリウム(III)(固体が49.5%)を586g溶解させた。その混合した酸化物溶液の固体濃度は26.7%であった。93gの前記溶液を60Cの400mlの5Nアンモニア溶液の中に入れて沈澱を起こさせた。このスラリーを30分間撹拌した後、これに3重量%の過酸化水素溶液を1000ml加えた。酸化セリウムに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。
そのスラリーを濾過した後、70℃で3リットルのDI水で洗浄した。そのフィルターケーキを水に入れて再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として加えることでPdが15ppm入っている最終混合酸化物を生じさせた。その結果として得た混合物にスプレー乾燥そして焼成を500℃で1時間受けさせた。この最終組成物は酸化ジルコニウムを42重量%と酸化セリウムを58重量%含有していた。
その粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた。500℃のTGA還元手順で得たOSCはサンプル1g当たり342μモルのOでありそして酸素放出速度は1.9mg・O/m・分であった。Q=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は70であった。
水性フィルターケーキスラリーに100ppmのPdを硝酸塩として添加した後にスプレー乾燥を受けさせる以外は実施例3に示した手順を用いてフィルターケーキを生じさせた。そのスプレー乾燥を受けさせた粉末に焼成そして老化を実施例3と同様に受けさせた。Q=0.1Å−1の時の散乱強度I(Q)は69であり、OSCはサンプル1g当たり350μモルのOでありそして酸素放出速度は50.5mg・O/m・分であった。
水性フィルターケーキスラリーに1000ppmのNiを硝酸塩として添加した後にスプレー乾燥を受けさせる以外は実施例3に示した手順を用いてフィルターケーキを生じさせた。そのスプレー乾燥を受けさせた粉末に焼成そして老化を実施例3と同様に受けさせた。Q=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は69であり、OSCはサンプル1g当たり308μモルのOでありそして酸素放出速度は1.2mg・O/m・分であった。
930gの硝酸セリウム(III)水溶液(酸化物が28.3重量%)をZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が25.3重量%)900gと一緒にすることで混合硝酸塩溶液を生じさせた。この混合溶液の固体含有量は酸化物を基にして26.8重量%であった。最終酸化物組成はCeOが52.5重量%でZrOが47.5重量%であった。
その溶液を8リットルの5Nアンモニアに40℃で加えた。沈澱してきた水酸化物を1000mlの3重量%過酸化水素水溶液で処理した。
酸化セリウムに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。そのフィルターケーキを水に入れて再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。その結果として得た混合物にスプレー乾燥そして焼成を500℃で1時間受けさせた。その焼成を受けさせた粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、重量分析装置を用いてサンプルの有効酸素を500℃で測定した。OSCはサンプル1g当たり379μモルのOでありそして酸素放出速度は14.3mg・O/m・分であった。Q=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は55であった。
633gの炭酸セリウム(III)(酸化物が55重量%)を570gの70重量%硝酸と142gのDI水に溶解させて混合することで固体量が29重量%の硝酸セリウム(III)溶液を生じさせることを通して、混合硝酸溶液を生じさせた。それをZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が26.1重量%)965gと一緒に混合した。この混合硝酸塩溶液の酸化物固体濃度は27.7重量%であった。最終酸化物組成はCeOが58.9%でZrOが41.2%であった。この溶液を8リットルの5Nアンモニアに40℃で撹拌しながら加えた。沈澱してきた水酸化物を1000mlの3%過酸化水素水溶液で処理(H/CeO=0.25M)した後、濾過しそして硝酸アンモニウムを洗い流した。そのフィルターケーキを水と一緒にして再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。そのスラリーにスプレー乾燥そして焼成を500℃で1時間受けさせた。その粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後のサンプルを重量分析装置を用いて500℃で測定した時のOSCはサンプル1g当たり377μモルのOでありそして酸素放出速度は7.5mg・O/m・分であった。Q=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は77であった。
