JP2001188261A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子

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JP2001188261A
JP2001188261A JP37562299A JP37562299A JP2001188261A JP 2001188261 A JP2001188261 A JP 2001188261A JP 37562299 A JP37562299 A JP 37562299A JP 37562299 A JP37562299 A JP 37562299A JP 2001188261 A JP2001188261 A JP 2001188261A
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carbon atoms
transparent
electrochromic
substrate
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JP37562299A
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English (en)
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Takeshi Asano
剛 朝野
Shinji Oshima
伸司 大島
Yoshinori Nishikitani
禎範 錦谷
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なエレクトロクロミック活性物質を使用
したエレクトロクロミック素子の提供。 【解決手段】 エレクトロクロミック素子のイオン伝導
層に、ビピリジニウムイオン対構造とメタロセン構造を
兼備した有機化合物を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調光ガラスなどの
透過型素子、自動車等の防眩ミラー、装飾用ミラー等の
反射型素子、表示素子などとして有用なエレクトロクロ
ミック素子に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
の調光ガラスなどに使用されるエレクトロクロミック素
子(以下、EC素子と略称する)は、例えば、酸化タングス
テン(WO3)のようなエレクトロクロミック活性物質
を、透明導電膜上に真空蒸着法などで成膜し、これを発
色剤として用いているものが知られている(特開昭63
−18336号公報)。しかしながら、このEC素子は、
エレクトロクロミック活性物質の成膜を、真空下で行わ
なければならないため製造コストが高騰し、大面積のEC
素子を得るためには大型の真空装置が必要となる。ま
た、酸化タングステンを用いる場合には青色の発色しか
得られないという問題もある。本発明はこのような実状
を鑑みて成されたものであり、その目的は、安価な発色
剤を使用し、簡便な方法により製造することが可能で、
しかも色調が可変なEC素子を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記したよ
うな従来技術の問題点を解決する手段について鋭意研究
を重ねた結果、以下のような構成を有するEC素子がこれ
らの問題を解決できることを見出し、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明に係るEC素子は、少なくと
も一方が透明である2枚の導電基板間に、イオン伝導層
を設けたエレクトロクロミック素子において、前記のイ
オン伝導層が、一般式(1)で表されるビピリジニウム
イオン対構造(I)と、下記の一般式(2)または一般式
(3)で表されるジヒドロフェナジン構造(II)とを兼備
した有機化合物を含有していることを特徴とする。 (I) ビピリジニウムイオン対構造:、
【化4】 (式中、X-およびY-は同一でも異なっていてもよく、
それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 -、BF4 -
PF6 -、CH3COO-、CH3(C64)SO3 -から選
ばれる対アニオンを示す。) (II) ジヒドロフェナジン構造:
【化5】 (式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
それぞれ個別に炭素数1〜10のアルキル基、アルケニ
ル基およびアリール基から選ばれる炭化水素基または下
記の一般式(a)〜(n)で示される有機残基を示
す。)
【化6】 (式中、R3は水素または炭素数1〜5のアルキル基を
示し、R4、R5およびR6は同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ個別に炭素数1〜30の2価の炭化水素残
基を示し、aは0または1を示す。R7は水素原子、ハロ
ゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。R
8は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示
す。R9、R10、R12およびR14は同一でも異なってい
てもよく、それぞれ個別に炭素数1〜30の2価の炭化
水素残基を示し、R11およびR13は同一もしくは異なる
基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキ
ル基またはアルコキシ基を示す。m’、n’は0≦m’
≦3、0≦n’≦3の範囲の整数を示す。Zは−COO
−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−OC
ONH−、−NHOCO−、−O−、−S−から選ばれ
る2価基を示す。)
【0004】
【発明の実施の形態】本発明のEC素子には2枚の導電基
板が使用される。ここで導電基板とは電極としての機能
を果たす基板を意味する。従って、本発明でいう導電基
板には、基板自体を導電性材料で製造したものと、導電
性を持たない基板の片面又は両面に電極層を積層させた
積層板が包含される。導電性を備えているか否かに拘ら
ず、基板自体は常温において平滑な面を有していること
が好ましいが、その面は平面であっても、曲面であって
も差し支えなく、応力で変形するものであっても差し支
えない。本発明で使用される2枚の導電基板の少なくと
も一方は透明導電基板であり、他方は透明であっても、
不透明であっても差し支えなく、また、光を反射できる
反射性導電基板であってもよい。一般に、2枚の導電基
板がいずれも透明である素子は、表示素子や調光ガラス
に好適であり、1枚を透明導電基板とし、もう1枚を不
透明導電基板としたものは表示素子に好適であり、1枚
を透明導電基板とし、もう1枚を反射性導電基板とした
ものはエレクトロクロミックミラーに適している。
【0005】透明導電基板は、通常、透明基板上に透明
電極層を積層させて製造される。ここで、透明とは可視
光領域において10〜100%の光透過率を有すること
を意味する。透明基板の材質は特に限定されず、例え
ば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等であって差
し支えなく、無色あるいは有色の透明性樹脂でもよい。
ここでいう透明性樹脂の具体例としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミ
ド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、
ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリスチレン等が挙げられる。透明電極層として
は、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン等の金
属薄膜、金属酸化物からなる導電膜などが使用できる。
前記金属酸化物としては、例えば、ITO(In23
SnO2)、酸化錫、酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウ
ム等が挙げられる。電極層の膜厚は、特に制限されるも
のではないが、通常10〜500nm、好ましくは50
〜300nmの範囲にあり、表面抵抗(Rsq:単位面積
当りの抵抗)は特に制限されるものではないが、通常
0.5〜500Ω/sq、好ましくは1〜50Ω/sq
の範囲にあることが望ましい。透明電極層の形成には、
公知の手段を任意に採用することができるが、電極を構
成する金属及び/又は金属酸化物等の種類により、採用
する手段を選択するのが好ましい。通常は、真空蒸着
法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、ゾル
ゲル法等が採用される。透明電極層への酸化還元能の付
与、導電性の向上、電気二重層容量の付与などの目的
で、透明電極層の表面には部分的に不透明な電極活性物
質の層を設けることができる。この電極活性物質として
は、例えば、銅、銀、金、白金、鉄、タングステン、チ
タン、リチウム等の金属、ポリアニリン、ポリチオフェ
ン、ポリピロール、フタロシアニンなどの酸化還元能を
有する有機物、活性炭、グラファイトなどの炭素材、V
25、MnO2、NiO、Ir23などの金属酸化物ま
たはこれらの混合物が使用可能である。電極活性物質の
層を透明電極層上に設けるに際しては、透明電極層の透
明性が過度に損なわれないように留意する必要がある。
従って、例えば、透明なITO層上に、活性炭素繊維、
グラファイト、アクリル樹脂等からなる組成物を、細か
いストライプ状またはドット状に塗布する方法とか、金
の薄膜上に、V25、アセチレンブラック、ブチルゴム
等からなる組成物をメッシュ状に塗布する方法が採用さ
れる。透明であることを必要としない導電基板は、上記
した透明導電基板に使用される透明基板を、透明でない
各種プラスチック、ガラス、木材、石材など素材とする
基板に置き換えることで、透明導電基板と同様な方法で
製造することができる。
【0006】本発明で使用可能な反射性導電基板として
は、(1)導電性を持たない透明又は不透明な基板上に
反射性電極層を積層させた積層体、(2)導電性を持た
ない透明基板の一方の面に透明電極層を、他方の面に反
射層を積層させた積層体、(3)導電性を持たない透明
基板上に反射層を、その反射層上に透明電極層を積層さ
せた積層体、(4)反射板を基板とし、これに透明電極
層を積層させた積層体、および(5)基板自体が光反射
層と電極層の両方の機能を備えた板状体などが例示でき
る。本発明でいう反射性電極層とは、鏡面を有し、しか
も電極として電気化学的に安定な機能を発揮する薄膜を
意味する。そのような薄膜としては、例えば、金、白
金、タングステン、タンタル、レニウム、オスミウム、
イリジウム、銀、ニッケル、パラジウム等の金属膜や、
白金−パラジウム、白金−ロジウム、ステンレス等の合
金膜が挙げられる。このような鏡面を備えた薄膜の形成
には、任意の方法を採用可能であって、例えば、真空蒸
着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法など
を適宜採用することができる。反射性電極層を設ける基
板は透明であるか、不透明であるかを問わない。従っ
