JP4765561B2 - 車両乗員拘束装置 - Google Patents

Description

本発明は、車両乗員頭部の拘束用の車両乗員拘束装置に係り、詳しくは車両の側面衝突や横転時等にサイドドアの窓等に沿って膨張するエアバッグを有する車両乗員拘束装置に関する。

車両乗員頭部の拘束用のエアバッグとして、車両の室内の天井部と側面部との交叉隅部付近に配置され、ガス導入口から導入されるガスによってサイドドアの窓等に沿って膨張するよう構成されたエアバッグ（カーテンエアバッグ）がある。

このカーテンエアバッグを有する車両乗員拘束装置を備えた車両にあっては、車両が側面衝突を受けたり、横転した場合などには該カーテンエアバッグが車両室内の側面（例えばドアやピラーなど）に沿って車体下方に向って膨張し、乗員の頭部を拘束する。

特開２００３−９５０５２号公報には、このカーテンエアバッグの後端側のうちリヤピラーに沿う部分を車室外側に折り返した後、前後方向の多数の折目に沿って蛇腹折りすることが記載されている。

かかる手順に従って折り畳んだエアバッグは、後端側を車室外側に折り返した後、蛇腹折りしているため、折り畳まれたエアバッグの該後端側における車室内・車室外方向の厚みが徒に大となってしまう。

別のカーテンエアバッグ後端側の折り畳み構造として、第４図に示すように、カーテンエアバッグの細長い折り畳み体の後端側１ｒを下側に折り返すものが考えられている。なお、第４図の２Ａ，２Ｂ，２Ｃ，２Ｄはそれぞれ車体のＡピラー、Ｂピラー、Ｃピラー、Ｄピラーを示し、３はルーフサイドレール、４はガス発生器（インフレータ）を示している。第５図は第４図のＶ−Ｖ線に沿う概略的な断面図であり、５はクォーターガラス、６はＤピラーガーニッシュを示している。
特開２００３−９５０５２号公報

第４図に示すように、カーテンエアバッグ１の折り畳み体の後端側１ｒを下側に折り返して２段重ね状とした場合、エアバッグ１の展開時に該後端側１ｒがＤピラーガーニッシュ６と干渉し、第５図に示すカーテンエアバッグ１の正規展開位置に展開する際のスムーズさの支障になることがある。

本発明は、エアバッグの後端側の展開がスムーズに行われる車両乗員拘束装置を提供することを目的とする。

請求項１の車両乗員拘束装置は、車両側面部の窓周縁の上縁側に沿って設置された折り畳み状態のエアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータとを有する車両乗員拘束装置において、該エアバッグは、前後方向折り線に沿って複数回折り畳まれることにより、車両前後方向に細長い１次折り畳み体とされ、その後、該１次折り畳み体の後端よりも前端側に位置する第１折り返し部において、該１次折り畳み体のうち該第１折り返し部から該後端側の部分が、上方且つ前方へ折り返され、該１次折り畳み体のうち該第１折り返し部よりも前端側の部分の上側に折り重ねられ、次いで、該１次折り畳み体の該第１折り返し部と該後端との間に位置する第２折り返し部において、該１次折り畳み体のうち該第２折り返し部から該後端側の部分が、上方且つ後方へ折り返され、該１次折り畳み体のうち該第１折り返し部と第２折り返し部との間の部分の上側に折り重ねられることにより、最終折り畳み体とされていることを特徴とするものである。

請求項２の車両乗員拘束装置は、請求項１において、前記エアバッグは、その後端側がＤピラーに沿って展開するように配置されていることを特徴とするものである。

本発明の車両乗員拘束装置にあっては、エアバッグ後端側が上側に複数回、好ましくは上下３段重ねとなるように折り返されており、エアバッグ後端側のＤピラーガーニッシュ等との干渉が防止され、該後端側がスムーズに展開する。

以下、図面を参照して実施の形態について説明する。

第１図は実施の形態に係る車両乗員拘束装置におけるエアバッグ折り手順を示す側面図、第２図は第１図のエアバッグの折り畳み手順の説明図、第３図は第１図のエアバッグを備えた車両室内の側面図である。なお、以下の説明における「前後」は車体の前後に合致する。

第３図の通り、前記第４図と同じく、この車両乗員拘束装置を搭載した車両の車体は、Ａ〜Ｄピラー２Ａ〜２Ｄ及びルーフサイドレール３等を有している。Ｄピラー２ＤにはＤピラーガーニッシュ６（第３図では図示略）が装着されている。車体天井に沿ってルーフライニング（図示略）が設けられている。

