JP3904191B2 - 排出燃料希釈器および排出燃料希釈式燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排出燃料希釈器、および排出燃料希釈式燃料電池システムに関し、詳しくは電気自動車の動力源となる水素を燃料とする燃料電池のパージ時の水素の処理を行う排出燃料希釈器、および排出燃料希釈式燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車(以下、「車両」という。)の動力源となる燃料電池が純水素(以下、「水素」という。)を燃料とする場合、燃料電池への水素供給は、その利用効率を上げる(燃費を良くする)ために循環系を採用している。循環方式としては、負圧を発生させて水素を吸引するエゼクタや、水素ポンプなどを利用する。そしてエゼクタと水素ポンプとに共通することとして、パージ工程がある。パージというのは、循環系の水素を一時的に外部に放出することである。
【0003】
パージの目的は、次の2つである。
(1)車両走行中またはアイドリング停車中などに燃料電池のセル電圧が低下する現象を回復させるため。
(2)車両が停止したとき、燃料電池のカソードとアノードの極間差圧が過大になるのを防ぐために、カソード側の圧力変化に応じてアノード側を追従させるため。
【0004】
また、セル電圧を回復させる目的は次の2つである。
(1)水素の循環を継続させていると、アノード系内にカソードからの透過N2 が蓄積して反応を阻害するので、排出する必要があること。
(2)供給水や生成水の結露水が燃料電池内に滞留(flooding)し、燃料電池の出力が低下してしまうため、パージによってガスの流速を上げて結露水を系外に排出させること。
【0005】
そして燃料電池の燃料に水素を用いる場合、従来はパージ配管から高濃度の水素を放出していた。また触媒などによって水素を燃焼処理して放出するような例も見られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら高濃度の水素を放出した瞬間に、例えば車外の路上などに何らかの火種(裸火)があると、アフターバーン(後燃焼)のような瞬間的な燃焼が起き、見た目が良くないという問題があった。
このようなパージをしたことによる水素の燃焼特性は図9に示すように、水素濃度が4%(容量%、以下同様。)を超えると燃え易くなり、18.3%を超えるとデトネ―ション(detonation:爆ごう)範囲となって、瞬間的かつ爆発的な燃焼が起こる。
【0007】
また、水素を触媒処理する場合は、図10に示すようにパージそのものが一定間隔で間歇的な作動なので、触媒の温度を高く保つことや、空気の混合方法が極めて難しく、複雑なシステムにならざるを得ないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、パージが間歇的に行われることに着目して、燃料電池の燃料のパージと次のパージの間に時間をかけて、燃料の燃焼可能下限濃度以下に希釈して排気することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するための手段として、本発明に係る排出燃料希釈器は、燃料極のパージ時に燃料電池から排出される燃料を滞留させる所定容積の滞留領域と、前記燃料電池から排出される空気を通流させるとともに、該空気に前記滞留領域からの前記燃料を混合させて希釈する所定容積の希釈領域と、前記滞留領域から前記希釈領域へ前記燃料を通流させる通流部と、を備え、前記燃料を前記滞留領域に溜めた後に、押し出されるようにして前記燃料が希釈領域に送られることを特徴とする。
【0010】
このような構成の排出燃料希釈器では、パージ時に燃料電池から排出された燃料は滞留領域に入り、一時滞留する。そして燃料電池から希釈領域に排出された空気にこの燃料を通流させて混合し、希釈した上で排気する。
【0011】
また、本発明に係わる排出燃料希釈器は、前記滞留領域を前記希釈領域よりも上方に配置したことを特徴とする。
【0012】
このような構成の排出燃料希釈器では、水素のような空気よりも軽い気体を燃料とした場合、燃料電池から排出された燃料は滞留領域に入ってからここに留まり、滞留領域全体を使って上方から下方へ充分に拡散した後でなければ、下方にある希釈領域に通流しない。特に通流板がセラミックスのような多孔板の場合、通気抵抗があるのでより通流し難い。
【0013】
また、本発明に係わる排出燃料希釈器は、前記希釈領域を、前記空気の排出時に発生する音を消失させる消音器と一体に形成したことを特徴とする。
【0014】
このような構成の排出燃料希釈器では、消音器が希釈領域を兼ねることとなる。消音器は所定の開口率を備えた多孔板を所定のピッチで配置した構成なので、時間をかけて希釈する希釈領域として好適である。
