JP2001273938A - 光電変換素子 - Google Patents

光電変換素子

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JP2001273938A
JP2001273938A JP2000088188A JP2000088188A JP2001273938A JP 2001273938 A JP2001273938 A JP 2001273938A JP 2000088188 A JP2000088188 A JP 2000088188A JP 2000088188 A JP2000088188 A JP 2000088188A JP 2001273938 A JP2001273938 A JP 2001273938A
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electrolyte
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JP2000088188A
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Shoji Nishihara
昭二 西原
Takashi Sekiguchi
隆史 関口
Katsunori Kojima
克典 児島
Fumihiko Kishi
文彦 岸
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Maxell Holdings Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解液のゲル化により漏液を防止すると共
に、電解液のゲル化で光電変換特性が低下しない、新規
なゲル電解質を用いた光電変換素子素子を提供する。 【解決手段】 少なくとも、一方の面上に半導体層が被
着された電極と、この電極の前記半導体層と対峙する対
電極と、該電極の前記半導体層と対電極との間に配置さ
れた電解質層とを有する光電変換素子において、前記電
解質層を、少なくとも、2官能性以上のビニルモノマー
を51重量%以上含有する架橋性物質と、溶媒と、酸化
還元系構成物質とからなる混合溶液を重合させることに
より生成されたゲル状電解質から形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゲル状ポリマー電解
質に関する。更に詳細には、本発明はゲル状ポリマー電
解質を用いた光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽電池はクリーンなエネルギー源とし
て大きく期待されており、すでにpn接合型太陽電池な
どが実用化されている。一方、光励起状態の化学反応を
利用して電気エネルギーを取り出す光化学電池は多くの
研究者によって開発されているが、実用化に関して言え
ば、すでに実績の高いpn接合型太陽電池には遙かに及
ばなかった。
【0003】従来の光化学電池の中で、増感剤と電子受
容体からなる酸化還元反応を利用したタイプが知られて
いる。例えば、チオニン色素と鉄(II)イオンを組み合わ
せた系などがある。また、本多−藤嶋効果の発見以来、
金属やその酸化物の光電荷分離を利用した光化学電池も
知られている。
【0004】半導体が金属と接触した場合、金属と半導
体の仕事関数の関係によりショットキー接合ができる
が、半導体と溶液が接している時も同様な接合ができ
る。例えば、溶液中にFe2+/Fe3+、Fe(CN)6
4-/Fe(CN)6 3-、I-/I2、Br-/Br2、ハイ
ドロキノン/キノンなどの酸化還元系が含まれている
時、n型半導体を溶液に浸けると半導体の表面付近の電
子が溶液中の酸化剤へ移動し平衡状態に達する。その結
果、半導体の表面付近は正に帯電し電位勾配が生じる。
これにともない半導体の伝導帯および価電子帯にも勾配
が生じる。
【0005】酸化還元溶液に浸けた半導体電極の表面に
光を照射すると、半導体のバンドギャップ以上のエネル
ギーを持つ光が吸収され、表面付近で伝導帯に電子を、
価電子帯に正孔を生成する。伝導帯に励起された電子は
上述した半導体の表面付近に存在する電位勾配により半
導体内部へ伝達され、一方、価電子帯に生成された正孔
は酸化還元溶液中の還元体から電子を奪う。
【0006】酸化還元溶液に金属電極を浸して金属電極
と半導体間で回路を作ると、正孔に電子を奪われた還元
体は溶液中を拡散して金属電極から電子を受け取り、再
び還元される。このサイクルを繰り返し、半導体電極は
負極として、金属電極は正極としてそれぞれ働き、外部
へ電力を供給することができる。したがって、光起電力
は酸化還元溶液の酸化還元準位と半導体中のフェルミ準
位との差になる。
【0007】光起電力を大きくするためには、酸化還
元準位の低い、すなわち酸化力の強い酸化還元溶液を用
いること、酸化還元準位と半導体中のフェルミ準位と
の間に大きな差を作り出せる、すなわちバンドギャップ
の大きい半導体を用いることである。
【0008】しかしながら、酸化還元溶液の酸化力があ
まり大きすぎると半導体自身の表面に酸化膜を形成し、
光電流は短時間のうちにストップする。また、バンドギ
ャップについては、一般にバンドギャップが3.0eV
以下の半導体は光電変換の際に流れる電流により溶液中
に溶解しやすい問題があることから、バンドギャップが
3.0eV超の半導体が利用されているが、強度のピー
クが2.5eV付近にある太陽光を効率よく吸収するに
は大きすぎる。そのため、太陽光の大部分を占める可視
域を全く吸収できず、紫外部しか吸収できないため、光
電変換効率は極めて低くなる。
【0009】前記のように、湿式太陽電池で光電変換を
行おうとする際、バンドギャップの小さい半導体を用い
ると効率は向上するが、電極の溶解が起こりやすく、寿
命が低下する。逆にバンドギャップが広い半導体では、
寿命は増大するが、短波長の光しか吸収せず効率が低
い。そこで、バンドギャップが広い半導体の安定性を生
かし、色素により長波長の光まで吸収しようとする試み
が行われた。これを色素増感太陽電池という。すなわ
ち,色素増感太陽電池は半導体電極の表面に光を吸収す
る色素を吸着させ半導体電極のバンドギャップより長波
長の可視光を色素で吸収しようとするものである。
【0010】色素増感太陽電池は光合成と関連づけてと
らえられることが多い。当初、色素としては光合成と同
様にクロロフィルが考えられていたが、絶えず新しい葉
緑素と交換される自然のクロロフィルと違い、太陽電池
に用いる色素では安定性の面で問題があり、また、太陽
電池としての光電変換効率も0.5%に満たないもので
あった。自然界の光合成の過程をそのまま模擬し、太陽
電池を構成することは非常に困難である。
【0011】このように、色素増感太陽電池は、光合成
からヒントを得て長波長の可視光を吸収しようというも
のであるが、実際には電子の伝導機構が複雑になったた
