JP2005310445A - ゲル状電解質およびそれを用いた電気化学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 イオン伝導性に優れ、機械的強度が強く、かつ高温でも流動化しないゲル状電解質用樹脂組成物、ゲル状電解質およびそれを用いた電気化学素子を提供する。
【解決手段】 化学架橋可能な官能基を含む架橋性高分子化合物を架橋してなる重合体(A)と、物理架橋可能な重合体(B)と、溶媒および溶質とを含み、前記架橋性高分子化合物の重量平均分子量が1×104〜5×106であるゲル状電解質とする。また、このゲル状電解質を用いて電気化学素子を構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ゲル状電解質およびそれを用いた光電変換素子、リチウムイオン電池などの電気化学素子に関する。
太陽光はクリーンなエネルギー源として期待されており、その太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する種々の光電変換素子が提案されてきた。その中の一つとして、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物半導体に、ルテニウム錯体、ポルフィリン誘導体などの色素を含浸させ、これらの間で行われる光電気化学反応を利用した光電変換素子が開発され、例えば、光センサ、太陽電池などに利用されている。
このような光電変換素子の一般的な構造は、透明導電膜の表面に色素を担持させた金属酸化物半導体からなる多孔質層を形成した電極と、この電極と対向する対電極と、これらの2つの電極間に介在する電解質とを備えたものである。
従来、上記電解質としては、イオン伝導性の観点から低分子有機溶媒を用いた液状またはペースト状の電解質が用いられてきた。このような電解質は、マトリックスが流動性を有するためイオンの拡散が速く電池特性が良い反面、液漏れによる周囲の汚染のおそれがあった。特に、プラスチックセルとして光電変換素子を形成した場合には、セルの破損による液漏れのおそれが大きかった。
また、大面積の単一セルとして光電変換素子を形成し、それを水平方向に配置して使用した場合には、セルの重量により中央部が撓み、短絡などが発生するおそれがあった。さらに、それを鉛直方向に配置して使用した場合には、電解質が重力によりセルの下部に偏り、光電変換素子が動作不良を起こすおそれがあった。
そこで、全く低分子有機溶媒を含まない電解質、即ち完全固体の電解質が種々提案されている。例えば、CuIのような無機結晶性物質や、I-/I3 -のような酸化還元対を含むアルキレンオキシド系高分子固体電解質などが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかし、この完全固体の電解質では、半導体多孔質層の細孔への電解質の浸入が困難であり、イオン伝導性も低いなどの理由で充分な特性が得られていない。
このような背景のもとに、ゲル状電解質が提案されている。このゲル状電解質は、液状電解質(電解液)とゲル化剤からなり、低分子有機溶媒によるキャリアの移動を確保しつつ、電解質のマクロな流動性をなくしたものである。
リチウムイオン電池のゲル状電解質として用いられるフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)はよく用いられるゲル化剤の一つである。このPVDF−HFPを電解質のゲル化剤として用いた色素増感太陽電池が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。このPVDF−HFPは極性溶媒とともに加熱溶解して冷却すると、溶媒を多量に含む非晶質部と、硬質の結晶部分(物理架橋部分)とが混ざり合った構造となる。このような化学反応を伴わない物理架橋は、化学的に活性な物質を含んだ電解液でも問題なくゲル化することができる利点があり、また機械的強度も大きい。さらに、物理架橋の網目構造は比較的粗であり、キャリアの拡散に有利であり、イオン伝導性が高い。しかし、加熱により架橋点が融解し、高温では液状電解質になってしまう問題がある。
このような物理架橋の問題を解決する方法として、化学反応による架橋(重合反応)を利用して電解質をゲル化する方法も提案されている。この方法は、ゲル化剤モノマー、重合開始剤などと液状電解質とを混合し、加熱または紫外線照射などによってゲル化剤モノマーを重合して高分子化するものである。例えば、アクリル樹脂(特許文献3参照。)、ウレタン樹脂(特許文献4参照。)、エポキシ樹脂(特許文献5参照。)などをゲル化樹脂として使用することが提案されている。
しかし、上記方法では電解質中に含まれる活性成分によってはゲル化剤の重合反応を阻害する場合がある。例えば、光電変換素子の電解質に酸化還元対供給源として含まれる最も一般的なヨウ素は、アクリル樹脂の架橋反応であるラジカル反応の強力な阻害剤である。また、ヨウ素は、エポキシ樹脂やウレタン樹脂の一般的な架橋剤であるアミンとも反応して失活させる。このような場合、ヨウ素を除いて電解質をゲル化し、その後拡散によりヨウ素を電解質にドープすることもできるが、工程が煩雑となるばかりでなく、電解質中のヨウ素濃度を一定に制御することが困難である。
また、化学架橋の場合、一般に架橋点の密度が高くゲルの網目構造が細かいため、機械的強度の充分なゲルを作製しようとすると、どうしてもイオンの拡散が妨げられたり、保液量が減少したりしてイオン伝導性が低くなりがちである。そこで、ゲル化剤モノマーの代わりに架橋可能な官能基を含む高分子をゲル化剤として用い、少量のゲル化剤で緩やかな網目構造を作る提案がなされている(例えば、特許文献6〜9参照。)。しかし、この場合でもまだ満足な機械的強度が得られていないのが現状である。
さらに、高温でも安定な化学架橋と、機械的強度とイオン伝導性とのバランスがとれた物理架橋とのそれぞれの長所を併せ持つものとして、化学架橋性高分子と物理架橋性高分子との混合物をゲル化剤として用いるという提案も、リチウムイオン電池の電解質用ゲル化剤としてはなされている(例えば、特許文献10参照。)。しかし、この場合でも電解質中に含まれる活性成分によってはゲル化剤の重合反応を阻害する場合があるのは前述のとおりである。例えば、酸化還元対であるI-/I3 -などを含む電解質中では化学架橋反応が進行せず、目的とした高温安定性は得られない。
特開平7−288142号公報 特開平2−235957号公報 特開平9−27352号公報 特開2001−210390号公報 特開2000−150006号公報 特開2002−110245号公報 特開2002−289271号公報 特開2002−289272号公報 特開2002−289273号公報 特開2002−100405号公報 グレッツェル(Gratzel)、外2名、「ケミカル コミュニケーション(Chemical Communication)」、(英国)、2002年、第24巻、p.2972−2973
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、イオン伝導性に優れ、機械的強度が強く、かつ高温でも流動化しないゲル状電解質およびそれを用いた電気化学素子を提供するものである。
本発明は、化学架橋可能な官能基を含む架橋性高分子化合物を架橋してなる重合体(A)と、物理架橋可能な重合体(B)と、溶媒および溶質とを含み、前記架橋性高分子化合物の重量平均分子量が1×104〜5×106であることを特徴とするゲル状電解質である。
