JP4318057B2 - 水面施用農薬組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は常温で固体の農薬活性成分、中空有機粉末、固体担体及び補助剤を均一に混合及び成形してなる水面施用農薬組成物及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは農薬製剤が水田に施用された時に粉末状の農薬活性成分が浮遊性基剤とともに水面に効率良く浮上、拡展することにより、高い防除効果と低い土壌残留性を発現せしめ得るように調製された水面施用農薬組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より農薬活性成分をより効率的に作用させる方法として浮遊性農薬粒剤の提案がなされており、例えば
▲1▼.軽石等の水に浮く担体に活性成分を保持せしめ、必要に応じて撥水剤を処理して粒剤自体を浮遊させる方法(特公昭44−8600号公報、同47−1240号公報、同48−1181号公報、同48−1182号公報、特開昭55−139308号公報及び同58−65203号公報)、
▲2▼.ロウ状物質に溶解又は分散させた農薬活性成分を水溶性担体に担持せしめる方法(特開昭57−38702号公報、同56−30901号公報)、
▲3▼.難水溶性又は非水溶性農薬成分を、水溶性担体とフィルム形成物質よりなる固体担体に担持せしめる方法(特開昭60−142901号公報)、
▲4▼.比重が1以下の高沸点溶剤に活性成分を溶解又は分散して固体担体に担持せしめる方法(特開昭63−17802号公報)、
【0003】
▲5▼.H.L.Bが6以下の界面活性剤を含む比重が1以下の高沸点溶剤に活性成分を溶解又は分散して固体担体に担持せしめる方法(特開平1−254604号公報)、
▲6▼.比重が1以下の油類に活性成分を溶解又は分散して固体担体に担持せしめ、水面に油膜を形成させる方法(特開平3−193705号公報)、
▲7▼.固体ロウ状物質及び水溶性担体よりなる固体担体に有効成分を担持せしめる方法(特開平7−101805号公報)、
等が開示されている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
しかし、これらの方法は農薬活性成分の水中への拡散溶出促進又は土壌吸着を軽減することで農薬活性成分の有効利用を図るものであるが、実用場面で不十分であるとともに製造場面でも複雑な操作を必要とする。
即ち、▲1▼の方法では吸油能は十分あるが、粒剤自体を軽くしてあるために散布時に風等の影響を受けやすく散布後に水面に浮遊している粒剤が風によって一方に吹き寄せられる短所がある。又、固体活性成分は適当な溶剤に溶解して粒基剤に含浸させなければならない。
▲2▼の方法は、活性成分をロウ状物質とともに水面に浮遊させて効果的に作用せしめる方法であるが、ロウ状物質との親和性を有する固体の活性成分に限定され、製造上の制約をうける。
▲3▼の方法は、水溶性担体とフィルム形成物質を用いることで、液状活性成分を水面に浮遊せしめるものであるが、液状活性成分の担持量が少なく、利用できる活性成分に制限がある。
【0005】
▲4▼、▲5▼及び▲6▼の方法は、比重が1以下の高沸点溶剤として高級アルコール類、脂肪酸エステル類、シリコーン油類及び鉱物油類を使用しているが、これらの溶剤の溶解力は乏しく、溶解できる活性成分に制限がある。
▲7▼の方法は、粉末状の農薬活性成分が固体ロウ状物質粉末とともに水面に浮上し、拡展する優れた方法であるが、固体ロウ状物質は製剤の成形工程で粉末の融合を起こすため、難度の高い温度管理を必要とすること、及び過酷な保存条件下で同様に固体ロウ状物質の融合を起こす。
農薬活性成分を水面に浮遊・拡散させて効果的に作用せしめることは、水面施用農薬組成物に付与する特徴として極めて望ましいものであるが、従来技術では、利用できる活性成分の物性や量に制限があったり、溶剤への溶解工程を必要としたり、高度な製造工程管理を必要とする等の課題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、従来の公知技術からは予想できない優れた効果を発揮し、簡便な製造方法で得られる水面施用農薬組成物及びその製造方法を見いだしたものである。
本発明は常温で固体の農薬活性成分、中空有機粉末、固体担体及び補助剤を均一に混合し、湿式造粒又は圧縮成形した水面施用農薬組成物に関するものであり、浮遊基剤への農薬活性成分の含浸又はそれらの相溶等の工程を必要とせず、混合及び成形のみの工程で、且つ容易な工程管理で製造することができる。更に中空有機粉末を使用することにより、容易に水面施用農薬組成物中に多量の空隙を形成させることができ、この空隙により高い浮遊性を確保し、農薬活性成分が効果的に水面浮遊・拡展する水面施用農薬組成物及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