め、却って損失の増大が問題となった。固体の太陽電池
では、光を吸収する層を厚くすれば吸収効率は上げるこ
とができる。しかしながら、色素増感太陽電池に関して
は、半導体電極に電子を注入できるのは表面上の単分子
層のみである。そのため無駄な光の吸収をなくすため
に、半導体表面上の色素は単分子層とすることが望まし
い。
【0012】しかも励起された色素内の電子が効率的に
半導体内に注入されるためには、半導体表面と化学的に
結合していることが好ましい。例えば、酸化チタンに関
しては、半導体表面と化学的に結合するために、色素に
カルボキシル基があることなどが重要である。
【0013】この点に関して、重要な改善をしたのはFu
jihiraらのグループである。彼らはローダミンBのカル
ボキシル基がSnO2表面の水酸基とエステル結合する
ことにより,光電流が従来の吸着法の10倍以上になっ
たことを1977年に雑誌Natureに報告している。これ
は従来のアミド結合よりエステル結合の方が色素内で光
のエネルギーを吸収した電子の存在するπ軌道が半導体
の表面に近いためとしている。
【0014】しかしながら、半導体に電子を有効に注入
できたとしても伝導帯内にある電子は、色素の基底準位
と再結合する可能性や、酸化還元物質と再結合する可能
性などがある。このような問題点があったため、電子注
入について上記の改善にも関わらず光電変換効率は低い
ままであった。
【0015】以上のように、従来の色素増感太陽電池の
大きな問題点として、半導体表面に単層で担持された増
感色素しか半導体へ電子を注入することができないこと
である。すなわち、これまで半導体電極によく用いられ
ていた単結晶や多結晶半導体は、表面が平滑で内部に細
孔を持たず、増感色素が担持される有効面積は電極面積
に等しく、増感色素の担持量が少ない。
【0016】従って、このような電極を用いた場合、そ
の電極に担持された単分子層の増感色素は最大吸収波長
でも入射光の1%以下しか吸収できず、光の利用効率が
極めて悪くなる。光捕集力を高めるために増感色素を多
層にする試みも提案されているが、概して充分な効果が
得られていない。
【0017】グレッツェル等は、このような問題を解決
する手段として、酸化チタン電極を多孔質化し、増感色
素を担持させ,内部面積を著しく増大させた(例えば、
特許2664196号)。ゾル・ゲル法によりこの酸化チタン
多孔質膜を作製し、膜のポロシティーは約50%ほどで
あり、非常に高い内部表面積を有するナノ多孔性構造が
形成されている。たとえば、8μmの膜厚ではラフネス
ファクター(基板面積に対する多孔質内部の実面積の割
合)は約720にも達する。この表面を幾何学的に計算
すると、増感色素の濃度は1.2×10-7mol/cm
2に達し、実に、最大吸収波長で入射光の約98%が吸
収されることになる。
【0018】このグレッツェル・セルとも呼ばれる新し
い色素増感太陽電池は、上述の酸化チタンの多孔質化に
よる増感色素の飛躍的な担持量の増大と、太陽光を効率
よく吸収しかつ半導体への電子注入速度が著しく速い増
感色素の開発した点が大きな特徴である。
【0019】グレッツェルらは、色素増感太陽電池のた
めにビス(ビピリジル)Ru(II)錯体を開発した。その
Ru錯体は一般式シス−X2ビス(2,2’−ビピリジ
ル−4,4’−ジカルボキシレート)Ru(II)の構造を
持つ。XはCl−,CN−,SCN−である。これらに
ついて蛍光、可視光吸収、電気化学的および光酸化還元的
挙動について系統的な研究が行われた。これらのうち、
シス−(ジイソシアネート)−ビス(2,2’−ビピリ
ジル−4,4’−ジカルボキシレート)Ru(II)は、太
陽光吸収剤および色素増感剤として格段に優れた性能を
持つことが示された。
【0020】この色素増感剤の可視光吸収は、金属から
配位子への電荷移動遷移である。また、配位子のカルボ
キシル基は表面のTiイオンに直接配位して、色素増感
剤と酸化チタンの間に密接な電子的接触を形成してい
る。この電子的な接触により、色素増感剤から酸化チタ
ンの伝導帯への電子注入が1ピコ秒以下の極めて速い速
度で起こり、その逆方向の酸化された色素増感剤による
酸化チタンの伝導帯へ注入された電子の再捕獲はマイク
ロ秒のオーダーで起こるとされている。この速度差が光
励起電子の方向性を生み出し、電荷分離が極めて高い効
率で行われる理由である。そして、これがpn接合面の
電位勾配により電荷分離を行うpn接合太陽電池との違
いであり、グレツェル・セルの本質的な特徴である。
【0021】グレッツェル・セルの構成はフッ素ドープ
した酸化スズの透明導電膜をコーティングした導電ガラ
ス基板2枚の間に、酸化還元対を含む電解質溶液を封入
したサンドイッチ型のセルである。ガラス基板の一方
は、透明導電膜上にコロイド状の酸化チタン超微粒子か
ら構成される多孔質膜を積層し、さらに増感色素を吸着
させて作用電極としたものである。他方は、透明導電膜
上に少量の白金をコーティングして対極としたものであ
る。2枚のガラス基板の間にスペーサを挟み、その間の
ごくわずかの隙間に毛細管現象を利用して電解質溶液を
注入する。電解質溶液は、エチレンカーボネートとアセ
トニトリルの混合溶媒を使用し、ヨウ化テトラ-n-プロ
ピルアンモニウムとヨウ素を溶質としたもので、I-
3-の酸化還元対を含む。対極にコーティングされた白
金はこの酸化還元対のI3-をI-に陰極還元する触媒作
用がある。
【0022】グレッツェル・セルの動作原理は、基本的
に従来の半導体を用いた湿式太陽電池と変わらない。た
だし、グレッツェル・セルのような多孔質電極のどの部
分においても光電荷分離応答が均一かつ効率的に行われ
るのは、主に電解質層が液体であるためである。すなわ
ち、色素担持多孔質電極を溶液に浸すだけで溶液が均一
に多孔質内に拡散し、理想的な電気化学的界面を形成で
きるからである。
【0023】しかし、この電解質層が液層ということ
は、太陽電池の安定性という観点からは好ましくなく、
実際多くの場合、電池を作製しても電解質溶液の液漏れ
が他の電池構成要素の劣化に先行して起こり、太陽電池
の性能を低下させてしまうことが知られている。従っ
て、グレッツェル・セルの実用化のためには、電解質を
一例に挙げたように、グレッツェル・セルを構成する各
要素について詳細な検討を加えていかなければならな
い。
【0024】酸化物半導体の光電気化学反応を利用した
光電変換素子として、光溶解しない酸化物半導体の多孔
質膜に増感色素を吸着させた、従来の湿式太陽電池より
光電変換効率の高い色素増感太陽電池が知られている
(例えば、特開平1−220380号公報参照)。しか
しながら、上記公報記載の方法では、電解液の液漏れや
光照射に伴う熱による電解液の揮発などが原因となる光
電変換効率の低下に対する対策がない。
【0025】そこで、電解液の代替として、酸化還元系
を有するイオン伝導体(例えば、特開平7−28814
