JPH11183940A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子

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JPH11183940A
JPH11183940A JP9364869A JP36486997A JPH11183940A JP H11183940 A JPH11183940 A JP H11183940A JP 9364869 A JP9364869 A JP 9364869A JP 36486997 A JP36486997 A JP 36486997A JP H11183940 A JPH11183940 A JP H11183940A
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JP
Japan
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group
general formula
electrochromic
carbon atoms
layer
Prior art date
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Pending
Application number
JP9364869A
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English (en)
Inventor
Izuru Sugiura
出 杉浦
Masaaki Kobayashi
正明 小林
Yoshinori Nishikitani
禎範 錦谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価に且つ簡易に製造可能なエレクトロクロ
ミック素子の提供。 【解決手段】 少なくとも1枚が透明である2枚の導電
基板間に、高分子固体電解質の前駆体成分と、反応性ビ
オロゲン化合物とを共重合することにより得られるエレ
クトロクロミック性高分子固体電解質層を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,表示素子,調光ガ
ラス,自動車等の防眩ミラー、あるいは屋内で使用され
る装飾用ミラーなどのエレクトロクロミックミラーとし
て有用なエレクトロクロミック素子に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
のエレクトロクロミック素子としては、例えは、酸化タ
ングステン(WO3 )のような無機酸化物を透明導電膜
上に真空蒸着またはスパッタリング法により成膜し、こ
れを発色剤として用いているものが知られている(特開
昭63−18336)。しかし、これらの膜形成手段で
は真空技術を使用する必要があり、コストが高くなると
いう問題がある。そこで、本発明は、このような実状に
鑑みなされたものであり、その目的は、安価な発色剤と
簡便な工程により製造することが可能なエレクトロクロ
ミック素子を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明のエレクトロクロミック素子は、2枚の透
明導電基板の間に、特定のエレクトロクロミック性高分
子固体電解質層を設けてなるものである。即ち、本発明
は、少なくとも1枚が透明である2枚の導電基板間に、
高分子固体電解質の前駆体成分と、下記一般式(1)で
表される反応性ビオロゲン化合物および/または下記一
般式(2)で表される反応性ビオロゲン化合物とを共重
合することにより得られるエレクトロクロミック性高分
子固体電解質層を設けたことを特徴とするエレクトロク
ロミック素子。
【化3】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
- 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
3 - から選ばれる対アニオンを示し、R1 は水素また
は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2 は炭素数1〜
10の二価炭化水素残基を示し、R3 は炭素数1〜20
の炭化水素残基,Ar1 は2価の芳香族炭化水素残基を
各々表す。)
【化4】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
- 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
3 - から選ばれる対アニオンを示し、R4 ,R7 は水
素または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R5 ,R6
は炭素数1〜10の二価炭化水素残基を示し、Ar2
Ar3 は2価の芳香族炭化水素残基を各々表す。)
【0004】
【発明の実施の形態】本発明においては、少なくとも1
枚は透明な2枚の導電基板が使用されるが、これら導電
基板は電極としての機能を有する基板であればどのよう
なものでもよく、具体的には、基板全体を導電性材料で
構成させたものや、導電性を持たない基板とこれに配設
された電極とで構成されたものなどが挙げられる。これ
らの透明電導基板及び反射性導電基板は両者とも、その
表面が平面でも曲面でもよく、また、応力によって変形
するものであってもよい。なお、本発明における基板は
常温において平滑な面を有するものである。本発明で使
用される導電基板の少なくとも一方は透明導電基板であ
り、他方は透明であっても、不透明であっても、光を反
射できる反射性導電基板であってもよい。2枚の導電基
板をいずれも透明導電基板としたものは、表示素子や調
光ガラスに適し、1枚を透明導電基板、もう1枚を不透
明導電基板としたものは表示素子に適し、また、1枚を
透明導電基板、もう1枚を反射性導電基板としたものは
エレクトロクロミックミラーに適している。透明導電基
板は、通常、透明基板上に透明電極層を積層させた形態
にある。ここで、透明とは可視光領域において10〜1
00%の光透過率を有することを意味する。不透明導電
基板としては、(1)金属板、(2)導電性を持たない
不透明基板(透明でない各種のプラスチック、ガラス、
木材、石材等が使用可能)の一方の面に電極層を積層さ
せた積層体などが例示できる。一方、反射性導電基板の
形態としては、(1)導電性を持たない透明又は不透明
な基板上に反射性電極層を積層させた積層体、(2)導
電性を持たない透明基板の一方の面に透明電極層を、他
方の面に反射層を積層させた積層体、(3)導電性を持
たない透明基板上に反射層を、その反射層上に透明電極
層を積層させた積層体、(4)反射板を基板とし、これ
に透明電極層を積層させた積層体、および(5)基板自
体が光反射層と電極層の両方の機能を備えた板状体など
が例示できる。透明基板の素材は、特に限定されず、例
えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等が用いら
れる他、無色あるいは有色の透明性樹脂でもよい。具体
的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテ
ルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、
ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられ
る。
【0005】前記透明電極層としては、本発明の目的を
果たすものである限り特に限定されず、例えば、金、
銀、クロム、銅、タングステン等の金属薄膜、金属酸化
物からなる導電膜等が挙げられる。前記金属酸化物とし
ては、例えば、ITO(In23 −SnO2 )、酸化
錫、酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム等が挙げられ
る。透明電極層の膜厚は、通常100〜5、000オン
グストローム、好ましくは500〜3,000オングス
トロームが望ましい。また、表面抵抗(抵抗率)は通常
0.5〜500Ω/cm2 、好ましくは1〜50Ω/c
2 が望ましい。透明電極層の形成方法としては特に限
定されず、電極を構成する前記金属および金属酸化物等
の種類により、適宜公知の方法が選択でき、通常、真空
蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、
あるいはゾルゲル法等が採用可能である。この際、電極
層の膜厚は電極層の透明性が損なわれない範囲で適宜選
択される。また、前記透明電極層には、酸化還元能の付
与、導電性の付与、電気二重層容量の付与の目的で、部
分的に不透明な電極活性物質を付与することもできる