また、本発明は、色素が固定された半導体層を備える半導体電極と、前記半導体層を介して前記半導体電極と対向するように配置された対電極と、前記半導体電極と前記対電極との間に配置された電解質とを備えた電気化学素子であって、前記電解質が上記ゲル状電解質であることを特徴とする。
また、本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出することができる材料を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出することができる材料、金属リチウム、およびリチウムと合金を形成することができる金属材料から選ばれる少なくとも1種の材料を含む負極と、電解質とを備えた電気化学素子であって、前記電解質が上記ゲル状電解質であることを特徴とする。
本発明は、イオン伝導性に優れ、機械的強度が強く、かつ高温でも流動化しないゲル状電解質およびそれを用いた電気化学素子を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施形態1)
本発明のゲル状電解質の実施の形態を説明するにあたり、先ず、このゲル状電解質を構成する樹脂組成物の説明を行う。本発明のゲル状電解質に用いる樹脂組成物の一例は、後述する溶媒および溶質を保持するために、化学架橋可能な官能基を含む架橋性高分子化合物を架橋してなる重合体(A)と、物理架橋可能な重合体(B)とを含んでいる。
高温耐久性の高い重合体(A)と、機械的強度が大きく、イオン伝導性が高い重合体(B)とを併合して用いることにより、イオン伝導性に優れ、機械的強度が強く、かつ高温でも流動化しないゲル状電解質用樹脂組成物を実現できる。なお、重合体(A)のみでは、機械的強度が不足し、例えばシート状に加工することが困難となる。一方、重合体(A)の添加量を高くすれば機械的強度は向上するが、イオン伝導性が著しく低下する。さらに、重合体(B)のみでは、高温で流動化してしまう。そこで、重合体(A)と重合体(B)とを併合することが必要となる。
上記重合体(A)は、2種以上の架橋性高分子化合物を混合して架橋したものであってもよい。
上記架橋性高分子化合物としては、重量平均分子量が1×104〜5×106である化合物を用い、より好ましくは重量平均分子量が1×105〜1×106である化合物を用いる。重量平均分子量を1×104以上とすることにより、適切な網目構造が形成されるため、高温での流動化を防止する効果が高まり、イオン伝導性の低下を防ぐことができる。一方、重量平均分子量を5×106以下とすることにより、電解液に対する溶解性が向上し、適切な粘度を有する混合液となるので、良質な重合体を形成しやすくなる。
上記架橋性高分子化合物に含まれる化学架橋可能な官能基としては、特に限定はされないが、オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基であることが好ましい。これにより、ヨウ素などの架橋反応を阻害する溶質が存在する場合でも、安定な重合体を形成しやすくなり、より汎用性の高い樹脂組成物とすることができる。
上記オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む架橋性高分子化合物は、オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む重合性モノマーの重合体、または、オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む重合性モノマーと、他の重合性モノマーとの共重合体として合成することができる。
ただし、オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む重合性モノマーを単独で重合する場合は、オキセタン基などの架橋性官能基の濃度が高くなりすぎ、重合度が低くなって所望の分子量の大きな架橋性高分子化合物(プレポリマー)が得られないことがある。しかし、非架橋性で保液性の良い他の重合性モノマーと共重合することにより、上記問題を解決することができる。その場合のそれぞれの重合性モノマーの割合は、オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む重合性モノマーのモル数をmモルとし、他の重合性モノマーのモル数をnモルとすると、モル比m/nが1/20〜2/1の範囲とするのが好ましく、より好ましくは1/10〜1/1の範囲である。上記モル比を1/20以上とすることにより、化学架橋点の割合を増加させて高温での流動化を効果的に抑制することができる。また、上記モル比を2/1以下とすることにより、電解質中の活性成分と、オキセタン基または脂環式エポキシ基との反応を抑制して、イオン伝導性の低下を防ぐことができる。
また、上記他の重合性モノマーはビニル系モノマーであることが好ましく、そのQ値は0〜1.5であることが好ましい。さらに、そのホモポリマーの溶解度パラメータ(SP値)は17〜30となるような重合性モノマーを用いるのが好ましい。
上記Q値は、ラジカル重合における反応性を表すパラメータであり、重合する2種類のモノマーのQ値が同等であれば、2種類のモノマーはランダムに重合する。しかし、一方のモノマーのQ値が著しく大きい場合は、Q値の大きなモノマーの単独重合が優先的に進行し、均一な共重合体とはなりにくい。本実施形態で用いられる、オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む重合性モノマーは、そのQ値がおよそ1前後であるので、これと共重合させる他の重合性モノマーのQ値が上記範囲内とすることにより、両者を共重合させやすくなる。
また、上記溶解度パラメータは、溶解性を表すパラメータであり、この値が近い物質同士はよく混じりあう。上記樹脂組成物を本実施形態のゲル状電解質として用いるには後述する電解液を含有させるが、この電解液に用いられる溶媒の溶解度パラメータは、通常、17〜30である。従って、ゲル状電解質用樹脂組成物の一部を構成する他の重合性モノマーのホモポリマーの溶解度パラメータが上記範囲にある場合、電解液とのなじみが良くなり保液性の良いゲルとなる。
上記オキセタン基を含む重合性モノマーとしては、式(1):
Figure 2005310445
(式中、R1は水素または炭素数1〜3のアルキル基、R2は炭素数1〜6のアルキル基である。)
で示されるモノマーであることが好ましい。式(1)に示した重合性モノマーは、ヨウ素やヨウ素化合物などの活性成分の存在下でも充分な速度でカチオン重合(架橋)するからである。
上記脂環式エポキシ基を含む重合性モノマーとしては、式(2):
Figure 2005310445
(式中、R3は水素または炭素数1〜3のアルキル基である。)
で示されるモノマーであることが好ましい。式(2)に示した重合性モノマーもまた、ヨウ素やヨウ素化合物などの活性成分の存在下でも充分な速度でカチオン重合(架橋)するからである。
上記他の重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらの誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピロリドン、ビニレンカーボネート、N−ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを使用できる。特に、(メタ)アクリル系モノマーである式(3):
Figure 2005310445
(式中、R4は水素または炭素数1〜3のアルキル基、R5は炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、またはアルキレンオキシド基である。)
