JP2000057844A - 高分子固体電解質 - Google Patents

高分子固体電解質

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JP2000057844A
JP2000057844A JP10221903A JP22190398A JP2000057844A JP 2000057844 A JP2000057844 A JP 2000057844A JP 10221903 A JP10221903 A JP 10221903A JP 22190398 A JP22190398 A JP 22190398A JP 2000057844 A JP2000057844 A JP 2000057844A
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electrochromic
solid electrolyte
transparent
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JP10221903A
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English (en)
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Yoshinori Nishikitani
禎範 錦谷
Masaaki Kobayashi
正明 小林
Hiroshi Imafuku
浩 今福
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線吸収能を備えた高分子固体電解質物質
の提供。 【解決手段】 エチレン性二重結合を含有する重合性紫
外線吸収性化合物と、重合性モノマーおよび支持電解質
物質を含有する高分子固体電解質前駆体成分の両者を含
有する組成物を硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子、調光ガ
ラス、自動車等の防眩ミラーなどとして、あるいは屋内
装飾用のエレクトロクロミックミラーとして利用可能な
エレクトロクロミック素子と、この素子に必須の電解質
層に使用される高分子固体電解質物質に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】エレクト
ロクロミック素子は、その発色層が紫外線によって劣化
してしまうという欠点を抱えている。この紫外線劣化
は、素子に紫外線吸収層を設けることで抑制することが
できるが、紫外線吸収層の設置は、素子を製造する工程
数を増加させるため、不利を免れない。本発明の目的
は、エレクトロクロミック素子の電解質層に使用するこ
とができ、しかも紫外線吸収能を有する高分子固体電解
質物質を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高分子固体
電解質物質は、(A)エチレン性二重結合を含有する重合
性紫外線吸収性化合物と、(B)重合性モノマー及び支持
電解質物質を含有する高分子固体電解質前駆体成分とを
含有する組成物を硬化させてなるものである。本発明で
言う高分子固体電解質物質には、常温で固体の高分子電
解質物質が包含されるほか、常温で実質的に流動性を示
さないゲル状の高分子電解質物質が包含される。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明でいうエチレン性二重結合
を含有する重合性紫外線吸収性化合物(以下、「成分
(A)」という。)とは、紫外線吸収性化合物にエチレ
ン性二重結合を有する重合性基を導入した化合物を意味
する。このような重合性基としては、例えば、アクリロ
イル基、メタクリロイル基が典型的なものとして挙げら
れる。本発明でいう成分(A)としては、下記の一般式
(1)および(2)で表されるようなベンゾトリアゾー
ル骨格を有する化合物、ならびに下記の一般式(3)お
よび(4)で表されるようなベンゾフェノン骨格を有す
る化合物が挙げられる。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】 上記の一般式(1)〜(4)において、R1およびR5
水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10、好まし
くは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が例示でき、アルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−
プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル
基等が例示できる。R1またはR5の置換位置としては、
ベンゾトリアゾール骨格の4位または5位であるが、ハ
ロゲン原子およびアルキル基は通常4位に位置する。R
2およびR6は水素原子または炭素数1〜10、好ましく
は1〜6のアルキル基を示す。アルキル基としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチ
ル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等が例示でき
る。R3、R7、R18またはR21は炭素数1〜10のアル
キレン基を示す。好ましいアルキレン基としてはエチレ
ン基やトリメチレン基が挙げられる。R12およびR14
共有結合または炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
好ましいアルキレン基としてはエチレン基やトリメチレ
ン基が挙げられる。R4、R9、R13、R15、R20または
23は水素またはメチル基を表す。R8、R19またはR
22は炭素数1〜10のアルキレン基を示す。アルキレン
基としてはメチレン基などが挙げられる。a、b、e、
f、g、h、kおよびlは0または1であり、1≦a+
b≦2、1≦e+f≦2、1≦g+h≦2および1≦k
+l≦2をそれぞれ満たす。またc、d、iおよびjは
0≦c≦3、0≦d≦3、0≦i≦3および0≦j≦3
をそれぞれ満たす。本発明でいう成分(A)の具体例と
しては、
【化5】
【化6】 などが好適なものとして挙げられる。もちろん、これら
を2種以上併用することもできる。成分(A)の使用量
は、特に限定されないが、成分(A)と後述する成分
(B)との合計量に対し、通常50質量%以下、典型的
には0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜15質
量%、さらに好ましくは1〜10質量%程度の範囲にあ
る。そして、本発明の高分子固体電解質物質に占める成
分(A)由来の構造単位は、通常50質量%以下、典型
的には0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜15
質量%、さらに好ましくは1〜10質量%程度の範囲に
ある。
【0005】本発明の成分(B)、すなわち、高分子固
体電解質前駆体成分は、重合性モノマーと支持電解質物
質を含有する。当該成分はそれ自体を固化させた場合、
室温で通常、1×10-7S/cm以上の、好ましくは1×
10-6S/cm以上、さらに好ましくは1×10-5S/
cm以上のイオン伝導度を示す。成分(B)の構成成分
の一つである重合性モノマーには、分子の両末端にアク
リロイル基またはメタクリロイル基を有するポリウレタ
ンモノマーが使用できるほか、アクリロイル変性または
メタクリロイル変性ポリアルキレンオキシドが使用でき
る。なかでも、アクリロイル変性またはメタクリロイル
変性ポリアルキレンオキシドの使用が推奨される。
【0006】上記のポリウレタンモノマーは、下記の一
般式(5)で表される。
【化7】 (式中、R24およびR25は同一または異なる基であっ
て、一般式(6)〜(8)で表される基から選ばれる基
を示す。R26およびR27は同一または異なる基であっ
て、炭素数1〜20、好ましくは2〜12の2価炭化水
素残基を示す。Yはポリエーテル単位、ポリエステル単
位、ポリカーボネート単位またはこれらの混合単位を示
す。またmは1〜100、好ましくは1〜50、さらに
好ましくは1〜20の範囲の整数である。)
【化8】 一般式(6)〜(8)において、R28〜R30は同一また
は異なる基であって、水素原子または炭素数1〜3のア
ルキル基を示す。またR31は炭素数1〜20、好ましく
は炭素数2〜8の2〜4価有機残基を示す。この有機残
基の具体例としては、メチレン基、テトラメチレン基、 などのほか、下記一般式(9)で示されるアルキレン基
が挙げられる。このアルキレン基は、その水素原子の一
部が炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、
炭素数6〜12のアリールオキシ基などの含酸素炭化水
素基で置換されよい。
【化9】 一般式(9)において、R32は炭素数1〜3のアルキル
基または水素を示し、nは0〜6の整数である。nが2
以上の場合、R32は同一でも異なっても良い。
【0007】一般式(5)のR26及びR27で示される2
価炭化水素残基としては、いずれも2価の鎖状炭化水素
基、芳香族炭化水素基、脂環炭化水素基などが挙げら
れ、鎖状炭化水素基としては、先の一般式(9)で表さ
