JP4259628B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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- KVDNNUZYQSISHS-TWKHWXDSSA-N C(Cc(ccc1ccc2)c3c1c2C=CC31)C1/C=N/N(c1ccccc1)c1ccccc1 Chemical compound C(Cc(ccc1ccc2)c3c1c2C=CC31)C1/C=N/N(c1ccccc1)c1ccccc1 KVDNNUZYQSISHS-TWKHWXDSSA-N 0.000 description 1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体に関するものである。詳しくは、感度、耐久性を損なうことなく、塗布液の寿命を大幅に延長させる効果がある電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されてきている。電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として従来からのセレニウム、ヒ素−セレニウム合金、硫化カドミニウム、酸化亜鉛といった無機系の光導電体から、最近では、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。有機感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層及び電荷移動層を積層した積層型感光体が知られている。
【0003】
積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷移動物質を組合せることにより高感度な感光体が得られること、材料の選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから、感光体の主流になる可能性も高く鋭意開発され実用化されている。しかしながら現在実用化されている積層型感光体は、特に耐久性において無機系の感光体に比較し劣っている。その耐久性を決める要因の一つとして物理的な特性が挙げられる。すなわちトナーによる現像、紙との摩擦、方法によって負荷は異なるがクリーニング部材による摩擦等の実用上の負荷によって摩耗や表面傷が発生しやすいという欠陥を有しているため、実用上は限られた耐刷性能にとどまっているのが現状である。一般に積層型感光体の場合この様な負荷を受けるのは電荷移動層である。電荷移動層は通常バインダー樹脂と電荷移動剤からなっており、実質的に強度を決めるのはバインダーポリマーであるが、電荷移動剤のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるに至っていない。また、より高速の電子写真プロセスで使用する場合には高感度、高寿命であることのほかに、露光されてから現像されるまでの時間が短くなるために応答性がよいことも必要となる。感光体の応答性は電荷移動層、中でも電荷移動剤により支配されるがバインダーポリマーによっても大きく変ることが知られている。
【0004】
これまで電荷移動層のバインダーポリマーとしてはポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられてきている。数あるバインダーポリマーのなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている。例えば特開昭50−98332号公報にはビスフェノールPタイプのポリカーボネートが、特開昭59−71057号公報にはビスフェノールZタイプのポリカーボネートが、特開昭59−184251号公報にはビスフェノールPおよびビスフェノールAの共重合タイプのポリカーボネートをバインダーポリマーとして使用することがそれぞれ開示されている。
一方、特開昭56−135844号公報には、商品名「U−ポリマー」として市販されている下記構造のポリアリレート樹脂をバインダーとして用いた電子写真感光体の技術が開始され、その中でポリカーボネートに比較して特に感度が優れていることが示されている。
【0005】
【化2】
【0006】
また、特開平7−333911号公報では、ジカルボン酸成分にテレフタル酸のみを使用した特定の構造のポリアリレート(芳香族ポリエステル)を含有することを特徴とする電子写真用キャリアおよび帯電付与部材が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現状に用いられているポリカーボネート樹脂を電子写真プロセスに使用した場合、耐摩耗性、耐擦傷性、応答性、基盤との接着性等で未だ不十分な場合が多い。また、市販のポリアリレート樹脂「U−ポリマー」では耐摩耗性、感度では若干の向上が見られるものの、その塗布液の安定性は極めて悪く、1週間ほどで固化して塗布不能になってしまう。また、特開平7−333911号公報で開示されているジカルボン酸成分にテレフタル酸のみを使用した特定の構造のポリアリレートを使用した場合、ハロゲン化炭化水素には容易に溶解するものの、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンといった環境にやさしい非ハロゲン系溶媒には溶解性が低く、その液の安定性も悪い。そのため、より耐摩耗性に優れ、且つ非ハロゲン系溶媒に易溶で、且つ液安定性に優れたバインダーポリマーが望まれているのが現状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、感光層に使用するバインダーポリマーについて詳細に検討した結果、特定の構造のポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として用いることにより十分な機械的特性を有し、且つ非ハロゲン系溶媒にも高い溶解性を示し、塗布液の安定性が著しく向上することを見出し本発明に至った。すなわち本発明の要旨は、導電性支持体上に電荷発生層及び電荷移動層を積層した積層型の電子写真感光体であって、該電荷移動層は一層より成り、バインダー樹脂として、一般式(1)に示したポリアリレート構造を有する樹脂が、非ハロゲン系溶媒に溶解されてなる塗布液を塗布、乾燥させることにより形成された感光層を有することを特徴とする、電子写真感光体である。
