JP3871230B2 - 農薬粒状組成物及び散布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水田あるいは貯水池等に直接散布する農薬粒状組成物に関し、さらに詳しくは、省力散布が可能であり、且つ、風による吹き寄せが無く、農薬活性成分の拡散性が極めて良好であり、水和性を有する農薬粒状組成物及びその散布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水田で用いられる農薬製剤は、粒剤、粉剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤が一般的である。
これらの農薬製剤のなかで粒剤及び粉剤は、通常10アール当たり3〜4kgを水に希釈しないで直接散布されてきたが、近年、農薬散布の省力化が叫ばれており、これに対応するために、製剤中の農薬活性成分含有量を高めて製剤としての散布量を低減することや、あるいは水田に入らずに畦畔から投げ込むだけで散布可能な農薬製剤が検討されている。これらの製剤は同時に、局部的な土壌残留がないこと、及び水中における農薬活性成分の良好な拡散性が要求される。
これらの要求に対して種々の農薬製剤が検討され、その技術が公開されているが、全ての要求を満たす農薬製剤は得られておらず、特に、いかなる条件下でも水中における農薬活性成分の良好な拡散性が得られる農薬製剤は確立されていない。
【0003】
農薬製剤の省力散布あるいは土壌残留量軽減を目的として、水面浮遊性粒剤の検討が数多くなされてきた。例えば、農薬活性成分を比重が1以下のロウ状物質に溶解あるいは分散し、水溶性増量剤に被覆あるいは含有させた粒剤(特開昭55−154902、特開昭56−30901、特開平7−101805)、48メッシュ以下の鉱物質粒状担体に農薬活性成分と撥水性物質を担持させた粒状農薬製剤(特開昭48−56831)、比重1以下で粒径5mm以下の中空体に農薬活性成分を担持し成形した組成物(特開昭58−65203)、カーバメート系農薬活性成分を水に対する分配係数が102 以上の有機化合物と混合し、水浮遊性担体に撥水性物質とともに担持させた組成物(特開平2−174702)が開示されているが、農薬活性成分を含んだ粒状物が長時間水面に浮遊するため、風による吹き寄せにより農薬活性成分の濃度むらによる薬効不足や薬害の発生原因となることがある。
また、水面浮遊性と水面拡展性を付与させた農薬粒状組成物も数多く検討されている。例えば、農薬活性成分と特定の界面活性剤、ベントナイト、水浮遊性中空粒子を含有する組成物(特開平7−82102)、農薬活性成分と比重が1以下の粉末基剤、特定の性質を有する界面活性剤を含有する組成物(特開平7−233002)、農薬活性成分と250μm以下のガラス質中空体と特定の界面活性剤を含有する組成物(特開平6−345603)、水中で分散する粒剤を撥水剤及び拡展剤で被覆したものを水溶性フィルムに包んだ組成物(特開平5−194104、特開平5−194105)、農薬活性成分と焼成バーミキュライトあるいは発泡パーライト、発泡シラス、コルク及びアセチレン系界面活性剤を含有する製剤を水溶性フィルムに包んだ組成物(特開平6−336403)が開示されているが、これらの製剤の水面拡展性は十分なものではなく、薬害の発生や薬効変動をきたす。特に農薬活性成分含量の多い製剤を調製し省力散布を目的として局所散布を行った場合は、散布場所付近の薬剤濃度はさらに高くなり、薬害の程度は大きく、また、稲体の株元に付着した場合の薬害の程度は大きいものとなる。
【0004】
一般に、良好な水和性を有する粒状組成物は粒剤と比べて、農薬活性成分の含量が多く、また、水に投入した際、短時間に全ての成分が単粒子にまで分散する農薬製剤であるが、この様な製剤を水に希釈して散布するのではなく、水田や貯水池等に直接散布した場合、粒剤の様に水底で崩壊分散するため、農薬活性成分含量の多い製剤であるが故に土壌残留量が多くなり、薬害の原因となる。また、以上の様な水面浮遊及び拡散性付与に関する技術を水田等に直接散布する粒状組成物に用いた場合、農薬活性成分含量の多い製剤であるが故の問題が生じる。即ち、高濃度の粒状物が水面に長時間浮遊するため、風による吹き寄せがあり、薬害の発生や薬効変動をきたすこととなる。
一方、農薬活性成分と、水溶性担体、該水溶性担体の水溶解速度より遅い水溶解速度を有するフィルム形成物質を含有する水面浮遊性農薬粒状組成物が提案されているが(特開昭60−142901)、この製剤が水面に浮上するためには、水溶性担体より水溶解速度が遅いフィルム形成物質中に気泡が保持されなくてはならず、水に投入し水底から浮上する間に組成物が崩壊分散しないことが必須条件である。しかし、この技術を用いて農薬活性成分含量の多い製剤を調製した場合は、水面で組成物が崩壊分散しなかったり、崩壊分散に要する時間が非常に長くなるため、風による吹き寄せの問題が生じる。逆に、崩壊分散を良好にさせる目的で界面活性剤を配合した場合、水面に浮上する前に粒状物が崩壊分散し、気泡を保持することができないため、水面に浮上することができず、土壌残留の問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら従来の粒剤組成物の問題点を解決するものである。即ち、農薬活性成分の土壌残留の回避、風による粒状組成物の吹き寄せの回避、優れた農薬活性成分の拡展性、省力散布を同時に達成する良好な水和性を有する農薬粒状組成物を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、農薬活性成分と分子量が50万〜600万のポリアクリル酸ナトリウム、1%水溶液の表面張力が50dyne/ cm 以上である、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤、及び比重が1以下で粒径が10μm〜600μmである中空体水浮遊性担体を含有することを特徴とする比重が1以下の水面拡展性が優れた農薬粒状組成物が前記の課題を解決することができる知見を得、本発明を完成した。
【0007】
本発明の良好な水和性を有する農薬粒状組成物は、水田等に散布した際水面に浮遊し、極めて短時間に各成分が完全に分散し、水面に農薬活性成分の薄膜を形成後、その薄膜から農薬活性成分が水中に懸濁し分散する。
局所的な土壌残留がない製剤を得るためには、粒状物の比重が1以下とし、水に浮く性質を付与させる。そのためには、本発明では比重が1以下で粒径が10μm〜600μmの中空体水浮遊性担体を含有させる。
