JP2019184762A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

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満美子 井上
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史育 金子
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Abstract

【課題】消色応答性に優れるエレクトロクロミック素子を提供する。【解決手段】第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に電解質層とを有するエレクトロクロミック素子であって、第2の電極が、エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を表面に有し、エレクトロクロミック化合物を含む重合物は、下記計算式1で算出される値が0.70〜2.0であるエレクトロクロミック素子である。[計算式1]X1〜Xmは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれるモノマー(m個)を表す。Y1〜Ymは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーのモノマー全量に対する割合(質量%)を表す。Mwは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの分子量を表す。nは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの重合性官能基の数を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子に関する。
エレクトロクロミズムを示すエレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック素子は、反射層を素子中に組み込むことにより電子ペーパーやデジタルサイネージなど反射型素子の作製が可能である。
また、エレクトロクロミック層を単層で用いればモノカラー表示が可能となり、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3つのエレクトロクロミック層を積層させた構成ではフルカラー表示が可能になる。更に、透明なエレクトロクロミック素子は、調光レンズ、調光窓、遮光フィルター、防眩ミラーなどの用途にも展開できる。
このようなエレクトロクロミック素子としては、電解質がゲル又は固体電解質からなる固体型エレクトロクロミック素子が提案されている。例えば、ゲル又は固体電解質として、シリコン系有機無機ハイブリットゲル電解質(例えば、特許文献1参照)、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等を含有するゲル電解質(例えば、特許文献2参照)、ポリオレフィンからなる固体高分子多孔性薄膜の空孔中にイオン導電体を充填し、固体高分子多孔性薄膜の空孔表面が界面活性剤で処理されている電解質薄膜(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
電解質がゲル又は固体電解質からなる固体型エレクトロクロミック素子は、従来の電解質として電解液を用いたエレクトロクロミック素子のように、液漏れを防止するために密封性に優れた外装缶を用いる必要がなく、構造を簡略化でき、かつ製造工程において電解液の注液工程がなく簡単に製造できる。また、曲面や球面等の平面以外のエレクトロクロミック素子にも容易に展開可能であるという利点がある。一方、エレクトロクロミック素子を実用化するには、発消色繰り返し耐久性が高く、一定期間品質を損なうことなく使用できることも製品化には必須である。
このような電解質がゲル又は固体電解質からなる固体型エレクトロクロミック素子として、例えば、ラジカル重合性官能基を含む有機エレクトロクロミック化合物をエレクトロクロミック層として用い、ゲル又は固体電解質を用いたエレクトロクロミック素子が提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。
本発明は、消色応答性に優れるエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段としての本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質層とを有するエレクトロクロミック素子であって、前記第2の電極が、エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を表面に有し、前記エレクトロクロミック化合物を含む重合物は、下記計算式1で算出される値が0.70〜2.0である。
[計算式1]
ただし、前記計算式1中、X1〜Xmは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれるモノマー(m個)を表す。Y1〜Ymは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーのモノマー全量に対する割合(質量%)を表す。Mwは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの分子量を表す。nは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの重合性官能基の数を表す。
本発明によると、消色応答性に優れるエレクトロクロミック素子を提供することができる。
図1は、本発明のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略図である。 図2に、実施例1と比較例1の発色時の電圧印加時間に対する透過率変化を示すグラフである。
(エレクトロクロミック素子)
本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に電解質層とを有するエレクトロクロミック素子であって、第2の電極が、エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を表面に有し、エレクトロクロミック化合物を含む重合物は、下記計算式1で算出される値が0.70〜2.0であり、更に必要に応じてその他の層を有する。
[計算式1]
ただし、計算式1中、X1〜Xmは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれるモノマー(m個)を表す。Y1〜Ymは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーのモノマー全量に対する割合(質量%)を表す。Mwは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの分子量を表す。nは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの重合性官能基の数を表す。
本発明のエレクトロクロミック素子は、特許文献4から6の従来技術では、高い発消色繰り返し耐久性と良好なメモリー性、更には透明性を担保できているが、発消色応答性が遅く、不十分であるという知見に基づくものである。
そこで、電解質がゲル又は固体電解質からなる固体型の素子とすることで製品安全性や製造プロセスの容易さを担保し、十分な発消色応答性を実現できるものが求められている。特に視界をコントロールする調光レンズやフィルターでは、安全性の観点から消色応答性が重要である。
本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に電解質層とを有し、第2の電極が、エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を表面に有し、エレクトロクロミック化合物を含む重合物は、上記計算式1で算出される値が0.70〜2.0であることにより、消色応答性が向上し、特に、速い応答性が求められる調光レンズや防眩ミラー等の調光素子に好適である。
