JP3953909B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真プロセスを用いた複写機やプリンターなどに用いられる、耐久性が優れていて、表面の滑り性が良い、電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されてきている。
電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として従来からのセレニウム、ヒ素−セレニウム合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛といった無機系の光導電体から、最近では、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。
【0003】
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるためその間様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては例えば、帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化がある。またこれとは別の劣化としてクリーニングブレード、磁気ブラシなどの摺擦や現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった機械的劣化がある。特にこの様な感光層表面に生じる損傷はコピー画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すなわち高寿命の感光体を開発するためには電気的、化学的耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることも必須条件である。
【0004】
有機系の光導電材料を使用した感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。また、積層型感光体では電荷発生層及び電荷輸送層を導電性基体上にこの順で積層した順積層型感光体と、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層した逆積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから感光体の主流として鋭意開発され実用化されている。
【0005】
一般に順積層型感光体の場合に、電気的、化学的または機械的負荷を受けるのは、最外層にある電荷輸送層である。電荷輸送層は通常バインダー樹脂と電荷輸送物質からなっており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、電荷輸送物質のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるには至っておらず、より耐久性の高い有機感光体が望まれている。
【0006】
さらに、装置の小型化や省電力化を図るため、感光体表面の滑り性をより良くしてブレードなどの周辺部材との摩擦抵抗を小さくし、感光体の所要回転トルクを小さくすることや、摩耗および異音の発生を防止することが望まれている。
感光体の電荷輸送層を形成するためのバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられてきている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている。
【0007】
しかし、従来のポリカーボネートを用いた有機感光体では機械的強度が充分でないため、実用上の負荷によって表面が摩耗してしまったり、傷が生じてしまったりする事がある。また、表面滑り性が悪いため、感光体の動作に大きな力が必要であったり、トナーのクリーニング性不良、異音の発生などの欠点を有しているため、実用上は限られた印刷性能にとどまっているのが現状である
一方、特開平10−288846号公報には特定の動粘度範囲をもつポリエステル樹脂を使用した電子写真感光体が、機械的強度のうち特に耐摩耗性が優れていることが示されており、特開昭56−135844号公報には、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリエステル樹脂をバインダーとして用いた電子写真用感光体の技術が示され、その中でポリカーボネートに比して特に感度が優れていることが示されている。また、特開平3−6567号公報では、ビスフェノール成分にテトラメチルビスフェノールF及びビスフェノールAを使用した構造のポリエステル共重合体を含有することを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、繰り返し使用において、耐刷性、耐摩耗性、耐傷性、滑り性などの機械的性質に優れ、しかも電気特性の優れた電子写真感光体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層のバインダー樹脂として、ポリエステル樹脂と特定のポリカーボネート樹脂を同時に含有させることにより、帯電性、感度、残留電位等の電気特性、塗布性等を損なうことなく、上記機械的性質を改善させることが可能となることを見いだし本発明を完成した。
【0010】
即ち本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層が形成されてなる電子写真感光体において、該感光層が、ポリエステル樹脂および下記一般式(1)で表される構造単位のみからなるポリカーボネート樹脂を含有し、前記ポリエステル樹脂が下記一般式(2)で表される構造単位を有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
【0011】
【化5−1】
Figure 0003953909
【化5−2】
Figure 0003953909
(一般式(2)中、Aは下記一般式(3)で表される群から選ばれ、ポリエステル樹脂はA部分の構造が異なる2種類以上の構造単位による共重合体である。一般式(3)中、R 〜R はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を持っていても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換基を持っていても良い炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン原子または、置換基を持っていても良い炭素数6〜20の芳香族基を示す。R は−CH −である。)
【化5−3】
Figure 0003953909
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明において、感光層のバインダー樹脂として用いられるポリエステル樹脂と同時に含有させるポリカーボネート樹脂は、一般式(1)で示される繰り返し構造単位のみからなるものであり、特開昭63−148263号公報に記載の製造方法にて合成することが出来るが、これに限定されるものではない。
