JP3656156B2 - 頭部保護エアバッグ装置のエアバッグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、頭部保護エアバッグ装置のエアバッグに関し、詳しくは、車内側におけるピラー部を間にした窓の上縁側に、折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、ピラー部と窓との車内側を覆うように展開膨張するエアバッグに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、頭部保護エアバッグ装置のエアバッグは、膨張用ガスの流入時に、ドア等に形成される窓の車内側を覆うように展開膨張可能に、車内側における窓の上縁側の周縁に折り畳まれて収納される構成であった(特開平11−321532号公報参照)。
【0003】
このエアバッグは、膨張用ガスを流入させて車内側壁部と車外側壁部とを離すように膨張可能なガス流入部と、膨張用ガスを流入させない非流入部と、を備えており、ガス流入部は、上縁側に、車両の前後方向に沿って配置されるガス供給路部と、ガス供給路部の下方に配置される膨張遮蔽部と、を備えて構成されていた。この膨張遮蔽部は、ドア等に形成される窓の車内側とセンターピラー部の車内側とを覆う構成であり、非流入部に区画されるように、車両の前後方向に沿って複数並設される膨張部を、備える構成であった。
【0004】
センターピラー部の車内側には、通常、座席が配置されており、センターピラー部付近では、エアバッグは、センターピラー部と座席におけるヘッドレストとの間に展開膨張させることとなる。そして、センターピラー部の車内側は、センターピラー部と乗員とが干渉することを考慮して、膨張部を配置させてクッション性よく覆うことが好ましい。しかし、センターピラー部とヘッドレストとの間の隙間が小さく設定されている車両の場合、膨張部の展開膨張時に、ヘッドレストが干渉する虞れがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ピラー部と座席との間の隙間が狭くとも、ヘッドレストとの干渉を可及的に低減できる頭部保護エアバッグ装置のエアバッグを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置のエアバッグは、車両の車内側におけるピラー部を間にした窓の上縁側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、ピラー部と窓との車内側を覆うように展開膨張するように構成されて、
膨張用ガスを流入させて車内側壁部と車外側壁部とを離すように膨張可能なガス流入部と、膨張用ガスを流入させない非流入部と、を備え、
ガス流入部が、上縁側に、車両の前後方向に沿って配置されるガス供給路部と、ガス供給路部の下方に配置されて、展開膨張時にピラー部と窓との車内側を覆う膨張遮蔽部と、を備えて構成され、
膨張遮蔽部が、非流入部に区画されて、車両の前後方向に沿って複数並設される膨張部を、備えて構成され、
膨張部が、ピラー部の車内側を覆うように配置されるピラー部側膨張部と、窓の車内側を覆うように配置される窓側膨張部と、を備える構成の頭部保護エアバッグ装置のエアバッグにおいて、
窓側膨張部におけるピラー部側膨張部の前後で隣接する前側隣接部と後側隣接部とが、ガス供給路部側に、膨張用ガスを流入させる流入口部を開口させて構成され、
ピラー部側膨張部が、ガス供給路部側を、非流入部によって実質的に閉塞されて、下端側に、前側隣接部及び後側隣接部と連通される流入口部を開口させて構成されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置のエアバッグでは、インフレーターから膨張用ガスが吐出されると、ガス供給路部が膨張用ガスを流入させて膨張し、窓側膨張部が、ガス供給路部側に開口される流入口部から、膨張用ガスを流入させて、展開膨張する。このとき、ピラー部側膨張部は、ガス供給路部側を非流入部によって実質的に閉塞されていることから、前側隣接部及び後側隣接部の展開膨張に伴い、前側隣接部及び後側隣接部に引っ張られて、膨張用ガスを流入させずに、下方に展開する。