JP4420645B2 - 低温型有機溶融塩、光電変換素子及び光電池 - Google Patents

低温型有機溶融塩、光電変換素子及び光電池 Download PDF

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Description

本発明は、低温型有機溶融塩、光電変換素子及び光電池に関する。さらに詳しくは、本発明は、通常室温にて融液状の形態を有すると共に、難揮発性であって、安全性、耐久性に優れ、かつ高イオン伝導度を有し、例えば太陽電池やリチウムイオン電池などの電解液として、あるいは化学反応溶媒などとして好適な低温型有機溶融塩、この有機溶融塩からなる電荷輸送層を有する光電変換素子及び該光電変換素子を用いてなる太陽電池などの光電池に関するものである。
大量の化石燃料の使用で引き起こされる二酸化炭素濃度増加による地球温暖化や、人口増加に伴うエネルギー需要の増大による化石燃料の枯渇などが、世界的規模で重要な問題となってきている。そのため、近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。この太陽光の利用の一つとして太陽電池がある。
上記太陽電池には、光電変換素子が用いられる。該光電変換素子は、太陽電池などの光電池以外に、各種光センサーや複写機などにも用いられている。この光電変換素子としては、金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、これらを組み合わせたものなど、様々な方式が実用化されているが、最近、色素によって増感した半導体微粒子を用いた光電変換素子(以下、色素増感光電変換素子と称する。)並びにこれを作製するための材料及び製造技術が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この技術は、半導体微粒子として酸化チタンなどの安価な半導体を高純度に精製することなく、用いることができるため、このような色素増感光電変換素子は、低コストで製造し得るという利点を有する。したがって、この光電変換素子を用いた色素増感太陽電池は、環境負荷が少なく、低コスト型太陽電池として注目されている。
しかしながら、前記色素増感光電変換素子においては、電荷輸送層として有機溶媒や水を含む電解液が用いられるため、有機溶媒や水の揮発による素子の耐久性や安全性の問題があった。
一方、近年、有機イオン性液体は、イオンのみから構成され、低粘度で高極性を有し、かつ難揮発性であるという、一般の液体と大きく異なる特徴を有することから、高イオン伝導性液体(電解液)、反応溶媒、抽出分離溶媒などとしての応用研究が積極的になされている。
例えば、このような有機イオン性液体を、前記の色素増感光電変換素子における難揮発性の電解液として利用することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。この報告においては、融点が室温以下のヘキシルメチルイミダゾリウムヨウ化物が用いられている。しかしながら、この有機イオン性液体は、イオン伝導度が低いため、これを用いた光電変換素子は、変換効率が低く、その改善が望まれていた。
光電変換素子に用いられる有機電解液としては、難揮発性であって、イオン伝導度が高く、電荷輸送能に優れることが要求される。色素増感太陽電池の有機電解液としては、アニオン種がI-又はI3 -であるものが用いられ、これまで報告されているヨウ化物アニオンをもつ有機イオン性液体の中で、高い変換効率を与えるものとして、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージドが知られている。しかしながら、このようなヨウ化物イオンをアニオンとする有機イオン性液体は一般に粘度が高く、単独で用いた場合には、有機溶媒を用いた電解液と比較して変換効率は低い。そこで、2種以上の化合物を含む有機イオン性液体の開発研究が行われている。例えば、総炭素数7以下の1−メチル−3−アルキルイミダゾリウムヨージド及びヨウ素を含有する電解液組成物であって、前記電解液組成物中のカチオンの70モル%以上が総炭素数7以下の1−メチル−3−アルキルイミダゾリウムイオンであり、かつ前記電解液組成物中のアニオンの30モル%以上がヨウ化物イオンである電解液組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、この技術においては、実施例から分かるように、1−メチル−3−アルキルイミダゾリウムヨージドと、このものとはアニオン種が異なる有機塩とを混合して、電解液組成物を製造しており、したがって、該組成物中に異なるアニオン種を含むことから、該組成物を製造する際の操作が煩雑になるのを免れない。また、その一成分が1−メチル−3−アルキルイミダゾリウムヨージドと限定されているため、適用される光電変換素子の種類が制限されるという問題がある。
