JP3988842B2 - 粒状農薬製剤の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は粒状農薬製剤の製造法に関し、さらに詳しくは、押し出し造粒時に造粒性が極めて良好な粒状農薬製剤の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、農薬製剤としては、粒剤、粉剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒状水和剤が一般的である。これらの農薬製剤の中で粒剤及び粉剤は、水に希釈しないで直接散布する製剤であるが、近年、粉剤はドリフト等の問題より使用は減少する傾向にある。また、乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒状水和剤は水に希釈して散布する製剤であるが、人体あるいは環境に悪影響を及ぼす有機溶剤を含まないこと、水希釈時に粉立ちがなく使用者への安全性が高いこと、包装容器の処理が容易なことより、粒状水和剤の使用が増加しつつある。
【0003】
ここで粒剤は、一般的に10アール当たり1〜4kgと使用量も多く、生産場面においては高い生産性が要求される。特に押し出し造粒工程は製造上律速となる工程であり、より高い造粒性が望まれる。一方、粒状水和剤は前述の粒剤と異なり、原料の大部分が農薬活性成分及びクレー類等の鉱物質微粉であり、これらの組成を押し出し造粒法で造粒する場合、造粒性が不良となる場面があり、造粒性を改善する手法が望まれていた。
【0004】
これらの要求に対して、特に粒剤の造粒性改善について種々の検討がされている。例えば、造粒性改良剤として特定構造の分散剤を用いる方法(特開昭57−209634、特開平3−146126)、カルボキシメチルセルロース塩を用いる方法(特開平2−145501)、α−スルフォ高級脂肪酸低級アルキルエステル塩を用いる方法(特開平3−74305)、スルホン置換コハク酸ジエステルを用いる方法(特開平4−69302)、ジアルキルスルホコハク酸を用いる方法(特開平6−305909)が公開されているが、炭酸カルシウム等特定の担体を主成分とする場合に限ってのみ効果が認められたり、粒状水和剤に応用した際、水希釈時の分散性に支障がある等の問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら従来の押し出し造粒の造粒性改善方法の問題点を解決するものである。即ち、用いる担体あるいは農薬活性成分の種類によらず、押し出し造粒時の造粒性が良好であり、且つ水希釈時の分散性に影響を与えない粒状農薬製剤の製造法を得ることが本発明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、押し出し造粒時の造粒性を改善し、水希釈時の分散性に影響を与えない粒状農薬製剤の製造法として、特定の熱可塑性重合体の壁膜を有する、特定の粒径の中空マイクロバルーンを粒状農薬製剤の成分として配合することが有効であるという知見に基づくものである。
【0007】
すなわち本発明は農薬活性成分、担体及び単量体単位としてアクリロニトロリル又はメタクリル酸エステルを含む熱可塑性重合体の壁膜を有する、粒径が1〜300μmである中空マイクロバルーンを含有する混合物を、押し出し造粒することを特徴とする粒状農薬製剤の製造法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において用いることのできる中空マイクロバルーンは、例えば、特公昭42−26524、特開昭56−113338等に開示されている方法で得られる熱可塑性重合体より成る熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させることにより得ることができる。ここで、熱可塑性重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸、あるいはそれらのエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のモノマーを一成分とする共重合体が例示される。本発明においては特にモノマー単量体の一成分としてアクリロニトリル又はメタクリル酸エステルを必須成分とする共重合体が良い。また、特開昭60−19033で開示されている様に、前述の方法で得られた中空マイクロバルーンを熱硬化性樹脂で被覆したものも本発明で用いることができる。ここで熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂等が例示される。さらに、特開平4−9319で開示されている様に、前述の方法で得られた中空マイクロバルーンの表面に、タルクや炭酸カルシウム等の無機微粉末を付着させたものも本発明では用いることができる。これらの中空マイクロバルーンの粒径は粒度の分布範囲として1〜300μmが良い。本発明においては、粒状農薬組成物100重量部当り、これらの中空マイクロバルーンを0.1重量部〜40重量部、望ましくは1重量部〜20重量部含有させる。
【0009】
