JP6885073B2 - エレクトロクロミック素子 - Google Patents
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Description
前記エレクトロクロミック素子は、間隔をおいて対向する2つの電極間にエレクトロクロミック化合物を含む発色層を有すことを基本構成とする。
従来のエレクトロクロミック素子では電極と発色層の密着が弱く、加工時に素子に加わる力や熱、又はフレキシブルな基材上に素子を作製した場合の折り曲げ等の負荷によって発色層が電極から剥離してしまい、電気的物理的な接続が断たれてしまうという課題がある。このため、例えば、液晶性を有する電解質層を用いることでエレクトロクロミック層と電解質層の密着力を高める方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前記発色層が、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含む。
本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に設けられる発色層と、を有し、前記発色層が、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含み、更に必要に応じてその他の層を有する。
前記従来技術の液晶性を有する電解質層は流動性を有することから、エレクトロクロミック層に対する密着性が高めることができる。しかし、前記液晶性を有する電解質層はエレクトロクロミック層と接しているため、前記エレクトロクロミック層と電極との界面に影響を及ぼすことはない。したがって、前記電解質層の流動性はエレクトロクロミック層と電極との密着性を向上させることはできない。
前記発色層は、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単一の発色層からなる第1の形態、第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層及び電解質層を含む第2の形態、第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層、電解質層、及び第2の電極に接する第2のエレクトロクロミック層を含む第3の形態などが挙げられる。
前記第1の形態では、発色層は単一の層からなり、前記単一の発色層は、エレクトロクロミック化合物、第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物、電解質、電解質溶媒、及びバインダーを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記エレクトロクロミック化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、還元反応及び酸化反応の少なくともいずれかによって発色する化合物などが挙げられる。
前記還元反応で発色するエレクトロクロミック化合物としては、例えば、ポリマー系又は色素系のエレクトロクロミック化合物が挙げられる。具体的には、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、発消色電位が低く、良好な色値を示す点から、ビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物が好ましい。
前記ビオロゲン系化合物は、後述するように酸化チタン粒子と組み合わせてもよい。このように酸化チタン粒子と組み合わせて用いることにより、高い光学的濃度及び高コントラスト比を維持できるという利点がある。
前記ジピリジン系化合物としては、例えば、特開2007−171781号公報、特開2008−116718号公報に記載の化合物などが挙げられる。
これらの中でも、良好な発色の色値を示す点から、下記一般式A1で表されるジピリジン系化合物が好ましい。
前記一般式A1において、Xは1価のアニオンを表す。前記一価のアニオンとしては、カチオン部と安定に対をなすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Brイオン(Br−)、Clイオン(Cl−)、ClO4イオン(ClO4 −)、PF6イオン(PF6 −)、BF4イオン(BF4 −)などが挙げられる。
前記一般式A1において、n、m、及びlは、0、1又は2を表す。A、B、及びCは、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
前記酸化反応で発色するエレクトロクロミック化合物としては、例えば、トリアリールアミンを有する化合物、アゾベンゼン系、テトラチアフルバレン系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ロイコ染料などが挙げられる。これらの中でも、発消色電位が低く、良好な色値を示す点から、トリアリールアミンを有する化合物が特に好ましい。
前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物における吸着基としては、例えば、ヒドロキシル基、フェニル基、ニトリル基、カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基、ピリジル基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、リン酸基から誘導される極性を有する官能基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、第1の電極(ITO)に対する強い密着性の観点から、リン酸基が好ましい。
前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、KAYAMER PM−21、KAYAMER PM−2(いずれも、日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
なお、前記エレクトロクロミック化合物自体が、前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物であってもよく、前記エレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物はそれぞれ異なるものを用いてもよい。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンオキサイド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、メタクリレート系ポリマー、アクリレート系ポリマー、フッ化ブニリデン系ポリマーなどが挙げられる。
前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができ、具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2などが挙げられる。
前記有機のイオン液体の分子構造として、カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム系などが挙げられる。
また、アニオン成分としては、大気中での安定性を考慮して、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、BF4 −、CF3SO3 −、PF4 −、(CF3SO2)2N−などが挙げられる。
前記電解質の材料としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン液体を用いることが好ましい。
前記イオン液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させて、該溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記電解質溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、可塑剤、重合開始剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、フィラーなどが挙げられる。
前記第1の形態の単一の発色層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。