2号公報参照)や導電性高分子(例えば、K. Murakoshi
ら、Chem. Lett., p.471, 1997参照)などを使用し、上
記の問題を解決する試みがいくつか知られている。しか
しながら、これらの方法では、電解質が固体であるの
で、光電変換素子の電極と電解質間の界面抵抗が上昇す
る結果、内部抵抗が増加し、電解液を使用した場合より
も光電変換効率が減少する問題があった。
【0026】また、低分子ゲル化剤(例えば、特開平1
1−185836号公報参照)を用いた光電変換素子、
特定の基を有する架橋高分子(例えば、特開平11−1
26917号公報参照)を用いた光電変換素子が提案さ
れている。しかしながら、低分子ゲル化剤は高温でゲル
化能力が低下することから、高温での電解液の液漏れが
生じやすく、また特定の基を有する架橋高分子は高分子
の架橋に必要な2官能性以上のモノマーを50重量%以
下しか含有しないため、少量では電解液中で架橋が弱
く、また架橋高分子の強度向上には架橋高分子の電解液
中での含有量を増加させる必要があるため、その結果電
解液が少なくなり光電変換素子の変換効率の低下を起こ
す可能性が高い。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、電解液のゲル化により漏液を防止すると共に、電解
液のゲル化で光電変換特性が低下しない、新規なゲル電
解質を用いた光電変換素子素子を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】前記課題は、少なくと
も、一方の面上に半導体層が被着された電極と、この電
極の前記半導体層と対峙する対電極と、該電極の前記半
導体層と対電極との間に配置された電解質層とを有する
光電変換素子において、前記電解質層を、少なくとも、
2官能性以上のビニルモノマーを51重量%以上含有す
る架橋性物質と、溶媒と、酸化還元系構成物質とからな
る混合溶液を重合させることにより生成されたゲル状電
解質から形成することにより解決される。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の光電変換素子の一例について具体的に説明する。図1
は本発明の光電変換素子の一例の概要断面図である。図
示されているように、本発明の光電変換素子1は、透明
基板2の一方の表面に形成された透明電極3を有する。
この透明電極3の一方の表面には色素を担持した半導体
層6が形成されている。更に、この半導体層6に対峙し
て対電極4が存在する。対電極4は別の透明基板7の一
方の表面に形成されている。色素を担持した半導体層6
と対電極4との間には、電解質層5が存在する。
【0030】この電解質層5は、少なくとも、2官能性
以上のビニルモノマーを51重量%以上含有する架橋性
物質と、溶媒と、酸化還元系構成物質とからなる混合溶
液を重合させることにより生成されたゲル状電解質から
形成されている。
【0031】本発明の半導体層6は色素を担持させるこ
とにより、光電変換効率の高い光電変換素子を得ること
ができる。本発明の半導体層6に担持させるために使用
される色素としては、従来の色素増感性光電変換素子で
常用の色素であれば全て使用できる。このような色素は
当業者に公知である。このような色素は例えば、RuL2(H
2O)2タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル
錯体又はルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス
(RuL2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス
(OsL2)タイプの遷移金属錯体若しくは、亜鉛−テトラ
(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサ
シアニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる。有機
色素としては、9-フェニルキサンテン系色素、クマリン
系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色
素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ
系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニ
ン系色素、キサンテン系色素などが挙げられる。この中
でもルテニウム−ビス(RuL2)誘導体が好ましい。
【0032】半導体層6への増感色素の担持量として
は、10-8〜10-6mol/cm2の範囲にあればよ
く、特に0.1〜9.0×10-7mol/cm2が好ま
しい。
【0033】半導体層6を形成する材料としては、C
d、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、
Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、S
r、Ga、Si、Crの酸化物、SrTiO3、CaT
iO3のようなペロブスカイト、または、CdS、Zn
S、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、B
23、ZnCdS2、Cu2Sの硫化物、CdSe、I
2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTeの金
属カルコゲナイド、その他GaAs、Si、Se、Cd
23、Zn23、InP、AgBr、PbI2、Hg
2、BiI3が好ましい。または、前記半導体から選ば
れる少なくとも一種以上を含む複合体、例えば、CdS
/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS
/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/
ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx
/CdSe1-x、CdSx/Te1-x、CdSex/Te
1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS
/ZnS、TiO2/Cd32、CdS/CdSeCdy
Zn1-yS、CdS/HgS/CdSが好ましい。中で
も、半導体層に酸化物を使用することにより、前記の増
感色素との担持反応が、より速やかに進行する。
【0034】半導体層6の厚さは0.1〜100μmの
範囲の厚さであればよい。半導体層6の厚さが0.1μ
m未満の場合には、十分な光電変換効果が得られない可
能性がある。一方、厚さが100μm超の場合には、可
視光および近赤外光に対する透過性が著しく悪化するな
どの不都合が生じるので好ましくない。