そして、ピラー部側膨張部は、展開後に、膨張を略完了させた前側隣接部及び後側隣接部から、下端側に開口された流入口部を介して、膨張用ガスを流入させて膨張する。すなわち、ピラー部側膨張部は、エアバッグの展開膨張の初期段階で、膨張用ガスを流入させない薄い板状の状態で、折りを解消するように、下方へ展開し、その後、下端側に形成される流入口部から膨張用ガスを流入させて、厚さを増すように膨張するものである。そのため、ピラー部側膨張部は、エアバッグの展開膨張の初期段階で、薄い板状の状態で展開させることにより、ピラー部と座席のヘッドレストとの間の隙間が狭くとも、その隙間に確実に展開させて、ピラー部の車内側を覆うように配置させることができる。そして、展開後に、前側・後側隣接部から、膨張用ガスを流入させることから、ピラー部側膨張部は、クッション性を良好にするように、厚く膨張することができる。
【0008】
従って、本発明における頭部保護エアバッグ装置のエアバッグは、ピラー部と座席との間の隙間が狭くとも、ヘッドレストとの干渉を可及的に低減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
実施形態のエアバッグ11は、図1に示すように、車両Vに搭載される頭部保護エアバッグ装置(以下「エアバッグ装置」と省略する)Mに使用されるものであり、車内側におけるセンターピラー部CPを間にしたドアに形成される窓W(W1・W2)の上縁側周縁におけるフロントピラー部FPの下縁側及びルーフサイドレール部RRの下縁側にわたって、折り畳まれて収納されている。
【0011】
このエアバッグ装置Mは、エアバッグ11、インフレーター38、取付ブラケット35・39、及び、エアバッグカバー8、を備えて構成されている。
【0012】
インフレーター38は、図1・4に示すように、折り畳まれたエアバッグ11に膨張用ガスGを供給するシリンダタイプとしており、エアバッグ11の後述する接続口部14aと、インナチューブ31の後端31aと、が外装されることとなる。実施形態のインフレーター38は、円柱状の本体部38aと、膨張用ガスGをインナチューブに案内する金属製の案内筒部38cと、を備えて構成され、案内筒部38cは、本体部38aに対して、部分的に内径寸法を縮径させるようにかしめて固定されている。本体部38aは、小径の円柱状とした先端部に、膨張用ガスGを吐出させる複数のガス吐出口38bを配設させている。
【0013】
取付ブラケット39は、板金製として、エアバッグ11の接続口部14aとインナチューブ31の後端31aとを外装させて、インフレーター38を、接続口部14a及びインナチューブ後端31aごと外周側から挟持する円筒状の保持部39aと、2本の取付ボルト40を利用して、ルーフサイドレール部RRの車内側におけるボディ1側の板金製のインナパネル2に取り付ける取付部39bと、を備えて構成されている。保持部39aは、内径寸法を縮径させるようにかしめて、インフレーター38等を保持することとなる。取付部39bには、取付ボルト40を挿通させる取付孔39cが形成されている。
【0014】
取付ブラケット35は、図1・2に示すように、板金製として、エアバッグ11における後述する各取付部22を挟持するもので、それぞれ、車内側Iの内プレート35aと車外側Oの外プレート35bとを備えて構成されている。内・外プレート35a・35bには、各取付部22の取付孔22aに対応する取付孔35cが貫通されている。そして、取付ボルト36を、取付孔22a・35cに挿通させて、インナパネル2の取付孔2a周縁に固着されたナット2bに螺合させることにより、各取付部22がインナパネル2に取り付けられることとなる。
【0015】
エアバッグカバー8は、図1〜3に示すように、フロントピラー部FPに配置されるピラーガーニッシュ4とルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5とのそれぞれの下縁側から構成されている。なお、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRの車内側Iにおけるボディ1のインナパネル2に取付固定されている。また、ルーフヘッドライニング5は、フロントピラー部FPの上方付近から、センターピラー部CPの上方を経て、図示しないリヤピラー部の上方付近まで、配設されている。
