JP4269560B2 - 水素生成触媒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水素生成触媒に関し、詳しくは水蒸気改質反応を利用して炭化水素、酸素及び水蒸気を含むガスから効率よく水素を生成する触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモニア合成、メタノール合成、オキソ合成など多くの化学工業プロセスあるいは石油精製において、水素あるいは水素と一酸化炭素との混合ガスは重要な化学原料である。また最近では、燃料電池を始めとするクリーンエネルギー源としての水素の重要性が増大している。さらに内燃機関の排ガス浄化においても、NOx を還元する能力に優れ、かつ硫黄被毒したNOx 吸蔵材から硫黄酸化物を脱離させてNOx 吸蔵還元型触媒を回復させる能力にも優れた水素が注目されつつある。
【0003】
そして水素を製造する方法として、次式に示す炭化水素の水蒸気改質反応が多用されている。
【0004】
CnHm+nH2O→ nCO+ (n+m/2)H2 (−ΔH<0)
この水蒸気改質反応は大きな吸熱を伴うので、外部から必要な熱を供給する必要がある。そこで多くの場合には反応ガス中に酸素を添加し、次式に示す部分酸化反応や酸化反応の反応熱を利用して、水蒸気改質反応の進行を促進させることが行われている。
【0005】
CnHm+n/2O2 → nCO+m/2 H2 (−ΔH>0)
CnHm+(n+m/4)O2 →nCO2+m/2 H2 (−ΔH>0)
なお水蒸気改質反応においては、次式に示すCOシフト反応が同時に進行する。
【0006】
CO+ H2O→ CO2+m/2 H2 (−ΔH>0)
また上記した反応を促進するために、各種の触媒が利用されている。例えば特開昭56-91844号公報には、ジルコニアにRhを担持した水素生成触媒が開示されている。しかしジルコニアは耐熱性が低く、使用時の熱により比表面積が減少し、これにより担持されているRhの分散性が低下して水素生成能が低下するという不具合があった。
【0007】
そこで特公平6-4135号公報や特開平3-80937 号公報には、イットリアあるいはセリアなどを添加して部分安定化されたジルコニア担体にRhを担持した水素生成触媒が開示されている。また特開平4-265156号公報にはアルカリ金属、アルカリ土類金属を含有するセリアに貴金属を担持した水素生成触媒が、特開平11-226404 号公報にはアルカリ土類金属、希土類元素で安定化されたジルコニアにRhを担持した水素生成触媒が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで水素生成触媒を内燃機関の排ガス中で用いる場合、あるいは自動車などに搭載する内部改質型燃料電池の燃料改質システムに用いる場合などには、水素生成触媒は低温から高温まで様々な温度条件下で使用されることになる。したがって水素生成触媒には、低温域から高活性であり、かつ耐熱性に優れていることが求められている。しかしながら従来の水素生成触媒では、この二つの条件を満たすものはなかった。
【0009】
なお従来の水素生成触媒において低温域における活性が低いのは、担体上の貴金属がメタル状態へ還元されにくいためと考えられる。また高温域における活性が低いのは、担持されている貴金属の粒成長によって反応物を活性化するサイトが減少するためと考えられている。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低温域から高温域まで高い水素生成活性を示し、かつ耐熱性にも優れた水素生成触媒とすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の水素生成触媒の特徴は、炭化水素、酸素及び水蒸気を含むガスから水蒸気改質反応によって水素を生成する触媒であって、 800 ℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5 100nm の細孔容積が 0.04cc /g以上であり、セリアとジルコニア及びアルミナがnmスケールで分散している複合酸化物よりなる担体と、その担体に担持された貴金属と、からなることにある。
【0012】
本発明の水素生成触媒に含まれる複合酸化物においては、複合酸化物を直径1nm以上の微小部分に分割した場合に、その90%以上が、セリウム,ジルコニウム及びアルミニウムの仕込み組成比±20%以内の組成比であることが望ましい。
【0013】