67.1gの硝酸セリウム(III)水溶液(酸化物が28重量%)をZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が26.1重量%)22.6gと一緒に混合して混合硝酸塩溶液を生じさせた結果、最終混合硝酸塩溶液の固体濃度が酸化物を基にして27.5重量%になった。最終酸化物組成はCeOが70重量%でZrOが30重量%であった。この溶液を400mlの5Nアンモニアに40℃で加えた後、30分間撹拌した。沈澱してきた水酸化物を6.25gの過酸化水素を45gのDIに入れることで生じさせた溶液で処理(H/CeO=0.25M)した後、濾過しそして硝酸アンモニウムを洗い流した。そのフィルターケーキを水と一緒にして再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。そのスラリーにスプレー乾燥そして焼成を500℃で1時間受けさせた後、老化を1000℃で4時間受けさせた。そのサンプルを重量分析装置を用いて500℃で測定した時のOSCはサンプル1g当たり310μモルのOであった。酸素放出速度は5.2mg・O/m・分であった。Q=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は70であった。
実施例6と同様にして硝酸塩溶液を生じさせた後に沈澱を起こさせた。セリウムとジルコニウムの硝酸塩に硝酸ランタンを加えることで混合硝酸塩溶液の最終固体含有量が27.3重量%の酸化物に等しくなるようにした。沈澱、乾燥そして焼成を実施例6と同様に実施することでCeOが51重量%でZrOが44重量%でLaが5重量%の最終酸化物組成にした。その粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後のTGA測定を基にした酸素貯蔵能力はサンプル1g当たり391μモルのOであった。酸素放出速度は3.4mg・O/m・分であった。Q=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は92であった。
46.5gの硝酸セリウム(III)水溶液(固体が28.5重量%)を61.8gの硝酸ジルコニウム水溶液(固体が20重量%)と一緒に混合することで混合溶液の固体濃度を酸化物を基にして23.6重量%にした。この溶液を400mlの5Nアンモニア溶液の中に60℃の温度で連続的に撹拌しながら注ぎ込んだ。このスラリーを60℃で30分間混合し、この時間が経過した後、30重量%の過酸化水素水溶液を25g添加した。
その沈澱物を3リットルの熱DI水で洗浄した。そのフィルターケーキを水で1:1の比率で希釈することでスラリーを生じさせそして15ppmのパラジウムを硝酸塩溶液として添加した後、スプレー乾燥を実施した。その乾燥させた粉末に焼成を500℃で1時間受けさせることで、酸化ジルコニウムが48.4重量%で酸化セリウムが51.6重量%の最終的混合酸化物組成を得た。
その粉末に老化を1000℃で4時間受けさせることで表面積が<1m/gの生成物を得た。酸素貯蔵能力(OSC)はサンプル1g当たり339μモルのOでありそして酸素放出速度は15.0mg・O/m・分であった。このサンプルに小角X線散乱(SAXS)を用いた分析をこの上に記述した如く受けさせた結果、これがQ=0.1Å−1の時に示した正規化散乱強度I(Q)は54であった。
17.2gの硝酸セリウム(III)水溶液(酸化物が29重量%)をZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が26.1重量%)67gと一緒にすることで混合硝酸塩溶液を生じさせた。この溶液に28.5重量%の硝酸ランタンを3.5gおよび31重量%の硝酸イットリウムを4.85g加えた。この混合溶液の固体含有量は酸化物を基にして27重量%であった。最終酸化物組成はCeOが20重量%でZrOが70重量%でLaが4重量%でYが6重量%であった。この溶液を300mlの5Nアンモニアに40℃で加えた。沈澱してきた水酸化物を51mlの3重量%過酸化水素水溶液で処理した。
セリアに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。そのフィルターケーキを水に入れて再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。その結果として得た混合物にスプレー乾燥そして焼成を500℃で1時間受けさせた。その焼成を受けさせた粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、重量分析装置を用いてそのサンプルの有効酸素を500℃で測定した。OSCはサンプル1g当たり260μモルのOでありそしてQ=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は85であった。酸素放出速度は5.8mg・O/m・分であった。