前記第2の形態の発色層は、第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層及び電解質層を含む。
前記第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層は、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック化合物、及び第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含有し、他のラジカル重合性化合物を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック化合物としては、例えば、トリアリールアミンを有する重合性化合物、アゾベンゼン系化合物、テトラチアフルバレン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、ロイコ染料などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミンを有する重合性化合物が特に好ましい。
An−Bm
ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式2で示される構造であり、R1からR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
前記一般式2及び前記一般式3における前記一価の有機基としては、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。
これらの中でも、安定動作の点から、アルキル基、アルコキシ基、水素原子、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基が特に好ましい。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基などが挙げられる。
前記複素環基としては、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾールなどが挙げられる。
前記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればいずれでもよい。
前記ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
前記アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一価の有機基及び前記ラジカル重合性官能基としては、前記一般式2及び3と同じものが挙げられる。
前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物としては、前記第1の形態の発色層と同様のものを用いることができる。
前記重合性官能基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基などが挙げられる。
前記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、1官能のラジカル重合性化合物、2官能のラジカル重合性化合物、3官能以上のラジカル重合性化合物、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上のラジカル重合性化合物が特に好ましい。
前記他のラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基としては、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物の含有量は、エレクトロクロミック組成物全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、第1のエレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要であるイオン液体との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下が特に好ましい。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられるが、重合効率の観点から光重合開始剤が好ましい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記エレクトロクロミック層が塗布形成できるものであれば特に制限はなく、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
前記第1のエレクトロクロミック層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。
前記電解質層は、前記第1のエレクトロクロミック層へのイオン供給のためにイオン伝導可能な層である。また、前記電解質層はエレクトロクロミック素子の表示素子としての性質より、透明な層であることが好ましい。
前記電解質層は、電解質、及び電解質溶媒を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記電解質及び前記電解質溶媒としては、前記第1の形態の発色層と同様のものを用いることができる。
固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持することが好ましい。これにより高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。
更に、前記ポリマー樹脂としては光硬化可能な樹脂が好ましい。熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間でエレクトロクロミック素子を製造できるためである。
前記電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上10μm以下が好ましい。
前記第3の形態の発色層は、第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層、電解質層、及び第2の電極に接する第2のエレクトロクロミック層を含む。これは、前記第2の形態の発色層に第2のエレクトロクロミック層を追加した形態であり、応答性の向上やコントラストの向上、色彩の制御を目的とする。
前記第1のエレクトロクロミック層は、前記第2の形態における第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層と同様の層を用いることができる。
前記第2のエレクトロクロミック層は、還元反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物を含むことが好ましい。
前記還元反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物が、ビオロゲン系化合物及びジピリジン系化合物の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記ビオロゲン系化合物及びジピリジン系化合物としては、前記第1の形態の発色層と同様のものを用いることができる。
このような構造では、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック素子と比較して高速応答が可能となる。更に、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック色素の高い発色濃度を得ることができる。また、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。
前記導電性又は半導体性微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属酸化物が好ましい。前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、電気伝導性等の電気特性や光学的性質等の物理的特性の点から、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンが特に好ましい。
前記導電性又は半導体性微粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下、比表面積と称することがある)が大きい形状が用いられる。例えば、微粒子が、ナノ粒子の集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比が優れる。
