JP5007784B2 - 光電変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池などとして用いることができる光電変換装置、詳しくは、電解液が液漏れする心配のない色素増感型光電変換装置などとして応用できる光電変換装置に関するものである。
エネルギー源として石炭や石油などの化石燃料を使用する場合、その結果発生する二酸化炭素によって、大気の温暖化がもたらされることが懸念されている。また、原子力エネルギーの利用には、核分裂を制御する困難や、生成する放射性元素による放射能汚染の危険性などが伴う。地球環境の保全が重要な課題となっている現在、これらのエネルギー源に依存し続けていくことは大変問題が多い。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光を利用する太陽電池が注目され、種々の研究が行われている。太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置の1種であり、太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に対する影響が極めて小さく、より一層の普及が期待されている。
太陽電池の原理や材料として、様々なものが検討されている。そのうち、半導体のpn接合を利用する太陽電池は、現在最も普及しており、シリコンを半導体材料とした太陽電池が多数市販されている。これらは、単結晶または多結晶のシリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池と、非晶質(アモルファス)のシリコンを用いたアモルファスシリコン系太陽電池とに大別される。
太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する性能を表す光電変換効率は、結晶シリコン系太陽電池の方がアモルファスシリコン系太陽電池に比べて高いので、従来、太陽電池には結晶シリコン系太陽電池が多く用いられてきた。しかし、結晶シリコン系太陽電池は、結晶成長に多くのエネルギーと時間とを要するため、生産性が低く、コスト高になる。
一方、アモルファスシリコン系太陽電池には、結晶シリコン系太陽電池に比べてより広い波長領域の光を吸収して利用することができることや、種々の材質の基板材料を選択することができて大面積化が容易であることなどの特徴がある。また、結晶化が不要であるため、結晶シリコン系太陽電池に比べると、生産性よく低コストで製造できる。しかし、光電変換効率は結晶シリコン系太陽電池よりも低い。
いずれのシリコン系太陽電池でも、高純度の半導体材料を製造する工程やpn接合を形成する工程が必要であるため、製造工程数が多くなるという問題点や、真空下での製造工程が必要であるため、設備コストおよびエネルギーコストが高くなるという問題点がある。
以上のような問題点がなく、より低コストで製造できる太陽電池を実現するために、シリコン系材料に代えて有機材料を用いる太陽電池が多く研究されてきたが、これらの多くは光電変換効率が1%以下と非常に低く、耐久性にも問題があった。
しかしながら、1991年に色素によって増感された光誘起電子移動を応用した色素増感型光化学電池(光電変換装置)が提案された(特許公報第2664194号(第2及び3頁、図1)およびB.O’Regan and M.Graetzel,Nature,353,p.737-740(1991)など参照。)。この光電変換装置は、高い光電変換効率を有し、真空装置などの大掛かりな製造装置を必要とせず、酸化チタンなどの安価な材料を用いて、簡易に生産性よく製造できるため、新世代の太陽電池として期待されている。
図3は、従来の一般的な色素増感型光電変換装置100の構造を示す要部断面図である。色素増感型光電変換装置100は、主として、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2)などの透明導電層からなる透明電極(負極)2、光増感色素を保持した半導体層3、電解質層104、対向電極(正極)5、対向基板6、および(図示省略した)封止材などで構成されている。
半導体層3としては、酸化チタンTiO2の微粒子を焼結させた多孔質層が用いられることが多い。この半導体層3を構成する微粒子の表面に光増感色素が保持されている。電解質層104は半導体層3と対向電極5との間に充填され、I-/I3 -などの酸化還元種(レドックス対)を含む有機電解液などが用いられる。対向電極5は白金層5bなどで構成され、対向基板6の上に形成されている。
色素増感型光電変換装置100は、光が入射すると、対向電極5を正極、透明電極2を負極とする電池として動作する。その原理は次の通りである。
透明基板1および透明電極2を透過してきた光子を光増感色素が吸収すると、光増感色素中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。励起状態の電子は、光増感色素と半導体層3との間の電気的結合を介して、半導体層3の伝導帯に引き出され、半導体層3を通って透明電極2に到達する。