本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の支持体と、第1の支持体上に第1の電極と、第1の支持体と対向するように設けられた第2の支持体と、エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を表面に有する第2の電極と、第1の電極と第2の電極間に充填された電解質とを有し、更に必要に応じてその他の層を有する。
ここで、「エレクトロクロミック化合物を含む重合物を表面に有する第2の電極」としては、例えば、表面にエレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を第2の電極上に積層した態様、表面にエレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を第2の電極上に2層以上積層した態様、表面にエレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を第2の電極上の一部に積層した態様などが挙げられる。
<第1の支持体、第2の支持体>
第1の支持体は、第1の電極を支持する機能を有する。
第2の支持体は、第2の電極、表面にラジカル重合性化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を支持する機能を有する。
支持体としては、これらの各層を支持できる透明材料であれば特に制限はなく、公知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
支持体としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板などが挙げられる。
支持体としては、例えば、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。なお、支持体の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、視認性を高めるために透明絶縁層や反射防止層等がコーティングされていてもよい。
支持体の形状は、長方形であっても丸型であってもよく、特に限定されない。また平面であっても、レンズのような球面構造をとっていても構わない。
<第1の電極及び第2の電極>
第1の電極及び第2の電極のうち、どちらか一方、又は両方が透明であればよく、更に導電性材料から形成されていれば特に限定されるものではない。これにより、着色のコントラストをより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称することもある)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称することもある)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称することもある)等の無機材料を用いることができる。これらの中でも、特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、「In酸化物」と称することもある)、スズ酸化物(以下、「Sn酸化物」と称することもある)及び亜鉛酸化物(以下、「Zn酸化物」と称することもある)のいずれか1つを含む無機材料を用いることが好ましい。
In酸化物、Sn酸化物、及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性を有し、かつ電気伝導度が得られる材料であり、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。
更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cuなど高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。
第1の電極及び第2の電極の各々の厚みは、エレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。第1の電極及び第2の電極の材料としてITOを用いた場合、第1の電極及び第2の電極の各々の厚みは、例えば、50nm〜500nmが好ましい。
第1の電極及び第2の電極の各々の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などを用いることができる。
第1の電極及び第2の電極の各々の材料が塗布形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
なお、特に、透明性が不必要な場合、チタン、亜鉛等の金属板も用いることができる。
電極表面にエレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を有さない場合、電気活性層を設けることもできる。電気活性層とは、エレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することである。なお、逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
電気活性層の材料としては、電極の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。
電気活性層は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができ、例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えば、アクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダーにより電極表面に固定化することにより、電解質の浸透性と、劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
<エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層>
エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層は、第2の電極の表面に設けられる。
エレクトロクロミック化合物を含む重合物は、下記計算式1で算出される値(計算値)が0.70〜2.0であり、0.8〜1.5が好ましい。
計算式1で算出される値は、エレクトロクロミック化合物を含む重合物の架橋密度を示している。
[計算式1]
ただし、計算式1中、X1〜Xmは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれるモノマー(m個)を表す。Y1〜Ymは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーのモノマー全量に対する割合(質量%)を表す。Mwは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの分子量を表す。nは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの重合性官能基の数を表す。
計算式1で算出される値(計算値)が0.70〜2.0の範囲であると、エレクトロクロミック素子としての十分な耐久性を備えつつ消色応答性を十分に確保することができる。
計算式1で算出される値(計算値)が0.70未満であると、膜の抵抗は低く、特許文献4〜6のように十分な消色応答性が担保できない。また、膜が脆くなり剥れやすくなり膜としての耐久性が担保できないため、エレクトロクロミック素子の発消色や光に対する耐久性が十分に確保できない。一方、計算式1で算出される値(計算値)が2.0を超えると、膜の抵抗が高くなるため消色応答性が格段に落ちるだけでなく、発色さえもできない場合もある。
計算式1で算出される値(計算値)を0.70〜2.0の範囲に制御する方法としては、例えば、エレクトロクロミック化合物を含む重合物中のモノマーの種類、モノマーの含有量などを適宜調整する方法などが挙げられる。