て、反射性電極層を設ける基板としては、先に例示した
透明基板の他、透明でない各種のプラスチック、ガラ
ス、木材、石材等が使用可能である。本発明で言う反射
板または反射層とは、鏡面を有する基板又は薄膜を意味
し、これには、例えば、銀、クロム、アルミニウム、ス
テンレス、ニッケル−クロム等の板状体又はその薄膜が
含まれる。なお、上記した反射性電極層自体が剛性を備
えていれば、基板の使用を省略することができる。
【0007】本発明に係るEC素子は、上記したビピリジ
ウムイオン対構造(I)と、ジヒドロフェナジン構造(II)
とを兼備した有機化合物を、イオン伝導層のエレクトロ
クロミック活物質として併用する。イオン伝導層におけ
るエレクトロクロミック活物質の濃度は、特には制限さ
れないが、通常、その下限値は1mM以上、好ましくは5
mM以上、さらに好ましくは10mM以上であり、上限値は
200mM以下、好ましくは100mM以下、さらに好まし
くは50mM以下の値にある。ジヒドロフェナジン構造(I
I)を示す一般式(2)および一般式(3)において、R
1および/またはR2が一般式(a)〜(n)で示される
有機残基をとる場合、これら有機残基におけるR3は水
素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。R4、R5
よびR6は同一でも異なっていてもよく、それぞれ個別
に炭素数1〜30、好ましくは1〜10のアルキレン基
を示す。aは0または1を示す。R7は、水素原子、ハロ
ゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜5のア
ルキル基を示す。R8は、水素原子または炭素数1〜3
0、好ましくは1〜10のアルキル基を示す。R9、R
10、R12およびR14は同一でも異なっていてもよく、そ
れぞれ個別に炭素数1〜30、好ましくは1〜10のア
ルキレン基を示し、R11およびR13は、同一もしくは異
なる基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10、好
ましくは1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を示
す。m’、n’は0≦m’≦3、0≦n’≦3の範囲の
整数を示す。Zは−COO−、−OCO−、−CONH
−、−NHCO−、−OCONH−、−NHOCO−、
−O−、−S−から選ばれる2価基を示す。上記したア
ルキル基としてはメチル基、エチル基、i−プロピル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n
−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基など
が例示され、アリール基としてはフェニル基が代表例と
して挙げられる。特に、メチル基、エチル基、プロピル
基が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、i-プロポキシ基、ブトキシ
基、t-ブロキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ
基などが例示される。
【0008】前記一般式(a)〜(n)で示される有機
残基の代表的具体例を以下に示す。
【化7】
【化8】
【化9】
【0009】ビピリジウム対イオン構造(I)とジヒドロ
フェナジン構造(II)と併有するエレクトロクロミック活
物質の代表例は、下記の一般式(4)〜(11)で表さ
れる。
【化10】
【化11】 一般式(4)〜(11)において、R1、R2、X-およ
びY-は一般式(1)〜(3)の中のそれと同じものを
示す。R4およびR6は同一でも異なっていてもよく、そ
れぞれ個別に炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル
基およびアリール基から選ばれる炭化水素基または上記
の一般式(a)〜(n)で示される有機残基を示す。R
3、R5、R7およびR8は同一でも異なっていてもよく、
炭素数1〜20のアルキレン基をを示す。アルキレン基
の好適な具体例としてはメチレン基、エチレン基、トリ
メチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、ブチレ
ン基などが挙げられる。mは2以上、好ましくは2〜1
000の整数を示す。
【0010】一般式(4)〜(11)で表される化合物
の具体例を例示すれば、次の化号物が例示できる。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】 なお、上記において、mは2以上、好ましくは2〜10
00程度である。
【0011】EC素子におけるイオン伝導層は、室温にお
いて1×10-7S/cm以上のイオン伝導度を有し、上記し
たエレクトロクロミック活性物質を着色、消色、変色さ
せる役割を果たす。本発明のイオン伝導層は、液系イオ
ン伝導性物質、ゲル化液系イオン伝導性物質あるいは固
体系イオン伝導性物質のいずれかを用いて形成すること
ができるが、特に固体系イオン伝導性物質を使用するこ
とが望ましく、これによって本発明のEC素子を実用性に
富んだ種々の固体型EC素子することができる。 液系イオン伝導性物質 液系イオン導電性物質は、電気化学の分野又は電池の分
野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類などの支持
電解質を、溶媒に溶解して調製される。溶媒としては、
電気化学セルや電池に一般に使用される溶媒が、いずれ
も使用可能である。具体的には、水、無水酢酸、メタノ
ール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカ
ーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホ
スホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタ
ン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホ
ラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタ
ロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリ
ル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメ
チルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメ
チルホスフェイト、ポリエチレングリコール等が使用可
能であって、特に、プロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタ
ン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラ
ン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシ
エタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキ
シアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロ
リジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スル
ホラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチレングリコ
ール等が好ましい。溶媒はその1種を単独で使用でき、
また2種以上を混合しても使用できる。溶媒の使用量は
特に制限はないが、通常、溶媒はイオン伝導層の20重
量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましく
は70重量%以上を占め、その上限値は98重量%、好
ましくは95重量%、さらに好ましくは90重量%の値
にある。支持電解質として使用する塩類には、特に制限
はない。例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩
等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アン
モニウム塩、4級ホスホニウム塩などが挙げられる。塩
類の具体例としてはLiClO4、LiSCN、LiB
4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、Li
I、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、N
aAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのア
ルカリ金属塩;(CH34NBF4、(C2 54NBF
4、(n−C494NBF4、(C254NBr、(C
254NClO4、(n−C494NClO4、(C2
53CH3NBF4、(C253CH3NClO4
(C252(CH32NBF4、(C252(CH3
2NClO4、(C25)(CH33NBF4、(C
25)(CH33NClO4などのほか、
【化24】 などの4級アンモニウム塩;(CH34PBF4、(C2
54PBF4、(C3 74PBF4、(C494PB
4などの4級ホスホニウム塩またはこれらの混合物が
好適なものとして挙げられる。支持電解質として使用す
る酸類にも特別な限定はなく、無機酸、有機酸などが、
具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カル
ボン酸類などが使用できる。支持電解質としてのアルカ
リ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
支持電解質の使用量は任意であるが、一般的には、支持
電解質はイオン伝導層中に0.01M以上、好ましくは
0.1M以上、さらに好ましくは0.5M以上存在し、
その上限値は20M、好ましくは10M、さらに好まし
くは5Mの値にある。
【0012】ゲル化液系イオン伝導性物質 ゲル化液系イオン伝導性物質とは、上記した液系イオン
伝導性物質を増粘又はゲル化させた物質を意味し、上記
の液系イオン伝導性物質にさらにポリマー又はゲル化剤
を配合して調製される。ゲル化液系イオン伝導性物質の
調製に使用されるポリマーには、特別な制限はなく、例
えば、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロ
ース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリ
ウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポ
リアミド、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリエス
テル、ポリプロピレンオキサイド、ナフィオンなどが使
用できる。同様にゲル化剤にも特別な限定はない。オキ
シエチレンメタクリレート、オキシエチレンアクリレー
ト、ウレタンアクリレート、アクリルアミド、寒天など
が使用可能である。
【0013】固体系イオン伝導性物質 固体系イオン伝導性物質は、室温で固体であり、かつイ