用いることのできる担体は、独立した1個又は複数個の気泡を有するものであり、例えば、真珠岩や黒曜石よりなるパーライト、シラスよりなる発泡シラス、アルミノシリケート系で焼成してなるフィライト、硅酸ソーダあるいは硼砂を発泡させたマイクロバルーン、軽石、粒状珪藻土、粒状活性炭、木粉、コルク粉、フェノール樹脂よりなるフェノールマイクロバルーン、エポキシ樹脂よりなるエコスフェアー、ポリウレタンよりなるポリウレタンフォーム、ポリアクリロニトリルよりなるマイクロスフェアー等が挙げられるが、少ない含有量でも効果の高い、パーライトあるいは発泡シラス、マイクロスフェアー等の中空体が好適である。担体の粒径は10μm〜600μmのものが使用できるが、20μm〜300μmのものが特に好ましい。本発明においては、これらの中空体水浮遊性担体を組成物100重量部に対して1重量部〜40重量部含有させる。
【0008】
本発明の粒状組成物において、分子量が50万〜600万のポリアクリル酸ナトリウムを配合することが必須である。分子量が50万〜600万のポリアクリル酸ナトリウムを用いないで粒状組成物を調製した場合、組成物は水面で崩壊分散すると同時に懸濁し、水底に沈降するため、水深が浅い水田等では薬剤濃度が局所的に高くなり、薬害の原因となる。分子量が50万〜600万のポリアクリル酸ナトリウムがこの現象を防ぐことは全く新しい知見である。組成物が水面で崩壊分散した後、水面に農薬活性成分の薄膜を形成し水面の全体に広がるため、多量の農薬活性成分が一箇所に沈降することはない。また、農薬活性成分の薄膜は風で吹き寄せられても反転流にのって風上に移動するため、成分が部分的に高くなることはない。農薬活性成分の薄膜は数時間水面上に存在し、その後水中に懸濁する。薄膜の形成は、薬剤成分が水田等に均一に拡散する上で非常に有利であり、局所散布による省力散布を可能にする。なお、本発明におけるポリアクリル酸ナトリウムの効果は、比重が1以下となる粒状組成物とした時、さらに詳しくは前述した中空体水浮遊性担体を含有させた時始めて得られるものである。ポリアクリル酸ナトリウムの分子量が600万より大である場合には本発明の粒状組成物の拡展性は低下し、また分子量が50万より小である場合には薄膜形成性が低下する。本発明に用いることのできるポリアクリル酸ナトリウムの分子量は50万〜600万であるが、望ましくは100万〜500万である。配合量は、本発明の粒状組成物100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。
【0009】
本発明においては、粒状組成物を水に投入した際の崩壊分散、及び、水面における農薬活性成分の薄膜形成、水面に形成された農薬活性成分の薄膜を水中へ懸濁させるために、界面活性剤を配合する。用いることのできる界面活性剤は、農薬活性成分の種類によって異なるが、例えば、ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビンタンモノアルキレート等のノニオン性界面活性剤、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤等を挙げることができる。また、これらの界面活性剤は単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0010】
これらの界面活性剤と前述した分子量が50万〜600万のポリアクリル酸ナトリウムとを比重が1以下の粒状組成物に配合すると、比較的均一に処理した場合は水面に農薬活性成分の薄膜が形成するが、粒状組成物を局所的に処理する場合は、部分的に非常に多い薬剤量が散布されることとなり、水面に農薬活性成分の薄膜が一部形成されるが、大部分は粒が崩壊すると同時に水中に懸濁する。この様な条件の下でも農薬活性成分が水中に懸濁しないで水面に薄膜を形成するには、表面張力が50dyne/cm以上(1%水溶液)の界面活性剤を含有させる。表面張力が50dyne/cm以上(1%水溶液)の界面活性剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物(55〜70dyne/cm)、リグニンスルホン酸塩(60〜70dyne/cm)、アクリル酸とイタコン酸の共重合物あるいはメタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸とスチレンの共重合物、マレイン酸とジイソブチレンの共重合物及びこれらのアルカリ金属塩よりなるポリカルボン酸型高分子活性剤(55〜65dyne/cm)、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(50〜60dyne/cm)、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(50〜60dyne/cm)、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル塩(50〜60dyne/cm)を挙げることができる。これらの界面活性剤は単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。また、これらの界面活性剤は表面張力が50dyne/cm以上(1%水溶液)となる界面活性剤と併用して用いることもできる。
以上の界面活性剤の配合割合は、組成物100重量部に対して、通常、0.1重量部〜30重量部、好ましくは0.5重量部〜20重量部、さらに好ましくは2重量部〜15重量部である。
【0011】
本発明に用いることのできる農薬活性成分は、一般に農薬として用いられるものであれば特に限定されず、固体あるいは液体状の何れでも用いることができ、また、水に難溶性あるいは易溶性であってもよく、例えば、除草剤、殺菌剤、殺虫剤、植物生長調節剤などが用いられる。とりわけ水面施用において有用な農薬活性成分が好適である。