JP2002357852A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子

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JP2002357852A
JP2002357852A JP2001166705A JP2001166705A JP2002357852A JP 2002357852 A JP2002357852 A JP 2002357852A JP 2001166705 A JP2001166705 A JP 2001166705A JP 2001166705 A JP2001166705 A JP 2001166705A JP 2002357852 A JP2002357852 A JP 2002357852A
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electrochromic
transparent
organic compound
electrochromic device
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JP2001166705A
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English (en)
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Masaki Minami
昌樹 南
Junichiro Tanimoto
順一郎 谷本
Takaya Kubo
貴哉 久保
Yoshinori Nishikitani
禎範 錦谷
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価な発色剤と簡便な方法により製造するこ
とが可能で、色調が可変で、かつ柔軟性を具備するエレ
クトロクロミック素子を提供する。 【解決手段】 少なくとも一方が透明である2枚の導電
性基板の間に、還元性エレクトロクロミック特性を有す
る有機化合物および酸化性エレクトロクロミック特性を
有する有機化合物を含有するイオン伝導層が狭持されて
いるエレクトロクロミック素子であり、前記の透明の導
電性基板が応力により変形可能な導電性フィルムである
ことを特徴とするエレクトロクロミック素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調光ガラスなどの
透過型素子、自動車等の防眩ミラー、装飾用ミラー等の
反射型素子、表示素子などとして有用なエレクトロクロ
ミック素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の調光ガラスなどに使用されるエレ
クトロクロミック素子は、例えば、酸化タングステン
(WO3)のような無機酸化物を、透明導電膜上に真空
蒸着法などで成膜し、これを発色剤として用いているも
のが知られている(特開昭63−18336号公報)。
しかしながらこの方法では、膜形成工程を真空下で行わ
なければならないためコスト高であり、大面積のエレク
トロクロミック素子を得るためには大型の真空装置が必
要となる。また、酸化タングステンを用いる場合には青
色の発色しか得られないという問題もある。また、エレ
クトロクロミック性化合物として、還元性や酸化性の種
々の化合物が提案され、ミラー用途のエレクトロクロミ
ック素子として実用化されている。しかしながら、この
種のエレクトロクロミック素子は、多くの場合、そのイ
オン伝導層が液体であるため、素子の破損による液漏れ
などの問題点があった。また、イオン伝導層が液体であ
るため、柔軟性のある基板を使用することができず、ガ
ラス基板等を用いる必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような実
状を鑑みて成されたものであり、その目的は、安価な発
色剤と簡便な方法により製造することが可能で、色調が
可変で、かつ柔軟性を具備するエレクトロクロミック素
子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記したよ
うな従来技術の問題点を解決する手段について鋭意研究
を重ねた結果、以下のような構成を有するエレクトロク
ロミック素子がこれらの問題を解決できることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
少なくとも一方が透明である2枚の導電性基板の間に、
還元性エレクトロクロミック特性を有する有機化合物お
よび酸化性エレクトロクロミック特性を有する有機化合
物を含有するイオン伝導層が狭持されているエレクトロ
クロミック素子であり、前記の透明の導電性基板が導電
性フィルムであることを特徴とするエレクトロクロミッ
ク素子に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のエレクトロクロミック素子には2枚の導
電基板が使用される。ここで導電基板とは電極としての
機能を果たす基板を意味する。本発明で使用される2枚
の導電基板の少なくとも一方は透明導電基板であり、他
方は透明であっても、不透明であっても差し支えなく、
また、光を反射できる反射性導電基板であってもよい。
本発明においては、かかる透明導電基板が導電性フィル
ムであることを特徴とする。もちろん、前記の不透明導
電基板や反射性導電基板は、同様に、当該性質を具備す
る導電性フィルムであってもよい。なお、導電性フィル
ムは、通常応力により変形する性質を有するが、その変
形は可逆的でも非可逆的でもどちらでもよい。一般に、
2枚の導電基板がいずれも透明である素子は、表示素子
や調光ガラスに好適であり、1枚を透明導電基板とし、
もう1枚を不透明導電基板としたものは表示素子に好適
であり、1枚を透明導電基板とし、もう1枚を反射性導
電基板としたものはエレクトロクロミックミラーに適し
ている。
【0006】透明導電基板は、通常、透明基板上に透明
電極層を積層させて製造される。ここで、透明とは可視
光領域において10〜100%の光透過率を有すること