一方、電子を失った光増感色素は、電解質層104中の還元剤、例えば、ヨウ化物イオンI-から下記の反応
2I- → I2 + 2e-
2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層104中に酸化剤、例えば、三ヨウ化物イオンI3 -(I2とI-との結合体)を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極5に到達し、上記の反応の逆反応
3 - → I2 + I-
2 + 2e- → 2I-
によって対向電極5から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
透明電極2から外部回路へ送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対向電極5に戻る。このようにして、光増感色素にも電解質層104にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
一般に光電変換装置を効果的に動作させるためには、光電変換装置に入射してくる光を最大限に利用できるように、光吸収率を高めることが重要である。色素増感型光電変換装置では、光吸収は光増感色素によって担われるから、入射光に対して最適な光吸収特性を有する光増感色素を選択することによって、最高の光吸収率を実現できると期待される。太陽電池として応用する場合に高い光吸収率を実現するには、可視光近辺の波長300〜900nmの光を効果的に吸収できる光増感色素を選択することが望ましく、ルテニウム錯体などが用いられる。
さて、色素増感型光電変換装置100は、液体状の電解質層104を用いる湿式の光電変換装置であるため、安全性ならびに耐久性を高めるためには液漏れの問題を解決しなければならない。この1つの解決方法は、電解液をゲル化する方法である。
従来、電解液をゲル化する方法として、ポリマーの結晶化によってゲル化させた物理ゲルを形成する方法、ポリマーの化学架橋によってゲル化させた化学架橋ゲルを形成する方法、酸化物微粒子やカーボンナノチューブなどのナノ材料の分散によってゲル化させたナノコンポジットゲルを形成する方法などがある(後述の非特許文献1参照。)。このうち、ナノコンポジットゲルは電解液とゲル化剤とを混合するだけでゲル化が可能であり、ゲル状電解質を半導体層3に塗布することで、半導体層3を構成する酸化チタン多孔質層内へ電解液を浸透させることが可能であるといった特徴がある。
柳田祥三ら、フジクラ技報、第107号、p.73−78(2004年10月)、「ナノコンポジットイオンゲルを用いた色素増感太陽電池」
しかし、ナノコンポジットゲルを形成したゲル状電解質では、ポリマーを用いたゲルに比べて、電気化学的に不活性なゲル化剤がゲルに含まれる割合が大きく、この結果、光電変換装置の内部抵抗が増加し、フィルファクタおよび光電変換効率が低下するという問題点がある。
なお、フィルファクタは、形状因子ともいい、光電変換装置の特性を示すパラメータの1つである。理想的な光電変換装置の電流電圧曲線では、開放電圧と同じ大きさの一定の出力電圧が、出力電流が短絡電流と同じ大きさに達するまで維持されるが、実際の光電変換装置の電流電圧曲線は、内部インピーダンスがあるため、理想的な電流電圧曲線からはずれた形になる。実際の電流電圧曲線とx軸およびy軸とで囲まれる領域の面積の、理想的な電流電圧曲線とx軸およびy軸とで囲まれる長方形の面積に対する比を、フィルファクタという。フィルファクタは、理想的な電流電圧曲線からのずれの度合いを示し、この値が1に近いほど電流電圧曲線は理想的な電流電圧曲線に近づき、光電変換効率も高くなる。
ゲル化電解質を有する電気化学装置では、一般的に、ゲル化のために添加されるゲル化剤の割合が大きくなるほど、内部インピーダンスが増加する傾向がある。一方、上述したように、光電変換装置ではフィルファクタは光電変換装置の内部インピーダンスによって変化し、内部インピーダンスが大きいほど減少し、1からのずれが大きくなる。このため、ゲル化剤の増加はフィルファクタの低下、すなわち光電変換性能の低下を引き起こす。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電解液が液漏れする心配のないゲル状電解質を有し、且つ、電解質のゲル化によるフィルファクタの低下が小さい色素増感型光電変換装置などとして応用できる光電変換装置、及びゲル化剤を提供することである。
即ち、本発明は、半導体層と対向電極との間に配置された電解質層を有する光電変換装置において、
前記電解質層は、電解液が繊維状の無機マトリックスに保持されてゲル状になってい る
ことを特徴とする、光電変換装置に係わるものである。また、繊維状の無機マトリックス材料からなる、ゲル化剤に係わるものである。
