JP4221017B2

JP4221017B2 - 頭部保護エアバッグ装置

Info

Publication number: JP4221017B2
Application number: JP2006236019A
Authority: JP
Inventors: 哲満尾; 昭彦成井; 光男野上
Original assignee: Toyota Motor Corp
Current assignee: Toyota Motor Corp
Priority date: 2006-08-31
Filing date: 2006-08-31
Publication date: 2009-02-12
Anticipated expiration: 2026-08-31
Also published as: JP2008056116A; US20080054605A1; US7806433B2

Description

本発明は、車両の側面衝突時またはロールオーバー時に車室内側の側部に車両下方側へ向けてエアバッグを展開させる頭部保護エアバッグ装置に係り、特に乗員の頭部と車体側部との間に展開する膨張部を備えた頭部保護エアバッグ装置に関する。

近年、乗員保護補助装置として、側面衝突時またはロールオーバー時に、ルーフサイドレール部の下方へカーテン状にエアバッグを展開させる頭部保護エアバッグ装置が搭載されるようになってきた。また、座席に着座した乗員の頭部と車体側部との間に展開して乗員の頭部を保護できる頭部保護エアバッグ装置が既に公知技術となっている。

ここで、下記特許文献１には、この種の頭部保護エアバッグ装置が開示されている。簡単に説明すると、この頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグにおけるガスの供給路部の下方側に膨張本体部が配設されており、エアバッグは膨張本体部を車外側に向かって巻くロール折りで折り畳むと共に、供給路部の部位をガスの流入時にロール折りよりも展開が容易な非ロール折りで折り畳んでいる。また、下記特許文献２には、ピラー部と、使用状態にあるシートのヘッドレストとの間に展開するエアバッグの部分を、展開の初期において、ガスを流入させない薄い板状の状態で展開させ、その後、下端側に形成された流入口部からガスを流入させることで、使用状態にあるシートのヘッドレストへのエアバッグの引っ掛かりを防止している。
特開２００４−５８８４８号公報特許第３６５６１５６号公報

しかしながら、エアバッグを車室側部の車両前後方向に渡って迅速に展開させるためには、エアバッグの展開初期に、ピラーガーニッシュの上端を越えて車室内側にエアバッグを展開する必要がある。

本発明は上記事実を考慮し、ピラーガーニッシュの上端に引っ掛かることなく、エアバッグを乗員頭部と車体側部との間に展開することができる頭部保護エアバッグ装置を得ることが目的である。

請求項１記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、車両の所定位置に配置され、車両の側面衝突時またはロールオーバー時に作動してガスを噴出するインフレータと、前記インフレータと接続されるガス供給通路と、前記ガス供給通路と接続され乗員の頭部を保護する膨張部と、を含んで構成され、車両上下方向に折り畳まれた状態で車両のルーフサイドレール部に沿って格納されると共に前記インフレータからのガスの供給により膨張して前記車室内側の側部に車両下方側へ向けて展開するエアバッグと、前記車室内側の側部に設けられたピラーガーニッシュと、前記ピラーガーニッシュの上方となる部位に設けられ、展開する前記エアバッグを車室内側方向へ誘導するエアバッグ誘導手段と、を備え、前記エアバッグは、前記ピラーガーニッシュの上方となる前記ガス供給通路のピラー対応部を構成し、サイドウインドの上方となる前記ガス供給通路のウインド対応部に比べて展開した状態での車室内側への突出量が大きい押出部を有し、前記エアバッグは下部がロール折り、上部となる前記ガス供給通路及び前記押出部が非ロール折りで折り畳んであり、前記ピラー対応部は前記ウインド対応部に比べて非ロール折りの部分の寸法が大きく、折り回数が多いことを特徴とする。

車両の側面衝突時またはロールオーバー時になると、インフレータが作動し、車両のルーフサイドレール部に沿って車両上下方向に折り畳まれた状態で格納されたエアバッグ内へガスが供給される。このため、エアバッグが車室内側の側部に車両下方側へ向けて展開される。エアバッグは、インフレータと接続されるガス供給通路と、ガス供給通路と接続され乗員の頭部を保護する膨張部と、を含んで構成されているため、乗員の頭部は膨張部によって保護される。

ここで、本発明では、ピラーガーニッシュの上方となるガス供給通路のピラー対応部を構成する押出部が、サイドウインドの上方となるガス供給通路のウインド対応部に比べて展開した状態での車室内側への突出量が大きい。このため、エアバッグの展開初期に押出部が展開することで、エアバッグは折り畳まれた状態のまま、押出部によって車室内側へ押し出されると共に、ピラーガーニッシュの上方となる部位に設けられたエアバッグ誘導手段に誘導されて、車室内側方向へ大きく移動する。このため、エアバッグはピラーガーニッシュの上端を越えて車室内側に確実に展開する。