88.9gの硝酸セリウム(III)水溶液(酸化物が28.3重量%)をZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が26.1重量%)84.9gと一緒にすることで混合硝酸塩溶液を生じさせた。この溶液に炭酸プラセオジムを6.25gおよび硝酸を1.5g加えた。この混合溶液の固体含有量は酸化物を基にして26.5重量%であった。最終酸化物組成はCeOが50重量%でZrOが44重量%でPr11が6重量%であった。この溶液を700mlの5Nアンモニアに40℃で加えた。沈澱してきた水酸化物を103mlの3重量%過酸化水素水溶液で処理した。
セリアに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。そのフィルターケーキを水に入れて再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。その結果として得た混合物にスプレー乾燥そして焼成を500℃で1時間受けさせた。その焼成を受けさせた粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、重量分析装置を用いてそのサンプルの有効酸素を500℃で測定した。OSCはサンプル1g当たり396μモルのOでありそしてQ=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は79であった。酸素放出速度は7.6mg・O/m・分であった。
88.9gの硝酸セリウム(III)水溶液(酸化物が28.3重量%)をZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が26.1重量%)84.9gと一緒にすることで混合硝酸塩溶液を生じさせた。この溶液に炭酸イットリウムを5.64gおよび硝酸を3g加えた。この混合溶液の固体含有量は酸化物を基にして26重量%であった。最終酸化物組成はCeOが50.6重量%でZrOが44.4重量%でYが5重量%であった。この溶液を700mlの5Nアンモニアに40℃で加えた。沈澱してきた水酸化物を103mlの3重量%過酸化水素水溶液で処理した。
セリアに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。そのフィルターケーキを水に入れて再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。その結果として得た混合物にスプレー乾燥そして焼成を500℃で1時間受けさせた。その焼成を受けさせた粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、重量分析装置を用いてそのサンプルの有効酸素を500℃で測定した。OSCはサンプル1g当たり344μモルのOでありそしてQ=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は81であった。酸素放出速度は4.2mg・O/m・分であった。
87.4gの硝酸セリウム(III)水溶液(酸化物が29重量%)をZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が26.4重量%)84.1gと一緒にすることで混合硝酸塩溶液を生じさせた。この溶液に酸化ガドリニウムを2.5gおよび硝酸を3g加えた。この混合溶液の固体含有量は酸化物を基にして27重量%であった。最終酸化物組成はCeOが50.6重量%でZrOが44.4重量%でGdが5重量%であった。この溶液を700mlの5Nアンモニアに40℃で加えた。沈澱してきた水酸化物を103mlの3重量%過酸化水素水溶液で処理した。
セリアに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。そのフィルターケーキを水に入れて再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。その結果として得た混合物にスプレー乾燥そして焼成を500Cで1時間受けさせた。その焼成を受けさせた粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、重量分析装置を用いてそのサンプルの有効酸素を500℃で測定した。OSCはサンプル1g当たり384μモルのOでありそしてQ=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は65であった。酸素放出速度は4.0mg・O/m・分であった。
