JP2004319197A - 光電変換素子およびその製造方法 - Google Patents

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浩志 松井
Kenichi Okada
顕一 岡田
Takuya Kawashima
卓也 川島
Tetsuya Ezure
哲也 江連
Nobuo Tanabe
信夫 田辺
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Abstract

【課題】セルの形成が容易で電解質の本来の特性を十分に発揮させることのできる光電変換素子の製造方法および該製造方法で得られる光電変換素子を提供する。
【解決手段】増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極およびこれら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子の製造方法において、該電解質層がゲル化電解質または固体電解質からなるものであり、該電解質層を作用極と対極の間に挟んで作用極/電解質/対極の積層体とし、電解質が流動化した状態で該積層体に荷重を加えることを特徴とする光電変換素子の製造方法および光電変換素子。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感太陽電池などの光電変換素子の製造方法および該製造方法により得られる光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
環境問題、資源問題などを背景に、クリーンエネルギーとしての太陽電池が注目を集めている。太陽電池としては単結晶、多結晶あるいはアモルファスのシリコンを用いたものがある。しかし、従来のシリコン系太陽電池は製造コストが高い、原料供給が不充分などの課題が残されており、大幅普及には至っていない。
また、Cu−In−Se系(CIS系)などの化合物系太陽電池が開発されており、極めて高い変換効率を示すなど優れた特徴を有しているが、コストや環境負荷などの問題があり、やはり大幅普及への障害となっている。
【0003】
色素増感型太陽電池は、スイスのグレッツェルらのグループなどから提案されたもので、安価で高い変換効率を得られる光電変換素子として着目されている。
この光電変換素子の一般的な構造としては、透明な導電性基板上に二酸化チタンなどの酸化物半導体ナノ粒子を用いた多孔質膜を形成し、これに増感色素を担持させた半導体電極と、白金スパッタした導電性ガラスなどの対極とをスペーサーを介して貼り合わせてセルを組み上げ、両極間にヨウ素・ヨウ化物イオンなどの酸化・還元種を含む有機電解液を電荷移送層として充填したものなどを挙げることができる。
この電解液の注入としては、太陽電池のセルを組み上げた上で、背面などに設けた注液口から毛細管現象、圧力差などを利用してバッチ式で注入している。
半導体極をラフネスファクタ>1000という大きな比表面積を有する多孔膜構造とすることで、光吸収効率を高め、10%以上の光電変換効率も報告されている。コスト面でも原稿のシリコン系太陽電池の1/2〜1/6程度と予想されており、必ずしも複雑・大規模な製造設備を必要とせず、さらに有害物質も含まないため、大量普及に対応できる安価・大量生産型太陽電池として高い可能性を有するといえる。
【0004】
しかし、上記の色素増感型太陽電池では、アセトニトリルなどのような揮発性溶媒を電解液として用いてこれをセルに封入しており、このような系では揮発によるセル特性の低下が生ずるという問題を有していた。
そこで、この対策として、電解液として、イオン性液体を用いる試みがある(例えば、非特許文献1参照。)。
このイオン性液体は、常温溶融性塩とも呼ばれ、室温付近を含む広い温度範囲において安定な液体として存在する、正と負の電荷を帯びたイオンのみからなる塩である。このイオン性液体は実質的に蒸気圧を持たず、一般的な有機溶媒のような揮発、引火などの心配がないことから、揮発によるセル特性の低下の解決手段として期待されている。
また、電解液を用いた場合、製造時やセル破損時に電解液が漏出するおそれがあるので、この液漏れの対策として、適当なゲル化剤を用いて電解液をゲル化(擬固体化)する試みも盛んである(例えば、特許文献1参照。)。ゲル化すると、液体状態の場合よりも揮発性を抑えられるとの報告もある。
イオン性液体に対しても同様の試みがなされており、ゲル化したイオン性液体(イオンゲル)は、安全性、耐久性とも優れるという特徴を有する。
【0005】
【非特許文献1】
N.Papageorgiou et al., J. Electrochem. Soc., 143(10), 3099, 1996
【特許文献1】
特開2002−184478号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、イオン性液体はアセトニトリルなどの溶剤を用いた従来の電解液に比べると高粘度である。また、ゲル化させるために必要なゲル化剤を加えると電解液はさらに高粘度となる。
高粘度の液体は従来行われていたような毛細管現象や圧力差を利用した注液法では注液ができなかったり、注液が不充分になったりするという問題がある。
また、電解液の多孔質酸化物半導体膜内部への浸透が不充分となり、光電変換効率が不充分なものとなる。