前記第2のエレクトロクロミック層及び導電性又は半導体性微粒子層は真空製膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが好ましい。
前記電解質層は、電解質、及び電解質溶媒を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記電解質層としては、前記第2の形態の電解質層と同様のものを用いることができる。
前記電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上10μm以下が好ましい。
前記第1の電極は、透明導電材料からなることが好ましく、酸化インジウムスズ(スズをドープした酸化インジウム)(以下、「ITO」と称する)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、酸化亜鉛等の無機材料などが挙げられる。更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cuなど高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。これらの中でも、ITOを用いると高い密着力が得られるため本発明のエレクトロクロミック素子に含まれる電極として好適である。
前記第1の電極の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。前記第1の電極の材料が塗布形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
前記第2の電極は、前記第1の電極と対向して形成される。前記第2の電極は前記第1の電極と同様に透明な電極であってもよく、透明ではない電極を用いてもよい。前記第2の電極が透明である場合は、酸化インジウムスズ(スズをドープした酸化インジウム)(ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、酸化亜鉛等の無機材料などが挙げられる。更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cuなど高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。また、前記電極上に酸化チタン粒子膜や酸化スズ粒子膜を多孔質電極として形成し、第2の電極としてもよい。
前記第2の電極が透明ではない電極の場合はCu、Al、Ti、Znなどの金属板を用いることができる。
前記第2の電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。
前記第2の電極の材料が塗布形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1の基材、第2の基材、絶縁性多孔質層、保護層、白色反射層などが挙げられる。
前記第1及び第2の基材としては、各層を支持できる透明材料であれば特に制限はなく、公知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記第1及び第2の基材としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。
前記第1及び第2の基材としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
これらの中でも、加工性と透明性の点から、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
なお、前記基材の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記基材は複数の重ね合わせでもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミック素子を挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性を高めることが可能である。
前記絶縁性多孔質層、第1の電極と第2の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、透明で多孔質であればよく特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法として、高分子重合体等を加熱や脱気する等して発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の形成方法を用いてもよい。具体例としては、金属酸化物微粒子(SiO2粒子やAl2O3粒子等)とポリマー結着剤を含むポリマー混合粒子膜、多孔性有機膜(ポリウレタン樹脂やポリエチレン樹脂等)、多孔質膜状に形成した無機絶縁材料膜などが挙げられる。これらの中でも、SiO2粒子は絶縁性に優れている点、比較的低屈折率な点、安価な点から好適に用いることができる。
前記絶縁性多孔質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上3μm以下が好ましい。
前記保護層の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等である。
前記保護層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
<第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成>
−エレクトロクロミック組成物の調製−
第1の電極上に該第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含むエレクトロクロミック層を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
・下記構造式で表される2官能アクリレートを有するエレクトロクロミック化合物(例示化合物40):100質量部
・バインダー(PME400、日油株式会社製):90.25質量部
・下記一般式Aで表される第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−21、日本化薬株式会社製):4.75質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の基材及び第1の電極としてのITO付きガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布した。
得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により1.2mW/cm2で240秒間照射し、60℃で1分間アニール処理を行うことにより、平均厚み1.3μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
得られた第1の電極(ITO)上に形成したエレクトロクロミック層に対してクロスカット法試験(JIS K5600−5−6(ISO2409))を実施した。なお、クロスカット試験法による密着性の評価は、簡便であり工業的に広く使用されている方法である。
本試験では、第1の電極上のエレクトロクロミック層に対して、1mm間隔で素地まで達する6本の格子状(碁盤目様)の切り込みを入れ、格子状に切り込みの入ったエレクトロクロミック層の上に幅24mmのセロハンテープを貼り、基板と約60°の角度で1秒間程度の時間で引き剥がす。このとき基板上のエレクトロクロミック層の剥離の程度から第1の電極(ITO)と第1の電極(ITO)上に形成したエレクトロクロミック層との密着性を評価した。
試験結果は下記表1の6段階の分類を、図4と比較しながら分類した。結果を表2に示した。
[クロスカット法試験結果分類基準]
実施例1において、エレクトロクロミック組成物中のPME400の含有量を90.25質量部から92.15質量部に変え、前記一般式Aで表される第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−21、日本化薬株式会社製)の含有量を4.75質量部から2.85質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、第1の電極上にエレクトロクロミック層を作製し、実施例1と同様にして、クロスカット法試験を行った。結果を表2に示した。