【0035】半導体層6が被着される側の電極3は、金
属そのものか、またはガラスもしくはプラスチックから
なる透明基板上の透明電極を指す。好ましい電極として
は金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジ
ウム、インジウム等)、炭素、もしくは金属酸化物(イ
ンジウム−錫複合酸化物、フッ素をドープした酸化錫
等)などが挙げられる。
【0036】半導体層6が被着される側の電極3は、表
面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲ととして
は50Ω/□以下であり、より好ましくは30Ω/□以
下である。下限に特に制限はないが、通常0.1Ω/□
である。
【0037】半導体層6が被着される側の電極3は、透
過率が高い程よい。好ましい透過率としては50%以上
であり、より好ましくは80%である。この時の透明電
極の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。透明電極を使
用する場合、光は半導体層が被着される側の電極から入
射させる事が好ましい。
【0038】対電極4は光電変換素子の正極として働
き、通常前述の半導体層6が被着される側の電極3と同
義である。
【0039】半導体層6に光が到達するためには、前述
の半導体層6が被着される側の電極3と対電極4の少な
くとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明
の光電変換素子1においては、前述の半導体層6が被着
される側の電極3が透明であって太陽光を半導体層6が
被着される側の電極から入射させるのが好ましい。この
場合、光電変換素子1の対電極4としてはカーボン、金
属もしくは導電性酸化物を蒸着したガラス、またはプラ
スチックが好ましく、カーボンあるいは白金を蒸着した
ものが特に好ましい。
【0040】本発明のゲル状電解質を生成するための架
橋性物質としては、2官能性以上のビニルモノマーを5
1重量%以上含有していれば特に限定されることなく、
全て使用できる。特に、4官能性以上のビニルモノマー
を51重量%以上含有する架橋性物質は、少量でゲル状
電解質を形成することが可能となり、光電変換素子の光
電変換効率特性の向上が期待できる。残りの49重量%
以下の成分としては、非架橋性の一官能性ビニルモノマ
ーを使用することもできる。言うまでもなく、その他の
架橋性又は非架橋性物質も残余成分として使用できる。
2官能性以上のビニルモノマーの含有率の上限値は10
0重量%である。すなわち、全て2官能性以上のビニル
モノマーからなる架橋性物質を使用することもできる。
【0041】ビニルモノマーとしては、熱処理や紫外線
または電子線の照射で重合可能なモノマーやプレポリマ
ーであればよく、特別な限定は何も受けない。熱重合、
光重合又は放射線重合可能なビニルモノマーの具体例を
下記に示す。
【0042】まず、一官能性ビニルモノマーとして、例
えば、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、ア
クリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アク
リル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−
プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イ
ソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸ト
リデシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウ
リル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸セチル、メタ
クリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、ステアリルメ
タクリレート、アクリル酸ベヘニル、ベヘニルメタクリ
レート等の如き(メタ)アクリル酸エステル;スチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブ
チルスチレン等の如きスチレン系モノマー;イタコン酸
ベンジル等の如きイタコン酸エステル;マレイン酸ジメ
チル等の如きマレイン酸エステル;フマール酸ジメチル
等の如きフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、酢酸ビニル;アクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロ
ピルの如き水酸基含有モノマー;エチルアクリル酸アミ
ノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸ア
ミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノ
プロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリ
ル酸ジメチルアミノエチル等の如きアミノ基含有モノマ
ー;エチレンの如きαオレフィン、アクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリ
ル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール
酸、アクロイルオキシエチルフタレート、アクロイルオ
キシサクシネート等のカルボン酸含有モノマー、アクリ
ル酸2−スルホン酸エチル、メタクリル酸2−スルホン
酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸等の如きス
ルホン酸基を有するモノマー、メタクリル酸2−ホスホ
ン酸エチル、アクリル酸2−ホスホン酸エチル等の如き
ホスホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。
【0043】二官能架橋性ビニルモノマーとして、例え
ば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレ
ート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エト
キシ化ビスフェノールAジアクリレートなどの二官能ア
クリレートおよび上記アクリレートと同様の二官能メタ
クリレートなどが挙げられる。
【0044】また、三官能架橋性ビニルモノマーとし
て、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシア
ヌレートトリアクリレート、トリメチロールプロパント
リアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパント
リアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレ
ートなどの三官能アクリレートおよび上記アクリレート
と同様の三官能メタクリレートなどが挙げられる。
【0045】本発明において効果的な四官能以上の架橋
性ビニルモノマーとして、例えば、ペンタエリスリトー
ルエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレートなどの四官能以上のアクリレー
トおよび上記のアクリレートと同様の四官能メタクリレ
ートなどが挙げられる。
【0046】また、二官能以上、好ましくは四官能以上
有するプレポリマーとして、例えば、ウレタンアクリレ
ート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレー
トのプレポリマーなどが挙げられる。これらのプレポリ
マーは前記のビニルモノマーに代えて用いることができ
る。
【0047】更に、必要に応じて、ビニルモノマーの重
合開始剤(架橋開始剤)として、例えば、ベンゾイル
類、ベンゾイルアルキルエーテル類、ベンゾフェノン
類、ベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイド類、ア
セトフェノン類、チオキサントン類、アントラキノン類
などを使用することができる。特に、モノマーに溶解す
る重合開始剤が好ましい。
【0048】本発明のゲル状電解質を生成するための混
合溶液への、前記2官能性以上のビニルモノマー含有率
が51重量%以上の架橋性物質の配合量は、3重量%〜
30重量%の範囲内であることが好ましい。架橋性物質
の配合量が3重量%未満では、ゲルの強度が弱くなり、
漏液を起こし易くなる。一方、架橋性物質の配合量が3
0重量%超の場合、ゲル状電解質中の溶媒量及び酸化還
元系化合物量が少なくなり、光電変換素子の光電変換効
率が低下する。架橋性物質の一層好ましい配合量範囲
は、4重量%〜20重量%であり、4重量%〜10重量
%の範囲内が最も好ましい。
【0049】本発明における酸化還元系構成物質として
は、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質
を好適に使用することができる。酸化体と還元体が同一
電荷を持つ酸化還元系構成物質が好ましい。この明細書
における、酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応にお
いて、可逆的に酸化体及び還元体の形で存在する一対の
物質を意味する。このような酸化還元系構成物質自体は
当業者に公知である。本発明で使用できる酸化還元系構
成物質は例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨ
ウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリ
ウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテ
ニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン
(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バ
ナジウムイオン(III)/−バナジウムイオン(II)、マンガ
ン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−
フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−
コハク酸などが挙げられる。言うまでもなく、その他の
酸化還元系構成物質も使用できる。
【0050】酸化還元系構成物質としては、ヨウ素化合
物−ヨウ素が特に好ましい。例えば、ヨウ素化合物とし
ては、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化
物、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウ
ムヨージド等のヨウ化4級アンモニウム塩化合物、ヨウ
化ジメチルプロピルイミダゾリウム等のヨウ化ジイミダ
ゾリウム化合物が特に好ましい。
【0051】本発明のゲル状電解質を生成するための混
合溶液の酸化還元系構成物質の含有量は、0.5重量%
〜5重量%の範囲内であることが好ましい。酸化還元系
構成物質の含有量が0.5重量%未満の場合、十分な光
電変換効率を得ることができない。一方、酸化還元系構
成物質の含有量が5重量%超の場合、酸化還元系構成物
質が照射された光を吸収するため、光電変換効率が低下
したり、色素から半導体に注入された電子が酸化体に移
動する副反応が起こり、光電変換効率の低下などの問題
が起こるので好ましくない。酸化還元系構成物質の一層
好ましい含有量範囲は1重量%〜4重量%であり、特
に、2重量%〜3重量%の範囲内が最も好ましい。
【0052】本発明のゲル状電解質を生成するための混
合溶液で使用される溶媒は、酸化還元系構成物質を溶解
しイオン伝導性に優れた化合物が好ましい。溶媒として
は水性溶媒及び有機溶媒の何れも使用できるが、酸化還
元系構成物質をより安定するため、有機溶媒が好まし
い。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、
酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ガンマーブチロラク
トン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−
ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒ
ドロフラン、2−メチルーテトラヒドラフラン等のエー
テル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−
メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、
メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリ
ル化合物、スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、
ジメチルフォルムアミド等の非プロトン性極性化合物な
どが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることも
できるし、また、2種類以上を混合して併用することも
できる。
【0053】有機溶媒としては、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、
