JP2007242544A - 光電変換装置及びその製造方法、並びに金属酸化物多孔質層の表面処理液 - Google Patents
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Abstract
【課題】 繰り返し使用が可能な金属酸化物多孔質層の表面処理液、並びに、発電特性の優れた太陽電池などの色素増感型光電変換装置などとして応用でき、再現性よく製造できる光電変換装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 色素増感型光電変換装置10を、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV))などの透明導電層2、光増感色素を保持した半導体電極層(負極)3、電解質層4、対向電極(正極)5、対向基板6などで構成する。半導体電極層3としては、酸化チタンTiO2の微粒子を焼結させた多孔質層を用いる。この多孔質層に、反応して多孔質層と同じ酸化チタンを生成する金属化合物と有機溶媒とからなる表面処理液を含浸させ、溶媒を蒸発させた後、加熱処理して、多孔質層を構成する酸化チタン微粒子の表面に酸化チタンを追加的に形成し、多孔質層の実表面積を増加させ、微粒子間のネッキングを強化する。
【選択図】 図1
【解決手段】 色素増感型光電変換装置10を、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV))などの透明導電層2、光増感色素を保持した半導体電極層(負極)3、電解質層4、対向電極(正極)5、対向基板6などで構成する。半導体電極層3としては、酸化チタンTiO2の微粒子を焼結させた多孔質層を用いる。この多孔質層に、反応して多孔質層と同じ酸化チタンを生成する金属化合物と有機溶媒とからなる表面処理液を含浸させ、溶媒を蒸発させた後、加熱処理して、多孔質層を構成する酸化チタン微粒子の表面に酸化チタンを追加的に形成し、多孔質層の実表面積を増加させ、微粒子間のネッキングを強化する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、太陽電池などの色素増感型光電変換装置などとして応用できる光電変換装置及びその製造方法、並びにその製造に用いられる金属酸化物多孔質層の表面処理液に関するものである。
エネルギー源として石炭や石油などの化石燃料を使用する場合、その結果発生する二酸化炭素によって、大気の温暖化がもたらされることが懸念されている。また、原子力エネルギーの利用には、核分裂を制御する困難や、生成する放射性元素による放射能汚染の危険性などが伴う。地球環境の保全が重要な課題となっている現在、これらのエネルギー源に依存し続けていくことは大変問題が多い。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光を利用する太陽電池が注目され、種々の研究が行われている。太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置の1種であり、太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に対する影響が極めて小さく、より一層の普及が期待されている。
太陽電池の原理や材料として、様々なものが検討されている。そのうち、半導体のpn接合を利用する太陽電池は、現在最も普及しており、シリコンを半導体材料とした太陽電池が多数市販されている。これらは、単結晶または多結晶のシリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池と、非晶質(アモルファス)のシリコンを用いたアモルファスシリコン系太陽電池とに大別される。
太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する性能を表す光電変換効率は、結晶シリコン系太陽電池の方がアモルファスシリコン系太陽電池に比べて高いので、従来、太陽電池には結晶シリコン系太陽電池が多く用いられてきた。しかし、結晶シリコン系太陽電池は、結晶成長に多くのエネルギーと時間とを要するため、生産性が低く、コスト高になる。
一方、アモルファスシリコン系太陽電池には、結晶シリコン系太陽電池に比べてより広い波長領域の光を吸収して利用することができることや、種々の材質の基板材料を選択することができて大面積化が容易であることなどの特徴がある。また、結晶化が不要であるため、結晶シリコン系太陽電池に比べると、生産性よく低コストで製造できる。しかし、光電変換効率は結晶シリコン系太陽電池よりも低い。
いずれのシリコン系太陽電池でも、高純度の半導体材料を製造する工程やpn接合を形成する工程が必要であるため、製造工程数が多くなるという問題点や、真空下での製造工程が必要であるため、設備コストおよびエネルギーコストが高くなるという問題点がある。
以上のような問題点がなく、より低コストで製造できる太陽電池を実現するために、シリコン系材料に代えて有機材料を用いる太陽電池が多く研究されてきたが、これらの多くは光電変換効率が1%以下と非常に低く、耐久性にも問題があった。
しかしながら、1991年に色素によって増感された光誘起電子移動を応用した色素増感型光化学電池(光電変換装置)が提案された(特許公報第2664194号(第2及び3頁、図1)およびB.O’Regan and M.Graetzel,Nature,353,p.737-740(1991)など参照。)。この光電変換装置は、光増感色素の光吸収領域が可視光領域を中心として幅広い波長領域にわたっており、高い光電変換効率を有し、しかも、真空装置などの大掛かりな製造装置を必要とせず、酸化チタンなどの安価な半導体材料を用いて、簡易に生産性よく製造できるため、新世代の太陽電池として期待されている。
図3は、従来の一般的な色素増感型光電変換装置100の構造を示す要部断面図である。色素増感型光電変換装置100は、主として、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2)などの透明導電層2、光増感色素を保持した半導体電極層103(負極)、電解質層4、対向電極(正極)5、対向基板6、および(図示省略した)封止材などで構成されている。
半導体電極層103としては、酸化チタンTiO2などの金属酸化物半導体の微粒子を焼結させた多孔質層が用いられることが多く、半導体電極層103を構成する微粒子の表面に光増感色素が保持されている。電解質層4は半導体電極層103と対向電極5との間に充填され、I-/I3 -などの酸化還元種(レドックス対)を含む有機電解液などが用いられる。対向電極5は白金層5bなどで構成され、対向基板6の上に形成されている。
色素増感型光電変換装置100は、光が入射すると、対向電極5を正極、半導体電極層103を負極とする電池として動作する。その原理は次の通りである。
透明基板1および透明導電層2を透過してきた光子を光増感色素が吸収すると、光増感色素中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。励起状態の電子は、光増感色素と半導体電極層103との間の電気的結合を介して、半導体電極層103の伝導帯に引き出され、半導体電極層103を通って透明導電層2に到達する。
一方、電子を失った光増感色素は、電解質層4中の還元剤、例えば、ヨウ化物イオンI-から下記の反応
2I- → I2 + 2e-
I2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層4中に酸化剤、例えば、三ヨウ化物イオンI3 -(I2とI-との結合体)を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極5に到達し、上記の反応の逆反応
I3 - → I2 + I-
I2 + 2e- → 2I-
によって対向電極5から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
2I- → I2 + 2e-