87.4gの硝酸セリウム(III)水溶液(酸化物が29重量%)をZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が26.1重量%)84.9gと一緒にすることで混合硝酸塩溶液を生じさせた。この溶液に炭酸サマリウム(酸化物が63.4重量%)を4gおよび硝酸を4g加えた。この混合溶液の固体含有量は酸化物を基にして27重量%であった。最終酸化物組成はCeOが50.6重量%でZrOが44.4重量%でSmが5重量%であった。この溶液を700mlの5Nアンモニアに40℃で加えた。沈澱してきた水酸化物を103mlの3重量%過酸化水素水溶液で処理した。
セリアに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。そのフィルターケーキを水に入れて再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。その結果として得た混合物にスプレー乾燥そして焼成を500℃で1時間受けさせた。その焼成を受けさせた粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、重量分析装置を用いてそのサンプルの有効酸素を500℃で測定した。OSCはサンプル1g当たり385μモルのOでありそしてQ=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は70であった。酸素放出速度は3.8mg・O/m・分であった。
87.4gの硝酸セリウム(III)水溶液(酸化物が29重量%)をZr:NO比がほぼ1:1のヒドロキシ硝酸ジルコニウム水溶液(酸化物が26.4重量%)84.1gと一緒にすることで混合硝酸塩溶液を生じさせた。この溶液に炭酸カルシウムを10.5gおよび硝酸を3g加えた。この混合溶液の固体含有量は酸化物を基にして27重量%であった。最終酸化物組成はCeOが50.6重量%でZrOが44.4重量%でCaOが5重量%であった。この溶液を700mlの5Nアンモニアに40℃で加えた。沈澱してきた水酸化物を103mlの3重量%過酸化水素水溶液で処理した。
セリアに対する過酸化水素のモル比は0.25であった。そのフィルターケーキを水に入れて再びスラリー状にした後、15ppmのPdを硝酸塩として添加した。その結果として得た混合物にスプレー乾燥そして焼成を500Cで1時間受けさせた。その焼成を受けさせた粉末に老化を1000℃で4時間受けさせた後、重量分析装置を用いてそのサンプルの有効酸素を500℃で測定した。OSCはサンプル1g当たり359μモルのOでありそしてQ=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は65であった。酸素放出速度は8.5mg・O/m・分であった。
スラリーに沈澱を60℃で起こさせた後、温度を上昇させそしてそのスラリーを母液に入れて90℃に2時間加熱する以外は実施例3を繰り返した。次に、その沈澱物の濾過、洗浄および処理を実施例3に記述した様式と同じ様式で行った。前記スラリーを加熱すると構造が大きく変化し、そのように温度を高くすると所望のドメイン構造が壊れた。その結果として500℃におけるOSCが損失を受けてサンプル1g当たり290μモルのみのOの値になった。この材料がQ=0.1Å−1の時に示した正規化散乱強度I(Q)は107であった。この材料が示した酸素放出速度は4.3mg・O/m・分であった。
比較実施例1
1147gの水と136gの酢酸を混合した後、236gの炭酸セリウムを添加することで酢酸セリウムの透明な溶液を生じさせた。この混合物を48時間撹拌すると炭酸塩が完全に溶解した。この酢酸セリウムに酢酸ジルコニウム(ZrOが20重量%)を512g加えて撹拌することで均一な溶液を生じさせた。この溶液にスプレー乾燥を110℃で受けさせることで混合酢酸塩の白色粉末を生じさせた。この粉末に焼成をマッフル炉内で温度が500℃になるまで1時間受けさせることで最終混合酸化物を生じさせた。
その新しく焼成を受けさせた酸化物に15ppmのPdを硝酸塩水溶液を用いて含浸させた後、焼成を500℃で1時間受けさせた。このサンプルに老化を1000℃で4時間受けさせた。TGAを用いて500℃で測定した時のOSCはサンプル1g当たり290μモルのOであった。このサンプルにSAXSを用いた分析を受けさせた。Q=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は図2に示すように40のみであった。Qに対する正規化散乱強度I(Q)を図1にプロットした。その表面積は1m/gであった。酸素放出速度は0.5mg・O/m・分であった。最終酸化物組成はCeOが60重量%でZrOが38重量%でLaが2重量%であった。
比較実施例2