が、その付与量は電極層全体の透明性が損なわれない範
囲で選ばれる。不透明な電極活性物質としては、例え
ば、銅、銀、金、白金、鉄、タングステン、チタン、リ
チウム等の金属;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ
ピロール、フタロシアニンなどの酸化還元能を有する有
機物;活性炭、グラファイトなどの炭素材、V2 5
MnO2 、NiO、Ir2 3 などの金属酸化物または
これらの混合物を用いることができる。また、これらを
電極層に結着させるために、さらに各種樹脂を用いても
よい。この不透明な電極活性物質等を電極に付与するに
は、例えば、ITO透明電極上に、活性炭素繊維、グラ
ファイト、アクリル樹脂等からなる組成物をストライプ
状またはドット状等の微細パターンに形成したり、金
(Au)薄膜状上に、V2 5 、アセチレンブラック、
ブチルゴム等からなる組成物をメッシュ状に形成したり
することができる。
【0006】前記反射性電極層としては、電気化学的に
安定で鏡面が得られるものであれば特に限定されず、例
えば、金、白金、タングステン、タンタル、レニウム、
オスミウム、イリジウム、銀、ニッケル、パラジウム等
の金属膜や、白金−パラジウム、白金−ロジウム、ステ
ンレス等の合金膜などが挙げられる。この際電極層の反
射性および鏡面性を満たす範囲で、反射性電極層を基板
上または透明基板上に設置する必要がある。反射性電極
層の形成方法としては、特に限定されず公知の方法を適
宜用いることができ、例えば、真空蒸着法、イオンプレ
ーティング法、スパッタリング法などが採用可能であ
る。反射性電極層を設ける基板としては特に限定され
ず、この基板は透明または不透明であってもよく、具体
的には前記透明基板として例示されたもののほか、各種
プラスチック、樹脂、ガラス、木材、石材等を挙げるこ
とができる。前記反射板または反射層としては、鏡面が
得られるのものであれば、どのような材料でも特に限定
されないが、例えば、銀、クロム、アルミニウム、ステ
ンレス等があげられる。基板自体が反射層と電極機能を
兼ね備える前記板状体としては、前記反射性電極層とし
て例示したもののうち、自己支持性があるものが挙げら
れる。
【0007】本発明のエレクトロクロミック素子におい
ては、前述のとおり、少なくとも1枚は透明な2枚の導
電基板(以下これらを対向導電基板と呼ぶ)の間に、電
解質層と発消色層を兼ねた特定のエレクトロクロミック
性高分子固体電解質層を設けている。この特定のエレク
トロクロミック性高分子固体電解質層においては、通
常、一般式(1)で表される反応性ビオロゲン化合物お
よび/または一般式(2)で表される反応性ビオロゲン
化合物から誘導される構造が高分子固体電解質と結合し
ている。即ち、係るエレクトロクロミック性高分子固体
電解質層は、高分子固体電解質の重合性前駆体成分と下
記一般式(1)で表される反応性ビオロゲン化合物およ
び/または一般式(2)で表される反応性ビオロゲン化
合物を共重合させることにより得られたものである。具
体的な製造方法としては、例えば、一般式(1)で表さ
れる反応性ビオロゲン化合物および/または一般式
(2)で表される反応性ビオロゲン化合物を高分子固体
電解質の前駆体と共に溶媒に溶解させ共重合させる方法
等が好適な方法として挙げられる。
【0008】まず、一般式(1)で表される反応性ビオ
ロゲン化合物について説明する。
【化5】 一般式(1)において、X- 、Y- は同一であっても異
なってもよく、それぞれ個別にハロゲンアニオン、Cl
4 - 、BF4 - 、PF6 - 、CH3 COO-、CH3
(C6 4 )SO3 - から選ばれる対アニオンを示す。
前記ハロゲンアニオンとしては、F- 、Cl- 、B
- 、I- 等が挙げられる。R1 は水素または炭素数1
〜5のアルキル基を示し、このアルキル基としては、メ
チル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、
n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げ
られ、特に水素またはメチル基であることが好ましい。
2 は炭素数1〜10、好ましくは1〜5の2価の炭化
水素残基を示す。炭化水素残基としては、アルキレン基
等の炭化水素基や(ポリ)オキシアルキレン基等のエー
テル結合を有する含酸素炭化水素基などが挙げられ、具
体的には −CH2 CH2 CH2 CH2 − 、 −(C6 4 )C
2 − 、−OCH2 CH2 −等が挙げられ、特にメチレン基−
CH2 −であることが好ましい。R3 は炭素数1〜2
0、好ましくは炭素数2〜10の一価の炭化水素残基で
あり、炭化水素残基としては、アルキル基、アリール基
またはアラルキル基等の炭化水素基、アルコキシ基、ア
クリレート基、メタクリレート基および下記一般式で表
される含酸素炭化水素基が挙げられる。 −(R" −O)n −R (式中、R' は一般式(1)におけるR2 と、Rは一般
式(1)におけるR1 と同様のものを示し、R" は炭素
数2〜5、好ましくは2〜3のアルキレン基(例えば、
エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等)を示
し、nは1〜5、好ましくは1〜2の整数を示す) 前記炭化水素基としては、具体的にはメチル基、エチル
基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、
t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ベン
ジル基,ビニルベンジル基等が挙げられる。Ar1 は2
価の芳香族炭化水素残基を示し、典型的には炭素数6〜
20、好ましくはアリーレン基、置換アリーレン基が挙
げられるが、m-位やp-位のフェニレン基、置換フェニレ
ン基(アルキル置換フェニレン基等)、ビフェニレン
基、ナフチレン基などが例示でき,特にm-位やp-位のフ
ェニレン基が好ましい。一般式(1)で表される反応性
ビオロゲン化合物の具体例としては、
【化6】
【化7】 などが好適なものとして挙げられる。もちろん、これら
を2種以上併用することもできる。次に、一般式(2)
で表される反応性ビオロゲン化合物について説明する。
【化8】 一般式(2)において、X- 、Y- は同一であっても異
なってもよく、それぞれ個別にハロゲンアニオン、Cl
4 - 、BF4 - 、PF6 - 、CH3 COO-、CH3
(C6 4 )SO3 - から選ばれる対アニオンを示す。
前記ハロゲンアニオンとしては、F- 、Cl- 、B
- 、I- 等が挙げられる。R4 ,R7 は水素または炭
素数1〜5のアルキル基を示し、このアルキル基として
は、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピ
ル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等
が挙げられ、特に水素またはメチル基であることが好ま
しい。R5 ,R66 炭素数1〜10、好ましくは1〜5
の2価の炭化水素残基を示し、各々同一でも異なってよ
い。炭化水素残基としては、アルキレン基等の炭化水素
基や(ポリ)オキシアルキレン基等のエーテル結合を有
する含酸素炭化水素基などが挙げられ、具体的には 等が挙げられ,特にメチレン基−CH2 −であることが
好ましい。Ar2 ,Ar3 は2価の芳香族炭化水素残基
を示し、典型的には炭素数6〜20、好ましくはアリー
レン基、置換アリーレン基が挙げられるが、m-位やp-位
のフェニレン基、置換フェニレン基(アルキル置換フェ
ニレン基等)、ビフェニレン基、ナフチレン基等が例示
でき、特にm-位やp-位のフェニレン基が好ましい。一般
式(2)で表される反応性ビオロゲン化合物の具体例と
しては、
【化9】
【化10】 などが好適なものとして挙げられる。もちろん、これら
を2種以上併用することもできる。
【0009】次に高分子固体電解質について説明する。
高分子固体電解質としては、通常室温で1×10-7S/
cm以上、好ましくは1×10-6S/cm以上のイオン
伝導度を示すことが望ましい。高分子固体電解質として
は、室温で固体であり、かつ前記イオン導電性を有する
ものであれば特に限定されず、ポリエチレンオキサイ
ド、オキシエチレンメタクリレートのポリマーなどを挙
げることができ、特にオキシアルキレンメタクリレート
系化合物、オキシアルキレンアクリレート系化合物また
はウレタンアクリレート系化合物を前駆体とし、この前
駆体を前記反応性ビオロゲン化合物の存在下重合させ、
実質的に前記前駆体と反応性ビオロゲン化合物を共重合
することによって得られるものが好ましい。
【0010】前記高分子固体電解質の第1の例として