I2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層4中に酸化剤、例えば、三ヨウ化物イオンI3 -(I2とI-との結合体)を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極5に到達し、上記の反応の逆反応
I3 - → I2 + I-
I2 + 2e- → 2I-
によって対向電極5から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
透明導電層2から外部回路へ送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対向電極5に戻る。このようにして、光増感色素にも電解質層4にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
光電変換装置を効果的に動作させるためには、光電変換装置に入射してくる光を最大限に利用できるように、光吸収率を高めることが重要である。色素増感型光電変換装置では、光吸収は光増感色素によって担われるから、入射光に対して最適な光吸収特性を有する光増感色素を選択することによって、最高の光吸収率を実現できる。例えば、太陽電池として応用する場合に高い光吸収率を実現するには、可視光近辺の波長300〜900nmの光を効果的に吸収できる光増感色素を選択することが望ましく、ルテニウム錯体などが用いられる。
図4は、上述した酸化チタンTiO2などの多孔質層からなる半導体電極層103を作製する一般的な工程を示すフロー図である。以下、図4を用いて、主として酸化チタンTiO2を材料として半導体電極層103を作製する場合について説明する。
この作製方法では、まず、十数nmから数十nmのサイズの酸化チタンTiO2などの金属酸化物微粒子を分散させたペースト状の分散液を調製する。この分散液を、透明基板1に形成された透明導電層2の上に塗布法などによって被着させた後、溶媒を蒸発させ、金属酸化物微粒子層を形成する。
次に、この金属酸化物微粒子層を空気中で450〜550℃の高温にて30分間ほど加熱処理する。この焼結工程では、微粒子同士が接点近傍で融着し、微粒子間が細い連結部を介してネットワーク状に連結され、微粒子間の空隙が空孔として残され、金属酸化物多孔質層が形成される(以下、接点近傍での融着によって微粒子間が細い連結部を介して連結される現象をネッキングと言い、この様な連結を形成する工程をネッキング処理と言うことがある。)。
焼結工程で形成される微粒子間の連結部は、微粒子間の電子の通路(パス)を形成する。従って、色素増感型光電変換装置100の光電変換特性はネッキングの状態に大きく依存し、ネッキング処理が十分行われ、微粒子間の連結性が高いほど、電子の流れがスムーズになり、光電変換特性も向上する。しかし、通常、ネッキング処理は加熱をともなうため、過度に行われると、微粒子同士が必要以上に融着してしまい、空孔がつぶれて、多孔質層の実表面積が減少する。この実表面積の減少は、半導体電極層103の表面における光増感色素の保持や電極反応の進行に不利である。従って、焼結工程は、適切な処理温度および処理時間に制御して行う必要がある。
なお、多孔質層では、外側表面の面積(投影面積)に比べて、多孔質層内部の空孔に面する構成微粒子の表面の面積が数倍〜数千倍の大きさに達する。従って、多孔質層における光増感色素の保持や電極反応の進行は、主として、多孔質層内部の空孔に面する表面において行われる。そこで、本明細書では、多孔質層内部の空孔に面する表面も含めて、多孔質層を構成する微粒子の全表面積を実表面積と呼んで、多孔質層の外側表面の面積(投影面積)と区別する。また、本明細書でいう多孔質層の表面処理とは、多孔質層内部の空孔に面する表面を主とする、構成微粒子の全表面に対する処理を言うものである。
焼結後、多孔質層の実表面積を増加させたり、微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、多孔質層の表面処理、例えば、四塩化チタン水溶液処理や、直径10nm以下の酸化チタン超微粒子ゾルによるディップ処理などを行うのが一般的である。四塩化チタン水溶液処理では、例えば、0.05M程度の濃度の四塩化チタン水溶液中に酸化チタンTiO2多孔質層を70℃で30分間保持する。続いて蒸留水で洗浄した後、450〜550℃の高温にて30分間ほど加熱処理する(後述の非特許文献1および2参照。)。
この四塩化チタン水溶液処理では、四塩化チタンの加水分解によって、多孔質層を構成する酸化チタン微粒子の表面に、ナノサイズの高純度の酸化チタン微粒子が新たに形成される。この追加的に形成された酸化チタン微粒子の表面は、光電変換活性の高い領域として機能するとされている(後述の非特許文献2参照。)。また、漏れ電流の抑制によって短絡電流密度を向上させる効果や、微粒子間の連結性を向上させることによって微粒子間の導電性を改善させる効果などがあるとも言われている(後述の非特許文献3参照。)。
次に、このようにして作製された半導体電極層103に光増感色素を保持させる工程を行う。
Z-S. Wang, T. Yamaguchi, H. Sugihara, H. Arakawa, Langmuir, 21, p.4272-4276 (2005)(第4273頁、左欄)
M. K. Nazeeruddin, A. Kay, I. Rodicio, R. Humphry-Baker, E. Mueller, P. Liska, N. Vlachopoulos, M. Graetzel, J. Am. Chem. Soc., 115(14), p.6382-6390 (1993)(第6384頁、左欄)
平成15年度(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 受託研究(委託業務)成果報告書、「太陽光発電技術研究開発 革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発 高性能色素増感太陽電池技術の研究開発」(平成16年3月)、(第67、88及び89頁、図2−3−1)
しかしながら、上記の四塩化チタン水溶液処理では、四塩化チタン水溶液が半導体電極層103の多孔質層と接触している間は、多孔質層の空孔内での四塩化チタンの加水分解と酸化チタン微粒子の成長が続いている。このため、粒子成長の進行の度合いによっては、成長する酸化チタン微粒子によって空孔の周囲の微粒子が押しのけられ、その結果、多孔質層の構造が破壊され、半導体電極層103が割れたり、透明基板1から剥離したりすることが起こる。このため、四塩化チタン水溶液処理では、処理液の濃度や温度、処理時間などの精密な制御が要求される。また、この処理方法は、四塩化チタンの加水分解反応をともなうため、使用後の処理液を再利用することはできないという問題点もある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、反応量の制御が容易で、かつ、繰り返し使用が可能な金属酸化物多孔質層の表面処理液、並びに、発電特性の優れた太陽電池などの色素増感型光電変換装置などとして応用でき、再現性よく製造できる光電変換装置及びその製造方法を提供することである。
即ち、本発明は、金属酸化物多孔質層の表面処理液であって、
反応して前記金属酸化物多孔質層と同種の金属酸化物を生成する金属化合物を溶質として含み、
溶媒が有機溶媒を主たる成分とする
溶液からなる、金属酸化物多孔質層の表面処理液に係わるものである。
反応して前記金属酸化物多孔質層と同種の金属酸化物を生成する金属化合物を溶質として含み、
溶媒が有機溶媒を主たる成分とする
溶液からなる、金属酸化物多孔質層の表面処理液に係わるものである。
また、半導体電極層と対向電極との間に電解質層が配置された光電変換装置の製造方法であって、
金属酸化物微粒子同士が融着して、前記金属酸化物微粒子間が細い連結部を介してネ ットワーク状に連結し、前記金属酸化物微粒子間の空隙が空孔として残された金属酸化 物多孔質層に、
