JP3985514B2 - インクジェット記録用紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)に関し、更に詳しくは、ひび割れを防止し、かつ種々の要求される諸性能を向上させた多孔質層を有するインクジェット記録用紙及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式においては、急速に画質向上がはかられてきており、銀塩写真画質に迫りつつある。この様な写真画質をインクジェット記録で達成するための手段として、使用する記録用紙においても急速に技術改良が試みられており、例えば、高平滑性を有する支持体上に、インク吸収性として微小な空隙を有する多孔質層を設けた記録用紙は、高インク吸収性や高乾燥性であることから、最も写真画質に近いものが得られる方法の一つになりつつある。
【0003】
この多孔質インク層は、主に親水性バインダーと微粒子とで形成されており、微粒子としては無機または有機の微粒子が知られているが、一般的には、より微粒子で光沢性が高い無機微粒子が用いられる。そして、該微粒子に対して比較的少量の親水性バインダーを使用することにより、微粒子間に空隙が形成されて多孔質層が得られる。
【0004】
一方、支持体については、インクジェット記録用紙として、一般に、紙等の吸水性支持体とポリエステルフィルムや樹脂被覆紙等の非吸水性支持体とが知られている。前者は、支持体自身がインクを吸収できるため、高インク吸収能を有している利点がある反面、支持体の吸水性に起因するプリント後にシワが発生(コックリングともいう)するという問題があり、高品位なプリントが得にくかったり、プリント時にコックリングに伴うヘッドによるプリント表面の擦りが起き易いなどの弱点を有している。
【0005】
これに対し、非吸水性の支持体を使用する場合には、上述の問題はなく、高品位なプリントが得られる利点があるが、一方ではインク吸収量に制限を受ける。
【0006】
一般に、インク受容層に対しては、さまざまな特性が要求され、これら種々の特性を改良するために、以下に記載の各添加剤の使用が提案されている。
【0007】
1:高い発色性や光沢を達成するために、約0.1μm程度以下の多孔質を形成する安定な微粒子
2:微粒子の保持力が高く、かつインク吸収速度を低下させないための低膨潤性親水性バインダー
3:インク吸収速度や被膜の耐水性を改良するための親水性バインダーの架橋剤
4:最適なドット径を達成するため、表面に分布した界面活性剤や親水性ポリマー
5:色素の滲みや耐水性を改良するためのカチオン性の定着剤
6:色素画像の光や酸化性ガスなどによる退色性を改良するための退色防止剤
7:白地を改良するための蛍光増白剤や色調調整剤(赤み剤や青み剤など)
8:表面の滑り性を改良するためのマット剤や滑り剤
9:皮膜に柔軟性を持たせるための各種のオイル成分やラテックス粒子あるいは水溶性可塑剤
10:色素の滲みや耐水性あるいは耐候性を改良するための種々の無機塩類(多価金属塩)
11:多孔質皮膜の膜面pHを調整するための酸やアルカリ類
等が挙げられる。
【0008】
しかしながら、上記の種々の目的で使用する各添加剤をインク受容層を形成する塗布液に添加した場合、多くの添加剤において、製造工程の安定性の観点から、種々の制約を受けるケースが多い。
【0009】
そのような問題点としては、例えば、
A:微粒子や添加剤同士の間で凝集が生じたり、塗布液中で相分離を起こすことにより、ムラのない安定した塗布が困難になる、光沢が低下してマット化する、塗布液のポットライフが短くなり、生産効率が大幅に低下する等の問題が生じる
B:調製した塗布液を長時間停滞させると、塗布液が大きく増粘してゲル化したり、逆に著しく減粘して、支持体上で塗布液が流れやすくなり、その結果安定した塗布が困難となり、均質な塗膜が得にくくなる
C:多孔質皮膜を塗布乾燥する際に、表面のひび割れが増大する
D:多孔質皮膜の空隙率が低下する
上記のA項やB項に係る問題は、主に添加剤の電気的な相互作用に基づく場合が多く、例えば、カチオン性の定着剤がその主因となり、アニオン基を有する種々の原材料と反応して、様々な問題を引き起こす結果となる。
【0010】
一方、上記C項やD項に係る問題は、主に支持体が非吸水性支持体を用いた場合に顕著に発生し、問題を引き起こす。すなわち、吸水性を有していない支持体上に空隙を有する多孔質層を設けたインクジェット記録用紙の場合では、インクジェット記録する際に、全てのインクをインク吸収層である空隙層が一時的に保持する必要があるが、そのためには高い空隙容量を持たなければならず、その結果、厚い塗膜を、しかも高い空隙率で形成させる必要がある。
【0011】
通常、この様な非インク吸収性支持体上に多孔質層を塗布する場合、乾燥膜厚として、25μm以上、好ましくは30μm以上50μm以下の膜厚になるように塗布する必要がある。このような厚い膜厚の多孔質層を支持体上に塗布する場合の問題点として、多孔質層が元来硬い膜であることから、製造段階において、乾燥時にひび割れが起きやすくなったり、あるいは空隙率が低下する等の問題が発生し、特に、多孔質層を形成する塗布液に、種々の機能を付与するための各種添加剤を添加することにより、その影響は大きくなる傾向がある。
【0012】
この多孔質層の乾燥時におけるひび割れは、乾燥時の塗膜の収縮に起因するものであり、種々の要因に依存すると考えられるが、その一因として、親水性バインダーの微粒子の保持能力を低下させるような添加剤が存在することにより、ひび割れが起きやすくなると考えられる。
【0013】
また、空隙率は、微粒子同士もしくは微粒子と親水性バインダーとの間に相互作用があると高まる傾向があるが、ある種の添加剤を用いることにより、上記相互作用が減少し、空隙率が低下することがある。すなわち、微粒子同士がより細密充填しやすくなる。
【0014】
一般には、微粒子に対する親水性バインダーの使用量は、多孔質の空隙を埋めてインク吸収性が低下しないように、質量比で概ね1/2倍以下、特に1/3倍以下しか用いることができないのが現状である。このため、親水性バインダーによる微粒子の保護コロイド性は、僅かの添加剤により影響を受けやすくなる。
【0015】
多孔質層の乾燥過程では、少量の親水性バインダーが微粒子の表面を覆いながら、しかも親水性バインダー同士が絡み合って微粒子を保持する保護コロイド性を発揮して多孔質層を形成するが、この時、添加剤が存在すると親水性バインダー間の絡み合いを妨害し、皮膜としての強度を低下させるため、乾燥過程で皮膜が収縮する段階、特に、皮膜の乾燥が終了する付近において、ひび割れが発生しやすい為ではないかと考えられる。
【0016】
通常、インクジェット記録用紙は、連続して走行する支持体上に多孔質層を形成する塗布液を塗布し、乾燥した後、ロール状に巻き取って製造されるが、その後に、特定の添加剤を有する塗布液をその上部に付与する、いわゆるオーバーコートを行う方法(以下、オーバーコート法という)が知られているが、これらの方法の多くは、2回以上に分けて塗布を行うことになるため、製造コストが大幅に増大する問題がある。また、多孔質層を形成した後、しばらく経時すると、温度履歴や時間のばらつきにより、品質安定性に問題が生じるだけでなく、オーバーコートの際の塗布ムラが生じやすい等の問題が生じやすい。
【0017】
一般に、塗布乾燥直後と経時保存した後の状態では、親水性バインダーの存在状態や結晶化の進行や添加剤の層内分布の再配向等により皮膜状態が異なることが多い。
【0018】
親水性バインダーは、塗布乾燥直後では、溶液状態の分布に近いと考えられるが、経時されて平衡状態になった時には微粒子や添加剤との相互作用(架橋反応等)の結果、膨潤性が低下する傾向にある。特に、親水性バインダーとして最も有用なポリビニルアルコールなどはオーバーコート液の吸水性や親水性バインダーに対する膨潤性が乾燥後の経時で変化することが多い。
【0019】
また、多孔質層表面の界面活性剤、親水性バインダーその他拡散性添加剤は、塗布後徐々に変質しやすく、オーバーコート液の塗れ性に影響を及ぼしてオーバーコート時のムラを起こしやすい。
【0020】
さらに、多孔質層の経時時間による変動は、オーバーコートする添加剤の層内分布や効果に差が生じたりして、品質ばらつきの要因になることがある。
【0021】
多孔質皮膜に添加剤を含有する溶液をオーバーコートして供給することは、インクジェット記録用紙を製造する際のいわゆる含浸法として知られているが、多孔質層を形成した直後に、オンラインで製造する方法は、全く知られていない。
【0022】
特開平11−115308号公報には、無機微粒子と水溶性樹脂を含む塗布液を支持体上に塗布し、塗布と同時または塗布した層が減率乾燥速度を示す前に、水溶性樹脂の架橋剤を含有する溶液を付与して硬化させる方法が記載されている。減率乾燥速度を示す前とは、上記公報にも記載してあるように、恒率乾燥部分のことであり、塗布層中の溶剤の含有量が一定の乾燥条件で有れば時間に比例して減少するような乾燥領域である。
【0023】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、この様な添加剤を恒率乾燥域でオーバーコートした場合、塗布液の溶媒が未だ充分に蒸発し切れていないため、乾燥終点付近でひび割れが発生したり、あるいはオーバーコートした瞬間に、オーバーコート液面に当たる乾燥風や機械的な振動により、吹かれムラ、すなわち表面への気流変動で生じる塗布ムラや搬送ムラを生じやすく、このため、高速塗布では問題があることが判明した。
【0024】
特開平8−34160号公報には、無機微粒子と水溶性樹脂からなる層(多孔質層)の表面に、第4級アンモニウム塩基を有するシランカップリング剤を含む溶液をオーバーコートする方法が記載されている。しかしながら、上記公報に記載された範囲の方法では、一旦乾燥して得られた多孔質表面に、添加剤を含む溶液をオーバーコートするものであり、本発明が目指す多孔質皮膜を形成するのとオンラインで溶液を塗布する記載が無く、従来の一般的方法によるものであり前述の塗布ムラや品質の安定性等の課題がある。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の第1の目的は、支持体上に親水性バインダーと微粒子からなる多孔質層に種々の添加剤を添加しても、製造時にひび割れが発生しにくい高空隙率の多孔質層を有するインクジェット記録用紙を提供することにある。本発明の第2の目的は、支持体上に多孔質層を形成させる塗布液を塗布した後、添加剤を含有する溶液をオーバーコートする際、製造コストの大幅な増大を伴うことなく、高い品質を有するインクジェット記録用紙の製造方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、製造品質ばらつきが低減し、塗布均一性が向上した高品質のインクジェット記録用紙の製造方法を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