本発明に用いることのできる農薬活性成分は、例えば、除草剤として、2,4−ジクロルフェノキシ酢酸(2,4−D)、2−メチル−4−クロロフェノキシ酪酸(MCPB)、2−メチル−4−クロロフェノキシチオ酢酸−S−エチル(フェノチオール)、α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド(ナプロアニリド)、5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル(ビフェノックス)、S−(4−クロルベンジル)−N,N−ジエチルチオカーバメート(ベンチオカーブ)、S−ベンジル−1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(エスプロカルブ)、S−エチルヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−カーボチオエート(モリネート)、S−1−メチル−1−フェニルエチル−ピペリジン−1−カルボチオアート(ジメピペレート)、O−3−tert−ブチルフェニル−6−メトキシ−2−ピリジル(メチル)チオカルバマート(ピリブチカルブ)、3,4−ジクロロプロピオンアニリド(DCPA)、2−クロロ−2′,6′−ジエチル−N−(ブトキシメチル)アセトアニリド(ブタクロール)、2−クロロ−2′,6′−ジエチル−N−(2−プロポキシエチル)アセトアニリド(プレチラクロール)、(RS)−2−ブロモ−N−(α,α−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチルブチルアミド(ブロモブチド)、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(メフェナセット)、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(ダイムロン)、メチル−α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−O−トルアート(ベンスルフロンメチル)、1−(2−クロロイミダゾ〔1,2−a〕ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)尿素(イマゾスルフロン)、エチル−5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(ピラゾスルフロンエチル)、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(シメトリン)、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン(プロメトリン)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(ジメタメトリン)、2,4−ジクロロフェニル−3′−メトキシ−4′−ニトロフェニルエーテル(クロメトキシニル)、5−tert−ブチル3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン(オキサジアゾン)、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(ピラゾレート)、2−〔4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕アセトフェノン(ピラゾキシフェン)、(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(クロメプロップ)、2−〔4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕−4′−メチルアセトフェノン(ベンゾフェナップ)、S−2−ベンゼンスルホンアミドエチル O,O−ジイソプロピル ホスホロジチオエート(ベンスリイド)、α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−N,N−ジプロピル−p−トルイジン(トリフルラリン)、S−(2−メチル−1−ピペリジル−カルボニルメチル)−O,O−ジ−n−プロピルジチオホスフェート(ピペロホス)、S,S′−ジメチル−2−ジフルオロメチル−4−イソブチル−6−トリフルオロメチルピリジン−3,5−ジカルボチオアート(ジチオピル)、N−(1−エチルプロピル)−3,4−ジメチル−2,6−ジニトロアニリン(ペンディメタリン)、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2′,6′−ジメチルアセトアニリド(テニルクロール)、n−ブチル−(R)−2−〔4−(2−フルオロ−4−シアノフェノキシ)フェノキシ〕プロピオネート(シハロホップブチル)、1−(ジエチルカルバモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルスルフォニル)−1,2,4−トリアゾール(カフェンストロール)、N−{〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕}−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−1H−ピラゾール−5−スルホンアミド(アジムスルフロン)、メチル 2−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)オキシ〕−6−〔(E)−1−(メトキシイミノ)エチル〕ベンゾエイト(ピリミノバックメチル)等、殺菌剤として、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)、テトラクロロイソフタロニトリル(TPN)、4,5,6,7−テトラクロルフタリド(フサライド)、O,O−ジイソプロピル−S−ベンジルチオフォスフェート(IBP)、1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン(チオファネートメチル)、メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンゾイミダゾールカーバメート(ベノミル)、3′−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリド(メプロニル)、α,α,α−トリフルオロ−3′−イソプロポキシ−O−トルアニリド(フルトラニル)、3,4,5,6−テトラクロロ−N−(2,3−ジクロロフェニル)フタルアミド酸(テクロフタラム)、1−(4−クロロベンジル)−1−シクロペンチル−3−フェニル尿素(ペンシクロン)、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン(ジクロメジン)、メチルN−(2−メトキシアセチル)−N−(2,6−キシリル)−DL−アラニナート(メタラキシル)、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン(トリフルミゾール)、カスガマイシン、バリダマイシン、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(プロベナゾール)、ジイソプロピル1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート(イソプロチオラン)、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾール(トリシクラゾール)、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン(ピロキロン)、5−エチル−5,8−ジヒドロ−8−オキソ〔1,3〕ジオキソロ〔4,5−g〕キノリン−7−カルボン酸(オキソリニック酸)、(Z)−2′−メチルアセトフェノン−4,6−ジメチルピリミジン−2−イルヒドラゾン−4,5,6,7−テトラクロロフタリド(フェリムゾン)、3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−イソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−カルボキサミド(イプロジオン)等、殺虫剤として、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート(MEP)、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(ダイアジノン)、1−ナフチル−N−メチルカーバメート(NAC)、O,O−ジエチル−O−キノキサリン−2−イルホスホロチオアート(キナルホス)、O,O−ジエチル−O−(5−フェニル−3−イソキサゾイル)ホスホロチオエート(イソキサチオン)、O,O−ジエチル−O−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエート(ピリダフェンチオン)、O,O−ジメチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート(クロルピリホスメチル)、ジメチル−メチルカルバモイルエチルチオエチルホスホロチオレート(バミドチオン)、ジメチルジカルベトキシエチルジチオホスフェート(マラソン)、O,O−ジメチル−S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェート(ジメトエート)、3−(ジメトキシホスフィニルオキシ)−N−メチル−シス−クロトンアミド(モノクロトホス)、O,O−ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェート(プロパホス)、O,S−ジメチル−N−アセチルホスホロアミドチオエート(アセフェート)、エチル−パラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネート(EPN)、2−セカンダリ−ブチルフェニル−N−メチルカーバメート(BPMC)、3,5−キシリル−N−メチルカーバメート(XMC)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニル−N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマート(カルボスルファン)、エチル N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラニナート(ベンフラカルブ)、S−メチル−N−〔(メチルカルバモイル)オキシ〕チオアセトイミデート(メソミル)、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−H−イリデンアミン(イミダクロプリド)、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル−(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(シクロプロトリン)、2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメート(PHC)、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジル−エーテル(エトフェンプロックス)、1,3−ビス(カルバモイルチオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩(カルタップ)、5−ジメチルアミノ−1,2,3−トリチアンシュウ酸塩(チオシクラム)、S,S′−2−ジメチルアミノトリメチレン−ジ(ベンゼンチオスルホナート)(ベンスルタップ)、2−ターシャリ−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアジン−4−オン(ブプロフェジン)等、植物生長調節剤として、4′−クロロ−2′−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(イナベンフィド)、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(パクロブトラゾール)、(E)−(S)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタ−1−エン−3−オール(ウニコナゾール)等が挙げることができるが、本発明はこれら農薬活性成分に限定されるものではない。また、これらの農薬活性成分は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの農薬活性成分の配合割合の合計は、組成物100重量部に対して、通常、1重量部〜70重量部、好ましくは10重量部〜60重量部である。
【0012】
本発明においてはこれらの構成成分の他に、粉末状撥水性物質、結合剤、増量剤を配合することができる。
粉末状撥水性物質は、粒状組成物製造時に内部に取り込まれた気泡をその周囲に付着させ、組成物に水浮遊性を付与することができるため、比重が1以下で粒径で10μm〜600μmの中空体水浮遊性担体と組み合わせて用いるとより効果的である。用いることができる撥水性物質は、粉末状で且つ水をはじく性質を付与する物質ならば特に限定されず、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、疎水性シリカ等を挙げることができる。また、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸等の高級脂肪酸、シリコーン及びその誘導体、フッ素系界面活性剤、流動パラフィン等の液体の撥水性物質は、吸着能を有する微粉、例えば、ホワイトカーボン、活性炭、珪藻土、アルミナ、ゼオライト、軽石粉、木粉等に吸着させ粉末状として用いることができる。粉末状撥水性物質として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、疎水性シリカ、ホワイトカーボンに吸着させたシリコーンが特に好適である。これらの粉末状撥水性物質の配合割合は、組成物100重量部に対して、通常、0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.1重量部〜5重量部である。