反応して前記金属酸化物多孔質層と同種の金属酸化物を生成する金属化合物を溶質と して含み、溶媒が有機溶媒を主たる成分とする溶液からなる、金属酸化物多孔質層の表 面処理液を含浸させた後、
前記金属酸化物多孔質層を構成する前記金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金 属酸化物を前記反応によって生成させ、前記半導体電極層を形成する、
光電変換装置の製造方法に係わるものである。
金属酸化物微粒子同士が融着して、前記金属酸化物微粒子間が細い連結部を介してネ ットワーク状に連結し、前記金属酸化物微粒子間の空隙が空孔として残された金属酸化 物多孔質層に、
反応して前記金属酸化物多孔質層と同種の金属酸化物を生成する金属化合物を溶質と して含み、溶媒が有機溶媒を主たる成分とする溶液からなる、金属酸化物多孔質層の表 面処理液を含浸させた後、
前記金属酸化物多孔質層を構成する前記金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金 属酸化物を前記反応によって生成させ、前記半導体電極層を形成する、
光電変換装置の製造方法に係わるものである。
また、半導体電極層と対向電極との間に電解質層が配置された光電変換装置において、
前記半導体電極層が、金属酸化物微粒子同士が融着して、前記金属酸化物微粒子間が 細い連結部を介してネットワーク状に連結され、前記金属酸化物微粒子間の空隙が空孔 として残された金属酸化物多孔質層からなり、
前記金属酸化物多孔質層を構成する前記金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金 属酸化物が追加形成されている、
光電変換装置に係わるものである。
前記半導体電極層が、金属酸化物微粒子同士が融着して、前記金属酸化物微粒子間が 細い連結部を介してネットワーク状に連結され、前記金属酸化物微粒子間の空隙が空孔 として残された金属酸化物多孔質層からなり、
前記金属酸化物多孔質層を構成する前記金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金 属酸化物が追加形成されている、
光電変換装置に係わるものである。
本発明の金属酸化物多孔質層の表面処理液は、反応して前記金属酸化物多孔質層と同種の金属酸化物を生成する金属化合物を溶質として含んでいるため、前記金属酸化物多孔質層を構成する金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金属酸化物層又は金属酸化物微粒子を追加的に形成する表面処理を行うことができる。この新たに形成される金属酸化物は、前記金属酸化物多孔質層を構成する金属酸化物と同種の酸化物であるため、焼成すれば前記金属酸化物多孔質層と融着して、その一部として機能する。
この結果、前記表面処理液による表面処理は、前記金属酸化物多孔質層の実表面積を増加させ、光増感色素の保持や電極反応の進行に好適な場所を増加させる。また、追加的に形成される金属酸化物には、漏れ電流の抑制によって短絡電流密度を向上させる効果や、微粒子間の連結性を向上させることによって微粒子間の導電性を改善させる効果などもある。
前記反応としては、前記金属化合物から前記金属酸化物が生成する反応であればよく、特に制限されるものではない。例えば、塩化物などが雰囲気中の水分と反応して、加水分解によって水酸化物や酸化物を生成する反応や、有機塩や錯体が空気中の酸素との反応によって酸化分解する反応や、オキソ酸塩が熱分解によって酸化物に変化する反応などを挙げることができる。前記反応は、加熱や光照射によって引き起こされるが、また、過酸化水素などの酸化剤を作用させることによって起こさせることもできる。なお、酸化物以外の生成物は気体として除かれるものであることが望ましい。
また、本発明の光電変換装置の製造方法では、
金属酸化物微粒子同士が融着して、前記金属酸化物微粒子間が細い連結部を介してネ ットワーク状に連結し、前記金属酸化物微粒子間の空隙が空孔として残された金属酸化 物多孔質層に前記表面処理液を含浸させた後、
前記金属酸化物多孔質層を構成する前記金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金 属酸化物を前記反応によって生成させる。
金属酸化物微粒子同士が融着して、前記金属酸化物微粒子間が細い連結部を介してネ ットワーク状に連結し、前記金属酸化物微粒子間の空隙が空孔として残された金属酸化 物多孔質層に前記表面処理液を含浸させた後、
前記金属酸化物多孔質層を構成する前記金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金 属酸化物を前記反応によって生成させる。
本発明の金属酸化物多孔質層の表面処理液は、溶媒が有機溶媒を主たる成分とする溶液であるため、室温近辺で前記金属酸化物多孔質層に前記表面処理液を含浸させただけでは、ほとんど前記金属化合物の加水分解反応は起こらない。この結果、加水分解による前記処理液の劣化が抑えられ、前記処理液を繰り返し利用することができるため、材料コストの削減が可能となる。
また、前記製造方法では、前記金属酸化物多孔質層に前記表面処理液を含浸させることによって、いわば前記空孔によってはかり取られた前記表面処理液に含まれる前記金属化合物の前記反応によって、前記空孔に金属酸化物が形成される。このため、前記空孔内で無制限に粒子成長が起こるようなことはなく、膜の割れ、剥離が起こらず、後に実施例で示すように、半導体電極層の作製において歩留まりが大きく改善する。
本発明の光電変換装置は、本発明の光電変換装置の製造方法によって製造される光電変換装置であって、歩留まりよく製造でき、しかも、後に実施例で示すように、従来の表面処理方法によって作製された光電変換装置と同等の光電変換特性を有している。
本発明の金属酸化物多孔質層の表面処理液及び光電変換装置の製造方法において、前記溶媒に水分が0〜10体積%の割合でしか含まれないのがよい。前記溶媒に含まれる水分は、できるだけ少ないのが好ましく、全く含まれないのが最も好ましい。しかし、市販の前記金属化合物は水溶液として提供されることがあるので、このような市販品を用いる場合には、水分の割合が0〜10体積%になるように調整して用いるのがよい。
また、前記金属化合物を構成する金属元素の、前記溶液中の濃度が、1mM以上、1M以下であるのがよい。前述したように、前記製造方法では、前記金属酸化物多孔質層に前記表面処理液を含浸させることによって、いわば前記空孔によってはかり取られた前記表面処理液に含まれる前記金属化合物の前記反応によって、前記空孔に金属酸化物が形成される。従って、前記空孔に面する前記金属酸化物微粒子の表面に追加的に堆積される金属酸化物の量は、前記表面処理液における前記金属化合物の濃度によって調整される。前記表面処理液の濃度が小さすぎると、追加的に堆積される金属酸化物が不足して表面処理の効果が十分ではなく、前記表面処理液の濃度が大きすぎると、追加的に堆積される金属酸化物が多くなりすぎ、前記空孔内が塞がれてしまい、かえって実表面積が減少する。従って、上記のような適切な濃度範囲が存在し、例えば50mM程度が最も好ましいと考えられる。
また、前記金属化合物を構成する金属元素がチタンであるのがよい。色素増感型光電変換装置の半導体電極層としては、酸化チタンからなる金属酸化物多孔質層が一般的に用いられているから、応用上、前記金属化合物がチタン化合物である場合が最も重要である。
本発明の光電変換装置の製造方法において、前記金属酸化物多孔質層を前記表面処理液中に浸漬させるか、又は、前記金属酸化物多孔質層に前記表面処理液を滴下することによって、前記表面処理液を前記金属酸化物多孔質層に含浸させるのがよい。
また、前記金属酸化物多孔質層に含浸させた前記表面処理液の前記溶媒を蒸発によって除去した後、前記反応を行わせるのがよい。
また、前記反応を600℃以下の温度で行わせるのがよい。前記金属化合物の前記反応を十分に行わせるためにはある程度の高温に加熱するのが望ましいが、高すぎると、既述したように、前記金属酸化物微粒子同士が過度に融着して、前記金属酸化物多孔質層の実表面積が減少するので、不都合である。