で示されるモノマーであることが好ましい。式(3)に示した重合性モノマーは、ヨウ素やヨウ素化合物などの活性成分の存在下でも充分な速度でカチオン重合(架橋)するからである。
また、上記他の重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル末端をポリオキシアルキレンやエチレンカーボネートで変性した式(4)または式(5)で示される化合物も使用できる。
Figure 2005310445
(式中、R6は水素または炭素数1〜3のアルキル基、pは1〜10の整数である。)
Figure 2005310445
(式中、R7は水素または炭素数1〜3のアルキル基である。)
上記オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む重合性モノマーは2種以上であってもよく、また、他の重合性モノマーについても2種以上であってもよい。
物理架橋可能な重合体(B)としては、フッ化ビニリデンをモノマー成分として含む重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸メチル共重合体などを用いることができる。
上記フッ化ビニリデンをモノマー成分として含む重合体としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体などが該当するが、特にフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好ましい。ヘキサフルオロプロピレンを共重合することにより、溶解性が向上し、より実用的な温度でゲル化できるからである。
次に、本発明のゲル状電解質の実施の形態を説明する。本発明のゲル状電解質の一例は、上記樹脂組成物と、電解液、即ち溶媒および溶質とを含むものである。上記樹脂組成物に電解液を保持させることにより、イオン伝導性に優れ、機械的強度が強く、かつ高温でも流動化しないゲル状電解質を実現できる。
上記ゲル状電解質の全体の重量に対して、前述の重合体(A)の重量割合は0.5重量%以上10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以上5重量%以下である。この範囲内であれば、より確実にイオン伝導性に優れ、機械的強度が強く、かつ高温でも流動化しないゲル状電解質を作製できるからである。
また、上記ゲル状電解質の全体の重量に対して、前述の重合体(B)の重量割合は5重量%以上30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以上20重量%以下である。この範囲内であれば、より確実にイオン伝導性に優れ、機械的強度が強いゲル状電解質を作製できるからである。なお、重合体(B)の種類と添加量を変更することにより、常温におけるゲル状電解質の機械的特性を制御できる。
上記電解液は溶媒と溶質とを含む。この溶媒は通常、溶質の解離を促進し、また溶質の解離により生じたイオン種の移動を速やかにするために用いられる。従って、この溶媒としては、溶質を溶解し、上記ゲル状電解質用樹脂組成物中に保持され得るものであれば種々のものを用いることができるが、特に環状エステル、環状カーボネート、鎖状カーボネート、およびニトリル類から選ばれる少なくとも1種の溶媒が好ましい。これらの溶媒は、各種の溶質を溶解でき、またイオン伝導性が高いからである。
環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−ブチロラクトンなどのラクトン類が好ましい。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが好ましく、鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが好ましい。ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メトキシプロピオニトリルなどが好ましい。また、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムアイオダイドなどのイオン性液体を溶媒として用いることもできる。なお、このイオン性液体は、後述するイオン供給源である酸化還元系構成物質としても用いることができる。また、分岐ポリエーテル類のように難揮発性に優れた溶媒を用いることもできる。さらに、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンメチルジグライムなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒は、いずれも単独で用いることもできるが、複数の溶媒を混合して用いることもできる。また、これらの溶媒の溶解度パラメータ(SP値)は、ほぼ17〜30である。
本実施形態のゲル状電解質は、後述する光電変換素子の電解質に好適である。光電変換素子の電解質に用いる場合の溶質としては、酸化還元系構成物質が用いられる。本実施形態における酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において、可逆的に酸化体および還元体の形で存在する一対の物質をいい、酸化還元対ともいう。また、酸化体とは酸化状態の溶質(例えば、I3 -)をいい、還元体とは還元状態の溶質(例えば、I-)をいう。
上記酸化還元系構成物質としては、例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない。なかでもヨウ素化合物−ヨウ素、またはヨウ素とヨウ素化合物から供給されるI3 -とI-からなる一対の酸化体と還元体が好ましい。通常はこれらのヨウ素化合物とヨウ素とを混合して電解液中でI2+I-→I3 -の平衡反応によりI3 -を生成させて酸化還元系構成物質とするが、目的によってはあえてヨウ素を添加せず、ヨウ素化合物から光化学反応、電気化学反応などによりI3 -を生成させて用いることもできる。
ヨウ素化合物としては、例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属塩、テトラアルキルアンモニウムアイオダイドなどの4級アンモニウム塩、またはジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドなどのイミダゾリウム塩、ピリジニウムアイオダイドなどのピリジニウム塩などの有機ヨウ化物塩などを用いることができる。これらのヨウ素化合物は固体であってもよく、また、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムアイオダイドなどのいわゆるイオン性液体であってもよい。
また、本実施形態のゲル状電解質は、後述するリチウムイオン電池の電解質にも有効である。リチウムイオン電池の電解質に用いる場合の溶質としては、リチウム塩が用いられる。このリチウム塩としては、例えば、ヘキサフルオロ燐酸リチウム、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、または各種有機リチウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、本実施形態のゲル状電解質には、機械的強度の向上、イオン伝導性の向上などの目的で、各種の無機微粒子を添加してもよい。この無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、カーボンなどを用いることができるが、特にシリカなどの無色の微粒子の添加はゲル状電解質の透光性を妨げず、光電変換素子の電解質には好適である。
続いて、本実施形態のゲル状電解質の製造方法の一例を説明する。本実施形態のゲル状電解質の製造方法は、先に説明した化学架橋可能な官能基を含む架橋性高分子化合物と、物理架橋可能な重合体とからなるゲル化剤を準備し、次に、このゲル化剤と、溶媒と、溶質と、重合開始剤とを混合した後、ゲル化剤に含まれるオキセタン基、脂環式エポキシ基などの官能基の化学反応により架橋を行うことにより、溶媒と溶質とを含む電解液のゲル化を行う。
オキセタン基、脂環式エポキシ基などの官能基の架橋反応は、これらの官能基の一般的な重合反応により行うことができる。例えば、カチオン重合性の開始剤を用いて熱や光で重合反応を起こすことができる。重合開始剤としては、熱重合の場合には、例えば、BF3、トリクレジルボレート、トリメトキシボロキシンなどのホウ素系化合物、またはLiBF4といったリチウム塩などを用いることができる。光重合の場合には、例えば、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロリン酸などのトリフェニルスルフォニウム系開始剤、またはジ−t−ブチル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイトなどのヨードニウム系開始剤を用いることができる。なかでも、BF3、トリクレジルボレート、トリメトキシボロキシン、LiBF4などのホウ素系開始剤が好ましく、特にトリクレジルボレートが好ましい。これらは、ゲル状電解質中に溶解する溶質の組成や溶媒の種類に影響されずに適切な重合反応を起こすことができるからである。
(実施形態2)
次に、本発明の電気化学素子の一例である光電変換素子の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は、本実施形態の光電変換素子の概要を示す断面図である。本実施形態の光電変換素子1は、電極膜3が被着された基板2と、対電極7が被着された基板8とを備えている。電極膜3には増感色素を担持(固定)した半導体膜4が被着されており、電極膜3と半導体膜4とで半導体電極5を形成している。半導体電極5と対電極7とは対向するように配置されており、半導体電極5と対電極7との間には実施形態1で説明したゲル状電解質6が配置されている。なお、増感色素は図示していないが、半導体膜4を構成する半導体粒子の表面に担持されている。
本実施形態の光電変換素子1は、半導体膜4が多孔質であるためラフネスファクター(基板面積に対する多孔質内部の実面積の割合)は大きく、増感色素を多く担持することができるので、光電変換効率が高い。
ゲル状電解質6としては、実施形態1のゲル状電解質用樹脂組成物と、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質を溶媒中に溶解した電解液とを含んでいれば、その種類は特に限定されない。電池反応に伴う電荷の偏りを生じないという点からは、酸化体と還元体が同一電荷を持つ酸化還元系構成物質が好ましい。また、例えば、半導体膜4からゲル状電解質6への逆電子移動を抑制する目的でt−ブチルピリジン、N−メチルベンズイミダゾール、2−ピコリン、2,6−ルチジンなどの塩基性化合物を添加してもよい。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度は0.05〜2mol/cm3である。
本実施形態の光電変換素子にゲル状電解質を用いる場合、そのゲル状電解質の作製方法は特に限定されない。即ち、ゲル化剤(実施形態1のゲル状電解質用樹脂組成物)と電解液とを常温で混合した流動体を電極間に注入し、その後に架橋反応を行ってゲル化してもよい。また、上記流動体を一方の電極の表面に直接塗布して他方の電極と貼り合せ、その後にゲル化してもよい。さらに、上記流動体をキャスト法などを用いてシート状にゲル化し、このシート状電解質を電極間に挟み込んでもよい。
上記シート状電解質は、上記流動体を化学架橋が起らないような緩やかな条件で加熱して前述の重合体(B)の物理架橋のみでゲル化している状態でもよく、架橋性高分子化合物による化学架橋も行われた状態でもよい。また、必要に応じてシート状電解質を電極間に挟み込んだ後に光または熱による化学架橋が行われてもよい。さらに、シート状電解質の作製にあたって、上記流動体の粘度を下げて作業性をよくする目的で、上記流動体にさらに低沸点溶媒を加えてキャストし、その後この低沸点溶媒を除去してシート状電解質としてもよい。
基板2および基板8の材質としては、透明なガラスまたはプラスチックなどを使用できる。また、プラスチックは可撓性を有するので、柔軟性を必要とする用途に適する。基板2は光入射側基板として機能するので透明であることが必要である。一方、基板8は透明でも、不透明でもよいが、両側の基板から光を入射させることができるので、透明であることが好ましい。
基板2の一方の面に成膜される電極膜3は、光電変換素子1の負極として機能し、基板2に導電材を被着させることで形成できる。好ましい導電材としては、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、フッ素をドープした酸化錫などの金属酸化物などが挙げられる。
対電極7は光電変換素子1の正極として機能し、上記電極膜3と同様に形成できる。本実施形態における光電変換素子1の対電極7の材料としては、光電変換素子の正極として効率良く作用するために、電解質の還元体に電子を与える触媒作用を有する白金やグラファイトなどが好ましい。また、対電極7と基板8との間には対電極7とは異なる材料からなる導電性のある膜を設けてもよい。
増感色素を担持した半導体膜4の厚さは、0.1〜100μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、十分な光電変換特性が得られ、また可視光および近赤外光に対する透過性を維持できるからである。半導体膜4の厚さのより好ましい範囲は、1〜50μmであり、特に好ましい範囲は5〜30μmであり、最も好ましい範囲は10〜20μmである。
増感色素を担持した半導体膜4が半導体粒子により構成される場合、半導体粒子の粒子径は一般的には5nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、溶媒中の酸化還元系構成物質の移動が容易になるとともに、半導体の表面積が十分に大きくなるため、増感色素の担持量が増加して、十分な光電流が得られるからである。半導体粒子の粒子径の特に好ましい範囲は、10〜100nmである。
半導体材料としては、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属の酸化物、SrTiO3、CaTiO3などのペロブスカイト、または、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2Sなどの硫化物、CdSe、In2Se3、WSe2、HgSe、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他GaAs、Si、Se、Cd32、Zn32、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3などが好ましい。また、上記半導体材料の2種以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO2、CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe1-x、CdSx/Te1-x、CdSex/Te1-x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO2/Cd32、CdS/CdSeCdyZn1-yS、CdS/HgS/CdSなどが好ましい。