具体的には、重合性官能基を2つ以上含むモノマーを使用する方法、重合性官能基を2つ以上含むモノマーの含有量を増加させる方法などが挙げられる。
エレクトロクロミック化合物を含む重合物は、少なくとも1種のエレクトロクロミック化合物を含み、重合性官能基を有するエレクトロクロミック化合物及び該エレクトロクロミック化合物と異なる重合性化合物である架橋剤を含むことが好ましく、更に必要に応じて、エレクトロクロミック化合物と架橋剤とは異なる他の重合性化合物を含んでもよく、重合性官能基をもたない化合物を含んでもよい。
<<エレクトロクロミック化合物>>
エレクトロクロミック化合物は、構造中にエレクトロクロミック部位が含まれていればよく、重合性官能基を有することが好ましい。
エレクトロクロミック化合物が重合性官能基を有していると、重合物が更に安定な膜として電極表面に存在することができるため、自立したエレクトロクロミック層を作製することができる。
重合方法としては、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合、開環重合などが挙げられる。これらの中でも、重合プロセスの汎用性と簡易さの点から、ラジカル重合が好ましい。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
ラジカル重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
エレクトロクロミック部位を有するエレクトロクロミック化合物としては、還元反応で発色する還元反応性エレクトロクロミック化合物と、酸化反応で発色する酸化反応性エレクトロクロミック化合物との2種類がある。これらは重合物中に分散されていることが好ましい。
−還元反応性エレクトロクロミック化合物−
還元反応性エレクトロクロミック化合物としては、例えば、アントラキノン系化合物、ジピリジン系化合物、テレフタル酸系化合物、ビオロゲン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、発消色電位が低く良好な色値を示す点から、ビオロゲン系化合物、ジピリジン系化合物が好ましい。
−酸化反応性エレクトロクロミック化合物−
酸化反応性エレクトロクロミック化合物に含まれる酸化反応性エレクトロクロミック部位として、例えば、トリアリールアミン骨格、フェノチアジン骨格、フェノキサジン骨格、トリアリールメタン骨格、フェナジン骨格などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が、高い駆動耐久性及び光耐久性の点から好ましく、トリアリールアミン骨格を有し、かつラジカル重合性官能基を有するトリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物が特に好ましい。
トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、下記一般式1で表される化合物が挙げられる。
[一般式1]
−B
ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。Aは下記一般式2で示される構造であり、RからR15のいずれかの位置でBと結合している。Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置でAと結合している。
[一般式2]
[一般式3]
ただし、RからR21は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
−一価の有機基−
一般式2及び一般式3における一価の有機基としては、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。
これらの中でも、安定動作の点から、アルキル基、アルコキシ基、水素原子、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基が特に好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基などが挙げられる。
前記複素環基としては、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾールなどが挙げられる。
置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
−ラジカル重合性官能基−
ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればいずれでもよい。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(i)で表される官能基が挙げられる。
ただし、一般式(i)中、Xは、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R100)−基〔R100は、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、又は−S−基を表す。
一般式(i)のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(i)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(ii)で表される官能基が挙げられる。
ただし、一般式(ii)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR101基〔R101は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はCONR102103(R102及びR103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)〕を表す。また、Xは、一般式(i)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y及びXの少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、又は芳香族環である。
一般式(ii)のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
一般式(ii)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
ラジカル重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、以下の一般式1−1から一般式1−3で表される化合物が好適に挙げられる。
[一般式1−1]
[一般式1−2]
[一般式1−3]
一般式1−1から一般式1−3中、R27からR88は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
一価の有機基及び前記ラジカル重合性官能基としては、一般式2及び3と同じものが挙げられる。
一般式1、及び一般式1−1から1−3で表される例示化合物としては、以下に示すものが挙げられる。ただし、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物はこれらに限定されるものではない。
<例示化合物1>
<例示化合物2>
<<架橋剤>>
架橋剤は、2個以上の重合性官能基を持つ化合物であることが好ましく、重合性官能基の数が3個以上であることがより好ましく、重合性官能基の数が4個以上であることが更に好ましい。
架橋剤の重合方法は、上記エレクトロクロミック化合物と同様、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合、開環重合などが挙げられる。これらの中でも、重合プロセスの汎用性と簡易さから、ラジカル重合が好ましい。
本発明で用いられるラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合性官能基としては、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよく、上記エレクトロクロミック化合物と同様である。