本発明の光電変換装置は、前記半導体電極層に光増感色素が保持され、光吸収によって励起された前記光増感色素の電子が前記半導体電極層へ取り出されるとともに、前記電子を失った前記光増感色素は、前記電解質層中の還元剤によって還元される色素増感型光電変換装置として構成されているのがよい。
以下、本発明の実施の形態に基づき、色素増感型光電変換装置として構成された光電変換装置について、詳細を図面参照下に具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に基づく色素増感型光電変換装置10の構造を示す要部断面図である。色素増感型光電変換装置10は、主として、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2)などの透明導電層2、光増感色素を保持した半導体電極層3(負極)、電解質層4、対向電極(正極)5、対向基板6、および(図示省略した)封止材などで構成されている。
半導体電極層3は、酸化チタンTiO2などの金属酸化物半導体微粒子を焼結させた多孔質層であり、半導体電極層3を構成する微粒子の表面に光増感色素が保持されている。電解質層4は半導体電極層3と対向電極5との間に配置され、I-/I3 -などの酸化還元種(レドックス対)を含む有機電解液などで構成されている。対向電極5は白金層5bなどからなり、対向基板6の上に形成されている。
図2は、上述した半導体電極層3を作製する工程を示すフロー図である。以下、図2を用いて、主として酸化チタンTiO2を材料として半導体電極層3を作製する場合について説明する。
この作製方法では、従来と同様、まず、十数nmから数十nmのサイズの酸化チタンTiO2などの金属酸化物半導体微粒子をペースト状に分散させた分散液を調製する。この分散液を、透明基板1に形成された透明導電層2の上に塗布法などによって被着させた後、溶媒を蒸発させ、金属酸化物微粒子層を形成する。
次に、従来と同様、この金属酸化物微粒子層を空気中で450〜550℃程度の高温にて30分間ほど加熱処理する。この焼結工程では、微粒子同士が接点近傍で融着し、微粒子間が細い連結部を介してネットワーク状に連結され、微粒子間の空隙が空孔として残され、金属酸化物多孔質層が形成される。焼結工程で形成される微粒子間の連結部は、微粒子間の電子の通路(パス)を形成する。従って、色素増感型光電変換装置10の光電変換特性はネッキングの状態に大きく依存し、ネッキング処理が十分行われ、微粒子間の連結性が高いほど、電子の流れがスムーズになり、光電変換特性も向上する。しかし、通常、ネッキング処理は加熱をともなうため、過度に行われると、微粒子同士が必要以上に融着してしまい、空孔がつぶれて、多孔質層の実表面積が減少する。この実表面積の減少は、半導体電極層3の表面における光増感色素の保持や電極反応の進行に不利である。従って、焼結工程は、適切な処理温度および処理時間に制御して行う必要がある。
焼結後、多孔質層の表面積を増加させたり、微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、本発明の特徴である金属酸化物多孔質層の表面処理液による表面処理を行う。この処理では、まず、表面処理液を金属酸化物多孔質層の空孔内へ含浸させる。
表面処理液を金属酸化物半導体多孔質層の空孔内へ含浸させる方法に特に制限はないが、金属酸化物半導体多孔質層を処理液中へディップさせる方法、又は処理液を金属酸化物半導体多孔質層上に滴下する方法が簡便である。また、ディップコーターやスピンコーターを用いることも可能である。金属酸化物半導体多孔質層内に処理液を含浸させる際、必要に応じて加熱、加圧・減圧などの操作を行っても構わない。処理後は余剰の処理液を除去するため、適当な溶媒で電極を洗浄することが好ましい。
次に、溶媒を蒸発させ除去する。金属酸化物半導体多孔質層の空孔内に含浸された表面処理液に含まれる金属化合物は、溶媒が蒸発して除かれると空孔表面に付着する。
表面処理液を構成する金属元素は、金属酸化物多孔質層の構成材料に基づいて選択される。一般に、色素増感型光電変換装置10の半導体電極層3の構成材料としては酸化チタンが用いられるから、本実施の形態で用いる表面処理液は金属化合物としてチタン化合物、例えば四塩化チタンなどを含んでいる。この処理液が従来の四塩化チタン水溶液と異なっている点は、溶媒が有機溶媒を主成分とする点である。溶媒における水分量は、0〜50体積%であることが好ましく、0〜10体積%であることがより好ましく、全く水が含まれないのが最も好ましい。処理液中の水分量が少ないほど、金属化合物の加水分解による処理液の劣化が抑えられる。逆に、水分量が多い場合には、加水分解が顕著に起こり、処理液の劣化が早まることになる。
有機溶媒の種類は特に限定されないが、金属元素成分と反応せず、表面処理液が安定に存在可能なものが好ましい。具体的にはアルコール類、エステル類、芳香族系化合物、炭化水素類などである。また、粘性が小さく、金属酸化物多孔質層に含浸させやすいものであることが望ましい。
表面処理液中の金属元素の濃度は1mM〜1M程度が好ましい。濃度が小さすぎる場合には、追加的に堆積される金属酸化物が不足して表面処理の効果が十分ではなく、大きすぎる場合には、追加的に堆積される金属酸化物が多くなりすぎ、空孔内を塞いでしまうため、かえって金属酸化物多孔質層の実表面積が減少する。従って、上記のような適切な濃度範囲が存在し、例えば50mM程度が最も好ましいと考えられる。
次に、金属酸化物半導体多孔質層を空気中で室温以上、600℃以下の温度に加熱する。この空気中での加熱処理によって、金属化合物の加水分解、酸化分解、熱分解などの反応が引き起こされ、金属化合物は金属酸化物に変化する。このときの温度は、低すぎると金属化合物が金属酸化物へ十分に変化しないので、ある程度の高温に加熱するのが望ましいが、高すぎると、金属酸化物微粒子同士が過度に融着して、金属酸化物多孔質層の実表面積が減少するので、600℃以下の温度に加熱する。
ここで追加的に生成した金属酸化物は、同時に起こる焼結工程によって金属酸化物多孔質層と融着して、金属酸化物多孔質層の実表面積を増加させ、微粒子間のネッキングを補う効果がある。
次に、このようにして作製された半導体電極層3の上に、従来と同様、光増感色素を保持させる工程を行う。
上述した表面処理方法の違いを除けば、色素増感型光電変換装置10の半導体電極層3は、従来の色素増感型光電変換装置100の半導体電極層103などと同じであるが、以下に詳述する。
半導体電極層3をなす多孔質層を形成する半導体微粒子の材料としては、金属酸化物半導体材料などの化合物半導体材料、またはペロブスカイト構造を有する材料などを用いることができる。これらの半導体材料は、光励起下で伝導帯電子がキャリアとなり、アノード電流を生じるn型半導体材料であることが好ましい。具体的に例示すると、酸化チタンTiO2、酸化亜鉛ZnO、酸化タングステンWO3、酸化ニオブNb2O5、チタン酸ストロンチウムSrTiO3、および酸化スズSnO2などであり、特に好ましくはアナターゼ型の酸化チタンTiO2である。また、半導体材料の種類はこれらに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合または複合化して用いることができる。また、半導体微粒子は、粒子状、チューブ状、棒状など、必要に応じて様々な形態を取ることが可能である。