【0041】
1.支持体上に親水性バインダーと微粒子とを含有する多孔質層を形成するための水溶性塗布液を塗布する工程と、塗布した該多孔質層の減率乾燥部以降であって乾燥終点部以前に、添加剤含有溶液を該多孔質層上に付与する工程を有するインクジェット記録用紙の製造方法であり、前記多孔質層を形成するための水溶性塗布液を塗布する工程と、前記添加剤含有溶液を前記多孔質層上に付与する工程とが、同一ライン上で行われることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
2. 支持体上に親水性バインダーと微粒子とを含有する多孔質層を形成するための水溶性塗布液を塗布する工程と、塗布した該多孔質層の減率乾燥部以降であって乾燥終点部以前に、添加剤含有溶液を該多孔質層上に付与する工程を有するインクジェット記録用紙の製造方法であり、前記多孔質層を形成するための水溶性塗布液を塗布する工程と、前記添加剤含有溶液を前記多孔質層上に付与する工程とが、同一ライン上で、且つ、該付与する工程が、前記塗布された多孔質層の含水量が前記乾燥終点における前記多孔質層の空隙容量以下となった後であることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
【0044】
3.前記添加剤含有溶液を付与するとき、前記多孔質層の含水量と前記添加剤含有溶液との総量が、前記乾燥終点における前記多孔質層の空隙容量の1.5倍以下であることを特徴とする前記1または2項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0045】
4.前記添加剤含有溶液の溶媒が、水または水混和性の有機溶媒と水との混合溶液であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0046】
5.前記添加剤含有溶液を付与した後、実質的に乾燥することなく巻き取られることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0047】
6.前記支持体が、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆された樹脂被覆紙であることを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0048】
7.前記紙の含水率が、8質量%以下であることを特徴とする前記6項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0049】
8.前記添加剤含有溶液を付与する時、前記多孔質層の含水量と該添加剤含有溶液の水との総量が、紙質量の7質量%以下であることを特徴とする前記6又は7項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0050】
9.前記添加剤含有溶液が含有する少なくとも1種の添加剤が、界面活性剤であることを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0051】
10.前記添加剤含有溶液の粘度が、100mPa・s以下であることを特徴とする前記1〜9項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0052】
11.前記添加剤含有溶液が含有する少なくとも1種の添加剤が、前記親水性バインダーの架橋剤であることを特徴とする前記1〜10項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0053】
12.前記添加剤含有溶液が含有する少なくとも1種の添加剤が、画像安定剤であることを特徴とする前記1〜11項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0054】
13.前記添加剤含有溶液が含有する少なくとも1種の添加剤が、水溶性多価金属化合物であることを特徴とする前記1〜12項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0055】
14.前記添加剤含有溶液のpHが、1〜5であることを特徴とする前記1〜13項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0056】
15.前記添加剤含有溶液のpHが、8〜13であることを特徴とする前記1〜13項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
【0057】
本発明者らは、上記の種々の課題に対して検討した結果、多孔質層の塗布乾燥後のひび割れに関しては、塗布液や塗膜に悪い影響を与える添加剤を含まない塗布液を支持体上にまず塗布して多孔質層を形成した後に、特定の乾燥領域で特定の性能を改良する添加剤を含有する溶液を添加すること、更には、その塗布方法としてオーバーコート塗布方式を用いることにより、課題を回避できることを見いだした。
【0058】
以下、本発明を詳細に説明する。
請求項1に係るインクジェット記録用紙の製造方法では、支持体上に、親水性バインダーと微粒子とを含有する多孔質層を形成する水溶性塗布液を塗布し、塗布した多孔質層の減率乾燥部以降に、添加剤含有溶液を該多孔質層上に付与して得られたことが特徴であり、また、添加剤含有溶液の多孔質層上への付与が、乾燥終点部以前で行われることが特徴である。
【0059】
本発明で規定する減率乾燥部及び乾燥終点部について、以下説明する。
本発明に係る添加剤含有溶液を付与する工程は、支持体上に、親水性バインダーと微粒子とを含有する多孔質層用水溶性塗布液を塗布した後、その湿潤塗膜(多孔質層)を乾燥させる為の乾燥工程以降で行われる。
【0060】
乾燥工程は、通常は、湿潤状態の塗設物を連続的に搬送しながら、その表面あるいは裏面より、特定の温度及び湿度条件に制御された乾燥風を吹き付けて乾燥させる。
【0061】
湿潤塗膜の乾燥過程は、主に以下のように分類することができる。乾燥の初期は、恒率乾燥部と呼ばれ、乾燥初期の水や溶剤を多く持つインクジェット記録用紙では比較的自由な水や溶剤が水や溶剤の蒸発潜熱を奪いながら蒸発していくため、多孔質層を有する面側の表面温度はほぼ一定である。この一定温度の期間を恒率乾燥部という。これに対し、親水性バインダーなどとインターラクションのある水や溶剤を蒸発させるときには、蒸発潜熱の他にそのインターラクションを解くためのエネルギーも必要となるので表面温度は上昇する。この期間を減率乾燥部という。減率乾燥部では、表面からの水分の蒸発が層内の塗膜中の水分移動が勝るときに起きる現象であり、一般には空隙が形成され始めるのは、減率乾燥部に入り水分が更に蒸発してからである。
【0062】
次いで、減率乾燥が終了すると、乾燥風の温度とインクジェット記録用紙の表面温度が一致する領域に入る。この時点が、乾燥終点と呼ばれている。
【0063】
以上説明した恒率乾燥部、減率乾燥部及び乾燥終点の確認方法としては、特に制限はないが、例えば、多孔質層を塗設した面の表面温度をモニターして、表面温度が一定である領域を恒率乾燥部、表面温度が上昇する領域を減率乾燥部及び乾燥温度と同一となった時点を、乾燥終点として求めることができる。
【0064】
また、他の方法としては、各領域に含水量計を設置し、塗膜の含水量をモニターし、含水量の減少曲線からも各々の領域を規定することができる。
【0065】
請求項3に係る発明では、添加剤含有溶液を付与するとき、多孔質層の含水量と添加剤含有溶液との総量が、乾燥終点における多孔質層の空隙容量の1.5倍以下であることが特徴であるが、好ましくは0.01〜1.5倍である。
【0066】
次いで、本発明のインクジェット記録用紙の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、支持体上に親水性バインダーと微粒子を含有する多孔質層を形成する水溶性塗布液を塗布し、空隙を有する多孔質層を形成したものである。
【0067】
本発明に係る多孔質層は、主に微粒子と親水性バインダーから形成される。
本発明で用いることのできる微粒子としては、無機微粒子や有機微粒子を用いることができるが、特には、高光沢で、かつ高発色濃度が得られ、更に微粒子が容易に得やすいことから無機微粒子が好ましい。そのような無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。上記無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、また、2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
【0068】
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、アルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが、特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がAlで修飾されたものであっても良い。表面がAlで修飾された気相法シリカのAl含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
【0069】
上記無機微粒子の粒径は、いかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。1μmを越えると、光沢性や発色性が低下しやすく、そのため、特には、0.2μm以下が好ましく、0.1μm以下が最も好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね0.003μm以上、特に0.005μm以上が好ましい。
【0070】
上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0071】
また、微粒子の分散度は、光沢性や発色性の観点から0.5以下が好ましい。0.5を越えると光沢やプリント時の発色性が低下しやすい。特に、0.3以下が好ましい。ここで、微粒子の分散度とは、上記平均粒径を求めるのと同様に電子顕微鏡で多孔質層の微粒子を観察し、その粒径に標準偏差を平均粒径で割ったものを示す。
【0072】
上記微粒子は、1次粒子のままで、あるいは2次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜中に存在していても良いが、上記の平均粒径は、電子顕微鏡で観察したときに多孔質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径を言う。
【0073】