米国特許第4927721号明細書 特表平10−504521号公報 特開2003−31270号公報 「J.Electrochem.Soc.」、第143巻、第3099〜3108頁(1996年)
本発明は、このような事情のもとで、通常室温にて融液状の形態を有すると共に、難揮発性であって、安全性、耐久性に優れ、かつ高イオン伝導度を有し、例えば太陽電池やリチウムイオン電池などの電解液として、あるいは化学反応溶媒などとして好適な低温型有機溶融塩、この有機溶融塩を有する光電変換素子及び該光電変換素子を用いてなる光電池を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造の有機塩を2種以上含み、その少なくとも1種が温度70℃において固体である低温型有機溶融塩により、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)炭素数3以下のアルキル基が導入されてなる窒素含有複素環式カチオンとそれに対応するアニオンとからなる有機塩の2種以上を含み、かつ全ての有機塩のアニオン種が同一であって、有機塩の少なくとも1種が、温度70℃において固体であることを特徴とする低温型有機溶融塩(以下、低温型有機溶融塩Iと称する。)、
(2)炭素数3以下のアルキル基が導入されてなる窒素含有複素環式カチオンとそれに対応するアニオンI-とからなる有機塩の2種以上を含むと共に、ヨウ素が溶解されており、かつ有機塩の少なくとも1種が、温度70℃において固体であることを特徴とする低温型有機溶融塩(以下、低温型有機溶融塩IIと称する。)、
(3)有機塩の2種以上が、温度70℃において固体である(1)又は(2)記載の低温型有機溶融塩、
(4)窒素含有複素環式カチオンの環の員数が異なる2種の有機塩を含む(1)又は(2)記載の低温型有機溶融塩、
(5)窒素含有複素環式カチオンに導入されているアルキル基が、炭素数2以下のものである(1)又は(2)記載の低温型有機溶融塩、
(6)(1)ないし(5)のいずれかに記載の低温型有機溶融塩からなる電荷輸送層を有することを特徴とする光電変換素子、及び
(7)(6)に記載の光電変換素子を用いたことを特徴とする光電池、
を提供するものである。
本発明によれば、通常室温にて融液状の形態を有すると共に、難揮発性であって、安全性、耐久性に優れ、かつ高イオン伝導度を有し、例えば太陽電池やリチウムイオン電池などの電解液として、あるいは化学反応溶媒などとして好適な低温型有機溶融塩、この有機溶融塩からなる電荷輸送層を有する光電変換素子及び該光電変換素子を用いてなる太陽電池などの光電池を提供することができる。
本発明の低温型有機溶融塩には、低温型有機溶融塩I及びIIの2つの態様がある。上記低温型有機溶融塩Iは、カチオンとそれに対応するアニオンとからなる有機塩の2種以上を含むものであって、カチオンとしては炭素数3以下のアルキル基が導入されてなる窒素含有複素環式カチオンが用いられ、そして、アニオンとしては、全ての有機塩において、同一種のものが用いられる。一方、低温型有機溶融塩IIは、炭素数3以下のアルキル基が導入されてなる窒素含有複素環式カチオンとそれに対応するアニオンI-とからなる有機塩の2種以上を含むと共に、ヨウ素が溶解されてなるものである。
前記炭素数3以下のアルキル基が導入されてなる窒素含有複素環式カチオンにおいて、環を構成する窒素原子の数は、通常1〜3であり、環構造としては、窒素原子が1個であるピロール環、ピロリジン環、ピリジン環、ピペリジン環、インドール環、イソインドール環、キノリン環、イソキノリン環、窒素原子が2個であるイミダゾール環、ピラゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、インダゾール環、キナゾリン環、キノキサリン環、窒素原子が3個であるトリアゾール環、トリアジン環などがあるが、これらの中で、ピロリジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環が好ましい。
窒素含有複素環式カチオンに導入される炭素数3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基を例示することができ、その導入数としては特に制限はないが、通常1〜3の範囲である。その導入位置は、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に導入されていることが好ましい。また、1つのカチオンに複数のアルキル基が導入されている場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
本発明の低温型有機溶融塩におけるカチオンとしては、以下に示されるCA−1〜CA−15などを例示することができる。
Figure 0004420645