図1に示されるような、増感色素を担持した半導体膜4は、例えば電極膜3を有する基板2の表面に、半導体微粒子からなるスラリー液を、例えばドクターブレードやバーコータなどを用いる塗布方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法、電着法などにより塗工し、その後、400〜600℃の範囲内の温度で加熱焼結することにより形成することができる。また、膜厚に関しては、上記塗布と加熱焼結を繰り返すことで所望の膜厚とすることができる。
また、多孔質の半導体膜4の膜厚を制御することにより、ラフネスファクターを決定することができる。ラフネスファクターは20以上であることが好ましく、150以上であることが一層好ましい。ラフネスファクターが20以上であれば増感色素の担持量が十分となり、光電変換特性の改善が可能となる。ラフネスファクターの上限値は、一般的には5000程度である。ラフネスファクターは半導体膜4の膜厚を厚くすると大きくなって半導体粒子の表面積が広がり、増感色素の担持量の増加が期待できる。しかし、膜厚が厚くなりすぎると、半導体膜4の光透過率ならびに抵抗損失の影響が現れ始める。また、半導体膜4のポロシティーを高くすれば、膜厚を厚くしなくてもラフネスファクターを大きくすることが可能である。しかし、ポロシティーが高すぎると、導電性粒子である半導体粒子間の接触面積が減少して、抵抗損失の影響を考慮しなくてはならない。このようなことから、半導体膜4のポロシティーは50%以上が好ましく、その上限値は一般的には約80%程度である。半導体膜4のポロシティーは液体窒素温度下で窒素ガスまたはクリプトンガスの吸着−脱離等温曲線の測定結果から算出することができる。
半導体膜4に担持される増感色素としては、従来の色素増感性光電変換素子で常用の色素であれば無機色素でも有機色素でも全て使用できる。無機色素としては、例えば、RuL2(H2O)2タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体(ここで、Lは、4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジンなどの配位子である。)、または、ルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス(RuL2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス(OsL2)などのタイプの遷移金属錯体、または亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる。また、有機色素としては、9−フェニルキサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テトラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素などが挙げられる。この中でもルテニウム−ビス(RuL2)誘導体が好ましい。
半導体膜4への増感色素の担持量としては、1×10-8〜1×10-6mol/cm2の範囲にあればよく、特に0.1×10-7〜9.0×10-7mol/cm2の範囲が好ましい。この範囲内であれば、光電変換効率の向上効果が十分となり、かつ無駄な増感色素が無くなるため経済的だからである。
半導体膜4への増感色素の担持方法は、例えば、増感色素を溶かした溶液に、半導体膜4を被着させた基板2を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど増感色素を溶解可能なものであれば全て使用できる。また、浸漬方法として増感色素溶液に、半導体膜4を被着させた基板2を一定時間浸漬させている時に、加熱還流をしたり、超音波を印加したりすることが有効である。
半導体膜4は、半導体電極5からゲル状電解質6への逆電子移動を抑制するために増感色素以外の有機物、例えばアルキルカルボン酸などを被着させてもよい。
(実施形態3)
次に、本発明の電気化学素子の他の一例であるリチウムイオン電池の実施の形態について説明する。本実施形態のリチウムイオン電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出することができる材料を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出することができる炭素材料、金属リチウム、およびリチウムと合金を形成することができる金属から選ばれる少なくとも1種の材料を含む負極と、実施形態2で説明したゲル状電解質とを備えている。
ゲル状電解質としては、実施形態1のゲル状電解質用樹脂組成物と、リチウム塩を溶媒中に溶解した電解液とを含んでいれば、その種類は特に限定されない。
正極の材料としては、例えば、LiCoO2などのリチウム・コバルト酸化物、LiMn24などのリチウム・マンガン酸化物、LiNiO2などのリチウム・ニッケル酸化物、LiNiO2のNiの一部をCoで置換したLiNixCo(1-x)2、さらに、MnとNiとを等量含んだLiNi(1-x)/2Mn(1-x)/2Cox2、オリビン型LiMPO4(M:Co、Ni、Mn、Fe)を用いることができる。
負極の材料であるリチウムと合金を形成することができる金属(半金属を含む。)としては、例えば、Al、Si、Sn、Pb、Ge、Sbなどが使用でき、特に、SiとSnが好ましい。これらは、Liの挿入・脱離における可逆性が高いからである。
以下、実施例に基づき本発明を説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<ヨウ素を含有したゲル状電解質の作製>
前述の式(1)においてR1がCH3、R2がC25で表されるオキセタン基を含む重合性モノマーmモルと、前述の式(3)おいてR4がCH3、R5がCH3で表される他の重合性モノマー(Q値:0.78、ホモポリマーのSP値:18.6)nモルとを、モル比m/nが1/3で共重合して重量平均分子量が3×105の架橋性高分子化合物Aを作製した。また、γ−ブチロラクトン(SP値:26.2)に0.5mol/dm3のテトラプロピルアンモニウムアイオダイドと0.01mol/dm3のヨウ素とを溶解して電解液Aを作製した。次に、架橋性高分子化合物Aを電解液Aに10重量%の濃度で溶解して高分子溶液Aを作製した。
続いて、68重量部の上記電解液Aと、重合開始剤として2重量部のトリクレジルボレートと、フッ化ビニリデンをモノマー成分として含む重合体として20重量部のフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(アトフィナ社製の“Power Flex LGB1”)とをよく混合した後、10重量部の上記高分子溶液Aを加えてよく混合し、ゲル状電解質前駆体Aを作製した。
