JP4010170B2 - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な導電特性を備え信頼性に優れた固体電解質を有する光電変換素子の製法方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー源として石炭や石油などの化石燃料を使用する場合、その結果発生する二酸化炭素が原因となり、地球の温暖化をもたらすと言われている。また、原子力エネルギーを使用する場合には、放射線による汚染の危険性が伴う。環境問題が取り沙汰される現在、これらのエネルギーに依存していくことは大変問題が多い。
【0003】
一方、太陽光を電気エネルギーに変換する光電変換素子である太陽電池は太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に対する影響が極めて少なく、より一層の普及が期待されている。
【0004】
太陽電池の材質としては様々なものがあるが、シリコンを用いたものが多数市販されており、これらは大別して単結晶シリコンまたは多結晶シリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池と、非晶質(アモルファス)シリコン系太陽電池とに分けられる。従来、太陽電池は、単結晶または多結晶のシリコンが多く用いられてきた。しかし、これらの結晶シリコン系太陽電池では、光(太陽)エネルギーを電気エネルギーに変換する性能を表す変換効率がアモルファスシリコンに比べて高いが、結晶の成長に多くのエネルギーと時間を要するため生産性が低く、コスト面で不利であった。
【0005】
一方、アモルファスシリコン系太陽電池は、変換効率が結晶シリコン系太陽電池より低いが、結晶シリコン系太陽電池と比べ光吸収性が高く、基板の選択範囲が広い、大面積化が容易である等の特徴がある。また、アモルファスシリコン系太陽電池は、生産性においては結晶シリコン系太陽電池に比べて高いが、真空プロセスが必要であり、設備面での負担は未だに大きい。
【0006】
そこで、より一層の低コスト化に向けて、シリコン系に代わる有機材料を用いた太陽電池が多く研究されてきた。しかし、このような有機材料を用いた場合、変換効率が1%以下と非常に低く、耐久性にも問題があった。こうした中で、Nature(353,p.737−740,1991)に、色素によって増感された多孔質半導体微粒子を用いた安価な太陽電池が報告された。この太陽電池は、増感色素にルテニウム錯体を用いて分光増感した酸化チタン多孔質薄膜を光電極とする湿式太陽電池、すなわち電気化学光電池である。この太陽電池の利点は、安価な酸化チタン等の酸化物半導体を用いることができ、増感色素の光吸収が800nmまでの幅広い可視光波長域にわたっていること、光電変換の量子効率が高く、高いエネルギー変換効率を実現できることである。また、真空プロセスが無いため、その生産に際して大型の設備等も必要ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような電気化学光電池は、湿式であるが故に電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等、信頼性に欠ける点もある。これを改善するため、ポリエチレンオキシド(PEO)等のポリマーに電解液を染み込ませたゲル状電解質も提案されているが、電解質の粘度が高く、電極にナノサイズの酸化物半導体微粒子を用いているため、電極細孔内部への電解質の含侵が困難であり、導電特性の低さによる光電変換効率の低下が問題となる。また、上記ゲル状電解質の架橋点はポリマー間の分子間力など2次的な弱い相互作用によりゲルを形成しているため、加熱によって容易に液状化するという問題もある。また、製膜時に塗布工程と低沸点、低粘度溶媒の除去工程が必要になるため、生産性が劣るという問題がある。
【0008】
そこで、電解液に多官能モノマーを溶かし、このモノマーを熱や活性光線などの外部エネルギーにより重合させた化学架橋型のゲル状電解質の研究が注目を浴びている。このゲル状電解質の特徴としては、重合前のモノマーと可塑剤溶液の粘度が低く、電極細孔内部へ電解液が含侵し易いことがある。また、電解液に多官能モノマーを溶かしたモノマー溶液を、予め作製した素子内へ注液し、in−situでゲル化することで、電極界面の化学接合が良好で導電特性の良好な光電変換素子を得ることができる。さらに、溶媒を用いた電解液の代わりにイオン性液体、すなわち溶融塩を用いることによって、蒸気圧を持たないゲル状電解質を実現することも可能である。
【0009】
しかし、一般的なラジカル重合法ではヨウ素が重合禁止剤として働くため、電荷移動の担体としてヨウ素レドックスを含有する電解液の場合、in−situでゲル化することができないという問題がある。
【0010】
また、電荷移動の担体としてヨウ素レドックスを含有しない場合においても、重合させる際の熱や活性光線による増感色素および電解質層の劣化が避けられないため、光電変換特性の低下が問題となる。
【0011】
そこで、本発明は、上述した従来の実情に鑑みて創案されたものであり、良好な導電特性を備え信頼性に優れた固体電解質を有する光電変換素子の製法方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明ではラジカル重合法を用いない新たな重合法により上述した問題を解決するものである。
【0013】
すなわち、上記の目的を達成する本発明に係る光電変換素子の製造方法は、透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、光電変換素子を組み立てた後に、イソシアネート基を3個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物と、レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、光電変換素子内において第一の化合物と第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、電解質層を形成することを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成する本発明に係る他の光電変換素子の製造方法は、透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、光電変換素子を組み立てた後に、アクリレート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を3個以上有する第二の化合物と、レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、光電変換素子内において第一の化合物と第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、電解質層を形成することを特徴とする。
【0015】
また、上記の目的を達成する本発明に係る他の光電変換素子の製造方法は、透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、光電変換素子を組み立てた後に、アクリレート基を3個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物と、レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、光電変換素子内において第一の化合物と第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、電解質層を形成することを特徴とする。
【0016】
上述した本発明に係るそれぞれの光電変換素子の製造方法は、電解質組成物が溶媒を含有してなるゲル状電解質であることが好ましい。
【0017】
また、上述した本発明に係るそれぞれの光電変換素子の製造方法は、電解質組成物が溶媒を含有しない完全固体電解質であることが好ましい。
【0018】
また、上述した本発明に係るそれぞれの光電変換素子の製造方法は、電解質組成物がイオン性液体を含有してなるゲル状電解質であることが好ましい。
【0019】
また、上述した本発明に係るそれぞれの光電変換素子の製造方法は、レドックス対がハロゲンイオンとハロゲン化物イオンとの組み合わせであることが好ましく、その場合でも、特にハロゲン元素がヨウ素であることが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光電変換素子の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0031】
本発明の光電変換素子の製造方法に係る固体電解質は、電解質組成物とマトリクスポリマーとを有する固体電解質であって、マトリクスポリマーが、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とが重付加反応により重合してなり、且つ固体電解質を形成する面に重合前の状態で接触し、その後重合してなることを特徴とするものである。
【0032】
図1は、上述した固体電解質を適用して構成した光電変換素子である色素増感太陽電池の構成を示す断面図である。図1において色素増感太陽電池1は、透明基板2と、透明電極3と、半導体層4と、固体電解質5と、塩化白金処理した白金層6と、透明電極7と、透明基板8とを備えて構成される。
【0033】
透明基板2及び透明基板8としては、透明性を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えばガラス基板を用いることができる。
【0034】
透明電極3及び透明電極7は、透明基板2の下面に透明な材料により形成された電極である。電極の材料としては、導電性及び透明性を有しているものであればどのようなものでも採用することができるが、導電性、透明性、さらに耐熱性を高いレベルで併せ持つ点から、スズ系酸化物などが好適であり、またコストの面ではITOが好ましい。なお、透明電極7は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて形成すればよい。
【0035】
半導体層4は、色素を担持した半導体粒子が透明電極3上に焼結されてなるものであり、色素が透明基板2及び透明電極3を透過して半導体層4に入射した光を吸収する。ここで、半導体粒子は色素を吸着した半導体微粒子であり、半導体微粒子としてはシリコンに代表される単体半導体の他に、化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用することができる。これらの半導体は、光励起下で伝導帯電子がキャリアとなりアノード電流を与えるn型半導体であることが好ましい。具体的に例示するとTiO2(チタニア)、SnO2、ZnO、WO3、Nb2O5、TiSrO3などが挙げられ、特に好ましくはアナターゼ型のTiO2である。また、半導体の種類はこれらに限定されるものではなく、また、これらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0036】
半導体層4の製膜方法に特に制限はないが、物性、利便性、製造コスト等を考慮した場合、半導体微粒子の湿式による製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一分散したペーストを調製し、透明導電膜を形成した基板上に塗布する方法が好ましい。塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法としては、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等など様々な方法により行うことができる。
【0037】
結晶酸化チタンの結晶型はアナターゼ型が光触媒活性の点から好ましい。アナターゼ型酸化チタンは市販の粉末、ゾル、スラリーでも良いし、あるいは酸化チタンアルコキシドを加水分解する等の公知の方法によって所定の粒径のものを作っても良い。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、塗布液調製時に乳鉢やボールミル等を使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき二次凝集が解かれた粒子が再度凝集するのを防ぐため、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤などを添加することができる。また、増粘の目的でポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、セルロース系の増粘剤など、各種増粘剤を添加することもできる。
【0038】
これらの半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmが好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。また、この上記半導体微粒子よりも大きいサイズの粒子を2種類以上混合し、入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する粒子の平均サイズは20〜500nmであることが好ましい。
【0039】
半導体層は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため、半導体微粒子を支持体上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この上限に特に制限はないが、通常1000倍程度である。一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体層には好ましい厚さが存在するが、一般的には0.1μm〜100μmであり、1μm〜50μmであることがより好ましく、3μm〜30μmであることが特に好ましい。
【0040】
半導体微粒子は支持体に塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなってしまい、溶融することもあるため、通常は40℃〜700℃であり、より好ましくは40℃〜650℃である。また、焼成時間にも特に制限はないが、通常は10分〜10時間程度である。焼成後、半導体粒子の表面積の増大や、半導体層の不純物を除去し、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行っても良い。
【0041】
半導体微粒子に吸着させる色素としては、例えばルテニウム色素が好適である。しかしながら、半導体微粒子に吸着させる色素は、電荷分離機能を有し増感作用を示すものであれば特に限定されるものではなく、ルテニウム色素の他にも、例えばローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシン等のキサンテン系色素、キノシアニン、クリプトシアニン等のシアニン系色素、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルー等の塩基性染料、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリン等のポルフィリン系化合物、その他アゾ色素、フタロシアニン化合物、Ruトリスビピリジル等の錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素等が挙げられ、これらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0042】
上記色素の半導体層への吸着方法に特に制限はないが、上記色素を例えばアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水等の溶媒に溶解させ、半導体層を有する電極を浸漬、もしくは色素溶液を半導体層に塗布することができる。また、色素同士の会合を低減する目的でデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸等を添加しても良い。また紫外線吸収剤を併用することもできる。
【0043】
また、過剰に吸着した色素の除去を促進する目的で、色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。アミン類の例としてピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられ、これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0044】
固体電解質5は、キャリア移動層となるゲル状電解質または完全固体電解質からなるものであり、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させ、その重合体を架橋マトリクスとすることを特徴としている。したがって、この色素増感太陽電池においては、このような電解質層にゲル状電解質または完全固体電解質からなる固体電解質5を用いることにより、電解液を用いた場合に生じる液漏れや揮発による電解質層の減少が防止され、電池特性、信頼性に優れた色素増感太陽電池が実現されている。
【0045】
第一の化合物または第二の化合物のどちらか一方はエーテル、エステル、カーボネート、アルキル、パーフルオロカーボン、ニトリル、3級アミンなどを主鎖および側鎖に有することが好ましい。第一の化合物におけるイソシアネート基の数は2個以上が好ましいが、第二の化合物における活性水素を有する求核基の数が2個である場合は、第一の化合物においてイソシアネート基は3個以上必要である。同様に、第二の化合物における活性水素を有する求核基の数は2個以上が好ましいが、第一の化合物におけるイソシアネート基の数が2個である場合は、第二の化合物における活性水素を有する求核基は3個以上必要である。
【0046】
また、それぞれ異なる骨格の化合物を単独、または2種類以上混合して用いることもできる。第一の化合物を具体的に例示すると、2,4−ジイソシアン酸トリレン、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアン酸、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸イソホロン、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアン酸、ジイソシアン酸ヘキサメチレンの三量体、イソシアネートエチルメタクリレートの重合体等が挙げられる。耐光性を向上させるためには、第一の化合物として脂肪族イソシアネート化合物を選択することが好ましく、これらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0047】