半導体電極層3の製膜方法に特に制限は無いが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合、湿式による製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一に分散させたペースト状の分散液を調製し、透明導電層2を形成した透明基板1の上に塗布または印刷する方法が好ましい。塗布方法または印刷方法に特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、塗布方法としては、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、およびグラビアコート法などを用いることができ、また、湿式印刷方法としては、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、およびスクリーン印刷法などを用いることができる。この他、半導体微粒子を分散したゾル溶液内で電解析出させる方法も用いることができる。
酸化チタンを用いる場合、その結晶型は光触媒活性の優れたアナターゼ型が好ましい。アナターゼ型酸化チタンは、粉末状、ゾル状、またはスラリー状の市販品を用いてもよいし、あるいは、酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって、所定の粒径のものを形成してもよい。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、ペースト状分散液の調製時に、乳鉢やボールミルなどを使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解消された粒子が再度凝集するのを防ぐために、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、およびキレート剤などをペースト状分散液に添加することができる。また、ペースト状分散液の粘性を増すために、ポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、あるいはセルロース系の増粘剤などの各種増粘剤をペースト状分散液に添加することもできる。
半導体微粒子の粒径に特に制限は無いが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmが好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。また、半導体微粒子よりも大きいサイズの粒子を混合し、入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する粒子の平均サイズは20〜500nmであることが好ましい。
半導体電極層3は、多くの光増感色素を吸着することができるように、多孔質層内部の空孔に面する微粒子表面も含めた実表面積の大きいものが好ましい。このため、半導体電極層3を透明導電層2の上に形成した状態での実表面積は、半導体電極層3の外側表面の面積(投影面積)に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この比に特に上限はないが、通常1000倍程度である。
一般に、半導体電極層3の厚みが増し、単位投影面積当たりに含まれる半導体微粒子の数が増加するほど、実表面積が増加し、単位投影面積に保持できる色素量が増加するため、光吸収率が高くなる。一方、半導体電極層3の厚みが増加すると、光増感色素4から半導体電極層3に移行した電子が透明導電層2に達するまでに拡散する距離が増加するため、半導体電極層3内での電荷再結合による電子のロスも大きくなる。従って、半導体電極層3には好ましい厚さが存在するが、一般的には0.1〜100μmであり、1〜50μmであることがより好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。
半導体電極層3は、金属酸化物微粒子層を透明導電層2上に塗布法または印刷法で形成した後に、微粒子同士を電気的に接続し、半導体電極層3の機械的強度を向上させ、透明導電層2との密着性を向上させるために、焼結することが好ましい。焼結温度の範囲に特に制限は無いが、温度を上げ過ぎると、透明導電層2の電気抵抗が高くなり、さらには透明導電層2が溶融することもあるため、通常は40℃〜700℃が好ましく、より好ましくは40℃〜650℃である。また、焼結時間にも特に制限は無いが、通常は10分〜10時間程度である。透明導電層2を支持する透明基板1としてプラスチック基板を用いている場合には、結着剤を含むペースト状分散液を用いて透明導電層2上に半導体電極層3を製膜し、加熱プレスによって透明導電層2に圧着することも可能である。
色素増感型光電変換装置10は、光が入射すると、対向電極5を正極、半導体電極層3を負極とする電池として動作する。その原理は、従来の色素増感型光電変換装置100と違いはなく、次の通りである。
透明基板1および透明導電層2を透過してきた光子を光増感色素が吸収すると、光増感色素中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。励起状態の電子は、光増感色素と半導体電極層3との間の電気的結合を介して、半導体電極層3の伝導帯に引き出され、半導体電極層3を通って透明導電層2に到達する。
一方、電子を失った光増感色素は、電解質層4中の還元剤、例えばI-から下記の反応
2I- → I2 + 2e-
I2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層4中に酸化剤、例えばI3 -を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極5に到達し、上記の反応の逆反応
I3 - → I2 + I-
I2 + 2e- → 2I-
によって対向電極5から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
2I- → I2 + 2e-
I2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層4中に酸化剤、例えばI3 -を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極5に到達し、上記の反応の逆反応
I3 - → I2 + I-
I2 + 2e- → 2I-
によって対向電極5から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
透明導電層2から外部回路へ送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対向電極5に戻る。このようにして、光増感色素にも電解質層4にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
半導体電極層3以外の部材についても、色素増感型光電変換装置10は、従来の色素増感型光電変換装置100などと同様であるが、以下に詳述する。
透明基板1は、光が透過しやすい材質と形状のものであれば特に限定されるものではなく、種々の基板材料を用いることができるが、特に可視光の透過率が高い基板材料が好ましい。また、色素増感型光電変換装置10に外部から侵入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、また、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。具体的には、石英、サファイア、ガラスなどの透明無機基板、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルフォン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック基板が挙げられる。透明基板1の厚さは特に制限されず、光の透過率や、色素増感型光電変換装置10の内外を遮断する遮断性能や、機械的強度などを勘案して、適宜選択することができる。