を意味する。透明基板の材質は特に限定されないが、自
立性を有する無色あるいは有色の透明性樹脂フィルムで
あることが望ましく、柔軟性を有するものがさらに好ま
しい。ここでいう透明性樹脂の具体例としては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタ
クリレート、ポリスチレン等が挙げられる。フィルム厚
は、1μmから5mm、好ましくは10μmから1mm
である。また、透明フィルムの他の特性としては、例え
ばヘイズがあげられる。透明フィルムのヘイズ値(JIS
K7136)は特に限定されないが、通常20%以下、好ま
しくは10%以下、さらに好ましくは5%以下が好まし
い。
【0007】透明電極層としては、例えば、金、銀、ク
ロム、銅、タングステン等の金属薄膜、金属酸化物から
なる導電膜などが使用できる。前記金属酸化物として
は、例えば、ITO(In23−SnO2)、酸化錫、
酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム等が挙げられ、特に
ITOを用いることが好ましい。電極層の膜厚は、特に
制限されるものではないが、通常10〜500nm、好
ましくは50〜300nmの範囲にあり、表面抵抗(抵
抗率)は特に制限されるものではないが、通常0.5〜
500Ω/cm2、好ましくは1〜100Ω/cm2の範
囲にあることが望ましい。透明電極層の形成には、公知
の手段を任意に採用することができるが、電極を構成す
る金属及び/又は金属酸化物等の種類により、採用する
手段を選択するのが好ましい。通常は、真空蒸着法、イ
オンプレーティング法、スパッタリング法、ゾルゲル法
等が採用される。
【0008】本発明で使用可能な反射性導電基板として
は、(1)導電性を持たない透明又は不透明な基板上に
反射性電極層を積層させた積層体、(2)導電性を持た
ない透明基板の一方の面に透明電極層を、他方の面に反
射層を積層させた積層体、(3)導電性を持たない透明
または不透明基板上に反射層を、その反射層上に透明電
極層を積層させた積層体などが例示できる。本発明でい
う反射性電極層とは、鏡面を有し、しかも電極として電
気化学的に安定な機能を発揮する薄膜を意味する。その
ような薄膜としては、例えば、金、白金、タングステ
ン、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウム、
銀、ニッケル、パラジウム等の金属膜や、白金−パラジ
ウム、白金−ロジウム、ステンレス等の合金膜が挙げら
れる。このような鏡面を備えた薄膜の形成には、任意の
方法が採用可能であって、例えば、真空蒸着法、イオン
プレーティング法、スパッタリング法などを適宜採用す
ることができる。反射性電極層を設ける基板は透明であ
るか、不透明であるかを問わない。従って、反射性電極
層を設ける基板としては、先に例示した透明基板の他、
透明でない各種の樹脂フィルムが使用可能である。本発
明で言う反射層とは、鏡面を有する薄膜を意味し、これ
には、例えば、銀、クロム、アルミニウム、ステンレ
ス、ニッケル−クロム等の薄膜が含まれる。
【0009】本発明で用いられる還元性エレクトロクロ
ミック特性を有する有機化合物としては、ビピリジニウ
ム誘導体、アントラキノン系化合物誘導体などが挙げら
れる。かかる有機化合物としては、ビピリジウム誘導体
が好ましく、例えば、下記一般式(1)で表されるビピ
リジニウム誘導体が挙げられる。
【0010】
【化3】
【0011】一般式(1)において、R1およびR2は同
一でも異なっていてもよく、それぞれ個別に、アルキル
基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を
表す。アルキル基としては炭素数1から20のアルキル
基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル
基、ドデシル基が挙げられる。アルケニル基としては炭
素数2から20のアルケニル基が好ましく、具体的には
ビニル基、アリル基が挙げられる。アリール基としては
炭素数6から30のアリール基が好ましく、具体的には
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が挙げられ、さ
らにはこれらの基が置換基を有していてもよく、たとえ
ばトリル基、p−メトキシフェニル基、p−シアノフェ
ニル基が挙げられる。アラルキル基としては炭素数7か
ら30のアラルキル基が好ましく、具体的にはベンジル
基、トリチル基が挙げられる。X-およびY-は同一でも
異なっていてもよく、それぞれ個別に、ハロゲンアニオ
ン、ClO4 -、BF4 -、PF 6 -、CH3COO-、CH3
(C64)SO3 -、イミドアニオン、およびメサイドア
ニオンから選ばれる対アニオンを示す。具体的にイミド
アニオンは、(CF3SO22-、(C25SO22
-、(CF3SO2)(C49SO2)N-、[(CF32
HSO3]2-を表し、メサイドアニオンは、(CF3
23-を示し、ハロゲンアニオンとしては、F-、C
-、Br-、I-等が挙げられる。
【0012】これらの化合物の具体例を以下に示す。
【化4】
【0013】本発明で用いられる酸化性エレクトロクロ
ミック特性を有する有機化合物としては、ピラゾリン系
化合物、メタロセン化合物誘導体、フェニレンジアミン
化合物誘導体、ベンジジン化合物誘導体、フェナジン化
合物誘導体、フェノキサジン化合物誘導体、フェノチア
ジン化合物誘導体、テトラチアフルバレン誘導体等が挙
げられる。係る有機化合物としては、メタロセン化合物
誘導体、特にフェロセン誘導体が好ましく、例えば、下
記一般式(2)のフェロセン誘導体が挙げられる。
【0014】
【化5】
【0015】一般式(2)において、R3およびR4は同
一でも異なっていてもよく、それぞれ個別に、炭素数1
〜10のアルキル基、アルケニル基およびアリール基か
ら選ばれる炭化水素基を示し、R3またはR4がアリール
基である場合、母体環はシクロペンタジエニル環と結合
し環を形成してもよく、mは0≦m≦5の範囲の整数を
表し、nは0≦n≦5の範囲の整数を表す。具体的に