オン伝導性を有する物質を指し、これには、ポリエチレ
ンオキサイド、オキシエチレンメタクリレートのポリマ
ー、ナフィオン、ポリスチレンスルホン酸、Li3N、
Na-β-Al2 3、Sn(HPO42・H2O等を使用
することができる。このほか、オキシアルキレンメタク
リレート系化合物、オキシアルキレンアクリレート系化
合物またはウレタンアクリレート系化合物を重合するこ
とによって得られる高分子化合物に、支持電解質を分散
させた高分子固体電解質が使用可能である。本発明が推
奨する高分子固体電解質の第1の例は、下記の一般式
(12)で表されるウレタンアクリレートと、上記した
有機極性溶媒及び支持電解質を含有する組成物を、固化
させて得られる高分子固体電解質である。なお、高分子
固体電解質に関していう固化とは、重合性または架橋性
成分が重合(重縮合)反応又は架橋反応によって硬化
し、組成物全体が常温で実質的に流動しない状態になる
ことを指す。この固化によって重合性または架橋性成分
は3次元網目構造(ネットワーク)を形成する。
【化25】 (式中、R15およびR16は同一または異なる基であっ
て、一般式(13)〜(15)で表される基から選ばれ
る基を示す。R17およびR18は同一または異なる基であ
って、炭素数1〜20、好ましくは2〜12の2価炭化
水素残基を示す。Yはポリエーテル単位、ポリエステル
単位、ポリカーボネート単位またはこれらの混合単位を
示す。またaは1〜100、好ましくは1〜50、さら
に好ましくは1〜20の範囲の整数である。)
【化26】 一般式(13)〜(15)において、R19〜R21は同一
または異なる基であって、水素原子または炭素数1〜3
のアルキル基を示す。またR22は炭素数1〜20、好ま
しくは炭素数2〜8の2〜4価の有機残基を示す。この
有機残基としては、具体的には、アルキルトリイル基、
アルキルテトライル基、下記の一般式(16)で示され
るアルキレン基等の炭化水素残基などが挙げられる。
【化27】 一般式(16)において、R23は炭素数1〜3のアルキ
ル基または水素を示し、bは0〜6の整数である。bが
2以上の場合、R23は同一でも異なっても良い。一般式
(16)中の水素原子は、その一部が炭素数1〜6、好
ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリ
ールオキシ基などの含酸素炭化水素基により置換されて
いる基でもよい。一般式(13)〜(15)におけるR
19の具体例としては、メチレン基、テトラメチレン基、
1−メチル−エチレン基、1,2,3−プロパントリイ
ル基、ネオペンタントリイル基等を好ましく挙げること
ができる。
【0014】一般式(12)のR17及びR18で示される
2価の炭化水素残基としては、脂肪族炭化水素基、芳香
族炭化水素基、脂環式炭化水素基などが挙げられるが、
脂肪族炭化水素基としては、先の一般式(16)で表さ
れるアルキレン基等を挙げることができる。また、2価
の芳香族炭化水素基および2価の脂環式炭化水素基とし
ては、下記一般式(17)〜(19)で表される炭化水
素基等が挙げられる。
【化28】 一般式(17)〜(19)において、R24及びR25は同
一または異なる基であって、フェニレン基、置換フェニ
レン基(アルキル置換フェニレン基等)、シクロアルキ
レン基、置換シクロアルキレン基(アルキル置換シクロ
アルキレン基等)を示す。R26〜R29は同一または異な
る基であって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル
基を示す。また、cは1〜5の整数である。一般式(1
2)におけるR17およびR18の具体例としては、以下に
示す2価の基が挙げられる。
【化29】
【0015】一般式(12)におけるYはポリエーテル
単位、ポリエステル単位およびポリカーボネート単位ま
たはこれらの混合単位を示すが、このポリエーテル単
位、ポリエステル単位、ポリカーボネート単位及びこれ
らの混合単位としては、それぞれ下記の一般式(o)〜
(r)で示される単位を挙げることができる。
【化30】 一般式(o)〜(r)において、R30〜R35は同一また
は異なる基であって、炭素数1〜20、好ましくは2〜
12の2価の炭化水素残基を示す。R30〜R35は、直鎖
または分岐のアルキレン基などが好ましい。具体的に
は、R32はメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、
テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン
基、プロピレン基等であることが好ましく、R30〜R31
およびR33〜R35はエチレン基、プロピレン基等である
ことが好ましい。c'は2〜300、好ましくは10〜2
00の整数である。d'は1〜300、好ましくは2〜2
00の整数、e'は1〜200、好ましくは2〜100の
整数、e''は1〜200、好ましくは2〜100の整
数、f'は1〜300、好ましくは10〜200の整数で
ある。一般式(o)〜(r)において、各単位は同一で
も、異なる単位の共重合でも良い。即ち、複数のR30
36が存在する場合、R30同志、R31同志、R32同志、
33同志、R34同志およびR35同志は同一でも異なって
も良い。一般式(12)で表されるウレタンアクリレー
トの分子量は、通常、重量平均分子量で2,500〜3
0,000、好ましくは3,000〜20,000の範
囲にあり、1分子中の重合官能基数は、好ましくは2〜
6、さらに好ましくは2〜4の範囲にある。一般式(1
2)で表されるウレタンアクリレートは、公知の方法に
より容易に製造することができ、その製法は特に限定さ
れるものではない。一般式(12)で表されるウレタン
アクリレートを含有する高分子固体電解質は、このウレ
タンアクリレートに、前記液系イオン伝導性物質で説明
した溶媒と支持電解質を混合したものを前駆体組成物と
し、係る組成物を固化することにより調製されるが、溶
媒の添加量はウレタンアクリレート100重量部当た
り、通常100〜1200重量部、好ましくは200〜
900重量部の範囲で選ばれる。溶媒の添加量が少なす
ぎると、最終的に得られる高分子固体電解質のイオン伝
導度が不足し、多すぎると固体電解質の機械的強度が低
下する恐れがある。支持電解質の添加量は溶媒添加量の
0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲
で選ばれる。ウレタンアクリレートを含有する高分子固
体電解質には、必要に応じて架橋剤や重合開始剤を添加
することができる。
【0016】本発明が推奨する高分子固体電解質の第2
の例は、アクリロイル変性またはメタクリロイル変性さ
れたポリアルキレンオキシド(以下、この両者を変性ポ
リアルキレンオキシドと総称する)と、溶媒と、支持電
解質を含有する組成物を固化させて得られる高分子固体
電解質である。変性ポリアルキレンオキシドには、単官
能変性ポリアルキレンオキシド、2官能変性ポリアルキ
レンオキシド、3官能以上の多官能変性ポリアルキレン
オキシドが包含される。これらの各変性ポリアルキレン
オキシドは単独で用いても混合して用いてもよく、特
に、単官能変性ポリアルキレンオキシドを必須とし、こ
れに2官能変性ポリアルキレンオキシドおよび/または
多官能変性ポリアルキレンオキシドを混合使用すること
が好ましい。とりわけ、単官能変性ポリアルキレンオキ
シドと2官能変性ポリアルキレンオキシドを混合して使
用することが好ましい。混合使用する場合の混合比率は
任意に選ぶことができるが、単官能変性ポリアルキレン
オキシド100重量部に対して、2官能変性ポリアルキ
レンオキシドおよび/または多官能変性ポリアルキレン
オキシドを、合計量で0.1〜20重量部、好ましくは
0.5〜10重量部の範囲で選ばれる。
【0017】単官能変性ポリアルキレンオキシドは下記
の一般式(17)で表される。
【化31】 (式中、R36、R37、R38およびR39は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、g'は1以上の整数である。) 一般式(17)において、R36、R37、R38およびR39
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロ
ピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基等が挙げられ、互いに同一でも異な
ってもよく、特にR36は水素、メチル基、R37は水素、
メチル基、R38は水素、メチル基、R39は水素、メチル
基、エチル基であることがそれぞれ好ましい。一般式
(17)のg'は、1以上の整数、通常1≦g'≦100、
好ましくは2≦g'≦50、さらに好ましくは2≦g'≦3
0の範囲の整数である。一般式(17)で表される化合
物の具体例としては、オキシアルキレンユニットを1〜
100、好ましくは2〜50、さらに好ましくは2〜2
0の範囲で持つメトキシポリエチレングリコールメタク
リレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリ
レート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレー
ト、エトキシポリプロピレングリコールメタクリレー
ト、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メ
トキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキ
シポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリ
プロピレングリコールアクリレート、またはこれらの混
合物等を挙げることができ、これらの中でも特にメトキ
シポリエチレングリコールメタクリレートおよびメトキ
シポリエチレングリコールアクリレートが好ましく用い
られる。一般式(17)のg'が2以上の場合、オキシア
ルキレンユニットは互いに異なるいわゆる共重合オキシ
アルキレンユニットを持つものでもよく、その重合形態
は交互共重合、ブロック共重合またはランダム共重合の
いずれでもよい。その具体例としては、例えば、オキシ
エチレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範
囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜50、
好ましくは1〜20の範囲で持つ交互共重合体、ブロッ
ク共重合体またはランダム共重合体であるところの、メ
トキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタク
リレート、エトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリ
コールメタクリレート、メトキシポリ(エチレン・プロ
ピレン)グリコールアクリレート、エトキシポリ(エチ
レン・プロピレン)グリコールアクリレート、またはこ
れらの混合物などが挙げられる。
【0018】2官能変性ポリアルキレンオキシドは、下
記の一般式(18)で表され、3官能以上の多官能アク
リロイル変性ポリアルキレンオキシドは、下記の一般式
(18)で表される。
【化32】 (式中、R40、R41、R42およびR43は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、h'は1以上の整数である。)
