JP4824215B2 - 農薬粒状組成物の散布方法および粒状農薬合剤 - Google Patents

農薬粒状組成物の散布方法および粒状農薬合剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の農薬粒状組成物を湛水水田等の水面に直接散布する散布方法およびこれに使用することのできる粒状農薬合剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水田で用いられる農薬製剤には粒剤、DL粉剤、乳剤、水和剤およびフロアブル剤がある。この中で粒剤とDL粉剤は、通常10a当たり3〜4kgを水に希釈しないで直接散布してきた。また近年は、農薬散布の少量化や省力化が叫ばれ、これに対応して各種混合剤や製剤中の有効成分量を高めた1キロ粒剤を作ることで製剤施用量を低らした農薬製剤や、水田に入らずに畦畔から防除できるジャンボ剤などの省力化を目的にした農薬製剤の開発が検討されている。
【0003】
このうち、乳剤、水和剤およびフロアブル剤は、単独あるいは必要に応じて二種以上の薬剤を水に希釈して10a当たり25〜100Lを散布するが、近年は薬剤の漂流飛散が問題視されている。
【0004】
一方、粒剤は、粉剤あるいは希釈液を散布する水和剤やフロアブル剤に対し、薬剤が漂流飛散することはなく、散布者や近隣の環境に対して安全性で優れる。また、従来の粒剤は水田内を均一に散布することが前提となる製剤であるが、これを使用者が散布前に混合して散布すると、各薬剤が有する散布上の特性が異なることや、各薬剤の比重や形状が異なるために薬剤を混合した後、均一な状態を維持できない場合がある。各薬剤が不均一に散布されることで、水田全体に期待した生物効果が得られなかった。
【0005】
すなわち、これまで使用者が必要に応じて、散布する前に混合する実用的な固体製剤はなかった。また、日本国内の水田は地域による差異のみならず、個々の水田においても多様な生物相の差異があり、これに相応する農薬製剤およびその散布方法の確立が望まれている。
【0006】
ところで水田用農薬製剤として、水田の一部に散布し、その後水田全体に拡散することを考慮した種々の農薬製剤や散布方法が検討され、その技術が公開されている。例えば、農薬活性成分を比重1以下のロウ状物質に溶解あるいは分散させ、水溶性増量剤に被覆あるいは含有させた農薬粒剤(特開昭55−154902号、56−30901号、特開平7−101805号)、軽石あるいはパーライトなどの水面浮遊性担体に殺菌成分を担持させた組成物(特公昭48−1179号)、パーライトにパラフィン石油樹脂等を用いて殺虫成分を付着させた組成物(特公昭48−1181号)、パーライトなどの水に浮く無機担体に殺草成分を担持させた組成物(特公昭48−1182号)、48メッシュ以下の鉱物質粒状担体に農薬活性成分と撥水性物質を担持させた粒状農薬製剤(特開昭48−56831号)、比重1以下で粒径5mm以下の中空体に農薬活性成分を担持し成形した組成物(特開昭58−65203号)等が開示されている。しかし、いずれも農薬活性成分を含んだロウ状物質や農薬活性成分が担持された粒核が長時間水面に浮遊するため、風による吹き寄せが起こり、水田内の農薬活性成分の濃度むらが生じて薬効不足や薬害発生になる問題があった。
【0007】
また、農薬活性成分と特定の界面活性剤、ベントナイト、水浮遊性中空粒子を含有する組成物(特開平7−82102号)や、農薬活性成分と250μm以下のガラス質中空体と特定の界面活性剤を含有する組成物(特開平6−345603号)が開示されているが、良好な崩壊性を得るには、実質上、粒の大きさを2mm以下にする必要があり、その散布時には風の影響を受けて支障を来す問題があった。
【0008】
更に、農薬活性成分、比重1以下の粉末基剤、特定の性質を有する界面活性剤より成る組成物で粒径1〜5mmの水面浮遊性粒剤(特開平7−233002号)が開示されているが、比重1以下の粉末基剤の配合量が多くて脆いために、動力散布機などで機械散布すると、散布者が粉化物に被曝したり、近隣に飛散する問題があった。
【0009】
更にまた、特開平6−336403号には、農薬活性成分と焼成バーミキュライト、発泡パーライト、発泡シラス、コルクおよびアセチレン系界面活性剤を含有する製剤を水溶性フィルムに包んだ組成物が開示されているが、水面浮遊性を付与するための焼成バーミキュライト、発泡パーライト、発泡シラス、コルクの配合量が多いため、圧縮崩壊強度が非常に低く、水田に直接散布すると農薬の被曝および周辺環境への影響があるため、水溶性フィルムに包装して投げ入れることを前提にしている。この水溶性フィルムに包装した製剤、所謂ジャンボ剤は、通常水田10a当り5〜20個程度を、畦畔から投げ入れる製剤で、省力的な防除は可能だが、区画整理された1ha規模の水田では水田内に入らなければ、所期の効果が得られないという問題があり、また、藻類等が水面を覆った水田では薬剤の拡散が阻害されて、所期の効果が得られないという問題もあった。
【0010】
一方、異なる固体製剤を同時散布する技術としては、特開平3−56401号に除草性能の高い遅効性除草剤と除草性能の低い速効性除草剤を移植時に散布する方法が開示されているが、あくまでも均一散布を前提としており、更に例示されているパラフィン膜を被覆した除草性能の高い遅効性除草剤は、溌水性が高い為に湛水下で散布すると水面浮遊して風下側に吹き寄せられる問題を有していた。
【0011】
また、特開平4−187603号には、粒径0.5〜2mmの嵩比重1以上の大比重粒子と粒径0.5〜2mmの嵩比重0.2以上1.0未満の小比重粒子からなる二種以上の粒状担体を3:7〜5:5の範囲で配合して手散布する方法が開示されているが、あくまでも手散布を前提としており、機械散布の場合は、大比重粒子は遠くに、小比重粒子は近くに散布されるという問題や、比重の異なる粒子は機械の振動で分級し、散布の前半は大比重粒子が主に撒かれ、後半は小比重粒子が主に撒かれてしまうという問題があった。更に、この技術で用いる粒剤は、1粒が2mm以下の為に、畦畔から20m以上の場所には届かず、大規模水田では周辺部に薬害、中央部に薬効不足が起こる問題を有していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水田毎に異なる必要な農薬有効成分を、使用者が望む最適な組み合わせで、例えば、藻類等が吹き寄せられて水田を覆う状態になっていても、水田に入らずに簡便に散布可能な技術の確立をその課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、複数の農薬成分を同時に散布することができ、かつ、それらの分布が偏在しないような粒状の農薬製剤を得るべく、特に農薬製剤を構成する組成物が具備すべき性質について鋭意研究した。そしてその結果、特定の条件を備えた組成物を使用することにより、複数の農薬成分をほとんど偏在させることなく水田等に散布できることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち本発明は、農薬活性成分と界面活性剤を含有し、水面に浮遊する性質と水面に浮遊後短時間で水面または水中で崩壊する性質を有する農薬粒状組成物の二種以上を散布前に混合し、湛水下水田の畦畔から1m以上の距離で、全水田面積の5%〜50%に当る面積に直接散布する農薬粒状組成物の散布方法を提供するものである。
【0015】
