JP2001115134A - イオン伝導性物質 - Google Patents

イオン伝導性物質

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JP2001115134A JP29195899A JP29195899A JP2001115134A JP 2001115134 A JP2001115134 A JP 2001115134A JP 29195899 A JP29195899 A JP 29195899A JP 29195899 A JP29195899 A JP 29195899A JP 2001115134 A JP2001115134 A JP 2001115134A
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ion conductive
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Yoshinori Nishikitani
禎範 錦谷
Hiroshi Imafuku
浩 今福
Shinji Oshima
伸司 大島
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Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線吸収能に優れたイオン伝導性物質の提
供。 【解決手段】 溶媒と支持電解質を含有する混合物に、
特定な紫外線吸収剤を配合する。前記に混合物には重合
性モノマーをさらに混合することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線吸収能に優
れ、高い導電率を有するイオン伝導性物質と、このイオ
ン伝導性物質の層を備えたレクトロクロミック素子に関
する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、高分子固体電解質等のイオン伝導性物質を使用した
電気化学素子の開発が盛んに行われている。特にエレク
トロクロミック素子の分野では、その発色層が紫外線に
より劣化してしまうという問題が指摘されている。この
紫外線劣化は、素子に紫外線吸収層を設けることにより
抑制することができるが、紫外線吸収層の設置は、素子
を製造する工程数を増加させるため、製造面で不利を免
れない。従って、本発明の目的は、紫外線吸収能に優れ
たイオン伝導性物質と、このイオン伝導性物質から形成
されるイオン伝導層を備えたエレクトロクロミック素子
を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記したよ
うな従来技術の問題点を解決する手段について鋭意研究
を重ねた結果、以下のような構成を有するイオン伝導性
物質がこれらの問題を解決できることを見出し、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明に係るイオン伝
導性物質の一つは、溶媒と支持電解質と紫外線吸収剤を
含有し、25℃におけるイオン伝導度が1×10-7S/
cm以上であり、しかも、その混合物の紫外線吸収剤の
含有量が、厚さ0.2mm当該混合物の層を透過する波
長300nm〜360nmの電磁放射線の透過率を0.
1%以下に維持できる量であることを特徴とする。本発
明に係るイオン伝導性物質の他の一つは、溶媒と支持電
解質と重合性モノマーと紫外線吸収剤の4成分を含有す
る混合物が重合性モノマーの重合によって固化したイオ
ン伝導性固体物質であって、25℃におけるイオン伝導
度が1×10-7S/cm以上であり、しかも、このイオ
ン伝導性固体物質の紫外線吸収剤の含有量が、厚さ0.
2mmの当該イオン伝導性固体物質の層を透過する波長
300〜360nmの電磁放射線の透過率を0.1%以
下に維持できる量であることを特徴とする。そして、本
発明に係るエレクトロクロミック素子は、内側面に電極
層を有する2枚の対向導電基板間に、前記のイオン伝導
性物質またはイオン伝導性固体物質で形成されたイオン
伝導層と、エレクトロクロミック層とを設けたことを特
徴とする。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明に係る第1のイオン伝導性
物質は、溶媒、支持電解質および紫外線吸収剤を必須成
分として含有する混合物からなり、そのイオン伝導度は
25℃で1×10-7S/cm以上、好ましくは1×10
-6S/cm以上、さらに好ましくは1×10-5S/cm
以上であることが肝要である。イオン伝導度がこの範囲
に満たない場合、本発明のイオン伝導性物質をエレクト
ロクロミック素子のイオン伝導層に利用した際に、十分
な応答性能が得られない恐れがある。なお、イオン伝導
度は、複素インピーダンス法により求めたコール・コー
ルプロットを解析して算出した値である。上記したイオ
ン伝導度を有するイオン伝導性物質は、溶媒と支持電解
質と紫外線吸収剤を含有する混合物から得ることができ
る。ここで使用される溶媒は、電気化学セルや電池に一
般に用いられる溶媒であり、後述する支持電解質を溶解
できるものであれば、いずれもこの溶媒として用いるこ
とができる。使用可能な溶媒の具体例を列挙すると、
水、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロ
フラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセ
トニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネー
ト、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレ
ロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、プロピオ
ンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メト
キシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピ
ロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、ス
ルホラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチレングリ
コール等が例示できる。特に、プロピレンカーボネー
ト、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジ
メトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクト
ン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニ
トリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミ
ド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオ
キソラン、スルホラン、トリメチルホスフェイト、ポリ
エチレングリコール等が好ましい。溶媒はその1種を単
独で使用でき、また2種以上を混合しても使用できる。
【0005】支持電解質には、電気化学実験や電池に通
常用いられるものが、いずれも使用でき、そうした支持
電解質の典型例には、塩類、酸類、アルカリ類等があ
る。支持電解質に使用される塩類には特に制限はなく、
例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機
イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム
塩などが挙げられる。塩類の具体例としてはLiClO
4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3
3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaC
lO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等
のLi、Na、Kのアルカリ金属塩;(CH34NBF
4、(C254NBF4、(n−C494NBF4
(C254NBr、(C254NClO4、(n−C4
94NClO4等の4級アンモニウム塩またはこれら
の混合物が任意に使用できる。これらの中でもLiCl
4、LiBF4、LiIが好ましく用いられる。酸類に
も特別な制限はなく、任意の無機酸又は有機酸が、具体
的には、硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボ
ン酸類などが使用できる。同様にして、アルカリ類にも
特別な制限はなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。本
発明のイオン伝導性物質を構成す前記混合物において、
支持電解質の存在量は、特に限定されるものではない
が、その下限値は前記溶媒を基準として通常0.01
M、好ましくは0.1M、さらに好ましくは0.2Mで
あり、また上限値は通常20M、好ましくは10M、さ
らに好ましくは5Mであることが望ましい。
【0006】本発明のイオン伝導性物質に必須な紫外線
吸収剤には、従来公知のベンゾトリアゾール系化合物、
ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、サリシ
レート系化合物、シアノアクリレート系化合物、蓚酸ア
ニリド系化合物等を使用することができるが。しかし、
本発明に使用して特に好適な紫外線吸収剤を例示すれ
ば、次の通りである。一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系化合物
【化1】 式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1
〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲ
ン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等、アルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−
プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル
基等が例示でき、特に水素原子および塩素原子が好まし
い。R1の置換位置としては、ベンゾトリアゾール骨格
の4位または5位であるが、ハロゲン原子およびアルキ
ル基の場合は通常5位に位置する。R2は、水素原子ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜8の炭化水素基を
示す。炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基等であり、具体的に
は、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル
基、ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、シクロ
ヘキシル基、1,1−ジメチルベンジル基等が例示で
き、特にt−ブチル基、t−アミル基および1,1−ジ
