JP2005119066A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、インク吸収性が良好で高速記録適性に優れ、高い耐候性を有し、しかも顔料インクの弱点である光沢ムラを軽減して高光沢・高品位のインクジェットプリントが得られるインクジェット記録用紙を提供することである。
【解決手段】 着色剤含有インクにより画像形成された画面上に、皮膜形成能の有するポリマーを含有し、かつ実質的に着色剤を含有しない無色インクを用いて、インクジェット記録用紙1m2あたり0.05〜0.3gの乾燥固形分を有する保護皮膜を形成させるインクジェット記録方法で用いるインクジェット記録用紙であって、非吸水性支持体上に少なくとも1層の多孔質インク吸収層を有し、該多孔質インク吸収層がカチオン型、ノニオン型またはベタイン型のフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、着色剤含有インクによるインクジェット画像記録に用いるインクジェット記録用紙に関し、更に詳しくは、高速記録適性に優れ、高い耐候性を有する高光沢で高品位のインクジェットプリントが得られるインクジェット記録用紙に関する。
近年、インクジェット記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するために、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙という)の面からもその改良が進んでおり、高平滑性の支持体上に微粒子と親水性ポリマーからなる多孔質層を設けた空隙型の記録用紙は、高い光沢を有する、鮮やかな発色を示す、あるいはインク吸収性及び乾燥性に優れていることなどから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。特に、非吸水性支持体を使用した記録用紙は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング、いわゆる「しわ」の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、より高品位なプリントを得ることができ、徐々にインクジェット記録で作成する写真プリントの主流になってきた。
インクジェット記録は、一般にインク溶媒として水および水溶性溶剤を用いる水性インクを用いるものと、非水系の油性溶剤を用いる油性インクとに分けられ、各々色材に染料を用いるタイプ、顔料を用いるタイプがあり、高画質の記録画像を得るためにはそれぞれのタイプに適応した専用紙が必要となる。特に、インクに関しては、環境面、安全面から水性インクが主流となっている。
一般に、水溶性染料インクを用いたインクジェットプリントは、画像の鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有し、写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。しかしながら、この水溶性染料を用いたプリントでは、顔料インクに比較して耐候性が悪く、太陽光あるいはオゾンや他の酸化性ガスなどによる褪色、更には画像の滲みが大きいことが課題となっている。特に、微小な多孔質層を設けた空隙型の記録用紙では、染料と室内の空気との接触面積がより広くなるため、空気中の酸化性ガスによる褪色をより受けやすくなり、大きく改良が望まれている。
このような保存による画像劣化を改善する為、従来から褪色防止剤として、各種の酸化防止剤を添加することが多数提案されており、例えば、特開昭57−87989号、同57−74192号および同60−72785号には酸化防止剤として種々の化合物を含有するインクジェット記録用紙が、特開昭57−74193号には紫外線吸収剤を含有させたインクジェット記録用紙が、特開昭61−154989号にはヒドラジド類を添加することが、特開昭61−146591号にはヒンダードアミン系酸化防止剤を添加することが、特開昭61−177279号には含窒素複素環メルカプト系化合物を添加することが、特開平1−115677号および同1−35479号にはチオエーテル系酸化防止剤を添加することが、特開平1−36480号には特定構造のヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加することが、特開平3−13376号にはヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸化防止剤を併用し添加することが、特開平7−195824号および同8−150773号にはアスコルビン酸類を添加することが、特開平7−149037号には硫酸亜鉛を添加することが、特開平7−314882号にはチオシアン酸塩類などを含有させることが、特開平7−314882号にはチオ尿素誘導体などを添加することが、特開平7−276790号および同8−108617号には糖類を含有させることが、特開平8−118791号にはリン酸系酸化防止剤を添加することが、特開平8−300807号には亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などを添加することが、特開平9−267544号にはヒドロキシルアミン誘導体を添加することが、それぞれ記載されている。
しかしながら、上記手段を用いても、微細な空隙孔を有するインクジェット記録用紙に印字した画像においては、効果が必ずしも充分とは言い難く、また、充分な褪色防止効果を得るために上記に挙げた各種の褪色防止剤を多量に添加すると、多孔質層のインク吸収性を低下させるなどの欠点を招く場合が多い。
更に、水溶性染料インクを用いた時の課題として、親水性が高いため、滲みが発生したり、耐水性が劣るという弱点がある。すなわち、画像記録後に高湿下で長期間保存した場合や、プリント面に水滴が付着した場合に染料が滲みやすい。この問題を解決するために、カチオン性物質のような染料固着性物質を多孔質層中に添加しておくことが一般的に行われている。例えば、カチオン性ポリマーを用いてアニオン性のインク染料と結合させ、強固に不動化する方法が好ましく用いられている。このようなカチオン性ポリマーとしては4級アンモニウム基を有する重合物が挙げられ、例えば「インクジェットプリンター技術と材料」((株)シーエムシー発行、1998年7月)や特開平9−193532号の段落番号[0008]に掲げた文献に記載されている。また、水溶性の多価金属イオンを予めインクジェット記録用紙中に添加しておき、インクジェット記録時に染料を凝固固着させて不動化させる方法も提案されている。カチオン性ポリマー、多価金属イオンの使用により、滲みや耐水性の向上は認められるが、染料がカチオン性ポリマー、多価金属との結合により、インク吸収層中に不均一に染着されてしまうため、前述の褪色防止剤を添加してもインク吸収層中で拡散性が小さいものでは、その効果を十分に発揮できないことがある。
一方、顔料インクは、耐光性や酸化性ガス耐性、画像の滲み耐性などの画像の耐久性が高いが、画像状に光沢が変化しやすく、その結果、写真画質に近いプリントを得にくい弱点がある。
この様な弱点を補うため、種々の技術が提案されているが、原理的な理由から通常の記録方法では高光沢で画像状に光沢の変化しないインクジェットプリントを得ることは難しい。すなわち、顔料インクに用いられている顔料粒子は一般に0.1μm(100nm)程度のサイズのものが多い。色素分子のサイズは1nmのオーダーのサイズであり、0.1μmよりはるかに小さな顔料粒子のインクにすると、その特性が染料インクの特性に接近して、顔料インクの特徴である高耐久性が低下する。
一方、高い光沢性で高発色の記録用紙を得るためには、記録用紙のインク吸収層を多孔質化するために用いられる無機微粒子のサイズは0.1μm以下にすることが光の波長との関係で必要である。
したがって、インクの顔料粒子は、高光沢・高発色にするためには同程度のサイズの粒子からなる記録用紙に着弾するために、顔料インク粒子がインク吸収層中に浸透せず表面に凹凸を形成することになる。このとき、インクの顔料粒子がインク吸収層表面で配向して光沢が白地部分より上昇したり(金属光沢調になる)、あるいは表面で顔料粒子がランダムに合体して表面の凹凸をより粗大化させて乱反射を生じさせて光沢を低下させてしまうなどの問題が起きる。この様な挙動は、顔料インクの特性に大きく依存するが、通常の画像をプリントすると画像状にきわめて不自然な光沢変化を起こして高品位なプリントが得られなくなるのが一般的であった。