本発明は、ゲル化電解質または固体電解質を用いても上述のような問題が生じることなく、セルの形成が容易で電解質の本来の特性を十分に発揮させることのできる光電変換素子の製造方法および該製造方法で得られる光電変換素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の光電変換素子の製造方法は、増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極、および、これら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子の製造方法において、該電解質層がゲル化電解質または固体電解質からなるものであり、該電解質層を作用極と対極の間に挟んで作用極/電解質/対極の積層体とし、電解質が流動化した状態で該積層体に荷重を加えることを特徴とする。
また、本発明の光電変換素子は、増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極およびこれら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子であって、多孔質酸化物半導体層内にゲル化電解質または固体電解質が、厚み方向に実質的に均一に充填されてなることを特徴とする。
また、本発明の光電変換素子は、増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極およびこれら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子であって、多孔質酸化物半導体層内にゲル化電解質または固体電解質が充填されてなり、対極の作用局側の面に対極触媒層が設けられ、該対極触媒層内に、多孔質半導体層表面の凹凸が埋没された構造をなしていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光電変換素子の製造方法を図面を用いて説明する。
図1は電解質層5として自己支持性の電解質シートを用いたセル作製プロセスの概念図である。
本発明の光電変換素子の製造方法においては、電解質層4を作用極4と対極6の間に挟んで作用極/電解質/対極の積層体とし、この積層体に荷重を加えることにより光電変換素子のセルを組み立てる。
電解質層5はゲル化電解質または固体電解質からなる。
電解質層5は、セルの組み立て前はシート状であることが好ましく、自己支持性のシートであってもよく、いずれかの極板上に保持されたシートであってもよい。ここで、自己支持性のシートとは、シートを単独で取り扱ってもシート形状を維持できるものであることをいう。
電解質層5はゲル化電解質または固体電解質からなるので、電解質のみで層を形成させたり、いずれかの極板上に形成したりしても液体の場合のように電解質が流れ出る心配がない。
セル組み立て時は、この電解質層5を介して両極を重ね合わせ、作用極/電解質/対極の積層体とし、ついで、電解質層を流動化状態にあるようにして、その状態で荷重を加えて、光電変換素子のセルを組み立てる。
電解質層5を介して両極を重ね合わせた時に、電解質シートが両極間の仮組用接着剤として作用すると、積層体の取り扱いが容易となり、セル組み立て時のハンドリング性が向上するので好ましい。この電解質シートは両極間の仮組用接着剤として作用すれば、それ以上の高い接着強度、密封性は必ずしも要求されるものではなく、仮組後に別手段により本格封止を行えばよい。
【0009】
荷重を加える時の圧力は0.1〜100MPaであることが好ましい。電解質が流動状態にある時に0.1MPa以上の荷重を加えることで、電解質を作用極上の多孔質酸化物半導体層の中に充填させることができる。
電解質が流動化した状態で荷重を加える方法としては、熱プレス法を採用することができる。
この熱プレスは、バッチ式の熱板プレスのみを指すものではなく、ロールプレスやベルトプレスによる熱ラミネートといった加熱加重工程一般を含むものである。
熱プレス時の温度は、110℃を超える温度になると増感色素によってはダメージを受けることがあるので、110℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
この熱プレスにより、電解質が流動化して、作用極4表面の多孔質酸化物半導体層3内に充填される。熱プレス後、室温に戻るまでの過程で電解質はゲル化あるいは固体となる。一旦、多孔質酸化物半導体層3内に充填された後は、加熱により再流動化する可逆タイプであってもよく、再流動化しない非可逆タイプであってもよい。
【0010】
熱プレスにより電解質が多孔質酸化物半導体層3内に充填されると、電解質層の体積が減少するため、熱プレス前に比べて作用極/対極間距離を短縮することができる。
【0011】
電解質層がゲル化電解質からなる場合、ゲル化電解質は電解液をゲル化したものであり、電解液としては、レドックス対を含む非水系電解液、イオン性液体を例示でき、これらの中では、イオン性液体が好ましい。
イオン性液体としては、特に限定されるものではないが、例えば、4級化したイミダゾリウム誘導体、ピリジニウム誘導体、アンモニウム誘導体などをカチオンに、BF 、PF 、F(HF) 、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CFSO ]、ヨウ化物イオンなどをアニオンに用いることができる。その具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドアニオンなどからなる塩類を挙げることができる。