これらのラジカル重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基をその分子中に3個以上有する化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
重合性官能基を2個有する架橋剤としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性官能基を3個有する架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性官能基を4個以上有する架橋剤としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。
<<その他の重合性化合物>>
重合物は、更に必要に応じてその他の重合性化合物を含んでいてもよい。その他の重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<重合性官能基を有さない化合物>>
重合性官能基を有さない化合物としては、例えば、スルホン系化合物、エステル系化合物、ニトリル系化合物、アミド系化合物、エーテル系化合物、アルコール系化合物、アミン系化合物、ケトン系化合物、ピリジン、ニトロメタン、酢酸、エチレングリコールなどが挙げられる。
スルホン系化合物としては、例えば、エチルイソプロピルスルホン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
エステル系化合物としては、例えば、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどが挙げられる。
ニトリル系化合物としては、例えば、アジポニトリル、アセトニトリルなどが挙げられる。
アミド系化合物としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
エーテル系化合物としては、例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタンなどが挙げられる。
エレクトロクロミック化合物の含有量は、重合物全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
エレクトロクロミック化合物の含有量が、10質量%以上であると、重合物のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
エレクトロクロミック化合物の含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要である電解質との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると、エレクトロクロミック化合物の含有量は30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
<<重合開始剤>>
エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層は、重合反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、重合効率の観点から、光重合開始剤が好ましい。なお、光重合開始剤のみの混合、熱重合開始剤のみの混合、更にその他の重合開始剤を含む異なる刺激による重合開始剤の混合も可能である。
重合方法としては、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合、開環重合などが挙げられる。これらの中でも、重合プロセスの汎用性と簡易さの点から、ラジカル重合が好ましい。
熱重合開始剤としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;その他の光重合開始剤としてはエチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。また、光重合促進効果を有する化合物を単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。このような光重合促進効果を有する化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4‘−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の含有量は、重合物全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、0.5質量部以上20質量部以下がより好ましい。
<<その他の成分>>
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、フィラーなどが挙げられる。
トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を重合した重合物を含むエレクトロクロミック層は、第1の電極上に、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、架橋剤、必要に応じてその他の重合性化合物などを含むエレクトロクロミック組成物を塗布し、塗布したエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋することにより、形成することができる。
エレクトロクロミック層の平均厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。
<電解質層>
電解質層は、第1の電極と第2の電極との間に充填されて第1の電極及びトリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を重合した重合物を含むエレクトロクロミック層と接するように設けられている。
−電解質−
電解質層に用いられる電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩などが挙げられる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。
イオン液体としては、特に制限はなく、一般的に研究・報告されている物質であればどのようなものでも構わない。
特に有機のイオン液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
分子構造としては、カチオン成分としてN,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体等の芳香族系の塩;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム等の脂肪族4級アンモニウム系化合物などが挙げられる。
アニオン成分としては、大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物が好ましく、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSO、TCB、FSI、TFSI、TCHB、TCFBなどが挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン液体を用いることができる。
−電解質溶媒−
電解質溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
電解質層はゲル状や高分子架橋型、液晶分散型などの様々な形態をとることが可能である。背景技術で述べたように、製品安全性、製造プロセスの点から電解質層は固体状に形成することが理想である。
固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持することが好ましい。これにより高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。