実施例1において、エレクトロクロミック組成物中の前記一般式Aで表される第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−21、日本化薬株式会社製)を、下記一般式Bで表される第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−2、日本化薬株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、第1の電極上にエレクトロクロミック層を作製し、実施例1と同様にして、クロスカット法試験を行った。結果を表2に示した。
実施例3において、エレクトロクロミック組成物中のPME400の含有量を90.25質量部から92.15質量部に変え、前記一般式Bで表される第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−2、日本化薬株式会社製)の含有量を4.75質量部から2.85質量部に変えた以外は、実施例3と同様にして、第1の電極上にエレクトロクロミック層を作製し、実施例1と同様にして、クロスカット法試験を行った。結果を表2に示した。
実施例1において、エレクトロクロミック組成物中のPME400の含有量を90.25質量部から95.00質量部に変え、前記一般式Aで表される第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−21、日本化薬株式会社製)を含有しない以外は、実施例1と同様にして、第1の電極上にエレクトロクロミック層を作製し、実施例1と同様にして、クロスカット法試験を行った。結果を表2に示した。
<第1の電極上への発色層の形成>
−発色層組成物の調製−
第1の電極上に該第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含む発色層を形成するために、以下に示す組成の発色層組成物を調製した。
[組成]
・エチルビオロゲン(1,1’−ジエチル−4,4’−ビピリジニウム):1質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):45質量部
・前記一般式Aで表される第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−21、日本化薬株式会社製):5質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIMFSI)(関東化学株式会社製):10質量部
・炭酸プロピレン(東京化成工業株式会社製):34質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の基材及び第1の電極としてのITO付きガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスクリーン印刷法により塗布した。
得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により1.2mW/cm2で240秒間照射し、60℃で1分間アニール処理を行うことにより、平均厚み30μmの架橋した発色層を形成した。
実施例1と同様にして、クロスカット法試験を行った。結果を表3に示した。
実施例5において、発色層組成物中のPEG400DAの含有量を45質量部から50質量部に変え、前記一般式Aで表される第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−21、日本化薬株式会社製)を含有しない以外は、実施例5と同様にして、第1の電極上にエレクトロクロミック層を作製し、実施例1と同様にして、クロスカット法試験を行った。結果を表3に示した。
<エレクトロクロミック素子の作製>
下記の方法によりエレクトロクロミック素子を作製した。
実施例1で作製した、平均厚み1.3μmの架橋したエレクトロクロミック層を、第1の電極上に形成した第1のエレクトロクロミック層として用いた。
第2の基材及び第2の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。
次に、前記酸化チタン粒子膜に下記構造式(i)で表される化合物の2質量%の2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって、第2の電極上の酸化チタン粒子表面に下記の構造式(i)で表される化合物を吸着させた、平均厚み1.0μmの第2のエレクトロクロミック層を形成した。
それぞれエレクトロクロミック層を形成した第1の電極及び第2の電極を、平均厚みが50μmのフィルムを挟んで貼り合せ、端部2辺をUV接着剤(フォトレックE、低透湿タイプ、積水化学工業株式会社製)で封止した後、前記フィルムを抜き取って空セルを作製した。
次に、以下の組成の電解質組成物を調合した。
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):2質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(関東化学株式会社製):50質量部
作製したエレクトロクロミック素子を60℃の環境下に24時間放置した後、該エレクトロクロミック素子に1.6Vの電圧を5秒間印加して発色させた。次に、−0.6Vの電圧を5秒間印加して消色させた。このとき波長380nm〜780nmの光の透過率を光学特性検査装置(大塚電子株式会社製、LCD−5200)で測定し、平均した値を平均透過率とし、下記基準で発消色動作を評価した。
[評価基準]
○:発色状態での平均透過率が70%以上であり、かつ消色状態での平均透過率が20%以下であれば正常な発消色動作が行われたと判断した(合格)
×:発色状態での平均透過率が70%以上、及び消色状態での平均透過率が20%以下の少なくともいずれかの条件を満たさない(不合格)
実施例6において、表4に示すように、第1のエレクトロクロミック層を形成した第1の電極を変更した以外は、実施例6と同様にして、実施例7〜9及び比較例3のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例6と同様にして、発消色動作試験を行った。結果を表4に示した。
これに対して、比較例3は、第1のエレクトロクロミック層の第1の電極からの剥離によって、エレクトロクロミック素子の正常な発消色動作が行えなかった。
実施例6において、第2の電極上に酸化チタン粒子膜を形成した後に、前記酸化チタン粒子膜に前記構造式(i)で表される化合物の2質量%の2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布しなかった以外は、実施例6と同様にして、実施例10のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例6と同様にして、発消色動作試験を行った。結果を表5に示した。
比較例3おいて、第2の電極上に酸化チタン粒子膜を形成した後に、前記酸化チタン粒子膜に前記構造式(i)で表される化合物の2質量%の2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布しなかった以外は、比較例3と同様にして、比較例4のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例6と同様にして、発消色動作試験を行った。結果を表5に示した。
これに対して、比較例4は、第1のエレクトロクロミック層の第1の電極からの剥離によって、エレクトロクロミック素子の正常な発消色動作が行えなかった。
<エレクトロクロミック素子の作製>
下記の方法によりエレクトロクロミック素子を作製した。
第1の基材及び第1の電極としてITO付きガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)を使用した。
第1の電極と同様のITO付きガラス基板上に酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成し、多孔質電極として使用した。
それぞれ第1の電極及び第2の電極を、平均厚みが30μmのフィルムを挟んで貼り合せ、端部2辺をUV接着剤(フォトレックE、低透湿タイプ、積水化学工業株式会社製)で封止した後、前記フィルムを抜き取って空セルを作製した。
実施例5において、発色層組成物に炭酸プロピレンを含有しない以外は、実施例5と同様にして、発色層組成物を作製し、空セルの中に気泡が入らないよう慎重に浸透させた。