また、第二の化合物を具体的に例示すると、ジオール、トリオール、テトラオールなどのポリオール化合物、同様にジアミン、トリアミン、テトラアミンなどのポリアミン化合物、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸等のポリカルボン酸等が挙げられ、これらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0048】
また、重付加反応を効率よく進行させるために触媒を用いても構わない。触媒としては、一般的にはジブチル錫ジラウリン酸等の錫系触媒、アミン系触媒等、ポリウレタン合成用に知られている公知のものを使用することができるが、これらに限定される物ではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。また、触媒を使用する場合の触媒の添加量は1wt%以下であり、好ましくは0.1wt%以下である。
【0049】
上記固体電解質5がゲル状電解質の場合、該ゲル状電解質は溶媒を含有する電解質組成物と、上記架橋マトリクスから構成され、該架橋マトリクスのゲル状電解質に占める割合は3wt%〜50wt%である。電解質組成物を構成する溶媒としては、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、炭化水素等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。また、この中でも非プロトン性非水溶媒がより好ましい。
【0050】
ここで、ゲル状電解質における電解質組成物の占める比率が高くなるにしたがってイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。また、逆にゲル状電解質5における電解質組成物の占める比率が少なくなるにしたがって機械的強度は大きくなるがイオン導電率は低下する。このため、ゲル状電解質における電解質組成物の比率は、50wt%〜97wt%が好ましく、80wt%〜95wt%がより好ましい。
【0051】
ゲル状電解質に用いる電解質は、I2と金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物の組み合わせ、Br2と金属臭化物あるいは有機臭化物の組み合わせの他、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。
【0052】
上記金属化合物のカチオンとしてはLi、Na、K、Mg、Ca、Cs等が、上記有機化合物のカチオンとしてはテトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類等の4級アンモニウム化合物が好適であるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。この中でも、I2とLiIやイミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物を組み合わせた電解質が好適である。電解質塩の濃度は、溶媒に対して0.05M〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.2M〜1Mである。I2やBr2の濃度は0.0005M〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001M〜0.1Mである。また、開放電圧、短絡電流を向上させる目的で4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸など各種添加剤を加えることもできる。
【0053】
また、上記固体電解質5が完全固体電解質である場合、該完全固体電解質は例えばヨウ素レドックスを含有する上記架橋マトリクスから構成される。電解質は、I2と金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物の組み合わせ、Br2と金属臭化物あるいは有機臭化物の組み合わせのほか、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。
【0054】
上記金属化合物のカチオンとしてはLi、Na、K、Mg、Ca、Cs等が、上記有機化合物のカチオンとしてはテトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類等の4級アンモニウム化合物が好適であるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。この中でも、I2とLiIやイミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物を組み合わせた電解質が好適である。電解質塩の濃度は、モノマーに対して0.05M〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.2M〜1Mである。また、I2やBr2の濃度は、0.0005M〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001M〜0.1Mである。
【0055】
以上のように構成された固体電解質5は、ゲル状電解質もしくは完全固体電解質からなるため、電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等がなく、信頼性の高い電解質である。
【0056】
また、この固体電解質5のマトリクスポリマーは、上述した第一の化合物と第二の化合物とが重付加反応した重合体であり化学架橋しているため熱によって液状化することがなく、機械的特性および耐久性に優れている。
【0057】
また、この固体電解質5は、流動性がある重合前の状態で固体電解質形成面、すなわち電極面に接触し、その後重合してなることより、電極面細孔内部への電解質の含侵が十分になされ、また、固体電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされるため、良好な導電特性を有する。
【0058】
また、この固体電解質5は、上述した第一の化合物と第二の化合物とが重付加反応により重合して形成されることより、重合に際して熱や活性光線を用いる必要がない。このため、形成時の熱や活性光線により電解質組成物が劣化することがなく良好な導電特性を備えた電解質が実現されており、また、製造工程が簡単であり生産性に優れる。
【0059】
そして、この固体電解質は、重付加反応により形成されラジカル重合法によらないため、ラジカル重合法においてはヨウ素が重合禁止剤として働くヨウ素を電解質組成物に含む場合においても容易に作製することができ、電池素子内においてin−situで形成することができるため、ヨウ素レドックス対を利用する光電変換素子等に好適である。
【0060】
白金層6は対向電極であり、導電性物質であれば任意のものを用いることができるが、絶縁性の物質でも半導体電極に面している側に導電層が設置されていれば、これも使用可能である。ただし、電気化学的に安定である材料を電極として用いることが好ましく、具体的には、白金、金、およびカーボン等を用いることが好ましい。また、酸化還元の触媒効果を向上させる目的で、半導体電極に面している側は微細構造で表面積が増大していることが好ましく、例えば、白金であれば白金黒状態に、カーボンであれば多孔質状態になっていることが好ましい。白金黒状態は白金の陽極酸化法、塩化白金酸処理などによって、また多孔質状態のカーボンは、カーボン微粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法により形成することができる。
【0061】
以上のように構成された色素増感型太陽電池1は次のように動作する。透明電極3側の透明電極2より入射した光が半導体層4表面に担時された色素を励起し、色素は半導体層4の半導体微粒子へ電子を速やかに渡す。一方、電子を失った色素はゲル状電解質5のイオンから電子を受け取る。電子を渡した分子は、再び対向電極である白金層6で電子を受け取る。
【0062】
また、以上のような色素増感太陽電池1は、次にようにして作製することができる。以下では、固体電解質5としてゲル状電解質を用いた場合を例に説明する。
【0063】
まず、透明基板2の一主面に透明電極3を形成し、該透明電極3上に色素を担持させた半導体層4を形成して半導体電極を構成する。また、透明基板8の一主面に透明電極7を形成し、該透明電極7上に塩化白金処理した白金層6を形成する。そして、色素を担持させた半導体層4と白金層6とを向かい合わせ、半導体電極と対向電極とが接しないように、透明基板2及び透明基板7の側面を封止する。このとき、半導体電極と対向電極との距離に特に制限はないが、通常は1μm〜100μmであり、より好ましくは1μm〜30μmである。この電極間の距離が長すぎると、導電率の低下から光電流が減少してしまう。
【0064】
また、封止方法も特に制限はないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、例えばエポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル系接着剤、エチレンビニルアセテート(EVA)、セラミック、熱融着フィルム等を用いることができる。また、本発明の製造方法に係わる光電変換素子にはゲル化前の溶液を注液する注入口が必要であるが、色素を担持した半導体層4およびそれに対向する部分の対向電極上でなければ注入口の場所は特に限定されるものではなく、任意の場所に設けることができる。
【0065】
次に、ゲル状電解質5の前駆体となる混合溶液を調製する。まず、電解質組成物である電解液に、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物を溶解させる。次いで、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物を溶解させてゲル化前の混合溶液を調製する。この際、溶解させる順番に特に制限はないが、イソシアネート基が電解質組成物中のヨウ素と付加反応を起こすため、上記の順番で溶解させることが好ましい。
【0066】
次に混合溶液を上記において組み立てた色素増感太陽電池1に注液する。混合溶液の注液方法に特に制限はないが、これらの化合物を完全に溶解した後、予め封止され混合溶液の注入口が開けられた色素増感太陽電池1の内部に注液を行う方法が好ましい。この場合、注入口に混合溶液を数滴垂らし、毛細管現象により注液する方法が簡便である。また、必要に応じて減圧下で混合溶液の注入を行うこともできる。完全に混合溶液が注入された後、注入口に残ったゲル化前の混合溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限は無く、必要であればガラス板を封止剤で貼り付けて封止することもできる。
【0067】
ゲル化前の混合溶液を色素増感太陽電池1へ導入した後は、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物との重付加反応による重合が完了するまで静置することが好ましい。静置する時間に特に制限はないが、通常、色素増感太陽電池1内へ導入した混合溶液の流動性が完全に無くなり、ゲル化が完了するまでの時間は1分〜48時間程度である。なお、この時間は第一の化合物、第二の化合物の選択、電解質の選択、溶媒の選択等の諸条件によって変化することもある。また、静置する雰囲気温度に特に制限はないが、通常は0℃〜120℃であり、色素や電解質への影響を抑えるためには0℃〜80℃とすることが好ましい。
【0068】
また、色素増感太陽電池1においては、発電効率を上げるために、光の取り込み側である透明基板2の表面に反射防止(AR)処理を施しても良い。また、色素増感太陽電池1の表面をグルービング、テクスチャリング等の方法で処理することにより、入射した光の利用効率を向上させても良い。また、色素増感太陽電池1を透過した光を有効利用するため、対向電極の最下層にAlやAg等の反射率の高い金属、合金をスパッタまたは蒸着等により設けることも可能である。
【0069】
以上のようにして色素増感太陽電池1を作製することができる。
【0070】
以上のように構成された色素増感太陽電池1においては、上述した固体電解質5を備えるため、電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等がなく、信頼性に優れた色素増感太陽電池が実現される。
【0071】
また、この色素増感太陽電池1においては、固体電解質5のマトリクスポリマーが、上述したように第一の化合物と第二の化合物とが重付加反応した重合体からなり化学架橋してなるため、熱によって固体電解質5が液状化することがなく、機械的特性および耐久性に優れた色素増感太陽電池が実現される。
【0072】
また、色素増感太陽電池において固体電解質を用いる場合、予め固体電解質を形成し、該固体電解質を半導体層に密着させて色素増感太陽電池を構成すると、半導体層及び固体電解質はすでに形状、すなわち表面形状が固化したもの同士が当接されることとなるため、半導体層と固体電解質との密着性は良くなく、したがって、半導体層と固体電解質との接触が不十分となるため光電変換効率が低下するという問題が生じる。
【0073】
しかし、この色素増感太陽電池1においては、固体電解質5が、流動性がある重合前の状態で該色素増感太陽電池内に導入され、その後重合して形成されるため、電極面細孔内部への電解質の含侵が十分になされ、また、半導体層4の半導体微粒子や対向電極である白金層6と固体電解質5との密着性を高くすることができ、半導体層4と固体電解質5との接触を十分に確保することが可能となるため固体電解質5と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、良好な光電変換特性を備えた色素増感太陽電池が実現される。
【0074】
また、この色素増感太陽電池1においては、固体電解質5が、上述したように重付加反応により重合させて形成されることより、熱や活性光線の使用が不要である。したがって、固体電解質形成時の熱や活性光線の使用による電解質組成物の劣化がないため、良好な光電変換特性を備えた光電変換素子が実現されており、また、製造工程が簡単であり生産性に優れる。
【0075】
また、この色素増感太陽電池1においては、固体電解質5が重付加反応により形成されラジカル重合法によらないため、ラジカル重合法においてはヨウ素が重合禁止剤として働くヨウ素を電解質組成物に含む場合においても容易に固体電解質5を形成することができ、電池素子内においてin−situで固体電解質5を形成することができる。したがって、この色素増感太陽電池1によれば、良好な光電変換特性を備えた色素増感太陽電池を簡便、且つ確実に構成することができる。
【0076】
上述した固体電解質5においては、溶媒を含有する電解質組成物の代わりにイオン性液体、すなわち溶融塩を用いることによって、蒸気圧を持たないゲル状電解質を構成することもできる。
【0077】
次に、本発明に係る他の固体電解質および光電変換素子、ならびにその製造法について詳細に説明する。図2は、本発明を適用して構成した他の色素増感太陽電池の構成を示す断面図である。図2において色素増感太陽電池11は、透明基板2と、透明電極3と、半導体層4と、固体電解質15と、塩化白金処理した白金層6と、透明電極7と、透明基板8とを備えて構成される。なお、色素増感太陽電池11において上述した色素増感太陽電池1と同じ部材に関しては、図1と同じ符号を付すことで詳細な説明は省略し、色素増感太陽電池11が色素増感太陽電池1と異なる部分、具体的には、固体電解質15についてのみ説明する。
【0078】
固体電解質15は、キャリア移動層となるゲル状電解質からなるものであり、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させ、その重合体を架橋マトリクスとすることを特徴としている。そして、固体電解質15は、レドックス対を含有するイオン性液体と3wt%〜50wt%の上記架橋マトリクスから構成されている。したがって、この色素増感太陽電池においては、電解質層にゲル状電解質からなる固体電解質15を用いることにより、電解液を用いた場合に生じる液漏れや揮発による電解質層の減少が防止され、電池特性、信頼性に優れた色素増感太陽電池が実現されている。
【0079】
ここで、第一の化合物または第二の化合物のどちらか一方はエーテル、エステル、カーボネート、アルキル、パーフルオロカーボン、ニトリル、3級アミンなどを主鎖および側鎖に有することが好ましい。第一の化合物におけるイソシアネート基の数は2個以上が好ましいが、第二の化合物における活性水素を有する求核基の数が2個である場合は、第一の化合物においてイソシアネート基は3個以上必要である。同様に、第二の化合物における活性水素を有する求核基の数は2個以上が好ましいが、第一の化合物におけるイソシアネート基の数が2個である場合は、第二の化合物における活性水素を有する求核基は3個以上必要である。
【0080】
また、それぞれ異なる骨格の化合物を単独、または2種類以上混合して用いることもできる。第一の化合物を具体的に例示すると、2,4−ジイソシアン酸トリレン、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアン酸、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸イソホロン、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアン酸、ジイソシアン酸ヘキサメチレンの三量体、イソシアネートエチルメタクリレートの重合体等が挙げられる。耐光性を向上させるためには、第一の化合物として脂肪族イソシアネート化合物を選択することが好ましく、これらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0081】
また、第二の化合物を具体的に例示すると、ジオール、トリオール、テトラオールなどのポリオール化合物、同様にジアミン、トリアミン、テトラアミンなどのポリアミン化合物、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸等のポリカルボン酸等が挙げられ、これらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0082】
