JP4522673B2 - 電解質組成物、これを用いた光電変換素子および色素増感太陽電池 - Google Patents
電解質組成物、これを用いた光電変換素子および色素増感太陽電池 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感太陽電池などの光電変換素子に用いられる電解質組成物およびこれを用いた光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
色素増感太陽電池は、スイスのグレッツェルらにより開発されたものであり、変換効率が高く、製造コストが安い等の利点をもち、新しいタイプの太陽電池として注目を集めている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。
色素増感太陽電池の概略構成は、透明な導電性の電極基板の上に、二酸化チタンなどの酸化物半導体微粒子(ナノ粒子)からなり、光増感色素が担持された多孔質膜を有する作用極と、この作用極に対向して設けられた対極とを備え、これら作用極と対極との間に、酸化還元対を含有する電解質が充填されたものである。この種の色素増感太陽電池は、太陽光などの入射光を吸収した光増感色素により酸化物半導体微粒子が増感され、作用極と対極との間に起電力が生じることにより、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子として機能する。
電解質としては、I−/I3 −などの酸化還元対をアセトニトリル等の有機溶媒に溶解させた電解液を用いることが一般的である。この他、不揮発性のイオン性液体を用いた構成、液状の電解質を適当なゲル化剤でゲル化させ、擬固体化した構成、p型半導体などの固体半導体を用いた構成などが知られている。
【0003】
イオン性液体は、常温溶融性塩ともよばれ、室温付近を含む広い温度範囲において安定な液体として存在し、陽イオンおよび陰イオンからなる塩である。イオン性液体は、蒸気圧が極めて低く、室温では実質的に殆ど蒸発しないので、一般的な有機溶媒のように揮発や引火の心配がないことから、揮発によるセル特性の低下を解決する方法として提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
また、電解質として、電解液(液状)を用いた場合、製造工程やセル破損時に、電解液が露出して漏れ出す(液漏れ)おそれがある。液漏れ対策として、適当なゲル化剤を添加することも試みられている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2664194号公報
【特許文献2】
特開2001−160427号公報
【特許文献3】
特開2002−184478号公報
【非特許文献1】
ミカエル・グレッツェル(M. Graetzel)ら、ネイチャー(Nature)誌、(英国)、1991年、第737号、p.353
【非特許文献2】
エヌ・パパゲオルギウ(N. Papageorgiou)ら、ジャーナル・オブ・ジ・エレクトロケミカル・ソサエティ(J.Electrochem.Soc.)、(米国)、1996年、第143(10)号、p.3099
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、イオン性液体は、アセトニトリル等の有機溶媒に溶解させた電解液に比べて、電気抵抗が高いという問題がある。
また、従来のゲル状電解質に用いられたゲル化剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体、アミノ酸誘導体などがある。しかしながら、これらのゲル化剤は、電気抵抗が非常に高い電気絶縁体であるため、ゲル化剤を添加しない場合に比べて、光電変換素子の変換効率が著しく低くなるという問題がある。
【0006】
従って、本発明の課題は、光電変換素子の変換効率が液状電解質(電解液)と比べて遜色ない電解質組成物、これを用いた光電変換素子および色素増感太陽電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、イオン性液体とカップスタック型カーボンナノチューブとを含み、カップスタック型カーボンナノチューブによりゲル状となっていることを特徴とする電解質組成物を提供する。
この電解質組成物において、カップスタック型カーボンナノチューブの含有量は、イオン性液体に対し、0.05質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。カップスタック型カーボンナノチューブの含有量は、さらに好ましくは、電解質組成物全量に対し、0.05質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。
また、本発明は、前記電解質組成物の製造方法であって、イオン性液体を含む液状の電解質に、カップスタック型カーボンナノチューブを混合してゲル化させることを特徴とする電解質組成物の製造方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、電解質として、前記電解質組成物を含むことを特徴とする光電変換素子を提供する。
さらに、本発明は、色素担持された酸化物半導体多孔質膜を電極基板上に有する作用極と、この作用極に対向して配置された対極とを具備し、前記作用極と対極との間に、前記電解質組成物からなる電解質層が設けられたことを特徴とする光電変換素子を提供する。
さらに、本発明は、色素担持された酸化物半導体多孔質膜を電極基板上に有する作用極と、この作用極に対向して配置された対極とを具備し、前記作用極と対極との間に、前記電解質組成物からなる電解質層が設けられたことを特徴とする色素増感太陽電池を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