レドックス対としては、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを用いることができ、ヨウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源としては、リチウム塩、四級化イミダゾリウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などを単独または複合して用いることができる。
このレドックス対を溶解する有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどが例示される。
レドックス対を有機溶媒に溶解して得られる電解液には、必要に応じてtert−ブチルピリジンなどの添加物を添加することができる。
ゲル化電解質の多孔質酸化物半導体層内への充填性を考慮すると、加重時の電解質流動性は高い方が好ましく、したがって、ゲルを構成するイオン性液体または有機溶媒の粘度は低いことが好ましく、加重時の粘度が0.15Pa・s以下であることが好ましく、0.1MPa・s以下であることがより好ましい。
【0012】
電解液あるいはイオン性液体をゲル化させるためのゲル化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体、アミノ酸誘導体といった化合物を用いることができる。
また、本発明の光電変換素子の製造方法においては、積層体に荷重を加える際に熱を加える(熱プレスする)ことが好ましいが、この熱プレス後に、化学反応により三次元架橋構造を形成するような化学ゲル化剤を用いてもよい。
このゲル化電解質は、熱プレス温度以下の温度で流動化するものであることが好ましい。流動化することにより、多孔質酸化物半導体層3内に充填されやすくなる。
【0013】
電解質層5が固体電解質からなる場合、固体電解質としては室温では固体であるが、熱プレス温度では流動性を示すものが好ましい。このような固体電解質としてポリエチレンオキシド誘導体のようなイオン伝導体を例示できる。
【0014】
本発明の製造方法で用いられる作用極(窓極)4の基板1としては、例えば、ガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)などの透明樹脂のシートや板などを用いることができる。
基板1の表面には透明導電膜2が形成されている。この透明導電膜2としては、例えば、ITO、FTO、酸化スズ(SnO)等の導電性金属酸化物を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。例えば、透光性を有する範囲の厚みのAu、Pt、Ag、Cu、Alなどの金属も利用可能である。この透明導電膜2は、光透過率や導電性の点で使用目的に適合するものを用いればよい。
また、導電補助(集電)効果を与えるために、光透過性を著しく損ねない範囲で金属配線等を追加してもよい。
【0015】
透明導電膜2の表面には多孔質酸化物半導体層3が形成される。多孔質酸化物半導体層3の素材、形成法などについて特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)などの1種または2種以上を複合して用いることができる。
多孔質酸化物半導体層3を形成するためには、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法など公知の塗布により塗布するほか、コロイド溶液中に透明導電膜2付き基板1を浸漬して電気泳動により酸化物半導体微粒子を透明導電膜2の表面に付着させる泳動電着法、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
【0016】
多孔質酸化物半導体3に担持される増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテチウム錯体や鉄錯体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の金属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素なども使用することができ、用途、使用半導体に適した励起挙動をとるものを特に制限なく選ぶことができる。
【0017】
対極5には、金属板などの導電性基板あるいはガラス板などの非伝導性基板上に白金、金、炭素などの導電膜を形成したものが用いられる。この導電膜の形成法としては、各種炭素系材料や白金、金などを蒸着、スパッタにより形成することができる、また、塩化白金酸を塗布した後に熱処理を行うなどして白金膜を形成する手法を選ぶこともできる。
【0018】
こうして得られた作用極/電解質/対極の積層体の側面は、必要に応じて封止してもよい。封止を行う場合は、例えば、熱可塑性樹脂、UV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラスフリットなどを用いた接着法で封止してもよく、レーザーなどによる基板融着法で封止してもよい。また、これらを併用することもできる。
【0019】
本発明の光電変換素子は、増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極およびこれら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子であって、多孔質酸化物半導体層内にゲル化電解質または固体電解質が、厚み方向に実質的に均一に充填されてなることを特徴とする。ここで、厚み方向に実質的に均一であるとは、厚み方向において最も電解質充填率の高い部分に対する最も電解質充填率の低い部分の充填率比が0.8以上であることを意味する。