なお、本明細書では、「マトリックス」とは、ゲル中の固形成分であって、隙間の多い三次元的な構造を形成し、その隙間に液体成分を保持する機能を有する構造体を指すものとする。
本発明のゲル化剤は、繊維状の無機マトリックス材料からなるため、比表面積が大きく、電解液を保持する性能が高い。このため、少ない量で電解液をゲル化できるので、ゲル状電解質を形成した場合、ゲル状電解質に含まれるマトリックス材料の割合を減らすことができ、この結果、光電変換装置の内部インピ−ダンスの増加を小さく抑えることができる。
本発明の光電変換装置は、前記ゲル化剤によって前記電解液がゲル化されているので、電解液が液漏れする心配のない、安全性の高い光電変換装置を実現できるとともに、光電変換装置の内部インピ−ダンスの増加を小さく抑え、フィルファクタの低下、すなわち光電変換性能の低下を小さく抑えることができる。
本発明の光電変換装置において、前記無機マトリックスは、金属酸化物の微粒子をpH10以上の強アルカリ性下で水熱反応処理して得られた無機マトリックス材料からなるのがよい。この際、前記金属酸化物が酸化チタンであり、前記水熱反応処理は、水酸化リチウムLiOH、水酸化ナトリウムNaOH、及び水酸化カリウムKOHからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基を含む水溶液中で行われるのがよい。また、必要に応じて加圧下で反応を行わせてもよい。
また、本発明の光電変換装置が、前記半導体層に光増感色素が保持され、光吸収によって励起された前記光増感色素の電子が前記半導体層へ取り出されるとともに、前記電子を失った前記光増感色素は、前記電解質層中の還元剤によって還元される色素増感型光電変換装置として構成されているのがよい。
本発明のゲル化剤において、前記無機マトリックス材料が結晶性のナノ材料からなるのがよい。例えば、前記無機マトリックス材料の組成が一般式(M,H)xTiyz(但し、MはリチウムLi、ナトリウムNa、及びカリウムKからなる群から選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属元素であり、x、y及びzは正の数である。)で表されるのがよい。この際、前記繊維状の結晶性ナノ材料の直径が2〜80nmであり、長さが100nm以上であるのがよい(特開2005−162584号公報参照。)。
以下、本発明の実施の形態に基づき、色素増感型光電変換装置として構成された光電変換装置について、詳細を図面参照下に具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に基づく色素増感型光電変換装置10の構造を示す要部断面図である。色素増感型光電変換装置10は、主として、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2)などの透明導電層からなる透明電極(負極)2、光増感色素を保持した半導体層3、ゲル状電解質層4、対向電極(正極)5、対向基板6、および(図示省略した)封止材などで構成されている。
半導体層3としては、酸化チタンTiO2の微粒子を焼結させた多孔質層が用いられることが多い。この半導体層3を構成する微粒子の表面に光増感色素が保持されている。ゲル状電解質層4は半導体層3と対向電極5との間に配置され、I-/I3 -などの酸化還元種(レドックス対)を含む有機電解液などで構成されている。対向電極5は白金層5bなどからなり、対向基板6の上に形成されている。
色素増感型光電変換装置10の特徴であるゲル状電解質層4は、ナノコンポジットゲルの一種であるが、マトリックス材料が繊維状であり、比表面積が大きいため、電解液を保持する性能が極めて高い。従って、少量の添加量によって電解液をゲル化することができる。この結果、従来のゲル化電解質では、電気化学的に不活性なマトリックス材料がゲルの20wt%以上の割合を占めていたのに対し、マトリックス材料の割合を減少させ、内部抵抗の増加を抑制することで、フィルファクタの低下を抑制することが可能になる。
本実施の形態では、前記無機マトリクス材料として、前記金属酸化物微粒子を原料とし、pH10以上の強アルカリ水溶液中での前記水熱反応処理によって得られたマトリクス材料を用いるのが好ましい。この水熱反応処理によって、前記金属酸化物微粒子が繊維状に変化し、比表面積が約100倍に増加する。この比表面積の増加によって、電解液を保持する性能が向上し、少量の添加量で電解液をゲル化することが可能となる。
また、前記水熱反応処理する前記金属酸化物微粒子として、酸化チタンを用いるのが好ましい。酸化チタンの水熱反応処理から得られる繊維状化合物(以下、酸化チタン系ナノワイヤと呼ぶことにする。)は化学的に安定であり、比表面積が大きく、前記無機マトリクス材料として好適である。酸化チタン微粒子の一次粒子サイズとしては1nm〜500nm程度のものが好ましく、中でも数nm〜100nm程度の小粒系のものはワイヤへの転換率が高いため、生産性の面からも好適である。酸化チタン微粒子として、市販の酸化チタン超微粒子または光触媒用酸化チタンなどを用いることが可能である。
