JP2002311459A - エレクトロクロミックミラーの駆動方法 - Google Patents

エレクトロクロミックミラーの駆動方法

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JP2002311459A
JP2002311459A JP2001111513A JP2001111513A JP2002311459A JP 2002311459 A JP2002311459 A JP 2002311459A JP 2001111513 A JP2001111513 A JP 2001111513A JP 2001111513 A JP2001111513 A JP 2001111513A JP 2002311459 A JP2002311459 A JP 2002311459A
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mirror
electrochromic
compound
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JP2001111513A
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Shinji Oshima
伸司 大島
Yoshinori Nishikitani
禎範 錦谷
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エレクトロクロミックミラーにおいて、着色
状態を保持する電圧を最適値に設定し、当該電圧で着色
駆動することで、着色時の反射率を温度変化に対して安
定的に維持できるEC素子システムを低コストで実現す
る方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも一方が透明である2枚の導電
基板間に、エレクトロクロミック化合物を含むイオン伝
導層を設けたエレクトロクロミックミラーを駆動する方
法であって、着色駆動する電圧として、前記ミラーに電
圧Eを印加した際の波長633nmの光の反射率を
E、0Vを印加した際の波長633nmの光の反射率
をT0とし、前記ミラーに任意の電圧を印加し、横軸を
印加電圧の絶対値|E|、縦軸を−log10(TE
0)とした曲線において微分係数が初めて減少に転じ
た後、最初の極小値となった時の−log10(TE
0)の値をOD flatとした場合、−log10(TE/T
0)の値が0.4×ODflat〜0.6×ODflatの範囲
内となる電圧に対応する電圧を印加することを特徴とす
るエレクトロクロミックミラーの駆動方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の防眩ミ
ラー用、装飾用、表示用等として有用なエレクトロクロ
ミックミラーの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エレクトロクロミック素子(以
下、EC素子と略称する。)として、いくつかの方式が
考案されている。例えば、酸化タングステン(WO3
のようなエレクトロクロミック活性物質を導電基板上に
真空蒸着法などで成膜し、これを発色剤として用いてい
るものがある(特開昭63−18336号公報)。しか
しながら、このEC素子は、エレクトロクロミック活性
物質の成膜を、真空下で行わなければならないため製造
コストが高騰し、大面積のEC素子を得るためには大型
の真空装置が必要となる。一方、EC素子の制御方法と
しては、透過率あるいは反射率を制御するために、光セ
ンサーを用いたものが知られているが(特開平6−28
1967号公報)、コストがかかるという欠点がある。
特にエレクトロクロミックミラーとしては、自動車用と
いう用途について言えば、低コストが求められ、また広
範囲に及ぶ使用温度領域や振動等の過酷な使用条件下で
も安定した性能を発揮する等、信頼性や安定性の高い方
式で着消色を制御することが望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エレクトロ
クロミックミラーにおいて、着色状態を保持する電圧を
最適値に設定し、当該電圧で着色駆動することで、着色
時の反射率を温度変化に対して安定的に維持できるEC
素子システムを低コストで実現する方法を提供するもの
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、少
なくとも一方が透明である2枚の導電基板間に、エレク
トロクロミック化合物を含むイオン伝導層を設けたエレ
クトロクロミックミラーを駆動する方法であって、着色
駆動する電圧として、前記ミラーに電圧Eを印加した際
の波長633nmの光の反射率をTE、0Vを印加した
際の波長633nmの光の反射率をT0とし、前記ミラ
ーに任意の電圧を印加し、横軸を印加電圧の絶対値|E
|、縦軸を−log10(TE/T0)とした曲線において
微分係数が初めて減少に転じた後、最初の極小値となっ
た時の−log10(TE/T0)の値をODflatとした場
合、−log10(TE/T0)の値が0.4×ODflat
0.6×ODflatの範囲内となる電圧に対応する電圧を
印加することを特徴とするエレクトロクロミックミラー
の駆動方法に関する。
【0005】また、本発明は、前記エレクトロクロミッ
ク化合物が、少なくともアノード性エレクトロクロミッ
ク化合物およびカソード性エレクトロクロミック化合物
からなることを特徴とする前記エレクトロクロミックミ
ラーの駆動方法に関する。また、本発明は、前記エレク
トロクロミック化合物が、アノード性エレクトロクロミ
ック構造およびカソード性エレクトロクロミック構造を
併有している化合物であることを特徴とする前記エレク
トロクロミックミラーの駆動方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明において用いるエレクトロクロミッ
クミラー(以下、ECミラーと略称する。)について説
明する。本発明のECミラーには2枚の導電基板が使用
される。ここで導電基板とは電極としての機能を果たす
基板を意味する。従って、本発明でいう導電基板には、
基板自体を導電性材料で製造したものと、導電性を持た
ない基板の片面又は両面に電極層を積層させた積層板が
包含される。導電性を備えているか否かに拘らず、基板
自体は常温において平滑な面を有していることが好まし
いが、その面は平面であっても、曲面であっても差し支
えなく、応力で変形するものであっても差し支えない。
【0007】本発明で使用される2枚の導電基板のうち
一方は透明導電基板であり、他方は光を反射できる反射
性導電基板である。透明導電基板は、通常、透明基板上
に透明電極層を積層させて製造される。ここで、透明と
は可視光領域において10〜100%の光透過率を有す
ることを意味する。透明基板の材質は特に限定されず、
例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等であっ
て差し支えなく、無色あるいは有色の透明性樹脂でもよ
い。ここでいう透明性樹脂の具体例としては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
アミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタク
リレート、ポリスチレン等が挙げられる。
【0008】透明電極層としては、例えば、金、銀、ク
ロム、銅、タングステン等の金属薄膜、金属酸化物から
なる導電膜などが使用できる。前記金属酸化物として
は、例えば、ITO(In23−SnO2)、酸化錫、
酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム等が挙げられ、特に
ITOを用いることが好ましい。透明電極層の膜厚は、
特に制限されるものではないが、通常10〜1000n
m、好ましくは50〜300nmの範囲にあり、表面抵
抗(抵抗率)は特に制限されるものではないが、通常
0.5〜500Ω/sq.、好ましくは1〜100Ω/
sq.、より好ましくは3〜30Ω/sq.の範囲にあ
ることが望ましい。透明電極層の形成には、公知の手段
を任意に採用することができるが、透明電極を構成する
金属及び/又は金属酸化物等の種類により、採用する手
段を選択するのが好ましい。通常は、真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法、スパッタリング法、ゾルゲル法等
が採用される。
【0009】本発明で使用可能な反射性導電基板として
は、(1)導電性を持たない透明又は不透明な基板上に
反射性電極層を積層させた積層体、(2)導電性を持た
ない透明基板の一方の面に透明電極層を、他方の面に反
射層を積層させた積層体、(3)導電性を持たない透明
基板上に反射層を、その反射層上に透明電極層を積層さ
せた積層体、(4)反射板を基板とし、これに透明電極
層を積層させた積層体、および(5)基板自体が光反射
層と電極層の両方の機能を備えた板状体などが例示でき
る。
【0010】本発明でいう反射性電極層とは、鏡面を有
し、しかも電極として電気化学的に安定な機能を発揮す
る薄膜を意味する。そのような薄膜としては、例えば、
金、白金、タングステン、タンタル、レニウム、オスミ