【0015】
また、本発明に係わる排出燃料希釈器は、前記滞留領域および/または前記希釈領域に、火炎抑制手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
このような構成の排出燃料希釈器では、希釈領域から排出された燃料が万一燃焼しても、滞留領域および/または希釈領域に設けられた火炎抑制手段によって、滞留領域および/または希釈領域に燃焼が伝播することがない。
【0017】
また、本発明に係わる排出燃料希釈器は、前記通流部を、前記滞留領域内のうち前記燃料の流れに対して上流方向に設けたことを特徴とする。
【0018】
このような構成の排出燃料希釈器では、燃料電池から排出された燃料は滞留領域の上流から下流に向かって通流してしばらく滞留し、滞留領域全体を使うように下流から上流にまわり込んでのちに上流側の通流部から希釈領域に通流する。
【0019】
また、本発明に係わる排出燃料希釈器は、前記滞留領域の容積を前記燃料電池の最大出力時のパージ量以上としたことを特徴とする。
【0020】
このような構成の排出燃料希釈器では、燃料電池の最大出力時の燃料のパージ量は最大量になるが、これら全てのパージ燃料が滞留領域に滞留したのち希釈領域に通流して希釈される。
【0025】
また、本発明に係わる排出燃料希釈式燃料電池システムでは、燃料と空気を供給されて発電を行う燃料電池と、該燃料電池から排出される燃料を、供給される前記燃料と混合する燃料循環流路と、該燃料循環流路に設けられ、前記燃料を一時的に前記燃料循環流路外に排出するパージ流路とを備え、前記排出燃料希釈器を有することを特徴とする。
【0026】
このような構成の排出燃料希釈式燃料電池システムでは、パージ時に燃料電池から排出された燃料は燃料循環流路を通って排出燃料希釈器に入り、燃料電池のカソードから排出された空気と混合して希釈されパージ流路を通って排気される。
【0027】
また、本発明に係わる排出燃料希釈式燃料電池システムは、パージ燃料の放出時に、空気の不足を補う空気をエアコンプレッサから供給するバイパスシステムを設けたことを特徴とする。
【0028】
このような構成の排出燃料希釈式燃料電池システムでは、燃料電池から排出される空気が充分でない場合でも、パージ燃料を希釈すべき空気が常に補充されてパージ燃料を希釈する。ここで「バイパス」とは燃料電池を通らずに通流可能な流路をさす。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る排出燃料希釈器について実施の形態を説明する。
【0030】
参照する図面において、図1は燃料電池搭載型電気自動車における本発明に係る排出燃料希釈器を含む燃料電池システムボックスのレイアウトを示す図である。
【0031】
図1に示すように、燃料電池搭載型電気自動車(以下、「車両」という。)1の略中央部の床下に、燃料電池システムボックス2が搭載されている。燃料電池システムボックス2の内部には、温調手段3、燃料電池4、排出燃料希釈器5および加湿手段6が車両1の前方から後方に向かって順に載置されている。ただし本発明に係る排出燃料希釈器5と、加湿手段6は並列の配置である。燃料電池システムはこれらのほか、図示せぬラジエタ、高圧水素容器などから構成される。
【0032】
燃料電池4は、前記高圧水素容器に貯留された燃料となる純水素(以下、「水素」という。)と、車外から取り入れた空気を供給されて発電を行い、前記車両1を駆動するための電気を供給する。この燃料電池4を好適に作動させるために、温調手段3で燃料電池4の温度調整を行い、加湿手段6で燃料電池4に供給される水素や空気を加湿する。
【0033】
図2は本発明の排出燃料希釈器の一実施例を示す一部透視斜視図である。
排出燃料希釈器5は、BOX状の容器であり、この容器は隔壁8によって上下2つの部分に区画され、上方に滞留領域9、下方に希釈領域10が形成される。滞留領域9には、間歇的に行われるパージ時に、前記燃料電池4から排出される水素がパージ水素配管11を通して通流され滞留する。また希釈領域10には、前記燃料電池4(図1)から排出される空気がカソードオフガス(空気)配管12を通して通流される。カソードオフガス(空気)配管12と反対側の下流側の希釈領域10には、排気管13が設けられている。
【0034】
滞留領域9内の水素の流れの上流側の隔壁8には、滞留領域9から希釈領域10へ燃料を通流させる通流部14を設ける。通流部14は全面に亘って多数の孔15を有する。この孔15を通して滞留領域9から希釈領域10へ通流した水素は、希釈領域10内の空気と混合して希釈される。
【0035】