本出願人は、上記の顔料インクに係るこの様な不自然さを改良するため種々検討してきている。例えば、特開2001−341409号では特定の範囲の表面粗さ(Ra)を有する記録用紙を用いることで、画像の不自然さを改善した記録用紙を提案している。この技術によれば、画像状に光沢が変化するという不自然さは改善されるものの、充分高い光沢度を有する記録用紙は得られない。また、特願2001−240509号、同2002−352196号、同2003−27191号、同2003−77673号で、顔料インクで画像記録した領域、あるいは顔料インクで画像記録していない領域にポリマーを含有する無色インクを吹き付けることで光沢の均一性を改良したインクジェット記録方法を提案している。しかしながら、その後の検討結果によれば、かかる無色インクを画像状もしくは非画像状に吹き付けた場合には、その界面あるいは中間濃度領域で必ずしも充分な光沢の均一性が達せられないばかりでなく、耐光性やガス退色性の改良効果が部分的に異なり退色画像が不自然になる。
上記課題に対し、顔料インクを用いてプリントした画像面に、ポリマー含有の無色インクで保護皮膜を形成したインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。上記の各特許文献に記載されているように、画像記録面全面に無色インクを吐出させて全画像領域に保護皮膜を形成されたプリントは、前述の界面あるいは中間濃度領域での光沢感や退色性の不自然差が軽減し、高耐久性で光沢感が高く、銀塩写真の風合いに一層近づいたカラープリントを得ることが出来る。しかしながら、画像記録領域全面に無色インクを吹き付けて保護皮膜を形成する場合に、新たな課題があることが判明した。すなわち、無色インクを顔料インクでプリントした領域に吹き付けると、多孔質インク吸収層のインク吸収容量以下で吐出させないと、無色インクが画像領域で溢れを生じ斑状の保護皮膜を形成することが判明した。保護皮膜が斑状に形成されると、局所的な保護皮膜の膜厚変化が生じこのために微少の点状光沢ムラあるいは光の回折による虹ムラ現象などが起きる。
上記現象を回避するためには、保護皮膜を形成する液滴や形成される膜厚が重要である。一般に、画像を形成するのに必要な顔料インクによる吐出量は、記録用紙1m2あたり概ね15〜25mlであり、非吸水性支持体上に多孔質インク吸収層を設けたインクジェット記録用紙のインク吸収容量は概ね20〜30ml/m2である。従って、無色インクで保護皮膜を形成するためには、この無色インクの吐出量として概ね記録用紙1m2あたり10ml程度以下で行う必要がある。記録用紙の多孔質インク吸収容量を更に高める手段をとるとこの制限は緩和されるが、大幅なコストアップやカールの増大で好ましくない。
一方、無色インク中に含まれる皮膜形成ポリマー濃度は、インクとしての適切な粘度(通常は数mPa・s程度)を有しなければいけない制約から、ポリマー濃度を極端に高めることは出来ない。通常用いることの出来る範囲はインク全質量の10質量%程度以下である。この様な制約から、実際上は無色インクで形成される保護皮膜の厚さは、ポリマーとして概ね1g/m2程度になり、膜厚としては約1μm程度以下である。
この点について、特開2002−301428号公報には、コート層の厚さについて乾燥後の厚さとして0.1〜100μm、好ましくは0.5〜20μmとして記載されている。また、特開2003−53942号公報に記載の方法では、コート層の付き量が湿潤膜厚換算で0.77〜7.7g/m2であり、コート液の固形分濃度は0.5〜20質量%であることからコート層の乾燥固形分量は0.0039〜1.54g/m2となる。また、特開2002−264465号公報には0.1〜5g/m2の範囲でコートする記載がある。なお、乾燥固形分の質量が1g/m2であるときに、その固形分の密度が1であればコート層の乾燥膜厚は1μmになる。
本発明者らの検討によれば、0.5〜1μm程度の膜厚の保護膜を形成したときに、コート層に虹状の干渉縞に由来すると考えられる色調変化や、膜厚の僅かの変化に微少の点状のぎらつきが生じやすいことが判明した。虹状の干渉縞は、記録用紙を見る角度を変えると色調に変化をもたらす現象であり、白地部分や画像記録部分が見る角度によって異なった色調を与える現象である。本発明者は、上記課題を解消するための検討を行った結果、膜厚として約0.3μm以下にすると視感的には問題ないことが判明した。
しかしながら、薄い保護皮膜を均一に設けることは、インク物性のコントロールのみでは困難であり、記録用紙表面の特性も同時に調整することが必要である。
記録用紙表面の特性を調整する方法としては界面活性剤の添加が考えられ、例えば、ベタイン型界面活性剤を添加する方法(例えば、特許文献8、9参照。)や、カチオン界面活性剤を添加する方法が開示されている(例えば、特許文献10参照。)。しかしながらこれらの特許文献では、微量の無色インクによる高光沢性改良や画像保存性向上についての記載は無く、特に高速記録適性との両立については一切言及がなされていない。
国際公開特許WO00/06390号パンフレット 特開2000−225695号公報 特開2001−270217号公報 特開2001−277488号公報 特開2002−201428号公報 特開2002−264465号公報 特開2002−307755号公報 特開2000−135854号公報 特開2001−246838号公報 特開2001−301318号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク吸収性が良好で高速記録適性に優れ、高い耐候性を有し、しかも顔料インクの弱点である光沢ムラを軽減して高光沢・高品位のインクジェットプリントが得られるインクジェット記録用紙を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
着色剤含有インクにより画像形成された画面上に、皮膜形成能の有するポリマーを含有し、かつ実質的に着色剤を含有しない無色インクを用いて、インクジェット記録用紙1m2あたり0.05〜0.3gの乾燥固形分を有する保護皮膜を形成させるインクジェット記録方法で用いるインクジェット記録用紙であって、非吸水性支持体上に少なくとも1層の多孔質インク吸収層を有し、該多孔質インク吸収層がカチオン型、ノニオン型またはベタイン型のフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項2)
前記フッ素系界面活性剤の添加量が、0.002〜0.03g/m2であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項3)
前記フッ素系界面活性剤が、分子中に炭素−炭素不飽和結合を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項4)
前記無色インクによる保護皮膜の形成が、実質的にインクジェット記録用紙の全面に亘り行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項5)
前記保護皮膜を形成するインクジェット記録用紙上への無色インク液滴の吐出が、着色剤含有インクによる画像形成が行われた直後で、かつ実質的に水分が蒸発しない間に行われることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項6)
前記着色剤含有インクが、顔料インクであることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項7)
前記多孔質インク吸収層の最表層が、平均粒子径が10〜100nmである無機微粒子とポリビニルアルコールを含有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用紙。
本発明によれば、インク吸収性が良好で高速記録適性に優れ、高い耐候性を有し、しかも顔料インクの弱点である光沢ムラを軽減して高光沢・高品位のインクジェットプリントが得られるインクジェット記録用紙を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のインクジェット記録用紙は、着色剤含有インクにより画像形成された画面上に、皮膜形成能の有するポリマーを含有し、かつ実質的に着色剤を含有しない無色インクを用いて、インクジェット記録用紙1m2あたり0.05〜0.3gの乾燥固形分を有する保護皮膜を形成させるインクジェット記録方法で用いるインクジェット記録用紙であって、非吸水性支持体上に少なくとも1層の多孔質インク吸収層を有し、該多孔質インク吸収層がカチオン型、ノニオン型またはベタイン型のフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする。
はじめに、本発明に係るカチオン型フッ素系界面活性剤、ノニオン型フッ素系界面活性剤、またはベタイン型フッ素系界面活性剤について説明する。
本発明に用いられるカチオン型フッ素系界面活性剤としては、下記一般式〔FK〕で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式〔FK〕
Rf′−G−J+-
一般式〔FK〕において、Rf′は炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、少なくとも一つの水素原子はフッ素原子で置換されている。Gは化学結合手又は2価の連結基を表す。J+はカチオン性基、L-はカウンターアニオンを表す。