ウム、イリジウム、銀、ニッケル、パラジウム等の金属
膜や、白金−パラジウム、白金−ロジウム、ステンレス
等の合金膜が挙げられる。このような鏡面を備えた薄膜
の形成には、任意の方法が採用可能であって、例えば、
真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング
法などを適宜採用することができる。
【0011】反射性電極層を設ける基板は透明である
か、不透明であるかを問わない。従って、反射性電極層
を設ける基板としては、先に例示した透明基板の他、透
明でない各種のプラスチック、ガラス、木材、石材等が
使用可能である。本発明で言う反射板または反射層と
は、鏡面を有する基板又は薄膜を意味し、これには、例
えば、銀、クロム、アルミニウム、ステンレス、ニッケ
ル−クロム等の板状体又はその薄膜が含まれる。なお、
上記した反射性電極層自体が剛性を備えていれば、基板
の使用を省略することができる。また、本発明において
は、これらの導電基板周辺部の導電層面に、導電層の表
面抵抗値よりも低い抵抗値を有する導電材料からなる電
極層を設けることができる。電極層は、導電基板周辺部
全周にわたって設けることもできるし、部分的に切断さ
れてもかまわない。
【0012】電極層としては、導電基板よりも高い導電
性が得られるものであれば特に限定されないが、例え
ば、金、銀、クロム、銅、タングステン等の金属からな
る導電膜や、これらの金属を樹脂に分散させた導電ペー
ストから作製した導電膜などが使用できる。電極層の
幅、膜厚および表面抵抗(抵抗率)は使用する導電基板
の導電層の表面抵抗よりも低いものが得られれば、特に
制限されるものではないが、通常、幅は0.05〜10
0mm、好ましくは0.1〜20mm、さらに好ましく
は0.5〜2mmの範囲にあり、膜厚は0.2〜500
μm、好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましく
は1〜20μmの範囲にあり、表面抵抗(抵抗率)は使
用する導電基板の導電層の表面抵抗に対して通常1/5
以下、好ましくは1/10以下であることが望ましい。
【0013】電極層の形成には、公知の手段を任意に採
用することができるが、電極を構成する材料により、採
用する手段を選択するのが好ましい。金属からなる導電
膜であれば、通常は、真空蒸着法、イオンプレーティン
グ法、スパッタリング法、ゾルゲル法等が採用される。
また、金属を樹脂に分散させた導電ペーストから導電膜
を作製する際には、スクリーン印刷、ディスペンサー法
等が採用される。
【0014】本発明に係るECミラーのイオン伝導層
は、通常、室温で1×10-7S/cm以上、好ましくは
1×10-6S/cm以上、さらに好ましくは1×10-5
S/cm以上のイオン伝導度を示すことが望ましい。ま
た、イオン伝導層の厚さは、通常、1μm以上、好まし
くは10μm以上であり、3mm以下、好ましくは1m
m以下であることが望ましい。本発明においては上記イ
オン伝導層にスペーサを含有させてもよい。
【0015】本発明のイオン伝導層にはエレクトロクロ
ミック化合物が含まれる。エレクトロクロミック化合物
としては、本発明の目的を達成するものであれば特に限
定されないが、通常、アノード性エレクトロミック化合
物、カソード性エレクトロクロミック化合物、アノード
性エレクトロクロミック構造とカソード性エレクトロク
ロミック構造を併有する化合物などが挙げられる。
【0016】カソード性エレクトロクロミック化合物と
しては、電気化学的還元反応により吸収スペクトルの増
大を伴うものであれば特に制限されなく、可逆的な酸化
還元反応を示し、スチリル化合物誘導体、ビオロゲン化
合物誘導体、アントラキノン系化合物誘導体などが挙げ
られる。またアノード性エレクトロクロミック化合物と
しては、電気化学的酸化反応により吸収スペクトルの増
大を伴うものであれば特に制限されなく、可逆的な酸化
還元反応を示し、ピラゾリン系化合物誘導体、メタロセ
ン化合物誘導体、フェニレンジアミン化合物誘導体、フ
ェナジン化合物誘導体、フェノキサジン化合物誘導体、
フェノチアジン化合物誘導体、テトラチアフルバレン誘
導体などが挙げられる。
【0017】またこれらのカソード性エレクトロクロミ
ック特性を有する構造とアノード性エレクトロクロミッ
ク特性を有する構造を併有する有機化合物(以下、化合
物(A)という。)も使用できる。このような化合物に
おいて、当該化合物に含まれるカソード性エレクトロク
ロミック構造およびアノード性エレクトロクロミック構
造の数は、一分子当りそれぞれ2個以下であることが好
ましい。換言すれば、化合物(A)は、一分子中に1個
のカソード性エレクトロクロミック構造と、1個のアノ
ード性エレクトロクロミック構造を含有する有機化合
物、一分子中に1個のカソード性エレクトロクロミック
構造と、2個のアノード性エレクトロクロミック構造を
含有する有機化合物、一分子中に2個のカソード性エレ
クトロクロミック構造と、1個のアノード性エレクトロ
クロミック構造を含有する有機化合物及び一分子中に2
個のカソード性エレクトロクロミック構造と、2個のア
ノード性エレクトロクロミック構造を含有する有機化合
物からなる群から選ばれる1種又は2種以上であること
が望ましい。
【0018】ここでいうカソード性エレクトロクロミッ
ク構造とは、ビオロゲン化合物誘導体構造、アントラキ
ノン系化合物誘導体構造などのいずれかを意味し、アノ
ード性エレクトロクロミック構造とは、ピラゾリン系化
合物誘導体構造、メタロセン化合物誘導体構造、フェニ
レンジアミン化合物誘導体構造、ベンジジン化合物誘導
体構造、フェナジン化合物誘導体構造、フェノキサジン
化合物誘導体構造、フェノチアジン化合物誘導体構造、
テトラチアフルバレン誘導体構造などのいずれかを意味
する。
【0019】本発明において、エレクトロクロミック活
性物質として機能する化合物(A)は、好ましくは、下
記の一般式(1)で表されるビピリジニウムイオン対構
造と、下記の一般式(2)又は(3)で表されるメタロ
セン構造を含有する。
【0020】
【化1】
【化2】
【0021】一般式(1)において、A-およびB-は同
一でも異なっていてもよく、それぞれ個別にハロゲンア
ニオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、お
よびCH3(C64)SO3 -から選ばれる対アニオンを
示す。ここでいうハロゲンアニオンとしては、F-、C
-、Br-、I-等が挙げられる。
【0022】一般式(2)および(3)において、R1
およびR2は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル
基およびアリール基から選ばれる炭化水素基を示す。ア
ルキル基としてはメチル基、エチル基、i−プロピル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n
−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基など
が例示され、アリール基としてはフェニル基が代表例と
して挙げられる。これらの中でも、特に、メチル基、エ
チル基、プロピル基が好ましい。なお、R1またはR2
シクロペンタジエニル環と結合し、環を形成してもよい
し、互いに異なるシクロペンタジエニル環を架橋する基
を形成してもよい。
【0023】mは0≦m≦4の範囲の整数を表し、nは
0≦n≦4の範囲の整数を表す。mおよびnは0または
1であることが好ましく、共に0であることが特に望ま
しい。MeはCr、Co、Fe、Mg、Ni、Os、R
u、V、X−Hf−Y、X−Mo−Y、X−Nb−Y、
X−Ti−Y、X−V−YまたはX−Zr−Yを示し、
好ましくはFeである。なお、ここでいうXおよびYは
水素、ハロゲンまたは炭素数1〜12のアルキル基を表
し、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0024】化合物(A)として好ましい有機化合物に
は、下記の一般式(4)〜(7)で表される化合物が含
まれる。
【0025】
【化3】
【0026】一般式(4)〜(7)において、R1
2、m、n、Me、A-およびB-は、前記一般式
(1)〜(3)における定義と同一である。R3および
4は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20、
好ましくは1〜10の2価の炭化水素残基を示す。炭化
水素残基の好適な具体例としてはアルキレン等の炭化水
素基の他、エステル、エーテル、アミド、チオエーテ
ル、アミン、ウレタン、シリルなどが挙げられる。
【0027】エステルとしては一般式−R−COO−R
−または−R−OCO−R−(Rは個別に炭素数1〜8
のアルキレンを示す。)で表されるものが挙げられ、具
体的には−C48−COO−C24−、−C48−OC
O−C24−、−C48−COO−C48−、−C48
−OCO−C48−が挙げられる。エーテルとしては一
般式−R−O−R−(Rは個別に炭素数1〜10のアル
キレンを示す。)で表されるものが挙げられ、具体的に
は−C48−O−C24−、−C48−O−C48−が
挙げられる。
【0028】アミドとしては一般式−R−CONH−R
−または−R−NHCO−R−(Rは個別に炭素数1〜
8のアルキレンを示す。)で表されるものが挙げられ、