3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリ
ドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセ
トニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物が特
に好ましい。
【0054】本発明のゲル状電解質を生成するための混
合溶液における溶媒の含有量は、65重量%〜96.5
重量%の範囲内であることが好ましい。溶媒の含有量が
65重量%未満の場合、酸化還元系構成物質を完全に溶
解させることが出来ず、十分なイオン伝導性を得ること
もできない。一方、溶媒の含有量が96.5重量%超の
場合、ゲル状にならないなどの問題が起こるので好まし
くない。溶媒の一層好ましい含有量範囲は75重量%〜
95重量%であり、特に、80重量%〜90重量%の範
囲内が最も好ましい。
【0055】本発明の光電変換素子における電解質層5
は、例えば、2官能性以上のビニルモノマーを51重量
%以上含有している架橋性物質(必要に応じて重合開始
剤を配合)、溶媒及び酸化還元系構成物質から混合溶液
を調製し、この混合溶液を、色素担持半導体層6上に塗
布法、浸漬法等の任意の方法により配設し、その後、
熱、光又は放射線などの適宜の手段により前記架橋性物
質をラジカル重合させることによりゲル状電解質を生成
させることにより形成される。
【0056】酸化還元系構成物質において、ヨウ素等の
還元化合物はラジカル重合の重合禁止剤として働き、重
合を阻害することがある。このため、ヨウ素等の還元化
合物を使用する場合、ゲル状ポリマー電解質形成後、ヨ
ウ素等の還元化合物とともに密閉された容器内に配置し
てゲル状ポリマー電解質内に還元化合物を拡散させる方
法や、対電極に塗布等により還元化合物を付着させる方
法により重合阻害を避けることができる。ラジカル重合
方法としては、熱、光や放射線(例えば、電子線)照射
等が挙げられるが、電子線照射がより好ましい。
【0057】また、別法として、架橋性物質(必要に応
じて重合開始剤を配合)、溶媒及び酸化還元系構成物質
から混合溶液を調製し、この溶液を多孔質体に含浸後、
ラジカル重合させてゲル状にするとより強固な電解質層
5が得られ、液漏れ防止に効果的な場合がある。
【0058】多孔質体の構造としては、繊維状物質を重
ね合わせたもの、格子状の網目構造をもつもの、多孔質
体面に対しの法線方向に柱状の空隙をもつものなどが好
ましい。従って、多孔質体としては、例えば、濾過フィ
ルター(メンブランフィルタ)あるいは一次電池や二次
電池などに用いられるセパレーター又は不織布などを好
適に使用できる。特に、多孔質体面に対し法線方向に貫
通した空隙をもつ場合、多孔質体自体が酸化還元対の移
動を阻害する作用が少ないため高い光電変換効率が得ら
れる。
【0059】多孔質体として使用される濾過フィルター
の材質としては、ガラス繊維、ポリプロピレン、ポリエ
チレン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレ
ート等のポリエステル類などからなるものが好ましい。
【0060】多孔質体として使用されるセパレーター又
は不織布の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート
等のポリエステル類、ポリアミド類、ポリフェリレンス
ルフィド、ビニヨン(塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合
物)、ポリイミド、ビニロン(アセタール化ポリビニル
アルコール)などが好ましい。これらの材質のセパレー
ター又は不織布を単独でも、あるいは2種以上の材質の
セパレーター又は不織布を複合化して使用することもで
きる。ここで、「複合化した不織布」とは、上記2種類
の材料をブレンド後に溶融紡糸/延伸したブレンド延伸
型不織布、または上記2種類の材料の一方を芯とし、他
方がその周囲を被覆してなる複合繊維(コンジュゲート
型繊維)を熱融着してなる芯鞘構造型の不織布である。
例えば、芯成分に高融点のポリプロピレンを用い、鞘成
分に低融点のポリエチレンを用いた熱融着タイプの不織
布がよく知られている。
【0061】多孔質体の厚みは半導体層6と対電極4と
の面間隔で規定される。しかし、一般的に、多孔質体の
厚みは、1mm以下が好ましい。多孔質支持体の厚みが
1mm超の場合、電解質層5中の酸化還元対の移動距離
が長くなり、酸化還元対を媒介とした電子の授受反応が
律速となり光電変換効率が低下する。
【0062】半導体層6と対電極4との空間を無くすこ
とは、多孔質体による保持機構の働かない電解質層5部
分を無くすことになり、そのこと自体は液漏れ防止およ
び信頼性向上につながる。しかしながら、半導体層6と
対電極4との空間を無くすために、その組立工程おいて
両極を互いに強く押しつけ合うことは、半導体層6およ
び対電極4を機械的に破壊し、光電変換効率を低下させ
る要因となることもある。そのため、半導体層6と対電
極4との間には少なくとも1μm以上の間隔を設け、前
記半導体層6および対電極4の機械的破壊を防ぐことが
好ましい。従って、半導体層6と対電極4との間に設け
る多孔質体の厚みとしては1μm以上とすることが好ま
しい。
【0063】本発明の半導体層6と対電極4との間の電
解質層5を構成するために使用される多孔質体は、半導
体層6と対電極4との間に充填される電解液の酸化還元
対の移動を妨げないばかりか、これら電解液を液漏れし
ないように保持しなければならない。従って、多孔質体
は、光電変換素子の形成に必要な電解液の酸化還元対の
移動を妨げず、しかも、液漏れを起こさないように電解
液を保持するのに必要十分なポロシティー(気孔率)を
有しなければならない。
【0064】このため、多孔質体としては、ポロシティ
ー(気孔率)が30%〜80%の範囲内である多孔質素
材を使用することが好ましい。ポロシティーが30%よ
り小さい多孔質体を用いた場合、多孔質体が酸化還元対
の移動を妨げる効果が大きくなり、酸化還元対を媒介と
した電子の授受反応が律速となり光電変換効率が低くな
る。一方、ポロシティーが80%より大きい多孔質体を
用いた場合,孔径が大きくなり、毛管作用による電解液
保持能力が低下し、十分な液漏れ抑制効果が得られなく
なる。ポロシティー(気孔率)が35%〜65%の範囲
内である多孔質素材を使用することが一層好ましい。ポ
ロシティー(気孔率)が40%〜60%の範囲内である
多孔質素材を使用することが最も好ましい。
【0065】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明は下記の実施例のみに限定されるも
のではない。
【0066】実施例11.六官能架橋性モノマー含有電解液Aの調製 エチレンカーボネートとアセトニトリルとの体積比8:
2の混合溶液にヨウ化テトラプロピルアンモニウム0.
