JP2002289268A - 光増感型太陽電池 - Google Patents

光増感型太陽電池

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JP2002289268A
JP2002289268A JP2001083665A JP2001083665A JP2002289268A JP 2002289268 A JP2002289268 A JP 2002289268A JP 2001083665 A JP2001083665 A JP 2001083665A JP 2001083665 A JP2001083665 A JP 2001083665A JP 2002289268 A JP2002289268 A JP 2002289268A
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JP
Japan
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methyl
iodide
electrolyte
electrolyte composition
solar cell
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Application number
JP2001083665A
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English (en)
Inventor
Shinji Murai
伸次 村井
Satoshi Mikoshiba
智 御子柴
Hiroyasu Sumino
裕康 角野
Shuji Hayase
修二 早瀬
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2027Light-sensitive devices comprising an oxide semiconductor electrode
    • H01G9/2031Light-sensitive devices comprising an oxide semiconductor electrode comprising titanium oxide, e.g. TiO2
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギー変換効率が高く、高温環境下で使
用した際にもエネルギー変換効率が低下しない光増感型
太陽電池を提供する。 【解決手段】 表面に色素が吸着されたn型半導体電極
(4)と、前記n型半導体電極に離間対向して配置され、
表面に導電膜(6)を有する対向基板(5)と、前記n型半導
体電極と前記導電膜とに挟持され、これらの間の電荷輸
送を中継する電解質組成物層(10)とを具備する光増感型
太陽電池である。前記電解質組成物は、1-メチル-3-プ
ロピルイミダゾリウムアイオダイド、1-メチル-3-イソ
プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1-メチル-3-ブ
チルイミダゾリウムアイオダイド、1-メチル-3-イソブ
チルイミダゾリウムアイオダイド及び1-メチル-3-sブチ
ルイミダゾリウムアイオダイドからなる群から選択され
る少なくとも1種のイミダゾリウム塩を含む液体電解質
を含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光増感型太陽電池
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な光増感型太陽電池は、例えば特
開平1−220380号公報に記載されているように、
金属酸化物の微粒子からなる透明半導体層の表面に色素
を担持させたものから構成された電極(酸化物電極)
と、この電極と対向する透明電極と、2つの電極間に介
在される液状のキャリア移動層とを備える。このような
太陽電池は、キャリア移動層が液状であるため、湿式方
式の光増感型太陽電池と呼ばれる。
【0003】前述したような光増感型太陽電池は、以下
の過程を経て動作する。すなわち、透明電極側より入射
した光は、透明半導体層表面に担持された色素に到達
し、この色素を励起する。励起した色素は、速やかに透
明半導体層へ電子を渡す。一方、電子を失うことによっ
て正に帯電した色素は、キャリア移動層から拡散してき
たイオンから電子を受け取ることによって電気的に中和
される。電子を渡したイオンは透明電極に拡散して、電
子を受け取る。この酸化物電極とこれに対向する透明電
極とを、それぞれ負極および正極とすることにより、湿
式光増感型太陽電池が作動する。
【0004】湿式光増感型太陽電池では低分子の溶媒が
使用され、この溶媒の液漏れを防ぐために、シールドを
厳重に行なう必要がある。しかしながら、長い年月の間
シールドを維持するのは困難であり、溶媒分子の蒸発や
液漏れによる溶媒消失によって、素子機能の劣化と環境
に対する影響が心配される。このようなことから、液状
のキャリア移動層の代わりに、低分子溶媒を含まないイ
オン伝導性の固体電解質あるいは電子伝導性の固体有機
物質などを、キャリア移動層として用いることが提案さ
れてきている。このような太陽電池は、全固体光増感型
太陽電池と呼ばれる。
【0005】こうした全固体光増感型太陽電池の場合に
は、液漏れのおそれはないものの、新たな問題が生じて
いる。すなわち、電気抵抗が増加するとともに、表面積
が大きいTiO2粒子間への固体電解質の侵入不足によ
ってTiO2と電解質とのコンタクトが不足するため、
エネルギー変換効率が低下する。また、半導体電極の熱
膨張係数は、固体伝導材料の熱膨張係数とは異なるため
に、熱サイクルにおいて半導体電極と固体伝導材料との
接合界面が剥がれやすく、そのためのエネルギー変換効
率の劣化が生じている。
【0006】上述したように、湿式の光増感型太陽電池
は、液状のキャリア移動層の液漏れならびに溶媒の消失
という問題を有している。一方、全固体光増感型太陽電
池は、電気抵抗の増大、コンタクト不足ならびに熱サイ
クルにおいて、半導体電極と固体伝導材料との接合界面
が剥がれるという問題を有する。
【0007】このようなことから、ゲル状電解質を備え
る光増感型太陽電池が提案されている。このゲル状電解
質は、ヨウ素およびヨウ化物からなる電解質と、前記電
解質が溶解される有機溶媒と、ゲル化剤とを含有する。
すなわち、ゲル状電解質においては、ヨウ素が溶解され
る溶媒が有機溶媒のみからなる。
【0008】しかしながら、有機溶媒は、太陽電池の封
止部を通して外部に逃散しやすいため、上述したような
成分を含有するゲル状電解質を備える光増感型太陽電池
は、有機溶媒の揮発によりゲル電解質の組成が変質し、
エネルギー変換効率が低下するという問題を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エネルギー
変換効率が高く、高温環境下で使用した際にもエネルギ
ー変換効率が低下しない光増感型太陽電池を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、表面に色素が吸着されたn型半導体電極
と、前記n型半導体電極に離間対向して配置され、表面
に導電膜を有する対向基板と、前記n型半導体電極と前
記導電膜とに挟持され、前記導電膜と前記n型半導体層
との間の電荷輸送を中継する電解質組成物層とを具備
し、前記電解質組成物は、1−メチル−3−プロピルイ
ミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソプロ
ピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ブ
チルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イ
ソブチルイミダゾリウムアイオダイドおよび1−メチル
−3−sブチルイミダゾリウムアイオダイドからなる群
から選択される少なくとも1種のイミダゾリウム塩を含
む液体電解質を含有することを特徴とする光増感型太陽
電池を提供する。
【0011】また本発明は、表面に色素が吸着されたn
型半導体電極と、前記n型半導体電極に離間対向して配
置され、表面に導電膜を有する対向基板と、前記n型半
導体電極と前記導電膜とに挟持され、前記導電膜と前記
n型半導体層との間の電荷輸送を中継する電解質組成物
層とを具備し、前記電解質組成物はゲル状であり、1−
メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1
−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイ
ド、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムアイオダイ
ド、1−メチル−3−イソブチルイミダゾリウムアイオ