新しく焼成を受けさせたサンプルに1000ppmのNiを硝酸塩溶液を用いて含浸させる以外は比較実施例1の手順を用いて混合酸化物粉末を生じさせた。次に、その粉末に焼成を500℃で1時間受けさせた。このサンプルに老化を1000℃で4時間受けさせた。TGAを用いて500℃で測定した時のOSCはサンプル1g当たり218μモルのOでありそしてQ=0.1Å−1の時の正規化散乱強度I(Q)は46であった。酸素放出速度は0.2mg・O/m・分であった。
比較実施例3
58.6gの炭酸セリウム(III)(酸化物が49.5重量%)を135gの水と50.4gの濃硝酸に溶解させることで硝酸セリウム(III)水溶液を生じさせた。これに硝酸ジルコニル(酸化物が20重量%)を110.5g加えた。最終混合硝酸塩溶液の固体濃度は15.7重量%であった。この硝酸塩溶液に30%の過酸化水素水溶液を50g加えた。ある容器に入れておいた350gのDI水(70℃)のヒール(heal)に前記過酸化物で処理しておいた硝酸塩溶液を入れた後、300mlの5Nアンモニアを用いて共沈を起こさせた。70℃の温度と8.6のpHを維持した。前記溶液を全部加えた後、その沈澱物に熟成を70℃で0.5時間受けさせた。
その沈澱物を濾過し、70℃の水を3リットル用いて洗浄した。その洗浄したフィルターケーキを水と一緒にして再びスラリー状にした後、それにスプレー乾燥を受けさせた。その乾燥させた粉末に15ppmのPdを硝酸塩として含浸させた後、焼成を500℃で1時間受けさせることで、表面積が>100m/gの生成物を得た。老化を1000℃で4時間受けさせた後の表面積は17m/gであった。TGAを用いて500℃の等温条件下で測定した時のOSCは1g当たり274μモルのみのOであった。このサンプルにSAXSを用いた分析を受けさせた。SAXSで測定した時の正規化散乱強度I(Q)は図2に示すようにQ=0.1Å−1の時152であった。酸素放出速度は2.4mg・O/m・分であった。
比較実施例4
実施例4で得たフィルターケーキに、実施例4とは異なり、焼成を受けさせる前に100ppmのPdを含浸させた。TGAを用いて500℃の等温条件下で測定した時のOSCはサンプル1g当たり275μモルのみのOであった。SAXSで測定した時の正規化散乱強度I(Q)はQ=0.1Å−1の時120であった。酸素放出速度は4.0mg・O/m・分であった。
本発明を種々の好適な態様で記述してきたが、本分野の技術者はいろいろな修飾、置換、省略および変化を本発明の精神から逸脱しない限り行ってもよいことを理解するであろう。
図1は、実施例1(●)、比較実施例1(▲)および比較実施例3(Φ)に従って調製した酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物を小角X線散乱(SAXS)技術で測定した時の正規化散乱強度I(Q)(0から12の範囲)をQ(0.0から2.5Å−1の範囲)に対してプロットした図であり、この図は、Qが2.06Å−1に等しい所に1番目の回折ピークが位置することを示しており、それから得た散乱強度に正規化を受けさせる。 図2は、実施例1(●)、比較実施例1(▲)および比較実施例3(Φ)に従って調製した酸化セリウム/酸化ジルコニウム組成物を小角X線散乱(SAXS)技術で測定した時の正規化散乱強度I(Q)(0から200の範囲)をQ(0.0から0.15Å−1の範囲)に対してプロットした図である。

Claims (61)

  1. 酸化セリウムと酸化ジルコニウムの混合酸化物であって、多相立方晶を有していて1000℃で4時間の老化後にサンプル1g当たり300μモルのOを超える酸素貯蔵能力を有し、小角X線散乱(SAXS)技術で測定して散乱ベクトルQを0.10Å −1 にした時に47から119の正規化散乱強度I(Q)を示す混合酸化物
  2. 前記酸素貯蔵能力が1000℃で4時間の老化後にサンプル1g当たり315μモルのOを超える請求項1記載の混合酸化物。
  3. 前記酸素貯蔵能力が1000℃で4時間の老化後にサンプル1g当たり330μモルのOを超える請求項2記載の混合酸化物。
  4. この混合酸化物が1.0mg・O/m・分を超える酸素放出速度を示す請求項1記載の混合酸化物。
  5. この混合酸化物が2.0mg・O/m・分を超える酸素放出速度を示す請求項4記載の混合酸化物。
  6. この混合酸化物が5.0mg・O/m・分を超える酸素放出速度を示す請求項5記載の混合酸化物。
  7. この混合酸化物を小角X線散乱(SAXS)技術で測定して散乱ベクトルQを0.10Å−1にした時に50から100の正規化散乱強度I(Q)を示す請求項記載の混合酸化物。
  8. この混合酸化物を小角X線散乱(SAXS)技術で測定して散乱ベクトルQを0.10Å−1にした時に54から85の正規化散乱強度I(Q)を示す請求項記載の混合酸化物。
  9. この混合酸化物を小角X線散乱(SAXS)技術で測定して散乱ベクトルQを0.10Å−1にした時に50から100の正規化散乱強度I(Q)を示す請求項記載の混合酸化物。