このゲル状電解質前駆体Aを200μmの厚さにキャストし、密閉状態において75℃で1時間加熱したところ、僅かに白濁が起こり全体が硬化した。その後、5℃で30分間冷却し、ゲル状電解質膜Aを得た。このゲル状電解質膜Aを室温(20℃)で観察したところ、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していた。また、このゲル状電解質膜Aを密閉状態において80℃で10分間加熱したところ、膜の流動化は生ぜず、80℃における形状安定性は良好であった。
次に、このゲル状電解質膜Aを直径7mmの円形に打ち抜き、2枚の白金板で挟み、1mV/sの速度で±0.5Vの電圧掃引を行い、流れた電流値を測定した。この測定により得られた電流−電圧曲線(ボルタモグラム)の電流値が最大となった点を限界電流値とした。測定された限界電流値は、0.35mAであった。
前述の式(2)においてR3がCH3で表される脂環式エポキシ基を含む重合性モノマーmモルと、前述の式(3)おいてR4がCH3、R5がCH3で表される他の重合性モノマーnモルとを、モル比m/nが1/3で共重合して重量平均分子量が3×105の架橋性高分子化合物Bを作製した。次に、架橋性高分子化合物Bを実施例1で作製した電解液Aに10重量%の濃度で溶解して高分子溶液Bを作製した。
続いて、68重量部の上記電解液Aと、重合開始剤として1重量部のトリクレジルボレートと、フッ化ビニリデンをモノマー成分として含む重合体として20重量部のフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体“Power Flex LGB1”とをよく混合した後、10重量部の上記高分子溶液Bを加えてよく混合し、ゲル状電解質前駆体Bを作製した。
その後は、ゲル状電解質前駆体Bの加熱時間を10分にしたこと以外は、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Bを作製した。このゲル状電解質膜Bを室温(20℃)で観察したところ、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していた。また、このゲル状電解質膜Bを密閉状態において80℃で10分間加熱したところ、膜の流動化は生ぜず、80℃における形状安定性は良好であった。
次に、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Bの限界電流値を測定したところ、0.3mAであった。
前述の式(1)においてR1がCH3、R2がC25で表されるオキセタン基を含む重合性モノマーmモルと、前述の式(3)おいてR4がCH3、R5がCH3で表される他の重合性モノマーnモルとを、モル比m/nが1/2で共重合して重量平均分子量が3×105の架橋性高分子化合物Cを作製した。次に、架橋性高分子化合物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Cを作製した。このゲル状電解質膜Cを室温(20℃)で観察したところ、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していた。また、このゲル状電解質膜Cを密閉状態において80℃で10分間加熱したところ、膜の流動化は生ぜず、80℃における形状安定性は良好であった。
また、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Cの限界電流値を測定したところ、0.35mAであった。
前述の式(1)においてR1がCH3、R2がC25で表されるオキセタン基を含む重合性モノマーmモルと、前述の式(3)おいてR4がCH3、R5がCH3で表される他の重合性モノマーnモルとを、モル比m/nが1/3で共重合して重量平均分子量が6×105の架橋性高分子化合物Dを作製した。次に、架橋性高分子化合物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Dを作製した。このゲル状電解質膜Dを室温(20℃)で観察したところ、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していた。また、このゲル状電解質膜Dを密閉状態において80℃で10分間加熱したところ、膜の流動化は生ぜず、80℃における形状安定性は良好であった。
また、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Dの限界電流値を測定したところ、0.4mAであった。
(比較例1)
前述の式(1)においてR1がCH3、R2がC25で表されるオキセタン基を含む重合性モノマーmモルと、前述の式(3)おいてR4がCH3、R5がCH3で表される他の重合性モノマーnモルとを、モル比m/nが1/3で共重合して重量平均分子量が5×103の架橋性高分子化合物Eを作製した。次に、架橋性高分子化合物Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゲル状電解質前駆体Eを作製した。このゲル状電解質前駆体Eを実施例1と同様にして75℃で2時間加熱したところ、白濁も硬化も起らなかった。
次に、このゲル状電解質前駆体Eを実施例1と同様にして冷却してゲル状電解質膜Eを得た。このゲル状電解質膜Eを室温(20℃)で観察したところ、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していた。しかし、このゲル状電解質膜Eを密閉状態において80℃で10分間加熱したところ、液状に融解し、80℃における形状安定性は不良であった。
(比較例2)
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いず、98重量部の電解液Aと、重合開始剤として2重量部のトリクレジルボレートとを混合したこと以外は、実施例1と同様にしてゲル状電解質前駆体Gを作製した。その後、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Gを作製した。このゲル状電解質膜Gを室温(20℃)で観察したところ、軟質なゼリー状であり、キャストした基板から剥がし取ったり、打ち抜いたりすることができず、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していなかった。
次に、このゲル状電解質膜Gをスパチュラで掬うようにして電極間に挟み、実施例1と同様にして限界電流値を測定したところ、0.2mAであった。
(比較例3)
オキセタン基を含む架橋性高分子化合物を用いず、20重量部のフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体“Power Flex LGB1”と、実施例1で作製した80重量部の電解液Aとを混合したこと以外は、実施例1と同様にしてゲル状電解質前駆体Hを作製した。その後、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Hを作製した。このゲル状電解質膜Hを室温(20℃)で観察したところ、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していた。しかし、このゲル状電解質膜Hを密閉状態において80℃で10分間加熱したところ、液状に融解し、80℃における形状安定性は不良であった。
また、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Hの限界電流値を測定したところ、0.4mAであった。
以上の実施例1〜4および比較例1〜3のゲル状電解質膜A〜Hの特性として、室温(20℃)における機械的強度、80℃における形状安定性、イオン伝導性の指標である限界電流値をまとめて表1に示した。表1の機械的強度および形状安定性は、良好(○)、不良(×)で表示した。