このように本発明によれば、エアバッグを展開するときに、展開中のエアバッグがピラーガーニッシュに引っ掛かることなく、乗員頭部と車体側部との間に展開する。また、エアバッグの下部がロール折り、上部となるガス供給通路及び押出部が非ロール折りで折り畳んであり、ピラー対応部はウインド対応部に比べて非ロール折りの部分の寸法が大きく、折り回数が多い。このため、エアバッグのピラー対応部では、展開初期に寸法が大きく、折り回数が多い押出部が展開するため、エアバッグのロール折りの部分を車室内側方向へ押し出す力がウインド対応部に比べて大きくなる。この結果、エアバッグはピラーガーニッシュの上端を越えて車室内側に確実に展開する。

請求項２記載の本発明は請求項１に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記ガス供給通路における前記押出部を構成し、展開した状態で前記ガス供給通路から車両上方に向かって展開しようとする補助膨張部を有することを特徴とする。

本発明では、ガス供給通路における押出部に補助膨張部が設けられており、補助膨張部は展開した状態でガス供給通路から車両上方に向かって展開しようとする。この結果、ガス供給通路から車両上方に向かって展開しようとする補助膨張部は、ガス供給通路の下方側に設けられる膨張部の形状に影響を与えることがなく、容易に設けることができる。また、補助膨張部を有する押出部の車両前後方向から見た断面積や、折り回数を調整することで、エアバッグのロール折りの部分を車室内側方向へ押し出す力を容易に調整できる。

請求項１記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、ピラーガーニッシュの上端に引っ掛かることなく、エアバッグを乗員頭部と車体側部との間に展開できると共に、エアバッグをピラーガーニッシュの上端を越えて車室内側に確実に展開できる。

請求項２記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、簡単な構成で、ピラーガーニッシュの上端に引っ掛かることなく、エアバッグを乗員頭部と車体側部との間に展開できる。

本発明の第１実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置について、図１〜図３に基づいて説明する。

なお、これらの図において適宜示される矢印ＦＲは車両前方側を示しており、矢印ＵＰは車両上方側を示しており、矢印ＩＮは車幅内側方向を示している。

図１には、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置１０が作動してエアバッグ１６が展開した状態が側面視で示されている。

図１に示される如く、頭部保護エアバッグ装置１０は、作動することによりガスを噴出する円柱形状のインフレータ１２と、このインフレータ１２のガス噴出部と接続されると共に通常は車両上下方向に折り畳まれて車両前後方向に長い長尺状とされてルーフサイドレール部１４に沿って格納されたエアバッグ１６と、を備えている。

なお、インフレータ１２は、車体側部の所定位置に配置された図示しない側面衝突センサによって側面衝突状態が検知された場合、または車体中央部付近に配置された図示しないロールオーバーセンサによって車両のロールオーバー状態が検知された場合に、図示しないエアバッグ制御装置によって作動されるようになっている。

エアバッグ１６の外周上縁部には所定の間隔で固定点１８が設定されており、これらの固定点１８にてエアバッグ１６はフロントピラー（Ａピラー）２０、ルーフサイドレール部１４、Ｄピラー２２といったボディー側構成要素に支持されている。

また、エアバッグ１６は、フロントシート２６に着座する乗員２７の頭部２７Ａを保護する前方側膨張部（前席用膨張部）２８と、リヤシート３０に着座する乗員３１の頭部３１Ａを保護する後方側膨張部（後席用膨張部）３６と、前方側膨張部２８と後方側膨張部３６との間に配置された矩形平面状の非膨張部４２と、エアバッグ１６の上部に沿って車両前後方向に延在し前方側膨張部２８と後方側膨張部３６とを上端側にて連通するガス供給通路としての上端側膨張部４６と、前方側膨張部２８の前側に配置された三角平面状の非膨張部４３と、後方側膨張部３６の後側に配置された三角平面状の非膨張部４５とによって構成されている。

さらに、エアバッグ１６の上端側膨張部４６の前後方向中間部には、インフレータ１２のガス噴出部に接続されるガス導入部４７が設けられている。このガス導入部４７にインフレータ１２のガス噴出部が挿入された状態で一対の取付ブラケット４９によって車体側に固定されている。つまり、本実施形態の頭部保護エアバッグ装置１０では、インフレータ１２がエアバッグ１６の上縁側中央部付近に配置されるインフレータ中央配置タイプを採用している。