  10. この混合酸化物を小角X線散乱(SAXS)技術で測定して散乱ベクトルQを0.10Å−1にした時に54から85の正規化散乱強度I(Q)を示す請求項記載の混合酸化物。
  11. この混合酸化物が酸化セリウムと酸化ジルコニウムの多結晶性粒子を構成している請求項1記載の混合酸化物。
  12. 前記粒子が0.1から5.0μmの平均粒子サイズを有する請求項11記載の混合酸化物。
  13. 前記粒子が0.5から20μmの平均粒子サイズを有する請求項12記載の混合酸化物。
  14. 前記粒子がこれに焼成を900℃で4時間受けさせた後にX線回折で測定して40から200Åの平均結晶子サイズを示す結晶子を含んで成る請求項11記載の混合酸化物。
  15. 前記結晶子が900℃で4時間の焼成後にX線回折で測定して50から120Åの平均結晶子サイズを示す請求項14記載の混合酸化物。
  16. 前記結晶子が多数の隣接するドメインを含んで成っていて前記隣接するドメインがいろいろなセリウム:ジルコニウム比を有する請求項14記載の混合酸化物。
  17. 前記ドメインが10から50Åの平均サイズを有する請求項16記載の混合酸化物。
  18. 前記ドメインが10から30Åの平均サイズを有する請求項17記載の混合酸化物。
  19. この混合酸化物の粒子がこれに焼成を500℃で2時間受けさせた後に少なくとも30m/gの比表面積を示す請求項11記載の混合酸化物。
  20. この混合酸化物の粒子がこれに焼成を500℃で2時間受けさせた後に少なくとも40m/gの比表面積を示す請求項19記載の混合酸化物。
  21. この混合酸化物の粒子がこれに焼成を500℃で2時間受けさせた後に少なくとも50m/gの比表面積を示す請求項20記載の混合酸化物。
  22. この混合酸化物の粒子がこれに焼成を1000℃で4時間受けさせた後に10m/g以下の比表面積を示す請求項11記載の混合酸化物。
  23. この混合酸化物の粒子がこれに焼成を1000℃で4時間受けさせた後に5m/g以下の比表面積を示す請求項22記載の混合酸化物。
  24. この混合酸化物の粒子がこれに焼成を1000℃で4時間受けさせた後に3m/g以下の比表面積を示す請求項23記載の混合酸化物。
  25. この混合酸化物がCeOを80から20重量%とZrOを20から80重量%含んで成る請求項1記載の混合酸化物。
  26. この混合酸化物がCeOを40から60重量%とZrOを60から40重量%含んで成る請求項25記載の混合酸化物。
  27. この混合酸化物がCeOを50重量%とZrOを50重量%含んで成る請求項26記載の混合酸化物。
  28. この混合酸化物が更に酸化セリウム以外の金属酸化物も10重量%以下の量で含んで成る請求項25記載の混合酸化物。
  29. 前記酸化セリウム以外の金属酸化物が酸化セリウム以外の希土類金属酸化物、酸化カルシウムおよびこれらの混合物から成る群から選択される請求項28記載の混合酸化物。
  30. 前記希土類金属酸化物がランダム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、カドリニウムおよびイットリウムから成る群から選択される酸化物である請求項29記載の混合酸化物。
  31. 酸化セリウムと酸化ジルコニウムの多結晶性混合酸化物粒子を製造する方法であって、
    i)少なくとも1種のセリウム塩と少なくとも1種のジルコニウム塩を相当する乾燥した生成物である混合酸化物の多結晶性粒子が生じるに充分な濃度で含んで成る混合塩の溶液を生じさせるが、前記粒子は酸化セリウム成分と酸化ジルコニウム成分を有していて前記成分は前記粒子の不完全結晶構造の中に分散しており、その結果として、前記粒子の中の各結晶子は多数の隣接するドメインで構成されており、ここで、前記隣接するドメインが有するCe:Zr原子比は、互いに関する不均一さの度合が小角X線散乱で測定して散乱ベクトルQを0.10Å−1にした時に47から119の正規化散乱強度I(Q)を示すとして表される度合であることで特徴づけられ、ここで、前記混合酸化物組成物は、これに老化を1000℃で4時間受けさせた後にサンプル1g当たり少なくとも260μモルのOの酸素貯蔵能力を有するとして特徴づけられ、
    ii)段階(i)に従って生じさせた混合塩の溶液に塩基による処理を受けさせることで沈殿物を生じさせ、
    iii)段階(ii)に従って生じさせた沈殿物にCe+3からCe+4への酸化が起こるに充分な量の酸化剤による処理を受けさせ、
    iv)段階(iii)に従って生じさせた沈殿物に洗浄そして乾燥を受けさせ、そして
    v)段階(iv)に従って生じさせた乾燥沈殿物に焼成を受けさせることでセリウムとジルコニウムの多結晶性酸化物粒子を得る、
    ことを含んで成る方法。
  32. 前記沈殿物に希過酸化水素水溶液による処理をCe+3からCe+4への酸化が起こるように受けさせる請求項31記載の方法。