Figure 2005310445
表1から、本発明の実施例1〜4のゲル状電解質膜は、常温での機械的強度、高温での形状安定性、およびイオン伝導性に優れていることがわかる。一方、架橋性高分子化合物の重量平均分子量が1×104を下回った比較例1および架橋性高分子化合物を用いなかった比較例3では、いずれも高温での形状安定性に欠けていた。また、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いなかった比較例2では、常温での機械的強度に欠けていた。
<光電変換素子の作製>
以下のようにして、図1に示したものと同様の構造の光電変換素子を作製した。
平均一次粒子径が20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製し、これを第1のペーストとした。次に、平均一次粒子径が20nmと平均一次粒子径が400nmの高純度酸化チタン粉末とをエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製し、これを第2のペーストとした。
次に、第1のペーストを厚さ1mmの導電性ガラス基板(旭硝子製“F−SnO2”、表面抵抗:10Ω/sq)上に10mm×10mmの大きさに塗布して乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成し、基板上に厚さ10μmの多孔質酸化チタン膜(半導体膜)を形成した。
続いて、形成した多孔質酸化チタン膜上に第2のペーストを塗布して乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成し、厚さ10μmの多孔質酸化チタン膜上にさらに4μmの酸化チタン膜を形成して、ガラス基板の上に半導体電極を形成した。
次に、増感色素である〔Ru(4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジン)2(NCS)2〕ビス−テトラブチルアンモニウムを、アセトニトリルとt−ブタノールとの容積比50:50の混合溶媒に、濃度3×10-4mol/dm3で溶解して色素溶液を作製した。この色素溶液に上記多孔質酸化チタン膜を設けた基板を浸漬し、室温(20℃)下で24時間放置した。
対電極には、上記導電性ガラス基板“F−SnO2”に、H2PtCl6をイソプロピルアルコールに濃度5×10-3mol/dm3で溶解した溶液を、5×10-6dm3/cm2の割合で塗布し、450℃で15分間熱処理したものを用いた。
次に、上記半導体電極と対電極との間にシール材とスペーサーを兼ねたデュポン社製の熱可塑性合成樹脂“ハイミラン”(厚さ50μmのホットメルトシート)の枠を挟み、190℃で30秒間加熱圧着してセルを作製した。
続いて、実施例1で作製したゲル状電解質前駆体Aを対電極に設けた直径1mmの注入口よりセルに減圧注入し、その注入口に厚さ500μmのカバーガラスをデュポン社製の熱可塑性合成樹脂“Bynel”(厚さ35μmのホットメルトシート)により固定させて封止した。これを75℃で1時間加熱した後、封止強度向上のためにアネルバ社製のエポキシ系接着剤“トールシール”を塗布して、光電変換素子Aを作製した。
実施例1のゲル状電解質前駆体Aに代えて、実施例2で作製したゲル状電解質前駆体Bを用いたこと以外は、実施例5と同様にして光電変換素子Bを作製した。
実施例1のゲル状電解質前駆体Aに代えて、実施例3で作製したゲル状電解質前駆体Cを用いたこと以外は、実施例5と同様にして光電変換素子Cを作製した。
実施例1のゲル状電解質前駆体Aに代えて、実施例4で作製したゲル状電解質前駆体Dを用いたこと以外は、実施例5と同様にして光電変換素子Dを作製した。
(比較例4)
実施例1のゲル状電解質前駆体Aに代えて、比較例で作製したゲル状電解質前駆体Gを用いたこと以外は、実施例5と同様にして光電変換素子Gを作製した。
(比較例5)
電解質として、実施例1で作製した高分子を含まない電解液Aのみを用いたこと以外は、実施例5と同様にして光電変換素子Iを作製した。
実施例5〜8および比較例4、5の光電変換素子について、強度10mW/cm2の擬似太陽光(AM1.5)を光源として、(光電変換素子の出力/光入射のエネルギー)×100(%)で表される光電変換効率を求めた。光電変換効率が3.5%以上のものを良好(○)とし、3.5%より低いものを不良(×)として、その結果を表2に示す。
Figure 2005310445
表2から、本発明のゲル状電解質膜を用いた実施例5〜8の光電変換効率は良好であったが、比較例2のゲル状電解質膜Gを用いた比較例4の光電変換効率は不十分であった。なお、電解液Aのみを用いた比較例5では、光電変換効率は良好であったが、これは10mm×10mmの大きさのセルを用いたことにより、セルの撓みが発生せず、短絡などが生じなかったためと考えられる。
<大面積光電変換素子の作製>
ダイセル化学工業社製のカルボキシメチルセルロース(CMC)“♯1180”2.5gを水497.5gに溶かして、0.5重量%のCMC水溶液を調製した。このCMC水溶液25.5gに日本アエロジル社製の酸化チタン“P25”4.5gを投入し、遊星型ボールミルにかけて、酸化チタンの分散液を調製した。分散液中の酸化チタンの含有量は、15重量%になるように調製した。
この分散液を王子トービ社製のインジウム−錫複合酸化物(ITO)が被着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ125μm、シート抵抗10Ω/sqのITO/PETフィルム)に摺り切り法を用いて5cm×20cmの大きさに塗布し、温風で乾燥してフィルム上に酸化チタン膜(半導体膜)を形成した。次に、プレス機で100MPaの圧力を酸化チタン膜に加えて、厚さ8μmの酸化チタン膜を形成して、フィルム基板の上に半導体電極を形成した。圧力を加えるとき、プレス機と酸化チタン膜の間に日東電工社製のフッ素樹脂加工シート“ニトフロン”を挟んだ。プレス機と酸化チタン膜との離型性を良くし、酸化チタン膜がITO/PETフィルムから剥離しないようにするためである。
次に、増感色素である〔Ru(4,4’−ジカルボキシル−2,2’−ビピリジン)2(NCS)2〕ビス−テトラブチルアンモニウムを、アセトニトリルとt−ブタノールとの容積比50:50の混合溶媒に、濃度3×10-4mol/dm3で溶解して色素溶液を調製した。この色素溶液に上記酸化チタン膜を設けた基板を浸漬し、室温(20℃)下で24時間放置した。
対電極には、白金を20nmの厚さで蒸着した王子トービ社製のITO/PETフィルムを用いた。
次に、上記半導体電極と対電極との間にシール材とスペーサーを兼ねたデュポン社製の熱可塑性合成樹脂“ハイミラン”(厚さ50μmのホットメルトシート)の枠を挟み、135℃で30秒間加熱圧着してセルを作製した。
続いて、セルの一端に設けた未圧着部を注入口として、実施例1で作製したゲル状電解質前駆体Aを注入し、その注入口を加熱圧着した。これを厚みが平均になるように注意して2枚のガラス板の間に挟み、クリップで固定して75℃で1時間加熱し、さらにそのまま5℃で30分間冷却した後、ガラス板を除去して大面積光電変換素子を作製した。
(比較例6)
実施例1のゲル状電解質前駆体Aに代えて、比較例3で作製した架橋性高分子化合物を含まないゲル状電解質前駆体Hを用いたこと以外は、実施例9と同様にして大面積光電変換素子を作製した。
(比較例7)