は、以下に示すフェロセン誘導体が挙げられる。
【0016】
【化6】
【0017】本発明における還元性エレクトロクロミッ
ク特性を有する有機化合物と、酸化性エレクトロクロミ
ック特性を有する有機化合物との使用量の比は、特に限
定されないが、還元エレクトロクロミック化合物に対
し、酸化エレクトロクロミック化合物をモル比で0.5
から2.0用いることができ、好ましくは0.8から
1.2の範囲で用いられる。
【0018】本発明のイオン伝導層は、前記の還元性エ
レクトロクロミック特性を有する有機化合物と、酸化性
エレクトロクロミック特性を有する有機化合物を含有す
ることを特徴とするが、さらに高分子マトリックスを含
有していることが好ましい。高分子マトリックスを含有
する場合、前記の還元性エレクトロクロミック特性を有
する有機化合物と、酸化性エレクトロクロミック特性を
有する有機化合物が高分子マトリックス中に保持される
ほか、イオン伝導層に添加される他の任意成分(後述)
が高分子マトリックス中に保持されることによって固体
状態またはゲル状態が形成される。
【0019】高分子マトリックスについて以下に説明す
る。高分子マトリックスとして、ポリエーテル系高分子
化合物が好適な高分子化合物として挙げられる。またこ
こでいうポリエーテル系高分子化合物とは、末端基以外
の主鎖がアルキレンオキシドユニット構造からなる高分
子化合物を表す。ポリエーテル系高分子化合物は、エポ
キシド、オキセタンおよびテトラヒドロフラン等の開環
重合から得られ、それぞれ置換基を有していても良い。
具体的には、ポリエチレンオキシド、ポリトリメチレン
オキシド、ポリテトラヒドロフラン等を挙げることがで
きる。また、置換基としては、例えばアルキル基、アル
ケニル基、アリール基、アラルキル基、あるいは、これ
らの基が置換基としてRO−(Rは炭化水素基を表す)
で表される基を有するものを挙げることができる。
【0020】アルキル基としては炭素数1〜20、好ま
しくは1〜10のアルキル基が挙げられ、具体的にはメ
チル基、エチル基、n−ブチル基、s−ブチル基、ヘプ
チル基、オクチル基、ドデシル基が挙げられる。アルケ
ニル基としては炭素数2〜10、好ましくは2〜6のア
ルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、アリル基
が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜30、好
ましくは6〜12のアリール基が挙げられ、具体的には
フェニル基、トリル基、p−エチルフェニル基、o−エ
チルフェニル基が挙げられる。アラルキル基としては炭
素数7〜30、好ましくは7〜20のアラルキル基が挙
げられ、具体的にはベンジル基、フェネチル基、トリチ
ル基が挙げられる。さらに上記置換基がRO−(Rは炭
化水素基を表し、好ましくは1〜10のアルキル基を示
す。)で表される基を有する置換基としては、メトキシ
メチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2−メトキ
シエトキシエチル基、p−メトキシフェニル基、p−ブ
トキシフェニル基、p−メトキシフェニルメチル基、p
−メトキシスチリル基が挙げられ、さらに高分子量化し
ていてもよく、具体的には下記式(3)〜(10)の置
換基が挙げられる。
【0021】
【化7】
【0022】式(3)〜(10)におけるnは1〜10
00、好ましくは1〜200、さらに好ましくは3〜1
00の整数を表す。なお、本明細書において、Etはエ
チル基、Buはブチル基、Phはフェニル基を示す。こ
れらの置換基を有するポリエーテル系高分子化合物の具
体例を以下に示す。
【0023】
【化8】
【0024】また単独重合物に限らず、共重合体を使用
しても良く、その場合ランダム共重合体あるいはブロッ
ク共重合体どちらを使用してもよい。具体的には以下の
式で表される共重合物が挙げられる。共重合体の組成比
はとくに限定されず、任意に選択することができる。
【0025】
【化9】
【0026】なお、式中の分子末端は通常水酸基、また
はアルキル基若しくはアリール基である。アルキル基と
しては炭素数1から10のアルキル基が挙げられ、具体
的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ペンチ
ル基、n−オクチル基が挙げられる。アリール基として
は炭素数6から20のアリール基が挙げられ、具体的に
はフェニル基、ナフチル基が挙げられる。重合物の分子
量は特に制限されないが、室温で液体状態でないことが
必要であり、通常分子量1000以上、好ましくは50
00以上である。分子量の上限は特に限定されないが、
通常溶解性あるいは溶融性等の性質を示すことが好まし
く、通常、1000万以下、好ましくは500万以下で
ある。なお、ここでいう分子量とは、クロマトグラフィ
ー(サイズ排除クロマトグラフィー)による測定で求め
た数平均分子量である。
【0027】さらにこれらの重合体の主鎖末端あるいは
分岐鎖末端に2重結合を有する官能基を公知の方法で導
入することができ、この2重結合を用いた架橋反応を行
うことによりイオン伝導層の耐熱性の向上を図ることが
できる。2重結合を有する官能基として具体的には、ア
クリル基、メタクリル基、アリル基、ビニル基、スチリ
ル基が挙げられる。具体的には以下に示したポリエーテ
ル系高分子化合物を使用することができる。
【0028】
【化10】
【0029】架橋反応はラジカル発生剤にて行うことが
でき、通常の光重合開始剤や熱重合開始剤などの重合開
始剤を用いるができる。光重合開始剤としては、特に限
定されないが、ベンゾイン系、アセトフェノン系、ベン
ジルケタール系、アシルホスフィンオキサイド系等の公
知のものを用いることができる。これらは使用に際し
て、単独若しくは混合物として使用できる。また熱重合
開始剤としては特に限定されないが、過酸化物系重合開
始剤またはアゾ系重合開始剤等の公知のものを用いるこ
とができる。これらは使用に際して、単独若しくは混合
物として用いることができる。重合開始剤の使用は任意
であり、使用する場合の使用量も特に制限はないが、重