【0016】
エアバッグ11は、図1・2・3・5〜8に示すように、膨張用ガスGを流入させて展開膨張可能なエアバッグ本体12と、エアバッグ本体12内に配置されて、インフレーター38を外装するインナチューブ31と、を備えて構成されている。
【0017】
エアバッグ本体12は、前後に前側取付部27と後側取付部28とを配置させて構成されるとともに、前側・後側取付部27・28の部位を除いて、ポリアミド糸等を使用した袋織りにより製造されている。また、エアバッグ本体12は、図1・2・3・5〜8に示すように、インフレーター38からの膨張用ガスGを流入させて、折り畳み状態から展開して、センターピラー部CPにおけるピラーガーニッシュ7の車内側Iと、センターピラー部CPを間にした窓W1及び窓W2の前方側における車内側Iと、を覆うように展開膨張する構成である。また、エアバッグ本体12は、車内側壁部13aと車外側壁部13bとを離すようにして、膨張用ガスGを内部に流入可能なガス流入部13と、膨張用ガスGを流入させない非流入部21と、から構成されている。
【0018】
ガス流入部13は、実施形態の場合、ガス供給路部14と膨張遮蔽部15とから構成されている。ガス供給路部14は、エアバッグ本体12の上縁側で、車両Vの前後方向に沿って直線状に配設されている。膨張遮蔽部15は、ガス供給路部14の下方に配置され、エアバッグ11の展開膨張時、車両Vの前席の側方に配置されて、展開膨張時にセンターピラー部CPの車内側Iと、センターピラー部CPを間にした前席側方の窓W1及び後席側方の窓W2の前方側における車内側Iと、を覆うように膨張することとなる。
【0019】
ガス供給路部14は、後端側に接続口部14aを備えている。接続口部14aは、後端を開口させて、エアバッグ本体12から突出するように略円筒状に形成されている。接続口部14aは、既述したように、インナチューブ後端31aを介在させて、インフレーター38に外装されることとなる。また、ガス供給路部14は、膨張用ガスGを流入させた際に、エアバッグカバー8を押し開きやすくするように、接続口部14aより幅広に形成されている。
【0020】
膨張遮蔽部15は、後述する区画結合部25で区画されて、上下方向に延びるように、車両の前後方向に沿って複数(実施形態では5個)並設される膨張部16を備えて構成されている。膨張部16は、展開膨張時に、窓W1と窓W2の前方側とを覆う窓側膨張部16A・16B・16C・16Eと、センターピラーガーニッシュ7の車内側Iを覆うピラー部側膨張部16Dと、を備える構成である。そして、窓側膨張部16C・16Eは、ピラー部側膨張部16Dの前後で隣接する前側隣接部16C及び後側隣接部16Eとされている。
【0021】
各窓側膨張部16A・16B・16C・16Eの上端には、それぞれ、ガス供給路部14に連通される流入口部18が形成されている。そして、各窓側膨張部16A・16B・16C・16Eは、下端側で相互に連通されている。また、ピラー部側膨張部16Dは、上端側(ガス供給路部14側)を区画結合部25により閉塞され、下端側に、前側・後側隣接部16C・16Eと連通される流入口部19・19を開口させている。
【0022】
非流入部21は、車内側壁部13aと車外側壁部13bとを結合させたように構成される取付部22、周縁結合部23、及び、区画結合部25と、膨張遮蔽部15の前端側と後端側とに配置されてエアバッグ本体12と別体に形成される前側・後側取付部27・28と、から構成されている。
【0023】
周縁結合部23は、ガス流入部13の周囲で、ガス流入部13と接する部位に配設されて、ガス漏れが生じないように密に織成されている。
【0024】
取付部22は、エアバッグ本体12の上縁12a側における周縁結合部23の上縁側部23aや前側・後側取付部27・28から上方へ突出するように、複数(実施形態では7個)配置されて、インナパネル2に取り付けるための取付ブラケット35が固着されることとなる。各取付部22には、取付ボルト36を挿通させる取付孔22aが開口されている。
【0025】