は、下記一般式(3)で表されるウレタンアクリレー
ト、有機極性溶媒および支持電解質を含む組成物(以下
「組成物A」という。)を前駆体とし、前記反応性ビオ
ロゲン化合物の存在下、これを固化することにより得ら
れる高分子固体電解質が挙げられる。なお、このとき、
一般式(3)で表されるウレタンアクリレートと前記反
応性ビオロゲン化合物が通常重合反応する。
【化11】 (式中、R8 およびR9 は同一または異なる基であっ
て、一般式(4)〜(6)で表される基から選ばれる基
を示す。R10およびR11は同一または異なる基であっ
て、炭素数1〜20、好ましくは2〜12の2価炭化水
素残基を示す。Yはポリエーテル単位、ポリエステル単
位、ポリカーボネート単位またはこれらの混合単位を示
す。またbは1〜100、好ましくは1〜50、さらに
好ましくは1〜20の範囲の整数である。)
【化12】
【化13】
【化14】 一般式(4)〜(6)において、R12〜R15は同一また
は異なる基であって、水素原子または炭素数1〜3のア
ルキル基を示す。またR15は炭素数1〜20、好ましく
は炭素数2〜8の2〜4価有機残基を示す。この有機残
基としては、具体的には、アルキルトリル基、アルキル
テトラリル基、下記一般式(7)で示されるアルキレン
基等の炭化水素残基などが挙げられる。
【化15】 一般式(7)において、R16は炭素数1〜3のアルキル
基または水素を示し、cは0〜6の整数である。cが2
以上の場合、R16は同一でも異なっても良い。また、前
記の炭化水素残基は、水素原子の一部が炭素数1〜6、
好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素数6〜12のア
リールオキシ基などの含酸素炭化水素基により置換され
ている基でもよい。一般式(4)〜(6)におけるR15
の具体例としては、 等を好ましく挙げることができる。
【0011】一般式(3)のR10及びR11で示される2
価炭化水素残基としては、鎖状2価炭化水素基、芳香族
炭化水素基、含脂環炭化水素基などが挙げられるが、鎖
状2価炭化水素基としては、先の一般式(7)で表され
るアルキレン基等を挙げることができる。また、前記芳
香族炭化水素基および含脂環炭化水素基としては、下記
一般式(8)〜(10)で表される炭化水素基等が挙げ
られる。
【化16】
【化17】
【化18】 一般式(8)〜(10)において、R17およびR18は同
一または異なる基であって、フェニレン基、置換フェニ
レン基(アルキル置換フェニレン基等)、シクロアルキ
レン基、置換シクロアルキレン基(アルキル置換シクロ
アルキレン基等)を示す。R19〜R22は同一または異な
る基であって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル
基を示す。また、dは1〜5の整数である。一般式
(3)におけるR10およびR11の具体例としては、下記
の一般式(11)〜(17)で表される基などが挙げら
れる。
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【0012】一般式(3)におけるYはポリエーテル単
位、ポリエステル単位およびポリカーボネート単位また
はこれらの混合単位を示すが、このポリエーテル単位、
ポリエステル単位、ポリカーボネート単位及びこれらの
混合単位としては、それぞれ下記の一般式(a)〜
(d)で示される単位を挙げることができる。
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】 一般式(a)〜(d)において、R23〜R28は同一また
は異なる基であって、炭素数1〜20、好ましくは2〜
12の2価の炭化水素残基を示す。R23〜R28として
は、直鎖または分岐のアルキレン基などが好ましく、具
体的には、R25としてはメチレン基、エチレン基、トリ
メチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘ
キサメチレン基、プロピレン基等が好ましい。また、R
23〜R24およびR26〜R28としてはエチレン基、プロピ
レン基などが好ましい。また、eは2〜300、好まし
くは10〜200の整数である。また、fは1〜30
0、好ましくは2〜200の整数、gは1〜200、好
ましくは2〜100の整数、hは1〜200、好ましく
は2〜100の整数、iは1〜300、好ましくは10
〜200の整数である。また、一般式(a)〜(d)に
おいて、各単位は同一でも、異なる単位の共重合でも良
い。即ち、複数のR23〜R28が存在する場合、R23
志、R24同志、R25同志、R26同志、R27同志およびR
28同志は同一でも異なっても良い。前記共重合体の例と
してはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共
重合単位などが特に好適な例として挙げられる。
【0013】一般式(3)で表されるウレタンアクリレ
ートの分子量は、通常、重量平均分子量で2,500〜
30,000、好ましくは3,000〜20,000が
望ましい。前記ウレタンアクリレート1分子中の重合官
能基数は、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4
が望ましい。前記一般式(3)で表されるウレタンアク
リレートは、公知の方法により容易に製造することがで
き、その製法は特に限定されるものではない。
【0014】有機極性溶媒(有機非水溶媒)としては、
メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エ
チレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキ
シエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−
バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、
ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリ
ル、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニ
トリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミ
ド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオ
キソラン、スルホラン、トリメチルホスフェイト、ポリ
エチレングリコール等の有機極性溶媒が挙げられ、好ま
しくは、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネー
ト、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセト
ニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソ
ラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テト
ラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニト
リル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジ
メチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリ
メチルホスフェイト、ポリエチレングリコールなどの有
機極性溶媒が望ましい。これらは、使用に際して単独も
しくは混合物として使用できる。有機極性溶媒(有機非
水溶媒)の添加量は、ウレタンアクリレート100重量
部に対して通常100〜1200重量部、好ましくは2
00〜900重量部の割合である。有機非水溶媒の添加
量が少なすぎると、イオン伝導度も十分ではなく、また
有機非水溶媒の添加量が多すぎると機械強度が低下して
しまう場合がある。
【0015】支持電解質としては、本発明の目的を損な
わない限り特に限定されないが、例えば、各種のアルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機イオン塩や4
級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩などが挙げ
られ、具体的にはLiClO4 、LiSCN、LiBF
4 、LiAsF6 、LiCF3 SO3 、LiPF6 、L
iI、NaI、NaSCN、NaClO4 、NaB
4 、NaAsF6 、KSCN、KCl等のLi、N
a、Kのアルカリ金属塩等や、(CH3 4 NBF4
(C2 5 4 NBF4 、(n−C4 9 4 NB