メチルベンジル基が好ましい。R3は、炭素数4〜1
0、好ましくは炭素数4〜8の炭化水素基、炭素数2〜
10、好ましくは2〜4のカルボキシアルキル基(−R
−COOH(Rは炭素数1〜9の2価炭化水素基))ま
たはそのエステル体含有アルキル基(−R−COOR'
(R'は炭素数1〜12の炭化水素基))を示し、アル
キル鎖部分(−R−部分)としては、直鎖状または分枝
状のいずれでもよく、例えば、メチレン基、エチレン
基、トリメチレン基、プロピレン基、エチリデン基、プ
ロピリデン基等が挙げられる。R3の炭化水素基として
は分岐アルキル基やアラルキル基が好適であり、例え
ば、t−ブチル基、t−ペンチル基、1,1,3,3,
−テトラメチルブチル基、1,1−ジメチルベンジル基
などが挙げられる。−R−COOR'基としては、例え
ば、プロパン酸オクチルエステル等のアルカン酸アルキ
ルエステルが挙げられる。このようなベンゾトリアゾー
ル系化合物としては、3−(5−クロロ−2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエ
チル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,
1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタ
ン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−
4−ヒドロキシベンゼンエタン酸、3−(5−メチル−
2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メ
チルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、イ
ソ−オクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ルプロピオネート、メチル−3−[3−t−ブチル−5
−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒド
ロキシフェニル]プロピオネート、2−(5’−メチル
−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジ
メチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−
ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−
5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−
t−アミル−フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,
5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−
5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’
−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ
−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]
−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−
3−ジメチルベンジル−5−(1,1,3,3−テトラ
メチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾー
ル、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプ
ロパン酸オクチルエステル、3−(5−クロロ−2H−
ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル−n−プロパノール等が挙げら
れ、これらの中でも3−(5−クロロ−2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニルプロパン酸オクチルエステル、3−(5−
クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−プロパノー
ルが特に好ましく用いられる。
【0007】一般式(2)〜(5)で示されるベンゾフ
ェノン系化合物
【化2】 一般式(2)〜(5)において、R4は共有結合、メチ
レン基、エチレン基、プロピレン基等を示し、R5およ
びR6は、同一もしくは異なる基であって、ヒドロキシ
ル基、炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基
またはアルコキシ基を示す。また−R4−COOH基は
無くても構わない。m’、n’は0≦m’≦3、0≦
n’≦3の範囲の整数を示す。アルキル基としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチ
ル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等が、アルコキ
シ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等が例示される。R
95は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン
基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基として
は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピ
レン基等が、アルキリデン基としては、エチリデン基、
プロピリデン基等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合
物の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキ
シ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4
−(2−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベン
ゼンプロパン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スル
ホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメト
キシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒド
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等が好適に挙
げられ、この中でも2,2’,4,4’−テトラヒドロ
キシベンゾフェノンが好ましく用いられる。
【0008】上記したベンゾトリアゾール系又はベンゾ
フェノン系の紫外線吸収剤以外に、本発明に好適な紫外
線吸収剤には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5
−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキ
シ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3
−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシ
フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニ
ル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒ
ドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−
2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジ
メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリア
ジン系化合物、フェニルサリシレート、p−t−ブチル
フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレ
ート等のサリシレート系化合物、2−エチルヘキシル−
2−シアノ−3,3,ジフェニルアクリレート、エチル
−2−シアノ−3,3,−ジフェニルアクリレート等の
シアノアクリレート系化合物、2−エトキシ−2’−エ
チル−オキサリック酸ビスアニリド等の蓚酸アニリド系
化合物がある。
【0009】本発明のイオン伝導性物質は、その紫外線
吸収剤の含有量が肝要なのである。イオン伝導性物質の
紫外線吸収剤含有量は、そのイオン伝導性物質からなる
厚さ(光路長)0.2mmの層に、波長300nm〜3
60nmの電磁放射線を照射した場合において、当該電
磁放射線の透過率を0.1%以下に維持できる範囲でな
ければならない。さらに言えば、電磁放射線の波長を3
00nm〜370nmに拡大した場合でも、その透過率
を0.1%以下に維持できる範囲であることがより好ま
しく、電磁放射線の波長を300nm〜380nmに拡
大した場合に、その透過率を0.1%以下に維持できる
範囲であることがさらに好ましく、電磁放射線の波長を
さらに300nm〜390nmと拡大した場合に、その
透過率を0.1%以下に維持できる範囲であることが最
も好ましい。透過率測定に用いる電磁放射線の光源は特
には限定されないが、タングステンランプおよび/また
は重水素ランプなどが好適なものとしてが挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量をこのように制限することによ
り、イオン伝導性物質の構成成分である溶媒の紫外線変
質、イオン伝導性物質をエレクトロクロミック素子のイ
オン伝導層に利用した場合における発消色層のフォトク
ロミズムの発生、レドックス系発色剤の紫外線変質など
を効果的に抑制することができる。紫外線吸収剤はその
種類により紫外線吸収能が異なるため、本発明のイオン
伝導性物質にてエレクトロクロミック素子のイオン伝導
層を形成させた際に、そのイオン伝導層を占める紫外線
吸収剤の含有量を重量パーセントで一概には特定できな
いが、一般的には、イオン伝導層に含まれる紫外線吸収
剤量の下限値は、0.1重量%、好ましくは1重量%で
あり、上限値は20重量%、好ましくは10重量%であ
る。本発明に係る第1のイオン伝導性物質には、必要に
応じてゲル化剤を含有させることができる。このゲル化
剤としては、例えば、アクリルアミド、寒天などが使用
可能である。なお、本発明のイオン伝導性物質は実質的
に透光性を有し、可視光領域において通常10%〜10
0%(イオン伝導性物質の厚さ(光路長)が0.2mm
である場合)の光透過率を有する。
【0010】本発明に係る第2のイオン伝導性物質は、
溶媒と支持電解質と紫外線吸収剤と、さらに重合性モノ
マーを含有する混合物からなり、この混合物はこれに含
まれる重合性モノマーを重合硬化させることで、イオン
伝導性固体物質を形成する。イオン伝導性固体物質は自
立性を有しているので、これをエレクトロクロミック素
子のイオン伝導層に利用すれば、エレクトロクロミック