【0013】
【化6】
Figure 0003953909
【0014】
分子量としては、粘度平均分子量で10,000以上が好ましく、より好ましくは20,000以上で、100,000以下が好ましく、より好ましくは70,000以下の範囲で用いられる。分子量が低すぎると機械的強度が不足し、逆に分子量が高すぎると感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下するといった不具合が生ずる。
<ポリエステル樹脂>
また、本発明に用いられるポリエステル樹脂には種々の構造を持つものが利用でき、好ましくは一般式(2)で表される構造を有するものである。
【0015】
一般式(2)中、Aは下記一般式(3)で表される群から選ばれ、異なる2種類以上であ。一般式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を持っていても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換基を持っていても良い炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン原子または、置換基を持っていても良い炭素数6〜20の芳香族基を示す。R−CH −である
【0016】
【化7】
Figure 0003953909
【0017】
【化8】
Figure 0003953909
【0018】
分子量としては、粘度平均分子量で10,000以上が好ましく、より好ましくは20,000以上で、100,000以下が好ましく、より好ましくは70,000以下の範囲で用いられる。分子量が低すぎると機械的強度が不足し、逆に分子量が高すぎると塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下するといった不具合が生ずることは、ポリカーボネート樹脂の場合と同様である。
【0019】
ポリエステル樹脂は、感光層形成のための塗布液とした際の安定性などの観点から、A部分の構造が異なる2種以上の構造単位による共重合体である。また、一般式(3)におけるRが−CH−であるものが好ましく、かつ、R〜Rすべてが水素原子である構造単位を含むものがより好ましい。最も好ましい構造は一般式(4)で表されるポリエステル樹脂を含むものである。
【0020】
【化9】
Figure 0003953909
【0021】
上記ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の混合比(重量比)としては、ポリカーボネート樹脂の下限が、5重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは25重量%以上である。また、その上限が、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは75重量%以下である。ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂は、互いに混合比率が低すぎると、充分な機械的強度と滑り性が得られない。
【0022】
ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の分子量や、ポリエステル樹脂の構造、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の混合比などの組み合わせは、上記範囲において自由に選ぶことができる。
感光体の耐久性と滑り性は、バインダー樹脂に大きく依存するため、その摩耗量が一定以下のものが好ましい。具体的には、目的の感光体と同じ構成の感光層をシート状に作成した感光体フィルムを、テーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転させて試験した際の試験前後の重量減少が、4.0mg以下であるものがより好ましい。
<ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明に用いるポリエステル樹脂の製造方法としては、特開2001−242645号公報に記載されているような、公知の重合方法を用いることができる。具体的には界面重合法、溶融重合法、溶液重合法などが挙げられる。
【0023】
例えば、界面重合法による製造の場合は、ビスフェノール成分をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、芳香族ジカルボン酸クロライド成分を溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0〜40℃の範囲、重合時間は2〜12時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相を分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂を得られる。
【0024】
ここで用いられるアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリ成分の使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01〜3倍当量の範囲が好ましい。
また、ここで用いられる、ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロルベンゼンなどを挙げることができる。
【0025】
触媒として用いられる四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の三級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライドなどが挙げられる。
【0026】
また、この重合の際に分子量調節剤としてフェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、および2,6−ジメチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類、o,m,p−フェニルフェノール等の一官能性のフェノール、酢酸クロリド、酪酸クロリド、オクチル酸クロリド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルフォニルクロリド、ベンゼンスルフィニルクロリド、スルフィニルクロリド、ベンゼンホスホニルクロリドやそれらの置換体等の一官能性の酸ハロゲン化物を存在させても良い。これら分子量調節剤の中でも2,6ジメチルフェノール誘導体が、分子調節能が高く好ましい。
【0027】