具体的には−C48−CONH−C24−、−C48
NHCO−C24−、−C48−CONH−C48−、
−C48−NHCO−C48−が挙げられる。チオエー
テルとしては一般式−R−S−R−(Rは個別に炭素数
1〜10のアルキレンを示す。)で表されるものが挙げ
られ、具体的には−C48−S−C24−、−C48
S−C48−が挙げられる。
【0029】アミンとしては一般式−R−NH−R−
(Rは個別に炭素数1〜10のアルキレンを示す。)で
表されるもの、一般式−R−NH−A−基(Rは個別に
炭素数1〜10のアルキレン、Aは炭素数6〜12のア
リーレン基や置換アリーレン基を各々示す。)が挙げら
れ、具体的には−C48−NH−C24−、−C48
NH−C48−が挙げられる。ウレタンとしては一般式
−R−OCONH−R−または−R−NHCOO−R−
(Rは個別に炭素数1〜8のアルキレンを示す。)で表
されるものが挙げられ、具体的には−C48−OCON
H−C24−、−C48−NHCOO−C24−、−C
48−OCONH−C48−、−C48−NHCOO−
48−が挙げられる。
【0030】シリルとしては一般式−R−Si(R’)
2−R−(Rは個別に炭素数1〜8のアルキレン、R’
はメチル基またはエチル基を示す。)で表されるものが
挙げられ、具体的には−C48−Si(CH32−C2
4−、−C48−Si(CH 32−C48−、−C4
8−Si(C252−C24−、−C48−Si(C2
52−C48−が挙げられる。
【0031】R5は炭素数1〜20、好ましくは1〜1
0のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ア
リール基およびアラルキル基に例示される炭化水素基、
炭素数4〜20、好ましくは4〜10の複素環芳香族
基、該炭化水素基または複素環芳香族基の水素の一部が
置換基により置換された置換炭化水素残基または置換複
素環芳香族置換基、炭素数4〜20、好ましくは4〜1
0の複素環芳香族基を示す。
【0032】アルキル基としてはメチル基、エチル基、
i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−
ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプ
チル基が例示され、シクロアルキル基としてはシクロヘ
キシル基などが例示され、アリール基としてはフェニル
基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基な
どが例示され、アルケニル基としては、ビニル基、アリ
ル基が例示され、アラルキル基としては、ベンジル基、
フェニルプロピル基が例示され、複素環芳香族基として
は、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジル
基、イソキノリン基が例示される。
【0033】置換炭化水素残基または置換複素環芳香族
基における置換基としては、炭素数1〜10、好ましく
は1〜5のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ア
シル基、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ
基、アミノ基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メ
トキシ基、エトキシ基等が例示され、アルコキシカルボ
ニル基としてはメトキシカルボニル基が、アシル基とし
てはアセチル基などが、ハロゲンとしてはCl、Fなど
が例示され、置換炭化水残基としてはメトキシフェニル
基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシ
クロロフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニ
ル基、メトキシカルボニルフェニル基、メトキシナフチ
ル基などが代表例として挙げられる。
【0034】一般式(4)〜(7)で表される化合物の
具体例を例示すれば、次の通りである。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0035】イオン伝導層におけるこれらのエレクトロ
クロミック化合物の濃度は、特には制限されないが、通
常、イオン伝導層中に1mM以上、好ましくは5mM以
上、さらに好ましくは10mM以上であり、300mM
以下、好ましくは200mM以下、さらに好ましくは1
00mM以下の値にある。
【0036】また、本発明におけるイオン伝導層は、液
系イオン伝導性物質、ゲル化液系イオン伝導性物質ある
いは固体系イオン伝導性物質のいずれかを用いて形成す
ることができるが、特に固体系イオン伝導性物質を使用
することが望ましく、これによって本発明のECミラー
を実用性に富んだ種々の固体型ECミラーにすることが
できる。
【0037】液系イオン伝導性物質 液系イオン導電性物質は、塩類、酸類、アルカリ類等の
支持電解質を溶媒に溶解して調製される。これらの支持
電解質は、エレクトロクロミック活性物質がイオン性で
ある場合には使用しなくてもかまわない。溶媒として
は、電気化学セルや電池に一般に使用される溶媒が、い
ずれも使用可能である。具体的には、無水酢酸、メタノ
ール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカ
ーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホ
スホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタ
ン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホ
ラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタ
ロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリ
ル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメ
チルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメ
チルホスフェイト、ポリエチレングリコール等が使用可
能であって、特に、プロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタ
ン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラ
ン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシ
エタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキ
シアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロ
リジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スル
ホラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチレングリコ
ール等が好ましい。溶媒はその1種を単独で使用でき、
また2種以上を混合しても使用できる。
【0038】溶媒の使用量は特に制限はないが、通常、
溶媒はイオン伝導層の20質量%以上、好ましくは50
重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上を占め、
かつ98重量%以下、好ましくは95重量%以下、さら
に好ましくは90重量%以下の値にある。
【0039】支持電解質としては、電気化学の分野又は
電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が
使用できる。塩類としては、特に制限はなく、例えば、
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン
塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩など
が挙げられる。塩類の具体例としてはLiClO4、L
iSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3
LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaCl
4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等の
Li、Na、Kのアルカリ金属塩;(CH34NB
4、(C254NBF4、(n−C494NBF4
(C254NBr、(C254NClO4、(n−C4
94NClO4等の4級アンモニウム塩またはこれら
の混合物が好適なものとして挙げられる。
【0040】酸類としても特に限定されず、無機酸、有
機酸などが、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホ
ン酸類、カルボン酸類などが使用できる。アルカリ類と
しても特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