4 、(C2 5 4 NBr、(C2 5 4 NClO
4 、(n−C4 9 4 NClO4 等の4級アンモニウ
ム塩および環状4級アンモニウム塩等、もしくはこれら
の混合物が好適なものとして挙げられる。支持電解質と
しての酸類は、特に限定されず、無機酸、有機酸などが
挙げられ、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン
酸類、カルボン酸類などが挙げられる。支持電解質とし
てのアルカリ類は、特に限定されず、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられ
る。その添加量としては有機非水溶媒に対し0.1〜3
0重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0016】前記組成物Aは、基本的には前記ウレタン
アクリレート、有機非水溶媒(有機極性溶媒)および支
持電解質からなるが、この組成物には本発明の目的を損
なわない範囲で任意成分を必要に応じて加えることがで
き、そうした任意成分としては、例えば架橋剤や重合開
始剤(光または熱)などが挙げられる。
【0017】本発明においては、前述の通り。高分子固
体電解質の前駆体である組成物Aに、前記の一般式
(1)で表される反応性ビオロゲン化合物および/また
は一般式(2)で表される反応性ビオロゲン化合物を加
え、これを組成物とし、かかる組成物を固化することに
より、係る高分子固体電解質の前駆体、さらに詳しくは
前駆体内の重合性成分と当該ビオロゲン化合物を共重合
するものである。この共重合は、単ら当該ビオロゲン化
合物を用いずに高分子固体電解質を得る際と同様の条件
で行うことができる。前駆体成分と前記の一般式(1)
で表される反応性ビオロゲン化合物および/または一般
式(2)で表される反応性ビオロゲン化合物(以下総称
してビオロゲン化合物)を使用する割合は、特に限定さ
れないが、ウレタンアクリレートとビオロゲン化合物と
のモル比で、通常10,000/1〜1/1、好ましく
は1,000/1〜10/1程度が望ましい。前記第1
の例の高分子固体電解質の場合、反応性ビオロゲン化合
物を含む組成物Aを適宜公知の方法により所望個所に注
入した後、固化することにより対向する導電基板の間に
介在させることができる。ここでいう固化とは、重合性
または架橋性の成分などが、重合(重縮合)や架橋の進
行に伴い硬化し、組成物全体として常温において実質的
に流動しない状態となることをいう。なお、この場合ネ
ットワーク状の基本構造を有する。共重合反応を伴う固
化の好適な方法としては、反応性ビオロゲン化合物を含
む組成物を光硬化または加熱硬化し、組成物内の重合生
成分が重合および共重合し高分子マトリックスに形成す
る方法が挙げられる。光硬化は、通常公知の光重合開始
剤を用いて行うことができる。前記光重合開始剤の配合
割合は、ウレタンアクリレート100重量部に対して
0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部が望
ましい。また、硬化のための光は特に限定されないが、
遠紫外光、紫外光、可視光等が挙げられ、光源としては
高圧水銀灯、蛍光灯、キセノン灯等を使用できる。また
照射量は、高圧水銀灯を用いた場合を例に取れば、通常
100〜50000mJ/cm2 、好ましくは1000
〜20000mJ/cm2 程度である。熱硬化は、通常
公知の熱重合開始剤を用いて行うことができる。前記熱
重合開始剤の配合割合は、ウレタンアクリレート100
重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.1
〜5重量部が望ましい。また、硬化条件は、特に限定さ
れないが、通常0〜130℃、好ましくは20〜80℃
が望ましい。また、時間は、通常10分〜100時間、
好ましくは30分〜40時間が望ましい。なお、反応の
進行は、IR、NMR等二重結合の減少を検出すること
により容易に確認できる。
【0018】前記高分子固体電解質の第2の例として
は、下記一般式(18)で表される単官能アクリロイル
変性ポリアルキレンオキシド、多官能アクリロイル変性
ポリアルキレンオキシド、前記有機極性溶媒、および前
記支持電解質を含む組成物(以下「組成物B」とい
う。)を固化することにより得られる高分子固体電解質
が挙げられる。
【化30】 (式中、R29、R30、R31およびR32は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、jは1以上の整数である。)一般式(18)におい
て、R29、R30、R31およびR32は、それぞれ個別に水
素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示す
が、そのアルキル基としては、メチル基、エチル基、i-
プロピル基、n-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、
n-ペンチル基等が挙げられ、互いに同一でも異なっても
よく、特にR29は水素、メチル基、R30は水素、メチル
基、R31は水素、メチル基、R32は水素、メチル基、エ
チル基であることがそれぞれ好ましい。一般式(18)
のjは、1以上の整数、通常1≦j≦100、好ましく
は2≦j≦50、さらに好ましくは2≦j≦30の範囲
の整数である。一般式(18)で表される化合物の具体
例としては、オキシアルキレンユニットを1〜100、
好ましくは2〜50、さらに好ましくは1〜20の範囲
で持つメトキシポリエチレングリコールメタクリレー
ト、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレー
ト、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、
エトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、メ
トキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシ
ポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピ
レングリコールアクリレート、またはこれらの混合物等
を挙げることができる。一般式(18)のjが2以上の
場合、オキシアルキレンユニットは互いに異なるいわゆ
る共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよ
く、その具体例としては、例えば、オキシエチレンユニ
ットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持ち、か
つオキシプロピレンユニットを1〜50、好ましくは1
〜20の範囲で持つところの、メトキシポリ(エチレン
・プロピレン)グリコールメタクリレート、エトキシポ
リ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレー
ト、メトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコール
アクリレート、エトキシポリ(エチレン・プロピレン)
グリコールアクリレート、またはこれらの混合物などが
挙げられる。
【0019】本発明で使用可能な多官能アクリロイル変
性ポリアルキレンオキシドとしては、一般式(19)で
表される、いわゆる2官能アクリロイル変性ポリアルキ
レンオキシド及び一般式(20)で表される、いわゆる
3官能以上の多官能アクリロイル変性ポリアルキレンオ
キシドなどが挙げられる。
【化31】 (式中、R33、R34、R35およびR36は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、kは1以上の整数である。)
【化32】 (式中、R37、R38およびR39は、それぞれ個別に水素
または1〜5の炭素原子を有するアルキル基であり、l
は1以上の整数であり、mは2〜4の整数であり、Lは
m価の連結基を示す。) 前記一般式(19)において、式中のR33、R34、R35
およびR36は、それぞれ個別に水素または1〜5の炭素
原子を有するアルキル基を示すが、このアルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、i-プロピル基、n-プロピル
基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げら
れる。特にR33は水素、メチル基、R34は水素、メチル
基、R35は水素、メチル基、R36は水素、メチル基であ
ることがそれぞれ好ましい。また、一般式(19)中の
kは、1以上の整数、通常1≦k≦100、好ましくは