【0013】
また、結合剤は農薬粒状組成物に一般的に用いられるもので、水溶性の物質が望ましい。例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、デキストリン、水溶性デンプン、キサンタンガム、グアシードガム、蔗糖、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、平均分子量6000〜200000のポリエチレングリコール等を挙げることができる。これらの結合剤の配合割合は、組成物100重量部に対して、通常、0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.1重量部〜5重量部である。
【0014】
増量剤は水溶性増量剤あるいは非水溶性増量剤を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる。水溶性増量剤は、例えば、硫酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の有機又は無機酸塩類、クエン酸、コハク酸等の有機酸類、蔗糖、ラクトース等の糖類、尿素等を挙げることができる。非水溶性増量剤は一般的には鉱物質微粉が用いられ、例えば、クレー類、炭酸カルシウム、ベントナイト、タルク、珪藻土、ホワイトカーボン等を挙げることができる。これら増量剤の配合割合は、組成物100重量部に対して、通常、5重量部〜80重量部、好ましくは10重量部〜60重量部である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の粒状組成物は、農薬活性成分と分子量が50万〜600万のポリアクリル酸ナトリウム、1%水溶液の表面張力が50dyne/ cm 以上である、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤、及び比重が1以下で粒径が10μm〜600μmである中空体水浮遊性担体、さらに必要に応じて粉末状撥水性物質、結合剤、増量剤等を均一に混合後、造粒して得られる。ここで農薬活性成分は微粉末であることが望ましく、各成分の均一混合に先立ち、予め衝撃式粉砕、高速気流中粉砕等により微粉末とする。この時、比重が1以下で粒径が10μm〜600μmの中空体水浮遊性担体以外の構成成分を配合しておいてもよい。押し出し式造粒機により造粒する場合は、微粉末とした農薬活性成分とその他の成分を、通常用いられる混合機、例えば、リボンブレンダーやV型混合機、ナウタミキサー等により均一に混合した後、適量の水を加えてニーダーあるいは高速攪拌機等の装置内で混練後、細孔を開けたプレートから押し出して造粒する。造粒物は乾燥し本発明の粒状組成物とする。また、攪拌式造粒機あるいは流動層造粒機、転動式造粒機を用いて造粒する場合は、該混合機を用いてあるいは造粒機内部で各成分を均一に混合した後、水を噴霧しながら機械的な運動を与えて造粒する。得られた造粒物は乾燥して本発明の粒状組成物とする。また、乾式造粒する場合は、前出の混合機を用いて各成分を混合した後、型枠の中に入れ圧力をかけて成形するか、あるいは混合物に圧力をかけて板状とし、それを壊砕し篩分けして水和性の粒状組成物を得る。この様にして得られた本発明の粒状組成物は、直径が0.3mm〜10mmで長さが0.3mm〜20mmの円柱状か、直径が0.1mm〜10mmの球状あるいは同じ長さの不定形で、1個当たりの重量が5g以下の粒状物である。
【0016】
本発明の農薬粒状組成物は、水に希釈することなく直接人の手により、あるいは散粒機、動力散布機、空中散布により、水田、貯水池等に均一に、あるいは、水田、貯水池等の周囲に沿って筋状に、あるいは1箇所〜数箇所にまとめて散布して用いる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれら例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部は重量部を表す。
【0018】
実施例1
ベンスルフロンメチル1.02部、メフェナセット20部、ダイムロン9部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:53.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(同)3部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、尿素12.98部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末と、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)2部、発泡シラス(粒径100μm)20部、尿素20部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物の比重は0.8であった。
【0019】
実施例2
ピロキロン40部、マレイン酸とジイソブチレンの共重合物のナトリウム塩であるポリカルボン酸ナトリウム(1%水溶液表面張力:59.0dyne/cm)5部、リグニンスルホン酸ナトリウム(1%水溶液表面張力:67.9dyne/cm)3部、ステアリン酸マグネシウム1部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)1部、硫安31部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた微粉末と発泡シラス(粒径150μm)20部をニーダーに入れ、適量の水を加えて混練、1.5mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.7であった。
【0020】
実施例3