本発明の製造法で得られる粒状農薬製剤に用いられる農薬活性成分は、一般に農薬として用いられるものであれば特に限定されず、固体あるいは液体状の何れでも用いることができ、また、水に難溶性あるいは易溶性であってもよく、例えば、除草剤、殺菌剤、殺虫剤、植物成長調整剤などが用いられる。例えば、除草剤として、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、2,4,6−トリクロロフェニル−4′−ニトロフェニルエーテル(CNP)、2−メチル−4−クロロフェノキシ酪酸(MCPB)、2−メチル−4−クロロフェノキシチオ酢酸−S−エチル(フェノチオール)、α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド(ナプロアニリド)、5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル(ビフェノックス)、S−(4−クロロベンジル)N,N−ジエチルチオカーバメート(ベンチオカーブ)、S−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(エスプロカルブ)、S−エチルヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−カーボチオエート(モリネート)、S−1−メチル−1−フェニルエチル=ピペリジン−1−カルボチオアート(ジメピペレート)、O−3−tert−ブチルフェニル=6−メトキシ−2−ピリジル(メチル)チオカルバマート(ピリブチカルブ)、3,4−ジクロロプロピオンアニリド(DCPA)、2−クロロ−2′,6′−ジエチル−N−(ブトキシメチル)アセトアニリド(ブタクロール)、2−クロロ−2′,6′−ジエチル−N−(2−プロポキシエチル)アセトアニリド(プレチラクロール)、(RS)−2−ブロモ−N−(α,α−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチルブチルアミド(ブロモブチド)、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(メフェナセット)、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(ダイムロン)、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−O−トルアート(ベンスルフロンメチル)、1−(2−クロロイミダゾ〔1,2−a〕ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)尿素(イマゾスルフロン)、エチル=5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(ピラゾスルフロンエチル)、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(シメトリン)、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン(プロメトリン)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(ジメタメトリン)、2,4−ジクロロフェニル−3′−メトキシ−4′−ニトロフェニルエーテル(クロメトキシニル)、5−ターシャリ−ブチル−3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン(オキサジアゾン)、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(ピラゾレート)、2−〔4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕アセトフェノン(ピラゾキシフェン)、(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(クロメプロップ)、2−〔4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕−4′−メチルアセトフェノン(ベンゾフェナップ)、S−2−ベンゼンスルホンアミドエチル O,O−ジイソプロピル ホスホロジチオエート(ベンスライド)、α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−N,N−ジプロピル−p−トルイジン(トリフルラリン)、S−(2−メチル−1−ピペリジル−カルボニルメチル)−O,O−ジ−n−プロピルジチオホスフェート(ピペロホス)、S,S′−ジメチル=2−ジフルオロメチル−4−イソブチル−6−トリフルオロメチルピリジン−3,5−ジカルボチオアート(ジチオピル)、N−(1−エチルプロピル)−3,4−ジメチル−2,6−ジニトロアニリン(ペンディメタリン)、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2′,6′−ジメチルアセトアニリド(テニルクロール)、n−ブチル−(R)−2−〔4−(2−フルオロ−4−シアノフェノキシ)フェノキシ〕プロピオネート(シハロホップブチル)、1−(ジエチルカルバモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルスルフォニル)−1,2,4−トリアゾール(カフェンストロール)、N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)(アジムスルフロン)、メチル−2−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)オキシ〕−6−〔(E)−1−(メトキシイミノ)エチル〕ベンゾエイト(ピリミノバックメチル)等、殺菌剤として、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)、テトラクロロイソフタロニトリル(TPN)、4,5,6,7−テトラクロロフタリド(フサライド)、O,O−ジイソプロピル−S−ベンジルチオフォスフェート(IBP)、1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン(チオファネートメチル)、メチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンゾイミダゾールカーバメート(ベノミル)、3′−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリド(メプロニル)、α,α,α−トリフルオロ−3′−イソプロポキシ−O−トルアニリド(フルトラニル)、3,4,5,6−テトラクロロ−N−(2,3−ジクロロフェニル)フタルアミド酸