Rf′の例としては、−Ck2k+1(k=1〜20、特に3〜12)、−CqHF2q、−Cq2q+1(q=2〜20、特に3〜12)を挙げることができ、Gの例としては、−SO2N(R1)(CH2p−、−CON(R1)(CH2p−、−OASO2N(R1)(CH2p−、−OACON(R1)(CH2p−、−OAO(CH2p−、−OA(CH2p−、−O(CH2CH2O)q(CH2p−、−O(CH2p−、−N(R1)(CH2p−、−SO2N(R1)(CH2pO(CH2r−、−CON(R1)(CH2pO(CH2r−、−OASO2N(R1)(CHR1pOA−、−(CH2p(CHOH)s(CH2r−等を挙げることができる。ここでR1は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基(置換基を有してもよい)を表し、Aはアルキレン基またはアリーレン基を表し、p、r、sは各々0〜6の整数、qは1〜20の整数である。
+の例としては、−N+(R13、−N+(CH2CH2OCH33、−N+48O(R1)、−N+(R1)(R2)(CH2CH2OCH3)、−N+55、−N+(R1)(R2)(CH2p65、−N+(R1)(R2)(R2)等を挙げることができる。ここでR2は上記R1と同義である。
更に、L-の例としては、I-、Cl-、Br-、CH3SO3 -、CH3−C64−SO3 -等を挙げることができる。
以下に、本発明に好ましく用いられるカチオン型フッ素系界面活性剤の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
Figure 2005119066
Figure 2005119066
本発明に用いられるノニオン型フッ素系ノニオン界面活性剤としては、下記一般式〔FN〕で表される化合物が好ましい。
一般式〔FN〕
Rf−(G1n1−(E)m
式中、Rfは炭素原子数3〜20で少なくとも1個のフッ素原子が置換されたアルキル基又はアリール基を表し、G1は2価の連結基を表し、Eはエチレンオキシド基を表し、n1は1又は2を表し、mは1〜20の整数を表す。
以下に、本発明で好ましく用いることのできるノニオン型フッ素系界面活性剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005119066
本発明に好ましく用いられるベタイン型フッ素系界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型などがあるが、好ましくはカルボキシベタイン型フッ素系界面活性剤である。
以下に本発明に好ましく用いられるベタイン型フッ素系界面活性剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005119066
また、本発明のインクジェット記録材料においては、フッ素系界面活性剤が、分子中に炭素−炭素不飽和結合を有することが好ましい。
本発明においては、疎水性部分に炭素−炭素不飽和結合を有するフッ素系界面活性剤であれば、特にその構造に制限はなく、いずれの化合物でもよいが、親水性部にイオン性基(例えば、カチオン、アニオン、ベタイン基)を有するものが好ましく、その中でもベタイン基を有するものがより好ましい。また、総炭素数は10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることが特に好ましい。なお、本発明に係る界面活性剤において、不飽和結合は、芳香族環となっていないものである。
以下に、本発明に係る分子中に炭素−炭素不飽和結合を有する界面活性剤の具体例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2005119066
本発明に係る各フッ素系界面活性剤は、複数の多孔質インク吸収層形成用塗布液を支持体上に塗布する場合には、支持体から最も遠い位置にある多孔質インク吸収層を形成する塗布液に添加されるのが好ましく、その使用量は記録用紙1m2当たり0.002〜0.03gの範囲で使用でき、好ましくは0.0045〜0.015gである。
本発明に係る各フッ素系界面活性剤の添加量が、0.002/m2未満であると。無色インクによる虹ムラやぎらつき感が目立ち、また0.03g/m2を超えると着色剤インクの滲みが発生するため好ましくない。
本発明において、上記各フッ素系界面活性剤と共に、フッ素系界面活性剤以外の公知の界面活性剤を使用することができる。特に、炭化水素系ノニオン性界面活性剤、サポニン等のシュガーエステルを併用することが好ましく、特にサポニンを併用した場合、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
次いで、本発明のインクジェット記録用紙の上記説明したフッ素系界面活性剤を除く各構成要素について説明する。
本発明の記録用紙は、インクジェット記録方式に適した記録用紙であり、非吸水性支持体上の少なくとも一方の面に、多孔質インク吸収層を有するものである。
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体または不透明支持体がある。透明支持体としては、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが、特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。
また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙、いわゆるRCペーパー、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレンなど)やポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウムや酸化チタン等の白色顔料を添加した不透明樹脂フィルムあるいはそれらを2枚以上貼り合わせたフィルム支持体などを用いることができる。
これらの各種不透明支持体の厚みは、その用途により広範に変わり得るが、概ね60〜300μmの範囲である。
前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理やゼラチンや他の親水性ポリマーもしくは疎水性ポリマーによる下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも透明であったり白色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
本発明のインクジェット記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも比較的低コストで高品質の画像が得られるために、特に好ましい。
そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及びまたはLDPの比率は10質量%〜70質量%が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は40〜250gが好ましく、特に60〜220gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク吸収層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して、通常3質量%〜20質量%、好ましくは4質量%〜13質量%である。
ポリエチレン被覆紙表面は、インク受容層との接着性や塗布性の改善のために微粗面加工されたものも使用することができる。この場合、微粗面はRa=0.10〜0.25μm程度の範囲に行うことが好ましい。上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3質量%〜10質量%に保持するのが、特に好ましい。
これらの支持体の剛度は主に原紙の厚みに主に依存し、上記の原紙の厚みを適切に選択することで目的とする剛度が得られる。また、支持体のカールはインク吸収層を設けたカール特性を決める重要な特性であり、インク吸収層との組み合わせで最適なカールバランスが達成されるが、インク吸収層が多孔質インク吸収層である本発明の記録用紙においては、一般的にマイナスカール(インク吸収層を塗布する側を下面にして水平な盤上に放置したときに、四隅が持ち上がる向きのカール)に設計することが好ましい。原紙のカールの設計はインク受容層との関係で決まるが概ね−5〜−50mm(A4サイズの原紙を温度23℃、相対湿度が20〜80%の間に1時間放置したときに四隅の持ち上がり高さの平均)にすることが好ましい。
次に上記支持体上に設けられる多孔質インク吸収層について説明する。