前側・後側取付部27・28は、膨張遮蔽部15の前端側と後端側とに、それぞれ、配置されており、実施形態では、エアバッグ本体12と別体に、ポリアミド糸・ポリエステル糸等を使用した織布で形成されて、周縁結合部23の前縁側と後縁側とに縫着されている。前側取付部27は、略台形状の本体部27aと、本体部27aの前端側から前方側に突出するベルト部27bと、を備えて構成され、ベルト部27bの前端には取付部22Fが配置されている。前側取付部27は、本体部27aの後端を、縫合糸Tにより、周縁結合部23の前縁側に縫着されている。後側取付部28は、略三角形状の本体部28aと、本体部28aの後端側から後側上方へ突出するベルト部28bと、を備えて構成されている。そして、ベルト部28bの後端には、取付部22Bが配置されている。後側取付部28は、本体部28aの前端を、縫合糸Tにより、周縁結合部23の後縁側に縫着されている。
【0026】
実施形態では、前側・後側取付部27・28を、エアバッグ本体12と別体の織布で形成しているが、前側・後側取付部27・28は、他の非流入部21の部位と同様に、エアバッグ本体12と、袋織りで一体に形成してもよい。しかし、前側・後側取付部27・28を別体の織布で形成すれば、前側・後側取付部27・28の部位の肉厚を薄くすることができて、エアバッグ11を折り畳んだ際にコンパクトにすることができる。また、実施形態では、図5に示すように、織布を構成する経糸VT若しくは緯糸HTが、それぞれ、各ベルト部27b・28bと略平行となるように、前側・後側取付部27・28を形成している。織布を構成する経糸VT若しくは緯糸HTがベルト部27b・28bと略平行となるように前側・後側取付部27・28を形成すれば、エアバッグ11が展開膨張した際に、ベルト部27b・28bにテンションが生じて、エアバッグ本体12が車内側Iや車外側Oへの押圧力を受けても、大きく揺動せず、好ましいためである。
【0027】
区画結合部25は、膨張遮蔽部15の領域内で、各膨張部16A・16B・16C・16D・16Eを区画するように、車両Vの前後方向に複数並設されている。窓側膨張部16A・16B間に配置される区画結合部25Aは、略「I」字形状に形成されている。窓側膨張部16B・16C間に配置される区画結合部25Bは、上端を前後方向に突出させた略「T」字形状に形成されている。そして、前側・後側隣接部16C・16Eとピラー部側膨張部16Dとを区画するように配置される区画結合部25Cは、略逆「U」字形状に形成されて、ピラー部側膨張部16Dの上端側(ガス供給路部14側)を閉塞している。
【0028】
インナチューブ31は、円筒状として、エアバッグ本体12のガス供給路部14内に挿入されて、接続口部14aから窓側膨張部16Eの上方付近にかけて配置されている。インナチューブ31の後端31aは、インフレーター38への外装時に、ずれないように、接続口部14aの内周面側に熱溶着されている。インナチューブ31は、インフレーター38から吐出される高温の膨張用ガスGがガス供給路部14に直接あたって、ガス供給路部14が損傷を受けるのを防止するために配置されるもので、ポリアミド糸・ポリエステル糸等を使用した織布からなる一枚のシート材の端部相互をポリアミド糸等からなる縫合糸Tにより縫合して、円筒状に形成されている。
【0029】
次に、このエアバッグ11の車両Vへの搭載について説明する。まず、インナチューブ31を、エアバッグ本体12に挿入する。インナチューブ31を、接続口部14aの開口側から、所定の治具を使用して、前側・後側取付部27・28を縫着させたエアバッグ本体12のガス供給路部14内に挿入し、後端31a側を高周波溶着等を利用して、接続口部14a付近に熱溶着させ、エアバッグ11を製造する。次いで、平らに展開したエアバッグ本体12を、図4の二点鎖線に示すように、順次、山折りと谷折りとの折り目Cを入れて、エアバッグ本体12の下縁12b側を上縁12a側に接近させるように、蛇腹折りする(図2・3参照)。
【0030】
そして、折り畳んだ後には、折り崩れ防止用の破断可能なテープ33(図2参照)により、エアバッグ11の所定箇所をくるむとともに、インフレーター38・取付ブラケット35・39を取り付けて、エアバッグ組付体を形成する。
【0031】