(テクロフタラム)、1−(4−クロロベンジル)−1−シクロペンチル−3−フェニル尿素(ペンシクロン)、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン(ジクロメジン)、メチル=N−(2−メトキシアセチル)−N−(2,6−キシリル)−DL−アラニナート(メタラキシル)、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン(トリフルミゾール)、カスガマイシン、バリダマイシン、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(プロベナゾール)、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート(イソプロチオラン)、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾール(トリシクラゾール)、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン(ピロキロン)、5−エチル−5,8−ジヒドロ−8−オキソ〔1,3〕ジオキソロ〔4,5−g〕キノリン−7−カルボン酸(オキソリニック酸)、(Z)−2′−メチルアセトフェノン=4,6−ジメチルピリミジン−2−イルヒドラゾン−4,5,6,7−テトラクロロフタリド(フェリムゾン)、3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−イソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−カルボキサミド(イプロジオン)等、殺虫剤として、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート(MEP)、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(ダイアジノン)、1−ナフチル−N−メチルカーバメート(NAC)、O,O−ジエチル=O−キノキサリン−2−イル=ホスホロチオアート(キナルホス)、O,O−ジエチル−O−(5−フェニル−3−イソキサゾイル)ホスホロチオエート(イソキサチオン)、O,O−ジエチル−O−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエート(ピリダフェンチオン)、O,O−ジメチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート(クロルピリホスメチル)、ジメチル−メチルカルバモイルエチルチオエチルホスホロチオレート(バミドチオン)、ジメチル ジカルベトキシエチルジチオホスフェート(マラソン)、O,O−ジメチル−S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェート(ジメトエート)、3−(ジメトキシホスフィニルオキシ)−N−メチル−シス−クロトンアミド(モノクロトホス)、O,O−ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェート(プロパホス)、O,S−ジメチル−N−アセチルホスホロアミドチオエート(アセフェート)、エチル パラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネート(EPN)、2−セカンダリ−ブチルフェニル−N−メチルカーバメート(BPMC)、3,5−キシリル−N−メチルカーバメート(XMC)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマート(カルボスルファン)、エチル=N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラニナート(ベンフラカルブ)、S−メチル−N−〔(メチルカルバモイル)オキシ〕チオアセトイミデート(メソミル)、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−H−イリデンアミン(イミダクロプリド)、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(シクロプロトリン)、2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメート(PHC)、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル=3−フェノキシベンジル=エーテル(エトフェンプロックス)、1,3−ビス(カルバモイルチオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩(カルタップ)、5−ジメチルアミノ−1,2,3−トリチアンシュウ酸塩(チオシクラム)、S,S′−2−ジメチルアミノトリメチレン=ジ(ベンゼンチオスルホナート)(ベンスルタップ)、2−ターシャリ−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアジン−4−オン(ブプロフェジン)等、植物成長調節剤として、4′−クロロ−2′−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(イナベンフィド)、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(パクロブトラゾール)、(E)−(S)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタ−1−エン−3−オール(ウニコナゾール)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの農薬活性成分は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これら農薬活性成分の配合割合の合計は、粒状農薬組成物100重量部当り、通常、1重量部〜70重量部である。