イミダクロプリド30部、マレイン酸とジイソブチレンの共重合物のナトリウム塩であるポリカルボン酸ナトリウム(1%水溶液表面張力:59.0dyne/cm)5部、アルキルアリールスルホン酸塩(1%水溶液表面張力:31.1dyne/cm)3部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量200万〜300万)4部、クレー33部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた微粉末と発泡シラス(粒径100μm)25部を攪拌造粒機に入れ、水を噴霧しながら攪拌し造粒した。得られた粒を乾燥し直接5mmの粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.8であった。
【0021】
実施例4
ベンスルフロンメチル40部、硫安36部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)6部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)6部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)2部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた微粉末に、ステアリン酸カルシウム2部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)2部、マイクロスフェアー(粒径50μm)5部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.6であった。
【0022】
実施例5
ベンスルフロンメチル40部、硫安31部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)6部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)6部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)2部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた微粉末に、シリコーン(東芝シリコーン製、商品名:TSF451−50)1部をホワイトカーボン(同)1部に吸着させた粉末状撥水剤、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)2部、パーライト(三井金属鉱業製、商品名:三井パーライト5号、粒径300μm)10部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.7であった。
【0023】
実施例6
ピリミノバックメチル1.2部、ベンスルフロンメチル2.04部、メフェナセット9部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:53.5dyne/cm)4部をホワイトカーボン(同)4部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、尿素28.76部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末と、発泡シラス(粒径250μm)20部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)2部、炭酸カルシウム20部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.8であった。
【0024】
実施例7
ピリミノバックメチル1.2部、ベンスルフロンメチル2.04部、メフェナセット9部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:56.5dyne/cm)4部をホワイトカーボン(同)4部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、尿素49.76部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末と、ステアリン酸カルシウム2部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)2部、発泡シラス(粒径150μm)10部、蔗糖2部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.7であった。
【0025】
実施例8
ピリミノバックメチル1.2部、ベンスルフロンメチル2.04部、カフェンストロール8.4部、ダイムロン18部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:53.5dyne/cm)4部をホワイトカーボン(同)4部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、尿素40.36部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末と、ステアリン酸カルシウム2部、マイクロスフェアー(粒径100μm)10部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)1部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.6であった。
【0026】
比較例1
ベンスルフロンメチル1.02部、メフェナセット20部、ダイムロン9部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)2部、尿素67.98部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は1.1であった。
【0027】
比較例2
ピロキロン40部、マレイン酸とジイソブチレンの共重合物のナトリウム塩であるポリカルボン酸ナトリウム(1%水溶液表面張力:59.0dyne/cm)5部、リグニンスルホン酸ナトリウム(1%水溶液表面張力:67.9dyne/cm)3部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万〜200万)2部、塩化カリウム49部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた微粉末を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は1.1であった。