またセリアとジルコニアは少なくとも一部が立方晶系の固溶体を形成していることが望ましく、セリアとジルコニアの合計量が複合酸化物全体の50重量%以上であることが望ましい。さらに貴金属には少なくともロジウムを含むことが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の水素生成触媒では、担体中にセリアとジルコニア及びアルミナが共にnmスケールで分散してなる複合酸化物を含んでいる。この複合酸化物は水蒸気の吸着能が高い。またこの担体に担持された貴金属は、酸化されたとしてもメタル状態に還元されやすく、これによって貴金属の高い活性が保持される。さらに担体と貴金属との相互作用が大きく、高温における貴金属の粒成長が抑制される。これらの相乗効果によって水蒸気改質反応が促進されると考えられる。
【0015】
ここでnmスケールの分散とは、1nm程度の高分解能を有するミクロ分析装置を用いて測定しても、独立した粒子として観察されないレベルの分散状態のことをいう。このようなミクロ分析装置としては、例えば日立製作所(株)製の「HD−2000」などのFE−STEM走査形透過電子顕微鏡がある。
【0016】
セリアとジルコニア及びアルミナがnmスケールで分散している状態は、FE−STEMの EDSを用いた重なりのない一つの粒子の、直径 0.5nm程度のビーム径による微少範囲分析を行うことで確認することができる。そしてこの微小範囲分析による結果、複合酸化物の90%以上が、Ce,Zr及びAlの仕込み組成比±20%以内の組成比であることが望ましい。なおFE−STEMは、Field Effect-Scanning Transmission Electron Microscopyの略称であり、EDS は、Energy Dispersion Spectroscopyの略称である。
【0017】
この複合酸化物では、セリアとジルコニアは少なくとも一部が立方晶系のCeO2−ZrO2固溶体を形成していることが望ましい。このような複合酸化物では、互いに固溶しないCeO2−ZrO2固溶体とアルミナとが互いの障壁として作用するために、高温時のシンタリングが抑制され、高温耐久後にもメソ細孔の細孔容積を高く維持することができる。なおメソ細孔とは、 IUPACでは径が2〜50nmの細孔をいうが、分子の吸着特性などから 1.5〜 100nmの細孔を意味する場合もある。ここでいうメソ細孔は、水銀ポロシメータを用いて原理上測定可能な下限値 3.5nmから 100nmの範囲の細孔を意味する。
【0018】
この複合酸化物においては、高温に曝された後にもシンタリングが少なく、 600℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5〜 100nmの細孔容積が0.07cc/g以上であり、かつ 800℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5〜 100nmの細孔容積が0.04cc/g以上という特性を有する。これにより高温耐久後にも細孔容積が十分に確保される。
【0019】
さらに、 600℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5〜 100nmの細孔容積が0.13cc/g以上であり、 800℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5〜 100nmの細孔容積が0.10cc/g以上であることがより望ましい。
【0020】
そして、この複合酸化物を含む担体に貴金属を担持してなる本発明の水素生成触媒においては、貴金属がメソ細孔に高分散状態で担持され、かつそのメソ細孔が反応場となるため、活性がきわめて高い。さらに、高温耐久後にも貴金属の担持サイトであるメソ細孔が十分に存在するとともに、比表面積も充分に大きく確保されている。そして複合酸化物のシンタリングが抑制されているため貴金属の粒成長も抑制され、高温耐久後の活性の低下が大きく抑制される。
【0021】
またセリアとジルコニアの合計量が複合酸化物全体の50重量%以上であることが望ましく、70重量%以上含まれていることが特に望ましい。したがってアルミナは50重量%未満が好ましく、30重量%未満が特に望ましい。セリアとジルコニアの合計量が70重量%未満あるいは50%未満となると、低温域における水素生成能が低下するようになる。
【0022】
この複合酸化物を製造するには、先ずセリウム化合物とジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物が溶解した水溶液又は水を含む溶液からセリア前駆体とジルコニア前駆体及びアルミナ前駆体又はそれらの前駆体の化合物の沈殿を析出させる。この製造方法により、セリアとジルコニアは少なくとも一部が立方晶系の固溶体を形成する。
