JP4947882B2 - 光電変換素子 - Google Patents
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Description
一方、電子を失い正に帯電した色素は、ヨウ素イオンによって還元され、電子を受け取ることによって、太陽電池が作動する。つまり、太陽電池が作動するために、電解質部には、ヨウ素化合物/ヨウ素のレドックス系が必要である。
さらに、二次電池に用いられているように、この電解質部を擬似固体化して液漏れを抑制する方法として、多官能ビニルモノマーをラジカル重合などによって重合し、架橋構造を導入することでゲル化することが試みられている。しかし、この方法では重合系中にヨウ素が存在するため、ラジカル重合が進行しないという問題がある。そこで重合後にヨウ素を添加する方法が提案されているが、ヨウ素の含有量を安定化することができなかったり、煩雑な操作が必要であるという課題があった(例えば、非特許文献1参照。)。したがって、より簡便な方法で、電解質の液漏れ、蒸発による劣化が生じにくい擬固体電解質が望まれていた。
すなわち、本発明は、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン)ブロック共重合体をマトリックスとするゲル電解質で構成される光電変換素子に関する。
本発明の光電変換素子に用いられるゲル電解質は、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン)ブロック共重合体をマトリックスとして含有していることを特徴とするものである。
カルボン酸含有のモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸が挙げられ、これらのフッ素化物も使用できる。
本発明において用いられるレドックス剤は、ヨウ素化合物およびヨウ素で構成される。
ヨウ素化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩ss、およびこれらの混合物などが使用できる。
ヨウ素化合物の使用割合としては、ゲル電解質中に、通常10mol/L以下、好ましくは5mol/L以下、さらに好ましくは2mol/L以下が望ましく、下限としては、通常0.01mol/L以上、好ましくは0.05mol/L以上、さらに好ましくは0.1mol/L以上存在していることが望ましい。
一方、ヨウ素の使用割合としては、ゲル電解質中に、通常2mol/L以下、好ましくは1mol/L以下、さらに好ましくは0.5mol/L以下が望ましく、下限としては、通常0.001mol/L以上、好ましくは0.005mol/L以上、さらに好ましくは0.01mol/L以上存在していることが望ましい。
キャスト法は、電解質溶液をキャスト法に用いられる通常のコータにて塗布し、硬化することで成膜する方法である。コータとしては、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータ、ダイコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。塗工装置により、膜厚は調整でき、通常、25μm以上の膜厚とすることが好ましい。また、膜厚の上限は特に限定されなく、任意に選択されるところであるが、例えばキャスト法により製造する場合、通常1000μm程度となる。また、フィルム中の溶媒量としては前記乾燥条件を選択することにより適宜調整することができる。
本発明の光電変換素子としては、例えば、図1に示す断面を有する太陽電池を好ましく挙げることができる。この素子は、透明導電性基板1(基板A)上に色素を吸着した半導体層3、対向電極基板2(基板B)を有しており、そして半導体層3と対向電極基板2の間にゲル電解質層4が配置され、周辺がシール材5で密封されている。なおリード線は基板Aと基板Bの導電部分に接続され、電力を取り出すことができる。
半導体層の形成方法としては、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されずキャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法のほか、スクリーン印刷法を初めとした各種の印刷方法を挙げることができる。
半導体層の厚みは任意であるが0.5μm以上、50μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下である。
本発明において用いられる色素としては、半導体層の光吸収効率を向上させる色素であれば、特に制限されるものではなく、通常、各種の金属錯体色素や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
本発明において用いられる金属錯体色素としては、以下のようなものが例示される。
本発明において用いる有機色素としては、以下のようなものが例示される。
透明導電性基板は、通常、透明基板上に透明電極層を積層させて製造される。透明基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明とは、10〜100%の透過率を有することであり、また、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