本発明の電解質組成物は、イオン性液体とカップスタック型カーボンナノチューブとを主たる成分として含有する。
【0010】
本発明の電解質組成物は、第1の必須成分としてイオン性液体を含有する。
イオン性液体としては、特に限定されるものではないが、室温で液体であり、四級化された窒素原子を有する化合物をカチオンとした常温溶融性塩が例示される。常温溶融性塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体などが挙げられる。常温溶融性塩のアニオンとしては、BF4 −、PF6 −、F(HF)n −、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CF3SO2)2 −]、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。
イオン性液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン等からなる塩類を挙げることができる。
【0011】
本発明の電解質組成物は、第2の必須成分として、カップスタック型カーボンナノチューブを含有する。
カップスタック型カーボンナノチューブは、底の無いカップ形状をなす炭素網層が数個〜数百個積み重ねた構造をもつ繊維状の炭素粒子であり、GSIクレオス社から入手することができる。カップスタック型カーボンナノチューブの粒子サイズは、直径が約10nm〜1μm、長さが約50nm〜50μmである。
カップスタック型カーボンナノチューブは、酸化還元対に使用されうるヨウ素や臭素等の酸化剤に対する安定性に優れ、本発明の電解質組成物に好適に使用できる。
【0012】
カップスタック型カーボンナノチューブの含有量は、イオン性液体に対し、0.05質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、電解質組成物全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましい。これにより、イオン性液体を含む電解液をゲル化させることができ、製造工程やセル破損時に、電解質組成物が露出しても液漏れするおそれがない。
カップスタック型カーボンナノチューブの含有量が電解質組成物全量に対して0.05質量%未満では、イオン性液体を含む電解液がゲル化せず、破損時などに液漏れ等のおそれがある。またその含有量が電解質組成物全量に対して10質量%を超えると、カップスタック型カーボンナノチューブがイオン性液体を含む電解液をすべて吸収してしまい、電解質として機能しなくなるおそれがある。カップスタック型カーボンナノチューブのより好ましい含有量は、電解質組成物全量に対して、1質量%程度である。
【0013】
本発明の電解質組成物には、必須の成分ではないが、酸化還元対を添加することができる。酸化還元対は、電解質組成物が色素増感太陽電池などに適用される場合、添加することが好ましい。
酸化還元対としては、特に限定されることなく、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを添加して得ることができる。ヨウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源としては、リチウム塩、四級化イミダゾリウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などを単独または複合して用いることができる。
酸化還元対を溶解するための有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
本発明の電解質組成物には、必要に応じて、tert−ブチルピリジンなどの各種添加物を、電解質組成物の性状や特性を損ねない範囲内で添加することができる。
【0014】
上記成分から本発明の電解質組成物を製造する方法は特に限定されるものではないが、例えば、まず、イオン性液体に酸化還元対などの添加物を添加して電解液を得たのち、この電解液に上記カップスタック型カーボンナノチューブを均一に混合する方法がある。電解液とカップスタック型カーボンナノチューブとの混合には、公知の適当な撹拌装置、混合装置、遠心分離機などを用いることができる。ゲル状の電解質組成物を得る場合には、カップスタック型カーボンナノチューブを、電解液のゲル化に適した前記の含有量にて混合すればよい。
【0015】
本発明の電解質組成物は、例えば色素増感太陽電池などの光電変換素子に好ましく用いることができる。
本発明の電解質組成物では、カップスタック型カーボンナノチューブも電荷移動の役割を担うことができるので、イオン性液体に比べて電気抵抗が低く、得られた電解質組成物の導電性が良好である。この結果、イオン性液体を電解質として用いた場合に比べて、光電変換素子等の変換効率を向上することができる。
さらに、本発明の電解質組成物がゲル状となった場合、下記のような優れた効果を発揮する。
従来のゲル状電解質で用いられたポリマーなどのゲル化剤の場合、電気抵抗が高く、ゲル化すると電解質の導電性が低下して光電変換素子の光電変換特性が悪くなる問題があった。これに対して、本発明の電解質組成物では、カップスタック型カーボンナノチューブも電荷移動の役割を担うことができ、電解液がカップスタック型カーボンナノチューブによりゲル化されているので、ゲル化により得られたゲル状電解質組成物の導電性が良好であり、液状電解質を用いた場合と比べても遜色のない光電変換特性が得られる。また、ゲル状であるので、製造工程やセル破損時などで電解質組成物が露出しても漏れ出す(液漏れ)おそれがなく、生産性や取扱い性に優れる。
【0016】
次に、上記電解質組成物を用いた光電変換素子の実施の形態例について説明する。図1は、本発明の光電変換素子の一実施の形態として、色素増感太陽電池の概略構成例を示す断面図である。