上記微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。
【0074】
多孔質層に含有される親水性バインダーとしては、特に制限はなく、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0075】
ポリビニルアルコールは、無機微粒子との相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に、吸湿性の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、本発明の課題である塗布乾燥時のひび割れに対する適性が優れる。本発明で好ましく用いられるポリビリルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0076】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0077】
カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0078】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0079】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0080】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、および同63−307979号公報に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0081】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0082】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなどの2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め、無機微粒子分散液に重合度が1000以下のポリビニルアルコールを無機微粒子に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
【0083】
多孔質層の親水性バインダーに対する微粒子の比率は、質量比で2〜20倍であることが好ましい。質量比が2倍未満である場合には、多孔質層の空隙率が低下し、充分な空隙容量が得にくくなるだけでなく、過剰の親水性バインダーがインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぎ、インク吸収速度を低下させる要因となる。一方、この比率が20倍を越える場合には、多孔質層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じやすくなり好ましくない。特に好ましい親水性バインダーに対する微粒子の比率は、2.5〜12倍、最も好ましくは3〜10倍である。
【0084】
本発明のインクジェット記録用紙に用いられる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が好ましい。
【0085】
吸水性支持体では、単に高品位なプリントが得にくいだけでなく、オーバーコートした各添加剤成分が、塗布後に紙中に拡散して、添加剤本来の効果を損なう結果となる。
【0086】
好ましく用いられる非吸水性支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、あるいは基紙の両面をポリオレフィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー等が用いられる。
【0087】
上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明のインクジェット記録用紙は、必ずしも無色である必要はなく着色された支持体であってもよい。
【0088】
本発明で好ましく用いられ支持体は、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルムおよび紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体であるが、特に好ましいのは、請求項7に係る発明であるポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体であり、オーバーコート液を少量塗布した場合には、実質的に乾燥を不要とすることができる。
【0089】
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表であるポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。
【0090】
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
【0091】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0092】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0093】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分の質量%との和が30〜70質量%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
【0094】
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法ににより測定した場合、5〜9であることが好ましい。
【0095】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0096】
また、塗布層側のポリエチレンに層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して、1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
【0097】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微粒面を形成したものも本発明で使用することができる。
【0098】
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、水系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿および高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
【0099】
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
【0100】
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
7)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示したときの、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
【0101】
上記支持体のインク受容層側には、インク受容層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましい。これらバインダーは、記録用紙1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤を少量含有させることができる。
【0102】
上記支持体のインク受容層側と反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好ましく、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていても良い。
【0103】
下引き層やバック層の塗設に当たっては、支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を併用することが好ましい。
【0104】
上記多孔質層を形成する水溶性塗布液中には、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性媒染剤、架橋剤、界面活性剤(カチオン、ノニオン、アニオン、両性)、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、マット剤、シリコンオイル等が挙げられるが、中でもカチオン媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
【0105】
カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
【0106】
好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
【0107】
また、親水性バインダーの架橋剤を含有させることも特に好ましい。架橋剤により、多孔質層の耐水性が改善され、また、インクジェット記録時に親水性バインダーの膨潤が抑制されるためにインク吸収速度が向上する。
【0108】
架橋剤としては、従来公知の架橋剤を使用することができ、無機系架橋剤(例えば、クロム化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、ホウ酸類など)や有機系架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、N−メチロール系架橋剤、アクリロイル系架橋剤、ビニルスルホン系架橋剤、活性ハロゲン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、エチレンイミノ系架橋剤等)等を使用することができる。
【0109】
これらの架橋剤は、親水性バインダーに対して、概ね1〜50質量%であり、好ましくは2〜40質量%である。
【0110】
親水性バインダーがポリビニルアルコール類であり、微粒子がシリカである場合、架橋剤としては、ホウ酸類やジルコニウム化合物などの無機系架橋剤およびエポキシ系架橋剤が、特に好ましい。
【0111】
特に好ましい態様として、ポリビニルアルコールとシリカ微粒子を用いた場合には、ほう酸またはその塩を用いることにより、水溶性塗布液の温度を低下させた際に、その粘度が大きく上昇し、塗膜面に強い風を吹き付けても塗膜の乱れが大幅に抑制され、高速塗布が容易になることから好ましい。ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的には、オルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸、四ほう酸、五ほう酸およびそれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)が含まれる。