実施例1のゲル状電解質前駆体Aに代えて、実施例1で作製した高分子を含まない電解液Aのみを用いたこと以外は、実施例9と同様にして大面積光電変換素子を作製した。
実施例9および比較例6、7の光電変換素子について、強度100mW/cm2の擬似太陽光(AM1.5)下で光電変換効率を求めた。その結果、実施例9の光電変換素子は光電変換効率2%が得られたが、比較例7の光電変換素子は、フィルムの撓みによりセル中央部で短絡が起き、光電変換効率の測定ができなかった。また、比較例6の光電変換素子は、測定初期においては光電変換効率2%が得られたが、光照射を続けるうちに温度が上昇し、温度が80℃を超えるとゲル状電解質が融解し、比較例7と同様に電極間で短絡を起こした。
<リチウム塩を含有したゲル状電解質の作製>
実施例1で作製した電解液Aに代えて、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを重量比で1:1に混合した混合溶媒にリチウム塩としてLiPF6を1mol/dm3となるように溶解して電解液Iを作製した。この電解液Iを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゲル状電解質膜Iを作製した。このゲル状電解質膜Iを室温(20℃)で観察したところ、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していた。また、このゲル状電解質膜Iを密閉状態において80℃で10分間加熱したところ、膜の流動化は生ぜず、80℃における形状安定性は良好であった。
次に、このゲル状電解質膜Iを直径7mmの円形に打ち抜き、2枚のリチウム板で挟み、20℃、1kHzの周波数で交流インピーダンス法によりイオン伝導度を測定したところ、0.9mS/cmであった。
(比較例8)
オキセタン基を含む架橋性高分子化合物を用いず、20重量部のフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体“Power Flex LGB1”と、実施例10で作製した80重量部の電解液Iとを混合したこと以外は、実施例10と同様にしてゲル状電解質前駆体Jを作製した。その後、実施例10と同様にしてゲル状電解質膜Jを作製した。このゲル状電解質膜Jを室温(20℃)で観察したところ、膜としての形状を維持するのに充分な機械的強度を有していた。しかし、このゲル状電解質膜Jを密閉状態において80℃で10分間加熱したところ、液状に融解し、80℃における形状安定性は不良であった。
次に、実施例10と同様にしてゲル状電解質膜Jのイオン伝導度を測定したところ、0.9mS/cmであった。
以上の結果を表3に示す。
Figure 2005310445
表3から、本発明の実施例10のゲル状電解質膜は、リチウムイオン電池のゲル状電解質としても、優れた熱安定性とイオン伝導性を併せ持つものであることが分かる。
以上のように本発明は、イオン伝導性に優れ、機械的強度が強く、かつ高温でも流動化しないゲル状電解質用樹脂組成物、ゲル状電解質およびそれを用いた電気化学素子を提供することができる。
実施形態2の光電変換素子の概要を示す断面図である。
符号の説明
1 光電変換素子
2 基板
3 電極膜
4 半導体膜
5 半導体電極
6 ゲル状電解質
7 対電極
8 基板

Claims (16)

  1. 化学架橋可能な官能基を含む架橋性高分子化合物を架橋してなる重合体(A)と、物理架橋可能な重合体(B)と、溶媒および溶質とを含み、
    前記架橋性高分子化合物の重量平均分子量が1×104〜5×106であることを特徴とするゲル状電解質。
  2. 前記化学架橋可能な官能基が、オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項1に記載のゲル状電解質。
  3. 前記架橋性高分子化合物が、オキセタン基および脂環式エポキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む重合性モノマーmモルと、他の重合性モノマーnモルとを、モル比m/nが1/20〜2/1の範囲で共重合してなる請求項1または2に記載のゲル状電解質。
  4. 前記オキセタン基を含む重合性モノマーが、式(1):
    Figure 2005310445
    (式中、R1は水素または炭素数1〜3のアルキル基、R2は炭素数1〜6のアルキル基である。)
    で示されるモノマーである請求項3に記載のゲル状電解質。
  5. 前記脂環式エポキシ基を含む重合性モノマーが、式(2):
    Figure 2005310445
    (式中、R3は水素または炭素数1〜3のアルキル基である。)
    で示されるモノマーである請求項3に記載のゲル状電解質。
  6. 前記他の重合性モノマーがビニル系モノマーであり、そのQ値が0〜1.5であり、そのホモポリマーの溶解度パラメータが17〜30である請求項3〜5のいずれかに記載のゲル状電解質。
  7. 前記他の重合性モノマーが、式(3):
    Figure 2005310445
    (式中、R4は水素または炭素数1〜3のアルキル基、R5は炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、またはアルキレンオキシド基である。)
    で示されるモノマーである請求項3〜5のいずれかに記載のゲル状電解質。
  8. 前記重合体(B)が、フッ化ビニリデンをモノマー成分として含む重合体である請求項1〜7のいずれかに記載のゲル状電解質。
  9. 前記フッ化ビニリデンをモノマー成分として含む重合体が、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項8に記載のゲル状電解質。
  10. ゲル状電解質の全体の重量に対して、前記重合体(A)の重量割合が0.5重量%以上10重量%以下であり、前記重合体(B)の重量割合が5重量%以上30重量%以下である請求項1〜9のいずれかに記載のゲル状電解質。
  11. 前記溶媒が、環状エステル、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エーテル、鎖状エーテル、およびニトリル類から選ばれる少なくとも1種の溶媒を含む請求項1〜10のいずれかに記載のゲル状電解質。
  12. 前記溶質が、酸化還元系構成物質である請求項1〜11のいずれかに記載のゲル状電解質。
  13. 前記酸化還元系構成物質が、ヨウ素とヨウ素化合物からなる請求項12に記載のゲル状電解質。
  14. 前記溶質が、リチウム塩である請求項1〜11のいずれかに記載のゲル状電解質。
  15. 色素が固定された半導体層を備える半導体電極と、前記半導体層を介して前記半導体電極と対向するように配置された対電極と、前記半導体電極と前記対電極との間に配置された電解質とを備えた電気化学素子であって、
    前記電解質が、請求項12または13に記載のゲル状電解質であることを特徴とする電気化学素子。
  16. リチウムイオンを吸蔵・放出することができる材料を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出することができる材料、金属リチウム、およびリチウムと合金を形成することができる金属材料から選ばれる少なくとも1種の材料を含む負極と、電解質とを備えた電気化学素子であって、
    前記電解質が、請求項14に記載のゲル状電解質であることを特徴とする電気化学素子。
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