この色素増感太陽電池1は、透明電極基板2上に、酸化チタンなどの酸化物半導体微粒子からなり、光増感色素が担持された酸化物半導体多孔質膜5を有する作用極6と、この作用極6に対向して設けられた対極8とを備えている。そして、これらの作用極6と対極8との間には、上記電解質組成物からなる電解質層7が形成されている。
【0017】
透明電極基板2は、ガラス板やプラスチックシートなどの透明基材4の上に、導電材料からなる導電層3を形成したものである。
透明基材4の材料としては、用途上、光透過性の高いものが好ましく、ガラスの他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)などの透明プラスチックシート、酸化チタン、アルミナなどのセラミックスの研磨板などを用いることができる。
【0018】
導電層3としては、透明電極基板2の光透過率の観点から、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの透明な酸化物半導体を単独で、もしくは複数種類を複合化して用いることが好ましい。しかしながら、特にこれらに限定されるものではなく、光透過率および導電性の観点で、使用目的に適合する適当な材料を選択して用いればよい。また、酸化物半導体多孔質膜5や電解質層7からの集電効率を向上するため、透明電極基板2の光透過率を著しく損ねない範囲の面積率で、金、銀、白金、アルミニウム、ニッケル、チタンなどからなる金属配線層を併用してもよい。金属配線層を用いる場合、格子状、縞状、櫛状などのパターンとして、透明電極基板2になるべく均一に光が透過するように配設するとよい。
導電層3を形成する方法としては、導電層3の材料に応じた公知の適切な方法を用いればよいが、例えば、ITOなどの酸化物半導体から導電層3を形成する場合、スパッタ法、CVD法、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法などの薄膜形成法が挙げられる。そして、光透過性と導電性を考慮して、通常、0.05μm〜2.0μm程度の膜厚に形成される。
【0019】
酸化物半導体多孔質膜5は、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)などの1種または2種以上を複合させた平均粒径1〜1000nmの酸化物半導体微粒子を主成分とし、厚さが0.5〜50μm程度の多孔質の薄膜である。
酸化物半導体多孔質膜5を形成する方法としては、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法など公知の塗布により塗布するほか、コロイド溶液中に電極基板2を浸漬して電気泳動により酸化物半導体微粒子を電極基板2上に付着させる泳動電着法、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
【0020】
酸化物半導体多孔質膜5に担持される増感色素は、特に制限されるものではなく、例えば、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体や鉄錯体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の金属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、メロシアニン、クマリンなどの有機色素などから、用途や酸化物半導体多孔質膜の材料に応じて適宜選択して用いることができる。
【0021】
対極8としては、例えば、ガラスなどの非導電性材料からなる基板上に、ITOやFTO等の導電性酸化物半導体からなる薄膜を形成したもの、あるいは、基板上に、金、白金、炭素系材料などの導電性材料を蒸着、塗布などすることにより電極を形成したものを用いることができる。また、ITOやFTO等の導電性酸化物半導体の薄膜上に白金、カーボンなどの層を形成したものとすることもできる。
このような対極8を作製する方法としては、例えば、塩化白金酸の塗布後に熱処理することにより、白金層を形成する方法が挙げられる。または、蒸着法やスパッタ法によって電極を基板上に形成する方法でもよい。
【0022】
前記電解質組成物からなる電解質層7を作用極6の上に形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記電解質組成物を作用極6上に少量ずつ滴下する方法が挙げられる。これにより、電解質組成物を作用極6上にキャストしたときに、電解質組成物を酸化物半導体多孔質膜5の空隙中に良好に浸透させて充填することができる。
以上のようにして得られる本発明の光電変換素子は、電解質組成物の性状がゲル状であるので、揮発性や流動性が乏しく、色素増感太陽電池などの光電変換素子に用いたときに、溶媒の揮発などによる電解質の変質や欠損がなく、安定的に高い出力特性や光電変換特性を達成することが可能となる。また、容器の隙間などからの電解質の漏出や、光電変換素子の破損時の散乱などが抑制され、液状の電解液を用いた場合に比べて、安全性や耐久性等に優れたものとなる。
【0023】
【実施例】
<電解質組成物の調製>
イオン性液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを用い、このイオン性液体に適量のヨウ素およびヨウ化リチウムと4−tert−ブチルピリジン適量を溶解させることにより、酸化還元対としてヨウ素/ヨウ化物イオンを含有する電解液を調製した。
上記電解液に、カップスタック型カーボンナノチューブを、電解質組成物全量に対して1質量%の比で混合し、遠心分離することにより、イオン性液体を含む電解液がゲル化された実施例の電解質組成物を得た。なお、この際、イオン性液体に対するカップスタック型カーボンナノチューブの配合量は、約1.25質量%である。