また本発明は、農薬活性成分と界面活性剤を含有し、水面に浮遊する性質と水面に浮遊後短時間で水面または水中で崩壊する性質を有する農薬粒状組成物を二種以上組合せてなる粒状農薬合剤を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の農薬粒状組成物の散布方法において使用される農薬粒状組成物は、構成成分として少なくとも農薬活性成分と界面活性剤を含有し、水面に浮遊する性質と水面に浮遊後短時間で、例えば30分以内に水面または水中で崩壊する性質を有するものである。
【0017】
この農薬粒状組成物において使用される農薬活性成分は、一般に農薬に使用されるものであれば特に限定されず、性状が固体、液体あるいはペースト状の何れであっても、また、水に難溶あるいは易溶であっても使用可能である。更にその用途としては、例えば、除草剤、殺菌剤、殺虫剤、植物成長調節剤等であり、とりわけ水面施用で所期の効果が得られる農薬活性成分が好適である。
【0018】
本発明に使用できる農薬活性成分の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
( 除 草 剤 )
2,4,6−トリクロルフェニル−4'−ニトロフェニルエ−テル(CNP)、2−メチル−4−クロロフェノキシチオ酢酸−S−エチル(フェノチオ−ル)、α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド(ナプロアニリド)、5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル(ビフェノックス)、S−(4−クロルベンジル)N,Nージエチルチオカ−バメ−ト(ベンチオカーブ)、S−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(エスプロカルブ)、S−エチルヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−カーボチオエート(モリネート)、S−1−メチル−1−フェニルエチル=ピペリジン−1−カルボチオア−ト(ジメピペレート)、O−3−tert−ブチルフェニル=6−メトキシ−2−ピリジル(メチル)チオカルバマ−ト(ピリブチカルブ)、2−クロロ−2',6'−ジエチル−N−(ブトキシメチル)アセトアニリド(ブタクロール)、2−クロロ−2',6'−ジエチル−N−(2−プロポキシエチル)アセトアニリド(プレチラクロール)、(RS)−2−ブロモ−N−(α,α−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチルブチルアミド(ブロモブチド)、2−ベンゾチアゾ−ル−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(メフェナセット)、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(ダイムロン)、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−O−トルア−ト(ベンスルフロンメチル)、1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)尿素(イマゾスルフロン)、エチル=5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾ−ル−4−カルボキシラ−ト(ピラゾスルフロンエチル)、2メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(シメトリン)、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン(プロメトリン)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(ジメタメトリン)、2,4−ジクロロフェニル−3'−メトキシ−4'−ニトロフェニルエーテル(クロメトキシニル)、5−タ−シャリ−ブチル−3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン(オキサジアゾン)、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネ−ト(ピラゾレート)、2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾ−ル−5−イルオキシ]アセトフェノン(ピラゾキシフェン)、(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(クロメプロップ)、2−[4−[2,4−ジクロロ−m−トルオイル]−1,3−ジメチルピラゾ−ル−5−イルオキシ]−4'−メチルアセトフェノン(ベンゾフェナップ)、S,S'−ジメチル=2−ジフルオロメチル−4−イソブチル−6−トリフルオロメチルピリジン−3,5−ジカルボチオア−ト(ジチオピル)、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2',6'−ジメチルアセトアニリド(テニルクロール)、n−ブチル−(R)−2−[4−(2−フルオロ−4−シアノフェノキシ)フェノキシ]プロピオネ−ト(シハロホップブチル)、3−[1−(3,5−ジクロルフェニル)−1−メチルエチル]−2,3−ジヒドロ−6−メチル−5−フェニル−4H−1,3−オキサジン−4−オン(オキサジクロメホン)、3−(4−クロロ−5−シクロペンチルオキシ−2フリオロフェニル)−5−イソプロピリデン−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(ペントキサゾン)、1−(ジエチルカルバモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルスルフォニル)−1,2,4−トリアゾ−ル(カフェンストロール)、N−{[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]}−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾ−ル−5−イル)(アジムスルフロン)、メチル2−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)オキシ]−6−[(E)−1−(メトキシイミノ)エチル]ベンゾエイト(ピリミノバックメチル)等。
【0020】
( 殺 菌 剤 )