2≦k≦50、さらに好ましくは2≦k≦30の範囲の
整数であるが、そうした化合物の具体例は、オキシアル
キレンユニットを1〜100、好ましくは2〜50、さ
らに好ましくは1〜20の範囲で持つポリエチレングリ
コールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ
メタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、また
はこれらの混合物等を挙げることができる。また、kが
2以上の場合、オキシアルキレンユニットが互いに異な
るいわゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つもの
でもよく、その例としては、例えば、オキシエチレンユ
ニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持ち、
かつオキシプロピレンユニットを1〜50、好ましくは
1〜20の範囲で持つところの、ポリ(エチレン・プロ
ピレン)グリコールジメタクリレート、ポリ(エチレン
・プロピレン)グリコールジアクリレート、またはこれ
らの混合物などが挙げられる。一般式(20)における
37、R38およびR39は、それぞれ個別に水素または1
〜5の炭素原子を有するアルキル基であるが、このアル
キル基としては、メチル基、エチル基、i-プロピル基、
n-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基
等が挙げられる。特にR37、R38およびR39は水素、メ
チル基が好ましい。また、式中のlは1以上の整数、通
常1≦l≦100、好ましくは2≦l≦50さらに好ま
しくは2≦l≦30の範囲の整数を示すものである。m
は連結基Lの連結数であり、2≦m≦4の整数である。
連結基Lとしては、通常、炭素数1〜30、好ましくは
1〜20の二価、三価または四価の炭化水素基である。
二価炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン
基、アリールアルキレン基、アルキルアリーレン基、ま
たはこれらを基本骨格として有する炭化水素基などが挙
げられ、具体的には、 などが挙げられる。また、三価の炭化水素基としては、
アルキルトリル基、アリールトリル基、アリールアルキ
ルトリル基、アルキルアリールトリル基、またはこれら
を基本骨格として有する炭化水素基などが挙げられ、具
体的には などが挙げられる。また、四価の炭化水素基としては、
アルキルテトラリル基、アリールテトラリル基、アリー
ルアルキルテトラリル基、アルキルアリールテトラリル
基、またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基な
どが挙げられ、具体的には 等が挙げられる。
【0020】こうした化合物の具体例としては、オキシ
アルキレンユニットを1〜100、好ましくは2〜5
0、さらに好ましくは1〜20の範囲で持つトリメチロ
ールプロパントリ(ポリエチレングリコールアクリレー
ト)、トリメチロールプロパントリ(ポリエチレングリ
コールメタクリレート)、トリメチロールプロパントリ
(ポリプロピレングリコールアクリレート)、トリメチ
ロールプロパントリ(ポリプロピレングリコールメタク
リレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリエチ
レングリコールアクリレート)、テトラメチロールメタ
ンテトラ(ポリエチレングリコールメタクリレート)、
テトラメチロールメタンテトラ(ポリプロピレングリコ
ールアクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ
(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、2,2
−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]
プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエ
トキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(ア
クリロキシポリイソプロポキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリイソプロポキ
シ)フェニル]プロパン、またはこれらの混合物等を挙
げることができる。また、lが2以上の場合、オキシア
ルキレンユニットが互いに異なるいわゆる共重合オキシ
アルキレンユニットを持つものでもよく、例えば、オキ
シエチレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20の
範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜5
0、好ましくは1〜20の範囲で持つところの、トリメ
チロールプロパントリ(ポリ(エチレン・プロピレン)
グリコールアクリレート)、トリメチロールプロパント
リ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリ
レート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリ(エチ
レン・プロピレン)グリコールアクリレート)、テトラ
メチロールメタンテトラ(ポリ(エチレン・プロピレ
ン)グリコールメタクリレート)、またはこれらの混合
物などがその具体例である。もちろん、前記一般式(1
8)で表される2官能アクリロイル変性ポリアルキレン
オキシドと前記一般式(19)で表される3官能以上の
多官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドを併用
してもよい。一般式(18)で表される化合物と一般式
(19)で表される化合物を併用する場合、その重量比
は通常0.01/99.9〜99.9/0.01、好ま
しくは1/99〜99/1、さらに好ましくは20/8
0〜80/20の範囲が望ましい。本発明に使用される
一般式(1)で表される化合物と多官能アクリロイル変
性ポリアルキレンオキシドの重量比は通常1/0.00
1〜1/1、好ましくは1/0.05〜1/0.5の範
囲である。
【0021】前記極性有機溶媒の配合割合としては、一
般式(18)で表される化合物および多官能アクリロイ
ル変性ポリアルキレンオキシドの重量和に対して通常5
0〜800重量%、好ましくは100〜500重量%の
範囲が望ましい。また、前記支持電解質の配合割合は、
一般式(18)で表される化合物、多官能アクリロイル
変性ポリアルキレンオキシドおよび極性有機溶媒の重量
和に対して通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重
量%の範囲である。前記組成物Bは、これらの各成分の
他に、任意成分として、本発明を損なわない限り、さら
に別の成分を必要に応じて加えることができる。任意成
分としては、特に限定されないが、光重合のための光重
合開始剤や熱重合するための熱重合開始剤等を挙げるこ
とができる。本発明に使用される重合開始剤の使用量
は、一般式(18)で表される化合物および、多官能ア
クリロイル変性ポリアルキレンオキシドの重量和に対し
て通常0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3
重量%の範囲である。
【0022】本発明の好適な態様においては、これらの
組成物Bに、前記のビオロゲン化合物を加え、これを組
成物とし、かかる組成物を固化することにより係る高分
子固体電解質の前駆体、さらに詳しくは前駆体内の重合
性成分と当該ビオロゲン化合物を共重合するものであ
る。この共重合は、単ら当該ビオロゲン化合物を用いず
に高分子固体電解質を得る際と同様の条件で行うことが
できる。前駆体成分とビオロゲン化合物を使用する割合
は、特に限定されないが、一般式(18)で表される化
合物とビオロゲン化合物のモル比で、通常10,000
/1〜1/1、好ましくは1,000/1〜10/1程
度が望ましい。前記第2の例の高分子固体電解質は、ビ
オロゲン化合物を含む組成物Bを適宜公知の方法により
所望個所に注入した後、固化することにより対向する導
電性基板の間に介在させることができる。ここでいう固
化とは、重合性または架橋性の成分、例えば単官能また
は多官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシド、ビ
オロゲン化合物などが、重合(重縮合)や架橋の進行に
ともない硬化し、組成物全体として常温において実質的
に流動しない状態となることをいう。なお、この場合、