支持電解質の使用量は任意であるが、一般的には、支持
電解質はイオン伝導層中に0.01M以上、好ましくは
0.1M以上、さらに好ましくは0.5M以上存在し、
その上限値は20M、好ましくは10M、さらに好まし
くは5Mの値にある。
【0041】ゲル化液系イオン伝導性物質 ゲル化液系イオン伝導性物質は、上記した液系イオン伝
導性物質を増粘又はゲル化させた物質を意味し、このも
のは液系イオン伝導性物質にさらにポリマー又はゲル化
剤を配合して調製される。これに使用されるポリマー
は、特に限定されず、例えば、ポリアクリロニトリル、
カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエ
チレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、
ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミ
ド、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレンオキサ
イド、ナフィオンなどが使用できる。ゲル化剤も特には
限定されず、オキシエチレンメタクリレート、オキシエ
チレンアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル
アミド、寒天などが使用できる。
【0042】固体系イオン伝導性物質 固体系イオン伝導性物質は、室温で固体であり、かつイ
オン伝導性を有する物質を指し、これには、ポリエチレ
ンオキサイド、オキシエチレンメタクリレートのポリマ
ー、ナフィオン、ポリスチレンスルホン酸、Li3N、
Na-β-Al2 3、Sn(HPO42・H2O等を使用
することができる。このほか、オキシアルキレンメタク
リレート系化合物、オキシアルキレンアクリレート系化
合物またはウレタンアクリレート系化合物を重合するこ
とによって得られる高分子化合物に、支持電解質を分散
させた高分子固体電解質が使用可能である。
【0043】本発明が推奨する高分子固体電解質の第1
の例は、下記の一般式(8)で表されるウレタンアクリ
レートと、上記した溶媒及び支持電解質を含有する組成
物を、固化させて得られる高分子固体電解質である。な
お、高分子固体電解質に関していう固化とは、重合性ま
たは架橋性成分が重合(重縮合)反応又は架橋反応によ
って硬化し、組成物全体が常温で実質的に流動しない状
態になることを指す。この固化によって重合性または架
橋性成分は3次元網目構造(ネットワーク)を形成す
る。
【0044】
【化10】
【0045】(式中、R6およびR7は同一または異なる
基であって、一般式(9)〜(11)で表される基から
選ばれる基を示す。R8およびR9は同一または異なる基
であって、炭素数1〜20、好ましくは2〜12の2価
炭化水素残基を示す。Yはポリエーテル単位、ポリエス
テル単位、ポリカーボネート単位またはこれらの混合単
位を示す。またaは1〜100、好ましくは1〜50、
さらに好ましくは1〜20の範囲の整数である。)
【0046】
【化11】
【0047】一般式(9)〜(11)において、R10
12は同一または異なる基であって、水素原子または炭
素数1〜3のアルキル基を示す。またR13は炭素数1〜
20、好ましくは炭素数2〜8の2〜4価の有機残基を
示す。この有機残基としては、具体的には、アルキルト
リイル基、アルキルテトライル基、下記の一般式(1
2)で示されるアルキレン基等の炭化水素残基などが挙
げられる。
【0048】
【化12】
【0049】一般式(12)において、R14は炭素数1
〜3のアルキル基または水素を示し、bは0〜6の整数
である。bが2以上の場合、R14は同一でも異なっても
良い。一般式(12)中の水素原子は、その一部が炭素
数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素数6
〜12のアリールオキシ基などの含酸素炭化水素基によ
り置換されていてもよい。一般式(9)〜(11)にお
けるR13の具体例としては、メチレン基、テトラメチレ
ン基、1−メチル−エチレン基、1,2,3−プロパン
トリイル基、ネオペンタントリイル基等を好ましく挙げ
ることができる。
【0050】一般式(8)のR8及びR9で示される2価
の炭化水素残基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭
化水素基、脂環式炭化水素基などが挙げられるが、脂肪
族炭化水素基としては、先の一般式(12)で表される
アルキレン基等を挙げることができる。また、2価の芳
香族炭化水素基および2価の脂環式炭化水素基として
は、下記一般式(13)〜(15)で表される炭化水素
基等が挙げられる。
【0051】
【化13】
【0052】一般式(13)〜(15)において、R15
及びR16は同一または異なる基であって、フェニレン
基、置換フェニレン基(アルキル置換フェニレン基
等)、シクロアルキレン基、置換シクロアルキレン基
(アルキル置換シクロアルキレン基等)を示す。R17
20は同一または異なる基であって、水素原子または炭
素数1〜3のアルキル基を示す。また、cは1〜5の整
数である。一般式(8)におけるR8およびR9の具体例
としては、以下に示す2価の基が挙げられる。
【0053】
【化14】
【0054】一般式(8)におけるYはポリエーテル単
位、ポリエステル単位およびポリカーボネート単位また
はこれらの混合単位を示すが、このポリエーテル単位、
ポリエステル単位、ポリカーボネート単位及びこれらの
混合単位としては、それぞれ下記の一般式(a)〜
(d)で示される単位を挙げることができる。
【0055】
【化15】
【0056】一般式(a)〜(d)において、R21〜R
26は同一または異なる基であって、炭素数1〜20、好
ましくは2〜12の2価の炭化水素残基を示す。R21
26は、直鎖または分岐のアルキレン基などが好まし
い。具体的には、R23はメチレン基、エチレン基、トリ
メチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘ
キサメチレン基、プロピレン基等であることが好まし
く、R21〜R22およびR24〜R26はエチレン基、プロピ
レン基等であることが好ましい。c’は2〜300、好
ましくは10〜200の整数である。d’は1〜30
0、好ましくは2〜200の整数、e’は1〜200、
好ましくは2〜100の整数、e’’は1〜200、好
ましくは2〜100の整数、f’は1〜300、好まし
くは10〜200の整数である。
【0057】一般式(a)〜(d)において、各単位は
同一でも、異なる単位の共重合でも良い。即ち、複数の
21〜R26が存在する場合、R21同志、R22同志、R23
同志、R24同志、R25同志およびR26同志は同一でも異
なっても良い。
【0058】一般式(8)で表されるウレタンアクリレ
ートの分子量は、通常、重量平均分子量で2,500〜
30,000、好ましくは3,000〜20,000の
範囲にあり、1分子中の重合官能基数は、好ましくは2
〜6、さらに好ましくは2〜4の範囲にある。一般式
(8)で表されるウレタンアクリレートは、公知の方法
により容易に製造することができ、その製法は特に限定
されるものではない。
【0059】一般式(8)で表されるウレタンアクリレ
ートを含有する高分子固体電解質は、このウレタンアク
リレートに、前記液系イオン伝導性物質で説明した溶媒
と支持電解質を混合したものを前駆体組成物とし、係る
組成物を固化することにより調製されるが、溶媒の添加
量はウレタンアクリレート100質量部当たり、通常1
00〜1200質量部、好ましくは200〜900質量
部の範囲で選ばれる。溶媒の添加量が少なすぎると、最
終的に得られる高分子固体電解質のイオン伝導度が不足
し、多すぎると固体電解質の機械的強度が低下する恐れ
がある。支持電解質の添加量は溶媒添加量の0.1〜3
0質量%、好ましくは1〜20質量%の範囲で選ばれ
る。ウレタンアクリレートを含有する高分子固体電解質
には、必要に応じて架橋剤や重合開始剤を添加すること
ができる。
【0060】本発明が推奨する高分子固体電解質の第2
の例は、アクリロイル変性またはメタクリロイル変性さ
れたポリアルキレンオキシド(以下、この両者を変性ポ
リアルキレンオキシドと総称する。)と、溶媒と、支持
電解質を含有する組成物を固化させて得られる高分子固
体電解質である。
【0061】変性ポリアルキレンオキシドには、単官能
変性ポリアルキレンオキシド、2官能変性ポリアルキレ
ンオキシド、3官能以上の多官能変性ポリアルキレンオ
キシドが包含される。これらの各変性ポリアルキレンオ
キシドは単独で用いても混合して用いてもよく、特に、
単官能変性ポリアルキレンオキシドを必須とし、これに
2官能変性ポリアルキレンオキシドおよび/または多官
能変性ポリアルキレンオキシドを混合使用することが好
ましい。とりわけ、単官能変性ポリアルキレンオキシド
と2官能変性ポリアルキレンオキシドを混合して使用す
ることが好ましい。混合使用する場合の混合比率は任意
に選ぶことができるが、単官能変性ポリアルキレンオキ
シド100質量部に対して、2官能変性ポリアルキレン
オキシドおよび/または多官能変性ポリアルキレンオキ
シドを、合計量で0.1〜20質量部、好ましくは0.