強アルカリ水溶液中での前記水熱反応処理は、LiOH、NaOH、KOHから選ばれる少なくとも一つを含む強アルカリ水溶液中で行うのが好ましい。これらのアルカリ金属水酸化物を用いることで、比表面積の大きな繊維状の酸化チタン系ナノワイヤを得ることができる。強アルカリ水溶液のpHは10以上であることが好ましく、反応速度、生産性の面から13以上であることが特に好ましい。
図2は、このようにして得られた酸化チタン系ナノワイヤ粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。細長い繊維状の酸化チタン系ナノワイヤが三次元的にからみあって、隙間の多い構造体が形成されているのが観察された。この隙間に電解液が取り込まれ、電解液がゲル化される。
本実施の形態の色素増感型光電変換装置では、電解質としてアルカリ金属のヨウ化物塩と第4級アンモニウムイオンのヨウ化物塩とのヨウ化物塩およびヨウ素を、非水溶媒またはイオン性液体に溶解させて用い、ヨウ化物塩の全物質量(全モル数)がヨウ素の物質量(モル数)の1〜50倍であるようにする。
アルカリ金属のヨウ化物塩と第4級アンモニウムイオンのヨウ化物塩からヨウ化物イオンI-イオンが供給され、一部がヨウ素と反応し、三ヨウ化物イオンI3 -が生成する。色素増感型光電変換装置の電解質中ではこれらのイオンが拡散によって移動したり、もしくは交換反応によって電荷を交換したりして、電荷を輸送するが、I3 -はイオン半径が大きいため、拡散速度がIに比べて遅い。従って、I-イオン濃度をI3 -イオン濃度以上にすることで、I3 -イオンの供給を円滑にする必要がある。
この際、ヨウ化物塩の全物質量(全モル数)がヨウ素の物質量(モル数)の1〜50倍であるのが好ましく、2〜30倍であるのが更に好ましい。加えて、第4級アンモニウムイオンのヨウ化物塩のモル濃度は、ヨウ素のモル濃度の1〜30倍であり、アルカリ金属のヨウ化物塩のモル濃度は、ヨウ素のモル濃度の0.1〜10倍であるのが好ましい。
具体的には、ヨウ化物塩の全モル濃度、すなわちI-イオンのモル濃度は0.5〜3.0mol/Lであることが好ましく、0.8〜2.0mol/lであることがさらに好ましい。ヨウ素濃度は0.01〜0.5mol/Lであることが好ましく、0.05〜0.2mol/Lであることがさらに好ましい。
電解液を構成する溶媒として、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、および炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。中でもニトリル系、ラクトン系、カーボネート系非水溶媒が特に好ましい。また、溶媒としてテトラアルキル系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系第4級アンモニウム塩の室温イオン性液体を用いることも可能である。
色素増感型光電変換装置10は、電解質層としてゲル化された電解質層4が用いられていることを除けば、従来の色素増感型光電変換装置100と違いはなく、光が入射すると、対向電極5を正極、透明電極(透明導電層)2を負極とする電池として動作する。その原理は次の通りである。
透明基板1および透明電極2を透過してきた光子を光増感色素が吸収すると、光増感色素中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。励起状態の電子は、光増感色素と半導体層3との間の電気的結合を介して、半導体層3の伝導帯に引き出され、半導体層3を通って透明電極2に到達する。
一方、電子を失った光増感色素は、ゲル状電解質層4中の還元剤、例えばI-から下記の反応
2I- → I2 + 2e-
2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、ゲル状電解質層4中に酸化剤、例えばI3 -を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極5に到達し、上記の反応の逆反応
3 - → I2 + I-
2 + 2e- → 2I-
によって対向電極5から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
透明電極2から外部回路へ送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対向電極5に戻る。このようにして、光増感色素にもゲル状電解質層4にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
ゲル状電解質層4以外の部材については、従来の色素増感型光電変換装置100などと同様であるが、以下に詳述する。