れるアルキレン基等を挙げることができる。また、2価
の芳香族炭化水素基および脂環炭化水素基としては、下
記の一般式(10)〜(12)で表される炭化水素基等
が挙げられる。
【化10】 一般式(8)〜(12)において、R33およびR34は同
一または異なる基であって、フェニレン基、置換フェニ
レン基(アルキル置換フェニレン基等)、シクロアルキ
レン基、置換シクロアルキレン基(アルキル置換シクロ
アルキレン基等)を示す。R35〜R38は同一または異な
る基であって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル
基を示す。また、oは1〜5の整数である。一般式(1
0)〜(12)の具体例としては、下記の化学式(1
3)〜(19)で表される炭化水素基が挙げられる。
【化11】
【0008】一般式(5)におけるYはポリエーテル単
位、ポリエステル単位およびポリカーボネート単位また
はこれらの混合単位を示すが、このポリエーテル単位、
ポリエステル単位、ポリカーボネート単位及びこれらの
混合単位としては、それぞれ下記の一般式(a)〜
(d)で示される単位を挙げることができる。
【化12】 一般式(a)〜(d)において、R39〜R44は同一また
は異なる基であって、炭素数1〜20、好ましくは2〜
12の2価の炭化水素残基を示す。R39〜R44として
は、直鎖または分岐のアルキレン基などが好ましく、具
体的には、R41としてはメチレン基、エチレン基、トリ
メチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘ
キサメチレン基、プロピレン基等が好ましい。また、R
39〜R40およびR42〜R44としてはエチレン基、プロピ
レン基などが好ましい。また、pは2〜300、好まし
くは10〜200の整数である。また、qは1〜30
0、好ましくは2〜200の整数、rは1〜200、好
ましくは2〜100の整数、sは1〜200、好ましく
は2〜100の整数、tは1〜300、好ましくは10
〜200の整数である。また、一般式(a)〜(d)に
おいて、各単位は同一でも、異なる単位の共重合でも良
い。即ち、複数のR39〜R44が存在する場合、R39
志、R40同志、R 41同志、R42同志、R43同志およびR
44同志は同一でも異なっても良い。前記共重合体の例と
してはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共
重合単位などが特に好適な例として挙げられる。
【0009】一般式(5)で表されるポリウレタンモノ
マーの分子量は、通常、重量平均分子量で2,500〜
30,000、好ましくは3,000〜20,000が
望ましい。また、ポリウレタンモノマー1分子中に含ま
れる重合官能基の数は、好ましくは2〜6、さらに好ま
しくは2〜4の範囲にある。本発明で使用するポリウレ
タンモノマーは、公知の方法により容易に製造すること
ができ、その製法は特に限定されるものではない。
【0010】本発明の成分(B)に使用できる重合性モ
ノマーの他の一つは、アクリロイル変性またはメタクリ
ロイル変性ポリアルキレンオキシドである(以下、この
両者は総称して変性ポリアルキレンオキシドと言う)。
本発明の変性ポリアルキレンオキシドには、単官能変性
ポリアルキレンオキシド、2官能変性ポリアルキレンオ
キシド、3官能以上の多官能変性ポリアルキレンオキシ
ドが包含される。これらの各変性ポリアルキレンオキシ
ドは、単独で用いても混合して用いてもよい。混合使用
する場合は、例えば、単官能変性ポリアルキレンオキシ
ドを用い、これに2官能変性ポリアルキレンオキシドお
よび/または多官能変性ポリアルキレンオキシドを混合
することが好ましく、特に、単官能変性ポリアルキレン
オキシドと2官能変性ポリアルキレンオキシドを混合使
用することが好ましい。混合使用する場合の混合比率は
特に制限されないが、単官能変性ポリアルキレンオキシ
ド100重量部に対して、2官能変性ポリアルキレンオ
キシドおよび/または多官能変性ポリアルキレンオキシ
ドを、合計量で0.1〜20重量部、好ましくは0.5
〜10重量部を混合使用することが望ましい。
【0011】単官能変性ポリアルキレンオキシドは、下
記一般式(20)で表される。
【化13】 (式中、R45、R46、R47およびR48は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、uは1以上の整数である。) 一般式(20)において、R45、R46、R47およびR48
は、それぞれ個別に水素または1〜5の炭素原子を有す
るアルキル基を示すが、そのアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n
−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げら
れる。特に、R45は水素、メチル基、R 46は水素、メチ
ル基、R47は水素、メチル基、R48は水素、メチル基、
エチル基であることがそれぞれ好ましい。一般式(2
0)のuは、1以上の整数、通常1≦u≦100、好ま
しくは2≦u≦50、さらに好ましくは2≦u≦30の
範囲の整数である。一般式(20)で表される化合物の
具体例としては、オキシアルキレンユニットを1〜10
0、好ましくは2〜50、さらに好ましくは1〜20の
範囲で持つメトキシポリエチレングリコールメタクリレ
ート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレー
ト、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、
エトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、メ
トキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシ
ポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピ
レングリコールアクリレート、またはこれらの混合物等
を挙げることができる。一般式(20)のuが2以上の
場合、オキシアルキレンユニットは互いに異なるいわゆ
る共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよ
く、その具体例としては、例えば、オキシエチレンユニ
ットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持ち、か
つオキシプロピレンユニットを1〜50、好ましくは1
〜20の範囲で持つところの、メトキシポリ(エチレン
・プロピレン)グリコールメタクリレート、エトキシポ
リ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレー
ト、メトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコール
アクリレート、エトキシポリ(エチレン・プロピレン)
グリコールアクリレート、またはこれらの混合物などが
挙げられる。
【0012】2官能変性ポリアルキレンオキシドとして
は一般式(21)で表されるものが、3官能以上の多官
能変性ポリアルキレンオキシドとしては一般式(22)
で表されるものが挙げられる。
【化14】 (式中、R49、R50、R51およびR52は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、vは1以上の整数である。)
【化15】 (式中、R53、R54およびR55は、それぞれ個別に水素
または1〜5の炭素原子を有するアルキル基であり、w
は1以上の整数であり、xは2〜4の整数であり、Lは
x価の連結基を示す。) 前記一般式(21)において、式中のR49、R50、R51
およびR52は、それぞれ個別に水素または1〜5の炭素
原子を有するアルキル基を示すが、このアルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロ
ピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基
等が挙げられる。特にR49は水素、メチル基、R50は水
素、メチル基、R51は水素、メチル基、R52は水素、メ
チル基であることがそれぞれ好ましい。また、一般式
(21)中のvは、1以上の整数、通常1≦v≦10
0、好ましくは2≦v≦50、さらに好ましくは2≦v
≦30の範囲の整数であるが、そうした化合物の具体例
は、オキシアルキレンユニットを1〜100、好ましく
は2〜50、さらに好ましくは1〜20の範囲で持つポ
リエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレ
ングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタク
リレート、またはこれらの混合物等を挙げることができ
る。また、vが2以上の場合、オキシアルキレンユニッ
トが互いに異なるいわゆる共重合オキシアルキレンユニ
ットを持つものでもよく、その例としては、例えば、オ
キシエチレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20