  33. 前記沈殿物に希過酸化水素による処理をこれをCeに対する過酸化水素のモル比が0.25から1のモル比になるに充分な量で用いて受けさせる請求項32記載の方法。
  34. 前記沈殿物に希過酸化水素による処理をこれをCeに対する過酸化水素のモル比が0.5から1のモル比になるに充分な量で用いて受けさせる請求項33記載の方法。
  35. 前記混合塩の溶液に入っている固体の濃度を酸化物を基にして少なくとも23重量%固体の固体濃度にする請求項31記載の方法。
  36. 前記混合塩の溶液に入っている固体の濃度を酸化物を基にして25重量%固体を超える固体濃度にする請求項35記載の方法。
  37. 前記混合塩の溶液に入っている固体の濃度を酸化物を基にして24から39重量%固体の固体濃度にする請求項31記載の方法。
  38. 前記混合塩の溶液に入っている固体の濃度を酸化物を基にして25から29重量%固体の固体濃度にする請求項37記載の方法。
  39. 段階ii)中のpHを8から11にする請求項31記載の方法。
  40. 段階ii)およびiii)中の温度を80℃以下にする請求項31記載の方法。
  41. 段階ii)およびiii)中の温度を70℃以下にする請求項40記載の方法。
  42. 前記乾燥沈殿物に焼成を500℃から600℃の温度で6時間以内の時間受けさせる請求項31記載の方法。
  43. 段階(ii)の沈殿後にドーパントを添加する請求項31記載の方法。
  44. 前記ドーパントを焼成の前または後に添加する請求項43記載の方法。
  45. 前記ドーパントがVIII族の遷移金属である請求項44記載の方法。
  46. 前記ドーパントがニッケル、パラジウム、白金およびこれらの混合物から成る群から選択される遷移金属である請求項45記載の方法。
  47. 段階iv)において、前記沈殿物を水と一緒にしてスラリー状にした後、その水性スラリーにスプレー乾燥を受けさせることを通して、前記沈殿物を乾燥させる請求項31記載の方法。
  48. 前記混合塩の溶液がセリウム塩をカチオンとアニオンのモル比が1:1から1:2のジルコニウム塩溶液と一緒に混合することで生じさせた溶液であり請求項31記載の方法。
  49. 前記混合塩の溶液が炭酸セリウムをモル比が1:2のジルコニウム塩溶液に溶解させそして酸を前記炭酸塩が溶解するに充分な最小限の量で添加することで生じさせた溶液である請求項31記載の方法。
  50. 請求項31の方法で作られた混合酸化物。
  51. ある基質を覆っている請求項1記載の混合酸化物を含んで成る内燃機関から出る排気ガスの浄化および/または変換のための触媒/触媒支持体。
  52. ある基質を覆っている請求項4記載の混合酸化物を含んで成る内燃機関から出る排気ガスの浄化および/または変換のための触媒/触媒支持体。
  53. 貴金属触媒が前記混合酸化物の上に位置する請求項52記載の内燃機関から出る排気ガスの浄化および/または変換のための触媒/触媒支持体。
  54. 多相立方晶を示して多結晶性粒子を構成する混合酸化物組成物であって、酸化セリウム成分と酸化ジルコニウム成分を有していて前記成分が前記粒子の不完全結晶構造の中に分散していることで前記粒子の中の各結晶子が多数の隣接するドメインで構成されていて前記隣接するドメインが有するCe:Zr原子比が互いに関する不均一さの度合が小角X線散乱で測定して散乱ベクトルQを0.10Å−1にした時に47から119の正規化散乱強度I(Q)を示すとして表される度合であることで特徴づけられる混合酸化物組成物。
  55. この混合酸化物組成物が1.0mg・O/m・分を超える酸素放出速度を示す請求項54記載の混合酸化物組成物。
  56. この混合酸化物組成物がこれを老化を1000℃で4時間受けさせた後にサンプル1g当たり少なくとも260μモルのOの酸素貯蔵能力を示す請求項54記載の混合酸化物組成物。
  57. この混合酸化物組成物がこれに老化を1000℃で4時間受けさせた後にサンプル1g当たり少なくとも260μモルのOの酸素貯蔵能力を示す請求項55記載の混合酸化物組成物。
  58. 散乱ベクトルQを0.10Å−1にした時の正規化散乱強度I(Q)が50から100の範囲である請求項54記載の混合酸化物組成物。
  59. 散乱ベクトルQを0.10Å−1にした時の正規化散乱強度I(Q)が54から85の範囲である請求項58記載の混合酸化物組成物。
  60. 正規化散乱強度の対数In(I(Q))を散乱ベクトルの対数In(Q)の関数としてプロットした図の−2.5<In(Q)<−1の所に直線部分が存在しそしてその直線部分の傾きが−4.0±0.4である請求項54記載の混合酸化物組成物。
  61. 正規化散乱強度の対数In(I(Q))を散乱ベクトルの対数In(Q)の関数としてプロットした図の−2.5<In(Q)<−1の所に直線部分が存在しそしてその直線部分の傾きが−4.0±0.4である請求項記載の混合酸化物組成物。
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