透明基板1は、光が透過しやすい材質と形状のものであれば特に限定されるものではなく、種々の基板材料を用いることができるが、特に可視光の透過率が高い基板材料が好ましい。また、色素増感型光電変換装置10に外部から侵入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、また、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。具体的には、石英やガラスなどの透明無機基板、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルフォン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック基板が挙げられる。透明基板1の厚さは特に制限されず、光の透過率や、色素増感型光電変換装置10の内外を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
この透明基板1の表面上に、電子取り出し電極(負極)として透明電極(透明導電層)2が形成されている。透明電極2は、抵抗が小さいほど好ましく、具体的には500Ω/cm2以下であることが好ましく、100Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。透明電極2を形成する材料は、公知の材料が使用可能であり、具体的にはインジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2(FTO)、酸化スズ(IV)SnO2、酸化亜鉛(II)ZnO、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられる。また、これらに限定されるものではなく、2種類以上を組み合わせて用いることができる。透明電極2は、スパッタリング法などによって形成される。
また、電子取り出し路の抵抗を減少させることを目的として、導電材料による配線を透明電極2に接してパターニングして設けることも可能である。導電材料に特に制限は無いが、耐食性、耐酸化性が高く、導電材料自体の漏れ電流は低いことが望ましい。また、耐食性が低い材料でも別途保護層を設けることで使用可能である。また、この配線を腐食などから保護するために、配線をバリア層で被覆することが好ましい。
半導体層3としては、半導体微粒子を焼結させた多孔質膜が用いられることが多い。半導体材料として、シリコンに代表される単体半導体材料の他に、化合物半導体材料またはペロブスカイト構造を有する材料などを用いることができる。これらの半導体材料は、光励起下で伝導帯電子がキャリアとなり、アノード電流を生じるn型半導体材料であることが好ましい。具体的に例示すると、酸化チタンTiO2、酸化亜鉛ZnO、酸化タングステンWO3、酸化ニオブNb25、チタン酸ストロンチウムSrTiO3、および酸化スズSnO2であり、特に好ましくはアナターゼ型の酸化チタンTiO2である。また、半導体材料の種類はこれらに限定されるものでは無く、単独で、もしくは2種類以上を混合または複合化して用いることができる。また、半導体微粒子は粒子状、チューブ状、棒状など必要に応じて様々な形態を取ることが可能である。
半導体層3の製膜方法に特に制限は無いが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合、湿式による製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一に分散させたペースト状の分散液を調製し、透明電極層2を形成した透明基板1の上に塗布または印刷する方法が好ましい。塗布方法または印刷方法に特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、塗布方法としては、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、およびグラビアコート法などを用いることができ、また、湿式印刷方法としては、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、およびスクリーン印刷法などを用いることができる。
酸化チタンを用いる場合、その結晶型は光触媒活性の優れたアナターゼ型が好ましい。アナターゼ型酸化チタンは、粉末状、ゾル状、またはスラリー状の市販品を用いてもよいし、あるいは、酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって、所定の粒径のものを形成してもよい。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、ペースト状分散液の調製時に、乳鉢やボールミルなどを使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解消された粒子が再度凝集するのを防ぐために、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、およびキレート剤などをペースト状分散液に添加することができる。また、ペースト状分散液の粘性を増すために、ポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、あるいはセルロース系の増粘剤などの各種増粘剤をペースト状分散液に添加することもできる。