2,6−ジメチルフェノール誘導体の具体例としては、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,3,4,6−テトラメチルフェノール、2,6−ジメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−4−ノニルフェノール、2,6−ジメチル−4−アセチルフェノール、α―トコフェロールなどが揚げられる。これらの中でも2,3,6−トリメチルフェノールが、生成したポリマーの溶液安定性の点で好ましい。
【0028】
また、一般式(2)に示される構造の繰り返し単位から成るポリアリレート樹脂において、上述した分子量調整剤など、分子鎖末端に存在する基は繰り返し単位に含まれるものではない。
<導電性支持体>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を形成して構成される。
【0029】
感光層が形成される導電性支持体としては周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル、亜鉛、インジウム、金、銀等の金属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム、導電性高分子等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。又、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。このように導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理、例えば、表面の酸化処理や薬品処理を行うことができる。形状はドラム、シート、ベルト、シームレスベルト等の任意の形状を取ることができる。
<ブロッキング層>
導電性支持体と感光層との間には通常使用されるような公知のブロッキング層が設けられていてもよい。ブロッキング層としては、例えばアルミニウムの陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドなどの有機層が使用される。有機層をブロッキング層として用いる場合には単独あるいはチタニア、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム等の金属酸化物あるいは銅、銀、アルミニウム等の金属微粉末を分散させて用いてもよい。
【0030】
これらのブロッキング層の膜厚は適宜設定できるが、通常、0.05〜20μm、好ましくは0.1〜10μmの範囲である。
<感光層の構成>
感光層は、いわゆる積層型の感光層、あるいは分散型の感光層のいずれの形態も用いることができるが、感光体の機械的物性、電気特性、製造安定性など総合的に勘案して、順積層型の感光体が好ましい。
<電荷発生物質>
感光層に含有される電荷発生物質としては、酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、その他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、ペリレン、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、色素が使用できる。中でも、ペリレン、無金属フタロシアニン、銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、シリコン、錫、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属、又は酸化物、塩化物、水酸化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が望ましい。
【0031】
また、1回転目の帯電性の改良、光疲労の低減、感度の調整といった目的で2種類以上の電荷発生物質を混合して用いても良い。
<電荷輸送物質>
本発明において、感光層に用いられる電荷輸送物質としては、ジフェノキノン誘導体、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどの芳香族ニトロ化合物、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などが挙げられる。なお、上記電荷輸送物質は、2種類以上を混合して使用しても良い。
<分散型感光層>
本発明の電子写真感光体が分散型の感光層を有する場合は、電荷発生物質は電荷輸送物質と共に、一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂を含有する層中に分散または溶解して用いられる。
【0032】
この際、電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは、0.5μm以下で使用される。
感光層内に分散または溶解される電荷発生物質の量は、例えば0.5〜50重量%の範囲であるが、少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
【0033】
さらに、感光層には、必要に応じて酸化防止剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、滑剤、紫外線吸収剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
またこの他に、塗膜の機械的強度や、耐久性向上のための種々の添加剤を用いることもできる。この様な添加剤としては、周知の可塑剤や、種々の安定剤、流動性付与剤、架橋剤等が挙げられる。
【0034】
得られる塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、感光層を形成するが、通常、数μ〜数十μ、好ましくは10〜45μm、さらに好ましくは20〜35μmで用いられる。
<積層型感光層>
i)電荷発生層
本発明の電子写真感光体が積層型感光層を持つ場合は、電荷発生物質は単独で、またはバインダー樹脂と共に用いられて、電荷発生層を形成する。
【0035】
電荷発生物質をボールミル、超音波分散器、ペイントシェイカー、アトライター、サンドグラインダ等により適当な分散媒に分散、溶解し、必要に応じてバインダー樹脂を添加して塗布液を調整し、この塗布液をディッピング法、スプレー法、バーコーター法、ブレード法、ロールコーター法、ワイヤーバー塗工法、ナイフコーター塗工法、等の塗布法により塗布後、乾燥する。
【0036】
バインダー樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル、、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリアミド、けい素樹脂等が挙げられる。この場合、電荷発生物質はバインダー樹脂100重量部に対して通常5〜500重量部であり、好ましくは20〜300重量部である。電荷発生層の膜厚は通常0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.15〜0.8μmである。また電荷発生層は必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0037】