更に、ポリマー樹脂としては光硬化可能な樹脂が好ましい。熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。
電解質層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm〜10μmが好ましい。
<その他の層>
その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、絶縁性多孔質層、保護層などが挙げられる。
−絶縁性多孔質層−
絶縁性多孔質層、第1の電極と第2の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
絶縁性多孔質層の材料としては、透明で多孔質であればよく特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、又はそれらの複合体を用いることが好ましい。
−保護層−
保護層の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐことなどである。
保護層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
エレクトロクロミック素子の作製方法としては、第1の支持体上に第1の電極が形成されたものと、第2の支持体上に順次第2の電極、ラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物が形成されたものと、を用意し、電解質層を介してこれらを貼り合せることによって作製する。電解質層が光や熱によって硬化可能な場合、貼り合せ後に硬化させることができる。水分や酸素などの浸入を防ぐため、素子の外周は封止されていてもよい。
ここで、図1は、本発明のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略断面図である。図1を参照するに、エレクトロクロミック素子は、第1の支持体1と、第一の支持体1上に形成された第1の電極2と、第2の支持体6と、第2の支持体6上に形成された第2の電極5と、第2の電極5と接するように設けられたラジカル重合性官能基を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有するエレクトロクロミック層4と、第1の電極2とエレクトロクロミック層4との間に形成され、電極間のイオン伝導を担う電解質層3とからなる。
本発明のエレクトロクロミック素子は、消色応答性に優れ、電解質がゲル又は固体電解質からなる固体型の素子であるため、例えば、エレクトロクロミックディスプレイ、株価の表示板等の大型表示板、調光レンズ、調光窓、遮光フィルター、防眩ミラー等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリー、電子ペーパー、電子アルバムなどに好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−第2の電極上へのエレクトロクロミック化合物を含む重合物の形成−
第2の電極上にエレクトロクロミック化合物を含む重合物を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・下記構造式で示されるエレクトロクロミック化合物1(重合性官能基の数=2、分子量=741):50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート(ブレンマー PME−400、日油株式会社製、重合性官能基の数=2、分子量=494):42.5質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(KAYARAD PET30:日本化薬株式会社製、重合性官能基の数=4、分子量=308)(以下「PET30」と称する):7.5質量部
・テトラヒドロフラン:900質量部
次に、得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布し、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み400μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
−第1の電極上への電気活性層の形成−
第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
その後、酸化チタン粒子膜上に、エレクトロクロミック化合物として下記構造式で表される化合物を1質量%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール(以下「TFP」と称する)溶液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間のアニール処理を行った。これより、酸化チタン粒子膜とエレクトロクロミック化合物からなる電気活性層を形成した。
−電解質の充填−
以下に示す組成の電解質液を調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):1質量部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート(ブレンマー PME−400、日油株式会社製、重合性官能基の数=2、分子量=494):19質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(メルク社製):30質量部
次に、得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、電気活性層を有するITOガラス基板に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、架橋したエレクトロクロミック層を有するITOガラス基板を貼り合せ、貼り合せ素子を作製した。
得られた貼り合せ素子をUV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により、窒素雰囲気下、10mWで60秒間照射した。次いで、貼り合わせ素子の4辺をUV硬化封止剤で封止をした。以上により、実施例1のエレクトロクロミック素子を作製した。
次に、作製した実施例1のエレクトロクロミック素子について、以下のようにして、「計算式1で算出される値」を算出すると共に、以下のようにして「発消色応答性」を評価した。結果を表1に示した。
<計算式1で算出される値>
実施例1におけるエレクトロクロミック化合物を含む重合物について、下記計算式1から、[{(2−1)/741}×(50/100)]+[{(2−1)/494}×(42.5/100)]+[{(4−1)/308}×(7.5/100)]により値を算出したところ、1.03であった。
[計算式1]
ただし、計算式1中、X1〜Xmは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれるモノマー(m個)を表す。Y1〜Ymは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーのモノマー全量に対する割合(質量%)を表す。Mwは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの分子量を表す。nは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの重合性官能基の数を表す。
<発消色応答性>
作製した実施例1のエレクトロクロミック素子について、消色0.6Vで5秒間という条件で消色応答性を評価した。駆動はmodulab(solartron社製)で行い、同時に色彩評価はLCD5200(大塚電子株式会社製)を用いて測定した。発色時の電圧印加時間に対する透過率変化の結果を図2に示した。
また、視感透過率10%に到達した発色状態から、透過率が70%に到達する印加時間(消色時間)を求め、下記基準で「消色応答性」を評価した。
[評価基準]
○:消色時間が1秒間以内
△:消色時間が1秒間よりも長い