半導体微粒子の粒径に特に制限は無いが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmが好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。また、半導体微粒子よりも大きいサイズの粒子を混合し、入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する粒子の平均サイズは20〜500nmであることが好ましい。
半導体層3は、多くの光増感色素を吸着することができるように、多孔膜内部の空孔に面する微粒子表面も含めた実表面積の大きいものが好ましい。このため、半導体層3を透明電極2の上に形成した状態での実表面積は、半導体層3の外側表面の面積(投影面積)に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この比に特に上限はないが、通常1000倍程度である。
一般に、半導体層3の厚みが増し、単位投影面積当たりに含まれる半導体微粒子の数が増加するほど、実表面積が増加し、単位投影面積に保持できる色素量が増加するため、光吸収率が高くなる。一方、半導体層3の厚みが増加すると、光増感色素から半導体層3に移行した電子が透明電極2に達するまでに拡散する距離が増加するため、半導体層3内での電荷再結合による電子のロスも大きくなる。従って、半導体層3には好ましい厚さが存在するが、一般的には0.1〜100μmであり、1〜50μmであることがより好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。
半導体層3は、半導体微粒子を透明電極2上に塗布または印刷した後に、微粒子同士を電気的に接続し、半導体層3の機械的強度を向上させ、透明電極2との密着性を向上させるために、焼成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限は無いが、温度を上げ過ぎると、透明電極2の電気抵抗が高くなり、さらには透明電極2が溶融することもあるため、通常は40℃〜700℃が好ましく、より好ましくは40℃〜650℃である。また、焼成時間にも特に制限は無いが、通常は10分〜10時間程度である。
焼成後、半導体微粒子の表面積を増加させたり、半導体微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、例えば、四塩化チタン水溶液や直径10nm以下の酸化チタン超微粒子ゾルによるディップ処理を行ってもよい。透明電極(透明導電層)2を支持する透明基板1としてプラスチック基板を用いている場合には、結着剤を含むペースト状分散液を用いて透明導電層2上に半導体層3を製膜し、加熱プレスによって透明導電層2に圧着することも可能である。
半導体層3に保持させる光増感色素としては、増感作用を示すものであれば特に制限はないが、例えば、ローダミンBや、ローズベンガルや、エオシンや、エリスロシンなどのキサンテン系色素、メロシアニンや、キノシアニンや、クリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニンや、カブリブルーや、チオシンや、メチレンブルーなどの塩基性染料、その他のアゾ色素、クロロフィルや、亜鉛ポルフィリンや、マグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、クマリン系化合物、ルテニウムRuのビピリジン錯体やターピリジン錯体、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、スクアリリウム系色素などが挙げられる。中でも、配位子がピリジン環を有するルテニウムRuのビピリジン錯体は、量子収率が高く、光増感色素として好ましい。ただし、光増感色素はこれに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
光増感色素を半導体層3に保持させる方法に特に制限は無いが、例えば、アルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、および水などの溶媒に色素を溶解させ、この色素溶液に半導体層3を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体層3に塗布して、半導体層3に光増感色素を吸着させるのがよい。また、色素同士の会合を減少させるために、色素溶液にデオキシコール酸などを添加してもよい。
過剰に吸着された色素を除去するために、色素を吸着させた後に、アミン類を用いて半導体層3の表面を処理してもよい。アミン類の例としてピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、イミダゾール系化合物などが挙げられる。これらは、アミン類が液体である場合にはそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解させて用いてもよい。