また、重付加反応を効率よく進行させるために触媒を用いても構わない。触媒としては、一般的にはジブチル錫ジラウリン酸等の錫系触媒、アミン系触媒等、ポリウレタン合成用に知られている公知のものを使用することができるが、これらに限定される物ではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。また、触媒を使用する場合の触媒の添加量は1wt%以下であり、好ましくは0.1wt%以下である。
【0083】
イオン性液体としては、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。イオン性液体の融点は100℃以下であることが好ましく、より好ましくは80℃以下であり、特に好ましくは60℃以下である。
【0084】
ここで、ゲル状電解質におけるイオン性液体の占める比率が高くなるにしたがってイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。また、逆にゲル状電解質におけるイオン性液体の占める比率が少なくなるにしたがって機械的強度は大きくなるがイオン導電率は低下する。このため、ゲル状電解質におけるイオン性液体の比率は、50wt%〜97wt%が好ましく、80wt%〜95wt%がより好ましい。
【0085】
本発明のゲル状電解質に用いるレドックス対は、I2とイオン性液体のヨウ化物の組み合わせ、Br2とイオン性液体の臭化物の組み合わせ等が好適であり、特にI2とイオン性液体との組み合わせが好ましい。レドックス種の濃度は、電解質全体に対して0.1wt%〜20wt%であることが好ましく、より好ましくは0.2wt%〜5wt%である。
【0086】
また、イオン性液体の対アニオンは上記以外の物も使用可能であり、この場合は、Cl−、Br−等のハロゲンイオン、NSC−、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、(CF3SO2)2N−、(CF3CF2SO2)2N−、CF3SO3 −、CF3COO−、Ph4B−、(CF3SO2)3C−、F(HF)n等が挙げられ、この中でも(CF3SO2)2N−、またはBF4 −が好ましい。
【0087】
また、この場合のレドックス対は、金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物の組み合わせ、Br2と金属臭化物あるいは有機臭化物の組み合わせのほか、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。
【0088】
上記金属化合物のカチオンとしてはLi、Na、K、Mg、Ca、Cs等が、上記有機化合物のカチオンとしてはテトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類等の4級アンモニウム化合物が好適であるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。この中でも、I2とイミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物を組み合わせた電解質が好適である。
【0089】
また、電解質塩の濃度はイオン性液体に対して0.05M〜5Mが好ましく、より好ましくは0.2M〜1Mである。I2やBr2の濃度は0.0005M〜1Mが好ましく、より好ましくは0.001M〜0.1Mである。また、開放電圧、短絡電流を向上させる目的で4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸など各種添加剤を加えることもできる。
【0090】
以上のように構成された固体電解質15は、ゲル状電解質からなるため、電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等がなく、信頼性の高い電解質である。
【0091】
また、この固体電解質15のマトリクスポリマーは、上述した第一の化合物と第二の化合物とが重付加反応した重合体であり化学架橋しているため熱によって液状化することがなく、機械的特性および耐久性に優れている。
【0092】
また、この固体電解質15は、流動性がある重合前の状態で固体電解質形成面、すなわち電極面に接触し、その後重合してなることより、電極面細孔内部への電解質の含侵が十分になされ、また、固体電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされるため、良好な導電特性を有する。
【0093】
また、この固体電解質15は、上述した第一の化合物と第二の化合物とが重付加反応により重合して形成されることより、重合に際して熱や活性光線を用いる必要がない。このため、形成時の熱や活性光線により電解質組成物が劣化することがなく良好な導電特性を備えた電解質が実現されており、また、製造工程が簡単であり生産性に優れる。
【0094】
また、この固体電解質15は、重付加反応により形成されラジカル重合法によらないため、ラジカル重合法においてはヨウ素が重合禁止剤として働くヨウ素を電解質組成物に含む場合においても容易に作製することができ、電池素子内においてin−situで形成することができるため、ヨウ素レドックス対を利用する光電変換素子等に好適である。
【0095】
また、以上のような色素増感太陽電池11は、次にようにして作製することができる。
【0096】
まず、透明基板2の一主面に透明電極3を形成し、該透明電極3上に色素を担持させた半導体層4を形成して半導体電極を構成する。また、透明基板8の一主面に透明電極7を形成し、該透明電極7上に塩化白金処理した白金層6を形成する。そして、色素を担持させた半導体層4と白金層6とを向かい合わせ、半導体電極と対向電極とが接しないように、透明基板2及び透明基板7の側面を封止する。このとき、半導体電極と対向電極との距離に特に制限はないが、通常は1μm〜100μmであり、より好ましくは1μm〜30μmである。この電極間の距離が長すぎると、導電率の低下から光電流が減少してしまう。
【0097】
また、封止方法も特に制限はないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、例えばエポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル系接着剤、エチレンビニルアセテート(EVA)、セラミック、熱融着フィルム等を用いることができる。また、本発明の光電変換素子にはゲル化前の溶液を注液する注入口が必要であるが、色素を担持した半導体層4およびそれに対向する部分の対向電極上でなければ注入口の場所は特に限定されるものではなく、任意の場所に設けることができる。
【0098】
次に、ゲル状電解質15の前駆体となる混合溶液を調製する。まず、レドックス対を含むイオン性液体にイソシアネート基を2個以上有する第一の化合物を溶解させる。次いで、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物を溶解させてゲル化前の混合溶液を調製する。このとき、溶解させる順番に特に制限はないが、第一の化合物と第二の化合物を直接混合すると、急激に反応が起こり、そのまま固体化してしまう虞があるため好ましくない。
【0099】
次に混合溶液を上記において組み立てた色素増感太陽電池11に注液する。混合溶液の注液方法に特に制限はないが、これらの化合物を完全に溶解した後、予め封止され混合溶液の注入口が開けられた色素増感太陽電池11の内部に注液を行う方法が好ましい。この場合、注入口に混合溶液を数滴垂らし、毛細管現象により注液する方法が簡便である。また、必要に応じて減圧下で混合溶液の注入を行うこともできる。完全に混合溶液が注入された後、注入口に残ったゲル化前の混合溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限はなく、必要であればガラス板を封止剤で貼り付けて封止することもできる。
【0100】
ゲル化前の混合溶液を色素増感太陽電池11へ導入した後は、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物との重付加反応による重合が完了するまで静置することが好ましい。静置する時間に特に制限はないが、通常、色素増感太陽電池11内へ導入した混合溶液の流動性が完全に無くなり、ゲル化が完了するまでの時間は1分〜48時間程度である。なお、この時間は第一の化合物、第二の化合物の選択、イオン性液体の選択等の諸条件によって変化することもある。また、静置する雰囲気温度に特に制限はないが、通常は0℃〜100℃であり、色素や電解質への影響を抑えるためには0℃〜60℃とすることが好ましい。
【0101】
以上のようにして色素増感太陽電池11を作製することができる。
【0102】
以上のように構成された色素増感太陽電池11においては、上述した固体電解質15を備えるため、電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等がなく、信頼性に優れた色素増感太陽電池が実現される。
【0103】
また、この色素増感太陽電池11においては、固体電解質15のマトリクスポリマーが、上述したように第一の化合物と第二の化合物とが重付加反応した重合体からなり化学架橋してなるため、熱によって固体電解質15が液状化することがなく、機械的特性および耐久性に優れた色素増感太陽電池が実現される。
【0104】
また、色素増感太陽電池において固体電解質を用いる場合、予め固体電解質を形成し、該固体電解質を半導体層に密着させて色素増感太陽電池を構成すると、半導体層及び固体電解質はすでに形状、すなわち表面形状が固化したもの同士が当接されることとなるため、半導体層と固体電解質との密着性は良くなく、したがって、半導体層と固体電解質との接触が不十分となるため光電変換効率が低下するという問題が生じる。
【0105】
しかし、この色素増感太陽電池11においては、固体電解質15が、流動性がある重合前の状態で該色素増感太陽電池内に導入され、その後重合して形成されるため、電極面細孔内部への電解質の含侵が十分になされ、また、半導体層4の半導体微粒子や対向電極である白金層6と固体電解質15との密着性を高くすることができ、半導体層4と固体電解質15との接触を十分に確保することが可能となるため固体電解質15と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、良好な光電変換特性を備えた色素増感太陽電池が実現される。
【0106】
また、この色素増感太陽電池11においては、固体電解質15が、上述したように重付加反応により重合させて形成されることより、熱や活性光線の使用が不要である。したがって、固体電解質形成時の熱や活性光線の使用による電解質組成物の劣化がないため、良好な光電変換特性を備えた光電変換素子が実現されており、また、製造工程が簡単であり生産性に優れる。
【0107】
また、この色素増感太陽電池11においては、固体電解質15が重付加反応により形成されラジカル重合法によらないため、ラジカル重合法においてはヨウ素が重合禁止剤として働くヨウ素を電解質組成物に含む場合においても容易に固体電解質15を形成することができ、電池素子内においてin−situで固体電解質15を形成することができる。したがって、この色素増感太陽電池11によれば、良好な光電変換特性を備えた色素増感太陽電池を簡便、且つ確実に構成することができる。
【0108】
次に、本発明の光電変換素子の製造方法に係る他の固体電解質および光電変換素子、ならびにその製造法について詳細に説明する。図3は、本発明の光電変換素子の製造方法を適用して構成した他の色素増感太陽電池の構成を示す断面図である。図3において色素増感太陽電池21は、透明基板2と、透明電極3と、半導体層4と、固体電解質25と、塩化白金処理した白金層6と、透明電極7と、透明基板8とを備えて構成される。なお、色素増感太陽電池21において上述した色素増感太陽電池1と同じ部材に関しては、図1と同じ符号を付すことで詳細な説明は省略し、色素増感太陽電池21が色素増感太陽電池1と異なる部分、具体的には、固体電解質25についてのみ説明する。
【0109】
固体電解質25は、キャリア移動層となるゲル状電解質または完全固体電解質からなるものであり、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させ、その重合体を架橋マトリクスとすることを特徴としている。したがって、この色素増感太陽電池においては、このような電解質層にゲル状電解質または完全固体電解質からなる固体電解質25を用いることにより、電解液を用いた場合に生じる液漏れや揮発による電解質層の減少が防止され、電池特性、信頼性に優れた色素増感太陽電池が実現されている。
【0110】
ここで、第一の化合物の不飽和二重結合は、α,β−不飽和カルボニル基、α,β−不飽和スルホニル基、α,β−不飽和ニトリル基が好ましく、その中でもα,β−不飽和カルボニル基がより好適である。また、第一の化合物、第二の化合物ともにエーテル、エステル、カーボネート、アルキル、パーフルオロカーボン、ニトリル、3級アミンなどを主鎖および側鎖に有することが好ましい。第一の化合物における不飽和二重結合の数は2個以上が好ましいが、第二の化合物における活性水素を有する求核基の数が2個である場合は、第一の化合物における不飽和二重結合は3個以上必要である。同様に、第二の化合物における活性水素を有する求核基の数は2個以上が好ましいが、第一の化合物における不飽和二重結合の数が2個である場合は、第二の化合物における活性水素を有する求核基の3個以上必要である。
【0111】
また、それぞれ異なる骨格の化合物を単独、または2種類以上混合して用いることもできる。
【0112】
上記固体電解質25がゲル状電解質の場合、該ゲル状電解質は溶媒を含有する電解質組成物と、上記架橋マトリクスから構成され、該架橋マトリクスのゲル状電解質に占める割合は3wt%〜50wt%である。電解質組成物を構成する溶媒としては、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、炭化水素等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。また、この中でも非プロトン性非水溶媒がより好ましい。
【0113】
ここで、ゲル状電解質における電解質組成物の占める比率が高くなるにしたがってイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。また、逆にゲル状電解質における電解質組成物の占める比率が少なくなるにしたがって機械的強度は大きくなるがイオン導電率は低下する。このため、ゲル状電解質における電解質組成物の比率は、50wt%〜97wt%が好ましく、80wt%〜95wt%がより好ましい。
【0114】
ゲル状電解質に用いる電解質は、I2と金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物の組み合わせ、Br2と金属臭化物あるいは有機臭化物の組み合わせの他、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。
【0115】
上記金属化合物のカチオンとしてはLi、Na、K、Mg、Ca、Cs等が、上記有機化合物のカチオンとしてはテトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類等の4級アンモニウム化合物が好適であるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0116】
この中でも、I2とLiIやイミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物を組み合わせた電解質が好適である。電解質塩の濃度は、溶媒に対して0.05M〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.2M〜1Mである。I2やBr2の濃度は0.0005M〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001M〜0.1Mである。また、開放電圧、短絡電流を向上させる目的で4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸など各種添加剤を加えることもできる。
【0117】
また、上記固体電解質25が完全固体電解質である場合、該完全固体電解質はヨウ素レドックスを含有する上記架橋マトリクスから構成される。電解質は、I2と金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物の組み合わせ、Br2と金属臭化物あるいは有機臭化物の組み合わせのほか、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。
【0118】
上記金属化合物のカチオンとしてはLi、Na、K、Mg、Ca、Cs等が、上記有機化合物のカチオンとしてはテトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類等の4級アンモニウム化合物が好適であるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。この中でも、I2とLiIやイミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物を組み合わせた電解質が好適である。電解質塩の濃度は、モノマーに対して0.05M〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.2M〜1Mである。また、I2やBr2の濃度は、0.0005M〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001M〜0.1Mである。
【0119】
以上のように構成された固体電解質25は、ゲル状電解質もしくは完全固体電解質からなるため、電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等がなく、信頼性の高い電解質である。
【0120】
また、この固体電解質25のマトリクスポリマーは、上述した第一の化合物と第二の化合物とがマイケル付加反応した重合体であり化学架橋しているため熱によって液状化することがなく、機械的特性および耐久性に優れている。
【0121】