ダイドおよび1−メチル−3−sブチルイミダゾリウム
アイオダイドからなる群から選択される少なくとも1種
のイミダゾリウム塩を含む液体電解質と、N,Pおよび
Sからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含
有する化合物とハロゲン含有化合物とから形成されるオ
ニウム塩の重合体とを含有することを特徴とする光増感
型太陽電池を提供する。
【0012】さらに本発明は、表面に色素が吸着された
n型半導体電極と、前記n型半導体電極に離間対向して
配置され、表面に導電膜を有する対向基板と、前記n型
半導体電極と前記導電膜とに挟持され、前記導電膜と前
記n型半導体層との間の電荷輸送を中継する電解質組成
物層とを具備し、前記電解質組成物は、可逆的な酸化還
元対を含む液体電解質と、前記液体電解質に溶解された
1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロ
ボレートとを含有することを特徴とする光増感型太陽電
池を提供する。
【0013】またさらに本発明は、表面に色素が吸着さ
れたn型半導体電極と、前記n型半導体電極に離間対向
して配置され、表面に導電膜を有する対向基板と、前記
n型半導体電極と前記導電膜とに挟持され、前記導電膜
と前記n型半導体層との間の電荷輸送を中継する電解質
組成物層とを具備し、前記電解質組成物は、可逆的な酸
化還元対を含む液体電解質;前記液体電解質に溶解され
た1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオ
ロボレート;および、1級アミノ基、2級アミノ基およ
び3級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1
種の窒素含有基を有する化合物とハロゲン含有化合物と
から形成されるオニウム塩の重合体を含有することを特
徴とする光増感型太陽電池を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明の光増感型太陽電池に含まれる電解
質組成物は、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム
アイオダイド、1−メチル−3−イソプロピルイミダゾ
リウムアイオダイド、1−メチル−3−ブチルイミダゾ
リウムアイオダイド、1−メチル−3−イソブチルイミ
ダゾリウムアイオダイドおよび1−メチル−3−sブチ
ルイミダゾリウムアイオダイドからなる群から選択され
る少なくとも1種のイミダゾリウム塩を含む液体電解質
を含有することを特徴とする。
【0016】こうしたイミダゾリウム塩は、下記一般式
で表わされ、液体状である。
【0017】
【化1】
【0018】前記イミダゾリウム塩は、−20℃付近ま
で結晶化がほとんど生じず、かつ200℃付近まで分解
しない化合物である。すなわち、本発明において用いら
れるイミダゾリウム塩は、−20℃〜200℃の範囲内
で液体の形態をとることができる。
【0019】本発明に用いられる液体電解質は、可逆的
な酸化還元対を含むことが好ましい。可逆的な酸化還元
対は、例えば、ヨウ素(I2)とヨウ化物との混合物、
ヨウ化物、臭化物、ハイドロキノン、TCNQ錯体等か
ら供給することができる。特に、ヨウ素とヨウ化物との
混合物から供給されるI-とI3 -とからなる酸化還元対
が好ましい。
【0020】上述したような酸化還元対は、後述する色
素の酸化電位よりも0.1〜0.6V小さい酸化還元電
位を示すことが望ましい。色素の酸化電位よりも0.1
〜0.6V小さい酸化還元電位を示す酸化還元対は、例
えば、I-のような還元種が、酸化された色素から正孔
を受け取ることができる。こうした酸化還元対が電解質
中に含有されることによって、n型半導体電極と導電膜
との間の電荷輸送の速度を速くすることができるととも
に、開放端電圧を高くすることができる。
【0021】ヨウ化物としては、例えば、アルカリ金属
のヨウ化物、有機化合物のヨウ化物、およびヨウ化物の
溶融塩等が挙げられる。
【0022】ヨウ化物の溶融塩としては、イミダゾリウ
ム塩、ピリジニウム塩、第4級アンモニウム塩、ピロリ
ジニウム塩、ピラゾリジウム塩、イソチアゾリジニウム
塩、およびイソオキサゾリジニウム塩等の複素環含窒素
化合物のヨウ化物を使用することができる。
【0023】ヨウ化物の溶融塩としては、例えば、1,
1−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル
−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル
−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチ
ル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1
−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、
1−メチル−3−イソヘキシル(分岐)イミダゾリウム
アイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム
アイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダ
ゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイ
ミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−プロピ
ルイミダゾリウムアイオダイド、およびピロリジニウム
アイオダイド等が挙げられる。こうしたヨウ化物の溶融
塩は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。
【0024】本発明における電解質組成物中は、1−メ
チル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレー
トを含有することが好ましい。この1−メチル−3−エ
チルイミダゾリウムテトラフルオロボレートは、前述の
液体電解質の粘度を低下させる作用を有し、有機溶媒の
ように蒸発するおそれもない。したがって、光増感型太
陽電池の耐久性および性能を向上させることができる。
1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロ
ボレートの含有量は、電解質組成物中、0.1重量%以
上50重量%以下であることが好ましい。0.1重量%
未満の場合には、希釈効果を充分に得ることができず、
一方、50重量%を越えると、上述したイミダゾリウム
塩の含有量が相対的に減少するのでエネルギー変換効率
が低下するおそれがある。また、後述するゲル状電解質
組成物の場合には、1−メチル−3−エチルイミダゾリ
ウムテトラフルオロボレートの含有量が50重量%を越
えると、ゲル化剤が溶解し難くなってエネルギー変換効
率が低下するおそれがある。なお、1−メチル−3−エ
チルイミダゾリウムテトラフルオロボレートの含有量
は、より好ましくは5重量%以上40重量%以下であ
る。
【0025】また、本発明における電解質組成物は、上
述したような特定のイミダゾリウム塩を含む液体電解質
および1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフ
ルオロボレートに加えて、N,PおよびSからなる群か
ら選択される少なくとも1種の元素を含有する化合物と
ハロゲン含有化合物とから形成されるオニウム塩の重合
体を含有する。こうした成分を配合することによって、
ゲル状の電解質組成物が得られる。
【0026】N,PおよびSからなる群から選択される
少なくとも1種の元素(以下、元素Aと称する)を含有
する化合物について、以下に詳細に説明する。
【0027】元素Aを含有する化合物においては、元素
Aを含有する基を1分子当り2つ以上有することが好ま
しい。1分子中に2つ以上の元素A含有基が含まれる場
合、それらの基は同一であっても異なっていてよい。1
分子当りの元素A含有基の数が1個であると、元素A含
有化合物とハロゲン含有化合物とから形成されるオニウ
ム塩の重合体の重合度が低くなって、電解質組成物のゲ
ル化が困難になるおそれがある。より好ましくは、1分
子当りの元素A含有基数は、2以上1,000,000
以下である。
【0028】元素A含有化合物の形態は特に限定され
ず、例えば、モノマー、オリゴマー、ポリマー等とする
ことができる。また、こうした化合物としては、例え
ば、N,PおよびSからなる群から選択される少なくと
も1種の元素Aを含む置換基を主鎖または側鎖に有する
ものが挙げられる。化合物中における元素A含有置換基
の位置は、目的とする重合体が得られる限り、特に限定
されない。
【0029】元素A含有化合物の主鎖の骨格は、特に限