本発明で使用する常温で固体の農薬活性成分としては、例えば
(1).α,α,α−トリフルオロ−3’−イソプロポキシ−o−トルアニリド(一般名:フルトラニル、以下化合物1という)。
(2).3’−イソプロポキシ−o−トルアニリド(一般名:メプロニル、以下化合物2という)。
(3).1−(4−クロロベンジル)−1−シクロペンチル−3−フェニルウレア(一般名:ペンシクロン、以下化合物3という)。
(4).6−(3,5−ジクロロフェニル−p−トリル)ピリダジン−3(2H)−オン(一般名:ジクロメジン、以下化合物4という)。
(5).ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデンマロネート(一般名:イソプロチオラン、以下化合物5という)。
(6).3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソキサゾール−1,1−ジオキシド(一般名:プロベナゾール、以下化合物6という)。
【0008】
(7).1,2,5,6−テトラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン(一般名:ピロキロン、以下化合物7という)。
(8).5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕〔1,3〕ベンゾチアゾール(一般名:トリシクラゾール、以下化合物8という)。
(9).4,5,6,7−テトラクロロフサライド(一般名:フサライド、以下化合物9という)。
等の殺菌剤、
(10).1−ナフチルメチルカーバメート(一般名:NCA、以下化合物10という)。
(11)2−イソプロピルフェニルメチルカーバメート(一般名:MIPC:以下化合物11という)。
(12).2−セカンダリーブチルフェニルメチルカーバメート(一般名:BPMC:以下化合物12という)。
【0009】
(13).2−イソプロポキシフェニルメチルカーバメート(一般名:PHC、以下化合物13という)。
(14).3,4−キシリルメチルカーバメート(一般名:MPMC、以下化合物14という)。
(15).S,S’−(2−ジメチルアミノトリメチレン)ビス(チオカーバート)(一般名:カルタップ、以下化合物15という)。
(16).(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(一般名:シクロプロトリン、以下化合物16という)。
(17).2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル(一般名:エトフェンプロックス、以下化合物17という)。
(18).N,N−ジメチル−1,2,3−トリチアン−5−イルアミン(一般名:チオシクラム、以下化合物18という)。
【0010】
(19).S,S’−2−ジメチルアミノトリメチレンジ−ベンゼンチオスルホナート(一般名:ベンスルタップ、以下化合物19という)。
(20)2−ターシャリーブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5−チアジアジン−4−オン(一般名:ブプロフェジン、以下化合物20という)。
等の殺虫剤、
(21).o−3−ターシャリーブチルフェニル−6−メトキシ−2−ピリジル(メチル)チオカーバメート(一般名:ピリブチカルブ、以下化合物21という)。
(22).1−(1−メチル−1−フェニルエチル)−3−p−トリルウレア(一般名:ダイムロン、以下化合物22という)。
(23).1−(2−クロロベンジル)−3−(α,α−ジメチルベンジル)ウレア(コード名:JC−940、以下化合物23という)。
(24).2−ブロモ−N−(α,α−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチルブチルアミド(一般名:ブロモブチド、以下化合物24という)。
【0011】
(25).2−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ)−N−メチルアセトアニリド(一般名:メフェナセット、以下化合物25という)。
(26).N−〔2’−(3’−メトキシ)チエニルメチル〕−N−クロロアセト−2,6−ジメチルアニリド(一般名:テニルクロール、以下化合物26という)。
(27).2−(2−ナフチルオキシ)プロピオンアニリド(一般名:ナプロアニリド、以下化合物27という)。
(28).(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(一般名:クロメプロップ、以下化合物28という)。
(29).4−(4−クロロ−o−トリルオキシ)ブチリックアッシド(一般名:MCPB、以下化合物29という)及びそのエステル類。
(30).S−エチル−4−クロロ−o−トリルオキシチオアセテート(一般名:フェノチオール、以下化合物30という)。