また、この固体電解質25は、流動性がある重合前の状態で固体電解質形成面、すなわち電極面に接触し、その後重合してなることより、電極面細孔内部への電解質の含侵が十分になされ、また、固体電解質25と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされるため、良好な導電特性を有する。
【0122】
また、この固体電解質25は、上述した第一の化合物と第二の化合物とがマイケル付加反応により重合して形成されることより、重合に際して熱や活性光線を用いる必要がない。このため、形成時の熱や活性光線により電解質組成物が劣化することがなく良好な導電特性を備えた電解質が実現されており、また、製造工程が簡単であり生産性に優れる。
【0123】
また、この固体電解質25は、マイケル付加反応により形成されラジカル重合法によらないため、ラジカル重合法においてはヨウ素が重合禁止剤として働くヨウ素を電解質組成物に含む場合においても容易に作製することができ、電池素子内においてin−situで形成することができるため、ヨウ素レドックス対を利用する光電変換素子等に好適である。
【0124】
また、以上のような色素増感太陽電池21は、次にようにして作製することができる。
【0125】
まず、透明基板2の一主面に透明電極3を形成し、該透明電極3上に色素を担持させた半導体層4を形成して半導体電極を構成する。また、透明基板8の一主面に透明電極7を形成し、該透明電極7上に塩化白金処理した白金層6を形成する。そして、色素を担持させた半導体層4と白金層6とを向かい合わせ、半導体電極と対向電極とが接しないように、透明基板2及び透明基板7の側面を封止する。このとき、半導体電極と対向電極との距離に特に制限はないが、通常は1μm〜100μmであり、より好ましくは1μm〜30μmである。この電極間の距離が長すぎると、導電率の低下から光電流が減少してしまう。
【0126】
また、封止方法も特に制限はないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、例えばエポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル系接着剤、エチレンビニルアセテート(EVA)、セラミック、熱融着フィルム等を用いることができる。また、本発明の製造方法に係わる光電変換素子にはゲル化前の溶液を注液する注入口が必要であるが、色素を担持した半導体層4およびそれに対向する部分の対向電極上でなければ注入口の場所は特に限定されるものではなく、任意の場所に設けることができる。
【0127】
次に、ゲル状電解質25の前駆体となる混合溶液を調製する。まず、電解質組成物である電解液に不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物を溶解させる。次いで、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物を溶解させる。この第二の化合物の持つ活性水素を有する求核基は炭酸エステル類、ラクトン類と反応し不活性化するため、電解液を構成する溶媒にエステル類、炭酸エステル類、ラクトン類を用いる場合には必ず第一の化合物を先に溶解させ、次に第二の化合物を溶解させる必要がある。
【0128】
次に混合溶液を上記において組み立てた色素増感太陽電池21に注液する。混合溶液の注液方法に特に制限はないが、これらの化合物を完全に溶解した後、予め封止され混合溶液の注入口が開けられた色素増感太陽電池21の内部に注液を行う方法が好ましい。この場合、注入口に混合溶液を数滴垂らし、毛細管現象により注液する方法が簡便である。また、必要に応じて減圧下で混合溶液の注入を行うこともできる。完全に混合溶液が注入された後、注入口に残ったゲル化前の混合溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限はなく、必要であればガラス板を封止剤で貼り付けて封止することもできる。
【0129】
ゲル化前の混合溶液を色素増感太陽電池21へ導入した後は、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とのマイケル付加反応による重合が完了するまで静置することが好ましい。静置する時間に特に制限はないが、通常、色素増感太陽電池21内へ導入した前駆体溶液の流動性が完全に無くなり、ゲル化が完了するまでの時間は1分〜48時間程度である。なお、この時間は第一の化合物、第二の化合物の選択、電解質の選択、溶媒の選択等の諸条件によって変化することもある。また、静置する雰囲気温度に特に制限はないが、通常は0℃〜100℃であり、色素や電解質への影響を抑えるためには0℃〜60℃とすることが好ましい。
【0130】
以上のように構成された色素増感太陽電池21においては、上述した固体電解質25を備えるため、電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等がなく、信頼性に優れた色素増感太陽電池が実現される。
【0131】
また、この色素増感太陽電池21においては、固体電解質25のマトリクスポリマーが、上述したように第一の化合物と第二の化合物とがマイケル付加反応した重合体からなり化学架橋してなるため、熱によって固体電解質25が液状化することがなく、機械的特性および耐久性に優れた色素増感太陽電池が実現される。
【0132】
また、色素増感太陽電池において固体電解質を用いる場合、予め固体電解質を形成し、該固体電解質を半導体層に密着させて色素増感太陽電池を構成すると、半導体層及び固体電解質はすでに形状、すなわち表面形状が固化したもの同士が当接されることとなるため、半導体層と固体電解質との密着性は良くなく、したがって、半導体層と固体電解質との接触が不十分となるため光電変換効率が低下するという問題が生じる。
【0133】
しかし、この色素増感太陽電池21においては、固体電解質25が、流動性がある重合前の状態で該色素増感太陽電池内に導入され、その後重合して形成されるため、電極面細孔内部への電解質の含侵が十分になされ、また、半導体層4の半導体微粒子や対向電極である白金層6と固体電解質25との密着性を高くすることができ、半導体層4と固体電解質25との接触を十分に確保することが可能となるため固体電解質25と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、良好な光電変換特性を備えた色素増感太陽電池が実現される。
【0134】
また、この色素増感太陽電池21においては、固体電解質25が、上述したようにマイケル付加反応により重合させて形成されることより、熱や活性光線の使用が不要である。したがって、固体電解質形成時の熱や活性光線の使用による電解質組成物の劣化がないため、良好な光電変換特性を備えた光電変換素子が実現されており、また、製造工程が簡単であり生産性に優れる。
【0135】
また、この色素増感太陽電池21においては、固体電解質25がマイケル付加反応により形成されラジカル重合法によらないため、ラジカル重合法においてはヨウ素が重合禁止剤として働くヨウ素を電解質組成物に含む場合においても容易に固体電解質25を形成することができ、電池素子内においてin−situで固体電解質25を形成することができる。したがって、この色素増感太陽電池21によれば、良好な光電変換特性を備えた色素増感太陽電池を簡便、且つ確実に構成することができる。
【0136】
また、上述したマイケル付加反応を利用した固体電解質においては、溶媒を含有する電解質組成物の代わりにイオン性液体、すなわち溶融塩を用いることによって、蒸気圧を持たないゲル状電解質を構成することもできる。
【0137】
次に、本発明の光電変換素子の製造方法に係る他の固体電解質および光電変換素子、ならびにその製造法について詳細に説明する。図4は、本発明の光電変換素子の製造方法を適用して構成した他の色素増感太陽電池の構成を示す断面図である。図4において色素増感太陽電池31は、透明基板2と、透明電極3と、半導体層4と、固体電解質35と、塩化白金処理した白金層6と、透明電極7と、透明基板8とを備えて構成される。なお、色素増感太陽電池31において上述した色素増感太陽電池1と同じ部材に関しては、図1と同じ符号を付すことで詳細な説明は省略し、色素増感太陽電池31が色素増感太陽電池1と異なる部分、具体的には、固体電解質35についてのみ説明する。
【0138】
固体電解質35は、キャリア移動層となるゲル状電解質からなるものであり、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させ、その重合体を架橋マトリクスとすることを特徴としている。そして、固体電解質35は、レドックス対を含有するイオン性液体と3wt%〜50wt%の上記架橋マトリクスから構成されている。したがって、この色素増感太陽電池においては、電解質層にゲル状電解質からなる固体電解質35を用いることにより、電解液を用いた場合に生じる液漏れや揮発による電解質層の減少が防止され、電池特性、信頼性に優れた色素増感太陽電池が実現されている。
【0139】
ここで、第一の化合物の不飽和二重結合は、α,β−不飽和カルボニル基、α,β−不飽和スルホニル基、α,β−不飽和ニトリル基が好ましく、その中でもα,β−不飽和カルボニル基がより好適である。また、第一の化合物、第二の化合物ともにエーテル、エステル、カーボネート、アルキル、パーフルオロカーボン、ニトリル、3級アミンなどを主鎖および側鎖に有することが好ましい。第一の化合物における不飽和二重結合の数は2個以上が好ましいが、第二の化合物における活性水素を有する求核基の数が2個である場合は、第一の化合物における不飽和二重結合は3個以上必要である。同様に、第二の化合物における活性水素を有する求核基の数は2個以上が好ましいが、第一の化合物における不飽和二重結合の数が2個である場合は、第二の化合物における活性水素を有する求核基の3個以上必要である。
【0140】
また、それぞれ異なる骨格の化合物を単独、または2種類以上混合して用いることもできる。
【0141】
イオン性液体としては、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。イオン性液体の融点は100℃以下であることが好ましく、より好ましくは80℃以下であり、特に好ましくは60℃以下である。
【0142】
ここで、ゲル状電解質におけるイオン性液体の占める比率が高くなるにしたがってイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。また、逆にゲル状電解質におけるイオン性液体の占める比率が少なくなるにしたがって機械的強度は大きくなるがイオン導電率は低下する。このため、ゲル状電解質におけるイオン性液体の比率は、50wt%〜97wt%が好ましく、80wt%〜95wt%がより好ましい。
【0143】
本発明の光電変換素子の製造方法に係わるゲル状電解質に用いるレドックス対は、I2とイオン性液体のヨウ化物の組み合わせ、Br2とイオン性液体の臭化物の組み合わせ等が好適であり、特にI2とイオン性液体との組み合わせが好ましい。レドックス種の濃度は、電解質全体に対して0.1wt%〜20wt%であることが好ましく、より好ましくは0.2wt%〜5wt%である。
【0144】
また、イオン性液体の対アニオンが上記以外の物も使用可能であり、この場合は、Cl−、Br−等のハロゲンイオン、NSC−、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、(CF3SO2)2N−、(CF3CF2SO2)2N−、CF3SO3 −、CF3COO−、Ph4B−、(CF3SO2)3C−、F(HF)n等が挙げられ、この中でも(CF3SO2)2N−、またはBF4 −が好ましい。
【0145】
また、この場合のレドックス対は、金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物の組み合わせ、Br2と金属臭化物あるいは有機臭化物の組み合わせのほか、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。
【0146】
上記金属化合物のカチオンとしてはLi、Na、K、Mg、Ca、Cs等が、上記有機化合物のカチオンとしてはテトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類等の4級アンモニウム化合物が好適であるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。この中でも、I2とイミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物を組み合わせた電解質が好適である。
【0147】
また、電解質塩の濃度はイオン性液体に対して0.05M〜5Mが好ましく、より好ましくは0.2M〜1Mである。I2やBr2の濃度は0.0005M〜1Mが好ましく、より好ましくは0.001M〜0.1Mである。また、開放電圧、短絡電流を向上させる目的で4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸など各種添加剤を加えることもできる。
【0148】
以上のように構成された固体電解質35は、ゲル状電解質からなるため、電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等がなく、信頼性の高い電解質である。
【0149】
また、この35固体電解質のマトリクスポリマーは、上述した第一の化合物と第二の化合物とがマイケル付加反応した重合体であり化学架橋しているため熱によって液状化することがなく、機械的特性および耐久性に優れている。
【0150】
また、この固体電解質35は、流動性がある重合前の状態で固体電解質形成面、例えば電極面に接触し、その後重合してなることより、電極面細孔内部への電解質の含侵が十分になされ、また、固体電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされるため、良好な導電特性を有する。
【0151】
また、この固体電解質35は、上述した第一の化合物と第二の化合物とがマイケル付加反応により重合して形成されることより、重合に際して熱や活性光線を用いる必要がない。このため、形成時の熱や活性光線により電解質組成物が劣化することがなく良好な導電特性を備えた電解質が実現されており、また、製造工程が簡単であり生産性に優れる。
【0152】
また、この固体電解質35は、マイケル付加反応により形成されラジカル重合法によらないため、ラジカル重合法においてはヨウ素が重合禁止剤として働くヨウ素を電解質組成物に含む場合においても容易に作製することができ、電池素子内においてin−situで形成することができるため、ヨウ素レドックス対を利用する光電変換素子等に好適である。
【0153】
また、以上のような色素増感太陽電池31は、次にようにして作製することができる。
【0154】
まず、透明基板2の一主面に透明電極3を形成し、該透明電極3上に色素を担持させた半導体層4を形成して半導体電極を構成する。また、透明基板8の一主面に透明電極7を形成し、該透明電極7上に塩化白金処理した白金層6を形成する。そして、色素を担持させた半導体層4と白金層6とを向かい合わせ、半導体電極と対向電極とが接しないように、透明基板2及び透明基板7の側面を封止する。このとき、半導体電極と対向電極との距離に特に制限はないが、通常は1μm〜100μmであり、より好ましくは1μm〜30μmである。この電極間の距離が長すぎると、導電率の低下から光電流が減少してしまう。
【0155】
また、封止方法も特に制限はないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、例えばエポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル系接着剤、エチレンビニルアセテート(EVA)、セラミック、熱融着フィルム等を用いることができる。また、本発明の製造方法に係わる光電変換素子にはゲル化前の溶液を注液する注入口が必要であるが、色素を担持した半導体層4およびそれに対向する部分の対向電極上でなければ注入口の場所は特に限定されるものではなく、任意の場所に設けることができる。
【0156】
次に、ゲル状電解質35の前駆体となる混合溶液を調製する。まず、レドックス対を含むイオン性液体に不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物を溶解させる。次いで、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物を溶解させてゲル化前の混合溶液を調製する。このとき、溶解させる順番に特に制限はないが、第一の化合物と第二の化合物を直接混合すると、急激に反応が起こり、そのまま固体化してしまう虞があるため好ましくない。
【0157】
次に混合溶液を上記において組み立てた色素増感太陽電池31に注液する。混合溶液の注液方法に特に制限はないが、これらの化合物を完全に溶解した後、予め封止され混合溶液の注入口が開けられた色素増感太陽電池31の内部に注液を行う方法が好ましい。この場合、注入口に混合溶液を数滴垂らし、毛細管現象により注液する方法が簡便である。また、必要に応じて減圧下で混合溶液の注入を行うこともできる。完全に混合溶液が注入された後、注入口に残ったゲル化前の混合溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限はなく、必要であればガラス板を封止剤で貼り付けて封止することもできる。
【0158】
ゲル化前の混合溶液を色素増感太陽電池31へ導入した後は、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とのマイケル付加反応による重合が完了するまで静置することが好ましい。静置する時間に特に制限はないが、通常、色素増感太陽電池31内へ導入した混合溶液の流動性が完全に無くなり、ゲル化が完了するまでの時間は1分〜48時間程度である。なお、この時間は第一の化合物、第二の化合物の選択、イオン性液体の選択等の諸条件によって変化することもある。また、静置する雰囲気温度に特に制限はないが、通常は0℃〜100℃であり、色素や電解質への影響を抑えるためには0℃〜60℃とすることが好ましい。
【0159】
以上のようにして色素増感太陽電池31を作製することができる。
【0160】
以上のように構成された色素増感太陽電池31においては、上述した固体電解質35を備えるため、電解液の液漏れ、電解液の揮発による特性の低下等がなく、信頼性に優れた色素増感太陽電池が実現される。