【0023】
セリウム化合物、ジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物としては、一般に塩が用いられ、塩としては、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩などが利用できる。また塩を均一に溶解する溶媒としては、水、アルコール類が使用できる。さらに、例えば硝酸アルミニウムの原料として、水酸化アルミニウムと硝酸と水とを混合して用いてもよい。
【0024】
沈殿の析出方法は、主にアンモニア水などの添加によってpHを調節して行うが、様々な調節方法により、さらに特徴的な複合酸化物の前駆体とすることができる。例えば、セリウム化合物とジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物を含む水溶液又は水を含む溶液から、これらの酸化物前駆体又はそれらの前駆体の化合物の沈殿をほぼ同時に析出させる方法、又は、アルミナ前駆体が沈殿するよりも先にセリア前駆体及びジルコニア前駆体を析出させる方法(又はその逆)がある。
【0025】
前者のほぼ同時に析出させる方法については、アンモニア水などを瞬時に添加し強撹拌する方法や、過酸化水素などを加えることでセリア前駆体とジルコニア前駆体及びアルミナ前駆体の沈殿し始めるpHを調節した後、アンモニア水などで沈殿を析出させる方法などがある。
【0026】
また後者については、アンモニア水などで中和させる際にかかる時間を十分に長くし、好ましくは10分以上で中和させる方法や、pHをモニターしながらセリア前駆体沈殿が析出するpH、ジルコニア前駆体が析出するpH又はアルミナ前駆体の沈殿が析出するpHに、段階的に中和する又はそのようなpHに保つような緩衝溶液を添加する方法などがある。
【0027】
なおアンモニア水以外に、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどを溶解した水溶液、アルコール溶液が使用できる。焼成時に揮散するアンモニア、炭酸アンモニウムが特に好ましい。なお、アルカリ性溶液のpHは、9以上であることが前駆体の析出反応を促進するのでより好ましい。
【0028】
そして、このようにして得られた沈殿を焼成することによって本発明にいう複合酸化物とする。
【0029】
熟成工程を行った場合には、加温の熱によって溶解・再析出が促進されるとともに粒子の成長が生じる。この熟成工程は、室温以上、好ましくは 100〜 200℃で、さらに好ましくは 100〜 150℃で行うことが望ましい。 100℃未満の加温では熟成の促進効果が小さく、熟成に要する時間が長大となる。また 200℃より高い温度では、水蒸気圧がきわめて高くなるために、高圧に耐える大がかりな装置が必要になり、製造コストが非常に高くなって好ましくない。そして得られた沈殿物を焼成することで、比較的結晶性が高く大きな粒径の結晶子をもつ複合酸化物が製造される。
【0030】
この焼成工程は、大気中で行えばよく、その温度は 300〜 900℃の範囲が望ましい。焼成温度が 300℃より低いと、実質上、担体としての安定性に欠ける。また 900℃より高温での焼成は比表面積の低下をまねき、担体としての利用法から考えても不必要である。
【0031】
なお、沈殿物が析出した溶液をそのまま加熱して蒸発乾固させ、さらに焼成すれば、蒸発乾固中に熟成工程を行うことができるが、室温以上好ましくは 100℃以上で保持して熟成する方がよい。
【0032】
本発明にいう担体は、上記複合酸化物を含めばよく、上記複合酸化物のみから構成してもよいし、上記複合酸化物の粉末と他の多孔質酸化物粉末を混合して構成することもできる。この他の多孔質酸化物としては、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカなどの一種又は複数種を用いることができる。上記複合酸化物粉末とこの多孔質酸化物粉末とを混合した担体とする場合には、上記複合酸化物粉末が50重量%以上とすることが望ましい。担体中の上記複合酸化物粉末の量がこれより少ないと、水素生成活性が低下し実用的でない。
【0033】
担体に担持される貴金属としては、Pt、Rh、Pd、Irなどから選択することができるが、少なくともRhを含むことが望ましい。少なくともRhを担持することにより、水素生成活性が特に向上する。この貴金属の担持量は、担体 100gあたり 0.1〜10gとするのが好ましい。担持量がこれより少ないと水素生成活性が低く、これより多く担持しても水素生成活性が飽和するとともに貴金属どうしの粒成長が生じる場合がある。