素子の大面積化を実現することができる。イオン伝導性
固体物質を与える上記混合物の構成成分である溶媒、支
持電解質並びに紫外線吸収剤には、先に説明した溶媒、
支持電解質並びに紫外線吸収剤がそれぞれ使用でき、イ
オン伝導性固体物質のイオン伝導度並びにこれに含まれ
る紫外線吸収剤の量については、第1のイオン伝導性物
質について先に説明して規定がそのまま当てはまるの
で、ここでは重合性モノマーについて説明する。重合性
モノマーとしては、例えば、ポリウレタンモノマーが使
用できるほか、アクリロイル変性またはメタクリロイル
変性したポリアルキレンオキシドが使用できる。なかで
も、アクリロイル変性またはメタクリロイル変性のポリ
アルキレンオキシドの使用が好ましい。本発明に使用し
て好適なポリウレタンモノマーは、分子の両末端にアク
リロイル基またはメタクリロイル基を有するポリウレタ
ンモノマーであって、下記の一般式(6)で表される。
【化3】 (式中、R7およびR8は同一または異なる基であって、
一般式(7)〜(9)で表される基から選ばれる基を示
す。R9およびR10は同一または異なる基であって、炭
素数1〜20、好ましくは2〜12の2価炭化水素残基
を示す。Yはポリエーテル単位、ポリエステル単位、ポ
リカーボネート単位またはこれらの混合単位を示す。ま
たjは1〜100、好ましくは1〜50、さらに好まし
くは1〜20の範囲の整数である。)
【化4】 一般式(7)〜(9)において、R11〜R13は同一また
は異なる基であって、水素原子または炭素数1〜3のア
ルキル基を示す。またR14は炭素数1〜20、好ましく
は炭素数2〜8の2〜4価の有機残基を示す。この有機
残基としては、具体的には、アルキルトリイル基、アル
キルテトライル基、下記の一般式(10)で示されるア
ルキレン基等の炭化水素残基などが挙げられる。
【化5】 一般式(10)において、R15は炭素数1〜3のアルキ
ル基または水素を示し、kは0〜6の整数である。kが2
以上の場合、R15は同一でも異なっても良い。また、一
般式(10)中の水素原子は、その一部が炭素数1〜
6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素数6〜12
のアリールオキシ基などの含酸素炭化水素基により置換
されている基でもよい。一般式(7)〜(9)における
14の具体例としては、メチレン基、テトラメチレン
基、1−メチル−エチレン基、1,2,3−プロパント
リイル基、ネオペンタントリイル基等を好ましく挙げる
ことができる。一般式(6)のR9及びR10で示される
2価の炭化水素残基としては、脂肪族炭化水素基、芳香
族炭化水素基、脂環式炭化水素基などが挙げられるが、
脂肪族炭化水素基としては、先の一般式(10)で表さ
れるアルキレン基等を挙げることができる。また、2価
の芳香族炭化水素基および2価の脂環式炭化水素基とし
ては、下記一般式(11)〜(13)で表される炭化水
素基等が挙げられる。
【化6】 一般式(11)〜(13)において、R16およびR17
同一または異なる基であって、フェニレン基、置換フェ
ニレン基(アルキル置換フェニレン基等)、シクロアル
キレン基、置換シクロアルキレン基(アルキル置換シク
ロアルキレン基等)を示す。R18〜R31は同一または異
なる基であって、水素原子または炭素数1〜3のアルキ
ル基を示す。また、lは1〜5の整数である。一般式
(6)におけるR9およびR10の具体例としては、以下
に示す2価の基が挙げられる。
【化7】 一般式(6)におけるYはポリエーテル単位、ポリエス
テル単位およびポリカーボネート単位またはこれらの混
合単位を示すが、このポリエーテル単位、ポリエステル
単位、ポリカーボネート単位及びこれらの混合単位とし
ては、それぞれ下記の一般式(c)〜(f)で示される
単位を挙げることができる。
【化8】 一般式(c)〜(f)において、R22〜R27は同一また
は異なる基であって、炭素数1〜20、好ましくは2〜
12の2価の炭化水素残基を示す。R22〜R27として
は、直鎖または分岐のアルキレン基などが好ましく、具
体的には、R 24としてはメチレン基、エチレン基、トリ
メチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘ
キサメチレン基、プロピレン基等が好ましい。また、R
22〜R23およびR25〜R27としてはエチレン基、プロピ
レン基などが好ましい。c'は2〜300、好ましくは1
0〜200の整数である。d'は1〜300、好ましくは
2〜200の整数、e'は1〜200、好ましくは2〜1
00の整数、e''は1〜200、好ましくは2〜100
の整数、f'は1〜300、好ましくは10〜200の整
数である。一般式(c)〜(f)において、各単位は同
一でも、異なる単位の共重合でも良い。即ち、複数のR
22〜R27が存在する場合、R22同志、R23同志、R24
志、R25同志、R26同志およびR27同志は同一でも異な
っても良い。一般式(6)で表されるポリウレタンモノ
マーの分子量は、通常、重量平均分子量で2,500〜
30,000、好ましくは3,000〜20,000の
範囲にあり、1分子中の重合官能基数は、好ましくは2
〜6、さらに好ましくは2〜4の範囲にある。一般式
(10)で表されるポリウレタンモノマーは、公知の方
法により容易に製造することができ、その製法は特に限
定されるものではない。
【0011】本発明に好適な重合性モノマーの他の一つ
は、アクリロイル変性またはメタクリロイル変性された
ポリアルキレンオキシドである(以下、この両者を変性
ポリアルキレンオキシドと総称する)。この変性ポリア
ルキレンオキシドには、単官能変性ポリアルキレンオキ
シド、2官能変性ポリアルキレンオキシド、3官能以上
の多官能変性ポリアルキレンオキシドが包含される。各
変性ポリアルキレンオキシドは単独で用いても混合して
用いてもよく、特に、単官能変性ポリアルキレンオキシ
ドを必須とし、これに2官能変性ポリアルキレンオキシ
ドおよび/または多官能変性ポリアルキレンオキシドを
混合使用することが好ましい。混合使用する場合の混合
比率は任意に選ぶことができるが、単官能変性ポリアル
キレンオキシド100重量部に対して、2官能変性ポリ
アルキレンオキシドおよび/または多官能変性ポリアル
キレンオキシドを、合計量で0.1〜20重量部、好ま
しくは0.5〜10重量部の範囲で選ばれる。
【0012】単官能変性ポリアルキレンオキシドは下記
の一般式(14)で表わされる。
【化9】 (式中、R28、R29、R30およびR31は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、g'は1以上の整数である。) 一般式(14)において、R28、R29、R30およびR31
は、それぞれ個別に水素または1〜5の炭素原子を有す
るアルキル基を示すが、そのアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n
−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げら
れ、互いに同一でも異なってもよく、特にR28は水素、
メチル基、R29は水素、メチル基、R30は水素、メチル
基、R31は水素、メチル基、エチル基であることがそれ
ぞれ好ましい。一般式(14)のg'は、1以上の整数、
通常1≦g'≦100、好ましくは2≦g'≦50、さらに
好ましくは2≦g'≦30の範囲の整数である。一般式
(14)で表される化合物の具体例としては、オキシア
ルキレンユニットを1〜100、好ましくは2〜50、
さらに好ましくは2〜20の範囲で持つメトキシポリエ
チレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピ
レングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレン
グリコールメタクリレート、エトキシポリプロピレング
リコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコ
ールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコール
アクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリ
レート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレー
ト、またはこれらの混合物等を挙げることができ、これ
らの中でも特にメトキシポリエチレングリコールメタク
リレートおよびメトキシポリエチレングリコールアクリ
レートが好ましく用いられる。一般式(14)のg'が2
以上の場合、オキシアルキレンユニットは互いに異なる
いわゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つもので
もよく、その重合形態は交互共重合、ブロック共重合ま
たはランダム共重合のいずれでもよい。その具体例とし
ては、例えば、オキシエチレンユニットを1〜50、好
ましくは1〜20の範囲で持ち、かつオキシプロピレン
ユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持つ
交互共重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合
体であるところの、メトキシポリ(エチレン・プロピレ
ン)グリコールメタクリレート、エトキシポリ(エチレ
ン・プロピレン)グリコールメタクリレート、メトキシ
ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールアクリレー
ト、エトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコール
アクリレート、またはこれらの混合物などが挙げられ
る。
【0013】2官能変性ポリアルキレンオキシドは、下
記の一般式(15)で表され、3官能以上の多官能アク
リロイル変性ポリアルキレンオキシドは、下記の一般式
(16)で表わされる。
【化10】 (式中、R32、R33、R34およびR35は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、h'は1以上の整数である。)
【化11】 (式中、R36、R37およびR38は、それぞれ個別に水素
または1〜5の炭素原子を有するアルキル基であり、
i’は1以上の整数であり、j'は2〜4の整数であり、
Lはj'価の連結基を示す。) 一般式(16)において、式中のR32、R33、R34およ
びR35は、それぞれ個別に水素または1〜5の炭素原子
を有するアルキル基を示すが、このアルキル基として
は、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピ
ル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等
が挙げられる。特に、R32は水素、メチル基、R33は水
素、メチル基、R34は水素、メチル基、R35は水素、メ
チル基であることがそれぞれ好ましい。また、一般式
(15)中のh'は、1以上の整数、通常1≦h'≦10
0、好ましくは2≦h'≦50、さらに好ましくは2≦h'
≦30の範囲の整数であるが、そうした化合物の具体例
は、オキシアルキレンユニットを1〜100、好ましく