前方側膨張部２８は、略車両上下方向に延びる筒状の３本のセル５０、５２、５４を車両前後方向に隣接して配置することにより構成されている。

なお、セルとはインフレータからのガスによって膨張する膨張部分であって、膨張部分の外周縁部を構成する非膨張部は含まない。

前後の２本のセル５０、５４はそれぞれ上端部が開口され、上端側膨張部４６の前部４６Ａに連結されている。また、中央部のセル５２は、前側の上下方向中央部に形成されたガス導入部５６によってセル５０の後側の上下方向中央部に連結されていると共に、後側の下端部に形成されたガス導入部５８によってセル５４の前側の下端部に連結されている。

従って、インフレータ１２から噴出したガスの一部Ｗ１は、上端側膨張部４６を通り、前側のセル５０と後端のセル５４に車両上方側から流れ込むと共に、セル５０の後側の上下方向中央部とセル５２の前側の上下方向中央部とを連結するガス導入部５６と、セル５４の前側の下端部とセル５２の後側の下端部とを連結するガス導入部５８とからセル５２内に流れ込むようになっている。

エアバッグ１６が展開した状態で、セル５２の車両前後方向略中央部の車幅方向外側にＢピラーガーニッシュ６０が配置されている。また、エアバッグ１６が展開した状態の側面視において下部がＢピラーガーニッシュ６０と重なる上端側膨張部４６のピラー対応部には、車両下方に向って突出する半円形の補助膨張部４６Ｂが形成されている。即ち、上部がＢピラーガーニッシュ６０の上方となる上端側膨張部４６のピラー対応部が押出部６２となっており、押出部６２の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ１は、上端側膨張部４６におけるＢピラーガーニッシュ６０と重ならない他の部位、少なくともサイドウインド６３の上方となる上端側膨張部４６のウインド対応部の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ２に比べて大きくなっている。

従って、上端側膨張部４６の押出部（ピラー対応部）６２は、ウインド対応部に比べて、展開した状態での車室内側への突出量が大きくなっている。

図２には図１の２−２断面線に沿った位置におけるエアバッグの格納状態が拡大断面図によって示されており、図３には図１の３−３断面線に沿った位置におけるエアバッグの格納状態が拡大断面図によって示されている。

図２に示される如く、ルーフサイドレール部１４の骨格部材を構成するルーフサイドレール７０は、車室内側に配置されるルーフサイドレールインナパネル７２と、車室外側に配置されるルーフサイドレールアウタパネル７４とによって閉断面構造に構成されており、両者の下側フランジ部にはオープニングトリム７６が嵌着されている。折り畳まれたエアバッグ１６は図示を省略したボルト等の締結手段によってルーフサイドレールインナパネル７２に固定されている。また、ルーフヘッドライニング７８の縁部７８Ａがオープニングトリム７６に係合されており、折り畳まれたエアバッグ１６はルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂによって覆われている。

エアバッグ１６は展開した状態で下端となる部位１６Ａから巻くようにロール折りしてロール折り部１６Ｂを形成したのち、車幅方向外側の折目Ｐ１と車幅方向内側の折目Ｐ２とで折り返し非ロール折り部１６Ｃとしている。

また、図２に示されるように、エアバッグ１６の上端側膨張部４６に補助膨張部４６Ｂが形成されていないウインド対応部、即ち、側面視においてエアバッグ１６におけるＢピラーガーニッシュ６０と重ならないウインド対応部においては、展開状態で上端側膨張部４６の上端となる位置Ｋ１と下端となる位置Ｋ２との間に折目Ｐ２がある。従って、上端側膨張部４６が膨張展開することで、エアバッグ１６のロール折り部１６Ｂを車室内側方向（図２の矢印Ａ方向）へ押し出すことができるようになっている。この結果、図２に２点鎖線で示すように、ルーフヘッドライニング７８の縁部７８Ａがオープニングトリム７６から外れ、ルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂが車室方へ開き、エアバッグ１６が車室内側の側部に下方展開するようになっている。

また、エアバッグ１６の上端側膨張部４６に補助膨張部４６Ｂが形成されていないウインド対応部では、展開状態で上端側膨張部４６の上端となる位置Ｋ１と下端となる位置Ｋ２との間の寸法が小さいので、上端側膨張部４６は折目Ｐ１では折り返されていない（位置Ｋ２は折目Ｐ１に達していない）。このため、折目Ｐ１ではセル５２の上部が折り返されている。