O,O−ジイソプロピル−S−ベンジルチオフォスフェ−ト(IBP)、O−エチル−S,S'−ジフェニルチオフォスフェ−ト(EDDP)、3'−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリド(メプロニル)、α,α,α−トリフルオロ−3'−イソプロポキシ−O−トルアニリド(フルトラニル)、3,4,5,6−テトラクロロ−N−(2,3−ジクロロフェニル)フタルアミド酸(テクロフタラム)、1−(4−クロロベンジル)−1−シクロペンチル−3−フェニル尿素(ペンシクロン)、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン(ジクロメジン)、メチル=N−(2−メトキシアセチル)−N−(2,6−キシリル)−DL−アラニナ−ト(メタラキシル)、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾ−ル−1−イル−2−プロポキシエチリデン)−o−トルイジン(トリフルミゾール)、カスガマイシン、バリダマイシン、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾ−ル−1,1−ジオキシド(プロベナゾール)、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネ−ト(イソプロチオラン)、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾ−ル(トリシクラゾール)、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ[3,2,1−ij]キノリン−4−オン(ピロキロン)、5−エチル−5,8−ジヒドロ−8−オキソ[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−7−カルボン酸(オキソリニック酸)、(Z)−2'−メチルアセトフェノン=4,6−ジメチルピリミジン−2−イルヒドラゾン4,5,6,7−テトラクロロフタリド(フェリムゾン)、3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−イソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−カルボキサミド(イプロジオン)等。
【0021】
( 殺 虫 剤 )
O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェ−ト(MEP)、O,O−ジメチル−O−[3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル]チオホスフェ−ト(MPP)、ジメチルジチオホスホリルフェニル酢酸エチル(PAP)、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(ダイアジノン)、1−ナフチル−N−メチルカ−バメ−ト(NAC)、O,O−ジエチル−O−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエ−ト(ピリダフェンチオン)、O,O−ジメチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエ−ト(クロルピリホスメチル)、ジメチルジカルベトキシエチルジチオホスフェ−ト(マラソン)、O,O−ジメチル−S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェ−ト(ジメトエート)、O,O−ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェ−ト(プロパホス)、O,S−ジメチル−N−アセチルホスホロアミドチオエ−ト(アセフェート)、エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネ−ト(EPN)、2−セカンダリ−ブチルフェニル−N−メチルカ−バメ−ト(BPMC)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ[b]フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマ−ト(カルボスルファン)、エチル=N−[2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ]−N−イソプロピル−β−アラニナ−ト(ベンフラカルブ)、(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシラ−ト(シクロプロトリン)、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル=3−フェノキシベンジル=エ−テル(エトフェンプロックス)、1,3−ビス(カルバモイルチオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩(カルタップ)、5−ジメチルアミノ−1,2,3−トリチアンシュウ酸塩(チオシクラム)、S,S'−2−ジメチルアミノトリメチレン=ジ(ベンゼンチオスルホナ−ト)(ベンスルタップ)、2−タ−シャリ−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアジン−4−オン(ブプロフェジン)、2,3−ジハイドロ−3,3−ジメチルベンゾフラン−5−イルエタンスルホネート等。
【0022】
( 植物成調節剤 )
4'−クロロ−2'−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(イナベンフィド)、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾ−ル−1−イル)ペンタン−3−オ−ル(パクロブトラゾール)、(E)−(S)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾ−ル−1−イル)ペンタ−1−エン−3−オール(ウニコナゾール)等。
【0023】
これらの農薬活性成分は単独で、または2種以上で使用することができ、農薬粒状組成物中での配合割合の合計は、組成物100重量部に対して、通常、0.1重量部〜70重量部、好ましくは1重量部〜50重量部、より好ましくは2重量部〜25重量部である。
【0024】
また、本発明の農薬粒状組成物に配合される界面活性剤は、水面で農薬粒状組成物の粒を短時間で、例えば30分以内で崩壊させ、農薬活性成分を水中に拡散させる作用を有するものであり、農薬製剤に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0025】
具体的な界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ソルビタンモノアルキレート、アセチレンアルコールおよびアセチレンジオール並びにそれらのアルキレンオキシドを付加物等のノニオン性界面活性剤、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩およびその縮合物、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリカルボン酸型高分子活性剤等のアニオン性界面活性剤等、さらにはシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。なお、液体の界面活性剤は、ホワイトカーボン、珪藻土、尿素等の固体単体に吸着して用いてもよい。
【0026】
これらの界面活性剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができ、農薬粒状組成物中での配合割合の合計は、組成物100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは2〜10重量部である。
【0027】
本発明の農薬粒状組成物は、水面に浮遊することが必須である。このためには農薬粒状組成物に浮遊性を付与することのできる種々の方法を採用することができる。
【0028】