【0112】
ホウ酸またはその塩の使用量は、塗布液の無機微粒子やポリビニルアルコールの濃度、pH等により広範に変わり得るが、ポリビニルアルコールに対して概ね5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%である。
【0113】
ホウ酸を含有する塗布液について、更に詳細に説明する。
上記ホウ酸とポリビニルアルコール親水性バインダーとして含有する塗布液は、40℃における粘度に対して15℃における粘度が20倍以上高いと、塗布後に塗膜を冷却、セットさせた後、強風を吹き付けて乾燥することができ、高速塗布乾燥性の観点で好ましい。好ましい15℃における粘度の上昇は、40℃における粘度の50倍以上であり、特に好ましくは100倍以上である。また、塗布時の温度は、一般に30〜50℃であるが、0℃における塗布液粘度が10〜500mPa・s程度であることが、塗布液の取り扱い性が良好であり好ましい。ここでいう粘度とは、B型粘度計で測定した値を言う。
【0114】
上記のような塗布液物性を得るためには、親水性バインダーと無機微粒子との間に水素結合性の相互作用を持たせることが有効な手段である。この水素結合は、比較的弱い結合のため、温度を上げることで分子運動により容易に切れやすく、高温で低粘度、低温で高粘度になりやすい。それ故に、上記水溶性塗布液を支持体上に塗布した後は、塗布液を冷却して著しく増粘させることが前述の如く好ましい。
【0115】
塗布液の塗布温度は、一般的には、30〜60℃であり、塗布後の冷却温度は塗膜温度が概ね20℃以下になるようにすれば良く、特に、15℃以下にすることが好ましい。
【0116】
冷却は、塗布後の塗設物を、例えば、15℃以下に冷却されたゾーンを一定時間(好ましくは5秒間以上)通過させることで行うことができる。この冷却時点では、あまり強い風を吹き付けないことが、液ヨリを起こさず均一でムラのない塗膜を得る観点から好ましい。
【0117】
一旦冷却した以降は、強い風を吹き付けても、塗布液自体の増粘のため、液ヨリを起こしにくくなり、強い風を吹き付けても液ヨリの発生を抑制することができる。また、吹き付ける強い風の温度は、20℃以上の風を吹き付けることができるが、徐々に風の温度を上げるのが好ましい。
【0118】
水溶性塗布液を支持体上に塗布した後の乾燥は、風を吹き付けたり高温状態のゾーンを通過させる、もしくは両者を併用することで行われる。
【0119】
高温ゾーンを通過させて乾燥させる場合、50〜150℃の乾燥ゾーンを通過させる。この際、乾燥温度は、支持体の耐熱性や塗膜への悪影響などを考慮して適切な乾燥温度を選択することが好ましい。乾燥する風は、通常、相対湿度が10〜50%、好ましくは15〜40%の風で行われる。乾燥時間は、湿潤膜厚にもよるが、概ね10分以内が好ましく、5分以内にするのが特に好ましい。
【0120】
塗布速度は、湿潤膜厚や設備の乾燥能力に依存するが、概ね1分当たり10〜1000m、好ましくは20〜500mである。
【0121】
なお、上記塗布液に添加しても直ぐには反応してゲル化や凝集を起こしたり分解しないが、塗布液の長時間の停滞で反応や分解を起こす特性を有する添加剤は、塗布液に塗布直前にインライン混合する方法を用いることが好ましい。ここでいう塗布直前とは、塗布までの時間が1秒〜10分程度以内を示す。
【0122】
上記塗布液の塗布方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0123】
本発明の記録用紙に係る多孔質層は、単層であっても多層であっても良く、多層構成の場合には、全ての層を同時に塗布することが、製造コスト低減の観点から好ましい。
【0124】
次に、オーバーコートする添加剤含有溶液について、以下説明する。
本発明では、支持体上に親水性バインダーと微粒子を含有する多孔質層を形成する水溶性塗布液を塗布し、塗膜の含水量が乾燥終点における多孔質層の空隙容量以下になった後、前記多孔質層の塗布と同一ライン上、すなわち、オンラインで添加剤含有溶液をオーバーコートすることが特徴である。
【0125】
オーバーコートする上記溶液が含有する添加剤としては、前記の多孔質層用塗布液に添加することができる化合物であっても、乾燥時にひび割れを増大させ易い化合物、あるいは前記の塗布液中に添加すると凝集を形成したり、塗布液の粘度を大幅に低下もしくは増大させる化合物、更には塗布液中に添加した場合に、塗膜中で水分もしくは他の添加剤との反応等により有効な効果が得にくい種々の化合物に適用することができる。例えば、その添加剤の使用により、pHが変化する有機または無機の酸、もしくは各種のアルカリ性の添加剤、水溶性多価金属イオンの水溶性塩、アニオン、カチオン、両性、もしくはノニオン系の各種界面活性剤、退色防止剤、カチオン性定着剤、親水性バインダーの架橋剤等が挙げられる。
【0126】
多孔質皮膜の膜面pHを低下させる目的で使用できる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの無機酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、フタル酸、こはく酸、蓚酸、ポリアクリル酸などの有機酸を挙げることができる。この溶液のpHとしては、0〜6が好ましく、請求項14に係る発明では、pHが1〜5であることが特徴である。また、pH調整後の最終の膜面pHは3〜7が好ましく、特に3.5〜6が特に好ましい。
【0127】
本発明においては、添加剤含有溶液を多孔質層の塗膜上に付与(オーバーコート)する方法としては、特に限定されない。
【0128】
多孔質皮膜の膜面pHを増大させる目的で使用されるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ほう砂、燐酸ナトリウム、水酸化カルシウム、有機アミンなどが挙げられる。このアルカリを含有する溶液のpHは、8〜14であり、請求項15に係る発明では、pHが8〜13であることが特徴であり、特に好ましくは9〜12である。
【0129】
上記pH調整剤は、多孔質形成する塗布液中のpHが記録用紙の好ましい膜面pHと異なる場合に、特に好ましい。
【0130】
記録用紙の多孔質層の膜面pHは、インクの種類によっても異なるが、一般には、より酸性側で染料の耐水性や滲みが改善されるが、耐光性はより高pH側で改良される傾向が大きいため、使用するインクとの組み合わせで最適なpHは選定される。好ましい多孔質表面の膜面pHは、3〜7であり、特に3.5〜6.5が好ましい。ここでいう膜面pHとは、J.TAPPI 49に規定される紙の表面pH測定方法にしたがって測定した値であり、具体的には、記録用紙表面に50μlの純水(pH=6.2〜7.3)を滴下し、市販の平面電極を用いて測定した値を言う。
【0131】
請求項11に係る発明では、オンラインでオーバーコートする添加剤含有溶液が、親水性バインダーの架橋剤を含有していることが特徴である。
【0132】
本発明で用いることのできる架橋剤としては、前述の架橋剤を挙げることができる。
【0133】
本発明において、多孔質皮膜を形成する水溶性塗布液が、予め親水性バインダーの架橋剤を含有しておき、さらにオーバーコートする添加剤含有溶液がさらに架橋剤を含有する場合には、親水性バインダーの架橋効果が著しく増大して、インク吸収性改良効果が大きく好ましい態様の一つである。これは、多孔質を形成する塗布液中に架橋剤を添加しておくことで、親水性バインダーの分子量が見かけ上増大し、それらが皮膜になった状態で架橋剤を供給することで、膨潤しにくい皮膜が形成されると考えられる。
【0134】
架橋剤をオーバーコートする場合に用いる架橋剤としては、水溶性塗布液に含有する架橋剤と同じであっても、異なっていても良い。オーバーコートする架橋剤は、親水性バインダーに対して、1〜100質量%、好ましく5〜50質量%の範囲で用いられる。特に好ましい架橋剤は、前述のホウ酸類、ジルコニウム塩、アルミニウム塩もしくはエポキシ系架橋剤である。
【0135】
請求項12に係る発明では、オンラインでオーバーコートする添加剤含有溶液が、画像安定剤(以下、退色防止剤ともいう)を含有していることが特徴である。
【0136】
本発明では、従来インクジェットで公知の退色防止剤を用いることができる。この退色防止剤は、光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOxなどの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。そのような退色防止剤としては、例えば、特開昭57−74192号、同57−87989号および同60−72785号に記載の酸化防止剤、特開昭57−74193号に記載の紫外線吸収剤、特開昭61−154989号に記載のヒドラジド類、特開昭61−146591号に記載のヒンダードアミン系酸化防止剤、特開昭61−177279号に記載の含窒素複素環メルカプト系化合物、特開平1−115677号および同1−36479号に記載のチオエーテル系酸化防止剤、特開平1−36480号に記載の特定構造のヒンダードフェノール系酸化防止剤、特開平7−195824号および同8−150773号に記載のアスコルビン酸類、特開平7−149037号に記載の硫酸亜鉛、特開平7−314882号に記載のチオシアン酸塩類など、特開平7−314883号に記載のチオ尿素誘導体など、特開平7−276790号および同8−108617号に記載の糖類、特開平8−118791号に記載のリン酸系酸化防止剤が、特開平8−300807号に記載の亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などが、また、特開平9−267544号に記載のヒドロキシルアミン誘導体等を退色防止剤として挙げることができる。更に、特開2000−263928等に記載のジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物なども、インクジェットにおける有効な退色防止剤の一つである。
【0137】
上記退色防止剤は、多孔質皮膜を形成する塗布液に添加することもできるが、本発明においては、塗布液の凝集やひび割れの増大を防止するには、オーバーコート法がより多く添加することができ好ましい。
【0138】
退色防止剤の添加量は、記録用紙1m2当たり概ね0.01〜5g、好ましくは0.1〜2gの範囲である。添加量が多ければそれだけ退色防止効果は大きいが、空隙容量を低下させるため、自ずと制限がある。
【0139】
添加剤含有溶液には、カチオン性ポリマーを含有することができる。