その後、各取付ブラケット35・39をインナパネル2の所定位置に配置させ、各取付孔22a・35c・39cを挿通させてボルト36・40止めし、各取付ブラケット35・39をインナパネル2に固定して、エアバッグ組付体をボディ1に取り付ける。次いで、インフレーター38に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、センターピラーガーニッシュ7をボディ1に取り付ければ、エアバッグ11がエアバッグ装置Mとともに車両Vに搭載されることとなる。
【0032】
エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後、インフレーター38が作動されれば、インフレーター38からの膨張用ガスGが、図5の二点鎖線に示すように、インナチューブ31を経て、ガス供給路部14内を前方側に流れる。そして、膨張用ガスGは、ガス供給路部14から下方に流れて、膨張遮蔽部15が、折りを解消させつつ、膨張し始める。そして、エアバッグ本体12は、くるんでおいたテープ33を破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5の下縁側のエアバッグカバー8を押し開いて、図1〜3の二点鎖線で示すように、下方へ突出しつつ、センターピラー部CPにおけるセンターピラーガーニッシュ7の車内側Iと、センターピラー部CPを間にした窓W1及び窓W2の前方側と、を覆うように、大きく膨張することとなる。
【0033】
そして、実施形態のエアバッグ11では、インフレーター38から膨張用ガスGが吐出されると、窓側膨張部16A・16B・16C・16Eが、ガス供給路部14側に開口される流入口部18から、膨張用ガスGを流入させて、展開膨張する。このとき、ピラー部側膨張部16Dは、ガス供給路部14側を区画結合部25C(非流入部21)によって閉塞されていることから、前側隣接部16C及び後側隣接部16Eの展開膨張に伴い、前側隣接部16C及び後側隣接部16Eに引っ張られて、膨張用ガスGを流入させずに、下方に展開する。そして、ピラー部側膨張部16Dは、展開後に、膨張を略完了させた前側隣接部16C及び後側隣接部16Eから、下端側に開口された流入口部19・19を介して、膨張用ガスをG流入させて膨張する。
【0034】
すなわち、ピラー部側膨張部16Dの部位では、図9Aに示すように、まず、ガス供給路部14が膨張用ガスGを流入させて膨張する。そして、ピラー部側膨張部16Dが、図9Bに示すごとく、エアバッグ11の展開膨張の初期段階で、膨張用ガスGを流入させない薄い板状の状態で、折りを解消するように、下方へ展開し、その後、下端側に形成される流入口部19・19から膨張用ガスGを流入させて、図9Cに示すように、厚さを増すように膨張するものである。そのため、ピラー部側膨張部16Dは、エアバッグ11の展開膨張の初期段階で、薄い板状の状態で展開させることにより、センターピラーガーニッシュ7と座席SのヘッドレストHRとの間の空間が狭くとも、その隙間に、確実に展開させて、センターピラーガーニッシュ7の車内側Iを覆うように配置させることができる。そして、展開後に、前側・後側隣接部16C・16Eから、膨張用ガスGを流入させることから、ピラー部側膨張部16Dは、クッション性を良好にするように、厚く膨張することができる。
【0035】
このとき、仮に展開途中のピラー部側膨張部16Dが、ヘッドレストHRと干渉したとしても、展開途中の状態では、ピラー部側膨張部16Dの内圧はごく僅かであり、柔軟性に富んでいることから、ピラー部側膨張部16Dは、前後に配置される前側・後側隣接部16C・16Eの展開膨張に伴って、ヘッドレストHRへの干渉を解消しつつ、センターピラーガーニッシュ7とヘッドレストHRとの間に展開して、膨張することとなる。
【0036】
従って、本発明における頭部保護エアバッグ装置Mのエアバッグ11は、センターピラー部CPと座席Sとの間の隙間が狭くとも、ヘッドレストHRとの干渉を可及的に低減することができる。
【0037】
なお、実施形態のエアバッグでは、窓側膨張部16A・16B・16C・16Eを4つ配置させているが、窓側膨張部の配置数はこれに限られるものではなく、少なくともピラー部側膨張部16Dの前後に隣接して配置される前側隣接部16Cと後側隣接部16Eとを備える構成であればよい。
【0038】
また、実施形態では、エアバッグ11として、窓W1から窓W2の前方側にかけてを覆う構成のものを開示しているが、本発明を適用可能なエアバッグはこれに限られるものではなく、窓W1・W2を略全面にわたって覆う構成としてもよい。