電荷発生物質が単独で用いられる場合には、上記分散液にバインダーを添加せずに塗布液を調整し、塗布しても良いし、蒸着やスパッタリング等の方法で形成しても良い。
ii) 電荷輸送層
本発明の電子写真感光体が機能分離型の感光層を有する場合、電荷輸送物質は、一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂を含有するバインダー樹脂に混合されて、電荷輸送層を形成する
電荷輸送物質およびバインダー樹脂の割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常、電荷輸送物質が10〜200重量部、好ましくは30〜150重量部の範囲で使用され、バインダー樹脂中に含まれる一般式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の和の割合は、通常50重量%以上、好ましくは80重量%以上である。
【0038】
電荷輸送層の膜厚は、通常、10〜50μm、好ましくは13〜35μmの厚みで使用されるのがよい。
さらに、電荷輸送層には、必要に応じて酸化防止剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、滑剤、紫外線吸収剤、増感剤等の各種添加剤並びに他の電荷輸送物質を含んでいてもよい。
【0039】
またこの他に、塗膜の機械的強度や、耐久性向上のための種々の添加剤を用いることができる。この様な添加剤としては、周知の可塑剤や、種々の安定剤、流動性付与剤、架橋剤等が挙げられる。
<感光層形成用塗布液>
上記各層を塗布する際に使用される溶媒、分散媒としては、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2ージクロルエタン、1,2ージクロルプロパン、1,1,2−トリクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエタン、ジクロルメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、等が挙げられる。
【0040】
これらの溶媒は、1種類単独で使用してもよく、或いは2種類以上を混合して用いても良い。
<感光層形成方法>
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。
【0041】
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
【0042】
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
【0043】
浸漬塗布法は、一例としては以下のような電荷輸送層の塗布形成手順が挙げられる。
電荷輸送物質、バインダー樹脂、溶剤等を用いて、全固形分濃度が15%以上であってより好ましくは40%以下の、かつ粘度が通常50センチポアーズ〜700センチポアーズ以下、好ましくは100センチポアーズ〜500センチポアーズ以下の電荷輸送層形成用の塗布液を調整する。
【0044】
ここで実質的に塗布液の粘度はバインダー樹脂の種類及びその分子量により決まるが、あまり分子量が低い場合には感光層の機械的強度が低下するためこれを損わない程度の分子量を持つバインダー樹脂を使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて浸漬塗布法により電荷輸送層または感光層が形成される。
【0045】
その後塗膜を乾燥するが、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度、時間を調整する。乾燥温度は、通常100〜250℃、好ましくは、110〜170℃、さらに好ましくは、115〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機及び遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
【0046】
このようにして得られた本発明の電子写真感光体は長期間にわたって優れた耐刷性と滑り性を維持し、複写機、プリンター、ファックス、製版機等の電子写真分野に好適である。
【0047】
【実施例】
以下本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は特に断りがない限り「重量部」を示す。
<ポリアリレート樹脂の製造>
[粘度平均分子量の測定]
ポリアリレート樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調整した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出した。
【0048】
【数1】
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
合成例1(実施例1〜4のポリエステル樹脂の製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(14.01g)と水(1120ml)を秤り取り、窒素バブリングしながら攪拌し溶解させた。そこにベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.1744g)、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチルビスフェノールF](23.79g)およびビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[p,p’−BPF]、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン[o,p’−BPF]、ビス(2−ヒドロキシメチルフェニル)メタン [o,o’−BPF]の混合物[本州化学(株)製 BPF−D;p,p’:o,p’−:o,o’=約35:48:17] (7.96g)を添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。その後2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−フェノール(0.712g)を添加した。
【0049】
別途、テレフタル酸クロライド(27.35g)をジクロロメタン(560ml)に溶解し滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、酢酸(4.62ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(560ml)にて洗浄を1回行い、次に0.1N塩酸(420ml)にて洗浄を2回行い、さらに水(420ml)にて洗浄を2回行った。
【0050】
洗浄後の有機層をメタノール(3000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して構造式(5)で表される目的のポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量は36,700であった。