一般に、カチオン性ポリマーは、染料の定着剤として作用し、耐水性や滲みを防止するため、予め多孔質受容層を形成する塗布液に添加しておくことが好ましいが、塗布液中に添加した際に問題が発生する場合には、オーバーコート法で供給することもできる。例えば、カチオン性ポリマーの添加により、塗布液が経時で増粘したり、あるいは、多孔質層内でカチオン性ポリマーの分布を持たせて発色性を改善する場合などでは、オーバーコート法で供給することが好ましい。カチオン性ポリマーをオーバーコート法で供給する場合、記録用紙1m2当たり概ね0.1〜5gの範囲である。
【0140】
請求項13に係る発明では、オンラインでオーバーコートする添加剤含有溶液が、水溶性多価金属化合物を含有していることが特徴である。
【0141】
水溶性多価金属化合物は、一般に、無機微粒子含有の塗布液中に存在すると凝集を起こしやすいことが多く、これにより微少な塗布故障や光沢性の低下を引き起こしやすいため、特にオーバーコート法で供給するのが好ましい。
【0142】
そのような多価金属化合物としては、例えば、Mg2 +、Ca2 +、Zn2 +、Zr2 +、Ni2 +、Al3 +などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられる。なお、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。これらの水溶性の化合物は、一般に、耐光性を向上したり、滲みや耐水性を向上させる機能を有するものが多い。これらの水溶性多価金属イオンは、記録用紙1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
【0143】
請求項9に係る発明では、オンラインでオーバーコートする添加剤溶液が、界面活性剤を含有していることが特徴である。
【0144】
界面活性剤は、インクジェット記録時にドット径をコントロールすることが可能であり、そのような界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性、もしくはノニオン系界面活性剤を挙げることができる。また、界面活性剤は、2種以上を併用することもできる。界面活性剤の添加量は、記録用紙1m2当たり概ね0.01〜50mgである。50mgを越えると、インクジェット記録時にマダラ状のムラになりやすい。
【0145】
添加剤含有溶液は、上記以外にも種々の添加剤を含有することができ、そのような添加剤としては、例えば、白地の色調を調整する染料、防黴剤、水溶性ポリマー、可塑剤(グリセリン、ジエチレングリコールなど)等を挙げることができる。
【0146】
上記の各添加剤は、単独で使用しても、あるいは2種以上を併用することもできる。具体的には、退色防止剤を2種以上含む水溶液を用いることも、また、退色防止剤と架橋剤を含有する溶液、退色防止剤と界面活性剤を含有する溶液、更には架橋剤、水溶性の多価金属化合物、および退色防止剤を併用することもできる。
【0147】
上記添加剤含有溶液の溶媒として、請求項5に係る発明では、水または水混和性の有機溶媒と水との混合溶液であることが特徴であり、水を用いることが特に好ましい。また、水と水混和性を有する低沸点有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等)との混合溶媒も好ましい溶媒である。水と水混和性の有機溶媒とを併せて使用する場合、水の含有率が質量比で50質量%以上含有していることが好ましい。
【0148】
ここで水混和性を有する低沸点有機溶媒とは、室温で水に対して10質量%以上の溶解性を有し、沸点が約120℃以下の有機溶媒を言う。
【0149】
請求項10に係る発明では、上記各添加剤の含有溶液の粘度が100mPa・m以下であることが特徴である。粘度が100mPa・sを越えると、多孔質皮膜層中への浸透性が低下し、表面でムラになったりインク吸収能を低下させやすい。好ましい粘度は0.5〜20mPa・sである。
【0150】
また、添加剤含有溶液の表面張力は、室温で200〜600μN/cmであることが、均一な塗布性を得る観点から好ましい。
【0151】
次に、上記各添加剤含有溶液を付与、乾燥する方法について説明する。
本発明において、各添加剤含有溶液の付与(オーバーコート)は、前述したように、塗布した多孔質層の減率乾燥部以降に行われるが、好ましくは、初めに、多孔質層を形成する水溶性塗布液を支持体上に塗布し、次いで、塗膜の含水量が乾燥後の空隙容量以下になった後に、オーバーコートを行うことである。
【0152】
本発明でいう多孔質層の空隙容量とは、最終的に得られる記録用紙を、J.TAPPI 51に規定される紙および板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)で測定したときの、接触時間が2秒における液体転移量を言う。
【0153】
本発明でいう塗膜の含水量が乾燥後の空隙容量以下になった後とは、一般に乾燥領域における減率乾燥部以降に大きくは対応する。減率乾燥部は表面からの水分の蒸発が層内の塗膜中の水分移動が勝るときに起きる現象であり、一般には空隙が形成され始めるのは、減率乾燥部に入り水分が更に蒸発してからである。
【0154】
乾燥が不十分で塗膜の含水量が空隙容量を越えている間に塗布すると、表面で凝集が発生したり、塗布液が乾燥過程で流れて光沢や種々のインクジェット記録特性に不均一なムラが生じやすくなる。
【0155】
また、塗膜の含水量が空隙容量以下であっても、一旦乾燥してロール状に巻き取った後、再度塗布する場合には、皮膜の経時により親水性バインダーの状態が変化し、製造ばらつきを招きやすいため、ロール状に巻き取る前に付与する必要がある。本発明において、オンラインで添加剤含有溶液を付与するとは、この塗膜を乾燥してロール状に巻き取る前に付与することを意味する。
【0156】
添加剤含有溶液を塗布する好ましい時期は、水溶性塗布液を塗布し、塗膜の含水量と溶液の総量が乾燥皮膜の空隙容量以下になるまで乾燥した状態の時であり、特に好ましいのは、塗膜の含水量が実質的に周囲の空気と平行になるまで乾燥された状態である。
【0157】
添加剤含有溶液の塗布量は、上記のごとく塗膜の乾燥時期で変化し、塗膜含水量と溶液の総量が、乾燥後の空隙容量以下になるように選択される。乾燥後の多孔質層の空隙容量とは、乾燥終点における空隙容量と同義である。乾燥終点以降、多孔質層の空隙容量は変化をしない。
【0158】
特に好ましい状態である塗膜の含水量が周囲の空気と平行になるまで乾燥された状態で溶液が塗布される場合、請求項4に係る発明では、多孔質層の含水量と添加剤含有溶液との総量が、乾燥終点における多孔質層の空隙容量の1.5倍以下であることが特徴であり、好ましくは、空隙容量の0.05〜1.5倍の範囲である。空隙容量の0.05倍未満の時には、溶液の塗布が不均一になりやすい。また、1.5倍を越えると、液が流れて塗布ムラを生じやすい。好ましい溶液の供給量は、空隙容量の0.1〜1.2倍である。ここで、含水量というときの「水」とは、塗膜の乾燥により蒸発する液体(水又はその混合物)を指す。
【0159】
上記添加剤含有溶液を多孔質皮膜状に塗布する回数は、1回だけでも2回以上に分けて行うこともできる。この場合、それぞれの塗布する段階において、塗膜中の含水率と溶液量の総和が、多孔質層の空隙容量以下になるように塗布することが必要である。
【0160】
請求項5に係る発明では、添加剤含有溶液を塗布した後、実質的に乾燥することなく巻き取られることを特徴とする。本発明でいう実質的に乾燥することなくとは、上記添加剤含有溶液を多孔質層上に塗布した後、通常は高温ゾーンを通過させたり、あるいは風を吹き付けるなどにより乾燥することが好ましいが、塗膜の含水量と溶液の供給量の総和が、空隙容量の約0.3倍以下の時には必ずしも乾燥工程は必要としない。
【0161】
支持体が非吸水性支持体であっても、特に、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体の場合には、このポリオレフィン樹脂は経時で徐々に水分を通過させる特性があることから、充分な量の溶液が供給されたときであっても塗布後の含水量の状態によっては、必ずしも乾燥が必要とはならない。
【0162】
すなわち、溶液を塗布後、実質的に乾燥しないでロール状に巻き取って数日間保管すれば、溶液の水はポリオレフィン層を通して紙中に吸収される。この場合、多孔質層は比較的長時間、例えば、半日から数日間は高湿状態になるために皮膜としての緩和過程が進行しやすく、その結果、より安定な皮膜状態が達成される。特に、添加剤が架橋剤である場合には、より速いインク吸収性が達成しやすい。
【0163】
この様な目的を達成するとき、ポリオレフィン樹脂で両面を被覆した紙支持体の場合、請求項7に係る発明では、紙の含水率が8質量%以下であることが特徴である。この含水量は、比較的低湿条件で紙を調湿した後に、ポリオレフィン樹脂で被覆することで容易に達成できる。この様な低含水量の紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体を用いることで、溶液を塗布した後に複雑な乾燥工程を必要とせず、容易に目的とする記録用紙を得ることができる利点がある。
【0164】
特に好ましい紙の含水率は2〜7質量%であり、最も好ましいのは2〜5質量%である。また、請求項8に係る発明では、添加剤含有溶液を塗布する時、多孔質層の含水量と添加剤含有溶液の水との総量が、紙質量の7質量%以下であることが特徴である。
【0165】
この様な乾燥工程を必要としない溶液の供給方法は、溶液の溶媒が実質的に水であり(溶媒の90%以上が水が好ましい)、水の供給量が記録用紙1m2当たり10ml以下である場合である。また、紙の厚みとしては100〜250g/m2が好ましい。
【0166】
紙の両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体を使用し、添加剤含有溶液をオーバーコートして実質的に乾燥を行わない場合には、添加剤含有水溶液の溶媒は90%以上、特に99%以上が水であることが好ましい。この場合、紙に対して7質量%以下になるように塗膜の含水率及び添加剤含有水溶液の溶媒の総和がなるように行うことが好ましい。
【0167】
また、ポリエチレン層を通して通過する水分の量はポリエチレン層の厚さに依存するために、ポリエチレン層の厚みとしては10〜50μmが好ましい。10μm未満の場合には水分の拡散が速すぎて皮膜中で充分な高湿期間を維持しにくい。また、50μmを越えると水分の移動拡散に時間を要し製造後製品を出荷するまでの時間が長くなる
溶液の塗布方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができ、具体的な塗布方式としては、前述の多孔質層の塗布で記載の方法を用いることができる。
【0168】
溶媒の塗布は、室温から60℃の温度で塗布するのが好ましい。