【0161】
また、この色素増感太陽電池31においては、固体電解質35のマトリクスポリマーが、上述したように第一の化合物と第二の化合物とがマイケル付加反応した重合体からなり化学架橋してなるため、熱によって固体電解質35が液状化することがなく、機械的特性および耐久性に優れた色素増感太陽電池が実現される。
【0162】
また、色素増感太陽電池において固体電解質を用いる場合、予め固体電解質を形成し、該固体電解質を半導体層に密着させて色素増感太陽電池を構成すると、半導体層及び固体電解質はすでに形状、すなわち表面形状が固化したもの同士が当接されることとなるため、半導体層と固体電解質との密着性は良くなく、したがって、半導体層と固体電解質との接触が不十分となるため光電変換効率が低下するという問題が生じる。
【0163】
しかし、この色素増感太陽電池31においては、固体電解質35が、流動性がある重合前の状態で該色素増感太陽電池内に導入され、その後重合して形成されるため、電極面細孔内部への電解質の含侵が十分になされ、また、半導体層4の半導体微粒子や対向電極である白金層6と固体電解質35との密着性を高くすることができ、半導体層4と固体電解質35との接触を十分に確保することが可能となるため固体電解質35と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、良好な光電変換特性を備えた色素増感太陽電池が実現される。
【0164】
また、この色素増感太陽電池31においては、固体電解質35が、上述したようにマイケル付加反応により重合させて形成されることより、熱や活性光線の使用が不要である。したがって、固体電解質形成時の熱や活性光線の使用による電解質組成物の劣化がないため、良好な光電変換特性を備えた光電変換素子が実現されており、また、製造工程が簡単であり生産性に優れる。
【0165】
また、この色素増感太陽電池31においては、固体電解質35がマイケル付加反応により形成されラジカル重合法によらないため、ラジカル重合法においてはヨウ素が重合禁止剤として働くヨウ素を電解質組成物に含む場合においても容易に固体電解質35を形成することができ、電池素子内においてin−situで固体電解質35を形成することができる。したがって、この色素増感太陽電池31によれば、良好な光電変換特性を備えた色素増感太陽電池を簡便、且つ確実に構成することができる。
【0166】
なお、本発明の製造方法に係る光電変換素子は上記の構成に限定されるものではなく、用途に応じて様々な形状で作製することが可能である。
【0167】
【実施例】
以下、具体的な実験結果に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【0168】
<実験1>
実験1では、本発明の製造方法に係るゲル状電解質を備える光電変換素子について検討した。
【0169】
[実施例1]
実施例1では、本発明の製造方法に係る光電変換素子として色素増感太陽電池素子を以下のようにして作製した。まず、TiO2ペーストを作製した。TiO2ペーストの作製は「色素増感太陽電池の最新技術」(シーエムシー)を参考に行った。まず、125mlのチタンイソプロポキシドを、750mlの0.1M硝酸水溶液に室温で撹拌しながらゆっくり滴下した。滴下が終了した後、80℃の恒温槽に移し、8時間撹拌することにより白濁した半透明のゾル溶液を得た。
【0170】
次に、このゾル溶液を室温まで放冷し、ガラスフィルターでろ過した後、700mlにメスアップした。得られたゾル溶液をオートクレーブへ移し、220℃で12時間水熱処理を行った後、1時間超音波処理による分散処理を施した。
【0171】
次いで、この溶液をエバポレーターにより40℃で濃縮し、TiO2の含有量が11wt%になるように調製した。そして、この濃縮ゾル溶液に分子量が50万のポリエチレンオキサイド(PEO)を添加し、遊星ボールミルで均一に混合することにより、増粘したTiO2ペーストを得た。
【0172】
次に、得られたTiO2ペーストを、透明電極としてのシート抵抗が10Ω/□であるフッ素ドープ導電性ガラス基板に、1cm×1cmの大きさでスクリーン印刷法により塗布した後、450℃に30分間保持してTiO2を導電性ガラス上に焼結して半導体層を形成した。
【0173】
次いで、0.5mMのシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2'−ジピリジル−4,4'−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水和物および20mMのデオキシコール酸を溶解した脱水エタノール溶液に12時間浸漬させ、半導体層に色素を吸着させた。そして4−tert−ブチルピリジンのエタノール溶液、脱水エタノールの順で洗浄し、暗所で乾燥させることにより半導体電極を得た。
【0174】
次に、予め直径1mmの注液口が開けられたシート抵抗が10Ω/□のフッ素ドープ導電性ガラス基板に白金を100nmスパッタし、その上に塩化白金酸のエタノール溶液を数滴垂らし、450℃に加熱して対向電極を作製した。
【0175】
そして、上記のように作製した半導体電極の半導体層と対向電極の白金面とを対向させ、該二電極が接触しないように20μm厚の熱融着フィルムによって封止することにより色素増感太陽電池素子を構成した。
【0176】
また、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートを重量比で1:1に混合した溶媒3gにヨウ化リチウム(LiI)0.2g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド0.479g、ヨウ素(I2)0.0381g、4−tert−ブチルピリジン0.2gを溶解させて電解質組成物である電解液を調製した。
【0177】
次いで、上記電解液に触媒のジブチル錫ジラウリン酸を100ppm添加した後、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物としてポリオキシエチレングリセリン(分子量1200)を混合し、次いでイソシアネート基を2個以上有する第一の化合物としてトリレンジイソシアネートを混合して混合容液を調製した。混合比はイソシアネート基と活性水素を有する求核基とのモル比で1:1であり、ポリオキシエチレングリセリンとトリレンジイソシアネートとの合計量が電解液に対して6wt%になるように混合した。
【0178】
そして、上記混合溶液を、予め準備した色素増感太陽電池素子の注液口に数滴垂らし、減圧することで色素増感太陽電池素子内部に注液し、注液口を熱融着フィルムおよびガラス板で封止した。注液後、この色素増感太陽電池素子を80℃の温度で30分間静置することにより、電解質組成物がゲル化されてなるゲル状電解質を備えた色素増感太陽電池素子を得た。
【0179】
[実施例2]
第二の化合物としてポリオキシエチレンペンタエリスリトール(分子量1600)を用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0180】
[実施例3]
第一の化合物としてジイソシアン酸ヘキサメチレンを用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0181】
[実施例4]
第一の化合物としてジイソシアン酸イソホロンを用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0182】
[実施例5]
第二の化合物としてグリセリンを用い、触媒を添加しないこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0183】
[比較例1]
電解質組成物である電解液に第一の化合物、第二の化合物及び触媒を混合せず、電解質層として電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0184】
[比較例2]
ポリエチレングリコールトリアクリレートを電解液に対して6wt%になるように混合し、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0185】
[比較例3]
ポリエチレングリコールジアクリレートを電解液に対して6wt%になるように混合し、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0186】
[比較例4]
実施例1と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0187】
[比較例5]
実施例2と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例2と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0188】
[比較例6]
実施例3と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例3と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0189】
[比較例7]
実施例4と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例4と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0190】
[比較例8]
実施例5と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例5と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0191】
上記において作製した各実施例及び比較例における混合溶液の調製条件を表1に示す。
【0192】
【表1】
【0193】
以上のようにして作製した実施例1〜実施例5、及び比較例1〜比較例8の色素増感太陽電池について光電変換効率の評価を行った。光電変換効率は、以下のようにして測定した。
【0194】
光電変換効率の測定
光電変換効率の測定は、各色素増感太陽電池における半導体電極側のフッ素ドープ導電性ガラス基板と対向電極側のフッ素ドープ導電性ガラス基板とにそれぞれワニ口クリップを接続し、色素増感太陽電池に疑似太陽光(AM1.5、100mW/cm2)を照射して発生した電流を電流電圧測定装置にて測定することにより行った。その結果を表2に示す。
【0195】
【表2】
【0196】
また、光電変換効率測定後の各色素増感太陽電池を分解し、内部の電解質部分を取り出して電解質のゲル化の有無を目視によって確認した。その結果を表2に合わせて示す。なお、表2において○はゲル化していることを示し、×はゲル化していないことを示す。
【0197】
表2より、従来のラジカル重合法を用いた比較例2および比較例3においては、電解質組成物が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されていないことが判る。一方、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させた実施例1〜実施例5においては、電解質組成物が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されており、ゲル状電解質が得られていることが判る。
【0198】
このことより、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させることにより、電解質組成物を色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化させることが可能であり、ゲル状電解質が得られることが判る。
【0199】
また、実施例1〜実施例5と比較例1とを比較することにより、本発明の製造方法に係わるゲル状電解質を備える色素増感太陽電池は、電解液を用いて構成した色素増感太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、良好な光電変換効率を示しており、優れた色素増感太陽電池が実現されているといえる。
【0200】
また、表2より、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させることにより予め半導体層上にゲル状電解質を形成し、該ゲル状電解質に対向電極を重ね合わせて色素増感太陽電池を構成した比較例4〜比較例8は、ゲル状電解質が得られているものの、電解液を用いて構成した色素増感太陽電池と比べて光電変換効率が大幅に低下していることが判る。これは、予めゲル化させて形成したゲル状電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が悪く、抵抗が大きくなっているためと考えられる。
【0201】
一方、本発明を適用してイソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内において重付加反応により重合させてin−situでゲル化している実施例1〜実施例5においては、電解液を用いて構成した色素増感太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、良好な光電変換効率が得られていることが判る。これは、混合溶液が電極表面に接触した状態でゲル化されることにより、ゲル状電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、抵抗が小さくなるためと考えられる。
【0202】
これらのことより、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内において重付加反応により重合させることで色素増感太陽電池素子内においてin−situで電解質組成物をゲル化してゲル状電解質を作製することが可能であり、該ゲル状電解質を用いることにより良好な光電変換効率を備えた色素増感太陽電池が実現可能であるといえる。
【0203】
<実験2>
実験2では、本発明の製造方法に係る完全固体電解質を備える光電変換素子について検討した。
【0204】
[実施例6]
実施例6では、混合溶液を以下のようにして調製したこと以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0205】
混合溶液の調製
活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物としてポリオキシエチレングリセリン(分子量1200)3gにヨウ化リチウム(LiI)0.2g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド0.479g、ヨウ素(I2)0.0381g、4−tert−ブチルピリジン0.2gを溶解させた後、触媒のジブチル錫ジラウリン酸を100ppm添加した。
【0206】
次いで、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物としてトリレンジイソシアネートを混合した。混合比はイソシアネート基と活性水素を有する求核基のモル比で1:1とした。以上により混合溶液を調製した。
【0207】
[実施例7]
第二の化合物としてポリオキシエチレンペンタエリスリトール(分子量1600)を用いたこと以外は実施例6と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0208】
[実施例8]
第一の化合物としてジイソシアン酸ヘキサメチレンを用いたこと以外は実施例6と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0209】
[実施例9]
第一の化合物としてジイソシアン酸イソホロンを用いたこと以外は実施例6と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0210】
[実施例10]
第二の化合物としてグリセリンを用い、触媒を添加しないこと以外は実施例6と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0211】
[比較例9]
ポリエチレングリコールトリアクリレートを用い、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合し、注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例6と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0212】
[比較例10]
ポリエチレングリコールジアクリレートを用い、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合し、注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例6と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0213】
[比較例11]
実施例6と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例6と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0214】
[比較例12]
実施例7と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例7と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0215】
[比較例13]
実施例8と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例8と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0216】
[比較例14]
実施例9と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例9と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0217】
[比較例15]
実施例10と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例10と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0218】
上記において作製した各実施例及び比較例における混合溶液の調製条件を表3に示す。