合性モノマー100重量部に対して0.01重量部以
上、好ましくは0.5重量部以上であり、かつ10重量
部以下、好ましくは5重量部以下で選ぶことが望まし
い。架橋反応は、セル化あるいはフィルム化を行った
後、開始するのが好ましい。つまりイオン伝導層組成物
を適宜公知の方法により所望個所に塗布または注入した
後架橋することができる。重合体はネットワーク状(3
次元的網目構造)の基本構造をとる。
【0030】光硬化の際の光は特に限定されないが、遠
紫外光、紫外光、可視光等が挙げられる。光源として
は、高圧水銀灯、蛍光灯、キセノン灯等を使用すること
ができる。また光照射量は、特に限定されない。熱硬化
は、通常、前述した熱重合開始剤を用いて行なうことが
できる。熱硬化の反応条件は、用いる重合開始剤により
選択され、特に限定されないが、反応温度は、通常0℃
以上、好ましくは20℃以上であり、かつ130℃以
下、好ましくは80℃以下であることが望ましい。また
硬化時間は、通常、30分間以上、好ましくは1時間以
上であり、かつ100時間以下、好ましくは40時間以
下であることが望ましい。架橋反応を行う場合、前駆体
ポリマーの分子量は、特に制限されないが、流動性が低
い必要があり、分子量100以上、好ましくは300以
上である。
【0031】高分子マトリックスの使用量は、特に制限
されないが、イオン伝導層100重量部に対して1重量
部以上99.95重量部以下、後述する溶媒成分を含ま
ない場合は50重量部以上99.95重量部以下、好ま
しくは70重量部以上99.9重量部以下、さらに好ま
しくは80重量部以上99.5重量部以下であり、溶媒
成分を含む場合は、ゲル化する量を必要とし、溶媒の種
類により使用量は異なり、通常1重量部以上95重量部
以下、好ましくは2重量部以上80重量部以下、さらに
好ましくは3重量部以上70重量部以下である。
【0032】本発明のイオン伝導層に含有させることが
できる成分として、溶媒を挙げることができる。ここで
いう溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いら
れる溶媒であればいずれも用いることができる。具体的
には、水、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラ
ヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタ
ン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカ
ーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、
γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、
プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、
メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソ
ラン、スルホラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチ
レングリコール等が使用可能であって、特に、プロピレ
ンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスル
ホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブ
チロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、
アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルア
セトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシ
ド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェイ
ト、ポリエチレングリコール等が好ましい。溶媒はその
1種を単独で使用でき、また2種以上を混合しても使用
できる。
【0033】溶媒の使用は任意であり、使用する場合の
使用量も特に制限はないが、通常、イオン伝導性フィル
ム100質量部中に通常20質量部以上、好ましくは5
0質量部以上あり、かつ98質量部以下、好ましくは9
5質量部以下の量で含有させることができる。
【0034】イオン伝導層に含有させてもよい他の成分
として紫外線吸収剤がある。用いることができる紫外線
吸収剤としては、ベンゾトリアゾール骨格またはベンゾ
フェノン骨格を有する化合物等が挙げられる。ベンゾト
リアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、下記
の一般式(11)で表される化合物が好適に挙げられ
る。
【0035】
【化11】
【0036】式(11)中、R92は、水素原子、ハロゲ
ン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアル
キル基を示す。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭
素、ヨウ素等、アルキル基としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチ
ル基、シクロヘキシル基等が例示できる。R92の置換位
置としては、ベンゾトリアゾール骨格の4位または5位
であるが、ハロゲン原子およびアルキル基は通常4位に
位置する。R93は、水素原子または炭素数1〜10、好
ましくは1〜6のアルキル基を示す。アルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル
基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等が例
示できる。R94は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3
のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレ
ン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン
基、プロピレン基等が、アルキリデン基としては、エチ
リデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
【0037】一般式(11)で示される化合物として
は、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒド
ロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリ
アゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチ
ル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタン酸、3−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベ
ンゼンエタン酸、3−(5−メチル−2H−ベンゾトリ
アゾール−2−イル)−5−(1−メチルエチル)−4
−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジ
メチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、3−(5−クロロ−2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチル
エチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸オクチ
ルエステル等が挙げられる。ベンゾフェノン骨格を有す
る化合物としては、例えば、下記の一般式(12)〜
(15)で示される化合物が好適に挙げられる。
【0038】
【化12】
【0039】式中、R96およびR97は、同一もしくは異
なる基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10、好
ましくは1〜6のアルキル基またはアルコキシ基を示
す。m’、n’は0≦m’≦3、0≦n’≦3の範囲の
整数を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチ
ル基、シクロヘキシル基等が、アルコキシ基としては、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキ
シ基、ブトキシ基等が例示される。R95は、炭素数1〜
10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリ
デン基を示す。アルキレン基としては、メチレン基、エ
チレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が、アルキ
リデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基等が
挙げられる。
【0040】このようなベンゾフェノン骨格を有する化
合物としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
ェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4−(2
−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベンゼンプ
ロパン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾ
フェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カ
ルボキシベンゾフェノン等が好適に挙げられる。
【0041】紫外線吸収剤の使用は任意であり、また使
用する場合の使用量も特に制限されるものではないが、
使用する場合はイオン伝導層中に0.1重量部以上、好
ましくは1重量部以上であり、かつ20重量部以下、好
ましくは10重量部の範囲で含有させることが望まし
い。また、他の任意成分としては支持電解質、常温溶融
塩、等が挙げられる。本発明において用いられる支持電
解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使
用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。塩類と
しては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム
塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩など
が使用でき、特にLi塩が好ましい。塩類の具体例とし
ては、ハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -
(CF3SO22-、(C25SO22-、PF6 -
AsF6 -、CH3COO-、CH3(C64)SO3 -、お
よび(C25SO23-から選ばれる対アニオンを有
するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
【0042】またハロゲンイオン、SCN-、Cl
4 -、BF4 -、(CF3SO22-、(C25SO22
-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C
64)SO3 -、および(C25SO23-から選ばれ
る対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的に
は、(CH34NBF4、(C254NBF4、(n−
494NBF4、(C254NBr、(C254
ClO4、(n−C494NClO4、CH3(C25
3NBF4、(CH32(C252NBF4、さらには
【0043】
【化13】
【化14】 等が挙げられる。
【0044】酸類も特に限定されず、無機酸、有機酸な