×:消色時間が1秒間よりも長く、発消色不能
(比較例1)
実施例1において、エレクトロクロミック化合物1を含む重合物を有するエレクトロクロミック層の形成におけるエレクトロクロミック組成物の組成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。また、比較例1の発色時の電圧印加時間に対する透過率変化を図2に示した。
[組成]
・上記構造式で表されるエレクトロクロミック化合物1:50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PME400:50質量部
・テトラヒドロフラン:900質量部
図2の結果から、計算式1で算出される値(計算値)が0.68である比較例1は、1秒間での消色が達成できなかったのに対して、計算式1で算出される値が1.03である実施例1は消色挙動が大きく変わり、約0.8秒間で消色できた。
(実施例2〜5、比較例2)
実施例1において、架橋剤としてのKAYARAD PET30及びその他の重合性化合物の割合をそれぞれ表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例2のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例6〜8、比較例3)
実施例1において、架橋剤としてのKAYARAD PET30をトリメチロールプロパントリアクリレート(「A−TMPT」、新中村化学工業株式会社製、重合性官能基の数=3、分子量=296)に変え、表1に示す架橋剤及びその他の重合性化合物の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6〜8及び比較例3のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例9〜12)
実施例1において、架橋剤としてのKAYARAD PET30をトリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPT」、新中村化学工業株式会社製、重合性官能基の数=3、分子量=338)に変え、表1に示す架橋剤及びその他の重合性化合物の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9〜12のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例13〜16)
実施例1において、架橋剤としてのKAYARAD PET30をエチレングリコールジメタクリレート(「1G」、新中村化学工業株式会社製、重合性官能基の数=2、分子量=198)に変え、表1に示す架橋剤及びその他の重合性化合物の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例13〜16のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例17〜20)
実施例1において、架橋剤としてのKAYARAD PET30をエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(「A−9300」、新中村化学工業株式会社製、重合性官能基の数=3、分子量=423)に変え、表1に示す架橋剤及びその他の重合性化合物の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例17〜20のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例21〜23、比較例4)
実施例1において、架橋剤としてのKAYARAD PET30をジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(「AD−TMP」、新中村化学工業株式会社製、重合性官能基の数=4、分子量=466)に変え、表1に示す架橋剤及びその他の重合性化合物の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例21〜23及び比較例4のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例24〜27)
実施例1において、架橋剤としてのKAYARAD PET30をプロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(「A−B1206PE」、新中村化学工業株式会社製、重合性官能基の数=2、分子量=1296)に変え、表1に示す架橋剤及びその他の重合性化合物の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例24〜27のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例28、比較例5〜7)
実施例1において、エレクトロクロミック化合物1を、下記構造式で表されるエレクトロクロミック化合物2(重合性官能基の数=1、分子量=671)に変え、表1に示す架橋剤及びその他の重合性化合物の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例28、比較例5〜7のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例29〜31、比較例8)
実施例1、2、4、及び比較例2のPME400を、ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマー AME−400、日油株式会社製、重合性官能基の数=1、分子量=483)に変更した以外は、実施例1、2、4、及び比較例2と同様にして、実施例29〜31及び比較例8のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例32〜33、比較例9〜10)
実施例1、2、4、及び比較例2のPME400を、ポリエチレングリコールジアクリレート(ブレンマー ADE−400A、日油株式会社製、重合性官能基の数=2、分子量=523)に変更した以外は、実施例1、2、4、及び比較例2と同様にして、実施例32〜33及び比較例9〜10のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例34〜35、比較例11〜12)
実施例1、2、4、及び比較例2のPME400を、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ブレンマー PDE−400、日油株式会社製、重合性官能基の数=2、分子量=551)に変更した以外は、実施例1、2、4、及び比較例2と同様にして、実施例34〜35及び比較例11〜12のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例36)
実施例1において、エレクトロクロミック組成物の組成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例36のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
[組成]
・上記構造式で表されるエレクトロクロミック化合物1:70質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PME400:22.5質量部
・PET30:7.5質量部
・テトラヒドロフラン:900質量部
(比較例13)
実施例1において、エレクトロクロミック組成物の組成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例13のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
[組成]
・上記構造式で表されるエレクトロクロミック化合物1:30質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PME400:62.5質量部
・PET30:7.5質量部
・テトラヒドロフラン:900質量部