定されず、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ
カーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロ
ニトリル、ポリアミド、およびポリエチレンテレフタレ
ート等とすることができる。
【0030】元素A含有置換基としては、例えば、1級
アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、フォスフィン
基(PH2 -)および含窒素複素環化合物から導かれる基
からなる群から選択される少なくとも1種の基が挙げら
れる。元素A含有化合物は、1分子中に存在する置換基
を同一種類としてもよいが、1分子中に互いに異なる2
種以上の置換基をもっていてもよい。特に、1級アミノ
基、2級アミノ基、および3級アミノ基が好ましい。こ
れらの基は、ハロゲン含有化合物に対する反応性が大き
く、オニウム塩の重合体を形成しやすいためである。
【0031】1級アミノ基、2級アミノ基、および3級
アミノ基が包含される3級窒素としては、例えば、アミ
ノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ
基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、
N−プロピルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、
N−ブチルアミノ基、およびN,N−ジブチルアミノ基
等を挙げることができる。
【0032】含窒素複素環置換基としては、例えば、ピ
ロイル基、イミダゾイル基、ピラゾイル基、イソチアゾ
イル基、イソオキサゾイル基、ピリジル基、ピラジニル
基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル
基、イソインドイル基、インドイル基、イソアゾイル
基、プリニル基、クイノリジニル基、イソクイノイル
基、クイノイル基、フタラジニル基、ナフチリジニル
基、キノキサニジル基、キノアキサゾリニル基、シノイ
ニル基、フェリジニル基、カルバゾール基、カルボリニ
ル基、フェナンチリジニル基、アクチリニル基、ペリミ
ジル基、フェナンシロィニル基、フェナジニル基、フェ
ノチアジニル基、フィラザニル基、フェノキサジニル
基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル
基、イミダゾリニル基、ピラリゾリジニル基、ピラゾリ
ニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル
基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルフォ
リニル基、1−メチルイミダゾイル基、1−エチルイミ
ダゾイル基、および1−プロピルイミダゾイル基等を挙
げることができる。また、置換基として、前述した種類
のなかから選ばれる1種以上の含窒素複素環置換基から
構成されるスピロ環体、前述した種類の中から選ばれる
2種以上の含窒素複素環置換基の集合体(ヘテロ環集合
体)などを用いてもよい。
【0033】Nを含有する化合物としては、例えば、ポ
リビニルイミダゾール、ポリ(4−ビニルピリジン)、
ポリベンズイミダゾール、ビピリジン、ターピリジル、
ポリビニルピロール、1,3,5−トリス(3−ジメチ
ルアミノ)プロピルヘキサヒドロ−1,3,5−トリア
ジン、トリス−2アミノエチルアミン、ポリジアリルメ
チルアミン、ポリアリルジメチルアミン、ポリジメチル
アリルアミン、ポリアリルアミン、およびポリジメチル
アミノエチルメタクリレート等が挙げられる。こうした
化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。これらのなかでも、電解質に対する溶
解性の点から、トリス−2アミノエチルアミン、ポリジ
アリルメチルアミン、ポリアリルジメチルアミン、ポリ
ジメチルアリルアミン、ポリアリルアミン、およびポリ
ジメチルアミノエチルメタクリレートが特に好ましい。
【0034】Pを含有する化合物としては、例えば、フ
ォスフィン基を有するモノマー、オリゴマー、またはポ
リマー等を挙げることができる。具体的には、ポリビニ
ルフェニルジフェニルホスフィン、1,2−フェニレン
ビスホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)プロパン、および1,5−ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)ペンタン等が挙げられる。これらの化合物は、単
独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0035】Sを含有する化合物としては、例えば、チ
オエーテル構造を含むものを挙げることができる。具体
的には、ビス(メチルチオ)メタン、1,1−ビス(メ
チルチオ)−2−ニトロエチレン、(ジ)エチルスルフ
ィド、ポリビニルフェニルフェニルチオエーテル、およ
びエチル(ビスエチルチオ)アセテート等が挙げられ
る。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合
わせて用いることができる。
【0036】こうした元素A含有化合物とオニウム塩の
重合体を形成するハロゲン含有化合物としては、有機ハ
ロゲン化物が好ましい。有機ハロゲン化物は、オニウム
塩を形成しやすく、また、多官能とすることにより架橋
密度を上げることができるので好ましい。
【0037】ハロゲン含有化合物は、1分子当りのハロ
ゲン原子数が2以上であることが好ましい。このような
化合物においては、1分子中に異なるハロゲン原子を存
在させ、ハロゲン原子数の総量を2以上としてもよい
が、1分子中に1種類のハロゲン原子を2つ以上存在さ
せてもよい。1分子当りのハロゲン原子数が1個である
場合には、上述した元素A含有化合物とハロゲン含有化
合物とから得られる重合体の重合度が低くなり、電解質
組成物のゲル化が困難になるおそれがある。1分子当り
のハロゲン原子数は、2以上1,000,000以下で
あることがより好ましい。
【0038】1分子当りのハロゲン原子数が2以上であ
るハロゲン含有化合物としては、例えば、ジブロモメタ
ン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジブロモブタ
ン、ジブロモペンタン、ジブロモヘキサン、ジブロモヘ
プタン、ジブロモオクタン、ジブロモノナン、ジブロモ
デカン、ジブロモウンデカン、ジブロモドデカン、ジブ
ロモトリデカン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジ
クロロプロパン、ジクロロブタン、ジクロロペンタン、
ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、ジクロロオクタ
ン、ジクロロノナン、ジクロロデカン、ジクロロウンデ
カン、ジクロロドデカン、ジクロロトリデカン、ジヨー
ドメタン、ジヨードエタン、ジヨードプロパン、ジヨー
ドブタン、ジヨードペンタン、ジヨードヘキサン、ジヨ
ードヘプタン、ジヨードオクタン、ジヨードノナン、ジ
ヨードデカン、ジヨードウンデカン、ジヨードドデカ
ン、ジヨードトリデカン、1,2,4,5−テトラキス
ブロモメチルベンゼン、エピクロロヒドリンオリゴマ
ー、エピブロモヒドリンオリゴマー、ヘキサブロモシク
ロドデカン、トリス(3,3−ジブロモ−2−ブロモプ
ロピル)イソシアヌル酸、1,2,3−トリブロモプロ
パン、ジヨードバーフルオロエタン、ジヨードパーフル
オロプロパン、ジヨードパーフルオロヘキサン、ポリエ
ピクロルヒドリン、ポリエピクロルヒドリンとポリエチ
レンエーテルとの共重合体、ポリエピブロモヒドリンお
よびポリ塩化ビニルなどの多官能ハロゲン化物が挙げら
れる。こうしたハロゲン化物は、単独でまたは2種以上
を組み合わせて用いることができる。
【0039】上述したような元素A含有化合物およびハ
ロゲン含有化合物は、1−メチル−3−エチルイミダゾ
リウムテトラボレートとともに、すでに説明したイミダ
ゾリウム塩を含む液体電解質に溶解させることによっ
て、本発明における電解質組成物が得られる。あるい
は、元素A含有化合物およびハロゲン含有化合物は、液
体電解質にそれぞれ溶解して、別個の溶液として調製す
ることもできる。これら2つの溶液を必要なときに混合
して、本発明における電解質組成物を得ることも可能で
ある。
【0040】本発明における電解質組成物は、液体状お
よびゲル状のいずれの場合でも有機溶媒を含有すること
ができる。有機溶媒を含有することによって、電解質組
成物の粘度をよりいっそう低下させることができるた
め、n型半導体電極へ浸透されやすくなる。
【0041】有機溶媒としては、例えば、エチレンカー
ボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)な