(31).4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルトルエン−4−スルホネート(一般名:ピラゾレート、以下化合物31という)。
【0012】
(32).2−〔4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕アセトフェノン(一般名:ピラゾキシフェン、以下化合物32という)。
(33).2−〔4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕−4’−メチルアセトフェノン(一般名:ベンゾフェナップ、以下化合物33という)。
(34).N2 −N4 −ジエチル−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(一般名:シメトリン、以下化合物34という)。
(35).N2 −N4 −ジイソプロピル−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(一般名:プロメトリン、以下化合物35という)。
(36).N2 −(1,2−ジメチルプロピル)−N4 −エチル−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(一般名:ジメタメトリン、以下化合物36という)。
(37).4−ニトロフェニル−2,4,6−トリクロロフェニルエーテル(一般名:クロルニトロフェン、以下化合物37という)。
【0013】
(38).5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロアニソール(一般名:クロメトキシフェン、以下化合物38という)。
(39).メチル−5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロベンゾエート(一般名:ビフェノックス、以下化合物39という)。
(40).2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノン(一般名:キノクラミン、以下化合物40という)。
(41).S−2−ベンゼンスルホンアミドエチル−O,O−ジイソプロピル−ホスホロジチオエート(一般名:ベンスライド、以下化合物41という)。
(42).N−(1−エチルプロピル)−2,6−ジニトロ−3,4−キシリジン(一般名:ペンディメタリン、以下化合物42という)。
(43).メチル−α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−O−トルアート(一般名:ベンスルフロンメチル、以下化合物43という)。
(44).5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボン酸エチル(一般名:ピラゾスルフロンエチル、以下化合物44という)。
【0014】
(45).3−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリジン−2−イル)−1−〔2−(2−メトキシエトキシ)フェニルスルホニル〕ウレア(一般名:シノスルフロン、以下化合物45という)。
(46).1−(2−クロロイミダゾ〔1,2−a〕ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシ−2−ピリミジニル)ウレア(コード名:TH−913、以下化合物46という)。
(47).5−ターシャリーブチル−3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)─1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(一般名:オキサジアゾン、以下化合物47という)。
(48).S,S’−ジメチル−2−ジフルオロメチル−4−イソブチル−6−トリフルオロメチルピリジン−3,5−ジカルボチオエート(一般名:ジチオピル、以下化合物48という)。
(49).3−クロロ−4−メチル−6−(N−2−クロロ−2−プロペニル−N−フェニルアミノ)ピリダジン(コード名:MT−128、以下化合物49という)。
等の除草剤、
【0015】
(50).4’−クロロ−2’−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(一般名:イナベンフィド、以下化合物50という)。
(51).(E)−(RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペント−1−エン−3−オル(一般名:ウニコナゾール、以下化合物51という)。
(52).(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンテン−3−オール(一般名:パクロブトラゾール、以下化合物52という)。