本発明の低温型有機溶融塩Iにおいては、その中に含まれる全ての有機塩は、同一のアニオン種を有するものであり、該アニオン種としては、I-、I3 -、SCN-、BF4 -、PF4 -、ClO4 -、(CF3SO2)2-、(CF3CF2SO2)2-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、CF3COO-、Ph4-、(CF3SO2)3-などを例示することができる。なお、Phはフェニル基である。これらのアニオンの中で、太陽電池用として、特にI-、I3 -が好ましい。
一方、本発明の低温型有機溶融塩IIにおいては、アニオンとしてI-を有すると共に、ヨウ素が溶解されている。
本発明の低温型有機溶融塩においては、有機塩として、少なくとも1種が、温度70℃において固体であるものが用いられる。該有機塩の融点がこのように高くても、本発明では2種以上を混合することにより、低温型有機溶融塩となる。なお、本発明において、低温型有機溶融塩とは、少なくとも温度70℃以下においても、融液状態となる有機塩を指す。
前記の温度70℃において固体である有機塩としては、アニオン種がI-である場合、カチオン種が、例えば前述のCA−1(78℃)、CA−2(77℃)、CA−4(81℃)、CA−5(117℃)、CA−8(113℃)、CA−10(84℃)、CA−14(100℃)、CA−15(101℃)であるものなどを挙げることができる。なお( )内の値は示差走査熱量計で測定した融点を示す。
本発明の低温型有機溶融塩における2種以上の有機塩の配合割合については特に制限はなく、得られる混合有機塩が、所定の温度で融液状になり、かつそのイオン伝導度ができるだけ高くなるように配合するのがよい。
本発明の低温型有機溶融塩は、好ましい態様として、(1)その中に含まれる有機塩の2種以上が、それぞれ温度70℃において固体であるもの、(2)窒素含有複素環式カチオンの環の員数が異なる2種の有機塩を含むもの、又は(3)窒素含有複素環式カチオンに導入されているアルキル基の炭素数が2以下であるもの、を挙げることができる。
このような性状を有する本発明の低温型有機溶融塩は、通常室温にて融液状の形態を有する有機イオン性液体であって、難揮発性で安全性、耐久性に優れ、高イオン伝導性液体(電解液)、反応溶媒、抽出分離溶媒などとして用いることができる。上記高イオン伝導性液体としての用途には、例えばリチウムイオン電池などの電解液、太陽電池などの光電池に用いられる電荷輸送層等がある。
本発明の低温型有機溶融塩を光電池の電荷輸送層として用いる場合には、アニオン種がI-である低温型有機溶融塩にヨウ素を溶解させることによって、酸化還元対を形成させて使用することが好ましい。このような場合、溶解するヨウ素の量は、該低温型有機溶融塩100重量部に対して、0.1〜20重量部程度が好ましい。
本発明の低温型有機溶融塩には、光電変換素子の短絡電流を向上させるなどの目的で、所望により、本発明の効果が損なわれない範囲で、無機塩を添加してもよい。好ましい無機塩としてはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩(Lil、NaI、KI、MgI2、CaI2、SrI2、CF3COOLi、CF3COONa、LiSCN、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiPF6、LiClO4、NaSCN、KSCN、RbBF4、CsPF6等)等が挙げられる。これらの中ではリチウム塩が特に好ましい。また、光電変換素子の開放電圧を向上させるなどの目的で、所望により、本発明の効果が損なわれない範囲で、ピリジン類を添加してもよい。常温で液体で、かつ沸点が150℃以上の置換ピリジンが好ましく、イオン性の置換基を有するピリジンが特に好ましい。
さらに、リチウムイオン電池や光電池の電荷輸送層として用いる場合には、液漏れの防止や耐久性の向上を目的としてゲル化(固体化)させて使用してもよい。ゲル化の方法としては、例えばポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマー添加によりゲル化させる方法、「Chem.Lett.」885(1996年)、「J.Chem.Soc.,Chem.Commun.」、545(1997年)などに記載されたオイルゲル化剤の添加による方法、多官能モノマー類の重合による方法、ポリマーの架橋反応によってゲル化させる方法などを利用することができる。
次に、本発明の光電変換素子は、前述の本発明の低温型有機溶融塩からなる電荷輸送層を有するものであり、具体的には、導電性支持体、その上に設けてなる色素が吸着した半導体微粒子層、前記電荷輸送層及び対極を少なくとも有する素子である。以下、色素が吸着した半導体微粒子層を感光層と称する。
上記導電性支持体としては、従来光電変換素子に使用されているものを用いることができる。例えば金属のように支持体そのものに導電性があるもの、または表面に導電剤を含む導電層を有するガラスあるいはプラスチックの支持体を用いることができる。この導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