どの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、メチル
エチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状
カーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、
プロピオン酸メチル、およびプロピオン酸エチルなどが
挙げられる。さらに、テトラヒドロフラン、2−メチル
テトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメトキシエ
タン、ジエトキシエタンなどが鎖状エーテルを用いるこ
とができる。こうした有機溶媒は、単独でまたは2種以
上の混合物として用いることができる。
【0042】有機溶媒の含有量は、電解質組成物中65
重量%以下にすることが好ましい。有機溶媒の含有量が
65重量%を越えると、ゲル電解質の変質が生じるおそ
れがあるとともに、元素A含有化合物のような架橋剤が
溶媒に溶けきらずに、電解質組成物中に析出するおそれ
がある。有機溶媒の含有量は、1重量%以上20重量%
以下にすることが好ましい。
【0043】さらに、本発明における電解質組成物は、
水を含有することが好ましい。水を含有する電解質組成
物を用いることによって、光増感型太陽電池のエネルギ
ー変換効率をよりいっそう高くすることができる。
【0044】電解質組成物中の水の含有量は、上述した
イミダゾリウム塩と水との合計量100重量%に対し
て、10重量%以下とすることが好ましい。水の含有量
が10重量%以下であれば、エネルギー変換効率の低下
といった不都合が生じるおそれがない。水の含有量のよ
り好ましい範囲は、イミダゾリウム塩と水との合計量1
00重量%に対して0.1重量%以上10重量%以下で
あり、最も好ましくは前述の合計量100重量%に対し
て0.5重量%以上5重量%以下である。
【0045】上述したようなイミダゾリウム塩を含む液
体電解質と1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテト
ラフルオロボレートとを含有する電解質組成物、あるい
は、N,PおよびSからなる群から選択される少なくと
も1種の元素を含有する化合物とハロゲン含有化合物と
から形成されるオニウム塩の重合体をさらに含有するゲ
ル状電解質組成物を用いて、本発明の光増感型太陽電池
が製造される。
【0046】ここで、本発明の光増感型太陽電池を構成
する部材であるゲル状電解質組成物、透明導電膜、n型
半導体電極、色素、対向電極および導電膜について説明
する。
【0047】1)ゲル状電解質組成物 このゲル状電解質組成物は、すでに説明したように、元
素A含有化合物とハロゲン含有化合物とを、例えば付加
反応により重合させて電解質組成物をゲル化させること
によって得られる。
【0048】この重合反応の一例を下記反応式(2)〜
(4)に示す。
【0049】
【化2】 ここで、nは2以上の自然数である。
【0050】上記反応式(2)に示す反応は、窒素原子
を含有する原子団を1分子当り2つ以上有する化合物で
あるポリジメチルアリルアミンと、1分子当りの臭素原
子数が2つの有機臭化物である1,6−ジブロモベンゼ
ンとの付加反応により、Nを含むオニウム塩の架橋体か
らなる重合体を合成する反応である。
【0051】
【化3】 ここで、nは2以上の自然数である。
【0052】上記反応式(3)に示す反応は、リン原子
を含有する原子団を1分子当り2つ以上有する化合物で
あるポリ(フェニルジメチルホスフィン)と、1分子当
りの臭素原子数が2つの有機臭化物である1,6−ジブ
ロモベンゼンとの付加反応により、Pを含むオニウム塩
の架橋体からなる重合体を合成する反応である。
【0053】
【化4】 ここで、nは2以上の自然数である。
【0054】上記反応式(4)に示す反応は、硫黄原子
を含有する原子団を1分子当り2つ以上有する化合物で
あるポリ(ジフェニルスルフィド)と、1分子当りの臭
素原子数が2つの有機臭化物である1,6−ジブロモベ
ンゼンとの付加反応により、Sを含むオニウム塩の架橋
体からなる重合体を合成する反応である。
【0055】2)透明導電膜 透明導電膜は、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性
を有することが好ましい。かかる透明導電膜としては、
フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化スズ
膜、フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化
亜鉛膜などが好ましい。また、伝導性を向上させて抵抗
の上昇を防ぐ観点から、透明導電膜と併用して低抵抗な
金属マトリクスを配線することが望ましい。
【0056】3)n型半導体電極 n型半導体電極は、可視光領域の吸収が少ない透明な半
導体から構成することが好ましい。かかる半導体として
は、金属酸化物半導体が好ましい。具体的には、チタ
ン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、亜
鉛、インジウム、イットリウム、ランタン、バナジウ
ム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンあるいはタ
ングステンなどの遷移金属の酸化物、SrTiO3、C
aTiO3、BaTiO3、MgTiO3、SrNb26
のようなペロブスカイト、あるいはこれらの複合酸化物
または酸化物混合物、およびGaNなどを用いることが
できる。
【0057】4)色素 n型半導体電極の表面に吸着される色素としては、例え
ば、ルテニウム−トリス型の遷移金属錯体、ルテニウム
−ビス型の遷移金属錯体、オスミウム−トリス型の遷移
金属錯体、オスミウム−ビス型の遷移金属錯体、ルテニ
ウム−シス−ジアクア−ビピリジリル錯体、フタロシア
ニン、およびポルフィリン等を挙げることができる。
【0058】5)対向基板 対向基板は、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性を
有することが好ましい。特に、酸化スズ膜、酸化亜鉛膜
などを用いることが好ましい。
【0059】6)導電膜 導電膜は、例えば、白金、金、および銀のような金属か
ら形成することができる。
【0060】上述したような構成部材を用いて、以下に
示すような手法により本発明の光増感型太陽電池が製造
される。
【0061】まず、光受光面を有する基板を用意し、そ
の内面に透明導電膜およびn型半導体電極を順次形成
し、n型半導体電極の表面に色素を吸着させる。一方、
表面に導電膜が設けられた対向基板を準備して、この導
電膜と前述のn型半導体電極とを離間対向して配置し
て、電池ユニットを組み立てる。
【0062】次いで、ゲル状電解質前駆体組成物である
本発明にかかる電解質組成物を、前述のn型半導体電極
と導電膜との間隙に注入する。引き続き、電池ユニット
を密封した後、ゲル状電解質前駆体組成物をゲル化させ
ることによって、本発明の光増感型太陽電池が得られ
る。
【0063】電解質前駆体組成物のゲル化の際には、電
池ユニットを加熱することが好ましい。加熱処理の温度
は、50〜200℃の範囲内にすることが好ましい。こ
れは、次のような理由によるものである。すなわち、熱
処理温度が50℃未満の場合には、オニウム塩架橋体の
重合度が低下して、ゲル状とするのが困難になるおそれ
がある。一方、200℃を越える高温で熱処理を行なっ
た場合には、色素の分解が起こりやすくなる。なお、よ
り好ましくは、熱処理温度は70〜150℃である。
【0064】本発明における電解質組成物は、N,Pお
よびSからなる群から選択される少なくとも1種の元素
を含有する化合物とハロゲン含有化合物とから形成され
るオニウム塩の重合体を含有するか否かにかかわらず、
ヨウ素(I2)の存在下で重合体を生成してゲル化する
ことができる。
【0065】ゲル化剤となる重合体の合成方法として、
少量の触媒の存在下でモノマーをラジカル的またはイオ
ン的な連鎖反応で重合させる方法が知られている。しか
しながら、可逆的な酸化還元対を含む電解質、特にヨウ
素を含む電解質の存在下では、ラジカル発生剤およびア
ニオン重合開始剤は効力を発揮しないため、連鎖反応的
な重合は生じない。このようなモノマーとしては、例え
ば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ま
た、他の合成方法として、エステル交換反応に代表され
るような小分子副生成物である水、アルコールなどを除
去しながら重合がなされる場合がある。例えばポリエス
テル、ポリアミドなどがこの方法で合成される。しかし
ながら、重合反応の際に生成する副生成物は、電解質お
よび色素分子に悪影響を及ぼす。
【0066】本発明においては、元素A含有化合物とハ
ロゲン含有化合物との付加反応によりゲル化剤となる重