通流部14を形成する部材として、例えばパンチングメタルや、多孔質セラミックス、素焼きの陶磁器などの多孔体がある。パンチングメタルは、打抜金網またはPerforated Metalとも呼ばれ、金属を主体とした素材に対して打抜き加工を行い製造される。セラミックスの素材としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、コージイエライト、ムライト、ゼオライト、チタン酸カリウム、アパタイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素などである。
【0036】
通流部14を形成するこれら多孔体としての性能は、孔の形状、孔径の大きさ、孔径の分布状況によって決まるので、孔15の孔径及び通流部14の有効面積(隔壁8に対する通流部14の面積)を、滞留領域9から希釈領域10に通流する水素がパージと次のパージの間に時間をかけてゆっくり希釈できる大きさに設定する。
【0037】
パージ時に前記燃料電池4(図1)から排出された水素は、パージ水素配管11を通って真直ぐ滞留領域9内を進み、流れが淀むと図2に矢印で示すように、押し出されるようにしてUターンをし、流れの上流側の通流部14を通って希釈領域10へ時間をかけてゆっくり通流する。時間をかけて通流することにより、希釈領域10に入った水素は、前記燃料電池4(図1)から排出されカソードオフガス配管12を通って希釈領域10に入ってくる空気と少しずつ混合して希釈される。このときの水素の希釈濃度は、水素の燃焼可能下限濃度(4%:容量%、以下同様。)以下になるように、前述の孔15の孔径及び通流部14の有効面積を設定する。水素の燃焼可能下限濃度(4%)以下に希釈された水素は排気管13から排気される。
【0038】
通流部14の有効面積は、隔壁8に対する開口部を有する通流部の面積が最初の1/2よりは1/4、1/4よりは1/8の方が、滞留領域9から希釈領域10に通流する水素がパージと次のパージの間に時間をかけてよりゆっくり通流し、希釈することができる。
【0039】
希釈領域10の排気管13の入り口に、火炎抑制手段としての逆火防止フィルタ16や金網を設ける。このような逆火防止フィルタ16は、希釈領域10に臨むカソードオフガス配管12および/または滞留領域9に臨むパージ水素配管11にも設ける。
【0040】
この逆火防止フィルタ16によって、希釈領域10の排気管13から排気された希釈された水素が万一燃焼を起こしても消炎されるので、滞留領域9および/または希釈領域10に燃焼が伝播することがない。さらにカソードオフガス配管12および/またはパージ水素配管11を通してより上流側に燃焼が伝播する心配もない。
【0041】
図3(a)および図3(b)は排出燃料希釈器の別実施例を示す断面図である。
この別実施例の排出燃料希釈器20は、消音器21の周囲を取り囲むように水素チャンバー22を形成した構成である。水素チャンバー22内は、パージ水素配管23から入ってくる水素の滞留領域24となる。消音器21は、例えば所定の開口率を備えた多孔板を所定のピッチで配置した構成であり、前記燃料電池4(図1)からカソードオフガス配管25を通って空気を排出する際に発生する音を消音させる。また、消音器21内は滞留領域24からの水素と空気を混合させる希釈領域26を兼ねる。消音器21が希釈領域を兼ねることにより、省スペース化を図ることができ、燃料電池システムをコンパクトに形成することができる。消音器21のカソードオフガス配管25に近い側の壁には通流部27が設けられ、孔28が形成されている。またパージ水素配管23およびカソードオフガス配管25と反対側の水素チャンバーの壁には、排気管29が設けられている。
【0042】
パージ時に前記燃料電池4(図1)から排出された水素は、パージ水素配管23を通って真直ぐ滞留領域24内を進み、図3に矢印で示すように上流側の通流部14を通って消音器21内の希釈領域26へ時間をかけてゆっくり通流する。時間をかけて通流することにより、希釈領域26に入った水素は、前記燃料電池4(図1)から排出されカソードオフガス配管25を通って希釈領域26に入ってくる空気と少しずつ混合して希釈され、排気管29から排気される。
通流部27の位置は、(a)のように希釈領域26の側面に設けるほか、水素の拡散状態や通流速度などに応じて(b)のように希釈領域26の上面に設けても、また好適である。
パージ水素配管23からの水素には水分が多く含まれるため、水素チャンバー22の内壁で結露する場合が有るが、希釈領域26の側部孔30から希釈領域26内に入り空気とともに系外に排出される。
【0043】
図4はパージ総量と水素チャンバーの容積との関係を示す図である。
図において、希釈領域26の容積を前記燃料電池4(図1)の最大出力時のパージ量以上の大きさにし、全てのパージに対応できるように設定する。同様に滞留領域24についても、その容積を前記燃料電池4(図1)の最大出力時のパージ量以上の大きさにし、全てのパージに対応できるように設定する。
【0044】
図5は本発明の排出燃料希釈器による作用を説明する図である。