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、R1 はメチル基を表し、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立に、水素原子、又はメチル基を表す。また、m、nについてはm:n=1:1である。)
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂は電子写真感光体に用いられ、該感光体の導電性支持体上に設けられる。導電性支持体としてはアルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル、等の金属材料、表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム、等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、フェノール樹脂パイプ、紙管等の絶縁性支持体が使用される。
【0012】
この様な導電性支持体上に感光層が設けられるが、この間に通常使用されるような公知のバリアー層が設けられていても良い。バリアー層としては例えばポリアミド、ポリウレタン、セルロース、ニトロセルロース、カゼインナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アルミニウム陽極酸化被膜等が使用される。通常バリアー層の膜厚は0.1μmから20μmで使用される。本発明の樹脂が使用される感光層は、分散型及び積層型のいずれであってもよい。分散型の場合の光導電材料としてはセレニウム、及びその合金、硫化カドミニウム、その他無機系光導電体、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料が使用でき、これらの微粒子及び後述の電荷移動材料を本発明のポリアリレート樹脂で結着した形で使用される。この場合ポリアリレート樹脂100重量部に対して光導電性粒子は1から50重量部、電荷移動材料は30から150重量部の範囲より使用されるのが好ましい。また膜厚は通常5から50μm好ましくは10から30μmが好適である。積層型感光体の場合その電荷発生層に使用される電荷発生材料としては上記の各種光導電材料が使用でき、これらの微粒子を本発明のポリアリレート樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。この場合の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して30から500重量部の範囲より使用され、その膜厚は通常0.1μmから1μm、好ましくは0.15μmから0.6μmが好適である。
【0013】
電荷移動層の電荷移動材料としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラシアノキノジメタンなどの電子吸引性物質、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。これらの電荷移動材料が本発明のポリアリレート樹脂に結着した形で電荷移動層が形成される。この場合の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して電荷移動材料は20から150重量部、好ましくは50から110重量部の範囲より使用される。また膜厚は10から50μm好ましくは15から45μmがよい。なお電荷移動層には、成膜性、可とう性、塗布性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの添加剤を含有させても良い。
【0014】
次に請求項1におけるポリアリレート樹脂の構造についてさらに具体例を示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
一般式(1)中の、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
また、m、nについて、m/(m+n)の値が0.3以上1.0以下とした理由は、テレフタル酸の割合がイソフタル酸の割合に比べて大過剰になると非ハロゲン系溶媒に対する溶解度が極端に低下するためである。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を製造例、実施例および比較例により更に詳細に説明する。なお、本発明はここに示した製造例による製造法に限定されるものではない。
製造例1(実施例1のポリアリレート樹脂Aの製造法)
1L三角フラスコに水酸化ナトリウム(8.0g)とH2 O(800ml)と2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(25.66g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(1.37g)を秤り取り、撹拌して溶解した。このアルカリ水溶液を2L反応槽に移し、激しく撹拌したところヘジクロロメタン(200ml)を加えた。別途、イソフタル酸クロリド(10.15g)、テレフタル酸クロリド(10.15g)をジクロロメタン(100ml)に溶解した溶液をただちに添加した。1時間激しく撹拌したのち、撹拌を止め静置して有機層を分離し、この有機層を0.1N塩酸(800ml)、H2 O(800ml)、H2 O(800ml)にて順次洗浄した。洗浄後の有機層を、メタノール(4L)中に注いで得られた白色繊維状固体を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリアリレート樹脂Aが得られた。構造は 1H−NMRにて確認した。また、得られたポリアリレート樹脂Aの数平均分子量;Mnは22500、重量平均分子量;Mwは67200(Mn、Mwはいずれもポリスチレン換算値)であった。構造式を下記に示す。
【0016】
【化4】
【0017】
製造例2(実施例2のポリアリレート樹脂Bの製造法)