合体を合成することができるため、ヨウ素およびイオン
性媒体の存在下で重合体を形成してゲル状態に変換する
ことができる。したがって、ゲル化の際に副生成物が生
成せず、しかも少量(数%)の重合体で電解質組成物を
ゲル化させることができるため、ゲル電解質の導電性を
向上させることが可能となる。
【0067】さらに、本発明における電解質組成物は、
1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイ
ド、1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイ
オダイド、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムアイ
オダイド、1−メチル−3−イソブチルイミダゾリウム
アイオダイドおよび1−メチル−3−sブチルイミダゾ
リウムアイオダイドからなる群から選択される少なくと
も1種のイミダゾリウム塩を含む液体電解質を含有して
いるため、ゲル電解質の組成が変質するのを抑制するこ
とができる。
【0068】本発明における電解質組成物をn型半導体
電極と導電膜との間の間隙に注入するとともに、n型半
導体電極に浸透させた後、ゲル化させることによって得
られる光増感型太陽電池は、以下に示す効果を有する。
【0069】(1)液状電解質を備える光増感型太陽電
池に比べて、シールドを容易に行なうことができる。
【0070】(2)n型半導体電極は、通常、表面に凹
凸を有するが、このn型半導体電極とゲル電解質との接
合界面が熱サイクルで剥離するのを抑制することができ
る。このため、ゲル電解質を熱サイクルにおける緩衝層
として機能させることが可能となる。
【0071】(3)ヨウ素の存在下で電解質組成物をゲ
ル化させることができるため、可逆的な酸化還元対とし
てI3 -/I-を使用することが可能である。
【0072】(4)n型半導体電極の細孔中にゲル状電
解質が存在するため、n型半導体電極と電解質との接触
面積を大きくすることができる。その結果、太陽電池の
電気抵抗を低くすることができる。
【0073】(5)ゲル化剤となる重合体を付加反応に
より合成することができるため、合成時に副生成物が生
じることは回避され、電解質組成物および色素分子に悪
影響を与えることがない。また、少量の重合体で、電解
質組成物のゲル化を生じさせることができる。その結
果、ゲル電解質の電気伝導性を高くすることが可能とな
った。
【0074】(6)本発明にかかる太陽電池は、上述し
たような特定の液体電解質を含有するため、長期にわた
る使用や、太陽光の照射により太陽電池の温度が上昇し
た際にも、ゲル電解質の組成を安定に保つことができ
る。
【0075】(7)上述した(4)〜(6)によって、
太陽電池のエネルギー変換効率を向上させることができ
る。
【0076】(8)元素Aを含有する化合物とハロゲン
含有化合物とは、付加反応により重合されて化学的に結
合される。このため、太陽電池の温度が太陽光の照射に
より50〜70℃程度に上昇した際でも、ゲル状電解質
に相転移が生じるのを回避することができる。その結
果、温度上昇時の液漏れを防止することができるととも
に、温度上昇時も高いエネルギー変換効率を維持するこ
とができる。
【0077】(9)本発明に係る太陽電池は、色素によ
って着色された光を透過する基板となる。また、光透過
性の特徴から、携帯情報端末の液晶またはEL表示上部
に太陽電池セルを組み込むこともできる。
【0078】なお、本発明における電解質組成物は、可
逆的な酸化還元対を含む電解質と、この電解質に溶解さ
れた1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフル
オロボレートとを含むことができる。あるいは、可逆的
な酸化還元対を含む電解質、この電解質に溶解された1
−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボ
レート、ハロゲン含有化合物、およびこのハロゲン含有
化合物とオニウム塩を形成し得る1級アミノ基、2級ア
ミノ基、3級アミノ基の少なくとも1種の含窒素含有基
とから、本発明における電解質組成物を構成することも
できる。
【0079】このような電解質組成物を含む光増感型太
陽電池においては、ゲル電解質中のゲル化剤、すなわち
窒素含有基を有する化合物とハロゲン化合物とから形成
されるオニウム塩の重合体が、太陽光を吸収するのを抑
えることができる。このため、ゲル電解質の透明度を高
くすることができる。したがって、太陽電池に照射され
た太陽光のうち、光電変換に寄与する太陽光の割合を高
くすることができるとともに、オニウム塩の重合体が太
陽光により劣化するのを抑制することができる。その結
果、太陽電池のエネルギー効率を高くすることが可能で
ある。
【0080】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して具体例を示
して本発明をさらに詳細に説明する。
【0081】(実施例1)図1は、本発明にかかる光増
感型太陽電池の製造方法を表わす断面図である。
【0082】まず、平均一次粒径が30nmの高純度酸
化チタン(アナターゼ)粉末に硝酸を添加した後、純水
とともに混練し、さらに界面活性剤で安定化させてペー
ストを作製した。ガラス基板上に形成された緻密な部分
に、このペーストをスクリーン印刷法で印刷し、温度4
50℃で熱処理を行なうことによって、酸化チタン(ア
ナターゼ)粒子からなる厚さ2μmのn型半導体電極を
形成した。
【0083】このスクリーン印刷と熱処理とを複数回繰
り返すことにより、最終的にフッ素ドープした酸化スズ
導電膜2(透明導電膜2)上に、アナターゼ相の酸化チ
タン粒子3からなるn型半導体電極4を、8μmの厚さ
で形成した。このn型半導体電極4のラフネスファクタ
ーは1500であった。ラフネスファクターは、基板の
投影面積に対する窒素吸着量から求めた。
【0084】一方、シス−ビス(シオシアナト)−N,
N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボ
ン酸)−ルテニウム(II)二水和物)を乾燥エタノール
に溶解して、3×10-4Mの乾燥エタノール溶液を調製
した。前述のn型半導体電極4を、この溶液(温度約8
0℃)に4時間浸漬した後、アルゴン気流中で引き上げ
た。これによって、n型半導体電極4表面には、色素で
あるルテニウム錯体が担持された。
【0085】また、表面に白金を付着させたガラス基板
7上に、フッ素ドープ酸化スズ電極6(導電膜6)を形
成して対向基板5を用意した。前述のn型半導体電極4
が作製された基板1上に、直径15μmのスペーサーを
介してこの対向基板5を設置し、電解液注入口を残して
周囲をエポキシ系樹脂8で固めて固定した。
【0086】以上の操作によって、図1(a)に示す光
電変換素子ユニットが得られた。
【0087】電解質組成物は、次のようにして調製し
た。まず、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムア
イオダイドに0.03Mのヨウ素を溶解させて、電解質
溶液を調製した。この電解質溶液10gに、1−メチル
−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート2
gを溶解させることにより電解質組成物を得た。
【0088】次いで、図1(b)に示すように、光電変
換ユニットの開口部に注入口9から電解質組成物10を
注入した。電解質組成物10は、図1(c)に示される
ように、n型半導体電極4に浸透するとともに、n型半
導体電極4と酸化スズ電極6(導電膜6)との間にも注
入された。
【0089】引き続き、図1(d)に示すように、光電
変換ユニットの開口部をエポキシ樹脂11で封口した
後、60℃で30分間、ホットプレート上で加熱するこ
とにより、光電変換素子、すなわち色素増感型太陽電池
を製造した。得られた太陽電池の断面図を図2に示す。
【0090】図2に示されるように、ガラス基板1上に
は、透明導電膜2および透明なn型半導体電極4が順次
形成されている。このn型半導体電極4は、微粒子3の
集合体から形成されるため、表面積が極めて大きい。ま
た、半導体電極4の表面には色素が単分子吸着してい
る。透明半導体電極4の表面は、樹枝状構造のように自
己相似性をもったフラクタル形状とすることが可能であ
る。対向基板5は、ガラス基板7と、このガラス基板7
の半導体電極4側の面に形成された導電膜6とから構成
される。
【0091】電解質組成物10は、透明なn型半導体電
極4中の細孔に保持されるとともに、半導体電極4と導
電膜6との間に介在される。このような光増感型太陽電
池においてガラス基板1側から光12が入射されると、
まず、n型半導体電極4の表面に吸着されている色素
が、入射光12を吸収して励起される。励起した色素
が、n型半導体電極4へ電子を渡すとともに、電解質1