の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜5
0、好ましくは1〜20の範囲で持つところの、ポリ
(エチレン・プロピレン)グリコールジメタクリレー
ト、ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールジアクリ
レート、またはこれらの混合物などが挙げられる。一般
式(22)におけるR53、R54およびR55は、それぞれ
個別に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基
であるが、このアルキル基としては、メチル基、エチル
基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、
t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。特にR
53、R54およびR55は水素、メチル基が好ましい。ま
た、式中のwは1以上の整数、通常1≦w≦100、好
ましくは2≦w≦50さらに好ましくは2≦w≦30の
範囲の整数を示すものである。xは連結基Lの連結数で
あり、2≦x≦4の整数である。連結基Lとしては、通
常、炭素数1〜30、好ましくは1〜20の二価、三価
または四価の炭化水素基である。二価炭化水素基として
は、アルキレン基、アリーレン基、アリールアルキレン
基、アルキルアリーレン基、またはこれらを基本骨格と
して有する炭化水素基などが挙げられ、具体的にはメチ
レン基、エチレン基、 などが挙げられる。また、三価の炭化水素基としては、
アルキルトリル基、アリールトリル基、アリールアルキ
ルトリル基、アルキルアリールトリル基、またはこれら
を基本骨格として有する炭化水素基などが挙げられ、具
体的には などが挙げられる。また、四価の炭化水素基としては、
アルキルテトラリル基、アリールテトラリル基、アリー
ルアルキルテトラリル基、アルキルアリールテトラリル
基、またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基な
どが挙げられ、具体的には 等が挙げられる。
【0013】一般式(21)または一般式(22)で示
される化合物の具体例としては、オキシアルキレンユニ
ットを1〜100、好ましくは2〜50、さらに好まし
くは1〜20の範囲で持つトリメチロールプロパントリ
(ポリエチレングリコールアクリレート)、トリメチロ
ールプロパントリ(ポリエチレングリコールメタクリレ
ート)、トリメチロールプロパントリ(ポリプロピレン
グリコールアクリレート)、トリメチロールプロパント
リ(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、テト
ラメチロールメタンテトラ(ポリエチレングリコールア
クリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリエ
チレングリコールメタクリレート)、テトラメチロール
メタンテトラ(ポリプロピレングリコールアクリレー
ト)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリプロピレン
グリコールメタクリレート)、2,2−ビス[4−(ア
クリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2
−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリ
イソプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス
[4−(メタクリロキシポリイソプロポキシ)フェニ
ル]プロパン、またはこれらの混合物等を挙げることが
できる。また、一般式(22)においてwが2以上の場
合、オキシアルキレンユニットが互いに異なるいわゆる
共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよく、
例えば、オキシエチレンユニットを1〜50、好ましく
は1〜20の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニッ
トを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持つところ
の、トリメチロールプロパントリ(ポリ(エチレン・プ
ロピレン)グリコールアクリレート)、トリメチロール
プロパントリ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコー
ルメタクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ
(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールアクリレー
ト)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリ(エチレン
・プロピレン)グリコールメタクリレート)、またはこ
れらの混合物などがその具体例である。前記一般式(2
1)で表される2官能変性ポリアルキレンオキシドと、
前記一般式(22)で表される3官能以上の多官能変性
ポリアルキレンオキシドは併用可能である。併用する場
合、一般式(21)で表される化合物/一般式(22)
で表される化合物の重量比は、通常0.01/99.9
〜99.9/0.01、好ましくは1/99〜99/
1、さらに好ましくは20/80〜80/20の範囲で
選ぶことができる。
【0014】上記した重合性モノマーと共に本発明の成
分(B)を構成する支持電解質物質には、塩類、酸類、
アルカリ類等が使用される。このような塩類としては特
に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4
級アンモニウム塩などが挙げられる。塩類の具体例とし
てはLiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF
6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、Na
SCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KS
CN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩;
(CH34NBF4、(C254NBF4、(n−C4
94NBF4、(C254NBr、(C254NCl
4、(n−C494NClO4等の4級アンモニウム
塩またはこれらの混合物が好適なものとして挙げられ
る。支持電解質物質としての酸類は特に限定されず、無
機酸、有機酸などが、具体的には硫酸、塩酸、リン酸
類、スルホン酸類、カルボン酸類などがいずれも使用可
能である。支持電解質物質としてのアルカリ類も特に限
定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
リチウムなどがいずれも使用可能である。
【0015】本発明の成分(B)、すなわち、高分子固
体電解質前駆体成分には、本発明の目的を損なわない範
囲で任意成分を必要に応じて加えれることができる。そ
うした任意成分としては、例えば光重合開始剤や熱重合
開始剤などの重合開始剤;架橋剤;ポリマー;ゲル化
剤;他の高分子固体電解質;エレクトロクロミック物質
(後述);電子供与性化合物(後述)などが挙げられ
る。光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−
2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメ
トキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−
(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−
1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−
1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オ
ン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニ
ル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1
−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプ
ロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパ
ン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホス
フィンオキシド等を例示することができる。もちろん、
これらは使用に際して、単独若しくは混合物として使用
できる。光重合開始剤の配合割合は、成分(B)中の重
合性モノマー100重量部に対して0.1〜10重量
部、好ましくは0.1〜5重量部が望ましい。熱重合開
始剤の配合割合は、成分(B)中の重合性モノマー10
0重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.