【0039】
さらに、実施形態では、エアバッグ11は、フロントピラー部とリヤピラー部との間にセンターピラー部が配置される車両に搭載されるエアバッグ装置に使用されているが、本発明のエアバッグは、フロントピラー部とリヤピラー部との間に複数の中間ピラー部を備える車両にも適用可能であり、複数の中間ピラー部の車内側を覆うように、複数のピラー部側膨張部を備える構成としてもよい。
【0040】
さらにまた、実施形態では、ピラー部側膨張部16Dは、上端側(ガス供給路部14側)を区画結合部25Cにより完全に閉塞されているが、主に前後に配置される前側・後側隣接部16C・16Eから膨張用ガスを流入させて膨張できる構成であれば、ピラー部側膨張部16Dを閉塞する区画結合部25Cの上端側の天井部25Ctの一部を切り欠いて、若干、開口させた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるエアバッグが使用される頭部保護エアバッグ装置の使用態様を示す車内側から見た概略正面図である。
【図2】図1のII−II部位の概略拡大断面図である。
【図3】図1のIII−III部位の概略拡大断面図であり、エアバッグの展開膨張状態を二点鎖線で示した図である。
【図4】同実施形態のインフレーターの配設部位の部分断面図である。
【図5】同実施形態のエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。
【図6】同実施形態のエアバッグの膨張時を示す部分拡大横断面図であり、図5のVI−VI部位が膨張した状態を示す。
【図7】同実施形態のエアバッグの膨張時を示す部分拡大縦断面図であり、図5のVII−VII部位が膨張した状態を示す。
【図8】同実施形態のエアバッグの膨張時を示す部分拡大縦断面図であり、図5のVIII−VIII部位が膨張した状態を示す
【図9】同実施形態のエアバッグの展開状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
11…エアバッグ、
13…ガス流入部、
13a…車内側壁部、
13b…車外側壁部、
14…ガス供給路部、
15…膨張遮蔽部、
16…膨張部、
16C…前側隣接部、
16D…ピラー部側膨張部、
16E…後側隣接部、
18・19…流入口部、
21…非流入部
25…区画結合部、
38…インフレーター、
CP…センターピラー部、
S…シート、
W(W1・W2)…窓、
M…頭部保護エアバッグ装置。
Claims (1)
- 車両の車内側におけるピラー部を間にした窓の上縁側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、前記ピラー部と前記窓との車内側を覆うように展開膨張するように構成されて、
前記膨張用ガスを流入させて車内側壁部と車外側壁部とを離すように膨張可能なガス流入部と、膨張用ガスを流入させない非流入部と、を備え、
前記ガス流入部が、上縁側に、車両の前後方向に沿って配置されるガス供給路部と、該ガス供給路部の下方に配置されて、展開膨張時に前記ピラー部と前記窓との車内側を覆うとともに下端側に前記ピラー部と座席のヘッドレストとの間に展開する部位を有した膨張遮蔽部と、を備えて構成され、
該膨張遮蔽部が、前記非流入部に区画されて、車両の前後方向に沿って複数並設される膨張部を、備えて構成され、
該膨張部が、前記ピラー部の車内側を覆うように配置されるピラー部側膨張部と、前記窓の車内側を覆うように配置される窓側膨張部と、を備える構成の頭部保護エアバッグ装置のエアバッグにおいて、
前記窓側膨張部における前記ピラー部側膨張部の前後で隣接する前側隣接部と後側隣接部とが、前記ガス供給路部側に、膨張用ガスを流入させる流入口部を開口させて構成され、
前記ピラー部側膨張部が、前記ガス供給路部側を、前記非流入部によって実質的に閉塞されて、下端側に、前記前側隣接部及び前記後側隣接部と連通される流入口部を開口させて構成されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置のエアバッグ。
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