【0010】
本発明の製造法で得られる粒状農薬製剤に用いることのできる担体としては、水溶性あるいは非水溶性のものが挙げられ、また、これらを組み合わせて用いることもできる。水溶性担体は、例えば、硫酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の有機又は無機酸塩類、クエン酸、コハク酸等の有機酸類、蔗糖、ラクトース等の糖類、尿素等を挙げることができる。非水溶性担体は、例えば、クレー類、炭酸カルシウム、ベントナイト、タルク、珪藻土、ゼオライト、アタパルジャイト、石膏、陶石、ホワイトカーボン、軽石、木粉、バーライト、シラス等を挙げることができるが、水溶性担体及び非水溶性担体はこれらに限定されるものではない。これら担体の配合割合は、組成物100重量部に当り、通常、1重量部〜80重量部である。
【0011】
また、本発明の製造法で得られる農薬活性成分、担体及び中空マイクロバルーンを必須成分とする粒状農薬製剤に、水希釈時の分散性を付与させる場合は、必要に応じて界面活性剤を配合することができる。また、粒状農薬製剤に配合する農薬活性成分の種類によって適宜界面活性剤の種類を変更するのが一般的である。用いることのできる界面活性剤は、例えば、ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ソルビタンモノアルキレート等のノニオン性界面活性剤、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物、リグニンスルホン酸塩、アクリル酸とイタコン酸の共重合体あるいはメタアクリル酸とイタコン酸の共重合体、マレイン酸とスチレンの共重合体、マレイン酸とジイソブチレンの共重合体及びこれらのアルカリ金属塩等のポリカルボン型高分子活性剤、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの界面活性剤は単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0012】
本製造法で得られる粒状農薬製剤に配合することのできるその他の成分として、カルボキシメチルセルロース金属塩、ポリビニルアルコール、α化デンプン、デキストリン、キサンタンガム、グアシードガム、蔗糖、ポリビニルピロリドン、平均分子量6000〜200000のポリエチレングリコール、ポリアクリル酸金属塩等の結合剤、グリコール類、グリコールエーテル類、芳香族炭化水素、シリコーンオイル等の溶剤類、その他補助剤としてトリポリ燐酸ナトリウム、結晶セルロース、分解防止剤、固結防止剤、融点降下剤等が挙げられる。これらの成分は必要に応じて適量を配合することができる。
【0013】
本発明の粒状農薬製剤の製造法は、押し出し造粒による粒状物の成形に限る。本発明においては、農薬活性成分、中空マイクロバルーン、担体、及び必要に応じて界面活性剤、結合剤等の成分を、通常用いられる混合機、例えば、リボンブレンダーやV型混合機、ナウタミキサー等により均一に混合し、さらに適量の水を加えて、ニーダーあるいは高速攪拌機等の装置内で混練後、押し出し造粒する。ここで、用いることのできる造粒機あるいは成形機は、原理的には細孔を開けたプレートから混練物を押し出すことのできるものであって、例えば、横型横押し出し造粒機、横型前押し出し造粒機、竪型押し出し造粒機等を用いる。プレートに開けられた細孔の大きさは、通常、直径0.3mm〜10mmである。また、押し出し成形機は型枠の間を混練物を押し出すことによって成形するもので、型枠の形状によってパイプ状、ハニカム状等の成形物が得られる。通常型枠の大きさは5mm〜50mmである。
なお、農薬活性成分は微粉末となっていることが望ましく、各成分の均一混合に先立ち、予め衝撃式粉砕、高速気流中粉砕等により微粉末とするか、予め溶剤に溶解し、ホワイトカーボンや珪藻土等と混合し微粉末として用いる。
得られた造粒物は通風乾燥して粒状農薬製剤とする。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び試験例にてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部は重量部を表す。
【0015】
実施例1
衝撃式粉砕で微粉化したベンスルフロンメチル0.17部、メフェナセット3.5部、ダイムロン1.5部、及び中空マイクロバルーン(塩化ビニリデン−アクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体の壁膜を有し、メラミンホルムアルデヒド樹脂で表面を皮膜処理した中空体、粒径25μm)2部、トリポリ燐酸ナトリウム1部、デキストリン(商品名:アミコールNo.6L、日澱化学製)1部、ベントナイト(商品名:朝日1号、啓和炉材製)20部、炭酸カルシウム(商品名:足立カルフィン、足立石灰工業製)70.83部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水を加えて混練後、竪型押し出し造粒機(商品名:バスケットリューザーBR−200型、不二パウダル製)を用い、0.8mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒剤を得た。
【0016】
実施例2
衝撃式粉砕で微粉化したピロキロン5部、及びポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGL−05S、日本合成工業製)2部、中空マイクロバルーン(塩化ビニリデン−アクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体の壁膜を有し、エポキシ樹脂で表面を皮膜処理した中空体、粒径30μm)5部、ベントナイト(前出)30部、炭酸カルシウム(前出)58部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水を加えて混練後、横型横押し出し造粒機(商品名:ペレッターダブルEXD−60型、不二パウダル製)を用い、1.0mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を60℃の温度で通風乾燥し粒剤を得た。