具体的に農薬粒状組成物に水面浮遊性を付与させる方法の一例としては、真珠岩や黒曜石よりなるパーライト、シラスよりなる発泡シラス、アルミノシリケート系を焼成してなるフィライト、珪酸ソーダあるいは硼砂を発泡させたマイクロバルーン、軽石、粒状珪藻土、粒状活性炭、木粉、コルク粉、ケナフ片、フェノール樹脂よりなるフェノールマイクロバルーン、エポキシ樹脂よりなるエコスフェアー、ポリウレタンよりなるポリウレタンフォーム、ポリアクリロニトリルよりなるマイクロスフェアー、石炭火力発電時の灰で産出されるフライアッシュ、フライアッシュバルーンなどの独立または複数の気室を有する物質を農薬組成物中に含有させる方法を挙げることができる。また、別の方法の例としては、ステアリン酸およびその塩および疎水性ホワイトカーボン等の撥水性物質を含有させる方法や、水溶性担体を用いた粒剤中のマトリックスになった結合剤に気泡を保持させる方法などが挙げられるが、最初に述べた独立または複数の気室を有する物質を含有させる方法がより好ましい。
【0029】
上記の水面浮遊性を付与する物質の配合量は、農薬粒状組成物が水面浮遊し得る量であれば、特に限定されないが、必要以上の配合では脆い粒となり、使用時に潰れたり粉塵発生量が多くなって好ましくない。そこで、必要最少量の配合が望ましく、一般に組成物100重量部に対して、0.3〜30重量部の範囲で調整できる。
【0030】
また、前述の水面浮遊性を付与させる物質の効果を高めるために、組成物中に水を適当量含有させることが望ましく、その含有量は、組成物100重量部に対して0.3〜6重量部、望ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは0.8〜3重量部である。水が0.3重量部以下の場合、組成物内部に水が浸入しやすい構造となるため、水に組成物を投入すると、一旦は水面に浮遊するが、その後組成物内部の空気が抜けて沈降するため、前述の水面浮遊性を付与させる物質を必要量以上に含有させなければならず、好ましくない。また、水が6重量部以上の場合、製剤が脆くなり、散布時に微粉が発生するため好ましくない。本発明の農薬粒状組成物中の水含有量は、例えばカールフィッシャー方式の水分測定装置や赤外線水分測定装置等を用いて測定することができる。本発明の農薬粒状組成物において、水を含有させる方法は、一旦製剤を完全に乾燥させた後、水分を噴霧して加える方法、あるいは水分含有量を測定しながら乾燥し、所定量の水分含有量となった時点で乾燥を終了する方法等があるが、特に限定されない。
【0031】
更に、本発明の農薬粒状組成物は、水面に浮遊すると同時に水面に浮遊してから短時間で水面または水中で崩壊する性質を有することが必要である。崩壊に要する時間が長時間である場合、風での製剤の吹き寄せを受ける為に好ましくない。このような崩壊性を得るためには、農薬粒状組成物の各構成成分の種類とその配合量を調整するのが望ましい。なお、本発明の農薬粒状組成物が水面に浮遊してから水面または水中で崩壊するまでの時間は、30分以内であることが好ましい。
【0032】
上記したような崩壊性を具備する農薬粒状組成物を構成する構成成分としては、前記した必須成分の他、通常固体担体が配合される。固体担体としては、水溶性あるいは非水溶性の担体を使用でき、これらを組み合わせて用いることもできる。水溶性担体は例えば、硫酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の有機または無機酸塩類、クエン酸、コハク酸等の有機酸類、蔗糖、ラクトース等の多糖類および尿素等を挙げることができる。非水溶性担体は一般的に鉱物質微粉が用いられ、例えば、クレー類、炭酸カルシウム、ベントナイト、タルク、珪藻土、ステアリン酸カルシウム、ホワイトカーボン等を挙げることができる。これら増量剤の配合割合は組成物100重量部に対して、通常5〜80重量部、好ましくは10〜70重量部である。
【0033】
また、その他成分として補助剤を必要により配合できる。この任意の成分である補助剤の例としては、結合剤、有機溶剤等が挙げられる。使用できる結合剤は農薬粒状製剤に一般的に用いられるもので、特に水溶性物質が好ましい。結合剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、デキストリン、水溶性デンプン、キサンタンガム、グアシードガム、蔗糖、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム塩、平均分子量6000〜20000のポリエチレングリコール、平均分子量10万〜500万のポリエチエレンオキサイド等が挙げられる。結合剤の配合割合は、組成物100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜6重量部である。
【0034】
更に、有機溶剤は農薬活性成分を溶解あるいは分散させる場合に用いられ、例えば、ジオクチルフタレートなどの脂肪酸エステル、メチルナフタレンなどの芳香族溶剤、アルキレングリコールなどのグリコール類、n−パラフィンどのメタン列炭化水素、ナタネ油などの植物油、アルキルピロリドン、フェニルキシリールエタン、グリセリン、多塩基酸、シリコーンオイル等が使用できるが、高沸点溶剤がより好ましい。有機溶剤の配合割合は、農薬活性成分100重量部に対して、通常10〜200重量部である。
【0035】
本発明で使用する農薬粒状組成物は、前述の各構成成分を常法に従い、水面に浮遊する性質と水面に浮遊後短時間で水面または水中で崩壊する性質を有する粒状物となるよう製剤化することにより調製される。
【0036】
この農薬粒状組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、各構成成分の混合品に適当量の水を加えて混練後、一定の大きさの穴を開けたスクリーンまたはプレートから押し出し造粒する方法が好ましい。造粒物は適当な長さにした後、その造粒物をコンクリートミキサー等で表面が滑らかな状態になるまで転動させる方法で成形できる。この粒状成形物の形状は、1粒の短径と長径の比率が1〜3であることが好ましい。この粒状成形物は、水の含有量が製剤100重量部に対して0.3〜6部の範囲となるまで乾燥するか、あるいは成形した粒状物を完全に乾燥後、製剤100重量部に対して0.3〜6部の範囲となるように水を噴霧して加えることで、本発明の農薬粒状組成物を得ることができる。
【0037】
本発明で使用する農薬粒状組成物は、その平均粒径が3mm以上であることが好ましく、更には3mm〜20mm、特に4mm〜10mmであることが好ましい。組成物をこのような平均粒径とすることで、農薬粒状組成物を畦畔から散布した場合でも、畦畔から1m以上の距離に、全水田面積の5%〜50%の散布面積を容易に得ることが可能となる。ここでいう平均粒径とは、短径と長径の平均値をいい、平均粒径の実際の測定法としては、粒状物100個の短径と長径を測定し、平均値を求めることにより行うことができる。尚、平均粒径3mm以上にした副次的な効果としては、粒径が通常0.8mm前後の水稲育苗箱施用粒剤と容易に判別でき、誤用散布が防止できる。仮に水稲育苗箱に処理後、誤用に気付いた場合でも、育苗箱ごと水につけることで本発明の製剤だけが水面に浮上するため、誤用散布の被害を最小限にできる利点がある。
【0038】
更に吹き寄せの影響を小さくするためには、本発明の農薬粒状組成物を水面に浮遊させた際、水面上に露出した部分の水面からの高さが、組成物全体の高さの30%以下、望ましくは20%以下、更に望ましくは10%以下になる様に、構成成分の種類と配合量を調整することが望ましい。
【0039】