5mol/lを溶解させた電解液を調製し、該電解液に
六官能のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを
10重量%と、重合開始剤として2,4,6−トリメチ
ルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔ルシ
リンTPO(商品名)、ビーエーエスエフジャパン(株)
製〕を2重量%を添加した。
【0067】2.光電変換素子の作製 酸化チタンを塗布した透明電極付きガラス(50mm×
50mm)に、増感色素としてシス−ジ(チオシアノ)
−N,N−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジ
カルボキシレート)ルテニウム(II)錯体を1cm2当た
り50μg担持させた電極を作製した。また、透明電極
付きガラス(50mm×50mm)に白金をスパッタし
てこれを対電極とした。これら2つの電極で、酸化チタ
ン側と白金側が向き合うようにして厚さ50μmスペー
サーを入れてはさみ、前記1で調製したモノマー含有電
解液Aを毛細管現象により電極間に注入させ、これらの
電極表面に含浸させた。続いて、照度60mW/cm2
(トプコン製UVチェッカーUVR−T35による測定
値)の紫外線ランプで30秒間照射し、モノマー含有電
解液を重合させて、ゲル状ポリマー電解質を作製した
後、ヨウ素雰囲気下に1時間曝してから、周囲を封止
し、各電極から端子を引き出して、本発明の光電変換素
子を作製した。
【0068】前記2で作製した光電変換素子に45mW
/cm2のキセノンランプ光を照射し(照射面積12c
m2)、光電流−電圧特性を測定した。更に、この光電
変換素子に、電極面の法線方向に沿って電極面に均一に
0.5kg/cm2の圧力を室温で一週間かける電解質
保持試験を行った。
【0069】実施例21.一官能性、二官能性および六官能性ビニルモノマー
含有電解液Bの調製 エチレンカーボネートとアセトニトリルとの体積比8:
2の混合溶液にヨウ化テトラプロピルアンモニウム0.
5mol/lを溶解させた電解液を調製し、該電解液に
六官能のメチルアクリレート2重量%、ジエチレングリ
コールジアクリレート5重量%、ジペンタエリスリトー
ルヘキサアクリレートを3重量%と、重合開始剤として
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフ
ィンオキサイド〔ルシリンTPO(商品名)、ビーエーエ
スエフジャパン(株)製〕を2重量%を添加した。
【0070】2.光電変換素子の作製 実施例1で使用したモノマー含有電解液Aをモノマー含
有電解液Bに変更した以外は、実施例1と同様に光電変
換素子を作製し、光電流−電圧特性の測定と電解質保持
試験を行った。
【0071】実施例3光電変換素子の作製 酸化チタンを塗布した透明電極付きガラス(50mm×
50mm)に、増感色素としてシス−ジ(チオシアノ)
−N,N−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジ
カルボキシレート)ルテニウム(II)錯体を1cm2当た
り50μg担持させた電極を作製した。また、透明電極
付きガラス(50mm×50mm)に白金をスパッタし
てこれを対電極とした。これら2つの電極で、酸化チタ
ン側と白金側が向き合うようにして厚さ25μmの多孔
質体(高密度ポリエチレン樹脂、平均孔径:0.1μ
m、気孔率:60%)をはさみ、前記実施例1で調製し
たモノマー含有電解液Aを毛細管現象により電極間に注
入させ、これらの電極表面に含浸させた。続いて、照度
60mW/cm2(トプコン製UVチェッカーUVR−
T35による測定値)の紫外線ランプで30秒間照射
し、モノマー含有電解液を重合させて、ゲル状ポリマー
電解質を作製した後、ヨウ素雰囲気下に1時間曝してか
ら、周囲を封止し、各電極から端子を引き出して、本発
明の光電変換素子を作製した。実施例1と同様に光電変
換素子を作製し、光電流−電圧特性の測定と電解質保持
試験を行った。
【0072】比較例1 実施例1の1で六官能架橋性モノマーと重合開始剤を除
いた電解液を調製後、実施例1と同様に光電変換素子を
作製し、光電流−電圧特性の測定と電解質保持試験を行
った。
【0073】比較例21.一官能性、および二官能性および六官能性ビニルモ
ノマー含有電解液Cの調製 エチレンカーボネートとアセトニトリルとの体積比8:
2の混合溶液にヨウ化テトラプロピルアンモニウム0.