【0024】
<実施例1に係る光電変換素子の作製>
透明電極基板として、100mm×100mmのFTO膜付きガラス基板を用い、この透明電極基板2のFTO膜(導電層)側の表面に、平均粒径20nmの酸化チタンのスラリー状分散水溶液を塗布し、乾燥後、450℃にて1時間加熱処理することにより、厚さ7μmの酸化物半導体多孔質膜を形成した。さらに、ルテニウムビピリジン錯体(N3色素)のエタノール溶液中に1晩浸漬して色素を担持させ、作用極を作製した。また、対極として、白金からなる電極層をスパッタ法により設けたFTOガラス電極基板を用意した。
電解質層を作用極上に形成するため、ゲル化した前記電解質組成物を、作用極の酸化物半導体多孔質膜上に少量ずつ滴下し、さらに前記対極を強く押しつけながら重ね合わせ、対極と電解質層とを接合した。以上の手順により、実施例1の試験セルとなる色素増感太陽電池を作製した。
【0025】
<比較例1に係る試験セルの作製>
作用極および対極としては、上記実施例に係る試験セルと同様なものを用いた。電解質となる電解液としては、酸化還元対としてヨウ素/ヨウ化物イオンを含有するイオン性液体[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド]を調製して用いた。この電解液は、カップスタック型カーボンナノチューブが添加されていないこと以外、実施例の試験セルの電解質組成物の調製に用いた電解液と同じものである。
作用極と対極とを向かい合わせて、その間に前記電解液を注入して電解質層を形成し、比較例1の試験セルとなる色素増感太陽電池を作製した。
【0026】
<比較例2に係る試験セルの作製>
作用極および対極としては、上記実施例に係る試験セルと同様なものを用いた。電解質となる電解液としては、四級化イミダゾリウム−ヨウ化物、ヨウ化リチウム、ヨウ素、4−tert−ブチルピリジンを含有するアセトニトリル溶液を調製して用いた。
作用極と対極とを向かい合わせて、その間に前記電解液を注入して電解質層を形成し、比較例1の試験セルとなる色素増感太陽電池を作製した。
【0027】
<試験セルの光電変換特性>
上記のそれぞれの試験セルの光電変換特性を測定した。それぞれの試験セルについて、変換効率を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
このように、実施例の試験セルによれば、電解質の性状がゲル状でありながら、液状電解質(電解液)を用いた場合と遜色のない、高い変換効率が得られた。例えば特許文献3に電解質をゲル化した場合の光電変換素子の初期の変換効率が2.0%と記載されているように、従来、ゲル化した電解質を用いると、電解液を用いた場合に比べて変換効率が著しく低くなっていたが、本発明ではそのようなことは起こらなかった。従って、カップスタック型カーボンナノチューブを用いて電解液(イオン性液体等)をゲル化したことによる効果は明らかである。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、イオン性液体の性質を改善して、導電性が優れた電解質を得ることができる。また、イオン性液体を含有する電解液をゲル化して、導電性の高いゲル状電解質を得ることができる。
このような電解質組成物を光電変換素子の電解質として用いることにより、安定的に高い出力特性や光電変換特性を達成することが可能となる。また、電解質組成物の性状がゲル状である場合、流動性に乏しいので、液状の電解液を用いた場合に比べて、安全性、耐久性、取扱い性などに優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光電変換素子の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…色素増感太陽電池(光電変換素子)、2…電極基板、5…色素担持された酸化物半導体多孔質膜、6…作用極、7…電解質層、8…対極。
Claims (7)
- イオン性液体とカップスタック型カーボンナノチューブとを含み、カップスタック型カーボンナノチューブによりゲル状となっていることを特徴とする電解質組成物。
- 前記カップスタック型カーボンナノチューブの含有量が、電解質組成物全量に対し、0.05質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電解質組成物。
- 前記カップスタック型カーボンナノチューブの含有量が、イオン性液体に対し、0.05質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電解質組成物。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の電解質組成物の製造方法であって、イオン性液体を含む液状の電解質に、カップスタック型カーボンナノチューブを混合してゲル化させることを特徴とする電解質組成物の製造方法。
- 電解質として請求項1ないし3のいずれかに記載の電解質組成物を含むことを特徴とする光電変換素子。
- 色素担持された酸化物半導体多孔質膜を電極基板上に有する作用極と、この作用極に対向して配置された対極とを具備し、
前記作用極と対極との間に、請求項1ないし3のいずれかに記載の電解質組成物からなる電解質層が設けられたことを特徴とする光電変換素子。 - 色素担持された酸化物半導体多孔質膜を電極基板上に有する作用極と、この作用極に対向して配置された対極とを具備し、
前記作用極と対極との間に、請求項1ないし3のいずれかに記載の電解質組成物からなる電解質層が設けられたことを特徴とする色素増感太陽電池。
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