本発明の農薬粒状組成物の散布方法は、上記のようにして調製された農薬粒状組成物の二種以上を散布前に混合し、好ましくは湛水下水田の畦畔から1m以上の距離で、全水田面積の5%〜50%に当る面積に直接散布することにより実施される。
【0040】
二種以上の農薬粒状組成物を混合する方法は特に限定されないが、例えば、散布する組成物体積の三倍以上の容積を有する袋や薬剤タンクに入れて、少なくとも五回以上、振り混ぜる方法や、前後に揺すって混合する方法を挙げることができる。
【0041】
なお、散布中に各農薬粒状組成物が不均一にならないようにするために、混合する前の各農薬粒状組成物の1グラムあたりの平均粒数が、混合後の製剤の1グラムあたりの平均粒数に対して0.2〜2.0倍の範囲にあることが望ましく、好ましくは0.3〜1.8の範囲、更に好ましくは0.4〜1.6倍の範囲である。
【0042】
また、上記のようにして混合された農薬粒状組成物を散布する具体的な方法としては、ビニール手袋をした手で握って投げ入れる散布方法、柄杓を用いて投げ込む散布方法、筒状の容器に移して、それを振って投げ入れる散布方法がある。また、背負い式動力散布機を用いて連続的に噴頭から吐出させて散布する方法、あるいはシャッターレバーを瞬間的に開閉し、断続的に吐出させて噴頭から散布する方法、手回し式散粒機を用いて散布する方法、更にはラジコンヘリを用いて筋状に、あるいはスポット的に散布する方法が挙げられる。尚、ラジコンヘリには左右の薬剤タンクの投入口から別々の農薬製剤を入れて散布装置の力を借りて混合しながら散布することも可能である。これらのような方法によれば、水田に入らずに農薬粒状組成物をより大きな水田に散布することができる。
【0043】
更に散布位置としては、湛水下水田の畦畔から1m以上の距離に、好ましくは2m以上の距離に、全水田面積の5%〜50%の面積、好ましくは10%〜50%であり、この位置にばら撒いて散布することが好ましい。なお、全水田面積の50%以上に散布することは、所期の農薬効果を発現するために何ら制約を受けるものではないが、省力的な農薬散布を実現するには50%以下の面積に散布するのが望ましい。
【0044】
本発明の散布方法における、2種以上の農薬粒状組成物の使用量としては合計で10a当り100g〜3kgの範囲にあることが少量散布を考えた上では適当であり、好ましくは10a当り200g〜2kgの範囲、更に好ましくは10a当り300g〜1kgの範囲である。また、混合する種類としては、除草剤、殺菌剤、殺虫剤および植物成長調節剤の中より、2種以上を適宜選択して使用でき、混合の手間隙を考慮すれば、最大で5種程度が適当である。
【0045】
更に、本発明の散布方法を効率的に行う方法として、予め前記農薬粒状組成物を二種以上組合せて粒状農薬合剤とし、これを散布する方法を挙げることができる。
【0046】
このような粒状農薬合剤は、前記した方法で調製された二種以上の農薬粒状組成物を更に公知方法で均一に混合することにより調製される。この組成物の混合においては、粒状農薬合剤中における各農薬粒状組成物の含有割合を実質的に均一とすることが好ましく、そのためには大きな混合槽で複数の農薬粒状組成物を混合後、単位容器に充填する方法よりも、それぞれの農薬粒状組成物を一定割合で吐出させた後、均一に混合し、これを単位容器に充填させる方法を採用することが好ましい。
【0047】
また、輸送中等での振動による各農薬粒状組成物の分級を避けるためには、各農薬粒状組成物の平均粒径の差が40〜250%以内、より好ましくは、50〜200%以内とすることが望ましい。
【0048】
本発明の粒状農薬合剤において使用される農薬粒状組成物としては、それぞれ異なる性質の農薬成分を含むものを組み合わせることが好ましい。例えば、水面施用で有効な除草剤、殺菌剤、殺虫剤および植物成長調節剤から選ばれた農薬成分を含有する農薬粒状組成物を二種以上組合せることにより複合的な効果を得ることができる。このうち好ましいものの例としては、水面施用で有効な殺菌剤を含有する農薬粒状組成物と、水面施用で有効な殺虫剤を含有する農薬粒状組成物とを組合せたものを挙げることができる。また、同じ系統の農薬成分であっても、その用途が異なるものを組み合わせることができる。その例としては、除草対象雑草が異なる除草剤を含有する農薬粒状組成物を二種以上を組合せた粒状農薬合剤が挙げられ、一年生雑草に有効な除草剤を含有する農薬粒状組成物と、多年生雑草に有効な除草剤を含有する農薬粒状組成物とを組合せたものが例示される。
【0049】
以上説明した本発明の散布方法により散布される農薬粒状組成物あるいは上記粒状農薬合剤は、水稲用のものであることが好ましく、水田中に水が存在する間であれば時期に関係なく有効に利用することができる。
【0050】
すなわち、水稲作においては、移植時期が早い所謂早期栽培では移植後1〜2週間以内に、水田に藻類の発生はほとんどなく、水面浮遊性の農薬製剤を局所的に散布しても、農薬活性成分の拡散性は良好であり、所期の効果が得られる。しかし、移植時期が5月以降となる所謂普通期栽培では、水温が上昇し、農薬散布適期には藻類の発生が一般的であり、この藻類が農薬活性成分の拡散を著しく阻害するため、所期の農薬の効果が得られないことが多い。特に、藻類が風で吹き寄せられた水田では、水面浮遊性の農薬製剤を局所的に散布した場合、藻類が吹き寄せられた部分は、ほとんど農薬の効果が得られないのが実情である。また、移植数週間後、水稲の生育が進み、株が大きくなった後に水面浮遊性の農薬製剤を局所的に散布した場合では充分な湛水深が確保できず、農薬活性成分の拡散が妨げられるため、局所散布を前提とした省力散布製剤では、所期の農薬としての効果を得るためには従来、稲株が小さな時に散布される製剤であった。
【0051】
一方、最近では地域や気象条件により水田毎に異なる病害虫や雑草(抵抗性含む)が発生しており、水田毎に適した環境に優しい防除方法の確立が望まれている。その為には、発生前に処理する予防的な防除よりも、発生した防除対象と水田の状態に応じて、農家が現地を見た中で、それに適した薬剤を選択し、できる限り水田内に入らずに散布できる省力的な防除方法が求められていた。
【0052】
本発明によれば、これらの状況を鑑み、藻類が発生した水田、あるいは稲株がある程度成育した水田において、その病害虫や雑草の発生条件に応じて、適当な農薬を選抜して散布することが可能となる。
【0053】
具体的な、本発明による農薬粒状組成物の組み合わせ例としては、強害雑草のヒエに有効な除草剤、コナギなどの一年性雑草に有効な除草剤と、クログアイなどの多年生雑草を防除する除草剤、イモチ病に水面施用で有効な殺菌剤の組み合わせ、イネミズゾウムシやウンカ類に水面施用で有効な殺虫剤の組み合わせ、ジャンボタニシなどに有効な農薬、稲の倒伏軽減に有効な植物成長調節剤などの中より、各水田の状況に応じて、適当な薬剤を散布者が選抜し、本発明方法で散布することが望ましい。
【0054】
【実施例】
以下、製剤例、実施例および試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、部は重量部を表す。また、以下の製剤例において、製剤を水面に浮遊させた場合の水面上に露出した部分は、次のようにして測定した。
【0055】
(水面上に露出した部分の測定方法)
(1)20cm四方の薄層ガラス板が入るクロマトグラフィー用展開層水槽に水温20℃の水1リットルを入れ、そこへ組成物30個を入れ、着水直後に水面真横からデジタルカメラで写真撮影する。