【0051】
【化10】
Figure 0003953909
【0052】
<感光体の作製>
実施例1
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部を、1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。
【0053】
また、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液を作製した。
先に作製した顔料分散液160部に、バインダー溶液100部、適量の1,2−ジメトキシエタンと、適量の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を加え固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2=9:1の電荷発生層用分散液を調製した。
【0054】
表面にアルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、先に作製した電荷発生層用塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が0.3μmになるように塗布して電荷発生層を設けた。
次にこのフィルム上に、下記構造式(6)の電荷輸送物質50部と下記構造式(7)のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量約30,000)25重量部および構造式(5)のポリエステル樹脂(粘度平均分子量約36,700)75重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶液(混合比80:20)560重量部で溶解させた溶液をフィルムアプリケータにより塗布し、乾燥後の膜厚が20μmとなるように電荷輸送層を設けて感光体を作製した。
【0055】
【化11】
Figure 0003953909
【0056】
【化12】
Figure 0003953909
【0057】
実施例2
実施例1において、ポリエステル樹脂を50部、ポリカーボネート樹脂を50部に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
実施例3
実施例1において、ポリエステル樹脂を25部、ポリカーボネート樹脂を75部に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
【0058】
比較例1
実施例1において、ポリエステル樹脂を100部、ポリカーボネート樹脂を0部とした以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
比較例2
実施例1において、ポリカーボネート樹脂を100部、ポリエステル樹脂を0部とした以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
比較例3〜7
実施例1〜3,比較例1,2における構造式(5)のポリエステル樹脂の代わりに下記構造式(8)のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量約30,000)を用い、構造式(7)のポリカーボネート樹脂の代わりに下記構造式(9)のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量約30,000)を用いた他は同様にして比較例3〜7の感光体を作製した。
【0059】
【化13】
Figure 0003953909
【0060】
【化14】
Figure 0003953909
【0061】
<感光体の評価>
[摩擦試験]
上記で作製したシート状の感光体の摩擦係数を、協和界面科学(株)社製全自動摩擦摩耗試験機DFPM−SSを用いて測定した。接触子には肉厚2mm、幅11mm、長さ約20mmのウレタンゴムのシートを張り付けて、このウレタンゴムのシートと感光体が、角度45゜、幅11mmで接するようにした。シート状感光体の上には、トナーを約0.1mg/cm2となるよう均一に乗せ、荷重200g、速度5mm/sec、ストローク20mmの条件で動摩擦係数を測定した。実施例1〜3、比較例1,2の結果を表1、図1に、比較例3〜7の結果を表2、図2に示す。
[摩耗試験]
シート状の感光体フィルムを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の重量を比較することにより測定した。実施例1〜3、比較例1,2の結果を表1、図1に、比較例3〜7の結果を表2、図2に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0003953909
【0063】
【表2】
Figure 0003953909
【0064】
表1、表2、図1、図2から明らかなように、本発明による実施例1、2、3の感光体は摩擦係数が小さく、また耐摩耗性にも優れた感光体である。
<感光体の作製>
実施例4
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ285mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。このシリンダーを実施例1で作製した電荷発生層用塗布液に浸漬し、その乾燥後の重量が0.3g/m2(約0.3μm)となるように電荷発生層を形成した。
【0065】
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記構造式(6)に示す電荷輸送物質50部と、バインダー樹脂として前記構造式(7)のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量約30,000)50部および前記構造式(5)のポリエステル樹脂(粘度平均分子量約30,000)50部をテトラヒドロフラン:トルエン=80:20の混合溶媒に溶解させた液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚18μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをA1とする。
比較例8
バインダー樹脂として前記構造式(7)のポリカーボネート樹脂0部、前記構造式(5)のポリエステル樹脂100部としたこと以外は実施例7と同様にして感光体B1を得た。
比較例9
バインダーー樹脂として前記構造式(7)のポリカーボネート樹脂100部、前記構造式(5)のポリエステル樹脂0部としたこと以外は実施例7と同様にして感光体B2を得た。
<感光体の評価>
[電気特性評価]