は2〜50、さらに好ましくは1〜20の範囲で持つポ
リエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレ
ングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタク
リレート、またはこれらの混合物等を挙げることができ
る。また、h'が2以上の場合、オキシアルキレンユニッ
トが互いに異なるいわゆる共重合オキシアルキレンユニ
ットを持つものでもよく、その重合形態は交互共重合、
ブロック共重合またはランダム共重合のいずれでもよ
い。その例としては、例えば、オキシエチレンユニット
を1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持ち、かつオ
キシプロピレンユニットを1〜50、好ましくは1〜2
0の範囲で持つ交互共重合体、ブロック共重合体または
ランダム共重合体であるところの、ポリ(エチレン・プ
ロピレン)グリコールジメタクリレート、ポリ(エチレ
ン・プロピレン)グリコールジアクリレート、またはこ
れらの混合物などが挙げられる。一般式(16)におけ
るR36、R37およびR38は、それぞれ個別に水素または
1〜5の炭素原子を有するアルキル基であるが、このア
ルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n
−ペンチル基等が挙げられる。特にR36、R37およびR
38は水素、メチル基が好ましい。また、式中のi'は1以
上の整数、通常1≦i'≦100、好ましくは2≦i'≦5
0さらに好ましくは2≦i'≦30の範囲の整数を示すも
のである。j'は連結基Lの連結数であり、2≦j'≦4の
整数である。連結基Lとしては、通常、炭素数1〜3
0、好ましくは1〜20の二価、三価または四価の炭化
水素基である。二価炭化水素基としては、アルキレン
基、アリーレン基、アリールアルキレン基、アルキルア
リーレン基、またはこれらを基本骨格として有する炭化
水素基などが挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレ
ン基、
【化12】 などが挙げられる。また、三価の炭化水素基としては、
アルキルトリイル基、アリールトリイル基、アリールア
ルキルトリイル基、アルキルアリールトリイル基、また
はこれらを基本骨格として有する炭化水素基などが挙げ
られ、具体的には
【化13】 などが挙げられる。また、四価の炭化水素基としては、
アルキルテトライル基、アリールテトライル基、アリー
ルアルキルテトライル基、アルキルアリールテトライル
基、またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基な
どが挙げられ、具体的には
【化14】 等が挙げられる。
【0014】一般式(16)で表わされる多官能アクリ
ロイル変性ポリアルキエレンオキシドの具体例として
は、オキシアルキレンユニットを1〜100、好ましく
は2〜50、さらに好ましくは1〜20の範囲で持つト
リメチロールプロパントリ(ポリエチレングリコールア
クリレート)、トリメチロールプロパントリ(ポリエチ
レングリコールメタクリレート)、トリメチロールプロ
パントリ(ポリプロピレングリコールアクリレート)、
トリメチロールプロパントリ(ポリプロピレングリコー
ルメタクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ
(ポリエチレングリコールアクリレート)、テトラメチ
ロールメタンテトラ(ポリエチレングリコールメタクリ
レート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリプロピ
レングリコールアクリレート)、テトラメチロールメタ
ンテトラ(ポリプロピレングリコールメタクリレー
ト)、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタク
リロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−
ビス[4−(アクリロキシポリイソプロポキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポ
リイソプロポキシ)フェニル]プロパン、またはこれら
の混合物等を挙げることができる。また、一般式(1
6)のi'が2以上の場合、オキシアルキレンユニットが
互いに異なるいわゆる共重合オキシアルキレンユニット
を持つものでもよく、その重合形態は、交互共重合、ブ
ロック共重合、ランダム共重合のいずれであってもよ
い。オキシエチレンユニットを1〜50、好ましくは1
〜20の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを
1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持つ交互共重合
体、ブロック共重合体またはランダム共重合体であると
ころの、トリメチロールプロパントリ(ポリ(エチレン
・プロピレン)グリコールアクリレート)、トリメチロ
ールプロパントリ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリ
コールメタクリレート)、テトラメチロールメタンテト
ラ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールアクリレ
ート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリ(エチレ
ン・プロピレン)グリコールメタクリレート)、または
これらの混合物などがその具体例である。一般式(1
5)で表される2官能変性ポリアルキレンオキシドと、
一般式(16)で表される3官能以上の多官能変性ポリ
アルキレンオキシドを併用してもよい。併用する場合の
重量比は、通常、0.01/99.9〜99.9/0.
01、好ましくは1/99〜99/1、さらに好ましく
は20/80〜80/20の範囲が望ましい。
【0015】本発明のイオン伝導性固体物質を得る際の
重合性モノマーの使用量は、適宜選択することができる
が、一般には、このイオン伝導性固体物質を与える混合
物、すなわち、溶媒、支持電解質、紫外線吸収剤並びに
重合性モノマーを含有する混合物全体に対する重合性モ
ノマーの含有量の下限値は、通常5重量%、好ましくは
10重量%であり、上限値は80重量%、好ましくは5
0重量%、さらに好ましくは30重量%である。イオン
伝導性固体物質を与える混合物には、光重合開始剤や熱
重合開始剤などの重合開始剤を含有させることができ、
必要に応じて、さらに重合開始加速剤を含有させること
ができる。光重合開始剤には、ベンゾイン系、アセトフ
ェノン系、ベンジルケタール系、アシルホスフィンオキ
サイド系等の公知のものを用いることができる。光重合
開始剤の具体例としては、アセトフェノン、ベンゾフェ
ノン、4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾインメチル
エーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルジメトキ
シ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ
−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンジル、ベ
ンゾイル、2−メチルベンゾイン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプ
ロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン
−1−オン、トリフェニルホスフィン、2−クロロチオ
キサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニ
ルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルア
セトフェノン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−
ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリ
ノフェニル)−ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−プロパン−1−オン、ジエトキシアセトフ
ェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾイン、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイ
ル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジ
メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペン
チルホスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シク
ロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオ
ロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チ
タニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル
−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト
(1−)等を挙げることができる。これらは単独若しく
は混合物として使用できる。また、熱重合開始剤には、
過酸化物系重合開始剤またはアゾ系重合開始剤等の公知
のものを用いることができる。過酸化物系重合開始剤の
具体例には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチ
ルエチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレ
ート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等が挙げ
られ、アゾ系としては、例えば2,2’−アゾビス(2
−イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン
−1−カルボニトリル)等がある。これらは単独若しく
は混合物として用いることができる。重合開始剤を使用
する場合の使用量は、重合性モノマー100重量部に対
して通常0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以
上であり、上限値は通常10重量部、好ましくは5重量
部で選ぶことが望ましい。
【0016】重合性モノマーを含有する混合物は、光照
射又は加熱によってこれを固化させることができるの
で、例えば、当該混合物を適当な2枚の基板間に挟ん
で、光照射又は加熱することにより、エレクトロクロミ
ック素子に利用可能なイオン伝導層を得ることができ
る。ここでいう混合物の固化とは、混合物中の重合性モ
ノマーが重合反応や架橋反応の進行に伴い硬化し、常温
において混合物全体として実質的に流動しない状態にな