多孔質インク吸収層(以下、単にインク吸収層ともいう)は、支持体の一方の面だけに設けても、あるいは両面に設けても良い。両面に設ける場合には、各々が同じ構成や厚みを有していても、異なっていても良い。また、インク吸収層は単一層であっても複数の層から構成されていても良い。
本発明の記録用紙の多孔質インク吸収層は、少なくとも親水性バインダーと無機微粒子からなることが好ましい。
無機微粒子としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。上記無機微粒子は、一次粒子のまま用いても、また二次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、低屈折率で、かつ約0.1μm以下の平均粒子径のものが比較的安価に得られる観点からシリカ系粒子またはアルミナ径粒子が好ましく、更にはアルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカ、もしくは気相法により合成された微粒子シリカ等が好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。
この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものであっても良い。表面がアルミニウムで修飾された気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
上記無機微粒子の粒径は、光沢性や発色濃度の観点から200nm以下が好ましく、100nm以下がとくに好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね10nm以上が好ましい。
上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質インク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
上記無機微粒子は、一次粒子のままであるいは二次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜に存在していても良いが、上記平均粒径は、電子顕微鏡で観察した時に多孔質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径をいう。
上記無機微粒子が二次以上の凝集粒子である場合には、その平均一次粒子径は、多孔質膜中で観測される平均粒径以下であり、無機微粒子の一次粒子径としては50nm以下のものが好ましく、より好ましくは30nm以下、最も好ましくは4〜20nmの微粒子である。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。上記無機微粒子は、十分なインク吸収性があり、皮膜のひび割れ等が少ないインク吸収層を形成する必要があり、インク受容層中には、5〜50g/m2の付量になることが好ましい。更には、10〜30g/m2であることが特に好ましい。
多孔質層が含有する親水性バインダーとしては、特に制限は無く、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、バインダーの吸湿特性が比較的小さく、記録用紙のカールがより小さい観点、及び少量の使用で無機微粒子のバインダー能力が高くひび割れや膜付き性が優れている観点から、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,000〜5,000のものが好ましく用いられ、ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.8%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アミノ基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−メチルビニルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の違いなど、2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め無機微粒子に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
多孔質層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は、質量比で2〜20であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、充分な空隙率の多孔質膜が得られ、充分な空隙容量を得やすくなり、維持できる親水性バインダーによるインクジェット記録時の膨潤によって空隙を塞ぐ状況を招かず、高インク吸収速度を維持できる要因となる。一方、この比率が20倍以下であれば、多孔質層を厚膜で塗布した際、ひび割れが生じにくくなる。特に好ましい親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は2.5〜12倍、最も好ましくは3〜10倍である。
上記多孔質インク吸収層には、無機微粒子やバインダーのほかに種々の添加剤用いることができるが中でも、カチオン性ポリマー、架橋剤、多価金属化合物はインク吸収性や染料インクに対する滲み改良の点で重要な役割を果たす。
本発明のインクジェット記録用紙には、染料インクによる画像記録後、長期保存における画像の滲みを防止する目的で、カチオン性ポリマーが好ましく用いられる。
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物などが挙げられる。
また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
本発明のインクジェット記録用紙には、画像の耐水性や耐湿性を改良するため、多価金属イオンを含有させることが好ましい。多価金属イオンは2価以上の金属イオンであれば特に限定されるものでは無いが、好ましい多価金属イオンとしては、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、チタニウムイオン等が挙げられる。
これらの多価金属イオンは、水溶性または非水溶性の塩の形態でインク受容層に含有させることができる。アルミニウムイオンを含む塩の具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(例えば、ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸珪酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。
これらの中でも、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸珪酸アルミニウムが好ましく、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウムが最も好ましい。
また、ジルコニウムイオンを含む塩の具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウム等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、本発明の目的とするプリント後の滲み防止効果を更に顕著に奏するという観点において、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニル、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましく、特に、炭酸ジルコニルアンモニウム、塩化ジルコニル、酢酸ジルコニルが好ましい。
これらの多価金属イオンは、単独で用いても良いし、異なる2種以上を併用してもよい。多価金属イオンを含む化合物は、インク受容層を形成する塗布液に添加してもよいし、あるいは多孔質層を一旦塗布した後、特に多孔質層を一旦塗布乾燥した後に、インク受容層にオーバーコート法により供給してもよい。前者のように多価金属イオンを含む化合物をインク吸収層を形成する塗布液に添加する場合、水や有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に均一に溶解して添加する方法、あるいはサンドミルなどの湿式粉砕法や乳化分散などの方法により微細な粒子に分散して添加する方法を用いることができる。インク受容層が複数の層から構成される場合には、1層のみ添加してもよく、また2層以上の層、あるいは全ての構成層の塗布液に添加することもできる。また、後者のように多孔質インク受容層を一旦形成した後、オーバーコート法で添加する場合には、多価金属イオンを含む化合物を溶媒に均一に溶解した後、インク受容層に供給するのが好ましい。