通常単官能または多官能アクリロイル変性ポリアルキレ
ンオキシドはともににネットワーク状の基本構造をと
る。ビオロゲンとアクリレート系反応性基を有する高分
子固体電解質前駆体との組み合わせは、各モノマー同士
がブロック化し難く、交互共重合性が強いことが良く知
られているので、ビオロゲン構造が高分子固体電解質間
に均一に分布し、ビオロゲン同士が互いに近接しにくく
なり、よって着色時に色斑が無く均質な着色が得られ
る。光硬化は、通常公知の光重合開始剤を用いて行うこ
とができる。前記光重合開始剤の組成物への配合割合
は、一般式(18)で表される化合物100重量部に対
して0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部
が望ましい。また、硬化のための光は特に限定されない
が、遠紫外光、紫外光、可視光等が挙げられ、光源とし
ては高圧水銀灯、蛍光灯、キセノン灯等を使用できる。
また照射量は、高圧水銀灯を用いた場合を例に取れば、
通常100〜50000mJ/cm2 、好ましくは10
00〜20000mJ/cm2 程度である。熱硬化は、
通常公知の熱重合開始剤を用いて行うことができる。前
記熱重合開始剤の組成物への配合割合は、一般式(1
8)で表される化合物100重量部に対して0.1〜1
0重量部、好ましくは0.1〜5重量部が望ましい。ま
た、硬化条件は、特に限定されないが、通常0〜130
℃、好ましくは20〜80℃が望ましい。また、時間
は、通常10分〜100時間、好ましくは30分〜40
時間が望ましい。なお、反応の進行は、IR、NMR等
二重結合の減少を検出することにより容易に確認でき
る。
【0023】本発明には、上記した以外のイオン伝導性
物質も勿論使用可能である。本発明において、エレクト
ロクロミック性高分子固体電解質層の厚さは、特に限定
されないが通常1μm〜3mm、好ましくは10μm〜
1mmが望ましい。こうして得られるエレクトロクロミ
ック性高分子固体電解質層は、電圧を印可することで容
易に酸化還元され着消色する。また、必要であればビオ
ロゲン化合物に、さらに発色を助長する化合物を併用し
てもよく、また発色を助長する化合物を該ビオロゲン構
造を有する化合物に結合させても良い。 また、エレク
トロクロミック性高分子固体電解質層に、さらに電子供
与体化合物を含有させてもよい。電子供与性化合物とし
ては、特に限定されないが、例えば、次の一般式(ア)
で表される化合物が挙げられ、係る化合物は、通常高分
子固体電解質の前記前駆体に混合することが望ましい。
【化33】 一般式(ア)において、R40は水素または炭素数1〜5
のアルキル基を示し、このアルキル基としては、メチル
基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−
ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等があげられ
る。R40は水素またはメチル基であることが特に好まし
い。R41、R42、R43およびR44は、水素原子、炭素数
1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基または炭化
水素残基を示し、それぞれ同一でも異なっても良い。こ
の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
基、t−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基等のアルキル基、トリル基、エチルフェニル基等のア
ルキルフェニル基、フェニル基等のアリール基、アルキ
ルアリール基、アラルキル基などが挙げられ、また炭化
水素残基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェ
ニル基などのアルコキシフェニル基などが挙げられる。
Ar1 およびAr2 は2価の芳香族炭化水素残基を示
し、具体的には、フェニレン基(o-、m-、p-)、置換フ
ェニレン基(置換基としては、典型的にはアルキル置換
フェニレン基等)、ビフェニレン基などが挙げられる。
bは0以上の整数であり、通常0〜20、好ましくは0
〜10、更に好ましくは0〜5である。cは1以上であ
り、通常1〜20、好ましくは1〜5である。付言すれ
ば、一般式(ア)で表される化合物は、一般に一般式
(イ)で表されるアミン化合物に、一般式(ウ)で表さ
れる反応性酸クロライドを反応させることで容易に得る
ことができる。
【化34】
【化35】 一般式(イ)、(ウ)において、Ar1 、Ar2 、R40
〜R44、bおよびcは一般式(ア)における定義と同様
であり、一般式(ウ)におけるZはハロゲン原子を表
し、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素
等を挙げることができる。一般式(ウ)で表される化合
物の具体例としてはアクリル酸クロライド、メタクリル
酸クロライドなどを挙げることができる。一般式(イ)
で表される化合物としてはフェニレンジアミン、N−メ
チルフェニレンジアミン、N,N’−ジメチルフェニレ
ンジアミン、N,N,N’−トリメチルフェニレンジア
ミン、N−エチルフェニレンジアミン、N,N’−ジエ
チルフェニレンジアミン、N,N,N’−トリエチルフ
ェニレンジアミン、N−フェニルフェニレンジアミン、
N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、N,N,
N’−トリフェニルフェニレンジアミン、N−トリルフ
ェニレンジアミン、N,N’−トリルフェニレンジアミ
ン、N,N,N’−トリトリルフェニレンジアミン、N
−(4−アミノフェニル)−N’−フェニルフェニレン
ジアミン、N−(4−アミノフェニル)−N,N’−ジ
フェニルフェニレンジアミン 、N−(4−アミノフェ
ニル)−N,N’,N’−トリフェニルフェニレンジア
ミン、N−(4−アミノフェニル)−N’,N’−ジフ
ェニルフェニレンジアミン、N−(4−アミノフェニ
ル)−N−トリルフェニレンジアミン、N−(4−アミ
ノフェニル)−N−フェニル−N’−トリルフェニレン
ジアミン、N−(4−アミノフェニル)−N−トリル−
N’−フェニルフェニレンジアミン、N−(4−アミノ
フェニル)−N,N’−ジトリルフェニレンジアミン、
N−(4−アミノフェニル)−N’,N’−ジトリルフ
ェニレンジアミン、N−(4−アミノフェニル)−N−
フェニル−N’,N’−ジトリルフェニレンジアミン
、N−(4−アミノフェニル)−N,N’−ジフェニ
ル−N’−トリルフェニレンジアミン、N−(4−アミ
ノフェニル)−N,N’,N’−トリトリルフェニレン
ジアミン、N−(4−アミノフェニル)−N−メチルフ
ェニレンジアミン、N−(4−アミノフェニル)−N−
フェニル−N’−メチルフェニレンジアミン、N−(4
−アミノフェニル)−N−メチル−N’−フェニルフェ
ニレンジアミン、N−(4−アミノフェニル)−N,
N’−ジメチルフェニレンジアミン、N−(4−アミノ
フェニル)−N’,N’−ジメチルフェニレンジアミ
ン、N−(4−アミノフェニル)−N−フェニル−
N’,N’−ジメチルフェニレンジアミン 、N−(4
−アミノフェニル)−N,N’−ジフェニル−N’−メ
チルフェニレンジアミン、N−(4−アミノフェニル)
−N,N’,N’−トリメチルフェニレンジアミン、ベ
ンジジン、N−メチルベンジジン、N,N’−ジメチル
ベンジジン、N,N,N’−トリメチルベンジジン、N
−エチルベンジジン、N,N’−ジエチルベンジジン、
N,N,N’−トリエチルベンジジン、N−フェニルベ
ンジジン、N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N,
N’−トリフェニルベンジジン、N−トリルベンジジ
ン、N,N’−トリルベンジジン、N,N,N’−トリ
トリルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N’
−フェニルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−
N,N’−ジフェニルベンジジン 、N−(4−アミノ
フェニル)−N,N’,N’−トリフェニルベンジジ
ン、N−(4−アミノフェニル)−N’,N’−ジフェ
ニルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N−ト
リルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N−フ
ェニル−N’−トリルベンジジン、N−(4−アミノフ
ェニル)−N−トリル−N’−フェニルベンジジン、N
−(4−アミノフェニル)−N,N’−ジトリルベンジ
ジン、N−(4−アミノフェニル)−N’,N’−ジト
リルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N−フ
ェニル−N’,N’−ジトリルベンジジン 、N−(4
−アミノフェニル)−N,N’−ジフェニル−N’−ト
リルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N,
N’,N’−トリトリルベンジジン、N−(4−アミノ
フェニル)−N−メチルベンジジン、N−(4−アミノ
フェニル)−N−フェニル−N’−メチルベンジジン、
N−(4−アミノフェニル)−N−メチル−N’−フェ
ニルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N,
N’−ジメチルベンジジン、N−(4−アミノフェニ
ル)−N’,N’−ジメチルベンジジン、N−(4−ア
ミノフェニル)−N−フェニル−N’,N’−ジメチル
ベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N,N’−
ジフェニル−N’−メチルベンジジン、N−(4−アミ
ノフェニル)−N,N’,N’−トリメチルベンジジン
等が挙げられる。一般式(ア)で表される化合物の高分
子固体電解質層中における含有量は、特に限定されない
が、通常、通常30重量%以下、典型的には0.000
01〜30重量%、好ましくは0.0001〜30重量
%、さらに好ましくは0.001〜10重量%程度が望
ましい。エレクトロクロミック性高分子固体電解質層の
形成方法は特に限定されず、真空注入法、大気注入法、
メニスカス法等によって対向させ、かつその周辺部がシ
ールされた導電基板の間に設けた間隙に注入する方法
や、導電基板の電極上に電解質兼発消色層を形成した
後、対向導電基板を合わせる方法などを用いることがで
きる。
【0024】本発明のエレクトロクロミック素子は、前
記の通り、少なくとも1枚は透明な2枚の導電基板と、
これら基板間に設けたエレクトロクロミック性高分子固
体電解質層とを有していることを特徴とするが、その基
本構成について次に説明する。図1に示すエレクトロク
ロミック素子は、透明基板1とその表面に積層させた透
明電極層2からなる透明導電基板と、透明又は不透明な
基板5とその表面に積層させた透明,不透明または反射
性導電基板4との間に、エレクトロクロミック層兼電解
質層6を挟持させた構造にある。図2には表示素子やエ
レクトロクロミック調光ガラスの例を示す。透明基板1
の一方の面に透明電極層2を形成した透明導電基板2枚
を、両基板の透明電極層が向き合うよう、適宜な間隔で
対向させ、この間隙にエレクトロクロミック層兼イオン
伝導性物質層3を挟持させた構造にある。図3にはエレ
クトロクロミックミラーの例を示す。透明基板1の一方
の面に透明電極層2を形成した透明導電基板と、透明基
板1の一方の面に透明電極層2を、他方の面に反射層7
を形成した反射性導電基板とを、両基板の透明電極層が
向き合うよう、適宜な間隔で対向させ、この間隙にエレ
クトロクロミック層兼イオン伝導性物質層3を挟持させ
た構造にある。
【0025】本発明のエレクトロクロミック素子を構成
する各膜および層の形成方法としては、特に限定される
ものではなく、各膜および層を前述の製法に従い順次作
成する方法ができる。例えば、図1に示す構成のエレク
トロクロミック素子の場合、透明基板1上に前述の方法
により透明電極層2を形成し(積層板A)、別に、基板
5上に前述の方法により透明,不透明または反射性電極
層4を形成して積層板を得る(積層板B)。続いて、積
層板Aと積層板Bを1〜1000μm程度の間隔で対向
させ、注入口を除いた周囲をシール材6でシールし、注
入口付きの空セルを作成する。 そして、ビオロゲン化
合物を含む高分子固体電解質前駆体(通常液状)を前述
の方法で注入したのち、エレクトロクロミック性高分子
固体電解質層3を形成することによりエレクトロクロミ
ック素子を得ることができる。前記積層板AとBを対向
させる際、間隔を一定に確保するために例えばスペーサ
ーを用いることができる。スペーサーとしては特に限定
されないが、ガラス、ポリマー等で構成されるビーズま
たはシートを用いることができる。スペーサーは、対向
する導電基板の間隙に挿入したり、導電基板の電極上に
樹脂等の絶縁物で構成される突起状物を形成する方法等
より設けることができる。また、ビオロゲン化合物を含
む高分子固体電解質前駆体の硬化方法としては、特に限
定されないが、光による方法、熱による方法、経時的に
硬化する反応液を注入直前に混合した後、直ちに注入し
硬化させる方法等が挙げられる。なお、注入口は適宜に
封止すればよい。また、他の方法としては、透明基板1
上に前述の方法により透明電極層2、エレクトロクロミ
ック性高分子固体電解質層3を、記載順に順次形成して
積層体を得る(積層体A’)。別に、基板5上に前述の
方法により透明,不透明または反射性電極層4を形成し
て積層体を得る(積層体B’)。ついで、積層体A’の
エレクトロクロミック性高分子固体電解質層と、積層体
B’の反射性電極層とが密着するように、両積層体を1
〜1000μm程度の間隔で対向させ、周囲をシール材
6でシールする方法が挙げられる。また、図2に示す構
成のエレクトロクロミック調光ガラスの場合は、透明基
板1の一方の面に透明電極層2を形成させた透明導電基
板2枚を調製し、図3に示すエレクロトクロミックミラ
ーの場合は、透明基板1の一方の面に透明電極層2を形
成した透明導電基板と、透明基板1の一方の面に透明電
極層2を、他方の面に反射層7を形成した反射性導電基
板とを調製し、以後は図1に示す構成のエレクトロクロ
ミック素子の場合と同様の手順で、それぞれのエレクト
ロクロミック素子を得ることができる。
【0026】本発明のエレクトロクロミック素子の代表
的な構成例については、図1〜3に示されているとおり
であるが、本発明のエレクトロクロミック素子は、これ
らの構成に何ら限定されるものではなく、さらに他の構
成要件を具備してもよい。他の構成要件としては、例え
ば、紫外線反射層や紫外線吸収層などの紫外線カット
層、ミラーの場合はミラー層全体もしくは各膜層の表面
保護を目的とするオーバーコート層などが挙げられ、前
記紫外線カット層としては、透明基板1の外界側もしく
は透明電極層側、オーバーコート層としては、透明基板
1の外界側や反射層8の外界側などに設置することが好
適な態様として挙げられる。
【0027】このように、本発明のエレクトロクロミッ
ク素子は、反応性基を有するエレクトロクロミック化合
物を固体電解質に結合させることにより、応答速度が速
く、十分な耐久性を有する。本発明のエレクトロクロミ
ック素子は、特定のエレクトロクロミック性高分子固体
電解質層を用い、工程が簡便であるため、比較的容易に
かつ安価に製造することができ、また、エレクトロクロ
ミック化合物が拡散しないために着消色が速いという優
れた特徴を有し、さらに係る化合物の仕様を変更するこ
とにより着色濃度が容易に調節できるという優れた特徴
を有する。イオン伝導性物質層として固体電解質を用い
ることが容易であり、したがって、電解質溶液が飛び散
ることがなく、大型で安全性が高い素子を作ることがで
きる。以上のことから、本発明のエレクトロクロミック
素子は、表示素子,調光ガラス,自動車等の防眩ミラ
ー、あるいは屋内で使用される装飾用ミラーなどのエレ
クトロクロミックミラーなどに好適に使用することがで
きる。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例になんら制限されるものではな
い。 実施例1 (1)エレクトロクロミック化合物の合成 アセトン中で、ビビリジルとベンジルクロライドとを等
モル量で反応させて、モノ置換体N−ベンジルビピリジ
ニウムクロライドを得た。このN−ベンジルビピリジニ
ウムクロライド5.94g(21mmol)を2−プロ
パノール150mlに溶解させ、クロロメチルスチレン
(m−,p−混合体)3.21g(21mmol)を加
えて,室温で24時間攪拌し、下記の式(21)で示さ
れるN−ベンジル−N’−ビニルベンジルビピリジニウ
ムジクロライドを得た。
【化36】 (2)電子供与体化合物の合成 500mlの3つ口フラスコにジフェニルアミン25.
4g(150mmol)、セシウムフロライド22.8
g(150mmol)を秤り取り、フラスコ内を窒素置
換して、ジメチルスルフォキシド250ml加えて撹拌
した。1−フロロ−4−ニトロベンゼン21.3g(1
50mmol)加えてオイルバスで120℃に加熱し、
24時間撹拌を継続した。反応溶液を氷水に注ぎ固体を
析出させ、得られた固体を酢酸より再結晶させて式(2
2)で表される化合物29.5g(102mmol)を
得た。
【化37】 上記のようにして得られた化合物(22)のうち15.