溶媒を塗布し、必要に応じて乾燥を行った本発明の記録用紙は、通常はロール状に巻き取られる。また、必要に応じてその後ロール状に巻いたままあるいは種々のサイズのシートやロールに断裁後、30〜60℃で一定時間、例えば1日〜1ヶ月間保管して、目的とする品質を得ることもできる。
【0169】
以下に、本発明の記録用紙の好ましい物理特性値を示す。
1)光沢度:60度光沢度が20〜60%(光沢面)、12〜40%(微粒面)、5〜12%(マット面)
なお、プリント後の光沢度は水性染料インクでプリントした場合、未プリント部分より−5%〜+20%が好ましい
2)ベック平滑度(JIS−P−8119に規定):インク受容層表面は、800秒以上(光沢面)、200〜1000秒(微粒面)、50〜300秒(マット面)で有ることが好ましい
3)粗さ(JIS−B−0601に規定される表面粗さRa):0.1〜0.8μm(光沢面)、1.0〜3.0μm(微粒面)が好ましい。また裏面のRaは0.5〜5μmが好ましい
4)不透明度(JIS−P−8138に規定):90%以上、特に92%以上が好ましい
5)テーバー剛度(JIS−P−8125に規定):0.3〜3mN・m/MD、0.2〜2.5mN・m/CDが好ましい
6)白さ(JIS−P−8123/蛍光増白剤を含有しない場合、JIS−P−8143/蛍光増白剤を含有する場合):90%以上が好ましい
7)白さ(JIS−Z−8722(非蛍光)またはJIS−Z−8717(蛍光剤含有)にしたがって測定しJIS−Z−8730にしたがって表示):L*=90〜98、a*=−3〜+3、b*=−10〜+2が好ましい。但し、印刷用紙の場合には、日本、アメリカ、ヨーロッパでそれぞれ好ましい白地が推奨されており(例えば、JAPAN COLOR)、そのような目的で使用する場合にはそこに推奨される白さを有することが好ましい。
【0170】
本発明の記録用紙は、主に酸性染料を含有するインクジェット記録用として用いられるが、水性または油性の顔料インクを用いるインクジェット記録用にも用いることができる。
【0171】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
【0172】
実施例1
《記録用紙1〜4の作製:比較例》
〔シリカ分散液D1、D2の調製〕
予め均一に分散されている、1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製:A200)を25%と、水溶性蛍光増白剤UVITEXNFW LIQUID(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.3%とを含むシリカ分散液B1(pH=2.3、エタノール1質量%含有)の400Lを、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%およびエタノールを2%含有する水溶液C1(pH=2.5、サンノブコ社製の消泡剤SN381を2g含有)の110Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、ホウ酸とほう砂の1:1質量比の混合水溶液A1(各々3%の濃度)の54Lを攪拌しながら徐々に添加した。
【0173】
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで、3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D1を得た。
【0174】
一方、上記シリカ分散液B1の400Lを、カチオン性ポリマーP−2を12%、n−プロパノール10%およびエタノールを2%含有する水溶液C2(pH=2.5)の120Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで、上記混合水溶液A1の52Lを攪拌しながら徐々に添加した。
【0175】
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D2を得た。
【0176】
上記シリカ分散液D1、D2を、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行った。
【0177】
〔オイル分散液の調製〕
ジイソデシルフタレート20kgと酸化防止剤(AO−1)20kgとを45kgの酢酸エチルに加熱溶解し、酸処理ゼラチン8kg、カチオン性ポリマーP−1を2.9kgおよびサポニン10.5kgとを含有するゼラチン水溶液210Lと55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300Lに仕上げて、オイル分散液を調製した。
【0178】
【化1】
【0179】
〔多孔質層塗布液の調製〕
上記調製した各分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して、多孔質層用の各塗布液を調製した。なお、各添加量は塗布液1L当たりの量で表示した。
【0180】
【0181】
【化2】
【0182】
上記の様にして調製した各塗布液を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
【0183】
以上により得られた各塗布液の物性値を表1に示す。
【0184】
【表1】
【0185】
次に、上記の各塗布液を下記に記載の湿潤膜厚となるよう、40℃で両面にポリエチレンを被覆した紙支持体上に、スライドホッパー型コーターを用いて4層同時塗布した。
【0186】
〈湿潤膜厚〉
第1層:42μm
第2層:39μm
第3層:44μm
第4層:38μm
なお、上記紙支持体は、幅が約1.5m、長さが約4000mのロール状に巻かれた下記の支持体を用いた。
【0187】
使用した紙支持体は、含水率が8%で、坪量が170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを押し出し溶融塗布した。表面側は、コロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA235)を記録用紙1m2当たり0.05gになるように下引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電加工した後、Tgが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
【0188】
インク受容層用塗布液の塗布後の乾燥は、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させたあと、以下の温度の風を順次インク受容層表面に吹き付けながら各ゾーンを通過させて乾燥しロール状に巻き取って比較の記録用紙1を得た。なお、吹き付ける風はいずれも平均相対湿度が30%以下である。但し、第10ゾーンは相対湿度が40〜60%の調湿ゾーンである。
【0189】
第1ゾーン:30℃、30秒間
第2ゾーン:45℃、30秒間
第3ゾーン:60℃、30秒間
第4ゾーン:60℃、30秒間
第5ゾーン:60℃、30秒間
第6ゾーン:60℃、30秒間
第7ゾーン:60℃、30秒間
第8ゾーン:60℃、30秒間
第9ゾーン:40℃、30秒間
第10ゾーン:25℃、90秒間
以上のようにして作製した記録用紙1の空隙容量は、記録用紙1m2当たり23mlであった。
【0190】
膜面温度を測定した結果、第5ゾーンまでは恒率乾燥部であり、第6ゾーンの途中から減率乾燥部を示し、乾燥終点(膜面温度が風の温度と一致する箇所)は第8ゾーンであった。なお、各ゾーンの出口での塗膜含水量(空隙容量=23ml/m2を100として表示)は、以下の通りであった。
【0191】
第5ゾーン:210
第6ゾーン:120
第7ゾーン:50
第8ゾーン:0
上記記録用紙1を一旦ロール状に巻き付けて、23℃で4時間保管した後、3%ホウ酸溶液をスプレーコーターで湿潤膜厚が10μm(空隙容量の約43%に相当する)になるようにオーバーコート塗布し、40℃の風で1分間乾燥して比較の記録用紙2を得た。この水溶液の粘度は室温で約1mPa・s、表面張力は約600〜700μN/cmであった。次いで、記録用紙2において、23℃での保存期間を1日と7日間に変更した以外は同様にして、比較の記録用紙3、4を作製した。
【0192】
得られた記録用紙1〜4は、更に40℃で1週間保管して安定化させた。
〔記録用紙の特性評価〕
以上により作製した各記録用紙について、以下に記載の方法に則り、空隙容量、膜面ムラ、インク吸収性、画像均一性、発色性の評価を行った。
【0193】
〈空隙容量の測定〉
熊谷理機工業株式会社製のBristow試験機II型(加圧式)を使用し、接触時間2秒間におけるインク吸収量を、空隙容量として測定した。
【0194】
〈膜面ムラの評価〉
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM770Cを用い、反射濃度が約1.0のニュートラルグレー色を全面ベタ印字して、下記に示す基準に則り、ムラの有無を目視で5段階評価した。
【0195】
1:ムラが全くなし
2:ムラが僅かに認められるがベタ印字しても実技上は問題ないレベル
3:ムラがベタ印字でははっきりわかる程度であるが、実際のプリントでは殆ど問題ないレベル
4:グレーの色ムラが認められ、実技上許容され得ないレベル
5:全く許容され得ないレベル
上記の評価ランクにおいて、実用上、4及び5は、商品価値が無い。
【0196】
〈インク吸収性の評価〉
熊谷理機工業株式会社製のBristow試験機II型(加圧式)を使用し、接触時間0.2秒間におけるインク転移量(ml/m2)をインク吸収性の尺度として測定した。なお、測定に際しては、マゼンタ染料を1%、ジエチレングリコールを15%、グリセリンを15%含有する水性インクを使用した。
【0197】
〈画像均一性の評価〉
上記膜面ムラの評価で作成したプリントの反射濃度を、幅手方向で5カ所、長手方向で4カ所、合計20点について、青、緑および赤の反射濃度を測定し、下式により画像均一性の評価を行った。
【0198】
画像均一性=〔(σb/Db)2+(σg/Dg)2+(σr/Dr)2〕1/2
但し、Db、DgおよびDrは青、緑、および赤の反射濃度の平均値を表し、σb、σg、およびσrは各色の反射濃度の標準偏差を示す。数値が小さいほど濃度の均一性が高いことを示す。
【0199】
〈発色性の評価〉
上記膜面ムラの評価で使用したプリンタを用い、黒ベタ印字を行って、最高反射濃度を測定した。
【0200】
以上により得られた結果を表2に示す。
なお、表2に記載の(A)、(B)の詳細は、以下の通りである。
【0201】
(A):オーバーコート塗布時の塗膜含水量/空隙容量
(B):オーバーコート液量/空隙容量
【0202】
【表2】
【0203】