5〜10質量部の範囲で選ばれる。
【0062】単官能変性ポリアルキレンオキシドは下記
の一般式(16)で表される。
【化16】 (式中、R27、R28、R29およびR30は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、g’は1以上の整数である。)
【0063】一般式(16)において、R27、R28、R
29およびR30のアルキル基としては、メチル基、エチル
基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、
t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられ、互いに同
一でも異なってもよく、特にR27は水素またはメチル
基、R28は水素またはメチル基、R29は水素またはメチ
ル基、R30は水素、メチル基またはエチル基であること
がそれぞれ好ましい。一般式(16)において、g’は
1以上の整数、通常1≦g’≦100、好ましくは2≦
g’≦50、さらに好ましくは2≦g’≦30の範囲の
整数である。
【0064】一般式(16)で表される化合物の具体例
としては、オキシアルキレンユニットを1〜100、好
ましくは2〜50、さらに好ましくは2〜20の範囲で
持つメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、
メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、エ
トキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキ
シポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプ
ロピレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレ
ングリコールアクリレート、エトキシポリプロピレング
リコールアクリレート、またはこれらの混合物等を挙げ
ることができ、これらの中でも特にメトキシポリエチレ
ングリコールメタクリレートおよびメトキシポリエチレ
ングリコールアクリレートが好ましく用いられる。
【0065】一般式(16)のg’が2以上の場合、オ
キシアルキレンユニットは互いに異なるいわゆる共重合
オキシアルキレンユニットを持つものでもよく、その重
合形態は交互共重合、ブロック共重合またはランダム共
重合のいずれでもよい。その具体例としては、例えば、
オキシエチレンユニットを1〜50、好ましくは1〜2
0の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜
50、好ましくは1〜20の範囲で持つ交互共重合体、
ブロック共重合体またはランダム共重合体であるところ
の、メトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコール
メタクリレート、エトキシポリ(エチレン・プロピレ
ン)グリコールメタクリレート、メトキシポリ(エチレ
ン・プロピレン)グリコールアクリレート、エトキシポ
リ(エチレン・プロピレン)グリコールアクリレート、
またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0066】2官能変性ポリアルキレンオキシドは、下
記の一般式(17)で表され、3官能以上の多官能アク
リロイル変性ポリアルキレンオキシドは、下記の一般式
(18)で表される。
【0067】
【化17】 (式中、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ個別
に水素または1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示
し、h’は1以上の整数である。)
【0068】
【化18】 (式中、R35、R36およびR37は、それぞれ個別に水素
または1〜5の炭素原子を有するアルキル基であり、
i’は1以上の整数であり、j’は2〜4の整数であ
り、Lはj’価の連結基を示す。)
【0069】一般式(17)において、式中のR31、R
32、R33およびR34は、それぞれ個別に水素または1〜
5の炭素原子を有するアルキル基を示すが、このアルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、
n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペ
ンチル基等が挙げられる。特に、R31、R32、R33およ
びR34はそれぞれ水素またはメチル基であることが好ま
しい。
【0070】また、一般式(17)中のh’は、1以上
の整数、通常1≦h’≦100、好ましくは2≦h’≦
50、さらに好ましくは2≦h’≦30の範囲の整数で
あるが、そうした化合物の具体例は、オキシアルキレン
ユニットを1〜100、好ましくは2〜50、さらに好
ましくは1〜20の範囲で持つポリエチレングリコール
ジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポ
リプロピレングリコールジメタクリレート、またはこれ
らの混合物等を挙げることができる。また、h’が2以
上の場合、オキシアルキレンユニットが互いに異なるい
わゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つものでも
よく、その重合形態は交互共重合、ブロック共重合また
はランダム共重合のいずれでもよい。その例としては、
例えば、オキシエチレンユニットを1〜50、好ましく
は1〜20の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニッ
トを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持つ交互共
重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合体であ
るところの、ポリ(エチレン・プロピレン)グリコール
ジメタクリレート、ポリ(エチレン・プロピレン)グリ
コールジアクリレート、またはこれらの混合物などが挙
げられる。
【0071】一般式(18)におけるR35、R36および
37は、それぞれ個別に水素または1〜5の炭素原子を
有するアルキル基であるが、このアルキル基としては、
メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が
挙げられる。特にR35、R36およびR37はそれぞれ水素
またはメチル基が好ましい。
【0072】また、一般式(18)中のi’は1以上の
整数、通常1≦i’≦100、好ましくは2≦i’≦5
0さらに好ましくは2≦i’≦30の範囲の整数を示す
ものである。一般式(18)中のj’は連結基Lの連結
数であり、2≦j’≦4の範囲の整数である。連結基L
としては、通常、炭素数1〜30、好ましくは1〜20
の2価、3価または4価の炭化水素基である。2価炭化
水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、アリー
ルアルキレン基、アルキルアリーレン基、またはこれら
を基本骨格として有する炭化水素基などが挙げられ、具
体的にはメチレン基、エチレン基、
【0073】
【化19】 などが挙げられる。
【0074】また、3価の炭化水素基としては、アルキ
ルトリイル基、アリールトリイル基、アリールアルキル
トリイル基、アルキルアリールトリイル基、またはこれ
らを基本骨格として有する炭化水素基などが挙げられ、
具体的には
【化20】 などが挙げられる。
【0075】また、4価の炭化水素基としては、アルキ
ルテトライル基、アリールテトライル基、アリールアル
キルテトライル基、アルキルアリールテトライル基、ま
たはこれらを基本骨格として有する炭化水素基などが挙
げられ、具体的には
【化21】 等が挙げられる。
【0076】こうした化合物の具体例としては、オキシ
アルキレンユニットを1〜100、好ましくは2〜5
0、さらに好ましくは1〜20の範囲で持つトリメチロ
ールプロパントリ(ポリエチレングリコールアクリレー
ト)、トリメチロールプロパントリ(ポリエチレングリ
コールメタクリレート)、トリメチロールプロパントリ
(ポリプロピレングリコールアクリレート)、トリメチ
ロールプロパントリ(ポリプロピレングリコールメタク
リレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリエチ
レングリコールアクリレート)、テトラメチロールメタ
ンテトラ(ポリエチレングリコールメタクリレート)、
テトラメチロールメタンテトラ(ポリプロピレングリコ
ールアクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ
(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、2,2
−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]
プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエ
トキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(ア
クリロキシポリイソプロポキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリイソプロポキ
シ)フェニル]プロパン、またはこれらの混合物等を挙
げることができる。
【0077】また、一般式(18)のi’が2以上の場
合、オキシアルキレンユニットが互いに異なるいわゆる
共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよく、
その重合形態は、交互共重合、ブロック共重合、ランダ
ム共重合のいずれであってもよい。オキシエチレンユニ
ットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持ち、か
つオキシプロピレンユニットを1〜50、好ましくは1
〜20の範囲で持つ交互共重合体、ブロック共重合体ま
たはランダム共重合体であるところの、トリメチロール
プロパントリ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコー
ルアクリレート)、トリメチロールプロパントリ(ポリ
(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレー
ト)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリ(エチレン
・プロピレン)グリコールアクリレート)、テトラメチ
ロールメタンテトラ(ポリ(エチレン・プロピレン)グ
リコールメタクリレート)、またはこれらの混合物など
がその具体例である。
【0078】一般式(17)で表される2官能変性ポリ
アルキレンオキシドと、一般式(18)で表される3官
能以上の多官能変性ポリアルキレンオキシドを併用して
もよい。併用する場合の質量比は、通常、0.01/9
9.9〜99.9/0.01、好ましくは1/99〜9
9/1、さらに好ましくは20/80〜80/20の範
囲が望ましい。
【0079】上記した変性ポリアルキレンオキシドを含
有する高分子固体電解質は、変性ポリアルキレンオキシ
ドに、前記液系イオン伝導性物質で説明した溶媒と支持
電解質を混合したものを前駆体組成物とし、係る組成物
を固化することにより調製されるが、溶媒の添加量は変
性ポリアルキレンオキシド全量の50〜800質量%、
好ましくは100〜500質量%の範囲で選ばれる。ま
た、支持電解質の添加量は、変性ポリアルキレンオキシ
ド全量と溶媒の合計量の1〜30質量%、好ましくは3
〜20質量%の範囲で選ばれる。
【0080】変性ポリアルキレンオキシドを含有する高
分子固体電解質には、必要に応じて架橋剤や重合開始剤
を添加することができる。高分子電解質に添加可能な架
橋剤としては、2つ以上の官能基を有するアクリレート
系架橋剤が好ましい。その具体例としては、例えば、エ
チレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメ
タクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジ
エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリ
コールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタ
クリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアク
リレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート等が
挙げられる。これらは使用に際して、単独若しくは混合
物として用いることができる。
【0081】架橋剤の使用量は、高分子固体電解質に含
まれる重合性のウレタンアクリレートまたは変性ポリア
ルキレンオキシド100モル%に対し、0.01モル%
以上、好ましくは0.1モル%以上であり、10モル%
以下、好ましくは5モル%以下である。
【0082】高分子固体電解質に添加可能な重合開始剤
は、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別される。光重合
開始剤の種類は特に限定されず、ベンゾイン系、アセト
フェノン系、ベンジルケタール系、アシルホスフィンオ
キサイド系等の公知のものを用いることができる。具体
的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4−メトキ
シベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、2,2
−ジメトキシ−2−フェニルジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン、ベンジル、ベンゾイル、2−メチルベ
ンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、トリフェニ
ルホスフィン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロ
キシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2
−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチ
ル−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリ
ノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミ
ノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−
オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1
−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプ
ロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパ
ン−1−オン、ベンゾイン、2,4,6−トリメチルベ
ンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が、単独で若
しくは混合物として使用できる。
【0083】熱重合開始剤の種類も特には限定されな
い。過酸化物系重合開始剤またはアゾ系重合開始剤等の
公知のものを用いることができる。具体的には、過酸化
物系重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサ
イド、メチルエチルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシピバレート、ジイソプロピルパーオキシカーボネー
ト等が挙げられ、アゾ系としては、例えば2,2’−ア
ゾビス(2−イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シク
ロヘキサン−1−カルボニトリル)等を、単独で若しく
は混合物として用いることができる。
【0084】重合開始剤の使用量は、高分子固体電解質
に含まれる重合性のウレタンアクリレートまたは変性ポ
リアルキレンオキシド100質量部に対して0.1質量
部以上、好ましくは0.5質量部以上であり、10質量
部以下、好ましくは5質量部以下である。
【0085】高分子固体電解質の固化は、重合性のウレ
タンアクリレートまたは変性ポリアルキレンオキシドを
光硬化または熱硬化させることによって達成される。光
硬化は、好ましくは光重合開始剤を含有する高分子固体
電解質に、遠紫外光、紫外光、可視光等を照射すること