どが使用でき、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スル
ホン酸類、カルボン酸類などが使用できる。アルカリ類
も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
【0045】支持電解質の使用量は任意であるが、一般
的には、支持電解質は溶媒中にその上限値としては20
M以下、好ましくは10M以下、さらに好ましくは5M
以下の値にあり、下限値としては通常0.01M以上、
好ましくは0.05M以上、さらに好ましくは0.1M
以上存在していることが望ましい。またイオン伝導性シ
ート中に、上限値として20質量%以下、好ましくは1
0質量%以下、下限値としては、0.01質量%以上、
好ましくは0.1質量%以上含有することが好ましい。
【0046】また、他の任意成分である常温溶融塩と
は、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温に
おいて溶融している(即ち液状)のイオン対からなる塩
であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越え
る温度で液状であるイオン対からなる塩を示す。常温溶
融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種
以上を混合しても使用することもできる。常温溶融塩の
例としては、例えば、
【0047】
【化15】
【0048】(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましく
は2〜10のアルキル基を示す。X-はハロゲンイオ
ン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、(CF3SO2
2-、(C2 5SO22-、PF6 -、AsF6 -、CH3
COO-、CH3(C64)SO3 -、および(C25SO
23-から選ばれる対アニオンを表す。)
【0049】
【化16】
【0050】(ここで、R1およびR2は各々炭素数1
〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル
基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のア
ラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互
いに同一でも異なっても良い。また、X-は対アニオン
を示し、具体的にはハロゲンイオン、SCN-、ClO4
-、BF4 -、(CF3SO22-、(C25SO2
2-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6
4)SO3 -、(C25SO23-、F(HF)2.3 -など
を示す。)
【0051】
【化17】
【0052】(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々ア
ルキル基(炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6)、
フェニル基などのアリール基(炭素数6〜12)、また
はメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なっ
てもよい。また、X-は対アニオンを示し、具体的には
ハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、(CF3
SO22-、(C25SO22-、PF6 -、As
6 -、CH3COO-、CH3(C64)SO3 -、(C2
5SO23-、F(HF)2.3 -など示す。)
【0053】常温溶融塩の使用量は特に制限はないが、
通常、イオン伝導シート中に0.1質量%以上、好まし
くは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上で
あり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以
下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させる
ことができる。また、他の任意成分としては、導電性基
板間の間隔を維持する機能を有する各種のスペーサーが
挙げられる。係るスペーサーの材質、形状は特に限定さ
れないが、通常ビーズ状が好ましく、イオン電導層にお
いて不活性なものが好ましく、用途によっては、その屈
折率がイオン電導層と実質的に同一かもしくは類似の値
を示すものが選択される。イオン伝導層の形成方法は特
に限定されず、押出し成型、キャスト法によるフィルム
状態で得る方法、あるいは真空注入法、大気注入法等に
よる対向させかつその周辺部がシールされた2枚の導電
基板の間にイオン伝導層の組成物を注入し、所望により
硬化する方法などを用いることができる。
【0054】イオン伝導層の性状は特に制限されるもの
ではないが、通常、室温で1×10 -7S/cm以上、好
ましくは1×10-6S/cm以上、さらに好ましくは1
×10-5S/cm以上のイオン伝導度を示すことが望ま
しい。またイオン伝導層の厚さは、特に限定されない
が、通常、1μm以上、好ましくは10μm以上であ
り、かつ3mm以下、好ましくは1mm以下であること
が望ましい。
【0055】本発明の素子は、前記の通り、少なくとも
一方は透明な2枚の導電基板と、これら基板間に設けた
イオン伝導層とを有していることを特徴とするが、その
基本構成について次に説明する。図1に示す素子は、透
明基板1とその表面に積層させた透明電極層2からなる
透明導電基板と、透明又は不透明な基板5とその表面に
積層させた透明、不透明または反射性電極層4との間
に、イオン伝導層3を挟持させた構造にある。図2は表
示素子や調光ガラスの構成例を示す。透明基板1の一方
の面に透明電極層2を形成した透明導電基板2枚を、両
基板の透明電極層が向き合うよう適宜な間隔で対向さ
せ、この間にイオン伝導層3を挟持させた構造にある。
図3にはエレクトロクロミックミラーの構成例を示す。