製造例1中のビスフェノールを2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(28.04g)に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドの量を(13.75g)に代えた以外は製造例1と同様に行った。得られたポリアリレート樹脂BのMnは22500、Mwは64600(Mn,Mwはいずれもポリスチレン換算値)であった。構造式を下記に示す。
【0018】
【化5】
【0019】
製造例3(比較例3のポリアリレート樹脂Eの製造法)
製造例1中のビスフェノールを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(26.84g)に代えた以外は製造例1と同様に行った。得られたポリアリレート樹脂EのMnは24400、Mwは72100(Mn、Mwはいずれもポリスチレン換算値)であった。構造式を下記に示す。
【0020】
【化6】
【0021】
実施例−1
下記構造式を有するビスアゾ化合物10重量部を150重量部の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンに加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行なった。ここで得られた顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)の5%ジメトキシエタン溶液100部及びフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製、商品名PKHH)の5%ジメトキシエタン溶液100部の混合液に加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
【0022】
【化7】
【0023】
この様にして得られた分散液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布しその乾燥膜厚が0.21g/mm2 となるように電荷発生層を設けた。
次にこのフィルム上に、次に示すヒドラゾン化合物95重量部と
【0024】
【化8】
【0025】
下記構造のシアノ化合物1.5重量部と
【0026】
【化9】
【0027】
酸化防止剤として下記構造のヒンダードフェノール3重量部と
【0028】
【化10】
【0029】
レベリング剤としてシリコーンオイル0.03重量部及び前述の製造例1にて重合したポリアリレート樹脂A100重量部をジオキサン、テトラヒドロフランの混合溶媒に溶解させた液(塗布液Aと称す)を塗布した後、125℃で25分乾燥させ、乾燥後の膜厚が21μmとなるように電荷移動層を設けた。
この様にして得られた感光体を感光体Aとする。
【0030】
実施例−2
前述の製造例2にて重合したポリアリレート樹脂Bを電荷移動層のバインダーとして用いた以外は実施例−1とすべて同様に行ない、塗布液Bおよび感光体Bを作成した。
比較例−1
次に示すポリカーボネート樹脂C(三菱瓦斯化学製「ユーピロンE−2000」)を電荷移動層のバインダーとして用いた以外は実施例−1とすべて同様に行ない、塗布液Cおよび感光体Cを作成した。
【0031】
【化11】
【0032】
比較例−2
次に示すポリアリレート樹脂D(ユニチカ製「U−ポリマー」U−100)を電荷移動層のバインダーとして用いた以外は実施例−1とすべて同様に行ない、塗布液Dおよび感光体Dを作成した。
【0033】
【化12】
【0034】
比較例−3
前述の製造例3にて重合したポリアリレート樹脂E100重量部を電荷移動層のバインダーとして用いるために、テトラヒドロフラン466重量部、1,4−ジオキサン252重量部の混合溶媒に溶解しようと試みたが、途中樹脂Eを73重量部まで加えたところで、液全体が白色固化してしまい、塗布液作成に至らなかった。
実施例1、2および比較例1、2にて作成した電荷移動層用塗布液A〜Dをガラス瓶中に密閉し、室温にて放置して液安定性を観察した。その結果を表1に示した。
【0035】
次に、これらの感光体A〜Dの耐摩耗性を調べるために、該感光体フィルムを直径10cmの円状に切断し、テーバー摩耗試験による摩耗評価を行った。試験条件は23℃、50%RHの雰囲気下にて、摩耗輪CS−10Fを用い、250g荷重、100回転後の重量減少の平均値にて比較した。その結果を表2に示す。なお、該摩耗試験は1サンプルにつき4回連続して行い、初回の値を除いた3点の平均値をサンプルの摩耗量とした。該摩耗量は値が小さい程耐摩耗性に優れることを示した。
【0036】
更に、電気特性を調べるため、感光体A〜Dを感光体特性測定機(川口電気(株)製、モデルEPA−8100)に装着し、帯電時の電位が750±20Vなるようにアルミニウム面への流れ込み電流を設定し帯電させた後、露光、除電を行い、そのときの半減露光感度E1/2 を測定した。その結果について表2に示した。このE1/2 の値は小さい程、感度が良いことを示す。
【0037】
【0038】
【0039】
以上の事より本発明のポリアリレート樹脂を用いた電子写真感光体用塗布液は、経時変化しにくく、耐摩耗性および感度についても従来のバインダーに比べ遜色ない性能を有していることが判る。
【0040】
【発明の効果】
本発明のポリアリレート樹脂は有機溶剤に対する溶解性が優れており、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどの非ハロゲン系溶媒に対しても高い溶解性を示し、これらの溶媒を用いて塗布液の調製ができるため環境上や安全衛生上の問題も少ない。
更に、非ハロゲン系溶媒で調整した塗布液を常温にて保管した場合、1ヶ月以上にわたり、固化することなく保存できるため、コストもかからず安定的に感光体の製造が可能になった。
加えて、本発明のポリアリレート樹脂を使用した感光体は従来のポリカーボネート樹脂あるいは「U−ポリマー」を使用した感光体と比較しても、機械的特性並び電気特性、特に感度について遜色ないと言える。
Claims (2)
- 電荷移動層にレベリング剤を含有する、請求項1に記載の電子写真感光体。
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