によって進行する。光源としては、高圧水銀灯、蛍光
灯、キセノン灯等を使用することができる。光照射量は
特に限定されないが、通常は100mJ/cm2以上、
好ましくは1000mJ/cm2以上であり、その上限
値は50000mJ/cm2、好ましくは20000m
J/cm2であることが好ましい。
【0086】熱硬化は、好ましくは熱重合開始剤をする
高分子固体電解質を、通常0℃以上、好ましくは20℃
以上に加熱することによって進行する。加熱温度は13
0℃以下、好ましくは80℃以下であることが望まし
い。硬化時間は、通常、30分間以上、好ましくは1時
間以上であり、かつ100時間以下、好ましくは40時
間以下であることが望ましい。
【0087】本発明に係るECミラーは任意の方法で製
造することができる。例えば、使用するイオン伝導性物
質が液系またはゲル化液系である場合は、2枚の導電基
板を本発明のスペーサを介して、適当な間隔で対向さ
せ、周縁部をシールした対向導電基板の間に、エレクト
ロクロミック化合物が分散されているイオン伝導性物質
を、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって
注入し、しかる後、注入口を封鎖する方法で本発明のE
Cミラーを製造することができる。また、使用するイオ
ン伝導性物質の種類によっては、スパッタリング法、蒸
着法、ゾルゲル法などによって一方の導電基板上に、エ
レクトロクロミック化合物を含有するイオン伝導層を形
成させた後、本発明のスペーサを介して、他方の導電基
板を合わせる方法や、あるいはエレクトロクロミック化
合物を含有するイオン伝導性物質を予めフィルム状に成
形し、合わせ板ガラスの製造する要領で本発明のECミ
ラーを製造することもできる。
【0088】使用するイオン伝導性物質が固体系である
場合、とりわけ、ウレタンアクリレートやアクリロイル
またはメタクリロイル変性アルキレンオキシドを含有す
る高分子固体電解質を使用する場合は、エレクトロクロ
ミック化合物を含有して未固化状態にある高分子固体電
解質前駆体を、2枚の導電基板を本発明のスペーサを介
して、適当な間隔で対向させ、周縁部をシールした対向
導電基板の間に、真空注入法、大気注入法、メニスカス
法等によって注入し、注入口を封鎖後、適当な手段で高
分子固体電解質を固化させて固体電解質を得るこことに
より本発明のECミラーを得ることができる。
【0089】次に、本発明のECミラーの着消色に関す
る駆動方法について説明する。本発明においては、EC
ミラーに電圧Eを印加した際の、波長633nmの光の
反射率をTE、0Vを印加した際の波長633nmの光
の反射率をT0とし、前記ミラーに任意の電圧を印加
し、横軸を印加電圧の絶対値|E|、縦軸を−log10
(TE/T0)とした曲線において微分係数が初めて減少
に転じた後、最初の極小値となった時の−log10(T
E/T0)の値をODflatとした場合、−log10(TE
/T0)の値が0.4×ODflat〜0.6×ODflat
範囲内となる電圧に対応する電圧を前記ミラーに印加
し、着色させることを特徴とする。
【0090】TEは、電圧Eを印加した後その値が実質
的に変化しなくなった時点における値をいう。TEは通
常20分間電圧を印加した時の反射率の値であり、より
好ましくは20分間以上、例えば30分間電圧を印加し
た時の反射率の値である。
【0091】波長633nmの光の反射率とは、例えば
分光光度計にて633nmに波長固定して測定したもの
であってもよいし、He−Neレーザー光のように、実
質的に波長633nmの単一波長光を光源として測定し
たものであってもよい。
【0092】測定する電圧の範囲は通常0〜1.6Vで
ある。ただし、エレクトロクロミック化合物の電気化学
的な反応が1段階だけ起こる範囲内でなければならな
い。例えば、カソード性エレクトロミック化合物の場合
は、1電子還元体が生成する反応が1段階目の反応、2
電子還元体が生成する反応が2段階目の反応となる。測
定する電圧の範囲は2電子還元体が生成する電圧よりも
低い電圧にしなければならない。2段階目の反応が起こ
る電圧は、一般的な電気化学的手法で調べることができ
る。例えばクロノポテンショメトリが有効な手法であ
る。測定は「逢坂哲彌,小山昇,大坂武男, 電気化学
法 基礎測定マニュアル,p.133,講談社サイエン
ティフィク(1992)」に記載の方法で行った。
【0093】測定時の電圧の間隔は10mV間隔が好ま
しい。ただし、−log10(TE/T0)の変化が小さい
電圧範囲においては100mV間隔で測定してもよい。
着色状態を維持するために印加する電圧は、−log10
(TE/T0)の値が0.4×ODflat〜0.6×OD
flatの範囲内となる電圧に対応する電圧が好ましい。よ
り好ましくは−log10(TE/T0)の値が0.45×
ODflat〜0.55×ODflatの範囲内となる電圧に対
応する電圧、さらに好ましくは0.49×ODflat
0.51×ODflatの範囲内となる電圧に対応する電圧
が望ましい。
【0094】
【発明の効果】本発明のECミラーの駆動方法は、実用
上使用される温度範囲において、特定の電圧領域で駆動
することにより安定的に反射率を維持できることを見出
した。したがって、光センサーや制御回路に特別な温度
補償機能を持たせることを用いない場合でも、実用使用
条件下で安定して駆動できるなどの特長を有する。ま
た、本発明の駆動方法により、ECミラーの耐久性を改
善することができる。
【0095】
【実施例】以下本発明を実施例および比較例により更に
詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0096】(実施例1) 《ECミラーの製造》片面がITO被覆された透明ガラ
ス基板の周辺部に、溶液注入口の部分を除いてエポキシ
系接着剤を線状に塗布し、直径200μmのビーズを基
板上に散布した。この上に、同じITO基板の導電性面
の反対の面に反射膜(アルミニウム)が形成された反射
性ガラス基板を、ITO面が向かい合うように重ね合わ
せ、接着剤を硬化させ、注入口付き空セルを作製した。
【0097】他方で、メトキシポリエチレングリコール
モノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 M4
0GN[オキシエチレンユニット数4])1.0g、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工
業株式会社製 9G[オキシエチレンユニット数9])
0.02g、γ−ブチロラクトン4.0g、1−(4−
イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル
プロパン−1−オン0.02g、および2−(5−メチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(C
IBA−GEIGY社製 TINUVIN P)0.03gの
混合溶液に、過塩素酸リチウムを0.8mol/L、フ
ェロセンを3mmol/L、および以下の式(19)で
表される化合物を3mmol/L、の濃度となるよう各
々添加し、均一溶液を得た。
【0098】
【化22】
【0099】この溶液を脱気後、上述のようにして作成
したセルの注入口より注入した。注入口をエポキシ系接
着剤で封止した後、蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を
硬化させ、図1に示す構成のECミラーを得た。
【0100】《ECミラーの駆動》このECミラーに電
圧を印加し、633nmの反射率を測定した。ここでの
反射率とは、一定電圧をかけ続けた時に最終的に到達し
た値とする。具体的には20分間、一定電圧を印加し続
けた時の値を反射率とした。反射率の測定は0Vから
1.6Vまで100mV間隔で行った。電圧による反射
率の変化が大きい0.7〜0.9Vの間は10mV間隔
で測定を行った。電圧に対して−log10(TE/T0
をプロットし、以下の式でカーブフィッティングを行っ
た。
【0101】y=[c×Exp[F×(x-b)/(2×R×T)]]/[1+a×E
xp[F×(x-b)/(2×R×T)]]
【0102】上記式における記号の意味は以下のとおり
である。xは電圧(V)、yは−log10(TE/T0) F=96500C/mol(ファラデー定数) R=8.31J/K・mol(気体定数) Tは測定時の絶対温度 a、b、cはフィッティングパラメーター
【0103】回帰分析によって、フィッティングパラメ
ーターを求めた結果、a=1.848296、b=0.