対向電極5の材料としては、導電性物質であれば任意のものを用いることができるが、絶縁性材料の電解質層4に面している側に導電層が形成されていれば、これも用いることが可能である。ただし、電気化学的に安定である材料を対向電極5の材料として用いることが好ましく、具体的には、白金、金、カーボン、および導電性ポリマーなどを用いることが望ましい。
また、対向電極5での還元反応に対する触媒作用を向上させるために、電解質層4に接している対向電極5の表面には、微細構造が形成され、実表面積が増大するように形成されていることが好ましく、例えば、白金であれば白金黒の状態に、カーボンであれば多孔質カーボンの状態に形成されていることが好ましい。白金黒は、白金の陽極酸化法や塩化白金酸処理などによって、また多孔質カーボンは、カーボン微粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法によって形成することができる。
対向基板6は、光を透過させる必要はないので、材料として、不透明なガラス板、プラスチック板、セラミック板、および金属板を使用してもかまわない。また、透明な対向電極上に透明導電層を形成し、その上に酸化還元触媒作用の高い白金などの金属による配線を形成するか、表面を塩化白金酸処理することによって、透明な対向電極5として用いることもできる。
色素増感型光電変換装置10の製造方法は特に限定されない。ゲル状電解質4は、光増感色素を保持させた半導体層3の表面にヘラなどを用いて塗布する。必要であれば、真空脱気によって電解液を半導体層3に十分に浸透させる。
色素増感型光電変換装置10を封止するには、半導体層3と対向電極5とを、互いに接しないように適当な間隙を設けて対向させ、半導体層3が形成されていない領域で基板1と対向基板6とを貼り合わせる。半導体層3と対向電極5との間隙の大きさに特に制限は無いが、通常1〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmである。この間隙の距離が大きすぎると、導電率が低下し、光電流が減少する。
封止材の材料は特に制限されないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、種々の溶接法、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)、アイオノマー樹脂、セラミック、ガラスフリット、各種熱融着樹脂などを用いることができる。
また、余剰の電解質や気泡を貼り合わせ後に除くための脱気口を設けてもよい。脱気口を設ける場所は、半導体層3およびそれに対向する対向電極6上でなければ、特に限定されない。
完全に脱気した後、脱気口に残った電解質を除去し、脱気口を封止する。この封止方法にも特に制限は無いが、必要であればガラス板やプラスチック基板を封止材で貼り付けて封止することもできる。この封止は、真空シーラーなどを用いて、不活性ガス雰囲気下、もしくは減圧中で行うことが好ましい。封止を行った後、電解質層4の電解液が半導体層3に十分に浸透するように、必要に応じて加熱、加圧の操作を行うことも可能である。
本発明に基づく色素増感型光電変換装置はその用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例では、図1に示した色素増感型光電変換装置10を作製し、光電変換率などの性能を測定し、比較例と比較した。
<色素増感型光電変換装置の作製>
実施例1
半導体層3を形成する原料である酸化チタンTiO2のペーストは、Solaronix社製 Ti-Nanoxide Tを用いた。このTiO2ペーストを、ブレードコーティング法によって、透明基板1上の透明電極(透明導電層)2であるFTO層の上に塗布し、大きさ5mm×5mm、厚さ200μmの正方形の微粒子層を形成した。この後、500℃に30分間保持して、TiO2微粒子をFTO層2上に焼結した。焼結されたTiO2膜を0.05Mの塩化チタン(IV)TiCl4水溶液中に70℃の下で30分間保持した後、洗浄し、再び500℃で30分間焼成を行った。
この後、UV(紫外光)照射装置を用いて半導体層(TiO2焼結体)3に紫外光を30分間照射し、TiO2焼結体に含まれる有機物などの不純物をTiO2の触媒作用によって酸化分解して除去し、TiO2焼結体の活性を高める処理を行った。
次に、tert−ブチルアルコールとアセトニトリルを体積比1:1で混合した混合溶媒に、光増感色素であるシス−ビス(イソチオシアナト)−N,N−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)二テトラブチルアンモニウム塩を、0.3mMの濃度で溶解させ、光増感色素溶液を調製した。半導体層3をこの光増感色素溶液に室温下で24時間浸漬し、半導体層3を構成するTiO2微粒子の表面に光増感色素を保持させた。次に、4−tert−ブチルピリジンのアセトニトリル溶液およびアセトニトリルを順に用いて半導体層3を繰り返し洗浄した後、暗所で溶媒を蒸発させ、乾燥させた。