【化33】 (式中、R44、R45およびR46は、それぞれ個別に水素
または1〜5の炭素原子を有するアルキル基であり、
i’は1以上の整数であり、j'は2〜4の整数であり、
Lはj'価の連結基を示す。) 一般式(18)において、R40、R41、R42およびR43
は、それぞれ個別に水素または1〜5の炭素原子を有す
るアルキル基を示すが、このアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n
−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げら
れる。特に、R40は水素、メチル基、R 41は水素、メチ
ル基、R42は水素、メチル基、R43は水素、メチル基で
あることがそれぞれ好ましい。また、一般式(19)中
のh'は、1以上の整数、通常1≦h'≦100、好ましく
は2≦h'≦50、さらに好ましくは2≦h'≦30の範囲
の整数であるが、そうした化合物の具体例は、オキシア
ルキレンユニットを1〜100、好ましくは2〜50、
さらに好ましくは1〜20の範囲で持つポリエチレング
リコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコール
ジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレ
ート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ま
たはこれらの混合物等を挙げることができる。また、h'
が2以上の場合、オキシアルキレンユニットが互いに異
なるいわゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つも
のでもよく、その重合形態は交互共重合、ブロック共重
合またはランダム共重合のいずれでもよい。その例とし
ては、例えば、オキシエチレンユニットを1〜50、好
ましくは1〜20の範囲で持ち、かつオキシプロピレン
ユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持つ
交互共重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合
体であるところの、ポリ(エチレン・プロピレン)グリ
コールジメタクリレート、ポリ(エチレン・プロピレ
ン)グリコールジアクリレート、またはこれらの混合物
などが挙げられる。一般式(19)におけるR44、R45
およびR46は、それぞれ個別に水素または1〜5の炭素
原子を有するアルキル基であるが、このアルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロ
ピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基
等が挙げられる。特にR44、R45およびR46は水素また
はメチル基が好ましい。また、式中のi'は1以上の整
数、通常1≦i'≦100、好ましくは2≦i'≦50さら
に好ましくは2≦i'≦30の範囲の整数を示すものであ
る。j'は連結基Lの連結数であり、2≦j'≦4の整数で
ある。連結基Lとしては、通常、炭素数1〜30、好ま
しくは1〜20の二価、三価または四価の炭化水素基で
ある。二価炭化水素基としては、アルキレン基、アリー
レン基、アリールアルキレン基、アルキルアリーレン
基、またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基な
どが挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、
【化34】 などが挙げられる。また、三価の炭化水素基としては、
アルキルトリイル基、アリールトリイル基、アリールア
ルキルトリイル基、アルキルアリールトリイル基、また
はこれらを基本骨格として有する炭化水素基などが挙げ
られ、具体的には
【化35】 などが挙げられる。また、四価の炭化水素基としては、
アルキルテトライル基、アリールテトライル基、アリー
ルアルキルテトライル基、アルキルアリールテトライル
基、またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基な
どが挙げられ、具体的には
【化36】 等が挙げられる。
【0019】こうした化合物の具体例としては、オキシ
アルキレンユニットを1〜100、好ましくは2〜5
0、さらに好ましくは1〜20の範囲で持つトリメチロ
ールプロパントリ(ポリエチレングリコールアクリレー
ト)、トリメチロールプロパントリ(ポリエチレングリ
コールメタクリレート)、トリメチロールプロパントリ
(ポリプロピレングリコールアクリレート)、トリメチ
ロールプロパントリ(ポリプロピレングリコールメタク
リレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリエチ
レングリコールアクリレート)、テトラメチロールメタ
ンテトラ(ポリエチレングリコールメタクリレート)、
テトラメチロールメタンテトラ(ポリプロピレングリコ
ールアクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ
(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、2,2
−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]
プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエ
トキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(ア
クリロキシポリイソプロポキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリイソプロポキ
シ)フェニル]プロパン、またはこれらの混合物等を挙
げることができる。また、一般式(19)のi'が2以上
の場合、オキシアルキレンユニットが互いに異なるいわ
ゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよ
く、その重合形態は、交互共重合、ブロック共重合、ラ
ンダム共重合のいずれであってもよい。オキシエチレン
ユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持
ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜50、好まし
くは1〜20の範囲で持つ交互共重合体、ブロック共重
合体またはランダム共重合体であるところの、トリメチ
ロールプロパントリ(ポリ(エチレン・プロピレン)グ
リコールアクリレート)、トリメチロールプロパントリ
(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレ
ート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリ(エチレ
ン・プロピレン)グリコールアクリレート)、テトラメ
チロールメタンテトラ(ポリ(エチレン・プロピレン)
グリコールメタクリレート)、またはこれらの混合物な
どがその具体例である。一般式(18)で表される2官
能変性ポリアルキレンオキシドと、一般式(19)で表
される3官能以上の多官能変性ポリアルキレンオキシド
を併用してもよい。併用する場合の重量比は、通常、
0.01/99.9〜99.9/0.01、好ましくは
1/99〜99/1、さらに好ましくは20/80〜8
0/20の範囲が望ましい。上記した変性ポリアルキレ
ンオキシドを含有する高分子固体電解質は、変性ポリア
ルキレンオキシドに、前記液系イオン伝導性物質で説明
した溶媒と支持電解質を混合したものを前駆体組成物と
し、係る組成物を固化することにより調製されるが、溶
媒の添加量は変性ポリアルキレンオキシド全量の50〜
800重量%、好ましくは100〜500重量%の範囲
で選ばれる。また、支持電解質の添加量は、変性ポリア
ルキレンオキシド全量と溶媒の合計量の1〜30重量
%、好ましくは3〜20重量%の範囲で選ばれる。変性
ポリアルキレンオキシドを含有する高分子固体電解質に
は、必要に応じて架橋剤や重合開始剤を添加することが
できる。
【0020】高分子電解質に添加可能な架橋剤として
は、2つ以上の官能基を有するアクリレート系架橋剤が
好ましい。その具体例としては、例えば、エチレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタ
クリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレー
ト、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレング
リコールジアクリレート、トリエチレングリコールジア
クリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テト
ラメチロールメタンテトラメタクリレート等が挙げられ
る。これらは使用に際して、単独若しくは混合物として
用いることができる。架橋剤の使用量は、高分子固体電
解質に含まれる重合性のウレタンアクリレートまたは変
性ポリアルキレンオキシド100モル%に対し、0.0
1モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、
その上限値は10モル%、好ましくは5モル%である。
高分子固体電解質に添加可能な重合開始剤は、光重合開
始剤と熱重合開始剤に大別される。光重合開始剤の種類
は特に限定されず、ベンゾイン系、アセトフェノン系、
ベンジルケタール系、アシルホスフィンオキサイド系等
の公知のものを用いることができる。具体的には、アセ
トフェノン、ベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェ
ノン、ベンゾインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ
−2−フェニルジメトキシ−2−フェニルアセトフェノ
ン、ベンジル、ベンゾイル、2−メチルベンゾイン、2
−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、
1−(4−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2
−メチルプロパン−1−オン、トリフェニルホスフィ
ン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキ
シ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−(4−
(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プ
ロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1
−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−
ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ジ
エトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェ
ニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、ベンゾイン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジ
フェニルホスフィンオキシド等が、単独で若しくは混合
物として使用できる。熱重合開始剤の種類も特には限定
されない。過酸化物系重合開始剤またはアゾ系重合開始
剤等の公知のものを用いることができる。具体的には、
過酸化物系重合開始剤としては、例えばベンゾイルパー
オキサイド、メチルエチルパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシカー
ボネート等が挙げられ、アゾ系としては、例えば2,
2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾ
ビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等を、単
独で若しくは混合物として用いることができる。重合開
始剤の使用量は、高分子固体電解質に含まれる重合性の
ウレタンアクリレートまたは変性ポリアルキレンオキシ
ド100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは
0.5重量部以上であり、その上限は10重量部、好ま
しくは5重量部以下である。
【0021】高分子固体電解質の固化は、重合性のウレ
タンアクリレートまたは変性ポリアルキレンオキシドを
光硬化または熱硬化させることによって達成される。光
硬化は、好ましくは光重合開始剤を含有する高分子固体
電解質に、遠紫外光、紫外光、可視光等を照射すること
によって進行する。光源としては、高圧水銀灯、蛍光
灯、キセノン灯等を使用することができる。光照射量は
特に限定されないが、通常は100mJ/cm2以上、
好ましくは1000mJ/cm2以上であり、その上限
値は50000mJ/cm2、好ましくは20000m
J/cm2であることが好ましい。熱硬化は、好ましく
は熱重合開始剤をする高分子固体電解質を、通常0℃以
上、好ましくは20℃以上に加熱することによって進行
する。加熱温度は130℃以下、好ましくは80℃以下
であることが望ましい。硬化時間は、通常、30分間以
上、好ましくは1時間以上であり、かつ100時間以
下、好ましくは40時間以下であることが望ましい。前
述の通り、本発明のイオン伝導層は、前記エレクトロク
ロミック活性物質を含有するものであるが、その製法や
形態は特に限定されない。例えば、液系イオン伝導性物
質の場合は前記エレクトロクロミック活性物質を伝導性
物質中に適宜分散または溶解すればよく、ゲル化液系イ
オン伝導性物質の場合は、その前駆体段階から前記エレ
クトロクロミック活性物質を混合し、最終的に当該化合
物が適宜分散または溶解している形態が例示できる。ま
た、固体系イオン伝導性物質層としては、未硬化状態に
ある固体電解質の段階で予め前記エレクトロクロミック
活性物質を混合し、しかる後固化することにより当該化
合物が適宜分散または溶解している形態が挙げられ、ま
た典型的には、高分子固体電解質の場合、同様に未硬化
状態にある固体電解質、即ち、前述の高分子固体電解質
前駆体組成物に前記エレクトロクロミック活性物質を混
合し、係る組成物を硬化することにより前記化合物が分
散または溶解された高分子固体電解質の形態が挙げられ
る。
【0022】イオン伝導層を構成するイオン伝導性物質
が、液系であるか、ゲル化液系であるか、あるいは固体
系であるかに拘らず、素子の耐光性を向上させる目的
で、前記エレクトロクロミック活性物質を含有する本発
明のイオン伝導層には、紫外線吸収剤を含有させること
もできる。このような紫外線吸収剤としては、ベンゾト
リアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリア
ジン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレ
ート系化合物、蓚酸アニリド系化合物等が挙げられ、こ
れらの中でも特にベンゾトリアゾール系化合物およびベ
ンゾフェノン系化合物を好適に用いることができる。ベ
ンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、下記の一
般式(20)で表される化合物が好適に挙げられる。
【化37】 式中、R47は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1
〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲ
ン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等、アルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−
プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル
基等が例示でき、特に水素原子および塩素原子が好まし
い。R47の置換位置としては、ベンゾトリアゾール骨格
の4位または5位であるが、ハロゲン原子およびアルキ
ル基の場合は通常5位に位置する。R48は、水素原子ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜6の炭化水素基を
示す。炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、t
−アミル基、シクロヘキシル基、1,1−ジメチルベン
ジル基等が例示でき、特にt−ブチル基、t−アミル基
および1,1−ジメチルベンジル基が好ましい。R
49は、炭素数2〜10、好ましくは2〜4のアルキルカ
ルボン酸基、またはアルキリデンカルボン酸基を示す。
アルキル基としては、メチレン基、エチレン基、トリメ
チレン基、プロピレン基等が、アルキリデン基として
は、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。ま
た他のR49としてはt−ブチル基、t−アミル基、1,
1,3,3,−テトラメチルブチル基等のアルキル基、
プロパン酸オクチルエステル等のアルカン酸アルキルエ
ステル、1,1−ジメチルベンジル基等のアリールアル
キル基等が挙げられる。このようなベンゾトリアゾール
系化合物としては、3−(5−クロロ−2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチ
ル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−(2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−
ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタン
酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシベンゼンエタン酸、3−(5−メチル−2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メチ
ルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、イソ
−オクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル
プロピオネート、メチル−3−[3−t−ブチル−5−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロ
キシフェニル]プロピオネート、2−(5’−メチル−
2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメ
チルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−
ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−
5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−
t−アミル−フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,
5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−
5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’
−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ
−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]
−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−
3−ジメチルベンジル−5−(1,1,3,3−テトラ
メチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾー
ル、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプ
ロパン酸オクチルエステル、3−(5−クロロ−2H−
ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル−n−プロパノール等が挙げら
れ、これらの中でも3−(5−クロロ−2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニルプロパン酸オクチルエステル、3−(5−
クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−n−プロパノー
ルが特に好ましく用いられる。
【0023】ベンゾフェノン系化合物としては、例え
ば、下記の一般式(21)、(22)で示される化合物
が挙げられる。
【化38】 式中、R50およびR51は、同一もしくは異なる基であっ
て、ヒドロキシル基、炭素数1〜10、好ましくは1〜
6のアルキル基またはアルコキシ基を示す。m’、n’
は0≦m’≦3、0≦n’≦3の範囲の整数を示す。ア
ルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキ
シル基等が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基
等が例示される。ベンゾフェノン系化合物の具体例とし
ては、2−ヒドロキシ−、2,2’−ジヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−
5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ
ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’
−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テ
トラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等が
好適に挙げられ、この中でも2,2’,4,4’−テト
ラヒドロキシベンゾフェノンが好ましく用いられる。ト
リアジン系化合物としては2−(4,6−ジフェニル−
1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシ
ル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロ
キシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒ
ドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル
フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−
[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)
オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス
(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジ
ン等を挙げることができる。サリシレート系化合物とし
てはフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサ
リシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等を挙
げることができる。シアノアクリレート系化合物として
は2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3 ,ジフェニ
ルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3,−ジフ
ェニルアクリレート等を挙げることができる。蓚酸アニ
リド系化合物としては2−エトキシ−2’−エチル−オ
キサリック酸ビスアニリド等を挙げることができる。紫
外線吸収剤の使用量は、イオン伝導層中に0.1重量%
以上、好ましくは1重量%以上であり、その上限値は2
0重量%、好ましくは10重量%であることが望まし
い。
【0024】本発明に係るEC素子は任意の方法で製造す
ることができる。例えば、使用するイオン伝導性物質が
液系またはゲル化液系である場合は、2枚の導電基板を
適当な間隔で対向させ、周縁部をシールした対向導電基
板の間に、化合物Aが分散されているイオン伝導性物質
を、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって
注入し、しかる後、注入口を封鎖する方法で本発明のEC
素子を製造することができる。また、使用するイオン伝
導性物質の種類によっては、スパッタリング法、蒸着
法、ゾルゲル法などによって一方の導電基板上に、エレ
クトロクロミック活性物質を含有するイオン伝導層を形
成させた後、他方の導電基板を合わせる方法や、あるい
はエレクトロクロミック活性物質を含有するイオン伝導
性物質を予めフィルム状に成形し、合わせ板ガラスの製
造する要領で本発明のEC素子を製造することもできる。
使用するイオン伝導性物質が固体系である場合、とりわ
け、ウレタンアクリレートまたは変性アルキレンオキシ
ドを含有する高分子固体電解質を使用する場合は、エレ
クトロクロミック活性物質を含有して未固化状態にある
高分子固体電解質前駆体を、周縁部がシールされた対向
導電基板の間に、真空注入法、大気注入法、メニスカス
法等によって注入し、注入口を封鎖後、適当な手段で高
分子固体電解質を固化させて固体電解質を得るこことに
より本発明のEC素子を得ることができる。本発明に係る
EC素子のイオン伝導層は、通常、室温で1×10-7S/
cm以上、好ましくは1×10-6S/cm以上、さらに
好ましくは1×10-5S/cm以上のイオン伝導度を示
すことが望ましい。 また、イオン伝導層の厚さは、通
常、1μm以上、好ましくは10μm以上であって、し
かも3mm以下、好ましくは1mm以下であることが望
ましい。
【0025】本発明に係るEC素子の基本構成を、図面に
そって次に説明する。図1に示すEC素子は、透明基板1
とその表面に積層させた透明電極層2からなる透明導電
基板と、透明又は不透明な基板5とその表面に積層させ
た透明、不透明または反射性導電基板4との間に、エレ
クトロクロミック活性物質が分散しているイオン伝導層
3を挟持させた構造にある。図2は表示素子や調光ガラ
スの構成例を示す。透明基板1の一方の面に透明電極層
2を形成した透明導電基板2枚を、両基板の透明電極層
が向き合うよう適宜な間隔で対向させ、この間にエレク
トロクロミック活性物質が分散しているイオン伝導層3
を挟持させた構造にある。図3にはエレクトロクロミッ
クミラーの構成例を示す。透明基板1の一方の面に透明
電極層2を形成した透明導電基板と、透明基板1の一方
の面に透明電極層2を、他方の面に反射層7を形成した
反射性導電基板とを、両基板の透明電極層が向き合うよ
う、適宜な間隔で対向させ、この間にエレクトロクロミ
ック活性物質が分散しているイオン伝導層3を挟持させ
た構造にある。図1〜図3に示すEC素子は、任意の方法
で製造することができる。例えば、図1に示す構成のEC
素子の場合、透明基板1上に前述の方法により透明電極
層2を形成し(積層板A)、別に、基板5上に前述の方
法により透明、不透明または反射性電極層4を形成して
積層板を得る(積層板B)。続いて、積層板Aと積層板
Bを1〜1000μm程度の間隔で対向させ、注入口を
除いた周囲をシール材6でシールし、注入口付きの空セ
ルを作成する。そして、イオン伝導層の組成物を前述の
方法で注入し、またはこの後所望により硬化することに
よりイオン伝導層3を形成することによりEC素子を得る
ことができる。前記積層板AとBを対向させる際、間隔
を一定に確保するために、例えば、スペーサーを用いる
ことができる。スペーサーとしては特に限定されない
が、ガラス、ポリマー等で構成されるビーズまたはシー
トを用いることができる。スペーサーは、対向する導電
基板の間隙に挿入したり、導電基板の電極上に樹脂等の
絶縁物で構成される突起状物を形成する方法等より設け
ることができる。また、他の方法としては、透明基板1
上に前述の方法により透明電極層2、イオン伝導層3
を、記載順に順次形成して積層体を得る(積層体
A’)。別に、基板5上に前述の方法により透明、不透
明または反射性電極層4を形成して積層体を得る(積層
体B’)。ついで、積層体A’のイオン伝導層と、積層
体B’の反射性電極層とが密着するように、両積層体を
1〜1000μm程度の間隔で対向させ、周囲をシール
材6でシールする方法が挙げられる。図2に示す構成の
エレクトロクロミック調光ガラスの場合は、透明基板1
の一方の面に透明電極層2を形成させた透明導電基板2
枚を調製し、図3に示すエレクロトクロミックミラーの
場合は、透明基板1の一方の面に透明電極層2を形成し
た透明導電基板と、透明基板1の一方の面に透明電極層
2を、他方の面に反射層7を形成した反射性導電基板と
を調製し、以後は図1に示す構成の素子の場合と同様の
手順で、それぞれの素子を得ることができる。
【0026】本発明のEC素子の代表的な構成例について
は、図1〜3に示されているとおりであるが、本発明の
EC素子には、必要に応じて、紫外線反射層や紫外線吸収
層などの紫外線カット層、ミラーの場合はミラー層全体
もしくは各膜層の表面保護を目的とするオーバーコート
層などを任意に付加することができる。前記紫外線カッ
ト層は、透明基板1の外界側もしくは透明電極層側、オ
ーバーコート層としては、透明基板1の外界側や反射層
7の外界側などに設置することが好適な態様として挙げ
られる。本発明の素子は、表示素子、調光ガラス、自動
車等の防眩ミラー、あるいは屋内で使用される装飾用ミ
ラーなどのエレクトロクロミックミラーなどに好適に使
用することができる。また、本発明のEC素子は、基本
特性に優れるていることに加えて、特に着消色応答性や
サイクル特性に優れている。そして、本発明のEC素子
は、従来のものより低い電圧で駆動することができるな
どの特長を有する。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらになんら制限されるものではな
い。実施例1 ITO被覆された透明ガラス基板の周辺部に、溶液注入
口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状に塗布し、こ
の上に、同じくITO被覆された透明ガラス基板を、I
TO面が向かい合うように重ね合わせ、加圧しながら接
着剤を硬化させ、注入口付き空セルを作製した。他方
で、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレー
ト(新中村化学工業株式会社製 M40G)[オキシエ
チレンユニット数4]1.0g、ポリエチレングリコー
ルジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 4
G)[オキシエチレンユニット数4]0.02g、プロ
ピレンカーボネート 4.0g、1−(4−イソプロピ
ルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−
1−オン0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEIG
Y社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テト
ラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムを0.5
M、以下の式で表される化合物を30mMの濃度になる
ように添加し、均一溶液を得た。
【化39】 この溶液を脱気後、上述のようにして作成したセルの注
入口より注入した。注入口をエポキシ系接着剤で封止し
た後、両面から蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化
させ、エレクトロクロミック素子(調光ガラス)を得
た。このようにして図1に示す構成のエレクトロクロミ
ック調光ガラスを得た。この調光ガラスは組み立てた時
点では着色しておらず、透過率は約87%であった。ま
た、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロ
クロミック特性を示した。すなわち、1.1Vの電圧を
印可すると着色し、633nmの波長の光の透過率は約
25%となった。また10秒毎に着消色を繰り返した
が、約200時間経過後も消え残りなどが発生すること
はなかった。実施例2 ITO被覆された透明ガラス基板の周辺部に、溶液注入
口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状に塗布し、こ
の上に、同じくITO被覆された透明ガラス基板を、I
TO面が向かい合うように重ね合わせ、加圧しながら接
着剤を硬化させ、注入口付き空セルを作製した。他方
で、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレー
ト(新中村化学工業株式会社製 M40G)[オキシエ
チレンユニット数4]1.0g、ポリエチレングリコー
ルジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 9
G)[オキシエチレンユニット数9]0.02g、γ−
ブチロラクトン 4.0g、1−(4−イソプロピルフ
ェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−
オン0.02gの混合溶液に、過塩素酸リチウムを0.
8M、以下の式で表される化合物を30mMの濃度にな
るように添加し、均一溶液を得た。
【化40】 この溶液を脱気後、上述のようにして作成したセルの注
入口より注入した。注入口をエポキシ系接着剤で封止し
た後、両面から蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化
させ、エレクトロクロミック素子(調光ガラス)を得
た。このようにして図1に示す構成のエレクトロクロミ
ック調光ガラスを得た。この調光ガラスは組み立てた時
点では着色しておらず、透過率は約85%であった。ま
た、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロ
クロミック特性を示した。すなわち、1.1Vの電圧を
印可すると着色し、633nmの波長の光の透過率は約
20%となった。また10秒毎に着消色を繰り返した
が、約200時間経過後も消え残りなどが発生すること
はなかった。実施例3 ITO被覆された透明ガラス基板の周辺部に、溶液注入
口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状に塗布し、こ
の上に、同じくITO被覆された透明ガラス基板を、I
TO面が向かい合うように重ね合わせ、加圧しながら接
着剤を硬化させ、注入口付き空セルを作製した。他方
で、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレー
ト(新中村化学工業株式会社製 M40G)[オキシエ
チレンユニット数4]1.0g、ポリエチレングリコー
ルジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 4
G)[オキシエチレンユニット数4]0.02g、プロ
ピレンカーボネート 4.0g、1−(4−イソプロピ
ルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−
1−オン0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEIG
Y社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テト
ラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムを0.5
M、以下の式で表される化合物を30mMの濃度になる
ように添加し、均一溶液を得た。
【化41】 この溶液を脱気後、上述のようにして作成したセルの注
入口より注入した。注入口をエポキシ系接着剤で封止し
た後、両面から蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化
させ、エレクトロクロミック素子(調光ガラス)を得
た。このようにして図1に示す構成のエレクトロクロミ
ック調光ガラスを得た。この調光ガラスは組み立てた時
点では着色しておらず、透過率は約85%であった。ま
た、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロ
クロミック特性を示した。すなわち、1.1Vの電圧を
印可すると着色し、633nmの波長の光の透過率は約
24%となった。また10秒毎に着消色を繰り返した
が、約200時間経過後も消え残りなどが発生すること
はなかった。実施例4 高反射性電極として基板にパラジウム薄膜の付いた積層
板を用い、積層板のパラジウム層周辺部に、電解質前駆
体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状
に塗布し、この上にSnO2被覆された透明ガラス基板
を、SnO2面とパラジウム層とが向かい合うように重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
空セルを作製した。他方で、メトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
M40G)[オキシエチレンユニット数4]1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製 4G)[オキシエチレンユニット
数4]0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEI
GY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テ
トラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムを0.5
M、以下の式で表される化合物を30mMの濃度になる
ように添加し、均一溶液を得た。
【化42】 注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側か
ら蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレク
トロクロミック素子を得た。このようにして図3に示す
構成のエレクトロクロミックミラーを得た。このミラー
は組み立てた時点では着色しておらず、反射率は約70
%であった。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良
好なエレクトロクロミック特性を示した。すなわち、
1.1Vの電圧を印可すると着色し、反射率約10%と
なった。また10秒毎に着消色を繰り返したが、約20
0時間経過後も消え残りなどが発生することはなかっ
た。実施例5 高反射性電極として基板にパラジウム薄膜の付いた積層
板を用い、積層板のパラジウム層周辺部に、電解質前駆
体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状
に塗布し、この上にSnO2被覆された透明ガラス基板
を、SnO2面とパラジウム層とが向かい合うように重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
空セルを作製した。他方で、メトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
M40G)[オキシエチレンユニット数4]1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット
数9]0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド0.02g、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン0.05gの混合溶液に、テトラフルオ
ロホウ酸トリメチルエチルアンモニウムを0.5M、以
下の式で表される化合物を30mMの濃度になるように
添加し、均一溶液を得た。
【化43】 注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側か
ら蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレク
トロクロミック素子を得た。このようにして図3構成の
エレクトロクロミックミラーを得た。このミラーは組み
立てた時点では着色しておらず、反射率は約70%であ
った。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエ
レクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.1V
の電圧を印可すると着色し、反射率約10%となった。
また10秒毎に着消色を繰り返したが、約200時間経
過後も消え残りなどが発生することはなかった。実施例6 高反射性電極として基板にパラジウム薄膜の付いた積層
板を用い、積層板のパラジウム層周辺部に、電解質前駆
体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状
に塗布し、この上にSnO2被覆された透明ガラス基板
を、SnO2面とパラジウム層とが向かい合うように重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
空セルを作製した。他方で、メトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
M40G)[オキシエチレンユニット数4]1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット
数9]0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEI
GY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テ
トラフルオロホウ酸トリメチルエチルアンモニウムを
0.5M、以下の式で表される化合物を30mMの濃度
になるように添加し、均一溶液を得た。
【化44】 注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側か
ら蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレク
トロクロミック素子を得た。このようにして図3構成の
エレクトロクロミックミラーを得た。このミラーは組み
立てた時点では着色しておらず、反射率は約70%であ
った。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエ
レクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.1V
の電圧を印可すると着色し、反射率約10%となった。
また10秒毎に着消色を繰り返したが、約200時間経
過後も消え残りなどが発生することはなかった。実施例7 高反射性電極として基板にパラジウム薄膜の付いた積層
板を用い、積層板のパラジウム層周辺部に、電解質前駆
体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状
に塗布し、この上にSnO2被覆された透明ガラス基板
を、SnO2面とパラジウム層とが向かい合うように重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
空セルを作製した。他方で、メトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
M40G)[オキシエチレンユニット数4]1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット
数9]0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEI
GY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テ
トラフルオロホウ酸トリメチルエチルアンモニウムを