この透明基板1の表面上に、電子取り出し路として透明導電層2が形成されている。透明導電層2は、シート抵抗が小さいほど好ましく、具体的には500Ω/cm2以下であることが好ましく、100Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。透明導電層2を形成する材料は、公知の材料が使用可能であり、具体的にはインジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2(FTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(IV)SnO2(ATO)、酸化スズ(IV)SnO2などが挙げられる。また、これらに限定されるものではなく、2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、電子取り出し路の抵抗を減少させ、集電効率を向上させることを目的として、導電材料による配線を透明導電層2に接してパターニングして設けることも可能である。導電材料に特に制限は無いが、導電性の高い金属やカーボンなどがよい。
半導体電極層3に保持させる光増感色素としては、増感作用を示すものであれば特に制限はないが、例えば、ローダミンBやローズベンガルやエオシンやエリスロシンなどのキサンテン系色素、メロシアニンやキノシアニンやクリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニンやカブリブルーやチオシンやメチレンブルーなどの塩基性染料、その他のアゾ色素、クロロフィルや亜鉛ポルフィリンやマグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、クマリン系化合物、ルテニウムRuのビピリジン錯体やテルピリジン錯体、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、スクアリリウム系色素などが挙げられる。中でも、配位子がピリジン環を有するルテニウムRuのビピリジン錯体は、量子収率が高く、光増感色素として好ましい。ただし、光増感色素はこれに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
光増感色素を半導体電極層3に保持させる方法に特に制限は無いが、例えば、アルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、および水などの溶媒に色素を溶解させ、この色素溶液に半導体電極層3を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体電極層3に塗布して、半導体電極層3に光増感色素を吸着させるのがよい。また、色素同士の会合を減少させるために、色素溶液にデオキシコール酸などを添加してもよい。
色素を吸着させた後に、アミン類を用いて半導体電極層3の表面を処理してもよい。アミン類の例としてピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、イミダゾール系化合物などが挙げられる。これらは、アミン類が液体である場合にはそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解させて用いてもよい。
電解質層4としては、電解液、またはゲル状あるいは固体状の電解質が使用可能である。電解質としては、酸化還元系(レドックス対)を含む溶液が挙げられ、具体的には、ヨウ素I2と金属ヨウ化物塩または有機ヨウ化物塩との組み合わせや、臭素Br2と金属臭化物塩または有機臭化物塩との組み合わせを用いる。金属ハロゲン化物塩を構成するカチオンは、リチウムLi+、ナトリウムNa+、カリウムK+、セシウムCs+、マグネシウムMg2+、およびカルシウムCa2+などであり、有機ハロゲン化物塩を構成するカチオンは、テトラアルキルアンモニウムイオン類、ピリジニウムイオン類、イミダゾリウムイオン類などの第4級アンモニウムイオンが好適であるが、これらに限定されるものでは無く、単独もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
これらのほか、電解質として、フェロシアン酸塩とフェリシアン酸塩との組み合わせや、フェロセンとフェリシニウムイオンとの組み合わせなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオールとアルキルジスルフィドとの組み合わせなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノンとキノンとの組み合わせなどを用いることができる。
上記の中でも特に、ヨウ素I2と、ヨウ化リチウムLiI、ヨウ化ナトリウムNaI、またはイミダゾリウムヨーダイドなどの第4級アンモニウム化合物とを組み合わせた電解質が好適である。電解液における電解質塩の濃度は0.05M〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.1M〜3Mである。ヨウ素I2または臭素Br2の濃度は0.0005M〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.5Mである。また、開放電圧や短絡電流を向上させる目的で4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸など各種添加剤を加えることもできる。
電解液を構成する溶媒として、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、および炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。また、溶媒としてテトラアルキル系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系第4級アンモニウム塩の室温イオン性液体を用いることも可能である。
色素増感型光電変換装置10からの電解液の漏液や、電解液を構成する溶媒の揮発を減少させる目的で、電解質構成物にゲル化剤、ポリマー、架橋モノマー、または各種形状の金属酸化物微粒子(繊維)などを溶解または分散させて混合し、ゲル状電解質として用いることも可能である。ゲル化材料と電解質構成物の比率は、電解質構成物が多ければイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。逆に、電解質構成物が少なすぎると、機械的強度は大きいが、イオン導電率は低下する。このため、電解質構成物はゲル状電解質の50〜99質量%であるのが好ましく、80〜97質量%であるのがより好ましい。また、電解質構成物と可塑剤とをポリマーと混合した後、可塑剤を揮発させて除去することで、全固体型の光増感型光電変換装置を実現することも可能である。
対向電極5の材料としては、導電性物質であれば任意のものを用いることができるが、絶縁性物質であっても、電解質層4に面している側に導電層が形成されていれば、これも用いることが可能である。ただし、電気化学的に安定である材料を対向電極5の材料として用いることが好ましく、具体的には、白金、金、カーボン、および導電性ポリマーなどを用いることが望ましい。
また、対向電極5での還元反応に対する触媒作用を向上させるために、電解質層4に接している対向電極5の表面は、微細構造が形成され、実表面積が増大するように形成されていることが好ましく、例えば、白金であれば白金黒の状態に、カーボンであれば多孔質カーボンの状態に形成されていることが好ましい。白金黒は、白金の陽極酸化法や塩化白金酸処理などによって、また多孔質カーボンは、カーボン微粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法によって形成することができる。
対向基板6は、光を透過させる必要はないので、材料として、不透明なガラス板、プラスチック板、セラミック板、および金属板を使用してもかまわない。また、透明な対向電極上に透明導電層を形成し、その上に酸化還元触媒作用の高い白金などの金属による配線を形成するか、表面を塩化白金酸処理することによって、透明な対向電極5として用いることもできる。
色素増感型光電変換装置10の製造方法は特に限定されない。電解質が液状である場合、または、液状の電解質を導入し、色素増感型光電変換装置10の内部でゲル化させる場合には、予め周囲が封止され、注入口が設けられた色素増感型光電変換装置10に電解液を注入する方法が好ましい。