なお、図２の符号７１はルーフパネルを示している。

図３に示される如く、Ｂピラーガーニッシュ６０の上端６０Ａの真上には、エアバッグ誘導手段としての正面視でＬ字状に形成された金属製のジャンプ台８０の縦壁部８０Ａがルーフサイドレールインナパネル７２に図示を省略したボルト等の締結部材によって固定されている。なお、ジャンプ台８０の縦壁部８０Ａの下端からは車室内側方向に向かって横壁部（ガイド壁部）８０Ｂが形成されている。

折り畳まれたエアバッグ１６は図示を省略したボルト等の締結手段によってルーフサイドレールインナパネル７２に固定されている。また、ルーフヘッドライニング７８の縁部７８ＡがＢピラーガーニッシュ６０の上端６０Ａに係合されており、折り畳まれたエアバッグ１６はルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂによって覆われている。

また、側面視においてＢピラーガーニッシュ６０と重なるエアバッグ１６の上端側膨張部４６には、車両下方に向かって突出する半円形の補助膨張部４６Ｂによって押出部６２が形成されている（図１参照）。このため、非ロール折りの部分の寸法が大きくなっている。なお、非ロール折りの部分の寸法とは展開状態で上端側膨張部４６の上端となる位置Ｋ１と下端となる位置Ｋ２との間の寸法である。この結果、上端側膨張部４６は折目Ｐ１と折目Ｐ２の双方で折り返されている。

従って、ジャンプ台８０を設けることにより、上端側膨張部４６が膨張展開する際に、折り畳まれたエアバッグ１６が、ジャンプ台８０に沿って車室内方（図３の矢印Ｂ方向）へ移動する。また、Ｂピラーガーニッシュ６０の上方となるエアバッグ１６の上端側膨張部４６に補助膨張部４６Ｂによって押出部６２を形成し、上端側膨張部４６を折目Ｐ１と折目Ｐ２の双方で折り返したことにより、上端側膨張部４６の押出部６２が、少なくとも上端側膨張部４６のウインド対応部に比べて車室内側への突出量が大きくなる。

このため、エアバッグ１６を矢印Ｂ方向へ大きな力で押し出すことができるようになっている。この結果、図３に２点鎖線で示すように、ルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂが大きく開き、エアバッグ１６がＢピラーガーニッシュ６０の上端６０Ａに引っ掛かることなく、円滑に車室内側の側部に下方展開されるようになっている。

なお、図３の符号８１はＢピラーのインナパネルを示しており、符号８３はＢピラーのアウタパネルを示している。

図１に示される如く、エアバッグ１６の後方側膨張部３６は、略車両上下方向に延びる筒状の３本のセル９０、９２、９４を車両前後方向に隣接して配置することにより構成されている。

前後の２本のセル９０、９４はそれぞれ上端部が開口され、上端側膨張部４６の後部４６Ｃに連結されている。また、中央部のセル９２は、前側の上下方向中央部に形成されたガス導入部９６によってセル９０の後側の上下方向中央部に連結されていると共に、後側の下端部に形成されたガス導入部９８によってセル９４の前側の下端部に連結されている。

従って、インフレータ１２から噴出したガスの一部Ｗ２は、上端側膨張部４６を通り、前側のセル９０と後端のセル９４に車両上方側から流れ込むと共に、セル９０の後側の上下方向中央部とセル９２の前側の上下方向中央部とを連結するガス導入部９６と、セル９４の前側の下端部とセル９２の後側の下端部とを連結するガス導入部９８とからセル９２内に流れ込むようになっている。

エアバッグ１６が展開した状態で、セル９２の車両前後方向中間部の車幅方向外側にＣピラーガーニッシュ１００が配置されている。また、側面視においてＣピラーガーニッシュ１００と重なる上端側膨張部４６のピラー対応部には、車両下方に向って半円形の補助膨張部４６Ｄが形成されている。即ち、上部がＣピラーガーニッシュ１００の上方となる上端側膨張部４６のピラー対応部は押出部１０２となっており、押出部１０２の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ１は、上端側膨張部４６におけるＣピラーガーニッシュ１００と重ならない他の部位、少なくともサイドウインド６３の上方となる上端側膨張部４６のウインド対応部の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ２に比べて大きくなっている。

従って、上端側膨張部４６の押出部（ピラー対応部）１０２は、ウインド対応部に比べて、展開した状態での車室内側への突出量が大きくなっている。

なお、図示を省略したが、ピラーガーニッシュ１００の上端の真上には、図３に示すＢピラーガーニッシュ６０と同様に、エアバッグ誘導手段としてのジャンプ台がルーフサイドレールインナパネルに締結部材によって固定されている。