ることをいう。なお、重合性モノマーの硬化によってネ
ットワーク構造(3次元的網目構造)をとることが多
い。光硬化は、好ましくは光重合開始剤を含有する混合
物に、通常、遠紫外光、紫外光、可視光等を照射するこ
とで行い、光源としては、高圧水銀灯、蛍光灯、キセノ
ン灯等が使用される。光照射量の下限値は、通常、10
0mJ/cm2、好ましくは1000mJ/cm2であ
り、上限値は50000mJ/cm2、好ましくは20
000mJ/cm2であることが望ましい。熱重合開始
剤を含有する混合物には熱硬化が採用される。熱硬化の
反応条件は、用いる重合開始剤により選択されるが、反
応温度の下限値は、通常0℃、好ましくは20℃であ
り、上限値は130℃、好ましくは80℃であることが
望ましい。また硬化時間は、通常、30分間以上、好ま
しくは1時間以上であり、100時間以下、好ましくは
40時間以下であることが望ましい。重合性モノマーを
含有する混合物には、その硬化物の機械的強度をより向
上させるために、適当な架橋剤を配合しておくことがで
きる。また、光硬化又は熱硬化に供する混合物には、必
要に応じて、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチル
セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレ
ート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、セルロース、
ポリエステル、ポリプロピレンオキサイドなどがポリマ
ーの1種又は2種以上を配合することもできる。さらに
また、光硬化又は熱硬化に供する混合物には、ナフィオ
ン、ポリスチレンスルホン酸、Li3N、Na-β-Al2
3、Sn(HPO42・H2O等の高分子固体電解質を
配合することもできる。
【0017】レドックス剤および光安定剤は、本発明の
第1のイオン伝導性物質にも、第2のイオン伝導性固体
物質にも、共通して添加可能な任意成分である。ちなみ
に、エレクトロクロミック素子のイオン伝導層を、本発
明の上記した何れかのイオン伝導性物質で形成させる場
合、そのイオン伝導層へのレドックス剤の添加は、エレ
クトロクロミック層の着消色を促進する。このようなレ
ドックス剤としては、フェロセン等のメタロセン類およ
びそれらの誘導体、フェノキサジン、5,10−ジヒド
ロ−5,10−ジメチルフェナジン、5,10−ジヒド
ロ−5,10−ジフェニルフェナジン等の5,10−ジ
ヒドロフェナジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラ
メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N,N’,
N’−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン等
の1,4−フェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,
N’−テトラメチルベンジジン等のベンジジン誘導体、
テトラチアフルバレン、o−トルイジン、などを挙げる
ことができる。レドックス剤の添加量は、特に制限され
るものではないが、一般的にはイオン伝導性物質中に1
mM以上、好ましくは5mM以上、さらに好ましくは1
0mM以上であり、かつ100mM以下、好ましくは5
0mM以下、さらに好ましくは30mM以下の濃度で添
加するのが望ましい。イオン伝導性物質に含有させるこ
とができる光安定剤の具体例としては、コハク酸ジメチ
ル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
N,N’’’−1,2−エタンジイルビス[N−[3−
[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペン
タメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−
トリアジン−2−イル]アミノ]プロピル]−N’,
N’’−ジブチル−N‘,N’‘−ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−1,3,
5−トリアジン−2,4,6−トリアミン]、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニ
ル)−[[3,5−ビス1,1−ジメチルエチル]−4
−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビ
ス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−セバケー
ト、1−(メチル)−8−(1,2,2,6,6−ペン
タメチル−4−ピペリジニル)−セバケート、コハク酸
ジメチル1−1(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロ
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合
物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイ
ル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビ
ス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−
ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,
3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セ
バケート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等を挙げ
ることができる。この他、本発明のイオン伝導性物質に
は、電気絶縁性の粒子を添加することができ、これらの
粒子は、2枚の基板間にイオン伝導性物質の層を形成さ
せる場合のスペーサとして機能する。
【0018】進んで、本発明のイオン伝導性物質をイオ
ン伝導層に利用したエレクトロクロミック素子を説明す
る。エレクトロクロミック素子は、基本的には、2枚の
導電基板間に、イオン伝導層とエレクトロクロミック層
を設けた構造にある。ここで導電基板とは、少なくとも
一方の面が電極として機能する基板を意味する。従っ
て、この導電基板には、それ自体導電性を有する金属製
基板、それ自体は導電性を持たない透明又は不透明な基
板の一方の表面に、透明又は不透明な導電膜(電極膜)
を設けた複合基板が包含される。これらの導電基板は、
常温において平滑な面を有していること必要であるが、
その面は平面でも曲面でもよく、また応力によって変形
するものであってもよい。金属製基板の素材としては、
鉄、銅、銀、アルミニウム、錫、鉛、金、亜鉛等の金属
単体、またはこれらの金属の何れかを含有する合金が挙
げられる。また、それ自体は実質的に導電性を持たない
透明又は不透明な基板の素材としては、各種プラスチッ
ク、樹脂、ガラス、木材、石材等を挙げることができ
る。特に、透明基板の素材には、無色あるいは有色ガラ
ス、網入りガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、
強化ガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あ
るいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。具体的に
は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、
ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタク
リレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメ
チルペンテンなどを挙げることができる。なお、本発明
における透明とは、通常3%以上、好ましくは10〜1
00%の透過率を有することである。本発明で使用され
る2枚の導電基板の少なくとも一方は、透明な導電基板
であることが好ましい。透明な導電基板は、通常は実質
的に導電性を持たない透明基板に、透明な導電膜(電極
膜)を設けることで調製され、当該導電膜(電極膜)の
材料には、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン
等の金属、ITO(In2O3−SnO2)、SnO2
F、酸化錫、酸化亜鉛、酸化銀、ZnO:Al、酸化バ
ナジウム等が適宜使用される。導電膜(電極膜)の膜厚
は、通常100〜5000オングストローム、好ましく
は500〜3000オングストロームの範囲で選択さ
れ、表面抵抗(抵抗率)は、通常0.5〜500Ω/c
2、好ましくは1〜50Ω/cm2の範囲で選択され
る。透明基板上への導電膜(電極膜)の形成は、膜の材
料の種類により適宜公知の方法が選択できる。通常、真
空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法
あるいはゾルゲル法等で形成することができる。何れの
場合も、基板温度が通常100〜350℃の範囲内で導
電膜(電極膜)形成することが望ましい。導電膜(電極
膜)には、酸化還元の付与、導電性の付与、電気二重層
容量の付与の目的で、部分的に不透明な電極活物質を付
与することもできるが、その使用量は、導電膜(電極
膜)面全体としての透明性が確保できる範囲内であるこ
とが望ましい。不透明な電極活物質としては、例えば、
銅、銀、金、白金、鉄、タングステン、チタン、リチウ
ム等の金属、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ
ール、フタロシアニンなどの酸化還元能を有する有機
物、活性炭、グラファイトなどの炭素材、V25、WO
3、MnO2、NiO、Ir23などの金属酸化物または
これらの混合物等を用いることができる。また、これら
を導電膜(電極膜)に結着させるために、さらに各種樹
脂を用いても良い。この不透明な電極活物質等を導電膜
(電極膜)に付与する方法には、例えば、透明なITO
膜上に、活性炭繊維、グラファイト、アクリル樹脂等か
らなる組成物にて、ドット状又はストライプ状等の微細
パターンに形成させる方法とか、あるいは金(Au)薄
膜上に、V25、アセチレンブラック、ブチルゴム等か
らなる組成物にて、網目模様(メッシュ状模様)を形成
する方法がある。
【0019】本発明で使用して特に好ましい導電基板
は、特定の導電性微粒子と特定のバインダーを含有する
組成物を使用して、導電基板上にさらに電極を形成させ
た複合基板である。ここで使用する導電性微粒子は、1
ファラッド/g以上、好ましくは10ファラッド/g以
上の電気容量を備えていることが望ましい。これに加え
て、上記の導電性微粒子は、通常10-8S・cm-1
上、好ましくは10-5S・cm-1以上、さらに好ましく
は10-2S・cm-1以上の導電性を示すか、あるいは通
常1クーロン/g以上、好ましくは5クーロン/g以
上、さらに好ましくは10クーロン/g以上の電荷量を
蓄え得ることができる性質を兼備していることがさらに
望ましい。導電性微粒子の粒径は、本発明の目的を損な
わない限り特に限定されないが、通常500μm〜0.