導電性支持体側から光を照射する場合には、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。実質的に透明であるとは、光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上がより好ましい。
感光層は、色素が吸着した半導体微粒子層を前記導電性支持体上に設けることにより形成することができる。該色素としては、例えば金属錯体系色素、メチン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素などが好ましく用いられる。半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用することができる。
導電性支持体上に半導体微粒子層を形成する方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法、ゾル−ゲル法等がある。半導体微粒子への色素の吸着は、色素の溶液中に半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。
また、電荷輸送層には、前述の本発明の低温型有機溶融塩が用いられる。電荷輸送層の形成方法に関しては2通りの方法がある。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に該有機溶融塩を挟み込む方法である。もう1つは感光層上に直接、電荷輸送層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
対極は通常前述の導電性支持体と同様に導電性層を有する支持体を用いることもできるが、強度や密封性が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。対極に用いる材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、炭素、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の導電性金属酸化物等が挙げられる。
導電性支持体と対極のいずれか一方又は両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、導電性支持体を透明にして光を導電性支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対極としては、金属又は導電性酸化物を蒸着したガラス又はプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
この光電変換素子においては、対極と導電性支持体の短絡を防止するため、導電性支持体と感光層の間には、緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として予め塗設しておくことが好ましい。また、電極として作用する導電性支持体と対極の一方又は両方の外側表面、導電層と基板の間などに、保護層、反射防止層等の機能性層を設けてもよい。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法等を用いることができる。
次に、本発明の光電池は、上記本発明の光電変換素子に外部負荷で仕事をさせるようにしたものである。光電池のうち、本発明のように電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなる場合を特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。光電池は構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接続される外部回路自体は公知のものでよい。
本発明の光電変換素子を太陽電池に適用する場合も、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素子の構造と同じである。また、本発明の光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における有機塩又はその混合物の融点の測定は、示差走査熱量計(DSC)の吸熱ピークにより、また、各例で得られた太陽電池の性能評価は、JIS C 8973に準拠して行った。
実施例1
下記の有機塩a〜gの7種を常法に従い合成し、その融点を測定した。いずれの有機塩も70℃において固体であった。
a:(CA−2)I-、融点77℃
b:(CA−4)I-、融点81℃
c:(CA−5)I-、融点117℃
d:(CA−8)I-、融点113℃
e:(CA−10)I-、融点84℃
f:(CA−14)I-、融点100℃
g:(CA−15)I-、融点101℃