従って、ピラーガーニッシュ１００の上部においてもＢピラーガーニッシュ６０の上部と同様に、エアバッグ１６を車室内方へ大きな力で押し出すことができるようになっている。この結果、ルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂが大きく開き、エアバッグ１６がＣピラーガーニッシュ１００の上端１００Ａに引っ掛かることなく、円滑に車室内側の側部に下方展開されるようになっている。

次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。

車両の側面衝突時またはロールオーバー時になると、側面衝突センサまたはロールオーバーセンサによってその状態が検知され、エアバッグ制御装置に入力される。エアバッグ制御装置によって側面衝突またはロールオーバーと判断されると、インフレータ１２が作動して、車両のルーフサイドレール部１４に沿って折り畳み状態で格納されたエアバッグ１６内へガスが供給される。

具体的には、インフレータ１２によってエアバッグ１６のガス導入部４７からガスＷ１、Ｗ２が供給されて、上端側膨張部４６、前方側膨張部２８及び後方側膨張部３６を膨張させながら、エアバッグ１６を車室内側の側部に車両下方側へ向けてカーテン状に展開させる。これにより、フロントシート２６に着座する乗員２７の頭部２７Ａが前方側膨張部２８によって保護され、リヤシート３０に着座する乗員３１の頭部３１Ａが後方側膨張部３６によって保護される。

ここで、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置１０では、折り畳まれたエアバッグ１６がＢピラーガーニッシュ６０の上端６０ＡとＣピラーガーニッシュ１００の上端１００Ａの上方にあり、Ｂピラーガーニッシュ６０の上端６０ＡとＣピラーガーニッシュ１００の上端１００Ａの車室内側にエアバッグ１６が展開する。

このとき、本実施形態では、Ｂピラーガーニッシュ６０の上端６０ＡとＣピラーガーニッシュ１００の上端１００Ａとの上方にジャンプ台８０を設けることにより、展開途中のエアバッグ１６の上端側膨張部４６が膨張展開する際に、折り畳まれたエアバッグ１６が、ジャンプ台８０に沿って車室内方（図３の矢印Ｂ方向）へ移動する。

また、本実施形態では、エアバッグ１６が展開した状態の側面視において下部がＢピラーガーニッシュ６０と重なる上端側膨張部４６のピラー対応部に、車両下方に向って突出する半円形の補助膨張部４６Ｂが形成され押出部６２となっていると共に、エアバッグ１６が展開した状態の側面視において下部がＣピラーガーニッシュ１００と重なる上端側膨張部４６のピラー対応部に、車両下方に向って突出する半円形の補助膨張部４６Ｄが形成され押出部１０２となっている。このため、上端側膨張部４６における押出部６２、１０２の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ１が、上端側膨張部４６における少なくともウインド対応部の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ２に比べて大きくなっており、これらの押出部６２、１０２では、折目Ｐ１と折目Ｐ２の双方でエアバッグ１６を折り返している。

従って、上端側膨張部４６における押出部６２、１０２は少なくともウインド対応部に比べて展開した状態での車室内側への突出量が大くなる。このため、エアバッグ１６を車室内側方向（図３の矢印Ｂ方向）へ大きな力で押し出すことができる。この結果、図３に２点鎖線で示すように、ルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂが大きく開き、エアバッグ１６がＢピラーガーニッシュ６０の上端６０ＡまたはＣピラーガーニッシュ１００の上端１００Ａに引っ掛かることなく、円滑に車室内側の側部に下方展開する。

従って、本実施形態では、Ｂピラーガーニッシュ６０の上端６０ＡまたはＣピラーガーニッシュ１００の上端１００Ａに引っ掛かることなく、エアバッグ１６を乗員２７、３１の頭部２７Ａ、３１Ａと車体側部との間に展開できる。

次に、本発明の第２実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置について、図４に基づいて説明する。

なお、第１実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。

図４には、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置１０が作動してエアバッグ１６が展開した状態が側面視で示されている。

図４に示される如く、本実施形態では、エアバッグ１６に形成した半円形の補助膨張部４６Ｂが、Ｂピラーガーニッシュ６０に対して車両前方へずれた位置に配置されている。なお、補助膨張部４６ＢがＢピラーガーニッシュ６０に対してずれる範囲は、補助膨張部４６Ｂの上下方向に延びる中心線Ｌ１上となる補助膨張部４６Ｂの外周の最下点Ｑ１が、側面視において、Ｂピラーガーニッシュ６０と重なっている範囲とする。