(実施例37〜38、比較例14〜15)
比較例5〜6、実施例28、及び比較例7のPME400を、PDE−400に変更した以外は、比較例5〜6、実施例28、及び比較例7と同様にして、実施例37〜38及び比較例14〜15のエレクトロクロミック素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
*その他の重合性化合物:エレクトロクロミック化合物と架橋剤以外の重合性化合物
*計算式1で算出された値:
[計算式1]
ただし、計算式1中、X1〜Xmは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれるモノマー(m個)を表す。Y1〜Ymは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーのモノマー全量に対する割合(質量%)を表す。Mwは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの分子量を表す。nは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの重合性官能基の数を表す。
表1の結果から、計算式1で算出された値が0.70〜2.0の範囲にある実施例1〜38は、消色時間が1秒間以内の良好な消色応答性を有することがわかった。
これに対して、計算式1で算出された値が0.70未満及び2.0を超える比較例1〜15は、消色時間が1秒間を超える結果となった。特に、計算式1で算出された値が2.4よりも大きい比較例2、7、8、10、12、及び15は、発消色さえもできなかった。これは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物の抵抗が上がり、大幅に電流が流れにくくなったことによると考えられる。
また、比較例13は、計算式1で算出された値が2.08であり、2.4よりも小さいが、ほとんど発消色できなかった。この場合、発消色を担うエレクトロクロミック化合物の割合が少なすぎたと考えられる。
以上の結果から、エレクトロクロミック化合物を含む重合物を構成するモノマーの組成により計算式1で算出された値を制御し、消色応答性を制御することができることが示された。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質層とを有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第2の電極が、エレクトロクロミック化合物を含む重合物を表面に有するエレクトロクロミック層を有し、
前記エレクトロクロミック化合物を含む重合物は、下記計算式1で算出される値が0.70〜2.0であることを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
[計算式1]
ただし、前記計算式1中、X1〜Xmは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれるモノマー(m個)を表す。Y1〜Ymは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーのモノマー全量に対する割合(質量%)を表す。Mwは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの分子量を表す。nは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの重合性官能基の数を表す。
<2> 前記エレクトロクロミック化合物を含む重合物が、重合性官能基を有するエレクトロクロミック化合物を含む前記<1>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<3> 前記エレクトロクロミック化合物を含む重合物が、更に重合性官能基を2以上有する架橋剤を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<4> 前記架橋剤が有する重合性官能基の数が3以上である前記<3>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<5> 前記架橋剤が有する重合性官能基の数が4以上である前記<3>から<4>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<6> 前記架橋剤が有する重合性官能基が、(メタ)アクリロイルオキシ基である前記<3>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<7> エレクトロクロミック調光素子である前記<1>から<6>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<8> 調光レンズ、調光窓、遮光フィルター、及び防眩ミラーのいずれかに用いられる前記<7>に記載のエレクトロクロミック素子である。
前記<1>から<8>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 第1の支持体
2 第1の電極
3 電解質層
4 エレクトロクロミック層
5 第2の電極
6 第2の支持体
特開昭63−149628号公報 特開昭61−143727号公報 特開平4−204522号公報 特開2016−045464号公報 特開2016−038572号公報 特開2016−169201号公報

Claims (7)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質層とを有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記第2の電極が、エレクトロクロミック化合物を含む重合物を有するエレクトロクロミック層を表面に有し、
    前記エレクトロクロミック化合物を含む重合物は、下記計算式1で算出される値が0.70〜2.0であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
    [計算式1]
    ただし、前記計算式1中、X1〜Xmは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれるモノマー(m個)を表す。Y1〜Ymは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーのモノマー全量に対する割合(質量%)を表す。Mwは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの分子量を表す。nは、エレクトロクロミック化合物を含む重合物に含まれる各モノマーの重合性官能基の数を表す。
  2. 前記エレクトロクロミック化合物を含む重合物が、重合性官能基を有するエレクトロクロミック化合物を含む請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記エレクトロクロミック化合物を含む重合物が、更に重合性官能基を2以上有する架橋剤を含む請求項1から2のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記架橋剤が有する重合性官能基の数が3以上である請求項3に記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記架橋剤が有する重合性官能基の数が4以上である請求項3から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記架橋剤が有する重合性官能基が、(メタ)アクリロイルオキシ基である請求項3から5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  7. エレクトロクロミック調光素子である請求項1から6のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

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