等の植物生長調節剤の農薬活性成分を例示することができ、これらの農薬活性成分は単独で又は混合して使用することができるが、本発明はこれらの農薬活性成分に限定されるものではない。
【0016】
農薬活性成分の配合割合は農薬組成物100重量部に対して0.01〜80重量部の範囲から適宜選択して配合すればよく、好ましくは1〜50重量部の範囲である。
本発明に使用する中空有機粉末としては、比重が1.0未満で、平均粒径が2mm以下の中空の樹脂粉末であれば良く、例えばポリエチレン、ポリスチレン、生分解性プラスチック、アクリルニトリル系のプラスチック樹脂粉末等を例示することができ、これらを単独に或いは混合して使用してもよく、その配合割合は農薬組成物100重量部に対して0.0001〜30重量部の範囲から適宜選択して配合すればよく、好ましくは0.01〜10重量部の範囲である。
【0017】
農薬活性成分と中空有機粉末との配合割合は、1:1〜1000:1の範囲から適宜選択して配合すればよく、好ましくは10:1〜500:1の範囲から選択することができる。
固体担体としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫安、尿素、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、可溶性デンプン、蔗糖、ベントナイト、クレー、珪藻土、タルク等を例示することができ、これらの固体担体は単独で或いは混合して使用してもよく、その配合割合は農薬活性成分、中空有機粉末、補助剤等と合わせて農薬組成物として100重量部になるように配合すれば良い。
【0018】
補助剤としては、通常農薬製剤上使用される界面活性剤、結合剤、崩壊剤、拡展剤等から選ぶことができる。界面活性剤としては、例えばアルキルスルホン酸、アルファオレフィンスルホン酸、リグニンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホサクシネート等のスルホン酸系界面活性剤及びそれらのナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンフェニルアルキルアリルエーテルサルフェート、ポリオキシアルキレングリコールサルフェート、高級アルコールサルフェート、脂肪酸エステルサルフェート、フェニルフェノール(EO)硫酸塩等のサルフェート系界面活性剤及び上記無機又はアミン塩、
【0019】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェート、ポリオキシエチレンアルキルアリルフォスフェート、フェニルフェノール(EO)リン酸エステル塩、ポリオキシエチレンフェニルアルキルアリルエーテルフォスフェート、高級アルコールホスフェート、ポリオキシエチレントリベンジルフェノールホスフェート等のホスフェート系界面活性剤及び上記無機又はアミン塩、高級脂肪酸塩、ポリカルボン酸系界面活性剤及び上記無機又はアミン塩等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエステル、アセチレニックジオール、アルキニレンポリオキシエチレンジオール、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリールエーテルホルマリン縮合物等の他にフッ素系、シリコーン系のノニオン系界面活性剤を例示することができ、これらのアニオン系界面活性剤又はノニオン系の界面活性剤は単独で又は混合して使用することができる。
【0020】
その他の補助剤としては、例えばポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸塩類、カルボキシメチルセルロース塩類の崩壊拡展性を有する結合剤、崩壊剤、拡展剤、ホワイトカーボン類、ステアリン酸マグネシウム等の粉砕助剤、圧縮成形する際の滑沢剤等を使用することができる。
これらの補助剤の配合割合は農薬組成物100重量部に対して0.1〜15重量部の範囲から適宜選択して配合すればよく、好ましくは3〜10重量部の範囲である。
【0021】
本発明の水面施用農薬組成物は、常温で固体の農薬活性成分、中空有機粉末、固体担体及び補助剤を均一に混合して、押し出し造粒法、転動造粒法、乾式圧縮成形法等の常法により容易に製造することができ、その際、中空有機粉末は特別な処理をすることなく、単に他の組成物と混合するだけで農薬活性成分が効率よく水面に浮遊する組成物を得ることができる。
本発明の農薬組成物は農薬活性成分を極めて効果的に水面に浮遊・拡展させることができる。従って、水田に施用することにより即効的な効果と稲葉鞘部への付着に起因する持続効果を発揮させることができ、農薬組成物は、そのまま水田に10アール当たり有効成分量として5〜500g、好ましくは5〜250gの割合で処理することができる。又、水田への施用法は全面に均一施用することは勿論可能であるが、10〜200gを局所施用することが本発明の農薬組成物の有利な施用方法である。