次にこれらA1、B1、B2の感光体を、感光体特性試験機(三菱化学(株)製)に装着し、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。初期表面電位は−700Vとし、露光はハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを用いて、表面電位が−700Vから−350Vに半減するのに要した露光量(半減露光量、E1/2)、5.5μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定した。露光から電位測定までの時間は200msとした。また、除電光には660nmのLED光を用いて、除電光照射後の残留電位(Vr)を測定した。
【0066】
測定は、温度5℃、湿度10%RH(以後、この環境をLL環境と呼ぶことがある)、温度25℃、湿度50%RH(以後、この環境をNN環境と呼ぶことがある)、温度35℃、湿度85%RH(以後、この環境をHH環境と呼ぶことがある)の3環境下で行った。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
Figure 0003953909
【0068】
表3に示されるように、実施例の感光体A1は比較例の感光体B1、B2と比較しても、3種の環境下において大きな差は見られなかった。
[耐刷試験による膜減り測定]
次にこれらの感光体を市販のレーザープリンター(エプソン社製 LP3000C)に装着してNN環境下において24000枚のプリントを行った。
【0069】
この際、プリントする前の感光層の膜厚、8000枚プリント毎の膜厚を測定し、その差から膜減り量を計算した。また、これら4点の値から最小自乗法により傾き値を算出して、プリント10000枚当たりの膜減り量を計算するとともに、B2の感光体の膜減り量を100として、A1、B1の感光体の膜減り量を相対値で求めた。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
Figure 0003953909
【0071】
表4に示される耐刷評価結果から、感光体A1及び感光体B1は感光体B2と比べると2割程度膜減り量が少ない結果となっており、耐摩耗性に優れた感光体であるという結果が得られた。また、いずれの感光体においても、画像に白帯や黒帯、黒点・黒スジといった画像欠陥の発生は見られなかった。
[滑り性の測定]
また、このプリントの前にあらかじめ感光体表面の滑り性を測定しておき、24000枚耐刷後再度感光体の滑り性を測定して、滑り性の持続性を評価した。
【0072】
感光体の滑り性評価は以下のように行った。
まず、上記感光体をトルクモーターを用いて50rpmで回転させる。このときトルクモーターから出力されるトルク値は、感光体には何ら負荷をかけていない状態でのトルク、すなわち無負荷でのトルクであり、回転機構の摩擦等で発生するトルクである。このトルクをT0とする。
【0073】
つぎに、長さ230mm、幅14mm(うち自由長8mm)、厚み2mmのウレタンゴムよりなるブレードを、その先端が感光体の長手方向と平行になるよう、かつ感光体表面の接線とのなす角が20°となるように、線圧24.5g/cmで押しつける。このとき、ブレードの先端には、筆を用いて若干のトナーを付着させた。ついで、感光体をトルクモーターを用いて50rpmで回転させ、トルクモーターから出力されるトルクを測定する。測定開始後120秒から130秒の間に得られたトルクを平均しこれをTmとする。
【0074】
Tmから先に求めた無負荷でのトルクT0を引いた値、T=Tm−T0が感光体にブレードを押し当てたときに発生するトルクである。
このトルクを感光体の滑り性を表す指標とした。当然、このトルクが小さい方が感光体の滑り性は良好である。
耐刷前のトルクをTini、耐刷後のトルクをTfin、その差をΔT(=Tfin−Tini)として表5に示した。
【0075】
【表5】
Figure 0003953909
【0076】
表5に示される、滑り性の評価結果を見ると、感光体A1は感光体B1および感光体B2に比べ、滑り性が良好(回転トルクが小さい)で、かつ耐刷前後での滑り性の変化が非常に小さいことが分かる。
これらの結果から、本発明による感光体A1は電気特性、膜減り量、滑り性の全てにおいて良好な結果が得られ、優れた感光体であることが分かった。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステル樹脂と特定のポリカーボネート樹脂を混合して用いることにより、長期の繰り返し使用においても摩耗が少なく、クリーニング性及びキズに対する耐久性に優れ、さらに、電気特性、塗布性などの他の特性が損なわれない電子写真感光体を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との混合部数と、摩擦係数およびテーバー摩耗量の関係を示す図である。
【図2】比較例のポリカーボネート樹脂組成と、摩擦係数およびテーバー摩耗量の関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層が形成されてなる電子写真感光体において、該感光層が、ポリエステル樹脂、および下記式(1)で表される構造単位のみからなるポリカーボネート樹脂を含有し、前記ポリエステル樹脂が下記一般式(2)で表される構造単位を有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0003953909
    Figure 0003953909
    (一般式(2)中、Aは下記一般式(3)で表される群から選ばれ、ポリエステル樹脂はA部分の構造が異なる2種類以上の構造単位による共重合体であ。一般式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を持っていても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換基を持っていても良い炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン原子または、置換基を持っていても良い炭素数6〜20の芳香族基を示す。R−CH −である。)
    Figure 0003953909
  2. 電子写真感光体最外層のテーバー摩耗試験器による摩耗重量が、4.0mg以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 感光層中に含まれるポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂の重量比が、90:10ないし10:90であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. ポリエステル樹脂が下記一般式(4)で表される構造単位を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0003953909
    (一般式(4)中のxおよびyは、0≦x≦1、0≦y≦1であり、かつx+y=1である。)
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