[( )内の記号は、明細書本文で例示したカチオンの種類を示す。]
上記有機塩それぞれをメタノールに溶解し、各有機塩溶液を調製した。次に、異なる2種の有機塩溶液を、有機塩のモル比が1:1となるように混合したのち、減圧によってメタノールを除去し、さらに、100℃、1330Paの条件で、3日間減圧乾燥を行った。常温常圧に戻し、1日後に形態を観察した。いずれの組合せも単独での融点より低温で液体であった。その結果を第1表に示す。なお、第1表において、○印は、室温(25℃)において液体(過冷却状態を含む)であるものを示す。
Figure 0004420645
第1表から明らかなように、70℃で固体である高融点の有機塩を適宜複数混合することにより、少なくとも70℃以下の温度で融液状の混合有機塩を得ることができることが分かる。
実施例2
(1)光電極の作製
二酸化チタン粒子[日本アエロジル社製、「Degussa P−25」]12g、水3.6mL、アセチルアセトン[関東化学社製]0.4mLを混合し、乳鉢を用いて強く分散した。次いで撹拌を続けながら水16mLを徐々に加え、さらにノニオン性界面活性剤[アルドリッチ社製、「TritonX−100」]0.2mLを加えて分散液とした。
次に、フッ素をドープした酸化スズをコートしてなる透明導電ガラス板[日本板硝子社製、表面抵抗10Ω/□]の導電面に、上記の分散液をガラス棒を用いて塗布した。その際、透明導電ガラス板の大きさは20×20mmとし、塗布面積が1cmとなるように電極の両端に粘着テープを貼り付け、この粘着テープの厚みをギャップとして塗布を行った。
塗布後、粘着テープを剥離し、室温で8時間乾燥したのち、電気炉[ヤマト科学社製マッフル炉]を用いて450℃で30分間焼成を行った。この電極を電気炉から取り出し、約80℃まで冷却したのち、ルテニウム色素[化学名:cis−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2'−ビピリジル−4,4'−ジカルボキシラト)−ルテニウム(II)、Solaronix社製、「ルテニウム535」]のエタノール溶液(3×10-4モル/L)に24時間浸漬することによって、酸化チタン粒子の表面に、増感色素を吸着させた。この電極を色素溶液から取り出し、エタノールで洗浄し、乾燥処理して光電極とした。この電極の酸化チタン層の厚みを測定したところ、約7μmであった。
(2)対極
上記(1)で用いたものと同じ透明導電ガラス板の導電面に白金をスパッタリングしたものを、対極として用いた。
(3)太陽電池セルの作製
上記(1)で得られた光電極と上記(2)で得られた対極を厚さ25μmのPETフィルムをスペーサとして重ね合わせ、その隙間に電解液を注入し、太陽電池セルを作製した。なお、電解液は、第2表に示すモル比1:1の2種の混合物に、ヨウ素を1/20モル比の割合で溶解したものを用いた。
この太陽電池の性能測定結果を第3表に示す。
Figure 0004420645
Figure 0004420645
第2表から、単独の塩では高い融点を有しているにもかかわらず、2種混合により、融点の低下が起こるか、あるいは融点をもたないガラス形成液体となることが分かる。また、これまで報告されているヨウ化物アニオンをもつイオン性液体の中で、光電変換素子に用いた場合、高い変換効率が得られているのは、1−メチル−2−プロピルイミダゾリウムヨージド[(CA−3)I-]であるが、第2表、第3表から、この化合物と比較しても、高いイオン伝導度を示し、高い変換効率を与える2種混合塩を得ることができることが分かる。

Claims (7)

  1. 炭素数3以下のアルキル基が導入されてなる窒素含有複素環式カチオンとそれに対応するアニオンとからなる有機塩の2種以上を含み、かつ全ての有機塩のアニオン種が同一であって、有機塩の少なくとも1種が、温度70℃において固体であることを特徴とする低温型有機溶融塩。
  2. 炭素数3以下のアルキル基が導入されてなる窒素含有複素環式カチオンとそれに対応するアニオンI-とからなる有機塩の2種以上を含むと共に、ヨウ素が溶解されており、かつ有機塩の少なくとも1種が、温度70℃において固体であることを特徴とする低温型有機溶融塩。
  3. 有機塩の2種以上が、温度70℃において固体である請求項1又は2記載の低温型有機溶融塩。
  4. 窒素含有複素環式カチオンの環の員数が異なる2種の有機塩を含む請求項1又は2記載の低温型有機溶融塩。
  5. 窒素含有複素環式カチオンに導入されているアルキル基が、炭素数2以下のものである請求項1又は2記載の低温型有機溶融塩。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の低温型有機溶融塩からなる電荷輸送層を有することを特徴とする光電変換素子。
  7. 請求項6に記載の光電変換素子を用いたことを特徴とする光電池。
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