1〜5重量部が望ましい。ポリマーとしては、例えばポ
リアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポ
リ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリウレタ
ン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミ
ド、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリエステル、
ポリプロピレンオキサイド、ナフィオンなどが挙げられ
る。ゲル化剤としては、オキシエチレンメタクリレー
ト、オキシエチレンアクリレート、ウレタンアクリレー
ト、アクリルアミド、寒天、などが挙げられる。他の高
分子固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド、オ
キシエチレンメタクリレートのポリマー、ナフィオン、
ポリスチレンスルホン酸、Li3N、Na-β-Al
23、Sn(HPO42・H2Oなどが挙げることがで
き、特にオキシアルキレン(メタ)アクリレート系化合
物またはウレタンアクリレート系化合物を重合すること
によって得られる高分子化合物等を用いた高分子固体電
解質が好ましい。
【0016】本発明の高分子固体電解質物質は、成分
(A)および成分(B)を含有する組成物を、溶媒の存
在下または不存在下、一般には溶媒の存在下に硬化させ
ることによって得ることができる。ここで硬化とは、化
学反応により生ずる粘度上昇をいう。このような化学反
応としては熱重合や光重合等の重合、重縮合、架橋など
が挙げられ、特に熱重合や光重合等の重合が好適に用い
られる。前記の反応溶媒には任意の溶媒が使用可能であ
って、例えば、メタノール、エタノール、プロピレンカ
ーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキ
シド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロ
ラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメチル
ホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラ
ン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、グルタロニ
トリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジ
メチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルス
ルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホ
スフェイト、ポリエチレングリコール等の有機極性溶媒
が使用できる。特に、プロピレンカーボネート、エチレ
ンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエ
タン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラ
ン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシ
エタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキ
シアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロ
リジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スル
ホラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチレングリコ
ール等の有機極性溶媒が好ましい。これらは、単独で使
用しても、混合物として使用しても差し支えない。溶媒
の使用量は任意に選べるが、通常は前記重合性モノマー
100重量部に対して50〜1200重量部、好ましく
は100〜900重量部、さらに好ましくは200〜5
00重量部の範囲で選ばれる。成分(B)に配合する重
合性モノマーとしてポリウレタンモノマーを用いた場
合、溶媒の添加量はポリウレタンモノマー100重量部
に対して通常100〜1200重量部、好ましくは20
0〜900重量部の範囲で選ばれる。また、重合性モノ
マーとして変性ポリアルキレンオキシドを用いる場合
は、当該モノマー100重量部に対して通常50〜80
0重量部、好ましくは100〜500重量部の範囲が選
ばれる。硬化反応に供する組成物に配合する支持電解質
物質の量は、通常、使用溶媒量の0.1〜30重量%、
好ましくは1〜20重量%の範囲で選ばれる。なお、重
合性モノマーとして変性ポリアルキレンオキシドを用い
る場合にあっては、当該モノマーと溶媒の重量和に対し
て、支持電解質物質を通常1〜30重量%、好ましくは
3〜20重量%の範囲で使用するのを可とする。
【0017】光重合による硬化を行う場合は成分(B)
に光重合開始剤を加えることが好ましい。光重合を行う
ための光の種類や光源は特に制限はないが、光の種類と
しては遠紫外光、紫外光、可視光等が挙げられ、光源と
しては高圧水銀灯、蛍光灯、キセノン灯、ブラックライ
ト等が挙げられる。また光照射量も特に制限はないが、
通常100〜50000mJ/cm2、好ましくは10
00〜20000mJ/cm2程度であることが望まし
い。熱重合による硬化を行う場合は成分(B)に熱重合
開始剤を加えることが好ましい。熱重合を行うための条
件は、特に限定されないが、通常0〜130℃、好まし
くは20〜80℃が望ましい。また、重合時間は、通常
10分〜100時間、好ましくは30分〜40時間が望
ましい。なお、反応の進行は、IR、NMR等二重結合
の減少を検出することにより容易に確認できる。硬化に
より得られる高分子固体電解質の性状は特に制限される
ものではないが、通常室温で1×10-7S/cm以上、
好ましくは1×10-6S/cm以上、さらに好ましくは
1×10-5S/cm以上のイオン伝導度を示すことが望
ましい。
【0018】本発明に係るエレクトロクロミック素子
は、少なくとも一方が透明である2枚の導電基板間に、
本発明の高分子固体電解質物質からなる層とエレクトロ
クロミック層を設けるか、あるいは本発明の高分子固体
電解質物質とエレクトロクロミック物質(発・消色剤)
を含有する単一層を設けた構成にある。導電基板は電極
としての機能を有する基板であればどのようなものでも
よく、具体的には、基板全体を導電性材料で形成させた
ものや、導電性を持たない基板に電極層を配設されたも
のがある。エレクトロクロミック素子に使用される導電
基板の少なくとも一方は、透明導電基板であり、他方は
透明であっても、不透明であっても、光を反射できる反
射性導電基板であってもよい。2枚の導電基板をいずれ
も透明導電基板としたものは、表示素子や調光ガラスに
適し、1枚を透明導電基板、もう1枚を不透明導電基板
としたものは表示素子に適し、また、1枚を透明導電基
板、もう1枚を反射性導電基板としたものはエレクトロ
クロミックミラーに適している。これらの透明電導基板
及び反射性導電基板は両者とも、その表面が平面でも曲
面でもよく、また、応力によって変形するものであって
もよい。なお、ここでいう基板は常温において平滑な面
を有するものである。透明導電基板は、通常、透明基板
上に透明電極層を積層させた形態にある。ここで、透明
とは可視光領域において10〜100%の光透過率を有
することを意味する。不透明導電基板としては、(1)
金属板、(2)導電性を持たない不透明基板(透明でな
い各種のプラスチック、ガラス、木材、石材等が使用可
能)の一方の面に電極層を積層させた積層体などが例示
できる。一方、反射性導電基板の形態としては、(1)
導電性を持たない透明又は不透明な基板上に反射性電極
層を積層させた積層体、(2)導電性を持たない透明基
板の一方の面に透明電極層を、他方の面に反射層を積層
させた積層体、(3)導電性を持たない透明基板上に反