【0219】
【表3】
【0220】
以上のようにして作製した実施例6〜実施例10、及び比較例9〜比較例15の色素増感太陽電池について上記と同様にして光電変換効率の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0221】
【表4】
【0222】
また、光電変換効率測定後の各色素増感太陽電池を分解し、内部の電解質部分を取り出して電解質の完全固体化の有無を目視によって確認した。その結果を表4に合わせて示す。なお、表4において○は完全固体化していることを示し、×は完全固体化していないことを示す。
【0223】
表4より、従来のラジカル重合法を用いた比較例9および比較例10においては、電解質組成物が色素増感太陽電池素子内においてin−situで完全固体化されていないことが判る。一方、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させた実施例6〜実施例10は、電解質組成物が色素増感太陽電池素子内においてin−situで完全固体化されており、完全固体電解質が得られていることが判る。
【0224】
このことより、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させることにより、電解質組成物を色素増感太陽電池素子内においてin−situで完全固体化させることが可能であり、完全固体電解質が得られることが判る。
【0225】
そして、表4より、本発明を適用してイソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内において重付加反応により重合させてin−situで完全固体化している実施例6〜実施例10は、予め半導体層上に完全固体電解質を形成して、該完全固体電解質に対向電極を重ね合わせて色素増感太陽電池を構成した比較例11〜比較例15と比較して高い光電変換効率が得られていることが判る。
【0226】
これは、実施例6〜実施例10では、混合溶液が電極表面に接触した状態で完全固体化されることにより、完全固体電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、抵抗が小さくなるため高い光電変換効率が得られていると考えられる。一方、比較例11〜比較例15では、予め完全固体化させて形成した完全固体電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が悪く、抵抗が大きくなっているため光電変換効率が低くなっていると考えられる。
【0227】
これらのことより、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内において重付加反応により重合させることで電解質組成物を色素増感太陽電池素子内においてin−situで完全固体化して完全固体電解質を作製することが可能であり、該完全固体電解質を用いることにより良好な光電変換効率を備えた色素増感太陽電池が実現可能であるといえる。
【0228】
<実験3>実験3では、本発明の製造方法に係る他のゲル状電解質を備える光電変換素子について検討した。
【0229】
[実施例21]
実施例21では、以下のようにして混合溶液を調製してゲル状電解質を作製したこと以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0230】
まず、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(以下、EMIと呼ぶことがある。)−ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド(TFSI)に1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイドを0.9M、ヨウ素(I2)を30mM、4−tert−ブチルピリジンを0.5M溶解させて、レドックス対を含むイオン性液体を調製した。
【0231】
次いで、イオン性液体に触媒のジブチル錫ジラウリン酸を100ppm添加した後、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物としてポリオキシエチレングリセリン(分子量1200)を混合し、さらにイソシアネート基を2個以上有する第一の化合物としてトリレンジイソシアネートを混合して混合溶液を調製した。混合比はイソシアネート基と活性水素を有する求核基のモル比で1:1であり、ポリオキシエチレングリセリンとトリレンジイソシアネートの合計量がイオン性液体に対して6wt%になるように混合した。
【0232】
上記混合溶液を予め準備した素子の注液口に数滴垂らし、50℃環境下で減圧することで素子内部に注液し、注液口を熱融着フィルムおよびガラス板で封止した。注液後、この素子を室温下で12時間静置することにより、レドックス対を含有するイオン性液体がゲル化されてなるゲル状電解質を備えた色素増感太陽電池を得た。
【0233】
[実施例22]
第二の化合物としてポリオキシエチレンペンタエリスリトール(分子量1600)を用いたこと以外は実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0234】
[実施例23]
第一の化合物としてジイソシアン酸ヘキサメチレンを用いたこと以外は実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0235】
[実施例24]
第一の化合物としてジイソシアン酸イソホロンを用いたこと以外は実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0236】
[実施例25]
第二の化合物としてグリセリンを用い、触媒を添加しないこと以外は実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0237】
[実施例26]
イオン性液体にEMI−ヨーダイドを用い、レドックス種としてヨウ素(I2)を30mM、4−tert−ブチルピリジンを0.5M溶解させてレドックス対を含むイオン性液体を調製した以外は実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0238】
[実施例27]
第二の化合物としてポリオキシエチレンペンタエリスリトール(分子量1600)を用いたこと以外は実施例26と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0239】
[実施例28]
第一の化合物としてジイソシアン酸ヘキサメチレンを用いたこと以外は実施例26と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0240】
[実施例29]
第一の化合物としてジイソシアン酸イソホロンを用いたこと以外は実施例26と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0241】
[実施例30]
第二の化合物としてグリセリンを用い、触媒を添加しないこと以外は実施例26と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0242】
[比較例21]
イオン性液体に第一の化合物、第二の化合物及び触媒を混合しないこと以外は、実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0243】
[比較例22]
イオン性液体に第一の化合物、第二の化合物及び触媒を混合しないこと以外は、実施例26と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0244】
[比較例23]
実施例21のイオン性液体に対してポリエチレングリコールトリアクリレートを6wt%、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0245】
[比較例24]
実施例21のイオン性液体に対してポリエチレングリコールジアクリレートを6wt%、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0246】
[比較例25]
実施例26のイオン性液体に対してポリエチレングリコールトリアクリレートを6wt%、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例26と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0247】
[比較例26]
実施例26のイオン性液体に対してポリエチレングリコールジアクリレートを6wt%、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例26と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0248】
[比較例27]
実施例21と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例21と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0249】
[比較例28]
実施例22と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例22と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0250】
[比較例29]
実施例23と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例23と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0251】
[比較例30]
実施例24と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例24と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0252】
[比較例31]
実施例25と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例25と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0253】
[比較例32]
実施例26と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例26と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0254】
[比較例33]
実施例27と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例27と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0255】
[比較例34]
実施例28と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例28と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0256】
[比較例35]
実施例29と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例29と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0257】
[比較例36]
実施例30と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例30と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0258】
上記において作製した各実施例及び比較例における混合溶液の調製条件を表5に示す。
【0259】
【表5】
【0260】
以上のようにして作製した実施例21〜実施例30、及び比較例21〜比較例36の色素増感太陽電池について上記と同様にして光電変換効率の評価を行った。その結果を表6に示す。
【0261】
【表6】
【0262】
また、光電変換効率測定後の各色素増感太陽電池を分解し、内部の電解質部分を取り出して電解質のゲル化の有無を目視によって確認した。その結果を表6に合わせて示す。なお、表6において○はゲル化していることを示し、×はゲル化していないことを示す。
【0263】
表6より、従来のラジカル重合法を用いた比較例23〜比較例26においては、レドックス対を含むイオン性液体が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されていないことが判る。一方、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させた実施例21〜実施例30は、レドックス対を含むイオン性液体が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されており、ゲル状電解質が得られていることが判る。
【0264】
このことより、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させることにより、レドックス対を含むイオン性液体を色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化させることが可能であり、ゲル状電解質が得られることが判る。
【0265】
また、実施例21〜実施例30と、比較例21および比較例22とを比較することにより、本発明の製造方法に係わるゲル状電解質を備える色素増感太陽電池は、レドックス対を含むイオン性液体を用いて構成した色素増感太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、良好な光電変換効率を示しており、優れた色素増感太陽電池が実現されているといえる。
【0266】
また、表6より、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを重付加反応により重合させることにより予め半導体層上にゲル状電解質を形成し、該ゲル状電解質に対向電極を重ね合わせて色素増感太陽電池を構成した比較例27〜比較例36は、ゲル状電解質が得られているものの、レドックス対を含むイオン性液体を用いて構成した色素増感太陽電池と比べて光電変換効率が大幅に低下していることが判る。これは、予めゲル化させて形成したゲル状電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が悪く、抵抗が大きくなっているためと考えられる。
【0267】
一方、本発明を適用してイソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内において重付加反応により重合させてin−situでゲル化している実施例21〜実施例30においては、レドックス対を含むイオン性液体を用いて構成した色素増感太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、良好な光電変換効率が得られていることが判る。これは、混合溶液が電極表面に接触した状態でゲル化されることにより、ゲル状電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、抵抗が小さくなるためと考えられる。
【0268】
これらのことより、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内において重付加反応により重合させることで、レドックス対を含むイオン性液体を色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化させてゲル状電解質を作製することが可能であり、該ゲル状電解質を用いることにより良好な光電変換効率を備えた色素増感太陽電池が実現可能であるといえる。
【0269】
<実験4>実験4では、本発明の製造方法に係る他のゲル状電解質を備える光電変換素子について検討した。
【0270】
[実施例41]
実施例41では、混合溶液を以下のようにして調製したこと以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0271】
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートを重量比で1:1に混合した溶媒3gにヨウ化リチウム(LiI)0.2g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド0.479g、ヨウ素(I2)0.0381g、4−tert−ブチルピリジン0.2gを溶解させて電解質組成物である電解液を調製した。
【0272】
そして、電解液に不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物としてポリエチレングリコールトリアクリレート(分子量3000)を混合し、次いで活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物として4,4’−トリメチレンジピペリジンを混合して混合溶液を調製した。混合比は不飽和二重結合と活性水素を有する求核基のモル比で1:1であり、ポリエチレングリコールトリアクリレートと4,4’−トリメチレンジピピリジンの合計量が電解液に対して6wt%になるように混合した。
【0273】
そして、上記混合溶液を予め準備した素子の注液口に数滴垂らし、減圧することで素子内部に注液し、注液口を熱融着フィルムおよびガラス板で封止した。注液後、この素子を室温下で12時間静置することにより、電解質組成物がゲル化されてなるゲル状電解質を備えた色素増感太陽電池を得た。
【0274】
[実施例42]
第一の化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを用い、第二の化合物としてポリエチレングリコールトリピペリジンを用いたこと以外は実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0275】
[実施例43]
第二の化合物としてポリエチレングリコールトリピペリジンを用いたこと以外は実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0276】
[実施例44]