対向電極は通常、白金、カーボン電極などを用いることができる。基板の材質は、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。また、金属プレートなどを基板として用いることもできる。
ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン)ブロック共重合体(ヘキサフロロプロピレン含有量:5重量%)6gを、γ−ブチロラクトン14gおよびアセトン15gの混合溶媒に溶解した。
この溶液に、ヨウ素230mgおよびヨウ化リチウム1.2gを加えて加熱溶解を行った後、室温まで冷却し、ガラス基板上に塗布し、アセトンを気化、除去した。
得られたゲル電解質フィルムのイオン伝導度は、室温で3×10-3S/cmの値であった。また、このゲル電解質フィルムは80℃に加熱しても溶解することなく、耐熱性は良好であった。
実施例1において、γ−ブチロラクトンに代えて、メトキシプロピオニトリルを用いて同様の処理を行い、ゲル電解質を得た。
得られたゲル電解質フィルムのイオン伝導度は、室温で3.5×10-3S/cmの値であった。また、このゲル電解質フィルムは120℃に加熱しても溶解することなく、耐熱性は良好であった。
ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン)ランダム共重合体(ヘキサフロロプロピレン含有量:12重量%)7gを、γ−ブチロラクトン13gおよびアセトン15gの混合溶媒に溶解した。
この溶液に、ヨウ素230mgおよびヨウ化リチウム1.2gを加えて加熱溶解を行った後、室温まで冷却し、ガラス基板上に塗布し、アセトンを気化、除去した。
得られたゲル電解質フィルムのイオン伝導度は、室温で4×10-3S/cmの値であった。また、このゲル電解質フィルムは100℃に加熱すると溶解するもので、耐熱性は良くなかった。
太陽電池の製造
フィルム抵抗値30Ω/sqの5cm角SnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIX社製Ti−Nanoxide T をアプリケータにて、膜厚が均一になるよう、塗布した。基板を、500℃で30分焼成した。これを下記式で示されるルテニウム色素/エタノール溶液(3.0×10-4mol/L)に15時間浸し、色素層を形成した。得られた基板と白金を蒸着したガラス基板を合わせ、空隙が50μとなるよう調節した。周辺部をシーリングした。この2枚のガラス基板内部に、実施例1で得られたゲル電解質フィルムを貼り合わせたのち、電極と熱融着を行った。なお、透明導電性基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した
このようにして得たセルにAM1.5Gの擬似太陽光を照射し、電流電圧特性を測定したところ、0.45V、16.4mA/cm2、変換効率4.3%の評価結果を得た。
実施例3において、ゲル電解質フィルムを実施例1のフィルムに代えて、実施例2のフィルムを使用して太陽電池を作成した。
このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し、電流電圧特性を測定したところ、0.45V、16.8mA/cm2、変換効率4.4%の評価結果を得た。
太陽電池の製造
フィルム抵抗値30Ω/sqの5cm角SnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIX社製Ti−Nanoxide T をアプリケータにて、膜厚が均一になるよう、塗布した。基板を、500℃で30分焼成した。これを実施例3で用いたルテニウム色素/エタノール溶液(3.0×10-4mol/L)に15時間浸し、色素層を形成した。得られた基板と白金を蒸着したガラス基板を合わせ、空隙が50μとなるよう調節した。周辺部をシーリングした。この2枚のガラス基板内部に比較例1で得られた電解質フィルムを貼り合わせたのち、電極と熱融着を行った。なお、透明導電性基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得たセルにAM1.5Gの擬似太陽光を照射し、電流電圧特性を測定したところ、0.42V、15.4mA/cm2、変換効率3.8%の評価結果を得た。
2 対向電極基板
3 半導体層
4 電解質層
5 シール材
Claims (2)
- ヘキサフロロプロピレンおよびフッ化ビニリデンを順次添加して重合を行うことによりヘキサフロロプロピレンオリゴマーを形成した後、ポリフッ化ビニリデンを形成することにより得られるポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン)ブロック共重合体をマトリックスとするゲル電解質で構成される光電変換素子。
- ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン)ブロック共重合体におけるヘキサフロロプロピレンの含有量が1〜8重量%であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
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