本発明の光電変換素子は、電解質としてゲル化電解質または固体電解質を用いているので、製造時やセル破損時に電解液が漏出することがなく、溶媒の蒸発によるセル特性の低下も抑制できる。また、電解質濃度が厚み方向に実質的に均一であるので、ゲル化電解質または固体電解質を用いながらも液状電解質を用いた場合とほぼ同様の光電変換特性が得られるという特徴を有する。
【0020】
また、本発明の光電変換素子は、増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極およびこれら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子であって、多孔質酸化物半導体層内にゲル化電解質または固体電解質が充填されてなり、対極の作用局側の面に対極触媒層が設けられ、該対極触媒層内に、多孔質酸化物半導体層表面の凹凸が埋没された構造をなしていることを特徴とする。
図2は本発明の光電変換素子の1製造例を示す図であり、図2(a)は熱プレス前、図2(b)は熱プレス後の状態を示す図である。多孔質半導体層3は、多孔質であるため、その表面には凹凸を有する。
対極触媒層8を有する対極6と多孔質酸化物半導体層3を有する作用極4とをゲル化電解質または固体電解質からなる電解質層5を介して重ね合わせ、熱プレスすると、ゲル化電解質または固体電解質は多孔質酸化物半導体層3内に充填され、多孔質酸化物半導体層7と対極触媒層8が接触するようになる。更に圧力がかかると、対極触媒層8は通常、白金などからなり、多孔質酸化物半導体よりも軟質なものが多いため、多孔質酸化物半導体の表面の凹凸が対極触媒層8内に埋没して、対極触媒層と多孔質酸化物半導体層が密着する構造となる。
このように対極触媒層と多孔質半導体操が広い面積で密着すると、より高度の光電変換効率が得られるようになる。
本発明の光電変換素子は、特に色素増感太陽電池として好ましく用いられる。
また、本発明の製造方法によれば、両極の間に電解質層を挟んで荷重を加えることで光電変換素子が得られるので、一度に多数のセルを迅速、かつ、安定に作製することができ、量産化に適している。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
「ゲル電解質シートの作製」
電解液として、ヨウ素/ヨウ化物イオンレドックス対を含有するイオン性液体[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]からなる電解液を調製した。そして、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を溶解させたテトラヒドロフラン溶液にこの電解液を加え、加温攪拌することで均一な溶液を得た。
この溶液をドクターブレード法によりポリテトラフルオロエチレン板上に塗布し、乾燥することでゲル電解質シートを得た。
このゲル電解質シートは、室温では流動性がなく自立性のシートとして取り扱うことができるが、85℃付近より軟化し、90℃以上では粘ちょうな液体となって流動性を示した。
【0022】
「セルの作製」
FTO膜付きガラス基板上に、平均粒径25nmの酸化チタン分散液を塗布・乾燥し、450℃で1時間加熱・焼結して多孔質酸化物半導体層を形成した。これをルテニウムビピリジン錯体(N3色素)のエタノール溶液中に8時間浸漬して、色素を担持させた。
また、対極として、一方の面にスパッタ法により白金層を形成したFTOガラス基板を準備した。
両電極基板を、上記で作製したゲル電解質シートを介して重ね合わせ、さらにガラス基板を破損しないようにクッション材を重ねて温度100℃、圧力5MPaで10分間熱プレスした。
自然冷却後、試料を取り出したところ、電解質シートを介して見かけ上接着された状態になっており、一体の電極・電解質積層体として取り扱い可能であった。ゲル電解質シートを介して両基板を重ね合わせた状態(熱プレス前)の極間厚みは30μmであり、熱プレス後の厚みは約10μmであった。
更に、この周辺部をエポキシ樹脂で本封止して得られた試験セルの光電変換効率ηは4.0%であり、ゲル化電解質シートの代わりにポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いない以外は同様の組成の電解液を用いて、予めセルを組み立てて、電解液をセル内に注入する、通常の方法で作成したセルの85%以上の特性を保持していた。
得られたセルの多孔質酸化物半導体層内の電解質濃度を半導体層の表面近傍(対極側、中央部、作用極透明電導膜近傍の3点で測定したところ、電解質充填率はほぼ均一であった。また、熱プレス前後の対極触媒層表面を電子顕微鏡で観察したところ、熱プレス前には見られなかった凹凸が形成されており、熱プレスにより、多孔質半導体の凹凸が対極触媒層内に埋没された構造をなしていることがわかった。
【0023】
(実施例2)
ポリエチレンオキシド誘導体を溶解させたアセトニトリル溶液に、実施例1と同様の電解液を加え、加温攪拌することで均一な溶液を得た。
この溶液をドクターブレード法によりポリテトラフルオロエチレン板上に塗布し、乾燥することで固体電解質シートを得た。この固体電解質シートは、室温では流動性がなく自立性のシートとして取り扱うことができるが、90℃以上では流動性を示した。
ゲル化電解質シートの代わりにこの固体電解質シートを用い、熱プレス温度を110℃とした以外は実施例1と同様にして電極・電解質積層体を作製した。この電極・電解質積層体は一体の電極・電解質積層体として取り扱い可能であった。ゲル電解質シートを介して両基板を重ね合わせた状態(熱プレス前)の極間厚みは約25μmであり、熱プレス後の厚みは約10μmであった。