透明基板1の一方の面に透明電極層2を形成した透明導
電基板と、透明基板1の一方の面に透明電極層2を、他
方の面に反射層7を形成した反射性導電基板とを、両基
板の透明電極層が向き合うよう、適宜な間隔で対向さ
せ、この間にイオン伝導層3を挟持させた構造にある。
【0056】本発明の素子を構成する各層の形成方法
は、特に限定されるものではなく、前述の製法に従い順
次形成する方法を例示することができる。例えば、図1
に示す構成の素子の場合、透明基板1上に前述の方法に
より透明電極層2を形成し(積層板A)、別に、基板5
上に前述の方法により透明、不透明または反射性電極層
4を形成して積層板を得る(積層板B)。一方、イオン
伝導層は、前述の各成分を混合した後、公知のフィルム
作成方法、たとえば押出し成型、キャスト法などにより
イオン伝導フィルムを得ることができる。続いて、イオ
ン伝導性フィルムをイオン伝導層として積層板Aと積層
板Bの間に挟み、貼合することにより素子を作成するこ
とができる。イオン伝導層の前駆体組成物の硬化方法も
特に限定されないが、光による方法、熱による方法が一
般に採用される。なお、架橋させる場合、架橋工程は、
特に限定されないが、イオン伝導層を実質的に形成した
後あるいは素子を形成した後でどちらでもよい。また、
素子の耐久性を維持する観点から、イオン伝導層を導電
基板に挟持したのち、フィルム周辺部、即ち周縁の端面
部分を公知シール材等に被覆し、外界と遮断する、いわ
ゆるシール操作が通常行われる。
【0057】本発明の素子の代表的な構成例について
は、図1〜3に示されているとおりであるが、本発明の
素子は、これらの構成に何ら限定されるものではなく、
さらに他の構成要件を具備してもよい。他の構成要件と
しては、例えば、紫外線反射層や紫外線吸収層などの紫
外線カット層、ミラーの場合はミラー層全体もしくは各
膜層の表面保護を目的とするオーバーコート層などが挙
げられ、前記紫外線カット層としては、透明基板1の外
界側もしくは透明電極層側、オーバーコート層として
は、透明基板1の外界側や反射層7の外界側などに設置
することが好適な態様として挙げられる。また、本エレ
クトロクロミック素子を他の部材と組み合わせて用いる
際に公的な、透明基板の最外側面に粘着材層や接着層を
設けてもよい。
【0058】本発明においては、複数の本エレクトロク
ロミック素子を組み合わせて使用することができ、その
用途とししては図4および図5に例示されているような
エレクトロクロミック表示パネルが挙げられる。図4お
よび図5に例示される形態においては、各々のエレクト
ロクロミック素子の着消色状態を公知の方法により独立
して制御することにより種々の情報を表示することが可
能となる。本発明の素子は、表示素子、調光ガラス、自
動車等の防眩ミラー、あるいは屋内で使用される装飾用
ミラーなどのエレクトロクロミックミラーなどに好適に
使用することができる。
【0059】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらになんら制限されるものではな
い。
【0060】実施例1 ポリエチレンオキシド(分子量100万)4g、プロピ
レンカーボネート2g、1,1’−ジヘプチル−4,
4’−ビピリジニウムジテトラフルオロボレート200
mg、およびフェロセン70mgを混合し、アセトンに
て希釈した後、加熱して均一溶液を得た。この溶液をI
TO被覆されたポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルム(厚さ:75μm)基板上にキャストし、スピ
ンコーターにて塗布し、イオン伝導フィルムを得た。さ
らに対極にITO被覆されたPETフィルム基板を張り
合わせ、エレクトロクロミック素子(調光ガラス)を得
た。このようにして図1に示す構成のフィルムタイプの
エレクトロクロミック調光素子を得、続いて周辺部に接
着剤を塗布しシールした。この調光素子は組み立てた時
点では着色しておらず、透過率は約87%であった。ま
た、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロ
クロミック特性を示した。すなわち、1.1Vの電圧を
印可すると着色し、633nmの波長の光の透過率は約
25%となった。また5分毎に着消色を繰り返したが、
約1000時間経過後も消え残りなどが発生することは
なかった。
【0061】実施例2 ポリエチレンオキシド(分子量500)1g、ポリエチ
レンオキシド(分子量2,000)2g、ポリエチレン
オキシド(分子量10,000)1g、1,1’−ジヘ
プチル−4,4’−ビピリジニウムジテトラフルオロボ
レート200mg、およびフェロセン70mgを混合
し、メタノールにて希釈した後、加熱して均一溶液を得
た。この溶液をITO被覆されたPETフィルム(厚
さ:75μm)基板上にキャストし、スピンコーターに
て塗布し、イオン伝導フィルムを得た。さらに対極にI
TO被覆されたPETフィルム基板を張り合わせ、フィ
ルムタイプのエレクトロクロミック素子を得た。続いて
周辺部に接着剤を塗布しシールした。このエレクトロク
ロミック素子は組み立てた時点では着色しておらず、透
過率は約87%であった。また、電圧を印可すると応答
性に優れ、良好なエレクトロクロミック特性を示した。
すなわち、1.1Vの電圧を印可すると着色し、633
nmの波長の光の透過率は約25%となった。また20
分毎に着消色を繰り返したが、約1000時間経過後も
消え残りなどが発生することはなかった。
【0062】実施例3 ポリエチレンオキシドとポリエチレンオキシドを分岐鎖
に有するポリプロピレンオキシドの共重合物(ダイソー
(株)製、製品名P(EO/EM)、分子量200万)
4g、プロピレンカーボネート1g、1,1’−ジヘプ
チル−4,4’−ビピリジニウムジテトラフルオロボレ
ート200mg、およびフェロセン70mgを混合し、
アセトンにて希釈した後、加熱して均一溶液を得た。こ
の溶液をITO被覆されたPETフィルム(厚さ:75
μm)基板上にキャストし、スピンコーターにて塗布
し、イオン伝導フィルムを得た。さらに対極にITO被
覆されたPETフィルム基板を張り合わせ、フィルムタ