色素増感型光電変換装置10を封止するには、半導体電極層3と対向電極5とを、互いに接しないように適当な間隙を設けて対向させ、半導体電極層3が形成されていない領域で基板1と対向基板6とを貼り合わせる。半導体電極層3と対向電極5との間隙の大きさに特に制限は無いが、通常1〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmである。この間隙の距離が大きすぎると、導電率が低下し、光電流が減少する。
封止材の材料は特に制限されないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、種々の溶接法、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)、アイオノマー樹脂、セラミック、各種熱融着樹脂フィルムなどを用いることができる。また、注入口を設ける場所は、半導体電極層3およびそれに対向する対向電極6上でなければ、特に限定されない。
電解液の注入方法に特に制限はないが、注入口に溶液を数滴垂らし、毛細管現象によって導入する方法が簡便である。また、必要に応じて、減圧もしくは加熱下で注入操作を行うこともできる。完全に溶液が注入された後、注入口に残った溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限は無いが、必要であればガラス板やプラスチック基板を封止材で貼り付けて封止することもできる。
また、電解質が、ポリマーなどを用いてゲル化された電解質や、全固体型の電解質である場合、電解質と可塑剤とを含むポリマー溶液を、半導体電極層3の上にキャスト法などによって塗布する。その後、可塑剤を揮発させ、完全に除去した後、上記と同様に封止材によって封止する。この封止は、真空シーラーなどを用いて、不活性ガス雰囲気下、もしくは減圧中で行うことが好ましい。封止を行った後、電解質層4の電解液が半導体電極層3に十分に浸透するように、必要に応じて加熱、加圧の操作を行うことも可能である。
本発明に基づく色素増感型光電変換装置はその用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例では、図1に示した半導体電極層3および色素増感型光電変換装置10を作製し、良品率および短絡電流密度を測定し、比較例と比較した。
<半導体電極層ならびに色素増感型光電変換装置の作製>
実施例1
半導体電極層3を形成する原料である酸化チタンTiO2のペーストは、Solaronix社製 Ti-Nanoxide Tを用いた。このTiO2ペーストを、ブレードコーティング法によって、透明基板1上の透明導電層2であるFTO層の上に塗布し、大きさ5mm×5mm、厚さ200μmの正方形の微粒子ペースト層を形成した。この後、500℃に30分間保持して、TiO2微粒子をFTO層2上に焼結した。得られたTiO2多孔質層の厚さは15μmであった。UV(紫外光)照射装置を用いてこのTiO2多孔質層に紫外光を30分間照射し、TiO2多孔質層に含まれる有機物などの不純物をTiO2の触媒作用によって酸化分解して除去し、TiO2多孔質層の活性を高める処理を行った。
実施例1
半導体電極層3を形成する原料である酸化チタンTiO2のペーストは、Solaronix社製 Ti-Nanoxide Tを用いた。このTiO2ペーストを、ブレードコーティング法によって、透明基板1上の透明導電層2であるFTO層の上に塗布し、大きさ5mm×5mm、厚さ200μmの正方形の微粒子ペースト層を形成した。この後、500℃に30分間保持して、TiO2微粒子をFTO層2上に焼結した。得られたTiO2多孔質層の厚さは15μmであった。UV(紫外光)照射装置を用いてこのTiO2多孔質層に紫外光を30分間照射し、TiO2多孔質層に含まれる有機物などの不純物をTiO2の触媒作用によって酸化分解して除去し、TiO2多孔質層の活性を高める処理を行った。
次に、チタンを16〜17質量%の割合で含む四塩化チタン水溶液(和光純薬製)1.5mLとエタノール100mLとを混合し、チタン濃度が50mMである金属酸化物多孔質層の表面処理液を調製した。この表面処理液をTiO2多孔質層に直接含浸させ、温度50℃の下で30分間保持した後、エタノールでTiO2多孔質層を十分に洗浄した。続いて、TiO2多孔質層内の空孔から溶媒であるエタノールを蒸発させ、四塩化チタンを空孔に面するTiO2微粒子の表面上に堆積させた。この後、TiO2多孔質層を再び500℃にて30分間加熱処理して、四塩化チタンを酸化チタンに変化させるとともに、生成した酸化チタンをTiO2多孔質層に融着させた。このとき起こる化学反応は、次式
TiCl4 + 2H2O → TiO2 + 4HCl
で表される。続いて、UV照射装置により紫外線を30分間露光して、半導体電極層3を得た。
TiCl4 + 2H2O → TiO2 + 4HCl
で表される。続いて、UV照射装置により紫外線を30分間露光して、半導体電極層3を得た。
次に、tert−ブチルアルコールとアセトニトリルを体積比1:1で混合した混合溶媒に、光増感色素であるシス−ビス(イソチオシアナト)−N,N−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)二テトラブチルアンモニウム塩を0.3mMの濃度で溶解させ、光増感色素溶液を調製した。半導体電極層3をこの光増感色素溶液に温度80℃の下で24時間浸漬し、半導体電極層3を構成するTiO2微粒子の表面に光増感色素を保持させた。次に、4−tert−ブチルピリジンを50体積%の濃度でアセトニトリルに溶解させた溶液およびアセトニトリルを順に用いて半導体電極層3を繰り返し洗浄した後、暗所で溶媒を蒸発させ、乾燥させた。
対向電極5は、対向基板6であるガラス基板上にFTO層5a(シート抵抗10Ω/cm2)を形成し、このFTO層5aの上に厚さ500Åのクロム層および厚さ1000Åの白金層5bを順次スパッタリング法によって積層し、その上に塩化白金酸のイソプロピルアルコール(2−プロパノール)溶液をスプレーコートし、385℃、15分間加熱処理したものを用いた。この対向基板6には、予め0.5mmの注液口を設けておいた。
次に、半導体電極層3と対向電極5とを、色素を保持したTiO2面と白金層5bとが向かい合うように対向させ、外周を30μmのアイオノマー樹脂フィルムとシリコーン接着剤によって封止した。
一方、メトキシアセトニトリル(MAN)3gに、ヨウ化ナトリウムNaI0.04g、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド(DMPImI)0.479g、ヨウ素I20.0381g、及び4−tert−ブチルピリジン(TBP)0.2gを溶解させ、電解液を調製した。
この電解液を予め準備した色素増感型光電変換装置10の注液口から送液ポンプを用いて注入し、減圧することで装置内部の気泡を追い出した。次いで、注液口をアイオノマー樹脂フィルム、シリコーン接着剤、ガラス基板で封止し、色素増感型光電変換装置10を完成した。
実施例2
金属酸化物表面処理液としてTitanium diisopropoxide bis(acetylacetonate)の濃度50mMのイソプロピルアルコール(2−プロパノール)溶液を用いた。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
金属酸化物表面処理液としてTitanium diisopropoxide bis(acetylacetonate)の濃度50mMのイソプロピルアルコール(2−プロパノール)溶液を用いた。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
実施例3
金属酸化物表面処理液としてチタンアルコキシドの酢酸ブチル溶液を用い、TiO2多孔質層を処理液中へ室温下で30秒間浸漬させ、ディップコーターにより20mm/minの速度で処理液からTiO2多孔質層を引き上げ、洗浄せずに焼結した。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