これらの多価金属イオンは、記録用紙1m2当り、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
本発明のインクジェット記録用紙は、多孔質インク受容層を形成する水溶性バインダーの硬膜剤を添加することが好ましい。
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸及びその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
本発明に係る多孔質インク吸収層中には、上記以外の各種の添加剤を添加することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
次に、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法としては、インク吸収層を含む各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜70mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布及び乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
また、特願2002−258715号で本出願人が特許出願しているようなインク受容層を塗布、乾燥した後、ロール状に巻き取る前に他の水溶性添加剤をオンラインでオーバーコートし再度乾燥して製造する方法も本発明に適用できる。
また、記録用紙の製造過程で、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を有することが好ましい。加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件であれば特に制限はないが、好ましい例としては、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、あるいは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬化反応の促進、あるいは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。
本発明の記録用紙においては、支持体として非吸水性支持体を用いることから、画像を形成するインクと保護皮膜を形成するインクの全てをほぼ同時に吸収できるだけのインク吸収容量を保持していることが必要である。充分なインク吸収量がないと、保護皮膜を形成する無色インクを吐出時にインク溢れを生じ点状の厚み変化によるぎらつき発生の元になる。インク吸収層の吸収容量は概ね20ml/m2以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、インク吸収量を増大させることはそれだけ厚い層になりカールの問題が飛躍的に大きくなるだけでなく製造段階のひび割れが増大して製造条件の制約が大きくなりコスト高の大きな原因になる。好ましいインク吸収量の上限は概ね30ml/m2である。
画像記録する際にはこの記録用紙のインク吸収量以下になるように、画像を形成するインクと保護皮膜を形成するための無色インクの総和がなるように設計する必要がある。画像形成インクの総和は概ね15〜25ml/m2であり、無色インクの総和は3〜10ml/m2である。
また、多孔質インク吸収性表面のS−Z 8741による60度鏡面光沢度は一般に30〜70%で、JIS K 7105に規定される60度のC値は30〜90%の範囲である。
また、多孔質インク吸収層の膜面pHは3〜7が好ましく、特に4〜6.5が好ましい。
次に、本発明のインクジェット記録用紙を用いたインクジェット記録方法について説明する。
本発明の記録用紙は、着色剤含有インクである水系顔料インクまたは水系染料インクの記録用紙として好適に使用される。
水系染料インクとは、水溶性の染料を着色剤として使用したインクで、インク溶媒として水あるいは水と混和性の高い有機溶剤を混合してなるインクである。染料としては、従来公知のアゾ系染料、キサンテン系染料、フタロシアニン系染料、キノン系染料、アントラキノン系染料等をスルホ基あるいはカルボキシ基を導入して水溶性を向上させた、酸性染料や直接染料あるいは塩基性染料が代表的に用いられる。
一方、顔料インクに用いられる顔料としては、インクジェットで従来公知の各種の無機もしくは有機の顔料インクを使用することができる。無機顔料インクの例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄などを挙げることができる。また、有機顔料としては、各種のアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、あるいは水溶性染料と多価金属イオンを反応させて得られるレーキ顔料などを挙げることができる。
これらの顔料粒子は、親水性ポリマーや界面活性剤などの各種の分散剤や分散安定化剤と共に用いることが好ましい。顔料粒子は、これらの分散在野分散安定化剤により平均粒子径が70〜150μm程度にまで分散されたものを用いることが好ましい。
上記着色剤である染料及び顔料のインク中における濃度は、染料もしくは顔料の種類、インクの使用形態(濃淡インクを使用するか否か)、更には、記録用紙の種類にも依存するが、概ね0.2〜10質量%である。
着色剤含有インク中には各種の溶媒が用いられるが、そのようなインク溶媒としては、水あるいは水と混和性の高い有機溶剤を、単独あるいは水と混合して使用することができる。具体的には、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、2−ピロリジノン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、トリエタノールアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンテトラミン等のアミン類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられ、これらの溶剤は単独で用いても、併用しても良い。
また、上記着色剤含有インクには、インク溶媒の浸透性を高める目的及びその他の目的各種界面活性剤を使用することができる。そのような界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましく用いられる。中でもアセチレングリコール系界面活性剤は特に好ましい。
次に、保護皮膜層を形成する無色インクについて説明する。
無色インクは、基本的には着色剤を含有しないが、不純物としての着色剤や記録用紙の白地を、例えば、印刷用紙の白地に近づけさせるために僅かに使用する微量の染料もしくは顔料、あるいは蛍光増白剤は添加することもできるる。
無色インクは保護皮膜を形成することのできるポリマーを含有する。
このポリマーは、無色インクの溶媒に完全に溶解した状態で使用することも、もしくは無色インク中に微粒子状態で存在した状態で使用することもできる。
前者の目的で使用される好適なポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコールやポリアクリルアミド、水溶性ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドが挙げられる。しかし、水溶性ポリマーを使用して保護被膜層の固形分付き量が0.05〜0.3g/m2という非常に少ない量で、白地部分や画像記録した着色剤層の上を充分被覆しようとすると、記録用紙中や着色剤層中に一部が浸透し、充分な被覆効果が得にくく、無色インクが含有するポリマーはそのような浸透性の低いポリマー微粒子を使用することが好ましい。
そのようなポリマー微粒子としては、例えば、特開2002−264465号、同201428号、国際出願公開WO00/06390号に記載されたものを用いることができるが、そのようのポリマー微粒子としては、ビニル系モノマーを乳化重合した乳化重合分散物が特に好ましく用いられる。
そのようなビニル系モノマーの例としては、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、アクリルアミド、イタコン酸及びその塩、マレイン酸及びその塩、メチルビニルエーテル、アクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体(例えば、メチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル、ブチルエステル)、N−置換アクリルアミドまたはN−置換メタアクリルアミド誘導体、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらのモノマーは、単独でも2種以上を併用して共重合して用いることもできる。