射層を、その反射層上に透明電極層を積層させた積層
体、(4)反射板を基板とし、これに透明電極層を積層
させた積層体、および(5)基板自体が光反射層と電極
層の両方の機能を備えた板状体などが例示できる。透明
基板の素材は特に限定されず、例えば、無色あるいは有
色ガラス、強化ガラス等が用いられる他、無色あるいは
有色の透明性樹脂でもよい。具体的には、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミ
ド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエ
ーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカー
ボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポ
リスチレン等が挙げられる。
【0019】前記透明電極層としては、例えば、金、
銀、クロム、銅、タングステン等の金属薄膜、金属酸化
物からなる導電膜等が使用できる。前記金属酸化物とし
ては、例えば、ITO(In23−SnO2)、酸化
錫、酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム等が挙げられ
る。透明電極層の膜厚は、通常100〜5000オング
ストローム、好ましくは500〜3000オングストロ
ームの範囲にある。また、その表面抵抗(抵抗率)は通
常0.5〜500Ω/cm2、好ましくは1〜50Ω/
cm2の範囲にある。透明電極層の形成方法には、電極
を構成する金属および金属酸化物等の種類により、公知
の方法が適宜採用できるが、通常は真空蒸着法、イオン
プレーティング法、スパッタリング法、あるいはゾルゲ
ル法等が選ばれる。この際、電極層の膜厚は電極層の透
明性が損なわれない範囲で適宜選択される。また、透明
電極層には、酸化還元能の付与、導電性の付与、電気二
重層容量の付与の目的で、部分的に不透明な電極活性物
質を付与することもできるが、その付与量は電極層全体
の透明性が損なわれない範囲で選ばれる。不透明な電極
活性物質としては、例えば、銅、銀、金、白金、鉄、タ
ングステン、チタン、リチウム等の金属;ポリアニリ
ン、ポリチオフェン、ポリピロール、フタロシアニンな
どの酸化還元能を有する有機物;活性炭、グラファイト
などの炭素材、V25、MnO2、NiO、Ir23
どの金属酸化物またはこれらの混合物を用いることがで
きる。また、これらを電極層に結着させるために、さら
に各種樹脂を用いてもよい。この不透明な電極活性物質
等を電極に付与するには、例えば、ITO透明電極上
に、活性炭素繊維、グラファイト、アクリル樹脂等から
なる組成物をストライプ状またはドット状等の微細パタ
ーンに形成したり、金(Au)薄膜状上に、V25、ア
セチレンブラック、ブチルゴム等からなる組成物をメッ
シュ状に形成したりすることができる。
【0020】反射性電極層としては、電気化学的に安定
で鏡面が得られるものであれば特に限定されず、例え
ば、金、白金、タングステン、タンタル、レニウム、オ
スミウム、イリジウム、銀、ニッケル、パラジウム等の
金属膜や、白金−パラジウム、白金−ロジウム、ステン
レス等の合金膜などが使用可能である。この際電極層の
反射性および鏡面性を満たす範囲で、反射性電極層を基
板上または透明基板上に設置する必要がある。反射性電
極層の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜
用いることができ、例えば、真空蒸着法、イオンプレー
ティング法、スパッタリング法などが採用可能である。
反射性電極層を設ける基板は透明または不透明であって
もよく、具体的には前記透明基板として例示されたもの
のほか、各種プラスチック、樹脂、ガラス、木材、石材
等が使用できる。前記反射板または反射層としては、鏡
面が得られるのものであれば、どのような材料でも特に
限定されないが、例えば、銀、クロム、アルミニウム、
ステンレス等があげられる。基板自体が反射層と電極機
能を兼ね備える前記板状体としては、前記反射性電極層
として例示したもののうち、自己支持性があるものが挙
げられる。
【0021】本発明のエレクトロクロミック素子には、
当業界で公知のエレクトロクロミック物質がいずれも使
用でき、例えば、WO3等で代表される無機エレクトロ
クロミック物質やビオロゲン等で代表される有機エレク
トロクロミック物質が使用可能である。なお、本発明に
おけるエレクトロクロミック物質とは、電気化学的な酸
化反応あるいは還元反応等によって着色、消色、色変化
などを呈する物質をいい、本発明の目的を達成するもの
である限り、特に限定されない。エレクトロクロミック
素子においては、電解質層とエレクトロクロミック層を
個別に設けることができるほか、単一層に電解質層とし
ての役割とエレクトロクロミック層としての役割を兼備
させることができる。前者の態様においては、前記導電
基板の内側面の電極および前記電解質層の間の一方また
は両方に、エレクトロクロミック物質を含む層を設けて
もよい。この場合のエレクトロクロミック物質として
は、Mo23,Ir23,NiO,V25,WO3,ビ
オロゲン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロー
ル、金属フタロシアニンなどが好適なものとして挙げら
れる。前記エレクトロクロミック物質を含有する層と
は、前記エレクトロクロミック物質のみからなる層
(膜)でもよく、またエレクトロクロミック物質をマト
リックス成分に分散させた分散液から得られる層(膜)
でもよいが、エレクトロクロミック物質のみからなる層
(膜)がより好ましい。前記エレクトロクロミック物質
を含有する層の厚さは、通常、10nm〜1μm、好ま
しくは50〜800nmが望ましい。前記エレクトロク
ロミック物質を含有する層の形成方法としては、特に限
定されず、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ
リング法、電解重合法、ディプコート法、スピンコート
法等の種々の既知の方法を用いることができる。一方、
単一層に電解質層としての役割とエレクトロクロミック
層としての役割を兼備させる場合は、エレクトロクロミ
ック物質として、有機エレクトロクロミック物質の使用
が好ましい。有機エレクトロクロミック物質のひとつで
あるビオロゲンの典型例は、下記の一般式(23)で表
されるビピリジニウム構造を有する化合物である。
【化16】 一般式(23)において、X-、Y-は対アニオンを表
し、それぞれ同一であっても異なってもよく、ハロゲン
アニオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-
CH3(C64)SO3 -から選ばれるアニオンを示す。
前記ハロゲンアニオンとしては、F-、Cl-、Br-
-等が挙げられる。R56、R57は個別に炭素数1〜2
0、好ましくは1〜12の炭化水素基を表し、この炭化
水素基にはアルキル基、アラルキル基、アリール基が含
まれるが、アルキル基またはアラルキル基であることが
好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、
i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−
ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、シクロ
ヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられ、ア
ラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェ
ニルプロピル基、トリルメチル基、エチルフェニルメチ
ル基等が挙げられる。一般式(23)で示される化合物
の具体例を列挙すれば、N,N'−ジヘプチルビピリジ
ニウムジブロマイド、N,N'−ジヘプチルビピリジニ
ウムジクロライド、N,N'−ジヘプチルビピリジニウ
ムジパークロレート、N,N'−ジヘプチルビピリジニ