1μm、好ましくは200μm〜0.3μm、さらに好
ましくは50μm〜0.5μmの範囲の平均粒径が望ま
しい。また、粒径分布は特に限定されなく、本願発明の
目的を損なわない限り任意のものが使用できるが、粒径
の上限は、通常700μmであることが望ましい。この
ような微粒子の一例は、表面積が10m2/g以上、好
ましくは50〜5000m2/g、特に好ましくは30
0〜4000m2/gの範囲内にある多孔質カーボン
(活性炭)である。表面積が10m2/g未満である多
孔質カーボンの使用は、印加電圧によってはエレクトロ
クロミック層の発色効率が不充分になる恐れがある。こ
のような多孔質カーボンは、例えば、やしがら、石油ピ
ッチ、カイノール繊維、フェノール樹脂レーヨン、フェ
ノール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等を炭化賦活処
理する方法等により得ることができる。念のため付言す
れば、電極膜を構成する多孔質カーボンのpHは、素子
のエレクトロクロミック特性と密接に関連する。特にエ
レクトロクロミック層にWO3などの還元発色剤を用い
た場合には、多孔質カーボンのpHは7以上であること
が好ましい。ここでpHとは4gの多孔質カーボン粉末
を100gの純水中にて十分に攪拌分散させた後に、多
孔質カーボン粉末を分離した濾液のpHを意味する。多
孔質カーボンとしては、やしがらを賦活処理し作成した
活性炭は特に好ましい。上記した導電性微粒子の他の一
例は、インターカレーション材料又は導電性高分子であ
って、なかでも、印加電圧3V以内で前記電荷量を蓄え
得ることができるインターカレーション材料又は導電性
高分子が特に好ましい。インターカレーション材料とし
ては、TiS2、MoS2等の二硫化物;CoO 2、Ni
2等の二酸化物;W1849、W2058等のエレクトロ
クロミック酸化物等を挙げることができ、一方、前記導
電性高分子としては、ポリアリニン、ポリチオフェン、
ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリアレン等
を主成分とし、ドーピング等を行なって得られる導電性
高分子等を挙げることができる。
【0020】上記した導電性微粒子と併用されるバイン
ダーには、シリコーン樹脂、エポキシラン樹脂、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂などが使用され、特に、シリコ
ーン樹脂が好ましい。一般にバインダーに使用される樹
脂の分子量は、通常、200〜20000、好ましくは
500〜15000、より好ましくは1000〜100
00、最も好ましくは2000〜6000の範囲にあ
る。バインダーとしてシリコーン樹脂を使用する場合、
このものは反応性シリコーン樹脂、即ち、アルコキシシ
リル基やシラノール基等を有するシリコーン樹脂が特に
好ましい。このような反応性シリコーン樹脂は、アルコ
キシシランやクロロシラン類の部分加水分解反応と、そ
れに続く縮合反応によって一般に合成することができ
る。市販品では、純シリコーンワニス(例えば、XO7
931−クリヤ−:オキツモ(株)製)、シリコーンレ
ジン(例えば、SR2410:東レ・ダウコーニングシ
リコーン(株)製、商品名「RZ7703」、日本ユニ
カー社製等)、アクリル変性シリコーン樹脂(例えば、
サイラコート1000:チッソ(株)製)などが好適の
ものとして挙げられる。また、これらのシリコーン樹脂
は、本発明の目的を損なわない範囲で各種溶剤に溶解し
て用いることができ、その場合の溶剤としては、各種炭
化水素系溶剤、ケトン類、エーテル類、エステル類、エ
ーテル・エステル類などが挙げられる。また、シリコー
ン樹脂を各種変性したものを用いても良い。導電性微粒
子とバインダーを含有する組成物を硬化させる条件は、
使用するバインダーの種類や導電性微粒子の種類により
適宜選択される。例えば、組成物を熱硬化させる場合
は、熱処理温度として、通常20℃〜350℃、好まし
くは70℃〜300℃、さらに好ましくは100℃〜2
50℃、最も好ましくは120℃〜180℃の範囲が選
ばれる。熱処理時間には通常10分〜300分、好まし
くは30分〜200分、より好ましくは40分〜150
分、最も好ましくは45分〜120分が選ばれる。一般
的、に熱処理温度が下がると熱処理時間は長くなる。導
電性微粒子とバインダーとの混合割合について言えば、
バインダーの割合が減少すればするほど、組成物から得
られる電極の電気化学的な容量は一般に増大するが、そ
の反面、導電基板上に設けられる電極の機械強度が低下
する。従って、前記組成物における導電性微粒子対バイ
ンダーとの重量比は、通常90:10〜20:90の範
囲、好ましくは75:25〜30:70の範囲、さらに
好ましくは60:40〜40:60の範囲、最も好まし
くは55:45〜45:55の範囲で選ばれる。導電性
微粒子とバインダーを含有する組成物には、粒子間の導
電性を向上させるために、好ましくはカーボンブラック
(新日鐵化学社製ニテロン#200IS、デンカ社製デ
ンカブラック、キャブラック社製XC72Rなど)、グ
ラファイト(日本黒鉛商事USSPなど、東海カーボン
5500Fなど)、アセチレンブラック(旧三菱化成3
950)、ケッチエンブラック(三菱化学製EC600
JD、ECP04など)、金属微粒子等を混合すること
ができる。また、ドープしたポリビニレンフェニレン、
ポリチオフェン、ポリピロールなどの導電性共役系有機
物質等も混合可能である。これら導電性向上材の配合量
は、導電性微粒子と等量以下、好ましくは導電性微粒子
の30%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ま
しくは2%以下である。
【0021】導電性微粒子とバインダーを含有する組成
物を用いて導電基板上に付加的に設けられる電極は、任
意に配置することができるが、これを透明な導電基板に
設ける場合は、その透明性ないしは光透過性が損なわれ
ないように配慮することが好ましい。一般的には、導電
基板上に付加的は電極を連続または不連続のストライプ
状(縦縞状、横縞状、波状等)又は網目状に配置するこ
とが好ましい。特に透過される映像、風景等の鮮明性も
しくは反射像の鮮映性が必要とされる場合には、ストラ
イプ状又は網目状の付加的電極を実質的に等間隔に設け
ることが望ましく、その間隔は通常0.3mm〜10c
m、好ましくは0.5mm〜8cm、さらに好ましくは
1.0mm〜5cmの範囲で選ばれる。付加的な電極の
幅は通常50〜5000μm、好ましくは100〜20
00μmの程度であり、電極の厚みは、通常50μm以
上、好ましくは100μm以上、さらに好ましくは13
0μm以上とすることが望ましい。基板の導電面を覆う
付加的電極の被覆率[(付加的電極の面積の和/基板の
導電面面積)×100]は、任意に選ぶことができる
が、通常は3〜70%、好ましくは5〜50%の範囲に
ある。導電基板上に形成された付加的電極の機械的強度
は、特に限定されないが、比較的高い強度が好ましく、
例えば、ストライプ状電極の場合、その機械的強度は通
常10gf以上、好ましくは50gf以上、さらに好ま
しくは100gf以上、最も好ましくは200gf以上
であることが望ましい。この機械的強度の上限値限は、
通常10000gf程度である。また、透明導電基板上
に付加的電極を配置させた基板を使用して、エレクトロ
クロミック素子を組立てる場合において、消色時の視覚
的快適性、美装性を向上させる目的で、付加的電極が設
けた透明導電基板の裏面であって、しかも表面い設けた
付加的電極に対応する箇所を、白色系顔料、白色又は銀
色導電性ペースト等で覆うこともできる。このような基
板の作成方法の一つは、透明基板の一方の面に白色系顔
料等を用いて、設置せんとする付加的電極と同一又は略
同一のパターンを形成させ、次いで透明基板の他方の面
全体に透明導電膜を積層させた後、その上に付加的電極
を配置する方法である。前記白色系顔料としては、酸化
チタン、酸化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白、酸
化ジルコン等が挙げられる。
【0022】基板が透明であるか否かに拘らず、導電基
板の導電面に付加的な電極を設置するのに適した方法を
以下に例示する。(1)導電性微粒子とバインダーを、
必要に応じて導電性向上材と共にブチルセロソルブなど
の有機溶媒の存在下又は不存在下に混合してペースト状
とし、このペーストを導電基板表面にスクリーン印刷、
平板印刷、グラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、凸
版印刷、特殊印刷等の公知の印刷方法を用いて、所望の
パターンに塗布し、しかる後これを固化させる方法。
(2)適当な溝を設けることで導電基板表面に所望のバ
ターンを予め形成させておき、この溝に上記したペース
トを詰め、へら等で余剰なペーストを除去し、しかる後
溝内のペーストを固化させる方法。(3)ディスペンサ
ー装置を用いて上記のペーストをノズルから吐出させな
がら掃引することで、導電基板上に所望のパターンを形
成させ、しかる後これを固化させる方法。ディスペンサ
ー法でパターンを形成する際には、ノズル先端部分と基
板との距離は成形するストライプの高さ、幅により適宜
選択されるが、それらは通常0.01mm〜10mm程
度である。また、ディスペンサーノズルからのペースト
の吐出量は通常1mg/s〜50mg/s程度である。
ディスペンサーを基板上で掃引する場合の速度は通常1
0mm/s〜500mm/s程度である。ディスペンサ
ーノズルはパターンの形成のため、および形成時間短縮
のために複数本使用することができる。
【0023】次にエレクトロクロミック素子のエレクト
ロクロミック層について説明する。この層はエレクトロ
クロミック性物質で形成するのが一般的であるが、この
層には本発明の第1又は第2のイオン伝導性物質を含有
させることもできる。また、イオン伝導層中にエレクト
ロクロミック性物質を含有せしめ、エレクトロクロミッ
ク層としての役目と、イオン伝導層層としての役目を兼
ね備えた層を形態を採用することも可能である。エレク
トロクロミック性物質としては、例えば、WO 3、Mo
3、V25、Nb25、TiO2等の還元発色型材料;
ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリビ
オロゲン、ビオロゲン等の有機エレクトロクロミック材
料等が好適である。エレクトロクロミック層は、これら