8515265、c=0.6579933となった。図
2に、横軸を印加電圧の絶対値|E|、縦軸を−log
10(TE/T0)とした曲線を示す。当該曲線において、
微分係数が初めて減少に転じた後、1.3Vの時に最初
の極小値となっている。そこで、1.3Vの時の−lo
10(TE/T0)の値である0.356をODflatとし
た。0.82V印加した時に−log10(TE/T0)の
値が0.5×ODflatとなったことから、0.82Vを
ECミラーの駆動電圧とした。このECミラーは組み立
てた時点では着色していなかった。0.82V定電圧で
着色した場合の視感度反射率の温度変化を測定したとこ
ろ、10℃から80℃の範囲で反射率の変化幅が小さか
った。透過率反射率は測定した当該温度範囲で42±1
%に収まった。
【0104】(実施例2) 《ECミラーの製造》片面がITO被覆された透明ガラ
ス基板の周辺部に、溶液注入口の部分を除いてエポキシ
系接着剤を線状に塗布し、直径200μmのビーズを基
板上に散布した。この上に、同じくITO被覆された透
明ガラス基板導電性面の反対の面に反射膜(アルミニウ
ム)が形成された反射性ガラス基板を、ITO面が向か
い合うように重ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化さ
せ、注入口付き空セルを作製した。
【0105】他方で、メトキシポリエチレングリコール
モノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 M4
0GN[オキシエチレンユニット数4])1.0g、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工
業株式会社製 4G[オキシエチレンユニット数4])
0.02g、プロピレンカーボネート 4.0g、2,
4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオ
キシド0.02g、および2−(5−メチル−2−ヒド
ロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GE
IGY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、
過塩素酸リチウムを0.5mol/L 、以下の式(2
0)で表される化合物を3mmol/L、の濃度となる
よう各々添加し、均一溶液を得た。
【0106】
【化23】
【0107】この溶液を脱気後、上述のようにして作成
したセルの注入口より注入した。注入口をエポキシ系接
着剤で封止した後、蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を
硬化させ、図1に示す構成のECミラーを得た。
【0108】《ECミラーの駆動》実施例1と同様に、
このECミラーに20分間、一定電圧を印加し続けて6
33nmの反射率を測定した。反射率の測定は0Vから
1.6Vまで100mV間隔で行った。電圧による反射
率の変化が大きい0.7〜0.9Vの間は10mV間隔
で測定を行った。電圧に対して−log10(TE/T0
をプロットし、実施例1と同様の方法でカーブフィッテ
ィングを行った。
【0109】図3に、横軸を印加電圧の絶対値|E|、
縦軸を−log10(TE/T0)とした曲線を示す。当該
曲線において、微分係数が初めて減少に転じた後、1.
4Vの時に最初の極小値となっている。そこで、1.4
Vの時の−log10(TE/T0)の値である0.342
をODflatとした。0.79V印加した時に−log10
(TE/T0)の値が0.5×ODflatとなったことか
ら、0.79VをECミラーの駆動電圧とした。このE
Cミラーは組み立てた時点では着色していなかった。
0.79V定電圧で着色した場合の視感度反射率の温度
変化を測定したところ、10℃から80℃の範囲で反射
率の変化幅が小さいことが分かった。反射率は測定した
温度範囲で43±1%に収まった。
【0110】(実施例3) 《ECミラーの製造》片面がITO被覆された透明ガラ
ス基板の周辺部に、溶液注入口の部分を除いてエポキシ
系接着剤を線状に塗布し、直径200μmのビーズを基
板上に散布した。この上に、同じITO基板の導電性面
の反対の面に反射膜(アルミニウム)が形成された反射
性ガラス基板を、ITO面が向かい合うように重ね合わ
せ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き空セル
を作製した。他方で、プロピレンカーボネート5.0g
および2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベ
ンゾトリアゾール(CIBA−GEIGY社製 TINUVI
NP)0.03gの混合溶液に、過塩素酸リチウムを
0.5mol/Lおよび以下の式(21)で表される化
合物を3mmol/L、の濃度となるよう各々添加し、
均一溶液を得た。
【0111】
【化24】 この溶液を脱気後、上述のようにして作成したセルの注
入口より注入し、図1に示す構成のECミラーを得た。
【0112】《ECミラーの駆動》実施例1と同様に、
このECミラーに20分間、一定電圧を印加し続けて6
33nmの反射率を測定した。反射率の測定は0Vから
1.6Vまで100mV間隔で行った。電圧による反射
率の変化が大きい0.7〜0.9Vの間は10mV間隔
で測定を行った。電圧に対して−log10(TE/T0
をプロットし、実施例1と同様の方法でカーブフィッテ
ィングを行った。
【0113】図4に、横軸を印加電圧の絶対値|E|、
縦軸を−log10(TE/T0)とした曲線を示す。当該
曲線において、微分係数が初めて減少に転じた後、1.
4Vの時に最初の極小値となっている。そこで、1.4
Vの時の−log10(TE/T0)の値である0.434
をODflatとした。0.80V印加した時に−log10
(TE/T0)の値が0.5×ODflatとなったことか
ら、0.80VをECミラーの駆動電圧とした。このE
Cミラーは組み立てた時点では着色していなかった。
0.80V定電圧で着色した場合の視感度反射率の温度
変化を測定したところ、10℃から80℃の範囲で反射
率の変化幅が小さいことが分かった。反射率は測定した
温度範囲で40±1%に収まった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3で用いたECミラーの一例を示す
断面図である。
【図2】実施例1のECミラーにおける印加電圧の絶対
値|E|と−log10(TE/T0)の関係を示す曲線で
ある。
【図3】実施例2のECミラーにおける印加電圧の絶対
値|E|と−log10(TE/T0)の関係を示す曲線で
ある。
【図4】実施例3のECミラーにおける印加電圧の絶対
値|E|と−log10(TE/T0)の関係を示す曲線で
ある。
【符号の説明】
1 透明基板 2 透明電極層 3 イオン伝導層 4 反射性電極層 5 透明又は不透明な基板 6 シール材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K001 AA10 CA22 CA23 EA18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明である2枚の導電
    基板間に、エレクトロクロミック化合物を含むイオン伝
    導層を設けたエレクトロクロミックミラーを駆動する方
    法であって、着色駆動する電圧として、前記ミラーに電
    圧Eを印加した際の波長633nmの光の反射率を
    E、0Vを印加した際の波長633nmの光の反射率
    をT0とし、前記ミラーに任意の電圧を印加し、横軸を
    印加電圧の絶対値|E|、縦軸を−log10(TE
    0)とした曲線において微分係数が初めて減少に転じ
    た後、最初の極小値となった時の−log10(TE
    0)の値をODflatとした場合、−log10(TE/T
    0)の値が0.4×ODflat〜0.6×ODflatの範囲
    内となる電圧に対応する電圧を印加することを特徴とす
    るエレクトロクロミックミラーの駆動方法。
  2. 【請求項2】 エレクトロクロミック化合物が、少なく
    ともアノード性エレクトロクロミック化合物およびカソ
    ード性エレクトロクロミック化合物からなることを特徴
    とする請求項1記載のエレクトロクロミックミラーの駆
    動方法。
  3. 【請求項3】 エレクトロクロミック化合物が、アノー
    ド性エレクトロクロミック構造およびカソード性エレク
    トロクロミック構造を併有している化合物であることを
    特徴とする請求項1記載のエレクトロクロミックミラー
    の駆動方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009086259A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Chiba Univ 媒体及び表示装置
CN111722449A (zh) * 2020-06-08 2020-09-29 中国乐凯集团有限公司 柔性电致变色器件及其制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009086259A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Chiba Univ 媒体及び表示装置
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