従って、本実施形態においても第１実施形態と同様な作用効果が得られると共に、補助膨張部４６ＢがＢピラーガーニッシュ６０に対して車両前方へずれることで、Ｂピラーガーニッシュ６０の上端６０Ａの真上に設けたジャンプ台８０に対して、上端側膨張部４６の押出部６２が車両前方へずれる。この結果、補助膨張部４６Ｂの膨張展開によって、ジャンプ台８０の横壁部８０Ｂに作用する車両下方への負荷を低減することができる。このため、ジャンプ台８０の剛性および強度を低減できるので、ジャンプ台８０の板厚を薄くしたり材質を変更することで軽量化が可能となる。

なお、補助膨張部４６ＢをＢピラーガーニッシュ６０に対して車両後方へずれらした構成としてもよい。また、後方側の補助膨張部４６ＤをＣピラーガーニッシュ１００に対して車両前方または車両後方へずらした構成としてもよい。

次に、本発明の第３実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置について、図５〜図７に基づいて説明する。

図５には、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置１０が作動してエアバッグ１６が展開した状態が側面視で示されている。

図５に示される如く、本実施形態では、エアバッグ１６が展開した状態の側面視において下部がＢピラーガーニッシュ６０と重なる上端側膨張部４６のピラー対応部には、車両上方に向って展開しようとする半円形の補助膨張部４６Ｂが形成されている。即ち、上部がＢピラーガーニッシュ６０の上方となる上端側膨張部４６のピラー対応部が押出部６２となっており、押出部６２の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ１は、上端側膨張部４６におけるＢピラーガーニッシュ６０と重ならない他の部位、少なくともサイドウインド６３の上方となる上端側膨張部４６のウインド対応部の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ２に比べて大きくなっている。

同様に、エアバッグ１６が展開した状態の側面視において下部がＣピラーガーニッシュ１００と重なる上端側膨張部４６のピラー対応部には、車両上方に向って展開しようとする半円形の補助膨張部４６Ｄが形成されている。即ち、上部がＣピラーガーニッシュ１００の上方となる上端側膨張部４６のピラー対応部が押出部１０２となっており、押出部１０２の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ１は、上端側膨張部４６におけるＣピラーガーニッシュ１０と重ならない他の部位、少なくともサイドウインド６３の上方となる上端側膨張部４６のウインド対応部の車両前後方向から見た展開時の断面積Ｓ２に比べて大きくなっている。

なお、図５では、補助膨張部４６Ｂ、４６Ｄを２点鎖線で示した、これは、エアバッグ１６が実際に展開する場合には、車両のルーフサイドレール部１４等によって、補助膨張部４６Ｂ、４６Ｄの車両上方への展開が阻止される。このため、補助膨張部４６Ｂ、４６Ｄは図５に２点鎖線で示す形状には展開せず、押出部６２、１０２が車室内側へ展開するようになっている。

従って、上端側膨張部４６の押出部６２、１０２は、ウインド対応部に比べて、展開した状態での車室内側への突出量が大きくなっている。

図６には図５の６−６断面線に沿った位置におけるエアバッグの格納状態が拡大断面図によって示されており、図７には図５の７−７断面線に沿った位置におけるエアバッグの格納状態が拡大断面図によって示されている。

図６に示される如く、エアバッグ１６は展開した状態で下端となる部位１６Ａから巻くようにロール折りしてロール折り部１６Ｂを形成しており、エアバッグ１６の上端側膨張部４６に押出部６２が形成されていないウインド対応部、即ち、側面視においてエアバッグ１６におけるＢピラーガーニッシュ６０と重ならないウインド対応部においては、展開状態で上端側膨張部４６の上端となる位置Ｋ１がロール折り部１６Ｂの真上位置となっている。従って、上端側膨張部４６が膨張展開することで、エアバッグ１６のロール折り部１６Ｂを車室内側方向（図６の矢印Ａ方向）へ押し出すことができるようになっている。この結果、図６に２点鎖線で示すように、ルーフヘッドライニング７８の縁部７８Ａがオープニングトリム７６から外れ、ルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂが車室方へ開き、エアバッグ１６が車室内側の側部に下方展開するようになっている。

図５に示される如く、エアバッグ１６の上端側膨張部４６における押出部６２を設けたピラー対応部では、上端側膨張部４６の上下幅が広くなっている。この結果、図７に示される如く、展開状態で上端側膨張部４６の上端となる位置Ｋ１がロール折り部１６Ｂとジャンプ台８０の縦壁部８０Ａとの間に挿入され、横壁部８０Ｂの近傍の位置に達している。