の物質を真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタ
リング法等の公知の方法で導電基板上に成膜することに
より得ることができる。
【0024】本発明のエレクトロクロミック素子に使用
される2枚の導電基板は、少なくとも一方が透明である
ことが望ましい。他方は透明であっても、不透明であっ
ても差し支えなく、また、光を反射できる反射性導電基
板であってもよい。一般に、2枚の導電基板のいずれも
が透明であるエレクトロクロミック素子は、表示素子や
調光ガラスに好適であり、一方が透明で他方が不透明な
エレクトロクロミック素子は表示素子に好適であり、一
方が透明導電基板で他方が反射性導電基板であるエレク
トロクロミック素子はエレクトロクロミックミラーに適
している。ちなみに、本発明で使用可能な反射性導電基
板には、(1)導電性を持たない透明又は不透明な基板
上に反射性電極層を積層させた積層体、(2)導電性を
持たない透明基板の一方の面に透明電極層を、他方の面
に反射層を積層させた積層体、(3)導電性を持たない
透明基板上に反射層を、その反射層上に透明電極層を積
層させた積層体、(4)反射板を基板とし、これに透明
電極層を積層させた積層体、および(5)基板自体が光
反射層と電極層の両方の機能を備えた板状体などが例示
できる。本発明でいう反射性電極層とは、鏡面を有し、
しかも電極として電気化学的に安定な機能を発揮する薄
膜を意味する。そのような薄膜としては、例えば、金、
白金、タングステン、タンタル、レニウム、オスミウ
ム、イリジウム、銀、ニッケル、パラジウム等の金属膜
や、白金−パラジウム、白金−ロジウム、ステンレス等
の合金膜が挙げられる。このような鏡面を備えた薄膜の
形成には、任意の方法を採用可能であって、例えば、真
空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法
などを適宜採用することができる。反射性電極層を設け
る基板は透明であるか、不透明であるかを問わない。従
って、反射性電極層を設ける基板としては、先に例示し
た透明基板の他、透明でない各種のプラスチック、ガラ
ス、木材、石材等が使用可能である。本発明で言う反射
板または反射層とは、鏡面を有する基板又は薄膜を意味
し、これには、例えば、銀、クロム、アルミニウム、ス
テンレス、ニッケル−クロム等の板状体又はその薄膜が
含まれる。なお、上記した反射性電極層自体が剛性を備
えていれば、基板の使用を省略することができる。
【0025】本発明のエレクトロクロミック素子におけ
るイオン伝導層は、本発明の第1又は第2のイオン伝導
性物質で形成される。イオン伝導層の形成方法は特に限
定されず、一方にエレクトロクロミック層を設けた2枚
の導電基板を、エレクトロクロミック層を内側にして対
向させ、周縁部をシールしたセルの内部に、イオン伝導
性物質の前駆体である混合物を、真空注入法、大気注入
法、メニスカス法等によって注入し、前駆体混合物が重
合性モノマーを含有している場合は、これを重合させて
固体のイオン伝導層を形成させることができる。また別
法としては、一方の導電基板上にイオン伝導層を形成さ
せた後、そのイオン伝導層に他方の導電基板を重ね合わ
せる方法などがある。後者の方法を採用する場合、エレ
クトロクロミック層とイオン伝導層とは、互いに隣接す
る位置関係にあることは勿論である。イオン伝導層の厚
さは、特に限定されないが、通常、1μm以上、好まし
くは10μm以上であり、かつ3mm以下、好ましくは
1mm以下であることが望ましい。
【0026】
【発明の効果】本発明のイオン伝導性物質は、高いイオ
ン伝導度と、優れた紫外線吸収性を兼備している。従っ
て、このイオン伝導性物質は、高いイオン伝導性を必要
とする用途、例えば、電池、キャパシタ等の用途に好適
であるだけでなく、耐光性に優れるため、エレクトロク
ロミック素子のイオン伝導層への利用にも適している。
本発明のエレクトロクロミック素子は、表示素子、調光
ガラス、自動車等の防眩ミラー、あるいは屋内はもとよ
り屋外で使用される装飾用ミラーなどのエレクトロクロ
ミックミラーなどに好適に使用することができる。ま
た、他の用途として、室内、室外、車両用、航空機用、
ヘッドライト等各種の照明用途が挙げられ、光源からの
光照射経路中に本発明のエレクトロクロミック素子を配
置することにより、照明時の光量や光色の調節をするた
めの部材として有用でありのみならず、最終的な照明光
中における紫外線を同時にカットするなどの紫外線カッ
トフィルターとしても優れた効果を奏する。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらになんら制限されるものではな
い。実施例1 γ−ブチロラクトン4.0gおよび過塩素酸リチウム
0.4gの混合溶液に、2,2’,4,4’−テトラヒ
ドロキシベンゾフェノンを添加し、均一溶液とし、イオ
ン伝導性物質を得た。この溶液を0.2mm透過セルに
注入し、タングステンランプおよび重水素ランプにて透
過スペクトルを測定したところ、波長300nm〜38
0nmの光の透過率は0.01%以下であった。また、
得られた溶液を電解セルにてイオン伝導度を測定したと
ころ、25℃にて1.5×10-3S/cmであった。こ
の溶液に60W/m2の照度のキセノンランプを200
時間照射したが、イオン伝導度に変化はなく、特に変化
は見られなかった。比較例1 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン
の添加量を減少させた以外は実施例1と同様に溶液を調
製した。実施例1と同様に透過スペクトルを測定したと
ころ、波長360nmの光の透過率は1%程度であっ
た。また、得られた溶液のイオン伝導度を同様に測定し
たところ、25℃にて1.0×10-3S/cmであっ
た。この溶液に60W/m2の照度のキセノンランプを
200時間照射したところ、酪酸臭が発生し、γ−ブチ
ロラクトンが劣化していることがわかった。実施例2 メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート
(新中村化学工業株式会社製 M40G)[オキシエチ
レンユニット数4]1.0g、ポリエチレングリコール
ジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 9G)
[オキシエチレンユニット数9]0.1g、プロピレン
カーボネート2.0gの混合溶液に、LiBF40.2
gおよび3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ルプロパン酸オクチルエステルを添加し、均一溶液とし
た。暗室内で、得られた均一溶液に光重合開始剤である
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフ
ィンオキシド(BASF社製ルシリンTPO)0.02
gを添加して得られた均一溶液を脱気後、テフロン板上
に0.2mm厚に流延し、ついで390nm以下の波長
をカットするUVカットフィルターを取り付けた蛍光灯
(15W)による光を窒素下、室温で20分照射した。
硬化して得られたイオン伝導性物質のイオン伝導度を複
素インピーダンス法により測定したところ、25℃で
5.5×10-3S/cmであった。また、得られたイオ
ン伝導性物質をタングステンランプおよび重水素ランプ
にて透過スペクトルを測定したところ、波長300nm
〜370nmの光の透過率は0.01%以下であった。
このイオン伝導性物質に60W/m2の照度のキセノン
ランプを200時間照射したが、イオン伝伝導度は変化
なく、特に変化は見られなかった。比較例2 3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロパ
ン酸オクチルエステルの添加量を減少させた以外は実施
例2と同様にイオン伝導性物質を調製した。実施例2と
同様に透過スペクトルを測定したところ、波長360n
mの光の透過率は2%程度であった。また、得られたイ
オン伝導性物質のイオン伝導度を同様に測定したとこ
ろ、25℃にて4.3×10-3S/cmであった。この
イオン伝導性物質に60W/m2の照度のキセノンラン
プを200時間照射したところ、ポリマーのエステル結
合が分解していることが確認された。実施例3 ITO被覆された透明ガラス基板のITO被覆面に活性
炭ペーストをストライプ状に印刷した基板と、同じくI
TO被覆された透明ガラス基板のITO被覆面に酸化タ
ングステン層を形成させた基板を用意し、一方の基板周
辺部に、溶液注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を
線状に塗布した後、この上に他方の基板を、ITO面が
向かい合うように0.2mm間隔で重ね合わせ、加圧し
ながら接着剤を硬化させ、注入口付き空セルを作成し
た。また、メトキシポリエチレングリコールモノメタク
リレート(新中村化学工業株式会社製 M40G)[オ
キシエチレンユニット数4]0.5g、ポリエチレング
リコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
9G)[オキシエチレンユニット数9]0.02g、
アセトニトリル4.0g、2−ヒドロキシ−2−メチル
−フェニル−プロパン−1−オン0.1g、3−(5−
メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−
(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパ
ン酸の混合溶液に、過塩素酸リチウムを0.4g添加
し、均一溶液を得た。この溶液を脱気後、上述のように
して作成した空セルの注入口より注入した。注入口をエ
ポキシ系接着剤で封止した後、両面からブラックランプ
の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレクトロクロ
ミック素子(調光ガラス)を得た。この調光ガラスは組
み立てた時点では着色しておらず、透過率は約60%で
あった。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好な
エレクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.5
Vの電圧を印可すると着色し、透過率は約20%となっ
た。得られた調光ガラス中のイオン伝導性物質のイオン
伝導度を測定したところ、25℃で6.8×10-3S/
cmであった。また、上記と同様に調製した、厚さ0.