0にホールを渡すことによって光電変換が行なわれる。
【0092】(実施例2)1−メチル−3−プロピルイ
ミダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.03Mを溶解さ
せて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液10g
に、Nを含有する化合物としてのポリ(4−ビニルピリ
ジン)0.3gと、1−メチル−3−エチルイミダゾリ
ウムテトラフルオロボレート2gとを溶解させた。得ら
れた溶液に、有機臭化物としての1,6−ジブロモヘキ
サンを0.3g溶解させることによって、ゲル電解質前
駆体である電解質組成物を調製した。
【0093】こうして得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色
素増感型太陽電池を製造した。
【0094】(実施例3)1−メチル−3−プロピルイ
ミダゾリウムアイオダイドに、ヨウ化テトラプロピルア
ンモニウム0.5M、ヨウ化カリウム0.02Mおよび
ヨウ素0.09Mを溶解させて、電解質溶液を調製し
た。この電解質溶液10gに、1−メチル−3−エチル
イミダゾリウムテトラフルオロボレート3gを溶解させ
ることによって、電解質組成物を調製した。
【0095】こうして得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色
素増感型太陽電池を製造した。
【0096】(実施例4)1−メチル−3−プロピルイ
ミダゾリウムアイオダイドに、ヨウ化テトラプロピルア
ンモニウム0.5M、ヨウ化カリウム0.02Mおよび
ヨウ素0.09Mを溶解させて、電解質溶液を調製し
た。この電解質溶液10gに、Nを含有する化合物とし
てのポリ(4−ビニルピリジン)0.3gと、1−メチ
ル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート
3gとを溶解させた。得られた溶液に、有機臭化物とし
ての1,6−ジブロモヘキサンを0.3g溶解させるこ
とによって、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を調
製した。
【0097】こうして得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色
素増感型太陽電池を製造した。
【0098】(実施例5)1−メチル−3−ブチルイミ
ダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.03Mを溶解させ
て、電解質溶液を調製した。この電解質溶液10gに、
1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロ
ボレート2gを溶解させて、電解質組成物を調製した。
【0099】こうした得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の光
増感型太陽電池を製造した。
【0100】(実施例6)1−メチル−3−プロピルイ
ミダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.03Mを溶解さ
せて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液10g
に、Nを含有する化合物としての4,4−ビピリジル
0.3gを溶解させた。さらに、有機臭化物としての
1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン
0.3gと、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテ
トラフルオロボレート2gとを溶解させることによっ
て、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0101】こうして得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色
素増感型太陽電池を製造した。
【0102】(実施例7)実施例1と同様の手法により
得られた電解質溶液10gに、Pを含有する化合物とし
てのポリビニルフェニルジフェニルホスフィン0.5g
を溶解させた。この溶液に、有機ハロゲン化物としての
1,6−ジブロモヘキサン0.5gを溶解させることに
よって、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0103】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0104】(実施例8)実施例1と同様の手法により
得られた電解質溶液10gに、Pを含有する化合物とし
ての1,5−ビス(ジフェニル)ホスフィノペンタン
0.3gを溶解させた。この溶液に、有機ハロゲン化物
としてのエピクロルヒドリンオリゴマー0.3gを溶解
させることによって、ゲル電解質前駆体である電解質組
成物を得た。
【0105】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0106】(実施例9)実施例1と同様の手法により
得られた電解質溶液10gに、Sを含有する化合物とし
てのビニルフェニルフェニルチオエーテル0.1gを溶
解させた。この溶液に、有機ハロゲン化物としてのエピ
ブロモヒドリンオリゴマー0.3gを溶解させることに
よって、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0107】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0108】(実施例10)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Sを含有する化合物と
してのジエチルスルフィド1gを溶解させた。この溶液
に、有機ハロゲン化物としてのエピブロモヒドリンオリ
ゴマー0.3gを溶解させることによって、ゲル電解質
前駆体である電解質組成物を得た。
【0109】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0110】(実施例11)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Nを含有する化合物と
してのポリビニルピリジンとPを含有する化合物として
のポリビニルフェニルジフェニルホスフィンとの混合物
0.3gを溶解させた。この溶液に、有機ハロゲン化物
としてのジヨウ化プロパン0.3gを溶解させることに
よって、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0111】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0112】(実施例12)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Nを含有する化合物と
してのポリビニルイミダゾール0.3gを溶解させた。
この溶液に、有機塩化物としてのエピクロルヒドリンオ
リゴマー0.3gを溶解させることによって、ゲル電解
質前駆体である電解質組成物を得た。
【0113】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0114】(実施例13)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Nを含有する化合物と
してのポリアリルジメチルアミン0.3gを溶解させ
た。この溶液に、有機ハロゲン化物としての1,6−ジ
ブロモヘキサン0.5gを溶解させることによって、ゲ
ル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0115】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0116】(実施例14)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Nを含有する化合物と
してのポリベンズイミダゾール0.2gを溶解させた。
この溶液に、有機塩化物としてのジクロロヘキサンと有
機臭化物としてのジブロモヘキサンとの混合物0.3g
を溶解させることによって、ゲル電解質前駆体である電
解質組成物を得た。
【0117】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0118】(実施例15)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Nを含有する化合物と
してのポリジメチルアミノエチルメタクリレート0.2
gを溶解させた。この溶液に、有機ハロゲン化物として
の1,6−ジブロモヘキサン0.4gを溶解させること