図5(a)は車両を運転している通常の状態を示し、前記燃料電池4(図1)から排出された空気が希釈領域10を通って排気管13から排気される。
【0045】
図5(b)は水素をパージした瞬間の状態を示し、パージは車両運行中に一定の間隔で間歇的に作動する。前記燃料電池4(図1)から排出された水素は、滞留領域9に一度溜められる。滞留領域9の水素が所定圧になると、押し出されるようにしてカソードオフガスの上流側の通流部14の孔15から少しずつゆっくりと水素が希釈領域に送られる。この間も前記燃料電池4(図1)から空気が排出され、希釈領域10を通って排気管13から排気されている。
【0046】
図5(c)はパージと次のパージの間に、滞留領域9内の水素がゆっくりと通流部14を通って希釈領域10内に拡散していく状態を示す。水素は希釈領域10内の空気と混合して希釈され、水素の燃焼可能下限濃度(4%)以下の安全な濃度に希釈されて、排気管13から排気される。
【0047】
図6は均等希釈のイメージを示す図である。
この図は、水素の燃焼可能下限濃度(4%)以下の安全な濃度に希釈された水素が、前記排気管13(図5)から排気されるときの排気管13(図5)出口での濃度の推移を示すものである。水素の濃度は、パージから次のパージの間まで連続して排気されているが、この間水素の濃度は略均等の状態で排気される。
このようにパージ水素を滞留領域に一旦溜めてから、次のパージまで希釈領域内の空気で均等に希釈することができれば、水素の燃焼可能下限濃度(4%)よりもずっと希釈された安全な水素濃度にすることができる。
【0048】
図7は均等希釈ができた場合の排出燃料希釈器出口での水素の濃度を示す図である。
この図によれば燃料電池によって発電された電流が最も低い例えば10Aのときでも、水素濃度は水素の燃焼可能下限濃度(4%)よりも低い約2%である。電流が高くなればさらに水素濃度を1%以下にすることができることを示している。
【0049】
次に図8を参照して本発明に係る排出燃料希釈式燃料電池システムについて実施の形態を説明する。
この排出燃料希釈式燃料電池システム40は、燃料である水素と空気を供給されて発電を行う燃料電池41と、燃料電池41から排出される燃料を、供給される前記水素と混合する燃料循環流路42と、燃料循環流路42に設けられ、水素を一時的に燃料循環流路42外に排出するパージ流路43と、排出燃料希釈器44とを有する。またパージ水素の放出時に、空気(酸素)の不足を補うように、燃料電池41を通らずに空気をエアコンプレッサ45から供給するバイパスシステムを設けた。このバイパスシステムは、任意に開閉できるバイパス弁46を備える。また、50は燃料電池41から排出される空気を確実に排出させ、逆流を止めるための一方向弁である。
【0050】
この排出燃料希釈式燃料電池システム40によれば、パージ水素はパージ流路43から排出燃料希釈器44の滞留領域47に排出されて滞留する。一方、燃料電池41から排出された空気は一方向弁50を通り、希釈ガスとして排出燃料希釈器44の希釈領域48に通流される。滞留領域47内の水素は通流部49を通って希釈領域48に入り、空気(酸素)と混合して水素の燃焼可能下限濃度(4%)以下に希釈され、排気される。なお、燃料電池41から排出された空気の量が希釈ガスの量としてが充分でない場合はエアコンプレッサ45からバイパス弁46を通って供給される空気(酸素)が補充される。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る排出燃料希釈器では、パージ時に燃料電池から排出された燃料は滞留領域に入り、所定圧になると通流部を通って希釈領域に入り、燃料電池から希釈領域に排出された空気と混合し、希釈した上で排気されるので、燃料の燃焼可能下限濃度以下の濃度に希釈して排気することができ、外部に火種(裸火)があっても引火して燃焼する虞がない。
【0052】
また、本発明に係る排出燃料希釈器では、水素のような空気よりも軽い気体を燃料とした場合、燃料電池から排出された燃料は滞留領域に入ってからここに留まり、滞留領域内で充分拡散するまで下方にある希釈領域に通流しないので、希釈領域内の空気と時間をかけてゆっくりと混合することとなり、水素の燃焼可能下限濃度以下の濃度に希釈し易くなる。
【0053】
また、本発明に係る排出燃料希釈器では、消音器が希釈領域を兼ねることとなるので、省スペース化を図ることができ、燃料電池システムをコンパクトに形成することができる。
【0054】
また、本発明に係る排出燃料希釈器では、希釈領域から排出された燃料が万一燃焼しても、滞留領域および/または希釈領域に設けられた火炎抑制手段によって、滞留領域および/または希釈領域に燃焼が伝播することがないので、確実に運転できる。
【0055】