一方、メトキシプロピオニトリル(MPM)2gに、ヨウ化ナトリウムNaIを0.1mol/Lの濃度で、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド(DMPImI)を1.4mol/Lの濃度で、ヨウ素I2を0.15mol/Lの濃度で、4−tert−ブチルピリジン(TBP)を0.2mol/Lの濃度で溶解させ、電解液を調製した。この電解液では、ヨウ化物イオンI-のモル数がヨウ素I2のモル数の10倍になるように調製されている。
無機マトリックス材料の原料として、酸化チタン粉末(テイカ製AMT−600)を用いた。この粉末を、20mol/Lの濃度の水酸化カリウムKOH水溶液に対し1wt%の割合で加え、超音波処理によって分散させた。次に、オートクレーブ中にて110℃の下で5時間水熱反応させ、酸化チタンナノワイヤを得た。得られた酸化チタンナノワイヤを希塩酸中で十分に洗浄した後、真空乾燥によって水分を除去し、酸化チタンナノワイヤ粉末を得た。得られた粉末を上記の電解液に対して10wt%の割合で加え、1時間超音波処理して分散させた。
得られたゲル状の電解質を半導体層3の表面にヘラを用いて塗布し、ゲル状電解質層4を形成した。半導体層3と対向電極5とをゲル状電解質層4を間に挟んで対向させ、30μmの絶縁性ギャップ球が混合されたUV(紫外線)硬化樹脂にて外周部を封止した。
対向電極5は、FTO層5aの上に厚さ500Åのクロム層および厚さ1000Åの白金層5bを順次スパッタリング法によって積層し、その上に塩化白金酸のイソプロピルアルコール(2−プロパノール)溶液をスプレーコートし、385℃、15分間加熱したものを用いた。
比較例1〜3
ゲル化剤として表1に示す材料を用いた以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。ゲル化剤の混合率(ゲル全体に対する割合)はゲル化に必要な最少量とした。
実施例1および比較例1〜3に関しては、ゲル化剤を添加した電解質をサンプル瓶中で90度の角度に傾け、流動性の有無を調べ、ゲル化されていることを目視にて確認した。
<色素増感型光電変換装置の性能評価>
以上のようにして作製した実施例1および比較例1〜4の色素増感型光電変換装置について、擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2)照射時における電流−電圧曲線のフィルファクタならびに光電変換効率を測定した。表2はこの測定結果を示す表である。
表2からわかるように、本発明の実施例1による色素増感型光電変換装置は、従来のナノコンポジットゲルやポリマーゲルを用いた色素増感型光電変換装置に比べ、フィルファクタおよび光電変換効率が飛躍的に向上していることが分かる。
以上、本発明を実施の形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明に係る光電変換装置は、電解液が液漏れする心配のない、安全性の高い色素増感型太陽電池などに応用され、その普及に寄与する。
本発明の実施の形態に基づく色素増感型光電変換装置の構造を示す要部断面図である。 同、酸化チタン系ナノワイヤの電子顕微鏡写真である。 従来の一般的な色素増感型光電変換装置の構造を示す要部断面図である。
符号の説明
1…透明基板、2…透明電極(透明導電層、負極)、
3…光増感色素を保持した半導体層、4…ゲル状電解質層、5…対向電極(正極)、
6…対向基板、10…光増感型光電変換装置、100…光増感型光電変換装置、
104…電解質層(液状)

Claims (4)

  1. 半導体層と対向電極との間に配置された電解質層を有
    前記電解質層は、金属酸化物の微粒子をpH10以上の強アルカリ水溶液中で水熱反 応処理して得られた無機マトリックス材からなる繊維状の無機マトリックスに電解液が 保持されてゲル状になっている、
    光電変換装置。
  2. 前記金属酸化物が酸化チタンである、請求項に記載した光電変換装置。
  3. 前記水熱反応処理は、水酸化リチウムLiOH、水酸化ナトリウムNaOH、及び水酸化カリウムKOHからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基を含む水溶液中で行われる、請求項に記載した光電変換装置。
  4. 前記半導体層に光増感色素が保持され、光吸収によって励起された前記光増感色素の電子が前記半導体層へ取り出されるとともに、前記電子を失った前記光増感色素は、前記電解質層中の還元剤によって還元される色素増感型光電変換装置として構成されている、請求項1に記載した光電変換装置。
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