2mmのイオン伝導性物質層(高分子固体電解質層)を
タングステンランプおよび重水素ランプにて透過スペク
トルを測定したところ、波長300nm〜390nmの
光の透過率は0.01%以下であった。上記の調光ガラ
スに60W/m2の照度のキセノンランプを200時間
照射したが、イオン伝導度に変化はなく、特に変化は見
られなかった。比較例3 3−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−5−(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベン
ゼンプロパン酸の添加量を減少させた以外は実施例3と
同様に調光ガラスを調製した。実施例3と同様に透過ス
ペクトルを測定したところ、波長360nmの光の透過
率は1%程度であった。また、得られたイオン伝導性物
質のイオン伝導度を同様に測定したところ、25℃にて
5.8×10-3S/cmであった。このイオン伝導性物
質に60W/m2の照度のキセノンランプを200時間
照射したところ、調光ガラスはフォトクロミズムを起こ
しており、また消色応答時間は照射前の4倍に劣化して
いた。実施例4 ITO被覆された透明ガラス基板のITO被覆面に酸化
タングステン層が形成されている基板と、酸化タングス
テン層を持たないITO被覆された透明ガラス基板を用
意し、一方の基板の周辺部に、溶液注入口の部分を除い
てエポキシ系接着剤を線状に塗布し、この上に、他方の
基板をITO面が向かい合うように0.2mm間隔で重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
空セルを作成した。また、メトキシポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
M40G)[オキシエチレンユニット数4]0.5g、
ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学
工業株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット数
9]0.02g、γ−ブチロラクトン4.0g、2,
4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィン
オキシド(BASF社製 ルシリンTPO)0.05
g、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプ
ロパン酸オクチルエステルの混合溶液に、LiClO4
を0.4g添加し、均一溶液を得た。この溶液を脱気
後、上述のようにして作成したセルの注入口より注入し
た。注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、390n
m以下の波長をカットするUVカットフィルターを取り
付けた蛍光灯(15W)による光を窒素下、室温で照射
して硬化させ、エレクトロクロミック素子(調光ガラ
ス)を得た。この調光ガラスは組み立てた時点では着色
しておらず、透過率は約60%であった。また、電圧を
印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロクロミック
特性を示した。すなわち、1.5Vの電圧を印可すると
着色し、透過率は約16%となった。得られた調光ガラ
ス中のイオン伝導性物質のイオン伝導度を測定したとこ
ろ、25℃で6.3×10-3S/cmであった。また、
同様な方法により製造したイオン伝導性物質(厚さ0.
2mmの層)についてタングステンランプおよび重水素
ランプにて透過スペクトルを測定したところ、波長30
0nm〜360nmの光の透過率は0.01%以下であ
り、波長300nm〜390nmの光の透過率は0.0
1%以下であった。この調光ガラスに60W/m2の照
度のキセノンランプを200時間照射したが、特に変化
は見られなかった。比較例4 3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロパ
ン酸オクチルエステルの添加量を減少させた以外は実施
例4同様に調光ガラスを調製した。実施例4同様に透過
スペクトルを測定したところ、波長360nmの光の透
過率は1%程度であった。また、得られたイオン伝導性
物質のイオン伝導度を同様に測定したところ、25℃に
て4.8×10-3S/cmであった。このイオン伝導性
物質に60W/m2の照度のキセノンランプを200時
間照射したところ、調光ガラスはフォトクロミズムを起
こしており、また消色応答時間は照射前の3倍に劣化し
ていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 1/06 H01B 1/06 A (72)発明者 大島 伸司 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 2K001 AA08 BA20 BB28 CA02 CA03 CA04 CA08 CA09 CA11 CA12 CA15 CA20 CA23 CA24 CA31 CA32 CA33 DA02 DA04 4J002 BQ001 CH051 CK031 DD016 DD086 DE056 DE186 DF026 DG036 DH026 DK006 EC038 EF006 EJ067 EL068 EP018 ES008 EU028 EU177 EV236 EV308 FD057 FD206 GQ00 HA05 5G301 CA30 CD01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒と支持電解質と紫外線吸収剤を含有
    し、25℃におけるイオン伝導度が1×10-7S/cm
    以上であるイオン伝導性物質であって、このイオン伝導
    性物質に含まれる前記紫外線吸収剤の量が、厚さ0.2
    mmの当該イオン伝導性物質の層を透過する波長300
    nm〜360nmの電磁放射線の透過率を0.1%以下
    に維持できる量であることを特徴とするイオン伝導性物
    質。
  2. 【請求項2】 溶媒と支持電解質と重合性モノマーと紫
    外線吸収剤とを含有する混合物が重合性モノマーの重合
    によって固化したイオン伝導性固体物質であって、25
    ℃におけるイオン伝導度が1×10-7S/cm以上であ
    り、当該イオン伝導性固体物質に含まれる前記紫外線吸
    収剤の量が、厚さ0.2mmの当該イオン伝導性固体物
    質の層を透過する波長300nm〜360nmの電磁放
    射線の透過率を0.1%以下に維持できる量であること
    を特徴とするイオン伝導性物質。
  3. 【請求項3】 内側面に電極層を有する2枚の対向導電
    基板間に、イオン伝導層を設けたエレクトロクロミック
    素子において、前記のイオン伝導層を請求項1記載のイ
    オン伝導性物質で形成させたことを特徴とするエレクト
    ロクロミック素子。
  4. 【請求項4】 内側面に電極層を有する2枚の対向導電
    基板間に、イオン伝導層を設けたエレクトロクロミック
    素子において、前記のイオン伝導層を請求項2記載のイ
    オン伝導性固体物質で形成させたことを特徴とするエレ
    クトロクロミック素子。
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