によって、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得
た。
【0119】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0120】(実施例16)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Nを含有する化合物と
してのポリジアリルメチルアミン0.2gを溶解させ
た。この溶液に、有機ハロゲン化物としての1,6−ジ
ブロモヘキサン0.4gを溶解させることによって、ゲ
ル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0121】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0122】(実施例17)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Nを含有する化合物と
してのポリアリルアミン0.2gを溶解させた。この溶
液に、有機ハロゲン化物としての1,6−ジブロモヘキ
サン0.3gを溶解させることによって、ゲル電解質前
駆体である電解質組成物を得た。
【0123】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0124】(実施例18)実施例1と同様の手法によ
り得られた電解質溶液10gに、Nを含有する化合物と
してのトリス−2アミノエチルアミン0.2gを溶解さ
せた。この溶液に、有機ハロゲン化物としての1,6−
ジブロモヘキサン0.3gを溶解させることによって、
ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0125】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0126】(実施例19)98.5重量%の1−メチ
ル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドと、1重
量%のアセトニトリルと、0.5重量%の水とからなる
混合溶液に、ヨウ素0.09Mを溶解させた。得られた
溶液10gに、Nを含有する化合物としてのポリ(4−
ビニルピリジン)0.2gと、1−メチル−3−エチル
イミダゾリウムテトラフルオロボレート2gとを溶解さ
せた。さらに、有機ハロゲン化物としての1,6−ジブ
ロモヘキサン0.2gを溶解させることによって、ゲル
電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0127】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0128】(実施例20)1−メチル−3−プロピル
イミダゾリウムアイオダイドにプロピレンカーボネート
を添加し、得られた溶液にヨウ化テトラプロピルアンモ
ニウム0.5Mおよびヨウ素0.09Mを溶解させた。
この溶液10gに、Nを含有する化合物としてのポリ
(4−ビニルピリジン)0.3gと、1−メチル−3−
エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート2gとを
溶解させた。さらに、有機ハロゲン化物としての1,6
−ジブロモヘキサン0.3gを溶解させることによっ
て、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得た。この
電解質組成物中のプロピレンカーボネートの含有量は2
0重量%であった。
【0129】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0130】(実施例21)1−メチル−3−イソプロ
ピルイミダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.09Mを
溶解させて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液1
0gに、Nを含有する化合物としてのポリ(4−ビニル
ピリジン)0.3gと、1−メチル−3−エチルイミダ
ゾリウムテトラフルオロボレート2gとを溶解させた。
さらに、有機臭化物としての1,6−ジブロモヘキサン
0.3gを溶解させることによって、ゲル電解質前駆体
である電解質組成物を得た。
【0131】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0132】(実施例22)1−メチル−3−プロピル
イミダゾリウムアイオダイドと1−メチル−3−ブチル
イミダゾリウムアイオダイドとの混合溶液に、ヨウ素
0.09Mを溶解させて電解質溶液を調製した。この電
解質溶液10gに、Nを含有する化合物としてのポリ
(4−ビニルピリジン)0.3gと、1−メチル−3−
エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート2gとを
溶解させた。さらに、有機臭化物としての1,6−ジブ
ロモヘキサン0.3gを溶解させることによって、ゲル
電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0133】こうして得られた電解質組成物を用い、1
00℃で熱処理して電解質組成物をゲル化させた以外
は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色素
増感型太陽電池を製造した。
【0134】(比較例1)1−メチル−3−オクチルイ
ミダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.03Mを溶解し
て、電解質組成物を得た。
【0135】前述した実施例1の場合と同様の光電変換
素子ユニットの開口部に、注入口からこの電解質組成物
を注入し、電解質組成物をn型半導体電極に浸透させる
とともに、n型半導体電極と酸化スズ電極(導電膜)と
の間に注入した。
【0136】引き続き、光電変換素子ユニットの開口部
をエポキシ樹脂で封口した後、50℃で200分間ホッ
トプレート上で加熱することによって、光電変換素子、
すなわち色素増感型太陽電池を製造した。
【0137】(比較例2)1−メチル−3−オクチルイ
ミダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.03Mを溶解さ
せて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液10g
に、Nを含有する化合物としてのポリ(4−ビニルピリ
ジン)0.3gを溶解させた後、有機臭化物としての
1,6−ジブロモヘキサンを0.3g溶解させることに
よって、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0138】こうして得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色
素増感型太陽電池を製造した。
【0139】(比較例3)プロピレンカーボネートにヨ
ウ化リチウム0.5Mおよびヨウ素0.05Mを溶解さ
せて電解質溶液を調製した。この電解質溶液90重量%
に、Nを含有する化合物としてのポリ(4−ビニルピリ
ジン)(平均分子量2000)を10重量%(10g)
溶解して電解質組成物の調製を試みた。しかしながら、
ポリ(4−ビニルピリジン)は溶解せず、電解質組成物
を得ることができなかった。
【0140】プロピレンカーボネートは、ポリマーに対
する溶解性が低いために、ポリ(4−ビニルピリジン)
が溶解しなかったものと推測される。
【0141】(比較例4)プロピオニトリルに、ヨウ化
リチウム0.5Mおよびヨウ素0.05Mを溶解させて
電解質溶液を調製した。この電解質溶液90重量%に、
Nを含有する化合物としてのポリ(4−ビニルピリジ
ン)(平均分子量2000)を10重量%(10g)溶
解して電解質組成物の調製を試みた。しかしながら、ポ
リ(4−ビニルピリジン)は溶解せず、電解質組成物を
得ることができなかった。
【0142】プロピオニトリルは、ポリマーに対する溶
解性が低いために、ポリ(4−ビニルピリジン)が溶解
しなかったものと推測される。
【0143】(比較例5)1−メチル−3−プロピルイ
ミダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.03Mを溶解さ
せて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液10g
に、Nを含有する化合物としてのポリ(4−ビニルピリ
ジン)0.3gと、アセトニトリル2gとを溶解させ
た。その後、この溶液に有機臭化物としての1,6−ジ
ブロモヘキサン0.3gを溶解させることによって、ゲ