【0034】
本発明の水素生成触媒は、少なくとも炭化水素と水蒸気を含むガスと接触されることで、水蒸気改質反応により低温域から高温域まで高い活性で水素を生成する。さらに酸素を含むガスと接触させることが好ましい。そしてこのようなガスとして、ディーゼルエンジンからの排ガスを用いることが特に好ましい。ディーゼルエンジンからの排ガス中には、炭化水素、水蒸気及び酸素が豊富に存在するので、水素を生成するとともにディーゼルエンジンからの排ガスを浄化することができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0036】
(実施例1)
硝酸アルミニウム9水和物 0.2モル(75.1g)を2000mlのイオン交換水に混合し、プロペラ撹拌器で5分間撹拌して溶解した。そこへ濃度28重量%の硝酸セリウム水溶液 265g(CeO2換算で0.43モル相当)を混合し、5分間撹拌した後、さらに硝酸ジルコニル2水和物 0.068モル(18.1g)をイオン交換水30gに溶解した水溶液を混合し、5分間撹拌した。得られた混合水溶液に、25%アンモニア水 177gを加え、さらに10分間撹拌して沈殿物を含む水溶液とした。これを2気圧の加圧下にて 120℃で2時間熱処理する熟成工程を行い、沈殿物を熟成した。
【0037】
その後、熟成された沈殿物を含む水溶液を 100℃/時間の昇温速度で加熱し、 400℃で5時間仮焼成し、さらに 600℃で5時間焼成して複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末は、約80重量%のCeO2と約9重量%のZrO2及び約11重量%の Al2O3から構成されている。
【0038】
この複合酸化物粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、大気中 300℃で3時間焼成することによりRhを5重量%担持した。これをさらに定法によって粒径 0.5〜1mmのペレットに成形し、ペレット触媒を調製した。
【0039】
(実施例2)
硝酸アルミニウム9水和物 0.2モル(75.1g)を2000mlのイオン交換水に混合し、プロペラ撹拌器で5分間撹拌して溶解した。そこへ濃度28重量%の硝酸セリウム水溶液 159g(CeO2換算で0.26モル相当)を混合し、5分間撹拌した後、さらに硝酸ジルコニル2水和物0.31モル(82.4g)をイオン交換水30gに溶解した水溶液を混合し、5分間撹拌した。得られた混合水溶液に、25%アンモニア水 177gを加え、さらに10分間撹拌して沈殿物を含む水溶液とした。これを2気圧の加圧下にて 120℃で2時間熱処理する熟成工程を行い、沈殿物を熟成した。
【0040】
この沈殿物を実施例1と同様に熟成した後同様に焼成し、複合酸化物粉末を得た。そして得られた複合酸化物粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、大気中 300℃で3時間焼成することによりRhを5重量%担持した。これをさらに定法によって粒径 0.5〜1mmのペレットに成形し、ペレット触媒を調製した。
【0041】
(比較例1)
濃度28重量%の硝酸セリウム水溶液 166g(CeO2換算で0.27モル相当)に、硝酸ジルコニル2水和物0.33モル(88.2g)をイオン交換水30gに溶解した水溶液を混合し、プロペラ撹拌器で5分間撹拌した。得られた混合水溶液に、25%アンモニア水 177gを加え、さらに10分間撹拌して沈殿物を含む水溶液とした。これを 100℃/hrの昇温速度で加熱し、 400℃で5時間仮焼成し、さらに 600℃で5時間焼成して複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末は、約53重量%のCeO2と約47重量%のZrO2から構成されている。
【0042】
この複合酸化物粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、大気中 300℃で3時間焼成することによりRhを5重量%担持した。これをさらに定法によって粒径 0.5〜1mmのペレットに成形し、ペレット触媒を調製した。
【0043】
(比較例2)
市販のγ−アルミナ粉末(比表面積 210m2/g)に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、大気中 300℃で3時間焼成することによりRhを5重量%担持した。これをさらに定法によって粒径 0.5〜1mmのペレットに成形し、ペレット触媒を調製した。
【0044】
(比較例3)