金属酸化物表面処理液としてチタンアルコキシドの酢酸ブチル溶液を用い、TiO2多孔質層を処理液中へ室温下で30秒間浸漬させ、ディップコーターにより20mm/minの速度で処理液からTiO2多孔質層を引き上げ、洗浄せずに焼結した。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
実施例4
金属酸化物表面処理液としてチタンアルコキシドの酢酸ブチル溶液を用い、TiO2多孔質層上へ1mL滴下し、スピンコーターにより2000rpm/20秒の条件で余剰の処理液を飛散させ、洗浄せずに焼結した。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
金属酸化物表面処理液としてチタンアルコキシドの酢酸ブチル溶液を用い、TiO2多孔質層上へ1mL滴下し、スピンコーターにより2000rpm/20秒の条件で余剰の処理液を飛散させ、洗浄せずに焼結した。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
比較例1
金属酸化物表面処理液による表面処理を行わなかった。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
金属酸化物表面処理液による表面処理を行わなかった。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
比較例2
金属酸化物表面処理液として四塩化チタン水溶液50mMを用い、四塩化チタン水溶液中にTiO2多孔質層を70℃で30分間保持し(先述の非特許文献1参照。)、溶液が白濁してきたらTiO2多孔質層を取り出し、蒸留水で十分に洗浄した。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
金属酸化物表面処理液として四塩化チタン水溶液50mMを用い、四塩化チタン水溶液中にTiO2多孔質層を70℃で30分間保持し(先述の非特許文献1参照。)、溶液が白濁してきたらTiO2多孔質層を取り出し、蒸留水で十分に洗浄した。これ以外は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置を作製した。
<色素増感型光電変換装置の性能評価>
以上のように調製した実施例1〜3および比較例2の酸化物微粒子ネッキング処理液の繰り返し使用後の状態を目視観察した。観察結果を表1に示す。表1から、従来の四塩化チタン水溶液は1回目の処理で白濁が始まっており、繰り返しの使用に耐えられない一方、本発明の酸化物微粒子ネッキング処理液は、10回繰り返して処理した後でも変化が見られない繰り返し使用耐性を有していることが分かる。
以上のように調製した実施例1〜3および比較例2の酸化物微粒子ネッキング処理液の繰り返し使用後の状態を目視観察した。観察結果を表1に示す。表1から、従来の四塩化チタン水溶液は1回目の処理で白濁が始まっており、繰り返しの使用に耐えられない一方、本発明の酸化物微粒子ネッキング処理液は、10回繰り返して処理した後でも変化が見られない繰り返し使用耐性を有していることが分かる。
以上のように作製した実施例1〜4および比較例1、2の半導体電極層において、目視で良品と選別された電極の数を表2に示す。ここで、良品とは割れ、剥離が無い状態の電極のことである。表2から、従来方法では電極処理後の歩留まりが悪く、多数の割れ、剥離が見られたものの、本発明の方法を用いることで、完全に不良品をなくすことに成功した。
以上のように作製した実施例1〜4および比較例1、2の色素増感型光電変換装置において、擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2)照射時における短絡電流密度を測定した。測定結果を表3に示す。表3より、本発明の酸化物微粒子ネッキング処理液によって処理された色素増感型光電変換装置は、従来方法と遜色ない光電変換特性を有していることがわかる。
以上、本発明を実施の形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、歩留まりよく製造でき、短絡電流密度などの光電変換特性に優れた色素増感型太陽電池などに応用され、その普及に寄与する。
1…透明基板、2…透明導電層、3…光増感色素を保持した半導体電極層(負極)、
4…電解質層、5…対向電極(正極)、6…対向基板、10…光増感型光電変換装置、
100…光増感型光電変換装置、103…光増感色素を保持した半導体電極層
4…電解質層、5…対向電極(正極)、6…対向基板、10…光増感型光電変換装置、
100…光増感型光電変換装置、103…光増感色素を保持した半導体電極層
Claims (13)
- 金属酸化物多孔質層の表面処理液であって、
反応して前記金属酸化物多孔質層と同種の金属酸化物を生成する金属化合物を溶質として含み、
溶媒が有機溶媒を主たる成分とする
溶液からなる、金属酸化物多孔質層の表面処理液。 - 前記溶媒に水分が0〜10体積%の割合でしか含まれない、請求項1に記載した金属酸化物多孔質層の表面処理液。
- 前記金属化合物を構成する金属元素の、前記溶液中の濃度が、1mM以上、1M以下である、請求項1に記載した金属酸化物多孔質層の表面処理液。
- 前記金属化合物を構成する金属元素がチタンである、請求項1に記載した金属酸化物多孔質層の表面処理液。
- 半導体電極層と対向電極との間に電解質層が配置された光電変換装置の製造方法であって、
金属酸化物微粒子同士が融着して、前記金属酸化物微粒子間が細い連結部を介してネ ットワーク状に連結し、前記金属酸化物微粒子間の空隙が空孔として残された金属酸化 物多孔質層に、
反応して前記金属酸化物多孔質層と同種の金属酸化物を生成する金属化合物を溶質と して含み、溶媒が有機溶媒を主たる成分とする溶液からなる、金属酸化物多孔質層の表 面処理液を含浸させた後、
前記金属酸化物多孔質層を構成する前記金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金 属酸化物を前記反応によって生成させ、前記半導体電極層を形成する、
光電変換装置の製造方法。 - 前記溶媒に水分が0〜10体積%の割合でしか含まれない、請求項5に記載した光電変換装置の製造方法。
- 前記金属化合物を構成する金属元素の、前記溶液中の濃度が、1mM以上、1M以下である、請求項5に記載した光電変換装置の製造方法。
- 前記金属化合物を構成する金属元素がチタンである、請求項5に記載した光電変換装置の製造方法。
- 前記金属酸化物多孔質層を前記表面処理液中に浸漬させるか、又は、前記金属酸化物多孔質層に前記表面処理液を滴下することによって、前記表面処理液を前記金属酸化物多孔質層に含浸させる、請求項5に記載した光電変換装置の製造方法。
- 前記金属酸化物多孔質層に含浸させた前記表面処理液の前記溶媒を蒸発によって除去した後、前記反応を行わせる、請求項5に記載した光電変換装置の製造方法。
- 前記反応を600℃以下の温度で行わせる、請求項5に記載した光電変換装置の製造方法。
- 半導体電極層と対向電極との間に電解質層が配置された光電変換装置において、
前記半導体電極層が、金属酸化物微粒子同士が融着して、前記金属酸化物微粒子間が 細い連結部を介してネットワーク状に連結され、前記金属酸化物微粒子間の空隙が空孔 として残された金属酸化物多孔質層からなり、
前記金属酸化物多孔質層を構成する前記金属酸化物微粒子の表面に、これと同種の金 属酸化物が追加形成されている、
光電変換装置。 - 前記半導体電極層に光増感色素が保持され、光吸収によって励起された前記光増感色素の電子が前記半導体電極層へ取り出されるとともに、前記電子を失った前記光増感色素は、前記電解質層中の還元剤によって還元される色素増感型光電変換装置として構成されている、請求項12に記載した光電変換装置。
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