従って、側面視においてＢピラーガーニッシュ６０と重なるエアバッグ１６の上端側膨張部４６に半円形の補助膨張部４６Ｂを形成し押出部６２とすると共に、展開状態で上端側膨張部４６の上端となる位置Ｋ１をロール折り部１６Ｂとジャンプ台８０の縦壁部８０Ａとの間で横壁部８０Ｂの近傍の位置とすることにより、上端側膨張部４６が大きく膨張展開する。

このため、エアバッグ１６を車室内側方向（図７の矢印Ｂ方向）へ大きな力で押し出すことができるようになっている。この結果、図７に２点鎖線で示すようにルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂが大きく開き、エアバッグ１６がＢピラーガーニッシュ６０の上端６０Ａに引っ掛かることなく、円滑に車室内側の側部に下方展開されるようになっている。

また、補助膨張部４６Ｂをロール折り部１６Ｂとジャンプ台８０の縦壁部８０Ａとの間で展開することで、エアバッグ１６を車室内側方向（図７の矢印Ｂ方向）へ大きな力で押し出すことができる。このため、ジャンプ台８０の横壁部８０Ｂに作用する車両下方への負荷を低減することができる。この結果、ジャンプ台８０の剛性および強度を低減できるので、ジャンプ台８０の板厚を薄くしたり材質を変更することで軽量化が可能となる。

なお、側面視においてＣピラーガーニッシュ１００と重なる上端側膨張部４６のピラー対応部には、車両上方に向って半円形の補助膨張部４６Ｄが、補助膨張部４６Ｂと同様に形成されており、押出部１０２となっている。

従って、本実施形態においても第１実施形態と同様な作用効果が得られる。また、本実施形態では、補助膨張部４６Ｂ、４６Ｄを、上端側膨張部４６の車両上方に形成するため、上端側膨張部４６の下方側に設けられるセル５２、９２の形状に影響を与えることがなく、容易に設けることができると共に、押出部６２、１０２の車両前後方向から見た断面積や、折り回数を容易に調整することができ、エアバッグ１６のロール折り部１６Ｂを車室内側方向へ押し出す力を容易に調整できる。

従って、本実施形態では、簡単な構成で、Ｂピラーガーニッシュ６０の上端６０ＡおよびＣピラーガーニッシュ１００の上端１００Ａに引っ掛かることなく、エアバッグ１６を乗員頭部２７Ａ、３１Ａと車体側部との間に展開できる。

次に、本発明の第４実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置について、図８に基づいて説明する。

なお、第３実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。

図８には、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置１０の図７に対応する断面図が示されている。

図８に示される如く、本実施形態では、エアバッグ１６の押出部６２の上下寸法が大きくなっており、展開状態で上端側膨張部４６の上端となる位置Ｋ１と下端となる位置Ｋ２との間に折目Ｐ３が形成されていると共に、エアバッグ１６のロール折り部１６Ｂとジャンプ台８０の縦壁部８０Ａとの間に非ロール折り部１６Ｃが配置されている。

従って、エアバッグ１６の展開初期に非ロール折り部１６Ｃが膨張展開することで、エアバッグ１６のロール折り部１６Ｂを車室内側方向（図８の矢印Ｂ方向）へ大きな力で押し出すことができるようになっている。この結果、ルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂが大きく開き、エアバッグ１６がＢピラーガーニッシュ６０の上端６０Ａに引っ掛かることなく、円滑に車室内側の側部に下方展開されるようになっている。

次に、本発明の第５実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置について、図９に基づいて説明する。

図９には、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置１０の図７に対応する断面図が示されている。

図９に示される如く、本実施形態では、エアバッグ１６の押出部６２の上下寸法がさらに大きくなっており、展開状態で上端側膨張部４６の上端となる位置Ｋ１と下端となる位置Ｋ２との間に折目Ｐ４、Ｐ５が形成されていると共に、ロール折り部１６Ｂとジャンプ台８０の縦壁部８０Ａとの間に非ロール折り部１６Ｃが配置されている。

従って、エアバッグ１６の展開初期に非ロール折り部１６Ｃが膨張展開することで、エアバッグ１６のロール折り部１６Ｂを車室内側方向（図９の矢印Ｂ方向）へ大きな力で押し出すことができるようになっている。この結果、ルーフヘッドライニング７８の端末部７８Ｂが大きく開き、エアバッグ１６がＢピラーガーニッシュ６０の上端６０Ａに引っ掛かることなく、円滑に車室内側の側部に下方展開されるようになっている。