好ましい重合体分散物は、上記モノマーを1種もしくは2種以上を重合開始剤の存在下で乳化重合して得られる。この際、乳化分散物の粒子径コントロールや安定性の改良のために界面活性剤や親水性ポリマーの存在下に行うことが好ましい。
界面活性剤を用いて乳化重合すると比較的微粒子化できるが、無色インクとして使用する際にインクに要求される表面張力などに悪影響を与えないよう選択する必要がある。
一方、乳化重合分散物の安定性の観点及び無色インクによる保護皮膜形成の観点から、特に親水性ポリマーの存在下で乳化分散した重合体分散物が本発明の記録用紙にとって好都合である。ここで用いられる親水性ポリマーとしては、皮膜形成能のある水溶性ポリマーであればいかなるものも使用することができるが特にポリビニルアルコールがインクの安定性や被覆性能から好ましい。ここで好ましく用いられるポリビニルアルコールは、平均重合度が300〜2000、ケン化度が70〜100、好ましくは80〜90である。
乳化重合時に使用する親水性ポリマーの量は、モノマーに対して概ね0.1〜40質量%であり、0.5〜20質量%が特に好ましい。この際、界面活性剤を乳化重合時に親水性ポリマーに併用することもできる。界面活性剤の使用量はモノマーに対して0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜10質量%である。
一方、これらの親水性ポリマーは重合体分散物の乳化重合後に添加しても良い。
上記重合体分散物の平均粒子径は、概ね0.02〜1μm、好ましくは0.03〜0.3μmである。重合体分散物のガラス転移温度(Tg)は、形成した皮膜特性から0〜80℃のものが好都合である。Tgが0℃未満の場合には表面のべたつきが大きくなり指紋が付きやすくなったり用紙同士がくっつきやすくなる。またTgが80℃を超えると表面に均一な皮膜を形成しにくくなる。Tgは特に10〜70℃が最も好ましい。
無色インク中には、必要に応じて紫外線吸収能を有する化合物や酸化防止機能を有する化合物等を含有することもできる。また、これらの機能を有するモノマーを用いて乳化分散した重合体分散物を使用することもできる。
無色インク中には、上述の着色剤含有インクと同様の水混和性の有機溶媒、界面活性剤、粘度調整剤、pH調整剤、カビ防止剤などの各種の添加剤を含有することができる。
次に、本発明の記録用紙に着色剤含有インク及び無色インクを用いてインクジェット画像記録する方法について説明する。
本発明の記録用紙は、着色剤含有インクにより画像記録された後、無色インクを記録用紙の実質的な全領域に吐出させて、記録用紙の実質的全領域に保護皮膜を形成するものである。
ここでいう「記録用紙の実質的全領域に保護皮膜を形成する」とは、通常の観察において、記録用紙の全領域に保護皮膜が形成されていると認識できる状態を指す。例えば、記録用紙の端部の微小範囲に保護皮膜が形成されていなくても、プリント品位に対する影響は小さく、観察者には全領域に保護皮膜があると認識される。通常は、記録用紙の端部から1mm程度、好ましくは0.5mm程度以下の領域を除いた残りの領域に保護皮膜が形成されていればよい。別の例としては、プリント後に無色インクで記録しない領域を切り落としたり、枠など覆ってしまう場合もある。画像として価値のない領域には、無色インクを吐出させなくても良い。すなわち、通常の画像プリントにおいて、画像として観察される白地領域と着色剤含有インクの吐出された領域の全ての領域に亘って無色インクで被覆するのが、本発明の記録用紙に適用される記録方法である。
無色インクを吐出させる時期は、着色剤含有インクにより画像形成された直後であることが、画像部の虹ムラやぎらつきの観点で好ましい。特には、着色剤含有インクによる画像形成が行われた直後、実質的に水分が蒸発しない間に行われることが好ましい。
着色剤含有インクにより画像形成された後、時間が経過してから無色インクを吐出させると、着色剤含有インクのインク溶媒が蒸発してしまい、特に顔料インクで画像記録した場合には、顔料粒子の表面と無色インク形成皮膜との間に明確な界面が形成されるため好ましくない。特に好ましくは、同じプリンター内で両者をほぼ同時に吐出することである。
無色インクによる保護皮膜の形成は、記録用紙1m2あたり0.05〜0.3gの乾燥固形分になるように行われるが、乾燥固形分が0.3gを超えると白地部分や画像記録部分で虹状の色調変化や点状のぎらつきが起き易くなる。一方、0.05g未満では皮膜の形成が不十分になり、特に、染料インク形成画像等に対する退色防止効果が急速に小さくなったり、あるいは顔料インクにおいては、画像部の光沢度変化の改良効果が小さくなる。好ましい無色インクで形成する皮膜の乾燥固形分は0.07〜0.25gである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」、「部」は、特に断りの無いかぎり「質量%」、「質量部」を表す。
実施例1
《記録用紙の作製》
[記録用紙1の作製]
〔支持体の作製〕
木材パルプ(LBKP/NBSP=50/50)100部に対して、ポリアクリルアミドを1部、灰分(タルク)を4部、カチオン化澱粉を2部、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を0.5部及び種々の添加量のアルキルケテンダイマー(サイズ剤)を含有するスラリー液を調製し、長網抄紙機で坪量が170g/m2になるようにして基紙を抄造した。この基紙をカレンダー処理した後、7%のアナターゼ型酸化チタン及び少量の色調調整剤を含有する密度0.92の低密度ポリエチレン樹脂を、320℃で厚さ28μmになるように溶融押し出しコーティング法で基紙の片面を被覆し、鏡面クーリングローラーで直後に冷却した。次いで、反対側の面を密度0.96の高密度ポリエチレン/密度0.92の低密度ポリエチレン=70/30で混合した溶融物を同様に溶融押し出し法で厚さが32μmになるように被覆した。
インク吸収層を設ける面側の60度光沢度は56%、中心線平均粗さRaは0.12μmであった。
この支持体の酸化チタン含有層側に、コロナ放電を施した後、ゼラチン0.05g/m2となるように塗布して下引層を設けた。
一方、反対側の面には、平均粒径約1.0μmのシリカ微粒子(マット剤)と少量のカチオン性ポリマー(導電剤)を含有するスチレン/アクリル系エマルジョンを乾燥膜厚が約0.5μmになるように塗布して、インク吸収層を塗布するための支持体を作製した。
バック面側は、60度光沢度が約18%、Raが約4.5μm、ベック平滑度は160〜200秒であった。
このようにして得られた支持体の基紙の含水率は7.0〜7.2%であった。
また、この支持体の不透明度は96.5%、白さは、L*=95.2、a*=0.56、b*=−4.35であった。
〔インク吸収層塗布液の調製〕
下記の手順に従って、表側用塗布液を調製した。
(酸化チタン分散液1の調製)
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)を、pH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムの150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製:PVA235)の500g、カチオン性ポリマー(P−1)の150g及びサンノブコ株式会社製の消泡剤SN381の10gを含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて、均一な酸化チタン分散液1を得た。
Figure 2005119066
(シリカ分散液1の調製)
水 71L
ホウ酸 0.27kg
ほう砂 0.24kg
エタノール 2.2L
カチオン性ポリマー(P−1)25%水溶液 17L
退色防止剤(AF1 *1)10%水溶液 8.5L
蛍光増白剤水溶液(*2) 0.1L
全量を純水で100Lに仕上げた。
無機微粒子として、気相法シリカ(平均一次粒子径 約12nm)を50kg用意し、これに上記添加剤を添加した後、特開2002−47454号公報の実施例5に記載された分散方法により分散してシリカ分散液1を得た。
*1:退色防止剤(AF−1) HO−N(C24SO3Na)2
*2:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、UVITEX NFW LIQUID
(シリカ分散液2の調製)
上記シリカ分散液1の調製において、カチオン性ポリマー(P−1)を、カチオン性ポリマー(P−2)に変更した以外は同様にして、シリカ分散液2を調製した。
Figure 2005119066
(塗布液の調製)
第1層、第2層、第3層及び第4層の各塗布液を、以下の手順で調製した。
〈第1層用塗布液〉
シリカ分散液1の610mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
220ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