ウムジテトラフロロボレート、N,N'−ジヘプチルビ
ピリジニウムジヘキサフロロホスフェート、N,N'−
ジヘキシルビピリジニウムジブロマイド、N,N'−ジ
ヘキシルビピリジニウムジクロライド、N,N'−ジヘ
キシルビピリジニウムジパークロレート、N,N'−ジ
ヘキシルビピリジニウムジテトラフロロボレート、N,
N'−ジヘキシルビピリジニウムジヘキサフロロホスフ
ェート、N,N'−ジプロピルビピリジニウムジブロマ
イド、N,N'−ジプロピルビピリジニウムジクロライ
ド、N,N'−ジプロピルビピリジニウムジパークロレ
ート、N,N'−ジプロピルビピリジニウムジテトラフ
ロロボレート、N,N'−ジプロピルビピリジニウムジ
ヘキサフロロホスフェート、N,N'−ジベンジルビピ
リジニウムジブロマイド、N,N'−ジベンジルビピリ
ジニウムジパークロレート、N,N'−ジベンジルビピ
リジニウムジテトラフロロボレート、N,N'−ジベン
ジルビピリジニウムジヘキサフロロホスフェート、N−
ヘプチル−N'−ベンジルビピリジニウムジパークロレ
ート、N−ヘプチル−N'−ベンジルビピリジニウムジ
テトラフロロボレート、N−ヘプチル−N'−ベンジル
ビピリジニウムジブロマイド、N−ヘプチル−N'−ベ
ンジルビピリジニウムイジクロライド、N−ヘプチル−
N'−メチルピリジニウムジブロマイド、N−ヘプチル
−N'−メチルピリジニウムジクロライドなどが挙げら
れる。ビオロゲンを本発明の高分子固体電解質物質中に
含有させる場合、その含有量は通常0.00001〜5
0重量%、好ましくは、0.0001〜30重量%、さ
らに好ましくは0.001〜10%重量の範囲にある。
また、必要であればビオロゲンに、発色を助長する電子
供与性化合物を併用することができる。
【0022】本発明で使用可能な電子供与性化合物に
は、下記の一般式(24)〜(27)で表される化合物
および化学式(28)で表されるテトラチアフルバレン
が含まれる。
【化17】
【化18】 一般式(24)〜(27)において、R58〜R67は個別
に水素、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基
を表す。R68およびR69は個別に炭素数1〜10のアル
キル基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基を
表す。R68およびR69は母環と結合し環を形成していて
もよい。n,mはそれぞれ0〜5、好ましくは0〜3の
整数を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、
i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−
ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられるが、好ま
しくはメチル基、エチル基およびn−プロピル基であ
る。アリール基としては、フェニル基などが挙げられ、
またR68およびR69が母環と結合している形態として
は、インデニル基が例示される。一般式(24)で表さ
れる化合物の具体例としては、N,N,N',N'−テト
ラメチルフェニレンジアミンが、一般式(25)で表さ
れる化合物の具体例としては、N,N,N',N'−テト
ラメチルベンジジンが、一般式(26)で表される化合
物の具体例としては、5,10−ジヒドロ−5,10−
ジメチルフェナジンが、そして一般式(27)で表され
る化合物の具体例としては、フェロセン、ビニルフェロ
セン、フェロセンカルボン酸がそれぞれ挙げられる。
【0023】エレクトロクロミック層として機能すると
同時に電解質層としても機能する単一層は、任意の方法
で2枚の導電基板間に形成させることができる。例え
ば、2枚の導電基板を適当な間隔(通常1μm〜3m
m、好ましくは10μm〜1mm)をあけて対抗させ、
一箇所を除いて基板の周辺部すべてをシールした空セル
を用意する。その一方で、先に説明した成分(A)、成
分(B)、任意成分並びにエレクトロクロミック物質
(典型的にはビオロゲン)を溶媒に分散させた分散液を
調製し、これを前記の空セル内に、真空注入法、大気注
入法、メニスカス法などによって注入後、分散液を硬化
させてエレクトロクロミック物質含有高分子固定電解質
物質層を形成させることができる。また、別法として、
一方の導電基板の電極層上に、エレクトロクロミック物
質含有高分子固定電解質物質層を形成させ、その層の上
に他方の導電基板を重ね合わせる方法がある。
【0024】本発明に係るエレクトロクロミック素子の
基本的な構成を図面にそって説明する。図1に示すエレ
クトロクロミック素子は、透明基板1とその表面に透明
電極層2を積層させた透明導電基板と、透明又は不透明
な基板5とその表面に反射層を積層させた透明または不
透明の反射性導電基板4との間に、エレクトロクロミッ
ク物質を含有する高分子固体電解質層3を挟持させた構
造にある。高分子固体電解質層3にエレクトロクロミッ
ク物質を含有させる代わりに、高分子固体電解質層とエ
レクトロクロミック層を個別に設ける場合は、そのエレ
クトロクロミック層は、透明電極層2と高分子固体電解
質層3の間に形成される。図2は表示素子やエレクトロ
クロミック調光ガラスの構成例を示す。透明基板1の一
方の面に透明電極層2を形成した透明導電基板2枚は、
両基板の透明電極層が向き合う関係で適宜な間隔で対向
しており、その間隙にエレクトロクロミック物質を含有
する高分子固体電解質層3が挟持されている構造にあ
る。エレクトロクロミック層を高分子固体電解質層から
独立させる場合は、そのエレクトロクロミック層は、透
明電極層2と高分子固体電解質層3の間に形成される。
図3はエレクトロクロミックミラーの構成例を示す。こ
の例では、透明基板1の一方の面に透明電極層2を形成
した透明導電基板と、透明基板1の一方の面に透明電極
層2を、他方の面に反射層7を形成した反射性導電基板
が、両基板の透明電極層が向き合う関係で適宜な間隔で
対向しており、その間隙にエレクトロクロミック物質を
含有する高分子固体電解質層3を挟持されている構造に
ある。エレクトロクロミック層を高分子固体電解質層か
ら独立させる場合は、そのエレクトロクロミック層は、
透明電極層2と高分子固体電解質層3の間に形成され
る。
【0025】図1に示す構成のエレクトロクロミック素
子は、例えば、次のようにして得ることができる。透明
基板1上に透明電極層2を形成して積層板Aを調製す
る。別に、透明または不透明の基板5上に反射性電極層
4を形成して積層板Bを調製する。続いて、積層板Aと
積層板Bを1〜1000μm程度の間隔で対向させ、注
入口を除いた周囲をシール材6でシールし、注入口付き
の空セルを作成する。そして、本発明の成分(A)と成
分(B)と、さらにエレクトロクロミック物質(通常ビ
オロゲン)を含有する液状組成物を、前記の空セルに注
入して硬化させ、エレクトロクロミック物質含有高分子
固体電解質層3を形成することによりエレクトロクロミ
ック素子を得ることができる。積層板AとBを対向させ
る際、両者の間隔を一定に確保するために、スペーサー
を用いることができる。スペーサーとしては特に限定さ
れないが、ガラス、ポリマー等で構成されるビーズまた
はシートを用いることができる。スペーサーは、対向す
る導電基板の間隙に挿入したり、導電基板の電極上に樹
脂等の絶縁物で構成される突起状物を形成する方法等よ
り設けることができる。成分(A)および成分(B)を
含有する液状組成物を硬化させるに際しては、光硬化
法、熱硬化法が採用できるほか、経時的に硬化する反応
液を前記液状組成物に事前に混合した後、直ちに空セル
に注入し硬化させる方法等が利用できる。なお、注入口
は爾後封止される。また、他の方法としては、透明基板
1上に透明電極層2、エレクトロミック物質含有高分子
固体電解質層3を記載順に順次形成して積層体A'を得
る。別に、透明または不透明の基板5上に反射性電極層
4を形成した積層体B'を得る。ついで、積層体A'の高
分子固体電解質層3と、積層体B'の反射性電極層4と
が密着するように、両積層体を1〜1000μm程度の
間隔で対向させ、周囲をシール材6でシールする方法が