次に、実施例6と同様の手順で発色層の硬化及び封止を行い、実施例11のエレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子について、実施例6と同様にして、発消色動作試験を行った。結果を表6に示した。
実施例11において、PEG400DAの含有量を45質量部から50質量部に変え、発色層組成物中に第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物(KAYAMER PM−21、日本化薬株式会社製)を含有しない以外は、実施例11と同様にして、比較例5のエレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子について、実施例6と同様にして、発消色動作試験を行った。結果を表6に示した。
これに対して、比較例5は、第1のエレクトロクロミック層の第1の電極からの剥離によって、エレクトロクロミック素子の正常な発消色動作が行えなかった。
<1> 第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に設けられる発色層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記発色層が、酸化還元反応に伴って発消色するエレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含むことを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
<2> 前記発色層が、前記第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層、及び電解質を含む電解質層を有し、
前記第1のエレクトロクロミック層が、酸化反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含む前記<1>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<3> 前記酸化反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物がそれぞれ重合性官能基を有し、
前記第1のエレクトロクロミック層が、前記酸化反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物と前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物とを含む共重合物からなる前記<2>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<4> 前記第2の電極に接する第2のエレクトロクロミック層を有し、前記第2のエレクトロクロミック層が還元反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物を含む前記<2>から<3>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<5> 前記還元反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物が、ビオロゲン系化合物及びジピリジン系化合物の少なくともいずれかである前記<4>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<6> 前記酸化反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物が、トリアリールアミンを有する重合性化合物である前記<2>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<7> 前記トリアリールアミンを有する重合性化合物が、下記一般式(1)で示される化合物を含有する前記<6>に記載のエレクトロクロミック素子である。
[一般式(1)]
An−Bm
ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは、下記一般式(2)で示される構造であり、R1からR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは、下記一般式(3)で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
[一般式(2)]
<8> 前記重合性官能基が、アクリロイルオキシ基、及びメタクリロイルオキシ基のいずれかである前記<7>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<9> 前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物における吸着基が、リン酸基である前記<1>から<8>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<10> 前記第1の電極が、酸化インジウムスズを含む前記<1>から<9>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<11> 前記電解質が、イオン液体を含有する前記<2>から<10>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
2 エレクトロクロミック層
3 電解質層
4 第2の電極
5 発色層
6 第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層
7 第2の電極に接する第2のエレクトロクロミック層
Claims (8)
- 前記発色層が、前記第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層、及び電解質を含む電解質層を有し、
前記第1のエレクトロクロミック層が、酸化反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物を含む請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。 - 前記酸化反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物及び前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物がそれぞれ重合性官能基を有し、
前記第1の電極に接する第1のエレクトロクロミック層が、前記酸化反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物と前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物との共重合物からなる請求項2に記載のエレクトロクロミック素子。 - 前記第2の電極に接する第2のエレクトロクロミック層を有し、前記第2のエレクトロクロミック層が還元反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物を含む請求項2から3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記還元反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物が、ビオロゲン系化合物及びジピリジン系化合物の少なくともいずれかである請求項4に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記酸化反応に伴って発色するエレクトロクロミック化合物が、トリアリールアミンを有する重合性化合物である請求項2から5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第1の電極が、酸化インジウムスズを含む請求項1から6のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第1の電極と吸着する吸着基を有する化合物の含有量が0.5質量%以上20質量%以下である請求項1から7のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
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