【0022】
本発明の水面施用農薬組成物は、更に常温で液体の農薬活性成分を適宜含浸させ、固体農薬活性成分とともに水面に浮遊させることも可能である。
以下に本発明の代表的な実施例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例中に部とあるのは重量部を示す。
【0023】
〔実施例1〕
化合物1の90%粉末(ホワイトカーボン含有)49.0部、プラスチック中空体と水の混合物(マツモトマイクロスフェア−F−30E)5.0部、塩化カリウム46.0部及びポリアクリル酸ソーダ(片山化学社製)1.0部の混合物に、界面活性剤(オルフィンE1010、日信化学工業社製)3.0部、ポリビニルアルコール(ゴーセノールGL05、日本合成社製)0.5部を水15部に溶解して練合し、1.5mmのスクリーンを装着したバスケット造粒機(RG−5型、菊水製作所(株)製)で押し出し造粒し、70〜80℃の熱風を吹き込んで乾燥、整粒して粒剤を得た。
〔実施例2〜6〕
表−1に示す組成の粒剤を、実施例1と同様にして得た。
【0024】
【表1】
【0025】
〔比較例1〕
実施例1からプラスチック中空体(10%) の内、プラスチック中空体を塩化カリウムに置き換え、同様に粒剤を得た。
〔比較例2〕
実施例1からプラスチック中空体(10%) の内、プラスチック中空体をシラスバルーンに置き換え、同様に粒剤を得た。
【0026】
本発明の水面施用組成物の物性(水面浮遊性)を、以下の試験例により説明する。即ち、本発明の水面施用組成物はこれを水面施用する時、活性成分が速やかに水面に浮遊する。
〔試験例1〕 水面浮遊性試験
100cm×100cm×10cmのステンレス容器に、深さ5cmになるように水を入れて静置し、実施例1〜6及び比較例1〜2の各試料を容器中央部に静かに処理し、処理1時間後に、容器の4隅にガラス繊維ろ紙(直径:47mm)を静かに浮かべ、ろ紙が完全に浸ったところで採取した。ろ紙を試験管に移して溶剤で抽出した後、ろ紙に付着された各化合物量を分析した。化合物が全量均一に浮遊拡展した時のろ紙面積当たりの化合物量を100として、浮遊率を求めた。
表−2に結果を示す。
【0027】
【表2】
尚、表−2における実施例3の浮遊率は実施例3で得られた組成物5gをポリビニルアルコール製のフィルムで包装したものを使用した。
表−2の結果より、本発明の水面施用農薬組成物は優れた水面浮遊性を示し、その浮遊した活性成分が速やかに拡散する。
【0028】
〔試験例2〕
イネを8〜12葉期に生育させたポットの水面に、実施例1〜3及び比較例1〜2の製剤を所定の薬量で処理し、6時間後、1及び2週間後にイネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani)の菌核を水面にばらまき接種した。接種後、25℃/100%湿度下に24時間培養後、25℃/95%湿度下に置いた。
接種1週間後に最高病斑高を調査し、無処理区と対比して下記の計算式で防除価を算出した。
【数1】
A:薬剤処理区の最高病斑高
B:無処理区の最高病斑高
結果を表−3に示す。
【0029】
【表3】
尚、表−3中の実施例2の防除価は実施例2で得られた組成物5gをポリビニルアルコール製のフィルムで包装したものを使用した。
表−3より、本発明の水面施用農薬組成物は優れた防除効果を示すものである。
Claims (5)
- 常温で固体の農薬活性成分、農薬組成物100重量部に対して0.01〜2重量部のプラスチック中空体粉末、固体担体、アセチレニックジオール及びアルキニレンポリオキシエチレンジオールから選択される1種又は2種の界面活性剤及び補助剤を均一に混合及び成形してなることを特徴とする、局所施用のための水面施用農薬組成物。
- プラスチック中空体粉末が融点40℃以上、比重1.0未満、且つ水不溶性又は難溶性である請求項1記載の水面施用農薬組成物。
- 水面施用農薬組成物が粒剤又は錠剤である請求項1記載の水面施用農薬組成物。
- 常温で固体の農薬活性成分、農薬組成物100重量部に対して0.01〜2重量部のプラスチック中空体粉末、固体担体、アセチレニックジオール及びアルキニレンポリオキシエチレンジオールから選択される1種又は2種の界面活性剤及び補助剤を均一に混合し、湿式造粒又は圧縮成形することを特徴とする、局所施用のための水面施用農薬組成物の製造方法。
- 常温で固体の農薬活性成分、農薬組成物100重量部に対して0.01〜2重量部のプラスチック中空体粉末、固体担体、アセチレニックジオール及びアルキニレンポリオキシエチレンジオールから選択される1種又は2種の界面活性剤及び補助剤を均一に混合及び成形してなる水面施用農薬組成物を局所施用することを特徴とする、水面施用農薬組成物の使用方法。
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