更に、この周辺部をエポキシ樹脂で本封止して得られた試験セルの光電変換効率ηは3.0%であった。
得られたセルの多孔質酸化物半導体層内の電解質濃度を半導体層の表面近傍(対極側)、中央部、作用極の透明電導膜近傍の3点で測定したところ、電解質濃度はほぼ均一であった。また、熱プレス前後の対極触媒層表面を光学顕微鏡で観察したところ、熱プレス前には見られなかった凹凸が形成されており、熱プレスにより、多孔質半導体の凹凸が対極触媒層内に埋没された構造をなしていることがわかった。
【0024】
(比較例1)
実施例1で用いたと同様のゲル電解質シート、作用極、対極を作製し、室温でこれらを作用極/ゲル電解質シート/対極の順に重ね合わせて、室温下でハンドプレスで加圧した。このとき、ゲル電解質シートは流動性を示していなかった。
得られた積層体の両極板をクリップで固定しながら光電変換特性の評価を行ったところ、η=0.8%であり、実施例1の結果と比較して大幅な特性低下となった。
得られたセルの多孔質酸化物半導体層内の電解質濃度を半導体層の表面近傍(対極側、中央部、作用極の透明電導膜近傍の3点で測定したところ、電解質濃度は透明導電膜近傍の電解質濃度は電解質濃度を半導体層の表面近傍(対極側)の電解質濃度の1/3以下であった。
【0025】
比較例1に示すように、電解質が流動性を示さない状態で荷重をかけても低い光電変換効率のものしか得られていない。これは、電解質が流動性を示していないため、電解質を多孔質酸化物半導体層の中に充分充填できなかったためと思われる。
これに対して、本発明の実施例1、2では、同様の組成の液状電解質を用いた場合とほぼ同等の光電変換特性を示し、かつ、ゲル電解質または固体電解質を用いているので液漏れの心配がなく、揮発によるセル特性の低下を抑制したものであり、量産性にも優れていることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の光電変換素子の製造方法によれば、ゲル化電解質または固体電解質を用いても電解質の多孔質酸化物半導体膜内部への浸透が不充分となり、光電変換効率が不充分なものとなるような問題がなく、セルの形成が容易で電解質の本来の特性を十分に発揮させることのできるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解質層として自己支持性の電解質シートを用いたセル作製プロセスの概念図である。
【図2】対極触媒層表面が、多孔質酸化物半導体層表面の凹凸に対応する凹凸を有する光電変換素子セル作製プロセスの概念図である。
【符号の説明】
1:透明基板、 2:透明導電膜、 3:多孔質酸化物半導体層、
4:作用極(窓極)、 5:電解質層、 6:対極、
7:電解質が充填された多孔質酸化物半導体層、 8:対極触媒層

Claims (10)

  1. 増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極およびこれら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子の製造方法において、該電解質層がゲル化電解質または固体電解質からなるものであり、該電解質層を作用極と対極の間に挟んで作用極/電解質/対極の積層体とし、電解質が流動化した状態で該積層体に荷重を加えることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 電解質が流動化した状態で荷重を加えることが熱プレスにより荷重を加えることである請求項1記載の光電変換素子の製造方法。
  3. 荷重を加える際の熱プレスの温度が110℃以下である請求項2記載の光電変換素子の製造方法。
  4. 積層前の電解質層が自己支持性のシートあるいは一方の極板上に形成されたシート形態を有し、両極板に対し接着性を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
  5. 電解質層が、加温により流動性を示すものであり、その流動開始温度が110℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 電解質層がイオン性液体を含むものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
  7. 熱プレス時におけるイオン性液体の粘度が0.15Pa・s以下である請求項6記載の光電変換素子の製造方法。
  8. 増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極およびこれら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子であって、多孔質酸化物半導体層内にゲル化電解質または固体電解質が、厚み方向に実質的に均一に充填されてなることを特徴とする光電変換素子。
  9. 増感色素を表面に担持させた多孔質酸化物半導体層を有する作用極、該作用極の多孔質酸化物半導体層側においてこれに対向して配置される対極およびこれら両極の間の少なくとも一部に電解質層を配した光電変換素子であって、多孔質酸化物半導体層内にゲル化電解質または固体電解質が充填されてなり、対極の作用極側の面に対極触媒層が設けられ、該対極触媒層内に、多孔質半導体層表面の凹凸が埋没された構造をなしていることを特徴とする光電変換素子。
  10. 光電変換素子が色素増感太陽電池である請求項8または9記載の光電変換素子。
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