表2の結果より明らかなように、記録用紙1に対し、記録用紙2〜記録用紙4は、ホウ酸をオーバーコートすることにより、吸収速度は飛躍的に増大するが、オーバーコートを施す前の経時期間により、僅かに膜面ムラが増加し、またプリントの均一性も低下していることが判る。
【0204】
実施例2
(記録用紙5〜8の作製)
実施例1で作製した記録用紙1において、インク受容層を乾燥する際に、それぞれ第5、第6、第7及び第8の各ゾーンの出側で、記録用紙1上にオンラインで実施例1と同様の3%ホウ酸水溶液を湿潤膜厚が10μmになるようにスプレーコーターにてオーバーコートし、記録用紙5〜8を作製した。各々のゾーンの乾燥条件は、同一条件で行い、第9ゾーンの出口ではいずれも完全に乾燥が終了していた。
【0205】
(記録用紙5A〜8Aの作製)
上記記録用紙5〜8の作製において、ホウ酸水溶液の濃度を3%から2%に変更し、かつ湿潤膜厚を10μmから15μm(空隙容量の約0.65倍)に変更した以外は同様にして、記録用紙5A〜8Aを作製した。
【0206】
(記録用紙5B〜8Bの作製)
前記記録用紙5〜8の作製において、ホウ酸水溶液の濃度を3%から1.5%に変更し、かつ湿潤膜厚を10μmから20μm(空隙容量の約0.87倍)に変更した以外は同様にして、記録用紙5B〜8Bを作製した。
【0207】
(記録用紙5C〜8Cの作製)
前記記録用紙5〜8の作製において、ホウ酸水溶液の濃度を3%から1.2%に変更し、かつ湿潤膜厚を10μmから25μm(空隙容量の約1.09倍)に変更した以外は同様にして、記録用紙5C〜8Cを作製した。
【0208】
(記録用紙5D〜8Dの作製)
前記記録用紙5〜8の作製において、ホウ酸水溶液の濃度を3%から1%に変更し、かつ湿潤膜厚を10μmから30μm(空隙容量の約1.3倍)に変更した以外は同様にして、記録用紙5D〜8Dを作製した。
【0209】
(記録用紙5E〜8Eの作製)
前記記録用紙5〜8の作製において、ホウ酸水溶液の濃度を3%から0.75%に変更し、かつ湿潤膜厚を10μmから40μm(空隙容量の約1.74倍)に変更した以外は同様にして、記録用紙5E〜8Eを作製した。
【0210】
以上のようにして作製した各試料は、塗布後、40℃で1週間保管した後、実施例1と同様の方法で各特性を評価し、得られた結果を表3に示す。
【0211】
【表3】
【0212】
表3より明らかなように、オーバーコート時の塗膜含水量が空隙容量を越えている状態でオーバーコートした記録用紙5、5A〜5E、6及び6A〜6Eでは、いずれの湿潤膜厚でオーバーコートしても、オーバーコート時の膜面ムラが大きく実用上許容範囲外であった。これに対し、塗膜含水量が空隙容量以下になってからオーバーコートした本発明の記録用紙7、7A〜7E、8及び8A〜8Eでは、膜面ムラは、塗膜含水量とオーバーコート液の総和と空隙容量との関係において差があるがいずれも許容範囲内であった。特に、塗膜含水量とオーバーコート液の総和が空隙容量の1.5倍以下であるときに、良好な膜面ムラ特性を有し、1.2倍以下の時に最も膜面ムラが少なかった。
【0213】
インク吸収性は、いずれも記録用紙2〜4と同等であり、速いインク吸収性を性を示した。
【0214】
さらに、記録用紙7、7A〜7E、8、8A〜8Eは、発色性、均一性共にオーバーコートする前の段階と同等程度で問題なかったが、記録用紙5、5A〜5E、6、6A〜6Eは、膜面ムラのために均一性は大きく低下し、また発色性が稍低下している。これは、ホウ酸のミクロ的な局在によると推測される。
【0215】
実施例3
実施例2で作製した記録用紙5〜8、記録用紙5B〜8Bにおいて、第3〜第8ゾーンの乾燥風の温度を65℃に上げた以外は同様にして、記録用紙5F〜8Fおよび5G〜8Gを作製した。
【0216】
なお、減率乾燥の開始位置は、第6ゾーンから第4ゾーンに変化し、各ゾーンの出口の塗膜含水率は以下の通りであった。
【0217】
第5ゾーン:140
第6ゾーン:40
第7ゾーン:0
第8ゾーン:0
以上のようにして作製した記録用紙5F〜8F、記録用紙5G〜8Gについて、実施例1と同様の方法で各特性を評価し、得られた結果を表4に示す。
【0218】
【表4】
【0219】
表4の結果より明らかなように、実施例2で得られた結果と同様に、塗膜含水率が空隙容量以下でオーバーコートした本発明の記録用紙は、膜面ムラが無く、均一性に優れた高インク吸収性の記録用紙であることがわかる。
【0220】
実施例4
(記録用紙8H〜8Sの作製)
実施例2で作製した記録用紙8において、ポリエチレンを被覆した紙支持体の原紙の含水率を表5に示すように変化させた支持体を用い、更にオーバーコートするホウ酸水溶液の濃度と湿潤膜厚を表5に記載の様に各々変化させた以外は同様にして、記録用紙8H〜8Sを作製した。ただし、ホウ酸水溶液のオーバーコートは、第10ゾーンの調湿ゾーンの最後で行い、実質的に乾燥を行わなずにオーバーコートした約10秒後にロール状に巻き取り、そのまま23℃で1週間保管した。
【0221】
(記録用紙8H〜8Sの評価)
以上のようにして作製した記録用紙8H〜8Sについて、実施例1に記載の方法でインク吸収性、及び下記の方法に従ってカールの評価を行い、得られた結果を同じく表5に示す。
【0222】
〈カールの評価〉
カールは、巻き取った各試料をA4サイズに断裁し、23℃で相対湿度が20%、55%、80%の各環境条件下で、水平な台の上に1時間および1日放置し、4隅の持ち上がりの高さを測定し、その平均値をカール(mm単位)とした。なお、各記録用紙は4隅が持ち上がる状態になる向きに放置し、インク受容層面を上にしたときに4隅が持ち上がる場合を+カール、この逆向きを−カールとして表示した。
【0223】
【表5】
【0224】
表5の結果より明らかなように、ホウ酸水溶液をオーバーコートした後に、実質的に乾燥を行わずに巻き取り、室温で1週間保管した記録用紙は、インク吸収性が、基準の記録用紙8より更に増大していることがわかる。ただし、実質的に乾燥を行わないため、断裁直後に湿度が変化するような環境に放置した場合、カールが生じた。支持体の原紙の含水率が9.5%に予めなっている場合には、低湿条件に置かれた直後に大きな+カールが発生した。好ましい原紙含水率は、8%以下であり、特に6%以下が最もカールが低く、好ましいことが確認された。
【0225】
また、上記の状態であっても、記録用紙を長時間放置すると、紙の水分が周囲と平衡状態になりカールが緩和されることが判る。
【0226】
また、オーバーコート液の量は、10ml/m2以下が好ましく、この量は原紙に対して5.7%であることが確認できた。
【0227】
実施例5
(記録用紙11〜11C、12〜12Cの作製)
実施例1で作製した記録用紙1において、第4層で用いたベタイン型界面活性剤−1の添加量を、表6に記載の添加量(g/m2)となるように変更した以外は同様にして記録用紙11、12を作製した。
【0228】
次いで、実施例1に記載の記録用紙1の作製時、調湿した第10ゾーンで、濃度を適宜調整したベタイン型界面活性剤−1水溶液を湿潤膜厚が8μmになるようにオーバーコートした記録用紙11A、12Aを作製した。
【0229】
更に、実施例1で作製した記録用紙1において、インク受容層を塗布した後、1日および1週間経時させてから、濃度を適宜調整したベタイン型界面活性剤−1水溶液を湿潤膜厚が8μmになるようにオーバーコートした以外は同様にして、1日経時後オーバーコートした記録用紙11B、12B及び1週間経時後オーバーコートした記録用紙11C、12Cを作製した。
【0230】
(記録用紙の特性評価)
以上のようにして作製した各記録用紙について、下記に示す基準に則り、塗布時のひび割れとドット径を測定した。
【0231】
〈ひび割れの評価〉
各記録用紙1m2当たりのひび割れ発生個数を計測し、その数値で示した。
【0232】
〈ドット径の測定〉
実施例1で使用したインクジェットプリンターを用い、シアンのドットをCCDカメラを内蔵したマイクロスコープで拡大撮影し、10個のドットについて、ドット径(μm)を測定し、その平均値を求めた。なお、ドット径は個々のドットが球であると仮定したときの直径として求めた。
【0233】
以上により得られた結果を表6に示す。
なお、表6に記載の添加方法の略称の詳細は、以下の通りである。
【0234】
CS:ベタイン型界面活性剤−1を塗布液に添加
OLOC:オンラインでベタイン型界面活性剤−1水溶液をオーバーコート
OFOC1:記録用紙1を1日間経時した後、ベタイン型界面活性剤−1水溶液をオーバーコート
OFOC7:記録用紙1を7日間経時した後、ベタイン型界面活性剤−1水溶液をオーバーコート
【0235】
【表6】
【0236】
表6の結果より明らかなように、ベタイン型界面活性剤の増量により、いずれの場合においてもドット径は増大するが、予め塗布液に添加した比較例においては、ひび割れが増大している。これに対して、本発明のオーバーコートした記録用紙は、ひび割れが増大することなくドット径が拡大できることがわかる。但し、インク受容層を塗布した後、一定期間経時した後、オーバーコートした場合には、経時で徐々にドット径が拡大する傾向にある。このことは、製造する際、オーバーコートするまでの時間を十分に管理しないと、ドット径の変動を招き、色再現性が大きく変化することを示唆している。
【0237】
実施例6
実施例2で作製した記録用紙8において、ホウ酸水溶液にカルボキシルメチルセルロースを0.001〜0.1%の範囲で適宜添加して、オーバーコート液の粘度を表7に記載の値に調整した以外は同様にして、記録用紙21〜26を作製した。
【0238】
得られた各記録用紙について、実施例1に記載の方法により、膜面ムラ及び均一性の評価を行い、得られた結果を同じく表7に示す。
【0239】
【表7】
【0240】
表7より明らかなように、オーバーコート液の粘度が100mPa・s以下の系では、膜面ムラが少なく、均一性が良好であることが判り、特に、20mPa・s以下でオーバーコートした記録用紙が、極めて膜面ムラが少なく、均一性に優れていることが判る。
【0241】
実施例7
実施例1で作製した記録用紙1において、第1層と第2層に退色防止剤−1又は退色防止剤−2を表7に記載の量を添加した以外は同様にして、記録用紙31、41を作製した。なお、退色防止剤は、水とエタノールの混合溶媒で溶解して、各塗布液に添加した。
【0242】
退色防止剤−1:HOC2H4−S−CH2−CH2−S−C2H4OH
退色防止剤−2:HO−N(C2H4SO3Na)2
一方、実施例1で作製した記録用紙1において、第8ゾーンの出口で上記退色防止剤−1又は退色防止剤−2の各水溶液を、湿潤膜厚が10μm、塗布量が0.4g/m2となるようにオーバーコートした以外は同様にして、記録用紙31A、41Aを作製した。
【0243】
更に、実施例1で作製した記録用紙1において、インク受容層の塗布した後、1日および7日間経時させてから上記各退色防止剤溶液をオーバーコートした以外は同様にして、記録用紙31B、31C、41B、41Cを作製した。