第二の化合物としてポリエチレングリコールトリアミンを用いたこと以外は実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0277】
[実施例45]
第二の化合物としてポリエチレンイミン(分子量600)を用いたこと以外は実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0278】
[比較例41]
電解質組成物である電解液に第一の化合物、第二の化合物を混合せず、電解質層として液状の電解質組成物を用いたこと以外は実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0279】
[比較例42]
第一の化合物としてポリエチレングリコールトリアクリレートを電解液に対して6wt%になるように混合し、第二の化合物を混合せずにラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0280】
[比較例43]
第一の化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを電解液に対して6wt%になるように混合し、第二の化合物を混合せずにラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0281】
[比較例44]
実施例41と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0282】
[比較例45]
実施例42と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例42と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0283】
[比較例46]
実施例43と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例43と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0284】
[比較例47]
実施例44と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例44と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0285】
[比較例48]
実施例45と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例45と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0286】
上記において作製した各実施例及び比較例における混合溶液の調製条件を表7に示す。
【0287】
【表7】
【0288】
以上のようにして作製した実施例41〜実施例45、及び比較例41〜比較例48の色素増感太陽電池について上記と同様にして光電変換効率の評価を行った。その結果を表8に示す。
【0289】
【表8】
【0290】
また、光電変換効率測定後の各色素増感太陽電池を分解し、内部の電解質部分を取り出して電解質のゲル化の有無を目視によって確認した。その結果を表8に合わせて示す。なお、表8において○はゲル化していることを示し、×はゲル化していないことを示す。
【0291】
表8より、従来のラジカル重合法を用いた比較例42および比較例43においては、電解質組成物が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されていないことが判る。一方、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させた実施例41〜実施例45においては、電解質組成物が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されており、ゲル状電解質が得られていることが判る。
【0292】
このことより、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させることにより、電解質組成物を色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化させることが可能であり、ゲル状電解質が得られることが判る。
【0293】
また、実施例41〜実施例45と比較例41とを比較することにより、本発明の製造方法に係わるゲル状電解質を備える色素増感太陽電池は、液状の電解質組成物、すなわち電解液を用いて構成した色素増感太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、良好な光電変換効率を示しており、優れた色素増感太陽電池が実現されているといえる。
【0294】
また、表8より、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させることにより予め半導体層上にゲル状電解質を形成し、該ゲル状電解質に対向電極を重ね合わせて色素増感太陽電池を構成した比較例44〜比較例48は、ゲル状電解質が得られているものの、液状の電解質組成物、すなわち電解液を用いて構成した色素増感太陽電池と比べて光電変換効率が大幅に低下していることが判る。これは、予めゲル化させて形成したゲル状電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が悪く、抵抗が大きくなっているためと考えられる。
【0295】
一方、本発明を適用して不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内においてマイケル付加反応により重合させてin−situでゲル化している実施例41〜実施例45においては、液状の電解質組成物、すなわち電解液を用いて構成した色素増感太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、良好な光電変換効率が得られていることが判る。これは、混合溶液が電極表面に接触した状態でゲル化されることにより、ゲル状電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、抵抗が小さくなるためと考えられる。
【0296】
これらのことより、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内においてマイケル付加反応により重合させることにより、電解質組成物を色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化してゲル状電解質を作製することが可能であり、該ゲル状電解質を用いることにより良好な光電変換効率を備えた色素増感太陽電池が実現可能であるといえる。
【0297】
<実験5>実験5では、本発明の製造方法に係る他の完全固体電解質を備える光電変換素子について検討した。
【0298】
[実施例46]
実施例46では、混合溶液を以下のようにして調製したこと以外は、実施例41と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0299】
不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物としてポリエチレングリコールトリアクリレート(分子量3000)3gにヨウ化リチウム(LiI)0.2g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド0.479g、ヨウ素(I2)0.0381g、4−tert−ブチルピリジン0.2gを溶解させた。
【0300】
次いで分子中に活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物として4,4’−トリメチレンジピピリジンを混合した。混合比は不飽和二重結合と活性水素を有する求核基のモル比で1:1とした。以上により混合溶液を調製した。
【0301】
[実施例47]
第一の化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを用い、第二の化合物としてポリエチレングリコールトリピペリジンを用いたこと以外は実施例46と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0302】
[実施例48]
第二の化合物としてポリエチレングリコールトリピペリジンを用いたこと以外は実施例46と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0303】
[実施例49]
第二の化合物としてポリエチレングリコールトリアミンを用いたこと以外は実施例46と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0304】
[実施例50]
第二の化合物としてポリエチレンイミン(分子量600)を用いたこと以外は実施例46と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0305】
[比較例49]
第一の化合物としてポリエチレングリコールトリアクリレートを電解質組成物に対して6wt%になるように混合し、第二の化合物を混合せずにラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例46と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0306】
[比較例50]
第一の化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを電解質組成物に対して6wt%になるように混合し、第二の化合物を混合せずにラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例46と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0307】
[比較例51]
実施例46と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例46と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0308】
[比較例52]
実施例47と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例47と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0309】
[比較例53]
実施例48と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例48と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0310】
[比較例54]
実施例49と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例49と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0311】
[比較例55]
実施例50と同様に混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状の完全固体電解質を形成した。そして、固体化後にPETフィルムを除去し、対向電極を完全固体電解質に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例50と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0312】
上記において作製した各実施例及び比較例における混合溶液の調製条件を表9に示す。
【0313】
【表9】
【0314】
以上のようにして作製した実施例46〜実施例50、及び比較例49〜比較例55の色素増感太陽電池について上記と同様にして光電変換効率の評価を行った。その結果を表10に示す。
【0315】
【表10】
【0316】
また、光電変換効率測定後の各色素増感太陽電池を分解し、内部の電解質部分を取り出して電解質組成物の完全固体化の有無を目視によって確認した。その結果を表10に合わせて示す。なお、表10において○は完全固体化していることを示し、×は完全固体化していないことを示す。
【0317】
表10より、従来のラジカル重合法を用いた比較例42および比較例43においては、電解質組成物が色素増感太陽電池素子内においてin−situで完全固体化されていないことが判る。一方、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させた実施例46〜実施例50においては、電解質組成物が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されており、完全固体電解質が得られていることが判る。
【0318】
このことより、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させることにより、電解質組成物を色素増感太陽電池素子内においてin−situで完全固体化させることが可能であり、完全固体電解質が得られることが判る。
【0319】
そして、表10より、本発明を適用して不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内においてマイケル付加反応により重合させてin−situで完全固体化している実施例46〜実施例50は、予め半導体層上に完全固体電解質を形成して、該完全固体電解質に対向電極を重ね合わせて色素増感太陽電池を構成した比較例51〜比較例55と比較して高い光電変換効率が得られていることが判る。
【0320】
これは、実施例46〜実施例50では、電解質溶液が電極表面に接触した状態で完全固体化されることにより、完全固体電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、抵抗が小さくなるため高い光電変換効率が得られていると考えられる。一方、比較例51〜比較例55では、予め完全固体化させて形成した完全固体電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が悪く、抵抗が大きくなっているため光電変換効率が低くなっていると考えられる。
【0321】
これらのことより、イソシアネート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内においてマイケル付加反応により重合させることにより、電解質組成物を色素増感太陽電池素子内においてin−situで完全固体化して完全固体電解質を作製することが可能であり、該完全固体電解質を用いることにより良好な光電変換効率を備えた色素増感太陽電池が実現可能であるといえる。
【0322】
<実験6>実験6では、本発明の製造方法に係る他のゲル状電解質を備える光電変換素子について検討した。
【0323】
[実施例51]
実施例51では、以下のようにしてイオン性液体を調製してゲル状電解質を作製したこと以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0324】
まず、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(以下、EMIと呼ぶ。)−ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド(TFSI)に1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイドを0.9M、ヨウ素(I2)を30mM、4−tert−ブチルピリジンを0.5M溶解させて、レドックス対を含むイオン性液体を調製した。
【0325】
次いで、イオン性液体に不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物としてポリエチレングリコールトリアクリレート(分子量3000)を混合し、次いで活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物として4,4’−トリメチレンジピペリジンを混合して混合溶液を調製した。混合比は不飽和二重結合と活性水素を有する求核基のモル比で1:1であり、ポリエチレングリコールトリアクリレートと4,4’−トリメチレンジピピリジンの合計量がイオン性液体に対して6wt%になるように混合した。
【0326】
そして、上記混合溶液を予め準備した素子の注液口に数滴垂らし、50℃環境下で減圧することで素子内部に注液し、注液口を熱融着フィルムおよびガラス板で封止した。注液後、この素子を室温下で12時間静置することにより、レドックス対を含有するイオン性液体がゲル化されてなるゲル状電解質を備えた色素増感太陽電池を得た。
【0327】
[実施例52]
第一の化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを用い、第二の化合物としてポリエチレングリコールトリピペリジンを用いたこと以外は実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0328】
[実施例53]
第二の化合物としてポリエチレングリコールトリピペリジンを用いたこと以外は実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0329】
[実施例54]
第二の化合物としてポリエチレングリコールトリアミンを用いたこと以外は実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0330】
[実施例55]
第二の化合物としてポリエチレンイミン(分子量600)を用いたこと以外は実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0331】
[実施例56]
イオン性液体にEMI−ヨーダイドを用い、レドックス種としてヨウ素(I2)を30mM、4−tert−ブチルピリジンを0.5M溶解させてレドックス対を含むイオン性液体を調製した以外は実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0332】
[実施例57]
第一の化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを用い、第二の化合物としてポリエチレングリコールトリピペリジンを用いたこと以外は実施例56と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0333】