市販のジルコニア粉末(比表面積 110m2/g)に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、大気中 300℃で3時間焼成することによりRhを5重量%担持した。これをさらに定法によって粒径 0.5〜1mmのペレットに成形し、ペレット触媒を調製した。
【0045】
(比較例4)
市販のカルシウム含有セリア粉末(カルシウム含有率1モル%、比表面積 120m2/g)に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、大気中 300℃で3時間焼成することによりRhを5重量%担持した。これをさらに定法によって粒径 0.5〜1mmのペレットに成形し、ペレット触媒を調製した。
【0046】
(比較例5)
市販のイットリア含有安定化ジルコニア粉末(イットリア含有率5モル%、比表面積85m2/g)に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、大気中 300℃で3時間焼成することによりRhを5重量%担持した。これをさらに定法によって粒径 0.5〜1mmのペレットに成形し、ペレット触媒を調製した。
【0047】
<試験・評価>
表1に、実施例及び比較例の触媒の組成を示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004269560
【0049】
FE−STEMの EDSを用い、実施例1及び実施例2で調製された複合酸化物粉末の重なりのない一つの粒子を直径 0.5nmのビーム径により元素分析を行った。結果を図1に示す。分析条件は、(株)日立製作所製「 HD-2000」を使用し、加速電圧 200kVで測定した。この装置は EDX検出器( NCRAN社製 Vatage EDX system)を備え、試料から発生する特性X線によって高感度で元素分析ができるようになっている。
【0050】
図1からわかるように、直径 0.5nmのビーム径によりきわめて微小な部分を分析しても、Ce,Zr及びAlの組成分布は仕込み原子比(実施例1Ce:Zr:Al=62:10:28,実施例2Ce:Zr:Al=34:40:26)を中心として±10%以内と、狭い範囲に集中していることが明らかである。もし例えばCeO2,ZrO2及び Al2O3が 0.5nm以上の粒子として存在するとすれば、上記測定によってCe,Zrあるいは Alが 100 %の部分が多数検出されるはずである。
【0051】
立方晶系のCeO2(ハナワルト法の PDF番号34−0394)、Ce0.75Zr0.25O2(同38−0271)、Ce0.6 Zr0.4 O2(同28−0271)及びZrO2(同28−0271)の( 311)格子面間隔の文献値と、原子比Zr/(Ce+Zr)との関係を図2に示す。図2では、CeO2−ZrO2系複合酸化物の格子面間隔と原子比Zr/(Ce+Zr)との間に直線関係が認められる。すなわちCeO2−ZrO2系複合酸化物が固溶体を形成すれば、ベガードの規則が成立することがわかる。
【0052】
そこで粉末X線回折法を用い、実施例1及び実施例2で調製された複合酸化物粉末の結晶構造解析を行った。立方晶系の( 311)格子面間隔の測定結果と、上記直線関係から算出される原子比Zr/(Ce+Zr)を図2に示す。
【0053】
図2からわかるように、粉末X線回折分析から算出された原子比Zr/(Ce+Zr)は、仕込み組成の原子比Zr/(Ce+Zr)とほぼ一致している。すなわち実施例1及び実施例2で調製された複合酸化物では、CeO2−ZrO2固溶体が形成されていることが明らかである。
【0054】
次に実施例1,2及び比較例1〜5のペレット触媒について、表2に示すリーンモデルガスを4分間、リッチモデルガスを1分間交互に切り替えて流しながら、共に入りガス温度 700℃で5時間加熱する高温耐久試験を行った。
【0055】
【表2】
Figure 0004269560
【0056】
そして高温耐久試験後の各触媒を常圧固定床流通型反応装置に装填し、n-C16H34(320ppm)、O2(0.25%)、 H2O(10%)、残部N2からなるモデル排ガスを15,000ml/分で供給しながら、10℃/分の昇温速度で 500℃まで昇温した。このモデル排ガスにより、触媒上では前述の水蒸気改質反応、部分酸化反応、酸化反応及びCOシフト反応が進行する。
【0057】
そこで反応前後のC、H及びO原子の物質収支が一致すると仮定して、以下の三式より(1)式を導き、昇温中に測定した CO2、CO及びO2の各濃度を(1)式に代入して生成した水素濃度を算出した。結果を図3に示す。
【0058】
C:16 [n-C16H34]0=16[n-C16H34]+ [CO2]+[CO]