【0244】
以上のようにして作製した各記録用紙について、実施例5に記載の方法に従って、塗布時のひび割れの評価と、下記に記載の方法に従って、退色性および退色処理前後での塗膜面の均一性の評価した。
【0245】
退色性は、シアンのウェッジ画像をプリントし、初期濃度1.0の濃度点について、外気を連続的に1ヶ月間プリント表面に吹きつた状態で放置した後、その濃度点の濃度を測定し、初期濃度に対する濃度残存率を測定した。なお、塗膜面の均一性は、プリント直後および外気を連続的に1ヶ月間プリント表面に吹き付けた記録用にについて、実施例1に記載の方法と同様にして評価した。
【0246】
以上により得られた各結果を表8に示す。
なお、表8に記載の塗布方法の略称の詳細は、以下の通りである。
【0247】
CS:退色防止剤を塗布液に添加
OLOC:オンラインで、退色防止剤溶液をオーバーコート
OFOC1:記録用紙1を1日間経時後、退色防止剤溶液をオーバーコート
OFOC7:記録用紙1を7日間経時後、退色防止剤溶液をオーバーコート
【0248】
【表8】
【0249】
表8より明らかなように、退色防止剤−1および退色防止剤−2をオンラインでオーバーコートした記録用紙31A、41Aは、ひび割れや均一性を悪化させることなく退色性が改良されていることがわかる。これに対して、各退色防止剤を塗布液に添加した記録用紙31、41では、ひび割れが悪化した。また、経時後にオーバーコートした場合は、プリント直後のみならず、退色処理した後で、特に均一性が劣化していることが判る。
【0250】
実施例8
実施例1で作製した記録用紙1において、シリカ分散液にクエン酸を添加し、塗布液のpHをそれぞれ0.5下げた条件で各塗布液を調製した以外は同様にして記録用紙51を作製した。この時、各塗布液の40℃における粘度は、大きくは変化しなかったが、15℃における粘度は1/3〜1/5に低下したため、膜面において、塗布液のヨリに伴うムラが稍目立った。
【0251】
次いで、実施例2で作製した記録用紙8において、第8ゾーンの出口でホウ酸水溶液に代えて、クエン酸水溶液をオーバーコートした以外は同様にして、記録用紙51Aを作製した。
【0252】
更に、記録用紙1を、インク受容層を塗布し、1日経時および7日経時した後に、記録用紙51Aの作製と同様にして上記のクエン酸水溶液をオーバーコートして、記録用紙51B、51Cを作製した。
【0253】
以上により作製した各記録用紙と実施例1で作製した記録用紙1について、前記実施例に記載の方法により、ひび割れ、均一性の評価と、加えて以下に示す方法により耐水性の評価を行い、得られた各結果を表9に示す。
【0254】
〈耐水性の評価〉
耐水性は、作成したプリントを純水中に1分浸漬した後、自然乾燥し、プリント表面における染料の流れ具合(滲み具合)を下記に示す基準に則り目視評価した。
【0255】
○:滲み痕跡なし
△:僅かの痕跡有り
×:滲み痕跡大
【0256】
【表9】
【0257】
表9より明らかなように、クエン酸をオンラインオーバーコートした記録用紙51Aは、塗布液添加した記録用紙51に比べ、ひび割れが少なく、かつ均一性が良好で、更に耐水性が改善されることがわかる。また、クエン酸を経時してからオーバーコートした場合には、均一性が低下することが判明した。
【0258】
実施例9
実施例8に記載の記録用紙51の作製で用いた各塗布液を、クエン酸をトリエタノールアミン(TEA)水溶液に変更し、pHをそれぞれ1.0上げる条件で調製した。調製した各塗布液の40℃における粘度は、3〜5倍増粘し、塗膜面は稍筋状のムラが生じていた。実施例8で作製した記録用紙51において、上記塗布液を用いて対外は同様にして記録用紙61を作製した。
【0259】
一方、実施例8で作製した記録用紙51A〜51Cにおいて、クエン酸をTEAに変更した以外は同様にして、膜面pHを増大させた記録用紙61A〜61Cを作製した。
【0260】
以上のようにして作製した各記録用紙について、前記実施例に記載の方法でひび割れ、均一性を評価すると共に、下記に記載の方法に従って耐光性の評価を行った。
【0261】
〈耐光性の評価〉
耐光性の評価は、マゼンタのウエッジ画像をプリントし、初期濃度1.0の濃度点について、窓ガラスを介して太陽光を連続1ヶ月間曝射した後、その曝射後の濃度を測定し、初期濃度に対する濃度残存率を測定した。
【0262】
以上により得られた各評価結果を表10に示す。
【0263】
【表10】
【0264】
表10より明らかなように、TEAをオンラインでオーバーコートした記録用紙61Aは、比較試料に対し、ひび割れや均一性を悪化させることなく耐光性を改良できることが確認できた。
【0265】
実施例10
実施例1に記載の記録用紙1の作製において、表11に記載の各多価金属含有水溶液を、多価金属化合物の付き量として0.1g/m2となるよう第4層に添加した以外は同様にして記録用紙71〜74を作製した。しかしながら、上記のようにして調製したいずれの塗布液も凝集が発生し、それにより膜面で微少なひび割れ故障が多発した。
【0266】
次いで、実施例2で作製した記録用紙8において、ホウ酸水溶液に代えて、表11に記載の各多価金属含有水溶液を用いた以外は同様にして、記録用紙71A〜74Aを作製したした。
【0267】
次いで、記録用紙1にインク受容層を塗布し、1日経時および7日経時した後に、記録用紙71Aの作製と同様にして上記の各多価金属含有水溶液をオーバーコートして、記録用紙71B〜74B、71C〜74Cを作製した。
【0268】
以上のようにして作製した各記録用紙と実施例1で作製した記録用紙1について、前記実施例に記載の方法に従って、ひび割れ、均一性、耐光性と下記に記載の方法に則り滲みの評価を行った。
【0269】
(滲みの評価)
滲みの評価は、約0.4mmの幅のマゼンタのラインをプリントし、40℃、相対湿度80%で2日間保存した後の線幅の増大幅(μm)を滲みの尺度として評価した。
【0270】
以上により得られた各評価結果を表11に示す。
なお、表11に記載の各多価金属化合物の詳細は、以下の通りである。
【0271】
AL−1:Al2(SO4)3
AL−2:ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学工業社製 Paho#2S)
MG−1:Mg2SO4
ZR−1:酢酸ジルコニル(第一希元素工業社製 ZA−30)
【0272】
【表11】
【0273】
表11より明らかなように、本発明の記録用紙71A〜74Aは、比較試料に対し、ひび割れ、均一性を悪化させることなく、耐光性や滲みを改良できることが判る。
【0274】
【発明の効果】
オーバーコート法により各機能性添加剤を含有させることにより、製造時にひび割れが発生しにくく、製造品質ばらつきが低減し、塗布均一性が向上した高品質の多孔質層を有するインクジェット記録用紙及びその製造方法を提供することができた。
Claims (15)
- 支持体上に親水性バインダーと微粒子とを含有する多孔質層を形成するための水溶性塗布液を塗布する工程と、塗布した該多孔質層の減率乾燥部以降であって乾燥終点部以前に、添加剤含有溶液を該多孔質層上に付与する工程を有するインクジェット記録用紙の製造方法であり、前記多孔質層を形成するための水溶性塗布液を塗布する工程と、前記添加剤含有溶液を前記多孔質層上に付与する工程とが、同一ライン上で行われることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
- 支持体上に親水性バインダーと微粒子とを含有する多孔質層を形成するための水溶性塗布液を塗布する工程と、塗布した該多孔質層の減率乾燥部以降であって乾燥終点部以前に、添加剤含有溶液を該多孔質層上に付与する工程を有するインクジェット記録用紙の製造方法であり、前記多孔質層を形成するための水溶性塗布液を塗布する工程と、前記添加剤含有溶液を前記多孔質層上に付与する工程とが、同一ライン上で、且つ、該付与する工程が、前記塗布された多孔質層の含水量が前記乾燥終点における前記多孔質層の空隙容量以下となった後であることを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液を付与するとき、前記多孔質層の含水量と前記添加剤含有溶液との総量が、前記乾燥終点における前記多孔質層の空隙容量の1.5倍以下であることを特徴とする請求項1または2項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液の溶媒が、水または水混和性の有機溶媒と水との混合溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液を付与した後、実質的に乾燥することなく巻き取られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記支持体が、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆された樹脂被覆紙であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記紙の含水率が、8質量%以下であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液を付与する時、前記多孔質層の含水量と該添加剤含有溶液の水との総量が、紙質量の7質量%以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液が含有する少なくとも1種の添加剤が、界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液の粘度が、100mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液が含有する少なくとも1種の添加剤が、前記親水性バインダーの架橋剤であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液が含有する少なくとも1種の添加剤が、画像安定剤であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液が含有する少なくとも1種の添加剤が、水溶性多価金属化合物であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液のpHが、1〜5であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
- 前記添加剤含有溶液のpHが、8〜13であることを特徴とする請 求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
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