[実施例58]
第二の化合物としてポリエチレングリコールトリピペリジンを用いたこと以外は実施例56と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0334】
[実施例59]
第二の化合物としてポリエチレングリコールトリアミンを用いたこと以外は実施例56と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0335】
[実施例60]
第二の化合物としてポリエチレンイミン(分子量600)を用いたこと以外は実施例56と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0336】
[比較例51]
イオン性液体に第一の化合物および第二の化合物を混合しないこと以外は、実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0337】
[比較例52]
イオン性液体に第一の化合物および第二の化合物を混合しないこと以外は、実施例56と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0338】
[比較例53]
実施例51のイオン性液体に対してポリエチレングリコールトリアクリレートを6wt%、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0339】
[比較例54]
実施例51のイオン性液体に対してポリエチレングリコールジアクリレートを6wt%、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0340】
[比較例55]
実施例56のイオン性液体に対してポリエチレングリコールトリアクリレートを6wt%、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例56と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0341】
[比較例56]
実施例56のイオン性液体に対してポリエチレングリコールジアクリレートを6wt%、ラジカル重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートを0.15wt%混合して混合溶液を調製し、この混合溶液を注液後、60℃において1時間放置したこと以外は、実施例56と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0342】
[比較例57]
実施例51と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例51と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0343】
[比較例58]
実施例52と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例52と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0344】
[比較例59]
実施例53と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例53と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0345】
[比較例60]
実施例54と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例54と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0346】
[比較例61]
実施例55と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例55と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0347】
[比較例62]
実施例56と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例56と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0348】
[比較例63]
実施例57と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例57と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0349】
[比較例64]
実施例58と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例58と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0350】
[比較例65]
実施例59と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例59と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0351】
[比較例66]
実施例60と同様にして混合溶液を調製した後、該混合溶液を半導体層であるTiO2膜上に数滴垂らし、その上部にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被せ、12時間放置してフィルム状のゲル状電解層を形成した。そして、ゲル化後にPETフィルムを除去し、対向電極をゲル状電解質層に重ね合わせ、熱融着フィルムで封止を行ったこと以外は実施例60と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0352】
上記において作製した各実施例及び比較例における混合溶液の調製条件を表11に示す。
【0353】
【表11】
【0354】
以上のようにして作製した実施例51〜実施例60、及び比較例51〜比較例66の色素増感太陽電池について上記と同様にして光電変換効率の評価を行った。その結果を表12に示す。
【0355】
【表12】
【0356】
また、光電変換効率測定後の各色素増感太陽電池を分解し、内部の電解質部分を取り出して電解質のゲル化の有無を目視によって確認した。その結果を表12に合わせて示す。なお、表12において○はゲル化していることを示し、×はゲル化していないことを示す。
【0357】
表12より、従来のラジカル重合法を用いた比較例53〜比較例56においては、レドックス対を含むイオン性液体が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されていないことが判る。一方、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させた実施例51〜実施例60においては、レドックス対を含むイオン性液体が色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化されており、ゲル状電解質が得られていることが判る。
【0358】
このことより、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させることにより、レドックス対を含むイオン性液体を色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化させることが可能であり、ゲル状電解質が得られることが判る。
【0359】
また、実施例51〜実施例60と、比較例51および比較例52とを比較することにより、本発明の製造方法に係わるゲル状電解質を備える色素増感太陽電池は、レドックス対を含むイオン性液体を用いて構成した色素増感太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、良好な光電変換効率を示しており、優れた色素増感太陽電池が実現されているといえる。
【0360】
また、表12より、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とをマイケル付加反応により重合させることにより予め半導体層上にゲル状電解質を形成し、該ゲル状電解質に対向電極を重ね合わせて色素増感太陽電池を構成した比較例57〜比較例66は、ゲル状電解質が得られているものの、レドックス対を含むイオン性液体を用いて構成した色素増感太陽電池と比べて光電変換効率が大幅に低下していることが判る。これは、予めゲル化させて形成したゲル状電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が悪く、抵抗が大きくなっているためと考えられる。
【0361】
一方、本発明を適用して不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内においてマイケル付加反応により重合させてin−situでゲル化している実施例51〜実施例60においては、レドックス対を含むイオン性液体を用いて構成した色素増感太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、良好な光電変換効率が得られていることが判る。これは、混合溶液が電極表面に接触した状態でゲル化されることにより、ゲル状電解質と電極表面との電気化学的界面の化学接合状態が良好とされ、抵抗が小さくなるためと考えられる。
【0362】
これらのことより、不飽和二重結合を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物とを色素増感太陽電池素子内においてマイケル付加反応により重合させることで、レドックス対を含むイオン性液体を色素増感太陽電池素子内においてin−situでゲル化させてゲル状電解質を作製することが可能であり、該ゲル状電解質を用いることにより良好な光電変換効率を備えた色素増感太陽電池が実現可能であるといえる。
【0363】
【発明の効果】
本発明に係る光電変換素子の製造方法は、透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、光電変換素子を組み立てた後に、イソシアネート基を3個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物と、レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、光電変換素子内において第一の化合物と第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、電解質層を形成するものである。
【0364】
また、本発明に係る光電変換素子の製造方法は、透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、光電変換素子を組み立てた後に、アクリレート基を2個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を3個以上有する第二の化合物と、レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、光電変換素子内において第一の化合物と第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、電解質層を形成するものである。
【0365】
また、本発明に係る光電変換素子の製造方法は、透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、光電変換素子を組み立てた後に、アクリレート基を3個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物と、レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、光電変換素子内において第一の化合物と第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、電解質層を形成するものである。
【0366】
以上のような本発明に係る光電変換素子では、流動性がある混合溶液を重合前の状態で光電変換素子内に導入し、その後重合して上記の本発明に係る固体電解質を形成する。このため、電池素子内においてin−situで固体電解質を形成することができるため、良好な光電変換特性を備えた光電変換素子を簡便、且つ確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して構成した色素増感太陽電池の一構成例を示す断面図である。
【図2】本発明を適用して構成した色素増感太陽電池の他の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明を適用して構成した色素増感太陽電池の他の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明を適用して構成した色素増感太陽電池の他の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11,21,31 色素増感太陽電池
2 透明基板
3 透明電極
4 半導体層
5,15,25,35 固体電解質
6 白金層
7 透明電極
8 透明基板
Claims (18)
- 透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、
上記光電変換素子を組み立てた後に、イソシアネート基を3個以上有する第一の化合物と、
活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物と、
レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、
光電変換素子内において上記第一の化合物と上記第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、上記電解質層を形成する
ことを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 上記電解質組成物が溶媒を含有してなるゲル状電解質であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記電解質組成物が溶媒を含有しない完全固体電解質であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記電解質組成物がイオン性液体を含有してなるゲル状電解質であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記レドックス対が、ハロゲンイオンとハロゲン化物イオンとの組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記レドックス対のハロゲン元素がヨウ素であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
- 透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、
上記光電変換素子を組み立てた後に、アクリレート基を2個以上有する第一の化合物と、
活性水素を有する求核基を3個以上有する第二の化合物と、
レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、
光電変換素子内において上記第一の化合物と上記第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、上記電解質層を形成する
ことを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 上記電解質組成物が溶媒を含有してなるゲル状電解質であることを特徴とする請求項7記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記電解質組成物が溶媒を含有しない完全固体電解質であることを特徴とする請求項7記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記電解質組成物がイオン性液体を含有してなるゲル状電解質であることを特徴とする請求項7記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記レドックス対が、ハロゲンイオンとハロゲン化物イオンとの組み合わせであることを特徴とする請求項7記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記レドックス対のハロゲン元素がヨウ素であることを特徴とする請求項7記載の光電変換素子の製造方法。
- 透明基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子の製造方法であって、
上記光電変換素子を組み立てた後に、アクリレート基を3個以上有する第一の化合物と、活性水素を有する求核基を2個以上有する第二の化合物と、
レドックス対を含む電解質組成物とを含有する混合溶液を該光電変換素子に導入し、
光電変換素子内において上記第一の化合物と上記第二の化合物とを重付加反応により重合させて固体化し、上記電解質層を形成する
ことを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 上記電解質組成物が溶媒を含有してなるゲル状電解質であることを特徴とする請求項13記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記電解質組成物が溶媒を含有しない完全固体電解質であることを特徴とする請求項13記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記電解質組成物がイオン性液体を含有してなるゲル状電解質であることを特徴とする請求項13記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記レドックス対が、ハロゲンイオンとハロゲン化物イオンとの組み合わせであることを特徴とする請求項13記載の光電変換素子の製造方法。
- 上記レドックス対のハロゲン元素がヨウ素であることを特徴とする請求項13記載の光電変換素子の製造方法。
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