【0028】
比較例3
イミダクロプリド30部、マレイン酸とジイソブチレンの共重合物のナトリウム塩であるポリカルボン酸ナトリウム(1%水溶液表面張力:59.0dyne/cm)5部、アルキルアリールスルホン酸塩(1%水溶液表面張力:31.1dyne/cm)3部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量200万〜300万)2部、クレー53部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた微粉末を攪拌造粒機に入れ、水を噴霧しながら攪拌し造粒した。前記のポリカルボン酸ナトリウム2部、前記のアルキルアリールスルホン酸塩1部、疎水性シリカ(日本アエロジル製、商品名:アエロジルR972)4部を均一に混合した微粉末を、得られた粒に被覆し直径5mmの粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は1.2であった。
【0029】
比較例4
ベンスルフロンメチル40部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(1%水溶液表面張力:38.3dyne/cm)6部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)6部に吸着させた界面活性剤、アルキルアリールスルホン酸塩(1%水溶液表面張力:31.1dyne/cm)2部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた微粉末に、蔗糖2部、発泡シラス(粒径150μm)44部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.7であった。
【0030】
比較例5
衝撃式粉砕したベンスルフロンメチル40部を加熱溶融したパラフィン10部に分散し、冷却固化後、硫安40を加えて再び衝撃式粉砕した。得られた粉末とポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)6部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)6部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)2部、蔗糖2部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.9であった。
【0031】
比較例6
ベンスルフロンメチル40部、炭酸カルシウム32部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)6部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)6部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)2部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた微粉末に、シリコーン(東芝シリコーン製、商品名:TSF451−50)1部をホワイトカーボン(同)1部に吸着させた粉末状撥水剤、蔗糖2部、パーライト(三井金属鉱業製、商品名:三井パーライト5号、粒径300μm)10部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.8であった。
【0032】
比較例7
ピリミノバックメチル1.2部、ベンスルフロンメチル2.04部、メフェナセット9部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:53.5dyne/cm)4部をホワイトカーボン(同)4部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、炭酸カルシウム20部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末と、発泡シラス(粒径150μm)20部、蔗糖2部、穂高印ベントナイト28.76部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.7であった。
【0033】
比較例8
ピリミノバックメチル2.4部、ベンスルフロンメチル2.04部、カフェンストロール8.4部、ダイムロン18部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:53.5dyne/cm)4部をホワイトカーボン(同)4部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、尿素11.36部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末と、発泡シラス(粒径150μm)10部、蔗糖2部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.4であった。
【0034】
比較例9
ピリミノバックメチル1.2部、ベンスルフロンメチル2.04部、カフェンストロール8.4部、ダイムロン18部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:53.5dyne/cm)4部をホワイトカーボン(同)4部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、ステアリン酸カルシウム5部、メチルセルロース4部、尿素44.36部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は1.1であった。
【0035】
比較例10
ピリミノバックメチル1.2部、ベンスルフロンメチル2.04部、カフェンストロール8.4部、ダイムロン18部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:53.5dyne/cm)4部をホワイトカーボン(同)4部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、尿素40.36部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末と、ステアリン酸カルシウム2部、マイクロスフェアー(粒径100μm)10部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量5000)1部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記の粒状組成物は比重は0.6であった。