0.5M、以下の式で表される化合物を30mMの濃度
になるように添加し、均一溶液を得た。
【化45】 注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側か
ら蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレク
トロクロミック素子を得た。このようにして図3構成の
エレクトロクロミックミラーを得た。このミラーは組み
立てた時点では着色しておらず、反射率は約70%であ
った。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエ
レクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.1V
の電圧を印可すると着色し、反射率約10%となった。
また10秒毎に着消色を繰り返したが、約200時間経
過後も消え残りなどが発生することはなかった。実施例8 高反射性電極として基板にパラジウム薄膜の付いた積層
板を用い、積層板のパラジウム層周辺部に、電解質前駆
体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状
に塗布し、この上にSnO2被覆された透明ガラス基板
を、SnO2面とパラジウム層とが向かい合うように重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
空セルを作製した。他方で、メトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
M40G)[オキシエチレンユニット数4]1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット
数9]0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEI
GY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テ
トラフルオロホウ酸トリメチルエチルアンモニウムを
0.5M、以下の式で表される化合物を30mMの濃度
になるように添加し、均一溶液を得た。
【化46】 注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側か
ら蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレク
トロクロミック素子を得た。このようにして図3構成の
エレクトロクロミックミラーを得た。このミラーは組み
立てた時点では着色しておらず、反射率は約70%であ
った。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエ
レクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.1V
の電圧を印可すると着色し、反射率約10%となった。
また10秒毎に着消色を繰り返したが、約200時間経
過後も消え残りなどが発生することはなかった。実施例9 高反射性電極として基板にパラジウム薄膜の付いた積層
板を用い、積層板のパラジウム層周辺部に、電解質前駆
体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状
に塗布し、この上にSnO2被覆された透明ガラス基板
を、SnO2面とパラジウム層とが向かい合うように重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
空セルを作製した。他方で、メトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
M40G)[オキシエチレンユニット数4]1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット
数9]0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEI
GY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テ
トラフルオロホウ酸トリメチルエチルアンモニウムを
0.5M、以下の式で表される化合物(Mn=1200、Mw=25
00)をユニットあたり30mMの濃度になるように添加
し、均一溶液を得た。
【化47】 注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側か
ら蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレク
トロクロミック素子を得た。このようにして図3構成の
エレクトロクロミックミラーを得た。このミラーは組み
立てた時点では着色しておらず、反射率は約70%であ
った。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエ
レクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.1V
の電圧を印可すると着色し、反射率約10%となった。
また10秒毎に着消色を繰り返したが、約200時間経
過後も消え残りなどが発生することはなかった。実施例10 高反射性電極として基板にパラジウム薄膜の付いた積層
板を用い、積層板のパラジウム層周辺部に、電解質前駆
体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を線状
に塗布し、この上にSnO2被覆された透明ガラス基板
を、SnO2面とパラジウム層とが向かい合うように重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
空セルを作製した。他方で、メトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
M40G)[オキシエチレンユニット数4]1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット
数9]0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEI
GY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テ
トラフルオロホウ酸トリメチルエチルアンモニウムを
0.5M、以下の式で表される化合物(Mn=1200、Mw=25
00)をユニットあたり30mMの濃度になるように添加
し、均一溶液を得た。
【化48】 注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側か
ら蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレク
トロクロミック素子を得た。このようにして図3構成の
エレクトロクロミックミラーを得た。このミラーは組み
立てた時点では着色しておらず、反射率は約70%であ
った。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエ
レクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.1V
の電圧を印可すると着色し、反射率約10%となった。
また10秒毎に着消色を繰り返したが、約200時間経
過後も消え残りなどが発生することはなかった。
【0028】
【発明の効果】本発明のエレクトロクロミック素子は、
1V程度の電圧で良好に着色し、応答性に優れ、繰り返
し駆動耐性にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレクトロクロミック素子の構成
の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係るエレクトロクロミック調光ガラス
の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係るエレクトロクロミックミラーの一
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 透明電極層 3 イオン伝導層 4 透明、不透明または反射性電極層 5 透明又は不透明な基板 6 シール材 7 反射層
フロントページの続き (72)発明者 錦谷 禎範 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 2K001 AA02 AA08 AA10 BB30 CA08 CA25 CA31 CA32 CA37 CA38

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明である2枚の導電
    基板間に、イオン伝導層を設けたエレクトロクロミック
    素子において、前記のイオン伝導層が、下記の一般式で
    (1)で表されるビピリジニウムイオン対構造(I)と、
    下記の一般式(2)または一般式(3)で表されるジヒ
    ドロフェナジン構造(II)を兼備した有機化合物を含有し
    ていることを特徴とするエレクトロクロミック素子。 (I) ビピリジニウムイオン対構造: 【化1】 (式中、X-およびY-は同一でも異なっていてもよく、
    それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 -、BF4 -
    PF6 -、CH3COO-、CH3(C64)SO3 -から選
    ばれる対アニオンを示す。) (II) ジヒドロフェナジン構造: 【化2】 (式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
    それぞれ個別に炭素数1〜10のアルキル基、アルケニ
    ル基およびアリール基から選ばれる炭化水素基または下
    記一般式(a)〜(n)で示される有機残基を示す。) 【化3】 (式中、R3は水素または炭素数1〜5のアルキル基を
    示し、R4、R5およびR6は同一でも異なっていてもよ
    く、それぞれ個別に炭素数1〜30の2価の炭化水素残
    基を示し、aは0または1を示す。R7は水素原子、ハロ
    ゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。R
    8は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示
    す。R9、R10、R12およびR14は同一でも異なってい
    てもよく、それぞれ個別に炭素数1〜30の2価の炭化
    水素残基を示し、R11およびR13は、同一もしくは異な
    る基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアル
    キル基またはアルコキシ基を示す。m’、n’は0≦
    m’≦3、0≦n’≦3の範囲の整数を示す。Zは−C
    OO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−
    OCONH−、−NHOCO−、−O−、−S−から選
    ばれる2価基を示す。)
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