また、本発明に係る排出燃料希釈器では、燃料電池から排出された燃料は滞留領域の上流から下流に向かって通流してしばらく滞留し、滞留領域内に燃料が行きわたってからUターンして流れの上流側の通流部から希釈領域に通流するので、希釈領域内の空気と時間をかけてゆっくりと混合されることとなり、燃料の燃焼可能下限濃度以下の濃度に希釈し易くなる。
【0056】
また、本発明に係る排出燃料希釈器では、燃料電池の最大出力時の燃料のパージ量は最大量になるが、これら全てのパージ燃料が滞留領域に滞留したのち希釈領域に通流して希釈されるので、どのようなパージ量のときでも燃料を安定して希釈することができ、希釈濃度のバラツキがない。
【0059】
また、本発明に係る排出燃料希釈式燃料電池システムでは、パージ時に燃料電池から排出された燃料は燃料循環流路を通って燃料希釈器に入り、燃料電池から排出された空気と混合して希釈されパージ流路を通って排気されるので、燃料の燃焼可能下限濃度以下の濃度に希釈して排気することができる。
【0060】
また、本発明に係る排出燃料希釈式燃料電池システムでは、パージ燃料を希釈すべき空気が常に補充されてパージ燃料を希釈するので、燃料電池から排出される空気が充分でない場合でも、燃料を常に安定して供給して一定の希釈濃度に希釈することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池搭載型電気自動車における本発明に係る排出燃料希釈器を含む燃料電池システムボックスのレイアウトを示す図である。
【図2】本発明の排出燃料希釈器の一実施例を示す一部透視斜視図である。
【図3】排出燃料希釈器の別実施例を示す断面図である。
【図4】パージ総量と水素チャンバーの容積との関係を示す図である。
【図5】本発明の排出燃料希釈器による作用を説明する図である。
【図6】均等希釈のイメージを示す図である。
【図7】均等希釈ができた場合の排出燃料希釈器出口での水素の濃度を示す図である。
【図8】本発明に係る排出燃料希釈式燃料電池システムを示す図である。
【図9】水素の最高到達濃度を示す図である。
【図10】水素濃度の推移イメージを示す図である。
【符号の説明】
1 :燃料電池搭載型電気自動車
2 :燃料電池システムボックス
4,41 :燃料電池
5,20,44 :排出燃料希釈器
8 :隔壁
9,24,47 :滞留領域
10,26,48 :希釈領域
11,23 :パージ水素配管
13,29 :排気管
14,27,49 :通流部
15,28 :孔
16 :逆火防止フィルタ
21 :消音器
22 :水素チャンバー
40 :排出燃料希釈式燃料電池システム
42 :燃料循環流路
43 :パージ流路
45 :エアコンプレッサ
46 :バイパス弁
50 :一方向弁
Claims (7)
- 燃料極のパージ時に燃料電池から排出される燃料を滞留させる所定容積の滞留領域と、
前記燃料電池から排出される空気を通流させるとともに、該空気に前記滞留領域からの前記燃料を混合させて希釈する所定容積の希釈領域と、
前記滞留領域から前記希釈領域へ前記燃料を通流させる通流部と、
を備え、
前記滞留領域は前記希釈領域よりも上方に配置され、
前記燃料を前記滞留領域に溜めた後に、前記滞留領域に溜まった燃料が所定圧になると、押し出されるようにして前記燃料が希釈領域に送られることを特徴とする排出燃料希釈器。 - 前記希釈領域を、前記空気の排出時に発生する音を消失させる消音器と一体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の排出燃料希釈器。
- 前記滞留領域および/または前記希釈領域に、火炎抑制手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排出燃料希釈器。
- 前記通流部を、前記滞留領域内のうち前記燃料の流れに対し上流方向に設けたことを特徴とする請求項1、乃至請求項3の何れか1項に記載の排出燃料希釈器。
- 前記滞留領域の容積を前記燃料電池の最大出力時のパージ量以上としたことを特徴とする請求項1、乃至請求項4の何れか1項に記載の排出燃料希釈器。
- 燃料と空気とを供給されて発電を行う燃料電池と、
該燃料電池から排出される燃料を、供給される前記燃料と混合する燃料循環流路と、
該燃料循環流路に設けられ、前記燃料を一時的に前記燃料循環流路外に排出するパージ流路と、を備え、
前記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の前記排出燃料希釈器を有することを
特徴とする排出燃料希釈式燃料電池システム。 - パージ燃料の放出時に、前記空気の不足を補う空気をエアコンプレッサから供給するバイパスシステムを設けたことを特徴とする請求項6に記載の排出燃料希釈式燃料電池システム。
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