以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、押出部６２、１０２を形成する補助膨張部４６Ｂ、４６Ｄの車両側面視形状を半円形としたが、これに限らず、補助膨張部４６Ｂ、４６Ｄの車両側面視形状を半長円形等の他の形状としてもよい。

また、上記各実施形態では、フロントシート２６とリヤシート３０の２列シートの車両に対して本発明を適用したが、これに限らず、３列シート等の他のシート列の車両に対して本発明を適用してもよい。

また、上記各実施形態では、エアバッグ１６のガス導入部４７にインフレータ１２のガス噴出部を直接挿入して固定する構成を採ったが、これに限らず、ディフューザ（パイプ）等を介してガス導入部４７とインフレータ１２とを接続する構成を採ってもよい。さらに補足すると、上記各実施形態では、インフレータ１２がエアバッグ１６の上縁側の前後方向中間部付近に配置されるインフレータ中央配置タイプを採用しているが、インフレータ１２がＤピラー２２のガーニッシュの配設位置等の他の位置に配置される構成を採ってもよい。

また、上記各実施形態では、エアバッグ１６に１本のインフレータ１２からガスを噴出する構成を採ったが、これに限らず、エアバッグ１６に２本以上のインフレータ１２からガスを噴出する構成を採ってもよい。

本発明の第１実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置が作動してエアバッグが展開した状態を示す側面図である。図１の２−２断面線に沿った位置におけるエアバッグの格納状態を示す拡大断面図である。図１の３−３断面線に沿った位置におけるエアバッグの格納状態を示す拡大断面図である。本発明の第２実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置が作動してエアバッグが展開した状態を示す側面図である。本発明の第３実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置が作動してエアバッグが展開した状態を示す側面図である。図５の６−６断面線に沿った位置におけるエアバッグの格納状態を示す拡大断面図である。図５の７−７断面線に沿った位置におけるエアバッグの格納状態を示す拡大断面図である。本発明の第４実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置を示す図７に対応した断面図である。本発明の第５実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置を示す図８に対応した断面図である。

符号の説明

１０頭部保護エアバッグ装置
１２インフレータ
１４ルーフサイドレール部
１６エアバッグ
１６Ｂエアバッグのロール折り部
１６Ｃエアバッグの非ロール折り部
４６エアバッグの上端側膨張部
４６Ｂエアバッグの上端側膨張部の補助膨張部
４６Ｄエアバッグの上端側膨張部の補助膨張部
５２エアバッグのセル
６０Ｂピラーガーニッシュ
６２エアバッグの押出部
８０ジャンプ台（エアバッグ誘導手段）
９２エアバッグのセル
１００Ｃピラーガーニッシュ
１０２エアバッグの押出部
Ｌ１エアバッグの補助膨張部の中心線
Ｐ１エアバッグの折目
Ｐ２エアバッグの折目
Ｐ３エアバッグの折目
Ｐ４エアバッグの折目
Ｑ１エアバッグの補助膨張部の最下点

Claims

車両の所定位置に配置され、車両の側面衝突時またはロールオーバー時に作動してガスを噴出するインフレータと、
前記インフレータと接続されるガス供給通路と、前記ガス供給通路と接続され乗員の頭部を保護する膨張部と、を含んで構成され、車両上下方向に折り畳まれた状態で車両のルーフサイドレール部に沿って格納されると共に前記インフレータからのガスの供給により膨張して前記車室内側の側部に車両下方側へ向けて展開するエアバッグと、
前記車室内側の側部に設けられたピラーガーニッシュと、
前記ピラーガーニッシュの上方となる部位に設けられ、展開する前記エアバッグを車室内側方向へ誘導するエアバッグ誘導手段と、
を備え、
前記エアバッグは、前記ピラーガーニッシュの上方となる前記ガス供給通路のピラー対応部を構成し、サイドウインドの上方となる前記ガス供給通路のウインド対応部に比べて展開した状態での車室内側への突出量が大きい押出部を有し、
前記エアバッグは下部がロール折り、上部となる前記ガス供給通路及び前記押出部が非ロール折りで折り畳んであり、前記ピラー対応部は前記ウインド対応部に比べて非ロール折りの部分の寸法が大きく、折り回数が多いことを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
前記ガス供給通路における前記押出部を構成し、展開した状態で前記ガス供給通路から車両上方に向かって展開しようとする補助膨張部を有することを特徴とする請求項１に記載の頭部保護エアバッグ装置。