この車両乗員拘束装置は、細長く折り畳まれたエアバッグ（カーテンエアバッグ）１と、該エアバッグ１を膨張させるためのインフレータ４とを有する。

エアバッグ１は、Ａピラー２Ａの上部付近からルーフサイドレール３を経てＤピラー２Ｄの上部付近まで延在している。エアバッグ１は、複数枚の基布を重ね合わせて縫合線１０によって縫合し、膨張部１１と部分的な非膨張部１２とを形成し、該膨張部１１にガス導入口１３を介してインフレータ４からガスを導入するようにしたものである。

このエアバッグ１からは所定間隔をおいて耳状の突片１４が複数個突設されており、この突片１４がルーフサイドレール３にボルトやリベット等の留付具（図示略）によって留め付けられている。このエアバッグ１は、膨張したときにＡピラー２Ａ付近からＤピラー２Ｄ付近までサイドの窓開口の略全体を覆い得る大きさを有している。

このエアバッグ１は、第２図（ａ）の通り、平たく展延した状態において最後端側１ｍを前側に折り返した後、同（ｂ）の通り最末端の耳部１４を後方へ突出させるように該最後端１ｍの大部分を折り返し、次いで同（ｂ）の前後方向折り線２０に従って多数回ジグザグに蛇腹折りし、同（ｃ）の通り細長い折り畳み体とされる。この折り畳み体は、破断可能なテープ等によって結束され、保形される。

第１図（ａ），（ｂ）の通り、この細長いエアバッグ１の折り畳み体の後端側１ｒは、まず前側且つ上側に１回折り返され、次いで同（ｂ），（ｃ）の通り、折り返された部分の先端側を再度上側且つ後方側へ折り返す。これにより、エアバッグ１の後端側は合計上側に３段に折り重ねられる。この３段に折り重ねた後端側１ｒは、テープ等の破断可能な部材によって結束され、保形される。

このように折り畳まれ且つ後端側１ｒが上下３段に折り重ねられたエアバッグ１が車体に留め付けられる。このエアバッグ１は、ルーフライニングによって被装される。

このように構成された車両乗員拘束装置にあっては、車両の側突時や横転時等にインフレータ４が作動し、エアバッグ１が膨張を開始する。このエアバッグ１は、ルーフライニングを押し開きつつ車室内へ膨らみ出し、次いで車室側面に沿って膨張展開する。

この車両乗員拘束装置においては、エアバッグ１の後端側１ｒが上側に２回折り返されて３段重ね状となっており、この後端側１ｒはＤピラーガーニッシュと干渉することなくスムーズに展開する。また、３列目の座席の乗員が窓に寄り掛るようにアウトオブポジションの姿勢をとっている場合でも、当該乗員の頭部から影響されることなく該エアバッグ１の後端側１ｒはスムーズに乗員と車体側面との間に展開する。

上記の各実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、インフレータの数は１又は３以上であってもよい。

実施の形態に係る車両乗員拘束装置におけるエアバッグ折り手順を示す側面図である。 図１のエアバッグの折り畳み手順の説明図である。 図１のエアバッグを備えた車両室内の側面図である。 従来例の説明図である。 図４のＶ−Ｖ線断面図である。

符号の説明

１ エアバッグ
２Ａ〜２Ｄ ピラー
４ ガス発生器（インフレータ）

Claims (2)

1. 車両側面部の窓周縁の上縁側に沿って設置された折り畳み状態のエアバッグと、
   該エアバッグを膨張させるためのインフレータとを有する車両乗員拘束装置において、
   該エアバッグは、前後方向折り線に沿って複数回折り畳まれることにより、車両前後方向に細長い１次折り畳み体とされ、
   その後、該１次折り畳み体の後端よりも前端側に位置する第１折り返し部において、該１次折り畳み体のうち該第１折り返し部から該後端側の部分が、上方且つ前方へ折り返され、該１次折り畳み体のうち該第１折り返し部よりも前端側の部分の上側に折り重ねられ、
   次いで、該１次折り畳み体の該第１折り返し部と該後端との間に位置する第２折り返し部において、該１次折り畳み体のうち該第２折り返し部から該後端側の部分が、上方且つ後方へ折り返され、該１次折り畳み体のうち該第１折り返し部と第２折り返し部との間の部分の上側に折り重ねられることにより、最終折り畳み体とされていることを特徴とする車両乗員拘束装置。
2. 請求項１において、前記エアバッグは、その後端側がＤピラーに沿って展開するように配置されていることを特徴とする車両乗員拘束装置。

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