(2)得られた写真を縦横2倍に拡大コピーし、水面に浮いた組成物について、垂直方向における全体の高さ(a)と水面の露出部分の高さ(b)を測定し、その割合(b/a)を求め、百分率で表す。
(3)試験は数回行い、組成物100個における露出部分の割合における平均値を求める。
【0056】
製 剤 例 1
ピリミノバックメチル1.2部、ベンスルフロンメチル2部、メフェナセット9部およびポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル4部をホワイトカーボン4部に吸着させた粉末、アセチレンアルコール2.5部をホワイトカーボン2.5部に吸着させた粉末、ポリビニルアルコール1部、塩化カリウム10部および無水芒硝62部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた粉末と、含水マイクロスフェアー10部(成分として1部)を高速撹拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練後、5mmの孔を開けたプレートより押し出し造粒を行いながら、10mmの長さに裁断した。
【0057】
得られた造粒物を横置きにしたドラムに入れ、回転させながら造粒物に転がる動きを与えて成形した後、乾燥入り口温度を65℃として、水分が0.8部となるまで乾燥し、水面浮遊性を有する農薬粒状組成物を得た(平均粒径5.3mm)。グラム粒数は12個だった。本製剤の実用投下薬量は250g/10aである。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、全ての粒が浮遊した。なお、浮遊後の粒の崩壊時間は10分であった。また、水面上に露出した部分の割合は8%であった。
【0058】
製 剤 例 2
ブロモブチド24部、ペントキサゾン8部、アルキルナフタレンホルマリン縮合物塩8部およびジアルキルスルホサクシネート3部をホワイトカーボン3部に吸着させた粉末、アセチレンアルコール界面活性剤3部をホワイトカーボン3部に吸着させた粉末、デキストリン2部および尿素25部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた粉末と、フライアッシュバルーン18部を高速撹拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練後、3mmの孔を開けたプレートより押し出し造粒を行いながら、8mmの長さに裁断した。
【0059】
得られた造粒物を横置きにしたドラムに入れ、回転させながら造粒物に転がる動きを与えて成形した後、乾燥入り口温度を65℃として、水分が3部となるまで乾燥し、水面浮遊性を有する農薬粒状組成物を得た(平均粒径3.2mm)。グラム粒数は34個だった。本製剤の実用投下薬量は250g/10aである。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、割れていた1粒のみが沈降した。なお、浮遊後の粒の崩壊時間は8分であった。また、水面上に露出した部分の割合は11%であった。
【0060】
製 剤 例 3
ピロキロン48部およびポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル2.5部をホワイトカーボン2.5部に吸着させた粉末、アセチレンアルコール2.5部をホワイトカーボン2.5部に吸着させた粉末、酵素変性デキストリン1.5部、塩化カリウム8部および無水芒硝30部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた粉末と、含水マイクロスフェアー10部(成分として1部)を高速撹拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練後、5mmの孔を開けたプレートより押し出し造粒を行いながら、10mmの長さに裁断した。
【0061】
得られた造粒物を横置きにしたドラムに入れ、回転させながら造粒物に転がる動きを与えて成形した後、乾燥入り口温度を65℃として、水分が1.5部となるまで乾燥し、水面浮遊性を有する農薬粒状組成物を得た(平均粒径5.4mm)。グラム粒数は10個だった。本製剤の実用投下薬量は250g/10aである。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、全ての粒が水面に浮遊した。なお、浮遊後の粒の崩壊時間は6分であった。また、水面上に露出した部分の割合は9%であった。
【0062】
製 剤 例 4
メプロニル24部、アルキルナフタレンホルマリン縮合物塩8部およびジアルキルスルホサクシネート3部をホワイトカーボン3部に吸着させた粉末、アセチレンアルコール界面活性剤3部をホワイトカーボン3部に吸着させた粉末、デキストリン2部および粒状尿素31部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた粉末と、発泡シラス20部を高速撹拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練後、3mmの孔を開けたプレートより押し出し造粒を行いながら、8mmの長さに裁断した。
【0063】
得られた造粒物を横置きにしたドラムに入れ、回転させながら造粒物に転がる動きを与えて成形した後、乾燥入り口温度を65℃として、水分が3部となるまで乾燥し、水面浮遊性を有する農薬粒状組成物を得た(平均粒径3.1mm)。グラム粒数は40個だった。本製剤の実用投下薬量は500g/10aである。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、割れていた1粒のみが沈降し、他の粒は水面に浮遊した。なお、浮遊後の粒の崩壊時間は14分であった。また、水面上に露出した部分の割合は13%であった。
【0064】
製 剤 例 5
エトフェンプロックス8部とポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル4部を加温して得られる混合溶液をホワイトカーボン12部に吸着させた粉末、アセチレンアルコール2.5部をホワイトカーボン2.5部に吸着させた粉末、ポリビニルアルコール1部、塩化カリウム10部および無水芒硝57部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた粉末と、含水マイクロスフェアー15部(成分として1.5部)を高速撹拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練後、5mmの孔を開けたプレートより押し出し造粒を行いながら、10mmの長さに裁断した。
【0065】
得られた造粒物を横置きにしたドラムに入れ、回転させながら造粒物に転がる動きを与えて成形した後、乾燥入り口温度を65℃として、水分が1.5部となるまで乾燥し、水面浮遊性を有する農薬粒状組成物を得た(平均粒径5.2mm)。グラム粒数は15個だった。本製剤の実用投下薬量は250g/10aである。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、全ての粒が浮遊した。なお、浮遊後の粒の崩壊時間は12分であった。また、水面上に露出した部分の割合は25%であった。
【0066】
製 剤 例 6