【0036】
比較例11
ピリミノバックメチル1.2部、ベンスルフロンメチル2.04部、カフェンストロール8.4部、ダイムロン18部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(1%水溶液表面張力:50.5dyne/cm)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(1%水溶液表面張力:53.5dyne/cm)4部をホワイトカーボン(同)4部に吸着させた界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(1%水溶液表面張力:67.0dyne/cm)3部、尿素40.36部を均一に混合後、高速気流中粉砕した。得られた微粉末と、ステアリン酸カルシウム2部、マイクロスフェアー(粒径100μm)10部、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量22万)1部を高速攪拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練、1.2mmの細孔より押し出し造粒後、乾燥し粒状組成物を得た。前記粒状組成物は比重は0.6であった。
【0037】
試験例1(水面浮遊性、分散性、薄膜形成性)
実施例1〜8、及び比較例1〜11で得られた粒状組成物0.1gを、水深5cmになる様に水を入れた直径50cm、高さ9cmのガラス製シャーレに均一に散布し、粒状組成物の水面浮遊性を肉眼観察するとともに、散布してから粒状組成物が肉眼的に崩壊分散するまでの時間を測定した。また、水面上の薄膜形成性を肉眼観察した。結果を表1に示す。
表1の評価項目は次のとおりである。
【0038】
【表1】
【0039】
試験例2(拡展性、土壌中濃度)
実施例1、6〜8、及び比較例1、7〜11で得られた粒状組成物4gを、図1に示す水深5cmとした4m×4mの水田の一角(散布地点)に散布し、1時間後と24時間後に散布地点と、水田の対角線の交点(A地点)、散布地点以外の角部(B〜D地点)より水を採取して分析し、理論上農薬活性成分が均一に水に分散した場合の水中濃度を100%とした時の比率を求め、さらに各地点の水中濃度の標準偏差を平均値で割り変動率を算出した。また、24時間後の散布地点の半径20cmの土壌を採取して分析し、理論上農薬活性成分が均一に散布された場合の土壌中の成分濃度を100%とした時の比率を求めた。なお、試験の期間中はD地点からB地点に向って、風速1〜2mの風が吹いていた。結果を表2及び表3に示す。
表中の試験項目は次のとおりである。
表中の拡展性の数値は、1時間/24時間後のデータ。
拡展性(散布地点、A〜D地点)のデータは、理論上農薬活性成分が均一に分散した場合の水中濃度を100%とした時の比率、土壌中濃度は、理論上農薬活性成分が均一に散布され、全量が土壌表面に沈降した場合の成分濃度を100%とした時の比率。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
表2及び表3の説明
表2及び表3記載の拡展性の数値は、農薬活性成分の種類により異なった。表2の本発明区は、水溶解性の高い成分(ベンスルフロンメチル、ピリミノバックメチル)は、散布1時間後あるいは24時間後にほぼ100%の値、即ち、理論上農薬活性成分が均一に分散した場合の値となった。一方、水溶解性の低い成分(ダイムロン、メフェナセット、カフェンストロール)は、散布1時間後は100%に近い値であるが、散布24時間後は水中に分散した成分の一部が沈降するため散布1時間後よりも低い値となった。成分の均一性の指標となる変動率は、農薬活性成分の水溶解性あるいは散布後の経過時間によらず低い値であり、即ち、成分は均一であった。また、散布24時間後では、農薬活性成分の多くは水中に分散した状態にあるため、薬剤を散布した際、農薬活性成分濃度が最も高くなる薬剤散布地点においても、土壌中濃度は理論濃度よりも低い値となった。
以上の結果に対し、表3の比較例区は変動率が高く、成分の均一性が劣り、特に水溶解性の低い成分が劣った。また、水面浮遊性が劣る比較例1は土壌中濃度が高く、さらに、水面浮遊性は良好であるが薄膜形成性が劣る比較例7〜11についても、粒が崩壊すると同時に農薬活性成分が懸濁し沈降するため、土壌中濃度が高かった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の農薬粒状組成物は、表1、表2及び表3に示すように水に投入すると水面で短時間に崩壊分散し、水面に農薬活性成分の薄膜を形成し、時間の経過とともに水中に懸濁するため、風による吹き寄せ現象は全くなく、極端な局所散布を行った場合でも均一な薬剤処理が可能である。しかし、農薬活性成分含量の多い製剤化が可能であり、成分の拡散性が極めて優れているため、薬害の心配はなく省力散布が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】拡展性、土壌中濃度試験に用いた水田の概要平面図である。
Claims (4)
- 農薬活性成分と分子量が50万〜600万のポリアクリル酸ナトリウム、1%水溶液の表面張力が50dyne/ cm 以上である、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤、及び比重が1以下で粒径が10μm〜600μmである中空体水浮遊性担体を含有することを特徴とする比重が1以下の水面拡展性が優れた農薬粒状組成物。
- 分子量が50万〜600万のポリアクリル酸ナトリウムの配合量が0.1〜10%である請求項1に記載の農薬粒状組成物。
- 界面活性剤として、ナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物、リグニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル塩より選ばれる1種あるいは2種以上の化合物を含有する請求項1又は2に記載の農薬粒状組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の農薬粒状組成物を直接水田に散布する農薬粒状組成物の散布方法。
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