【0017】
実施例3
衝撃式粉砕で微粉化したカルタップ14部、及びα化デンプン(商品名:コーンアルファ、三和澱粉工業製)15部、中空マイクロバルーン(塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体の壁膜を有する中空体、粒径20μm)5部、珪藻土(商品名:ラジオライト#200、昭和化学工業製)15部、クレー(商品名:昭和微粉クレー、昭和ケミカル工業製)33部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中でBPMC16部にオルソセカンダリ−ブチルフェノール(固結防止剤)2部を溶解した液、及び適量の水を加えて混練後、竪型押し出し造粒機(前出)を用い、1.2mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒剤を得た。
【0018】
実施例4
衝撃式粉砕で微粉化したイミダクロプリド2部、ポリビニルアルコール(前出)2部、中空マイクロバルーン(塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体の壁膜を有する中空体、粒径60μm)5部、クレー(前出)91部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水を加えて混練後、横型横押し出し造粒機(前出)を用い、0.8mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒剤を得た。
【0019】
実施例5
高速気流中粉砕で微粉化したトリシクラゾール8部、及びナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(商品名:ニューカルゲンFS−4、竹本油脂製)5部、蔗糖3部、中空マイクロバルーン(塩化ビニリデン−メタクリル酸メチル共重合体の壁膜を有する中空体、粒径20μm)5部、硫安20部、クレー(前出)59部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水を加えて混練後、横型横押し出し造粒機(前出)を用い、0.8mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒状水和剤を得た。
【0020】
実施例6
高速気流中粉砕で微粉化したトリシクラゾール8部、メプロニル3部、及びナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(前出)5部、蔗糖3部、中空マイクロバルーン(塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体の壁膜を有する中空体、粒径120μm)5部、尿素20部、クレー(前出)27部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水を加えて混練後、横型横押し出し造粒機(前出)を用い、2.0mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒状水和剤を得た。
【0021】
実施例7
衝撃式粉砕で微粉化したピリミノバックメチル1.8部、ベンスルフロンメチル2部、カフェンストロール8.4部、ダイムロン16部、及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(商品名:ニューカルゲンFS−1、竹本油脂製)3部をホワイトカーボン(塩野義製薬製、商品名:カープレックス#1120)3部に吸着させた粉体、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(商品名:ニューカルゲンFS−3、竹本油脂製)4部をホワイトカーボン(前出)4部に吸着させた粉体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(前出)3部、中空マイクロバルーン(塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体の壁膜を有し、表面に炭酸カルシウムを付着させた中空体、粒径30μm)10部、分子量200万のポリアクリル酸ナトリウム2部、硫酸ナトリウム42.8部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水を加えて混練後、竪型押し出し造粒機(前出)を用い、1.5mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を60℃の温度で通風乾燥し粒状水和剤を得た。
【0022】
比較例1
衝撃式粉砕で微粉化したベンスルフロンメチル0.17部、メフェナセット3.5部、ダイムロン1.5部、及びトリポリ燐酸ナトリウム1部、デキストリン(商品名:アミコールNo.6L、日澱化学製)1部、ベントナイト(商品名:朝日1号、啓和炉材製)20部、炭酸カルシウム(商品名:足立カルフィン、足立石灰工業製)70.83部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:ネオコールSW−CP、第一工業製薬製)2部を加えて混練後、竪型押し出し造粒機(商品名:バスケットリューザーBR−200型、不二パウダル製)を用い、0.8mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒剤を得た。
【0023】
比較例2