カルタップ塩酸塩24部、アルキルナフタレンホルマリン縮合物塩8部およびジアルキルスルホサクシネート3部をホワイトカーボン3部に吸着させた粉末、アセチレンアルコール界面活性剤3部をホワイトカーボン3部に吸着させた粉末、デキストリン2部および尿素31部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた粉末と、発泡シラス20部を高速撹拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練後、3mmの孔を開けたプレートより押し出し造粒を行いながら、8mmの長さに裁断した。
【0067】
得られた造粒物を横置きにしたドラムに入れ、回転させながら造粒物に転がる動きを与えて成形した後、乾燥入り口温度を65℃として、水分が3部となるまで乾燥し、水面浮遊性を有する農薬粒状組成物を得た(平均粒径3.3mm)。グラム粒数は40個だった。本製剤の実用投下薬量は500g/10aである。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、割れていた1粒のみが沈降し、他の粒は水面に浮遊した。なお、浮遊後の粒の崩壊時間は30秒であった。また、水面上に露出した部分の割合は15%であった。
【0068】
製 剤 例 7
カルタップ塩酸塩24部、アルキルナフタレンホルマリン縮合物塩8部およびジアルキルスルホサクシネート3部をホワイトカーボン3部に吸着させた粉末、アセチレンアルコール界面活性剤3部をホワイトカーボン3部に吸着させた粉末、デキストリン2部および尿素31部を均一に混合後、衝撃式粉砕した。得られた粉末と、発泡シラス20部を高速撹拌機中で均一に混合し、適量の水を加えて混練後、7mmの孔を開けたプレートより押し出し造粒を行いながら、11mmの長さに裁断した。
【0069】
得られた造粒物を横置きにしたドラムに入れ、回転させながら造粒物に転がる動きを与えて成形した後、乾燥入り口温度を65℃として、水分が3部となるまで乾燥し、水面浮遊性を有する農薬粒状組成物を得た(平均粒径6.8mm)。グラム粒数は3個だった。本製剤の実用投下薬量は500g/10aである。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、割れていた1粒のみが沈降し、他の粒は水面に浮遊した。なお、浮遊後の粒の崩壊時間は15分であった。また、水面上に露出した部分の割合は17%であった。
【0070】
比較製剤例 1
製剤例1の農薬粒状組成物について、乾燥入り口温度90℃以上に上げて、水分が0.1%となるまで乾燥し、比較例1の組成物を得た。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、約50粒が沈降し、他の粒は浮遊した。なお、浮遊した粒は、30分を経過しても崩壊しなかった。
【0071】
比較製剤例 2
製剤例1の農薬粒状組成物について、造粒を1.5mmの孔を開けたプレートより押し出し造粒を行いながら、4.5mmの長さに裁断した。得られた造粒物を横置きにしたドラムに入れ、回転させながら造粒物に転がる動きを与えて成形した後、水分が0.8部となるまで乾燥し、水面浮遊性を有する比較製剤例2を得た。グラム粒数は255個だった。本製剤の実用投下薬量は250g/10aである。本製剤100粒を水が張った容器に投入したところ、15粒が沈降し、他の粒は水面に浮遊した。この浮遊した粒も30秒以内に全て沈降し、底でしばらくしてから崩壊した。
【0072】
実 施 例 1
製剤例1で得られた農薬粒状組成物100重量部と製剤例2で得られた農薬粒状組成物100重量部とを取り、均一となるまで攪拌混合して、粒状農薬合剤を得た。
【0073】
実 施 例 2
製剤例1で得られた農薬粒状組成物50重量部、製剤例4で得られた農薬粒状組成物100重量部および製剤例5で得られた農薬粒状組成物50部を取り、均一となるまで攪拌混合して、粒状農薬合剤を得た。
【0074】
実 施 例 3
製剤例1で得られた農薬粒状組成物100重量部と製剤例6で得られた農薬粒状組成物100部とを取り、均一となるまで攪拌混合して、粒状農薬合剤を得た。
【0075】
実 施 例 4
製剤例1で得られた農薬粒状組成物100重量部、製剤例3で得られた農薬粒状組成物100重量部および製剤例5で得られた農薬粒状組成物100部を取り、均一となるまで攪拌混合して、粒状農薬合剤を得た。
【0076】
実 施 例 5
手による直接散布(散布試験1):
製剤例1の農薬粒状組成物250gと製剤例2の農薬粒状組成物250gを10Lビニール袋に取って入り口を絞り、ほぼ均一になるまで上下に揺すって混合した。この混合物を、稲を移植して1週間後の、藻類が発生した図1に示す平均水深5cmの10aの湛水下水田に、一握り当り約20gに分けて、適当な距離を取った25箇所の畦畔からばら撒いた。この時、粒の広がりの最短飛距離は畦畔から2〜6mであった。
【0077】
散布時に、粒が広がった位置にポールを立て、ポール間の距離を測定することで散布面積を算出し、全水田面積に対する散布面積の比率を算出した結果、13.6%であった。また、グラムあたりの平均粒数は23個だった。散布して7日目と30日目に圃場全体の薬効薬害を調べたが、問題となる薬害は認められず、問題となる雑草も認められなかった。
【0078】
実 施 例 6
柄杓による直接散布(散布試験2):
製剤例1の農薬粒状組成物250g、製剤例4の農薬粒状組成物500gおよび製剤例5の農薬粒状組成物250gを10L容バケツに取って、ビニール手袋を装着した手でほぼ均一になるまで混合した。次に、稲を移植して1週間後の、藻類が発生した図2に示す平均水深5cmの10aの湛水下水田に、上記バケツ中の混合物を柄の長さが40cmの柄杓に一回当り40g取り、適当な距離を取った25箇所の畦畔からばら撒いた。この時、粒の広がりの最短飛距離は畦畔から3〜8mであった。
【0079】
散布時に、粒が広がった位置にポールを立て、ポール間の距離を測定することで散布面積を算出し、全水田面積に対する散布面積の比率を算出した結果、19.7%であった。またグラムあたりの平均粒数は26.75個だった。散布して7日目と30日目に圃場全体の薬効薬害を調べたが、問題となる薬害は認められず、問題となる雑草も認められなかった。
【0080】
実 施 例 7
背負い動散による直接散布(散布試験3):
製剤例1の農薬粒状組成物1250gと製剤例6の農薬粒状組成物1250gを、短管噴頭のみ装着した動力散布機の薬剤タンクに充填し、ビニール手袋を装着した手でほぼ均一になるまで掻き混ぜて混合した後蓋をした。稲を移植して1週間後の、藻類が発生した図3に示す平均水深4cmの50aの湛水下水田に、動力散布機のシャッターレバーを瞬間的に開閉する方法で、混合された農薬粒状組成物を畦畔より断続的に飛ばして散布した。この時、粒の広がりの最短飛距離は畦畔から11〜16mであり、製剤1250gを42回で散布した。
【0081】
散布時に、粒が広がった位置にポールを立て、ポール間の距離を測定することで散布面積を算出し、全水田面積に対する散布面積の比率を算出した結果、31.4%であった。また、グラムあたりの平均粒数は26個だった。散布して7日目と30日目に圃場全体の薬効薬害を調べたが、問題となる薬害は認められず、問題となる雑草も認められなかった。
【0082】
実 施 例 8
背負い動散による直接散布(散布試験4):