イプのエレクトロクロミック素子を得た。続いて周辺部
に接着剤を塗布しシールした。このエレクトロクロミッ
ク素子は組み立てた時点では着色しておらず、透過率は
約87%であった。また、電圧を印可すると応答性に優
れ、良好なエレクトロクロミック特性を示した。すなわ
ち、1.1Vの電圧を印可すると着色し、633nmの
波長光の透過率は約25%となった。また5分毎に着消
色を繰り返したが、約1000時間経過後も消え残りな
どが発生することはなかった。
【0063】実施例4 アリル基含有のポリエチレンオキシドとポリエチレンオ
キシドを分岐鎖に有するポリプロピレンオキシドの共重
合物(ダイソー(株)製、製品名P(EO/EM/AG
E)、分子量100万)0.3g、プロピレンカーボネ
ート10g、1,1’−ジフェニル−4,4’−ビピリ
ジニウムジテトラフルオロボレート200mg、および
フェロセン77mgを混合し、アセトニトリルにて希釈
した後、加熱して均一溶液を得た。この溶液をITO被
覆されたPETフィルム(厚さ:75μm)基板上にキ
ャストし、スピンコーターにて塗布し、イオン伝導層を
得た。対極にITO被覆されたPETフィルム基板を張
り合わせ、光照射により架橋反応を行い、フィルムタイ
プのエレクトロクロミック素子を得た。続いて周辺部に
接着剤を塗布しシールした。このエレクトロクロミック
素子は組み立てた時点では着色しておらず、透過率は約
87%であった。また、電圧を印可すると応答性に優
れ、良好なエレクトロクロミック特性を示した。すなわ
ち、1.1Vの電圧を印可すると着色し、633nmの
波長光の透過率は約25%となった。また5分毎に着消
色を繰り返したが、約1000時間経過後も消え残りな
どが発生することはなかった。
【0064】
【発明の効果】本発明のエレクトロクロミック素子は、
1V程度の電圧で良好に着色し、応答性に優れ、繰り返
し駆動耐性にも優れたものである。また、本発明のエレ
クトロクロミック素子は、全体として柔軟性を有するた
め、容易に他の部材と組み合わせることが可能である。
また、本発明のエレクトロクロミック素子は、イオン伝
導性フィルムを用いることにより、製造工程も容易であ
るなどの工業的なメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトロクロミック素子の構成の一
例を示す断面図である。
【図2】エレクトロクロミック調光ガラスの構成の一例
を示す断面図である。
【図3】エレクトロクロミックミラーの構成の一例を示
す断面図である。
【図4】エレクトロクロミック表示パネルの無表示状態
を示す平面図である。
【図5】エレクトロクロミック表示パネルの表示状態を
示す平面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 透明電極層 3 イオン伝導層 4 透明、不透明または反射性電極層 5 透明又は不透明な基板 6 シール材 7 反射層 8 電極帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 貴哉 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 錦谷 禎範 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 2K001 AA01 AA08 AA10 BA18 CA02 CA08 CA19 CA20 CA35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明である2枚の導電
    性基板の間に、還元性エレクトロクロミック特性を有す
    る有機化合物および酸化性エレクトロクロミック特性を
    有する有機化合物を含有するイオン伝導層が狭持されて
    いるエレクトロクロミック素子であり、前記の透明の導
    電性基板が導電性フィルムであることを特徴とするエレ
    クトロクロミック素子。
  2. 【請求項2】 還元性エレクトロクロミック特性を有す
    る有機化合物が、下記一般式(1)で表されるビピリジ
    ニウム誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の
    エレクトロクロミック素子。 【化1】 (式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
    それぞれ個別に、アルキル基、アルケニル基、アリール
    基、またはアラルキル基を表す。X-およびY-は同一で
    も異なっていてもよく、それぞれ個別に、ハロゲンアニ
    オン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、CH
    3(C64)SO3 -、イミドアニオン、およびメサイド
    アニオンから選ばれる対アニオンを示す。)
  3. 【請求項3】 酸化性エレクトロクロミック特性を有す
    る有機化合物が、下記一般式(2)で表されるフェロセ
    ン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のエレ
    クトロクロミック素子。 【化2】 (式中、R3およびR4は同一でも異なっていてもよく、
    それぞれ個別に、炭素数1〜10のアルキル基、アルケ
    ニル基およびアリール基から選ばれる炭化水素基を示
    し、R3またはR4がアリール基である場合、母体環はシ
    クロペンタジエニル環と結合し環を形成してもよく、m
    は0≦m≦5の範囲の整数を表し、nは0≦n≦5の範
    囲の整数を表す。)
  4. 【請求項4】 イオン伝導層が、さらに高分子マトリッ
    クスを含有することを特徴とする請求項1に記載のエレ
    クトロクロミック素子。
  5. 【請求項5】 高分子マトリックスがポリエーテル系高
    分子化合物であることを特徴とする請求項4に記載のエ
    レクトロクロミック素子。
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