挙げられる。また、図2に示すエレクトロクロミック調
光ガラスを作成する場合は、透明基板1の一方の面に透
明電極層2を形成させた透明導電基板2枚を調製し、図
3に示すエレクロトクロミックミラーを作成する場合
は、透明基板1の一方の面に透明電極層2を形成した透
明導電基板と、透明基板1の一方の面に透明電極層2
を、他方の面に反射層7を形成した反射性導電基板とを
調製し、以後は図1に示すエレクトロクロミック素子の
場合と同様の手順で、それぞれのエレクトロクロミック
素子を得ることができる。図1〜3に示すエレクトロク
ロミック素子には、必要に応じて、紫外線反射層や紫外
線吸収層などの紫外線カット層、ミラーの場合はミラー
層全体もしくは各膜層の表面保護を目的とするオーバー
コート層などを付設することができる。紫外線カット層
を付設する場合は、透明基板1の外界側もしくは透明電
極層側、オーバーコート層を付設する場合は、透明基板
1の外界側や反射層8の外界側などに設置するのが好適
である。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらになんら制限されるものではな
い。実施例1 (1)エチレン性二重結合を含有する重合性紫外線吸収
性化合物の合成 300mlの3つ口フラスコに、式(29)で表される
化合物18.3g(49mmol)、ジグライム(ジエ
チレングリコールジメチルエーテル)60ml、および
触媒としてジメチルベンジルアミン0.9g(7mmo
l)をとり、オイルバスで120℃に加熱攪拌し、これ
に乾燥した空気を吹き込みながら、式(30)で表され
るグリシジルメタクリレート7.7g(54mmol)
をジグライム20mlに溶解した溶液を滴下し、13時
間加熱攪拌して反応させた。反応後、溶液を冷却しても
不溶物は見られず、透明であった。この液をメタノール
に注ぎ、析出した固体を濾別、減圧乾燥し、式(31)
で表される化合物18.9g(37mmol)を得た。
【化19】
【化20】
【化21】 (2)高分子固体電解質の作製 透明電極としてITO薄膜の付いた基板を用い、これを
積層板とし、積層板のITO薄膜側の周辺部に、電解質
前駆体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を
線状に塗布し、この上にもう一枚のITO被覆された透
明ガラス基板を、ITO面同士が向かい合うように重ね
合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き空
セルを作製した。他方で、メトキシポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
「M40G」)[オキシエチレンユニット数4]1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製「9G」)[オキシエチレンユニッ
ト数9]0.02g、γ−ブチロラクトン4.0gの混
合溶液に、過塩素酸リチウム0.4gを添加して均一溶
液とした。暗室内で、上記均一溶液に光重合開始剤であ
る2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン
−1−オン(メルク社製「ダロキュア−1173」)
0.02gを添加し、さらに、1,1'−ジ−n−ヘプ
チル−4,4'−ビピリジニウム ジブロミド0.05
10g(0.099mmol)、N,N,N',N'−テ
トラメチルフェニレンジアミン0.0164g(0.1
00mmol)、式(31)で表される炭素−炭素二重
結合含有紫外線吸収性化合物0.95g(1.84mm
ol)を加え、得られた均一溶液を脱気後、上述のよう
にして作製したセルの注入口より注入した。注入口をエ
ポキシ系接着剤で封止した後、蛍光灯の光を当ててセル
内の溶液を硬化させ、エレクトロクロミック性高分子固
体電解質を得た。得られた高分子固体電解質の25℃に
おけるイオン伝導度は2×10-3Ω-1cm-1であった。
この高分子固体電解質に60W/m2の強度のキセノン
灯を20時間照射したが、イオン伝導度には変化は見ら
れなかった。比較例1 式(31)で表される化合物を用いないこと以外は実施
例1と同様にエレクトロクロミック性高分子固体電解質
を得た。得られた高分子固体電解質の25℃におけるイ
オン伝導度は2×10-3Ω-1cm-1であった。この高分
子固体電解質に60W/m2の強度のキセノン灯を20
時間照射したところ、イオン伝導度は8×10-3Ω-1
-1に変化し、高分子固体電解質が変質していることが
わかった。応用例1(エレクトロクロミックミラーの作製) 高反射性電極としてパラジウム薄膜の付いた基板を用
い、これを積層板とし、積層板の該パラジウムの周辺部
に、電解質前駆体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ
系接着剤を線状に塗布し、この上にITO被覆された透
明ガラス基板を、ITO面とパラジウム層とが向かい合
うように重ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、
注入口付き空セルを作製した。他方で、メトキシポリエ
チレングリコールモノメタクリレート(新中村化学工業
株式会社製「M40G」)[オキシエチレンユニット数
4]1.0g、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト(新中村化学工業株式会社製「9G」)[オキシエチ
レンユニット数9]0.02g、γ−ブチロラクトン
4.0gの混合溶液に、過塩素酸リチウム(LiClO
4)0.4gを添加して均一溶液とした。暗室内で、上
記均一溶液に光重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社
製、商品名「ダロキュア−1173」)0.02gを添
加し、さらに、1,1'−ジ−n−ヘプチル−4,4'−
ビピリジニウム ジブロミド0.0510g(0.09
9mmol)、N,N,N',N'−テトラメチルフェニ
レンジアミン0.0164g(0.100mmol)、
式(31)で表される化合物0.95g(1.84mm
ol)を加え、得られた均一溶液を脱気後、上述のよう
にして作成したセルの注入口より注入した。注入口をエ
ポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側から蛍光灯の
光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレクトロクロミ
ック性高分子固体電解質を得た。このようにして図3構
成の全固体型エレクトロクロミックミラーを得た。この
ミラーは組み立てた時点では着色しておらず、反射率は
約80%であった。また、電圧を印可すると応答性に優
れ、良好なエレクトロクロミック特性を示した。すなわ
ち、1.2Vの電圧を印可すると着色し、反射率約10
%となった。また、1.2Vの電圧を印加して着色した
際にキセノン灯を50mJ/cm2照射したが、電圧を
解除したところ、約10秒後には反射率10%から80
%に戻った。このことから、本発明の高分子固体電解質
を用いたエレクトロクロミック素子が紫外線に対する優
れた耐劣化性を有することがわかる。応用例2(エレクトロクロミック素子の作製) 透明電極としてITO薄膜の付いた基板を用い、これを
積層板とし、積層板のITO薄膜側の周辺部に、電解質
前駆体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を
線状に塗布し、この上にもう一枚のITO被覆された透
明ガラス基板を、ITO面同士が向かい合うように重ね
合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き空
セルを作製した。この空セルを用い、応用例1と同様に
全固体型エレクトロクロミック素子を得た。この素子は
組み立てた時点では着色しておらず、透過率は約80%
であった。また、電圧を印加すると応答性に優れ、良好
なエレクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.