衝撃式粉砕で微粉化したピロキロン5部、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬製)2部、ベントナイト(前出)30部、炭酸カルシウム(前出)63部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水を加えて混練後、横型横押し出し造粒機(商品名:ペレッターダブルEXD−60型、不二パウダル製)を用い、1.0mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を60℃の温度で通風乾燥し粒剤を得た。
【0024】
比較例3
衝撃式粉砕で微粉化したカルタップ14部、及びα化デンプン(商品名:コーンアルファ、三和澱粉工業製)15部、珪藻土(商品名:ラジオライト#200、昭和化学工業製)15部、クレー(前出)38部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中でBPMC16部にオルソセカンダリーブチルフェノール(BPMCの融点降下剤)2部を溶解した液、及び適量の水を加えて混練後、竪型押し出し造粒機(前出)を用い、1.2mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒剤を得た。
【0025】
比較例4
衝撃式粉砕で微粉化したイミダクロプリド2部、ポリビニルアルコール(前出)2部、クレー(前出)94部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩(前出)2部を加えて混練後、竪型押し出し造粒機(前出)を用い、0.8mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒剤を得た。
【0026】
比較例5
高速気流中粉砕で微粉化したトリシクラゾール8部、及びナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(前出)5部、蔗糖3部、硫安20部、クレー(前出)62部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩(前出)2部を加えて混練後、横型横押し出し造粒機(前出)を用い、0.8mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒状水和剤を得た。
【0027】
比較例6
高速気流中粉砕で微粉化したトリシクラゾール8部、メプロニル3部、及びナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(前出)5部、発泡シラス5部、蔗糖3部、尿素20部、クレー(前出)25部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩(前出)2部を加えて混練後、横型横押し出し造粒機(前出)を用い、2.0mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を90℃の温度で通風乾燥し粒状水和剤を得た。
【0028】
比較例7
衝撃式粉砕で微粉化したピリミノバックメチル1.8部、ベンスルフロンメチル2部、カフェンストロール8.4部、ダイムロン16部、及びポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル(前出)3部をホワイトカーボン(前出)3部に吸着させた粉体、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩(前出)4部をホワイトカーボン(前出)4部に吸着させた粉体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(前出)3部、パーライト(商品名:パーライトM−3、昭和化学工業製)10部、分子量200万のポリアクリル酸ナトリウム2部、硫酸ナトリウム42.8部をナウタミキサーで均一に混合し、高速攪拌機中で適量の水を加えて混練後、竪型押し出し造粒機(前出)を用い、1.5mmの細孔より押し出し造粒した。得られた造粒物を60℃の温度で通風乾燥し粒状水和剤を得た。
【0029】
試験例1(造粒性試験)
実施例1〜7、及び比較例1〜7に記載の配合割合で各20kgの混練物を調製し、同記載の練り押し造粒機で約2分間造粒した後、造粒機を停止し造粒物を除去する。再び造粒を開始し、1分後に造粒機を停止し得られた造粒物の重量を測定する。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
試験例2(懸垂率の測定)
実施例5〜7、及び比較例5〜7で得られた粒状水和剤0.5gを正確に秤量し、約200mlの水に分散させる。次にこの液を共栓付250mlメスシリンダーに移し、水を加えて250mlとし、15分間静置する。1分間に30回倒立を繰り返し、15分間静置後、ホールピペットを用いて125mlの位置から液25mlを採取する。この液に含まれる農薬活性成分量を所定の分析方法で測定し、理論量で除して懸垂率とした。なお、複数の農薬活性成分を含有する製剤については、各成分の懸垂率を測定し、平均値をその製剤の懸垂率とした。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明の粒状農薬製剤の製造法は、用いる農薬活性成分及び担体の種類によらず、製造上律速となる押し出し造粒時の造粒性が良好となる。また、造粒性が不良な粒状水和剤の押し出し造粒に対しても有効である。さらに粒状水和剤の水希釈時の分散性に何等影響を及ぼさない。
Claims (1)
- 農薬活性成分、担体及び単量体単位としてアクリロニトロリル又はメタクリル酸エステルを含む熱可塑性重合体の壁膜を有する、粒径が1〜300μmである中空マイクロバルーンを含有する混合物を、押し出し造粒することを特徴とする粒状農薬製剤の製造法。
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