酸化チタン分散液 30ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第2層用塗布液〉
シリカ分散液1の630mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第3層用塗布液〉
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第4層用塗布液〉
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
界面活性剤(F−144D *3) 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
*3 F−144D:ノニオン型フッ素系界面活性剤(大日本インク化学社製 メガファックス F−144D)
上記のようにして調製した各塗布液を、20μmの捕集可能なフィルターで2段ろ過した。
上記各塗布液は、いずれも40℃において30〜80mPa・s、15℃において30000〜100000mPa.sの粘度特性を示した。
(塗布)
このようにして得られた各塗布液を、上記作製したポリオレフィンで両面を被覆した支持体の表側に、第1層(35μm)、第2層(45μm)、第3層(45μm)、第4層(40μm)の順になるように各層を同時塗布した。なお、各層のかっこ内の数値は、それぞれの湿潤膜厚を示す。塗布は、各塗布液を40℃で4層式カーテンコーターを用い、塗布幅:約1.5m、塗布速度:100m/分で同時塗布を行った。
塗布直後に8℃に保持した冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃、相対湿度20%以下で30秒間、60℃、相対湿度20%以下で120秒間、55℃、相対湿度20%以下で60秒間、各々の乾燥風を吹き付けて乾燥した。恒率乾燥域における皮膜温度は8〜30℃であり、減率乾燥域で皮膜温度が徐々に上昇した後、23℃、相対湿度40〜60%の調湿ゾーンで調湿してロール状に巻き取って記録用紙1を得た。得られた記録用紙1は、次いでロール状のまま40℃で5日間加温保管した後、所定のサイズに断裁した。
[記録用紙2の作製]
上記記録用紙1の作製において、第4層で用いた界面活性剤を大日本インキ化学(株)製のメガファックF−150(カチオン型フッ素系界面活性剤)に変更した以外は同様にして、記録用紙2を作製した。
[記録用紙3の作製]
上記記録用紙1の作製において、第4層で用いた界面活性剤をネオス(株)製のフタージェント400S(ベタイン型フッ素系界面活性剤)に変更した以外は同様にして、記録用紙3を作製した。
[記録用紙4の作製]
上記記録用紙3の作製において、第4層で用いた界面活性剤の添加量を1.5mlに変更した以外は同様にして、記録用紙4を作製した。
[記録用紙5の作製]
上記記録用紙3の作製において、第4層で用いた界面活性剤の添加量を6mlに変更した以外は同様にして、記録用紙5を作製した。
[記録用紙6の作製]
上記記録用紙3の作製において、第4層で用いた界面活性剤の添加量を10mlに変更した以外は同様にして、記録用紙6を作製した。
[記録用紙7の作製]
上記記録用紙3の作製において、第4層で用いた界面活性剤の添加量を0.5mlに変更した以外は同様にして、記録用紙7を作製した。
[記録用紙8の作製]
上記記録用紙3の作製において、第4層で用いた界面活性剤の添加量を16.5mlに変更し、更に第1層にネオス(株)製のフタージェント400S(ベタイン型フッ素系界面活性剤)の5%水溶液を10ml追加添加した以外は同様にして、記録用紙8を作製した。
[記録用紙9の作製]
上記記録用紙1の作製において、第4層で用いた界面活性剤を花王(株)製のエマルゲン109(炭化水素系ノニオン界面活性剤)に変更した以外は同様にして、記録用紙9を作製した。
[記録用紙10の作製]
上記記録用紙1の作製において、第4層で用いた界面活性剤を大日本インキ化学(株)製のメガファックF−120(アニオン型フッ素系界面活性剤)に変更した以外は同様にして、記録用紙10を作製した。
[記録用紙11の作製]
上記記録用紙1の作製において、第4層の界面活性剤を炭化水素系アルキルベタイン型界面活性剤(三洋化成(株)製 レボンLD−36)に変更した以外は同様にして、記録用紙11を作製した。
[記録用紙12の作製]
上記記録用紙3の作製において、第4層に、更にサポニンの50%水溶液を4.0ml追加添加した以外は同様にして、記録用紙12を作製した。
[記録用紙13の作製]
上記記録用紙1の作製において、第4層に、更にサポニンの50%水溶液を4.0ml追加添加した以外は同様にして、記録用紙13を作製した。
[記録用紙14の作製]
上記記録用紙13の作製において、第4層に添加したノニオン型フッ素系界面活性剤を除いた以外は同様にして、記録用紙14を作製した。
なお、表1に記載の各界面活性剤の略称の詳細は、以下の通りである。
F−144D:ノニオン型フッ素系界面活性剤(大日本インク化学社製 メガファックス F−144D)
F−150:カチオン型フッ素系界面活性剤(大日本インキ化学(株)製 メガファックF−150)
FT400S:ベタイン型フッ素系界面活性剤(ネオス(株)製 フタージェント400S)
E109:炭化水素系ノニオン界面活性剤(花王(株)製 エマルゲン109)
F−120:アニオン型フッ素系界面活性剤(大日本インキ化学(株)製 メガファックF−120)
LD−36:炭化水素系アルキルベタイン界面活性剤(三洋化成(株)製 レボンLD−36)
SP:サポニン
《インクの調製》
〔顔料分散体の調製〕
〈イエロー顔料分散体の調製〉
C.I.ピグメントイエロー74 20質量%
スチレン−アクリル酸共重合体(分子量10000、酸価120) 12質量%
ジエチレングリコール 15質量%
イオン交換水 53質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔料分散体を得た。得られたイエロー顔料の平均粒径は112nmであった。
〈マゼンタ顔料分散体の調製〉
C.I.ピグメントレッド122 25質量%
ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)
固形分で18質量%
ジエチレングリコール 15質量%
イオン交換水 42質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔料分散体を得た。得られたマゼンタ顔料の平均粒径は105nmであった。
〈シアン顔料分散体の調製〉
C.I.ピグメントブルー15:3 25質量%
ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)
固形分として15質量%
グリセリン 10質量%
イオン交換水 50質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、シアン顔料分散体を得た。得られたシアン顔料の平均粒径は87nmであった。
〈ブラック顔料分散体の調製〉
カーボンブラック 20質量%
スチレン−アクリル酸共重合体(分子量7000、酸価150) 10質量%
グリセリン 10質量%
イオン交換水 60質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、ブラック顔料分散体を得た。得られたブラック顔料の平均粒径は75nmであった。
(顔料インクセットの調製)
〈イエローインクの調製〉
イエロー顔料分散体 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルタでろ過し、水性顔料インクであるイエローインクを調製した。該インク中の顔料の平均粒径は120nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
〈マゼンタインクの調製〉
マゼンタ顔料分散体 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 1質量%
イオン交換水 54質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルタでろ過し、水性顔料インクであるマゼンタインクを調製した。該インク中の顔料の平均粒径は113nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
〈シアンインクの調製〉
シアン顔料分散体 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 1質量%
イオン交換水 59質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルタでろ過し、水性顔料インクであるシアンインクを調製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