ル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0144】こうして得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色
素増感型太陽電池を製造した。
【0145】(比較例6)1−メチル−3−プロピルイ
ミダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.03Mを溶解さ
せて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液10g
に、Nを含有する化合物としてのポリ(4−ビニルピリ
ジン)0.3gと、ジメトキシエタン2gとを溶解させ
た。その後、この溶液に有機臭化物としての1,6−ジ
ブロモヘキサン0.3gを溶解させることによって、ゲ
ル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0146】こうして得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色
素増感型太陽電池を製造した。
【0147】(比較例7)1−メチル−3−プロピルイ
ミダゾリウムアイオダイドにヨウ素0.03Mを溶解さ
せて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液10g
に、Nを含有する化合物としてのポリ(4−ビニルピリ
ジン)0.3gと、プロピレンカーボネート2gとを溶
解させた。その後、この溶液に有機臭化物としての1,
6−ジブロモヘキサン0.3gを溶解させることによっ
て、ゲル電解質前駆体である電解質組成物を得た。
【0148】こうして得られた電解質組成物を用いた以
外は、前述の実施例1と同様の手法により本実施例の色
素増感型太陽電池を製造した。
【0149】上述のようにして得られた実施例2,4,
6〜22および比較例2,5〜7の太陽電池を分解し
て、内部の電解質の状態を確認したところ、電解質はゲ
ル化していた。
【0150】また、実施例1〜22および比較例1,
2,5〜7の太陽電池について、擬似太陽光を100m
W/cm2の強度で照射して、その際のエネルギー変換
効率を求めた。さらに、実施例1〜22および比較例
1,2,5〜7の太陽電池を100℃で1ヶ月貯蔵した
後、擬似太陽光を100mW/cm2の強度で照射した
際のエネルギー変換効率を求めた。貯蔵後のエネルギー
変換効率を、貯蔵前の値と比較してエネルギー変換効率
の低下率を算出し、低下率が10%未満のものをA、低
下率が10〜50%のものをBとし、低下率が50%を
越えるものをCとした。得られたエネルギー変換効率低
下率を、元素Aの種類、ハロゲンの種類および貯蔵前の
エネルギー変換効率とともに、下記表1および表2にま
とめる。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】表1および表2から明らかなように、本発
明(実施例1〜22)の太陽電池は、エネルギー変換効
率が高く、かつ温度上昇によるエネルギー変換効率の低
下率も小さい。これに対して、比較例1,2,5〜7の
太陽電池は、いずれもエネルギー変換効率が低く、温度
上昇によるエネルギー変換効率の低下率が大きい。比較
例1および2においては、希釈作用を有する成分が電解
質組成物中に何等含有されていない。このため、電解質
組成物の粘度が高く、結果として所望の出力が得られな
かったと考えられる。また、比較例5〜7においては、
1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロ
ボレートの代わりに有機溶媒が、希釈作用を有する成分
として電解質組成物中に含有されているものの、本発明
のような効果が得られない。電解質組成物中に含有され
た有機溶媒は蒸発してしまうため、太陽電池の耐久性を
向上させることができない。
【0154】なお、前述した実施例においては、n型半
導体電極側から太陽光を入射させる例を説明したが、本
発明はこれに限定されるものではない。対向電極側から
太陽光を入射させる構成の太陽電池の場合でも、同様に
本発明の構成を適用して、同様の効果を得ることができ
る。
【0155】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、エ
ネルギー変換効率が高く、高温環境下で使用した際にも
エネルギー変換効率が低下しない光増感型太陽電池が提
供される。
【0156】本発明により、湿式の光増感型太陽電池お
よび全固体光増感型太陽電池が有していた欠点をすべて
解消することができ、その工業的価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光増感型太陽電池の製造工程を
表わす断面図。
【図2】本発明にかかる光増感型太陽電池の一例を表わ
す断面図。
【符号の説明】
1…ガラス基板 2…透明導電膜 3…微粒子 4…半導体電極 5…対向電極 6…導電膜 7…ガラス基板 8,11…エポキシ樹脂 9…注入口 10…電解質組成物 12…入射光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角野 裕康 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 早瀬 修二 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5F051 AA14 BA18 FA02 FA03 FA06 GA03 5H032 AA06 AS16 BB05 CC17 EE04 EE16 EE18 HH01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に色素が吸着されたn型半導体電極
    と、 前記n型半導体電極に離間対向して配置され、表面に導
    電膜を有する対向基板と、 前記n型半導体電極と前記導電膜とに挟持され、前記導
    電膜と前記n型半導体層との間の電荷輸送を中継する電
    解質組成物層とを具備し、 前記電解質組成物は、1−メチル−3−プロピルイミダ
    ゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソプロピル
    イミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ブチル
    イミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソブ
    チルイミダゾリウムアイオダイドおよび1−メチル−3
    −sブチルイミダゾリウムアイオダイドからなる群から
    選択される少なくとも1種のイミダゾリウム塩を含む液
    体電解質を含有することを特徴とする光増感型太陽電
    池。
  2. 【請求項2】 表面に色素が吸着されたn型半導体電極
    と、 前記n型半導体電極に離間対向して配置され、表面に導
    電膜を有する対向基板と、 前記n型半導体電極と前記導電膜とに挟持され、前記導
    電膜と前記n型半導体層との間の電荷輸送を中継する電
    解質組成物層とを具備し、 前記電解質組成物はゲル状であり、 1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイ
    ド、1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイ
    オダイド、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムアイ
    オダイド、1−メチル−3−イソブチルイミダゾリウム
    アイオダイドおよび1−メチル−3−sブチルイミダゾ
    リウムアイオダイドからなる群から選択される少なくと
    も1種のイミダゾリウム塩を含む液体電解質と、 N,PおよびSからなる群から選択される少なくとも1
    種の元素を含有する化合物とハロゲン含有化合物とから
    形成されるオニウム塩の重合体とを含有することを特徴
    とする光増感型太陽電池。
  3. 【請求項3】 前記液体電解質に溶解された1−メチル
    −3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを
    含有し、その含有量は1重量%以上50重量%以下であ
    る請求項1または2に記載の光増感型太陽電池。
  4. 【請求項4】 前記電解質組成物は、さらに有機溶媒を
    含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    1項に記載の光増感型太陽電池。
  5. 【請求項5】 前記電解質組成物は、さらに水を含有す
    ることを特徴とする請求項4に記載の光増感型太陽電
    池。
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