0g(52mmol)を、500ml3つ口フラスコに
移し、ジメチルフォルムアミド200ml、5%パラジ
ウム/カーボン1.5gを加えて、常圧で水素を供給し
た。室温で12時間撹拌を続けた後、パラジウムカーボ
ンを濾過して除き、反応溶液を氷水に注いで固体を析出
させた。得られた白色固体を減圧乾燥させ、式(23)
で示される化合物12.5g(48mmol)を得た。
【化38】 化合物(23)12.5g(48mmol)を500m
lの3つ口フラスコに移し、ベンゼン250ml、トリ
エチルアミン10mlを加えて、氷冷下で撹拌した。メ
タクリル酸クロライド6.3g(60mmol)/ベン
ゼン20ml溶液を滴下した。反応溶液を1NHCl水
溶液で2回、水で2回、1NNaOH水溶液で2回それ
ぞれ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し
て13.4g(41mmol)の化合物(24)を得
た。
【化39】 (3)エレクトロクロミックミラーの作製 一方、高反射性電極としてパラジウム薄膜の付いた基板
を用い、これを積層板Dとし、積層板Dの該パラジウム
の周辺部に、電解質前駆体溶液の注入口の部分を除いて
エポキシ系接着剤を線状に塗布し、この上にSnO2
覆された透明ガラス基板Cを、SnO2 面とパラジウム
層とが向かい合うように重ね合わせ、加圧しながら接着
剤を硬化させ、注入口付き空セルを作製した。他方で、
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート
(新中村化学工業株式会社製 MEO4)[オキシエチ
レンユニット数4] 1.0g、ポリエチレングリコー
ルジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 9
G)[オキシエチレンユニット数9]0.02g、γ−
ブチロラクトン 4.0gの混合溶液に、過塩素酸リチ
ウム0.4gを添加して均一溶液とした。暗室内で、上
記均一溶液に光重合開始剤である1−(4−イソプロピ
ルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−
1−オン(メルク社製、商品名「ダイキュア−111
6」)0.02gを添加し、さらに、(1)で得られた
N−ベンジル−N’−ビニルベンジルビピリジニウムジ
クロライド0.85g(1.84)電子供与体として知
られる化合物(24)0.60g(1.84mmol)
を加え、得られた均一溶液を脱気後、上述のようにして
作成したセルの注入口より電解質前駆体として注入し
た。注入口をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板
側から蛍光灯の光を当てて電解質前駆体を硬化させ、エ
レクトロクロミック性高分子固体電解質を得た。このよ
うにして図3構成の全固体型エレクトロクロミックミラ
ーを得た。このミラーは組み立てた時点では着色してお
らず、反射率は約85%であった。また、電圧を印可す
ると応答性に優れ、良好なエレクトロクロミック特性を
示した。すなわち、1.5Vの電圧を印可すると着色
し、反射率約15%となった。電圧印可を停止後も着色
状態を維持し100時間後も反射率10%であった。
【0030】実施例2 (1)エレクトロクロミック化合物の合成 ビピリジル3.12g(20mmol)をフラスコ中で
100mlのアセトニトリルに溶解させ、ここにクロロ
メチルスチレン(m-,p-混合体)6.10g(40mm
ol) と,重合禁止材としてヒドロキノン50mg
(0.45mmol)を加えた。室温で24時間攪拌し
た後、析出した固体を濾別、乾燥して,式(25)で示
されるN,N‘−ジ−ビニルベンジルビピリジニウムジ
クロライド7.84g(17mmol)を得た。
【化40】 (2)エレクトロクロミック調光ガラスの作製 ITO被覆された透明ガラス基板Aの周辺部に、電解質
前駆体溶液の注入口の部分を除いてエポキシ系接着剤を
線状に塗布し、この上に,同じくITO被覆された透明
ガラス基板Bを、ITO面と白金電極層とが向かい合う
ように重ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注
入口付き空セルを作製した。他方で、メトキシポリエチ
レングリコールモノメタクリレート(新中村化学工業株
式会社製 MEO4)[オキシエチレンユニット数4]
1.0g、ポリエチレングリコールジメタクリレート
(新中村化学工業株式会社製 9G)[オキシエチレン
ユニット数9]0.02g、γ−ブチロラクトン 4.
0gの混合溶液に、過塩素酸リチウム0.4gを添加
し、均一溶液とした。暗室内で、上記均一溶液に光重合
開始剤である1−(4−イソプロピルフェニル)−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社
製、商品名「ダイキュア−1116」)0.02gを添
加し、均一溶液を得た。ここに上記(1)で合成した化
合物(25)N,N‘−ジ−ビニルベンジルビピリジニ
ウムジクロライド0.85g(1.84mmol)と,
実施例1で示した電子供与体として知られる化合物(2
4)0.60g(1.84mmol)を加えて均一化さ
せ、脱気後、上述のようにして作成したセルの注入口よ
り電解質前駆体として注入した。注入口をエポキシ系接
着剤で封止した後、両面から蛍光灯の光を当てて電解質
前駆体を硬化させ、エレクトロクロミック性高分子固体
電解質を得た。このようにして図1に示す構成の全固体
型エレクトロクロミック調光ガラスを得た。この調光ガ
ラスは組み立てた時点では着色しておらず、透過率は約
90%であった。また、電圧を印可すると応答性に優
れ、良好なエレクトロクロミック特性を示した。すなわ
ち、1.5Vの電圧を印可すると着色し、633nmの
波長の光の透過率約20%となった。電圧印可を停止後
も着色状態を維持し100時間後も透過率20%であっ
た。
【0031】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、安価な発
色剤と簡便な工程により製造することが可能なエレクト
ロクロミック素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトロクロミック素子の構成の他
の一つを示す断面図である。
【図2】本発明のエレクトロクロミック調光ガラスの構
成の他の一つを示す断面図である。
【図3】本発明のエレクトロクロミックミラーの構成の
他の一つを示す断面図である。
【符号の説明】
1, 透明基板 2, 透明電極層 3 エレクトロクロミック発色層兼イオン伝導性物質
層 4 透明、不透明または反射性電極層 5 透明又は不透明な基板 6 シール材 7 反射層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1枚が透明である2枚の導電
    基板間に、高分子固体電解質の前駆体成分と、下記一般
    式(1)で表される反応性ビオロゲン化合物および/ま
    たは下記一般式(2)で表される反応性ビオロゲン化合
    物とを共重合することにより得られるエレクトロクロミ
    ック性高分子固体電解質層を設けたことを特徴とするエ
    レクトロクロミック素子。 【化1】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
    それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
    - 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
    3 - から選ばれる対アニオンを示し、R1 は水素また
    は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2 は炭素数1〜
    10の二価炭化水素残基を示し、R3 は炭素数1〜20
    の炭化水素残基,Ar1 は2価の芳香族炭化水素残基を
    各々表す。) 【化2】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
    それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
    - 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
    3 - から選ばれる対アニオンを示し、R4 ,R7 は水
    素または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R5 ,R6
    は炭素数1〜10の二価炭化水素残基を示し、Ar2
    Ar3 は2価の芳香族炭化水素残基を各々表す。)
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