H:34 [n-C16H34]0+ 2[H2O]0=34[n-C16H34]+ 2 [H2O]+ 2[H2]
O: 2 [O2]0+[H2O]0= 2[O2]+ [H2O]+ 2 [CO2]+[CO]
[H2](%)=(49/16)[CO2] +(33/16)[CO]− 2([O2]0−[O2]) (1)
(ここで [x]0は反応前のxの濃度、[x]は反応後のxの濃度を示す)
図3からわかるように、実施例1,2の触媒は比較例1〜5の触媒と比較して、低温域から高温域まで高い水素生成活性を示している。すなわち、CeO2−ZrO2固溶体とアルミナがnmスケールで分散している複合酸化物にRhを担持した触媒を用いれば、優れた水素生成活性が得られることが明らかである。
【0059】
また実施例1,2及び比較例1〜5のペレット触媒について、高温耐久試験後のRhの粒子径をCOパルス吸着法によりにより測定し、結果を図4に示す。
【0060】
図4より実施例1,2及び比較例2の触媒は、他の触媒に比べてRhの粒子径が小さいことがわかる。この原因は明らかではないが、アルミナのように熱的に安定な成分を含む酸化物を担体とすることによって、高温耐久試験時におけるRhの粒成長が抑制されると考えられる。
【0061】
次に、高温耐久試験後の実施例1,2及び比較例1〜5のペレット触媒について、それぞれ大気中 500℃で5時間焼成した後、C3H6( 7000ppm)、O2(1%)、残部N2よりなる混合ガス中にて 250℃で10分間還元処理した。還元処理後の各触媒のRhの酸化状態をX線光電子分光法( XPS)を用いて測定した。Rhは3価のカチオン状態と0価のメタル状態で観察され、各触媒におけるメタル状態のRhの割合を測定した結果を図5に示す。
【0062】
実施例1,2及び比較例1の触媒は、他の触媒に比べてメタル状態のRhの割合が高い。また一般的に水蒸気改質反応においては、メタル状態のRhがカチオン状態のRhより触媒として有効と言われている。
【0063】
以上のことから、実施例1,2のようにCeO2−ZrO2固溶体とアルミナが共にnmスケールで分散してなる複合酸化物粉末を担体とすることで、高温耐久試験時におけるRhの粒成長が抑制され、かつRhのメタル状態への還元が促進されることがわかる。そしてこれらの作用により、実施例1,2の触媒は高温耐久試験後にも優れた水素生成能を示したと考えられる。
【0064】
【発明の効果】
すなわち本発明の水素生成触媒によれば、初期ばかりでなく高温耐久後も低温域から高温域まで高い水素生成活性を示し、耐熱性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の複合酸化物の直径 0.5nm範囲のCe,Zr,Al原子比分析結果と仕込み組成を三角座標で示すグラフである。
【図2】CeO2−ZrO2複合酸化物の( 311)格子面間隔とCe,Zr原子比との関係を示すグラフである。
【図3】実施例及び比較例の触媒の高温耐久試験後における温度と水素生成濃度の関係を示すグラフである。
【図4】実施例及び比較例の触媒の高温耐久試験後におけるRh粒子の大きさを示すグラフである。
【図5】実施例及び比較例の触媒の高温耐久試験後におけるメタル状態のRhの割合を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 炭化水素、酸素及び水蒸気を含むガスから水蒸気改質反応によって水素を生成する触媒であって、
    800 ℃で5時間の焼成後に細孔直径が 3.5 100nm の細孔容積が 0.04cc /g以上であり、セリアとジルコニア及びアルミナがnmスケールで分散している複合酸化物よりなる担体と、
    該担体に担持された貴金属と、からなることを特徴とする水素生成触媒。
  2. 前記複合酸化物よりなる担体は共沈法によって製造された請求項1に記載の水素生成触媒。
  3. 前記複合酸化物を直径1nm以上の微小部分に分割した場合に、その90%以上が、セリウム,ジルコニウム及びアルミニウムの仕込み組成比±20%以内の組成比である請求項1に記載の水素生成触媒。
  4. セリアとジルコニアは少なくとも一部が立方晶系の固溶体を形成している請求項1に記載の水素生成触媒。
  5. セリアとジルコニアの合計量が複合酸化物全体の50重量%以上である請求項1に記載の水素生成触媒。
  6. 前記貴金属には少なくともロジウムを含む請求項1に記載の水素生成触媒。
  7. 前記ガスはディーゼルエンジンからの排ガスである請求項1に記載の水素生成触媒。
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