2Vの電圧を印可すると着色し、透過率約30%となっ
た。また、1.2Vの電圧を印可して着色した際にキセ
ノン灯を50mJ/cm2照射したが、電圧を解除した
ところ、約10秒後には透過率30%から80%に戻っ
た。このことから、本発明の高分子固体電解質を用いた
エレクトロクロミック素子が紫外線に対する優れた耐劣
化性を有することがわかる。実施例2 メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの
かわりにメトキシポリエチレングリコールモノアクリレ
ート(新中村化学工業株式会社製「AM40G」)[オ
キシエチレンユニット数4]を、過塩素酸リチウムのか
わりに四フッ化ホウ素リチウム(LiBF4)を用いた
以外は実施例1と同様にエレクトロクロミック性高分子
固体電解質を得た。得られた高分子固体電解質の25℃
におけるイオン伝導度は2×10-3Ω-1cm-1であっ
た。この高分子固体電解質に60W/m2の強度のキセ
ノン灯を20時間照射したが、イオン伝導度には変化は
みられなかった。比較例2 式(31)で示される化合物を用いないこと以外は実施
例2と同様にエレクトロクロミック性高分子固体電解質
を得た。得られた高分子固体電解質のイオン伝導度は2
×10-3Ω-1cm-1であった。この高分子固体電解質に
60W/m2の強度のキセノン灯を20時間照射したと
ころ、25℃におけるイオン伝導度は9×10-3Ω-1
-1に変化した。高分子固体電解質が変質したことがわ
かる。比較応用例1 式(31)で表される化合物を用いないこと以外は実施
例1と同様にエレクトロクロミックミラーを作製した。
このミラーは組み立てた時点では着色しておらず、反射
率は約80%であった。また、電圧を印可すると応答性
に優れ、良好なエレクトロクロミック特性を示した。す
なわち、1.2Vの電圧を印可すると着色し、反射率約
10%となった。しかしながら、1.2Vの電圧を印加
して着色した際にキセノン灯を50mJ/cm2照射
し、電圧を解除したところ、着色が残り、反射率は60
%にしか戻らず、3時間経過後も反射率は戻らなかっ
た。このことから、このミラーは紫外線により劣化した
ことがわかる。応用例3(エレクトロクロミック素子の作製) 発色材電極の作製 10×10cmのITOガラス上に、20〜30オング
ストローム/秒の条件下、厚さ約5000オングストロ
ームとなるように、WO3を蒸着し、発色材電極を作製
した。対向電極の作製 10×10cmのITOガラス上に、表面積1500m
2/gの活性炭繊維(群栄化学株式会社)を、導電性接
着剤(商品名「シルベストP−255」:徳力化学研究
所製)を用いて格子状に接着した。この際、活性炭繊維
の格子の形状は、格子間隔2cm、格子線幅0.8m
m、活性炭繊維の使用量は0.85mg/cmとした。
次に、活性炭繊維の上にポリエステルフィルムを接着
し、絶縁層を設けて対向電極を作製した。調光体の作製 前記発色材電極と前記対向電極を相対向せしめ、周辺を
エポキシ樹脂で5mm幅でシールし、注入口付き空セル
を作製した。他方で、メトキシポリエチレングリコール
モノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「M4
0G」)[オキシエチレンユニット数4]1.0g、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工
業株式会社製「9G」)[オキシエチレンユニット数
9]0.02g、γ−ブチロラクトン 4.0gの混合
溶液に、過塩素酸リチウム(LiClO4)0.4gを
添加して均一溶液とした。暗室内で、上記均一溶液に光
重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア−
1173」)0.02gを添加し、さらに、式(31)
で表される化合物0.95g(1.84mmol)を加
え、得られた均一溶液を脱気後、上述のようにして作製
したセルの注入口より注入した。注入口をエポキシ系接
着剤で封止した後、蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を
硬化させ、エレクトロクロミック性の高分子固体電解質
を得た。次いで、発色材および対向電極の各々にリード
線を接続して調光体とした。得られた調光体の性能評価
を下記の各試験に基づいて評価した。着消色試験 発色材電極側が負極に、対向電極側が正極となるように
1Vの電圧を120秒間印加したところ、青色に均一に
着色し、着色時の光学密度は1.08であった。続い
て、発色材電極側が正極、対向電極側が負極になるよう
に1Vの電圧を60秒間印加したところ、速やかに着色
は消滅し、この際の光学密度は0.20であった。この
際着色時と消色時の光学密度差は0.88であった。紫外線照射下でのサイクル試験 前記着色試験と消色試験をサンテスター内で1200回
行ったが、着色の消え残り、応答性の低下、光学密度差
の低下等はほとんどみられず、極めて安定したサイクル
特性であった。
【0027】
【発明の効果】本発明の高分子固体電解質物質は、従来
に増して優れた耐光性を具備し、長期間に渡り安定した
性能を維持することができ、また実用上高いイオン伝導
性を有する。また、本発明の高分子固体電解質物質を用
いたエレクトロクロミック素子には、必ずしも紫外線吸
収層を設ける必要がなくなるため、素子の製造工程を簡
略化することができ、得られた素子はた優れた耐久性を
発揮する。本発明のエレクトロクロミック素子は、表示
素子、調光ガラス、自動車等の防眩ミラー、サンバイザ
ー、サンルーフ、あるいは屋内で使用される装飾用ミラ
ー、サンシェードなどのエレクトロクロミックミラーな
どに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エレクトロクロミック素子の構成の一つを示す
断面図である。
【図2】エレクトロクロミック調光ガラスの構成の一つ
を示す断面図である。
【図3】エレクトロクロミックミラーの構成の一つを示
す断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 透明電極層 3 エレクトロクロミック物質含有高分子固体電解質
層 4 反射性電極層 5 透明又は不透明な基板 6 シール材 7 反射層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今福 浩 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地日本石油 株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 2K001 AA02 AA08 AA10 BB30 CA08 CA09 CA17 CA30 CA37 CA42 DA02 DA04 DA05 DA23

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)及び(B)を含有する組成物を硬
    化させてなる高分子固体電解質。 (A)エチレン性二重結合を含有する重合性紫外線吸収性
    化合物、 (B)重合性モノマーと支持電解質物質と含有する高分子
    固体電解質前駆体成分、
  2. 【請求項2】 下記の(A)及び(B)を含有する組成物を硬
    化させた高分子物質からなる電解質層を備えたエレクト
    ロクロミック素子。 (A)エチレン性二重結合を含有する重合性紫外線吸収性
    化合物、 (B)重合性モノマーと支持電解質物質を含有する高分子
    固体電解質前駆体成分、
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003015164A (ja) * 2001-06-28 2003-01-15 Nippon Oil Corp エレクトロクロミック素子
JP2012054537A (ja) * 2010-08-04 2012-03-15 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 電気二重層キャパシタ、又は太陽光発電装置
JP2021140123A (ja) * 2020-03-09 2021-09-16 国立大学法人千葉大学 エレクトロクロミック表示素子

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