〈ブラックインクの調製〉
ブラック顔料分散体 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 1質量%
イオン交換水 59質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルタでろ過し、水性顔料インクであるブラックインクを調製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
《無色インクの調製》
重合体分散物〔平均重合度300、ケン化度88%のポリビニルアルコール中、界面活性剤の存在下で乳化重合したコポリマー(スチレン/メチルメタクリレート/エチルメタクリレート=50/30/20、Tg≒40℃、平均粒径≒0.08μm)〕
固形分として2.4質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 1質量%
イオン交換水 残量
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルタでろ過し、本発明の水系で分散状態の無色インクを調製した。該無色インクの表面張力γは35mN/mであった。
また、無色インクと上記各顔料インクとを同量混合させても、顔料粒子の平均粒径に変化はなく、凝集は起きないことを確認した。
《インクジェット画像記録》
上記のインクセット(着色剤含有インク)及び無色インクのカートリッジを収納し、ピエゾ型ヘッドを搭載したインクジェットプリンタで、上記作製した記録用紙1〜14に画像印字を行った。
画像形成方法としては、インクセット(着色剤含有インク)で画像記録を行った直後に、無色インクが吐出されるように、特開2000−25695号の図1に記載されたタイプのカートリッジを用いて行った。
画像記録部位の最大総吐出インク量は17ml/m2とし、無色インクは記録用紙全域に均一に4ml/m2となるように吐出した。この時の無色インクの乾燥固形分は約0.1g/m2であった。
《記録画像の評価》
画像の評価は、白地部分及び黒ベタ印字部(反射濃度≒2.0)の光沢度(60度)、白地部分の虹状ムラ及び黒ベタ部分の点状のぎらつき感、ブリーディング耐性について行った。また、上記作製した各記録用紙について、塗布故障耐性の評価を併せて行った。なお、下記の評価には、比較試料として、記録用紙1に無色インクを吐出させないプリント(RF1)も同時に画像印字し、評価した。
〔虹ムラ・ぎらつき感の評価〕
虹状ムラの評価は記録用紙を見る角度を変えて色調が変化するか否かを目視観察し、また、ぎらつき感の評価はプリントを種々の角度からぎらつきの程度を目視観察し、下記の基準に則り判定を行った。
1:虹ムラやぎらつきの発生が全くなし
2:極僅かに虹ムラやぎらつきが認められるが、実技上まったく問題ない
3:虹ムラやぎらつきの発生が認められる
4:激しい虹ムラやぎらつきが認められる
〔塗布故障耐性の評価〕
各記録用紙のインク吸収層面側の塗布面を目視観察し、5500m2当たりのハジキ故障発生点数をカウントし、これを塗布故障耐性の尺度とした。
〔ブリーディング耐性の評価〕
各記録用紙について、黄色ベタ画像と黒色ベタ画像とが接するように印字し、その各色の境界部分の滲みの状態を目視観察し、下記の基準に則りブリーディング耐性の評価を行った。
◎:各色境界部で滲みの発生が認められない
○:各色境界部で僅かに滲みが認められるが、実用上許容の範囲にある
△:各色境界部に滲みが認められ、実用上問題がある品質
×:各色境界部に著しい滲みが認められる
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2005119066
表1の結果より明らかなように、カチオン型、ノニオン型またはベタイン型の各フッ素系界面活性剤を使用した記録用紙1〜8、および記録用紙12、13は、いずれも白地部と黒ベタ部の光沢度差が小さく、しかも白地部分の虹ムラや黒ベタ部分のぎらつき感も殆どないか、極僅かしか観察されず、また塗布故障の発生も低減され、高品位のインクジェットプリントが得られることが分かる。その中でも特に、フッ素系界面活性剤量が0.002〜0.03g/m2、更に好ましくは0.0045〜0.015g/m2である時に、その効果がより発揮されていることが分かる。
実施例2
実施例1で作製した記録用紙1、2、3及び9、10、12、14において、市販の染料インクプリンターPM920C(セイコーエプソン社製)とその純正インクを用いてマゼンタベタ画像をプリントし、その直後に実施例1に記載の無色インクを、記録用紙の全域に吐出した。
得られたマゼンタベタ画像について、下記の方法に従ってガス褪色耐性を評価して、得られた結果を表2に示す。
〔ガス褪色耐性の評価〕
上記作成したマゼンタベタ画像を、23℃、40%RHの環境下で24時間放置した後、Gretag Macbeth濃測計でマゼンタ画像濃度M1を測定し、次いで、オゾン濃度10ppmの環境下で1時間放置した後、再度マゼンタ画像濃度M2を測定し、色素残存率(M2/M1×100(%))を求め、下記の基準に則りガス褪色耐性の評価を行った。
○:マゼンタ色素画像の残存率が90%以上である
×:マゼンタ色素画像の残存率が90%未満である
上記評価ランクにおいて、○が実用上問題のないレベルと判断する。
Figure 2005119066
表2の結果より明らかなように、カチオン型、ノニオン型またはベタイン型のフッ素系界面活性剤を使用した記録用紙1、2、3、12は、比較例に対し良好なガス褪色耐性を有することが分かる。
実施例3
実施例1において、記録用紙1、3、12を用いて顔料インクによる画像記録を行った後、含まれる水分を室温で約1時間かけて蒸発、乾燥した後、無色インクによる保護膜形成を行った。得られた画像部のぎらつき感を、実施例1に記載の方法に従って評価して、得られた結果を表3に示す。
Figure 2005119066
表3の結果より明らかなように、顔料インクで画像記録した後、水分を充分に乾燥させることで、画像部のぎらつき感が若干低下している。これは、顔料粒子層の界面と保護皮膜層の界面がより一層はっきりするようになったためと考えられる。

Claims (7)

  1. 着色剤含有インクにより画像形成された画面上に、皮膜形成能の有するポリマーを含有し、かつ実質的に着色剤を含有しない無色インクを用いて、インクジェット記録用紙1m2あたり0.05〜0.3gの乾燥固形分を有する保護皮膜を形成させるインクジェット記録方法で用いるインクジェット記録用紙であって、非吸水性支持体上に少なくとも1層の多孔質インク吸収層を有し、該多孔質インク吸収層がカチオン型、ノニオン型またはベタイン型のフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 前記フッ素系界面活性剤の添加量が、0.002〜0.03g/m2であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記フッ素系界面活性剤が、分子中に炭素−炭素不飽和結合を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 前記無色インクによる保護皮膜の形成が、実質的にインクジェット記録用紙の全面に亘り行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 前記保護皮膜を形成するインクジェット記録用紙上への無色インク液滴の吐出が、着色剤含有インクによる画像形成が行われた直後で、かつ実質的に水分が蒸発しない間に行われることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 前記着色剤含有インクが、顔料インクであることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録用紙。
  7. 前記多孔質インク吸収層の最表層が、平均粒子径が10〜100nmである無機微粒子とポリビニルアルコールを含有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用紙。
JP2003354746A 2003-10-15 2003-10-15 インクジェット記録用紙 Pending JP2005119066A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011136479A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Kyocera Mita Corp インクジェット記録用処理液、該処理液を用いるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

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