5mol/lを溶解させた電解液を調製し、該電解液に
六官能のメチルアクリレート12重量%、ジエチレング
リコールジアクリレート4重量%、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレートを4重量%と、重合開始剤とし
て2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォス
フィンオキサイド〔ルシリンTPO(商品名)、ビーエー
エスエフジャパン(株)製〕を2重量%を添加した。
【0074】2.光電変換素子の作製 実施例1で使用したモノマー含有電解液Aをモノマー含
有電解液Cに変更した以外は、実施例1と同様に光電変
換素子を作製し、光電流−電圧特性の測定と電解質保持
試験を行った。
【0075】前記の実施例1〜3及び比較例1〜2で得
られた各光電変換素子の光電変換素子特性と電解質保持
試験の結果を下記の表1に要約して示す。
【0076】
【表1】 電解質 開放端 短絡電流 形状 光電変換 電解質保持試 料 の状態 電圧(V) 密度(mA/cm2) 因子 効率(%) 試 験 実施例1 ゲル状 0.73 2.5 0.34 1.4 漏液無し 実施例2 ゲル状 0.75 2.9 0.35 1.7 漏液無し 実施例3 ゲル状 0.70 2.3 0.38 1.4 漏液無し 比較例1 液体状 0.77 3.3 0.32 1.8 漏液有り 比較例2 ゲル状 0.65 2.5 0.28 1.0 漏液少し有り
【0077】前記の表1に示された結果から明らかなよ
うに、本発明のゲル状ポリマー電解質を用いた光電変換
素子は電解液の液漏れがなく、電解質が溶液の場合と同
等の光電変換特性が得られた。また、架橋高分子におい
て、2官能性ビニルモノマーを51重量%以上含有して
いないと、電解液のゲル化に多量のモノマーが必要とな
り、かつゲル状ポリマー電解質の機械的強度も低くなる
ことが明らかとなった。(西原さん。実施例3の多孔質
体使用例は液漏れが無い点を除けば、比較例2と性能差
が少ないので、実施例として適切であると思えません。
光電変換効率の数値を実施例1程度にまで上げるか、そ
の他のデータで多孔質体の使用効果を明示する必要があ
ると思います。例えば、実施例1と実施例3を比べた場
合、多孔質体を使用すると実施例1の光電変換素子とど
のような効果の違いが得られるか例証する必要があると
思います。)
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ゲル状ポリマー電解質を用いることにより、電解液の液
漏れを防ぎ、しかも、光電変換特性の安定した光電変換
素子素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換素子の一例の概要断面図であ
る。
【符号の説明】
1 光電変換素子 2 透明基板 3 透明電極 4 対電極 5 電解質層 6 半導体層 7 透明基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児島 克典 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 岸 文彦 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA14 GA03 5H032 AA06 AS16 BB07 CC06 CC17 EE03 EE04 EE07 EE08 EE14 EE16 HH01 HH04

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、一方の面上に半導体層が被
    着された電極と、この電極の前記半導体層と対峙する対
    電極と、該電極の前記半導体層と対電極との間に配置さ
    れた電解質層とを有する光電変換素子において、 前記電解質層が、少なくとも、2官能性以上のビニルモ
    ノマーを51重量%以上含有する架橋性物質と、溶媒
    と、酸化還元系構成物質とからなる混合溶液を重合させ
    ることにより生成されたゲル状電解質から形成されてい
    ることを特徴とする光電変換素子。
  2. 【請求項2】 前記架橋性物質は4官能性以上のビニル
    モノマーを51重量%以上含有することを特徴とする請
    求項1に記載の光電変換素子。
  3. 【請求項3】 前記混合溶液は重合開始剤を更に含有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 【請求項4】 前記溶媒は有機溶媒であることを特徴と
    する請求項1に記載の光電変換素子。
  5. 【請求項5】 前記酸化還元系構成物質は、それぞれ同
    一の電荷を有する、酸化体と還元体からなる一対の酸化
    還元系構成物質であることを特徴とする請求項1に記載
    の光電変換素子。
  6. 【請求項6】 前記混合溶液は、前記架橋性物質を3重
    量%〜30重量%、前記溶媒を65重量%〜96.5重
    量%、及び前記酸化還元系構成物質を0.5重量%〜5
    重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の光電
    変換素子。
  7. 【請求項7】 前記混合溶液は、光、熱又は放射線によ
    るラジカル重合により重合されることを特徴とする請求
    項1に記載の光電変換素子。
  8. 【請求項8】 前記有機溶媒は、ニトリル化合物、カー
    ボネート化合物、窒素含有複素環化合物からなる群から
    選択される少なくとも1種類以上の溶媒であることを特
    徴とする請求項4に記載の光電変換素子。
  9. 【請求項9】 前記酸化還元系構成物質は、ヨウ化物化
    合物−ヨウ化物からなることを特徴とする請求項5に記
    載の光電変換素子。
  10. 【請求項10】 前記混合溶液を多孔質体に含浸させて
    から重合させることを特徴とする請求項1に記載の光電
    変換素子。
  11. 【請求項11】 前記多孔質体は、30%〜80%の範
    囲内のポロシティーを有する素材から構成されているこ
    とを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子。
  12. 【請求項12】 前記多孔質の厚さが1μm〜1mmの
    範囲内であることを特徴とする請求項10に記載の光電
    変換素子。
  13. 【請求項13】 前記多孔質が濾過フィルタ、セパレー
    タ又は不織布からなることを特徴とする請求項10又は
    11に記載の光電変換素子。
  14. 【請求項14】 前記濾過フィルタは、ガラス繊維、ポ
    リオレフィン類及びポリエステル類からなる群から選択
    される素材により形成されていることを特徴とする請求
    項13に記載の光電変換素子。
  15. 【請求項15】 前記セパレータ又は不織布は、ポリオ
    レフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリフェ
    リレンスルフィド、ビニヨン(塩化ビニルと酢酸ビニル
    の共重合物)、ポリイミド、ビニロン(アセタール化ポ
    リビニルアルコール)からなる群から選択される少なく
    とも1種類の素材により形成されていることを特徴とす
    る請求項13に記載の光電変換素子。
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JP2006331791A (ja) * 2005-05-25 2006-12-07 Bridgestone Corp 色素増感型太陽電池用セパレータ及びその利用
US7880082B2 (en) 2002-04-11 2011-02-01 Sony Corporation Solid electrolyte, photoelectric converter and process for producing the same
JP2012501518A (ja) * 2008-08-29 2012-01-19 ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) エレクトロスピニングプロセスにより生成される電解質含有ポリマーおよびその電解質含有ポリマーを使用する高効率の色素増感太陽電池

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