製剤例1の農薬粒状組成物1250g、実施例3の農薬粒状組成物1250gおよび実施例5の農薬粒状組成物1250gを、短管噴頭のみ装着した動力散布機の薬剤タンクに充填し、ビニール手袋を装着した手でほぼ均一になるまで混合し、蓋をした。稲を移植して1週間後の、藻類が発生した図4に示す平均水深4cmの50aの湛水下水田に、動力散布機のシャッターレバーを調整して畦畔を歩きながら混合された農薬粒状組成物を連続的に散布した。この時、粒の広がりの最短飛距離は畦畔から10mであり、最長飛距離は風上側から25mで、風下側から15mであった。
【0083】
散布時の全水田面積に対する散布面積の比率を算出した結果、37.2%であった。また、グラムあたりの平均粒数は15個だった。散布して7日目と30日目に圃場全体の薬効薬害を調べたが、問題となる薬害は認められず、問題となる雑草も認められなかった。
【0084】
実 施 例 9
無人ヘリコプターによる直接散布(散布試験5):
製剤例1の農薬粒状組成物1250g、実施例2の農薬粒状組成物1250gおよび製剤例6の農薬粒状組成物2500gを、ラジコンヘリの両側の薬剤タンクから装填した。このラジコンヘリを、稲を移植して1週間後の、藻類が発生した図5に示す平均水深4cmの50aの湛水下水田上に飛行させ、4隅の両畦畔から15m離れた4地点と中央部にホバリングした状態でインペラ回転数700rpmで約4秒間、シャッター開度を開けてスポット処理した。この時の粒の広がりは各個所で縦約10m、横約12mであった。
【0085】
散布時の全水田面積に対する散布面積の比率を算出した結果、12.0%であった。また、グラムあたりの平均粒数は31.5個だった。散布して7日目と30日目に圃場全体の薬効薬害を調べたが、問題となる薬害は認められず、問題となる雑草も認められなかった。
【0086】
比 較 例 1
額縁散布(散布試験6):
製剤例1の農薬粒状組成物250gと実施例2の農薬粒状組成物250gをアルミ袋に入れ、稲を移植して1週間後の、藻類が発生した図6に示す平均水深5cmの10aの湛水下水田の畦畔を歩き、足元の水面に少量ずつ落下させながら散布した。この時、粒の広がりの最短距離は畦畔から0.5mであり、落下した幅は0.3mであった。
【0087】
この時の全水田面積に対する散布面積の比率を算出した結果、4.2%であった。散布して7日目と30日目に圃場全体の薬効薬害を調べたが、周辺部で生育抑制の薬害が認められ、中央部と藻類吹き寄せ部ではノビエとホタルイが残存していた。
【0088】
比 較 例 2
動力散布時の製剤分級(散布試験7):
比較製剤例1の農薬粒状組成物1250gと製剤例5の農薬粒状組成物1250gを、短管噴頭のみ装着した動力散布機の薬剤タンクに充填し、ビニール手袋を装着した手でほぼ均一になるまで掻き混ぜて混合し、蓋をした。稲を移植して1週間後の、藻類が発生した図7に示す平均水深4cmの50aの湛水下水田に、動力散布機を瞬間的にシャッターレバーを開閉する方法で、混合された農薬粒状組成物を畦畔より断続的に飛ばして散布した。この時、粒の広がりの最短飛距離は畦畔から9〜14mであり、製剤1250gを42回で散布した。
【0089】
この時、粒が広がった位置にポールを立て、ポール間の距離を測定することで散布面積を算出し、全水田面積に対する散布面積の比率を算出した結果、19.5%であった。また、グラムあたりの平均粒数は135個だった。散布して7日目と30日目に圃場全体の薬効薬害を調べたが、散布開始地点の付近では雑草薬害は認められなかったが、生育抑制の薬害が認められた。散布終了地点の付近では薬害はなかったが、雑草がたくさん存在した。
【0090】
試 験 例 1
拡散性試験1:
実施例5(散布試験1)および比較例1(散布試験6)を実施した10a水田について、散布24時間後に、各水田内の9箇所より水100mlを採取して成分分析した。この分析結果から、散布時の水深と投下成分量の計算値から農薬活性成分が田面水中に均一分散した場合の水中濃度を100とした時に対する濃度比を求めた。さらに9箇所の水中濃度の標準偏差から変動率を求めた。
【0091】
一方、散布1ヶ月後に、各水田内の9箇所において、散布時に2.5葉期の移植稲、1.5葉期のノビエおよび1葉期のホタルイに対する薬効/薬害を観察し、下記薬効/薬害指数で表した。これらの結果を表1および表2に示す。
【0092】
(薬効/薬害指数)
指数 : 内 容
0 : 植物に変化なし。
1 : 無処理区に対して20%の生育阻害あり。
2 : 無処理区に対して40%の生育阻害あり。
3 : 無処理区に対して60%の生育阻害あり。
4 : 無処理区に対して80%の生育阻害あり。
5 : 完全枯死。
【0093】
【表1】
Figure 0004824215
【0094】
【表2】
Figure 0004824215
【0095】
試 験 例 2
拡散性試験2:
実施例7(散布試験3)および比較例2(散布試験7)を実施した50a水田について、散布24時間後に、各水田内の15箇所より水100mlを採取してエトフェンプロックス以外を成分分析した。この分析結果から、散布時の水深と投下成分量の計算値から農薬活性成分が田面水中に均一分散した場合の水中濃度を100とした時に対する濃度比を求めた。さらに15箇所の水中濃度の標準偏差から変動率を求めた。
【0096】
一方、散布30日後に、各水田内の15箇所において、散布時に2.5葉期の移植稲、1.5葉期のノビエおよび1葉期のホタルイに対する薬効/薬害を観察し、前記の薬効/薬害指数で表した。この結果を表3および表4に示す。尚、エトフェンプロックスは水中濃度が極めて低く、稲体や水面に油滴として存在して効果を示すため、水中濃度分析から除外した。なお、比較例2の水田では、局所的にイネミズゾウムシの食害が著しく、生育不良となった稲株が認められたが、実施例7の水田では、イネミズゾウムシの食害がほとんど認められず、生育不良の稲株も認められなかった。
【0097】
【表3】
Figure 0004824215
【0098】
【表4】
Figure 0004824215
【0099】
試験例1および試験例2の表1〜4に示すように、藻類の発生した水田においても、本発明の散布方法による農薬活性成分の拡散性は良好であり、農薬活性成分に期待される効果が発現した。これに対し、比較例は散布時の製剤間の分級が起こるために成分拡散性が劣り、特に藻類の存在地点においては農薬活性成分の効果は不十分であった。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、農薬粒状組成物の有する性質により、藻類が発生した水田やある程度稲株が成育した水田においても、省力的な農薬成分の散布が可能となる。また、複数の農薬粒状組成物を組合せ散布するので、例えば、雑草や病害虫の発生状況に応じて、適当な薬剤を混合し、個々の水田にあわせた農薬成分の散布が可能となる。
【0101】
従って本発明方法は、対象となる水田の状況に応じて省力化された農薬組成物の散布が可能であるので、農業経済上極めて有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例5(散布試験1)で用いた水田である(図中のアルファベットは田面水の採取地点および薬効薬害の観察地点である。以下同じ)
【図2】 実施例6(散布試験2)で用いた水田である。
【図3】 実施例7(散布試験3)で用いた水田である。
【図4】 実施例8(散布試験4)で用いた水田である。
【図5】 実施例9(散布試験5)で用いた水田である。
【図6】 比較例1(散布試験6)で用いた水田である。
【図7】 比較例2(散布試験7)で用いた水田である。
以 上

Claims (11)

  1. 農薬粒状組成物100重量部に対して、農薬活性成分0.1〜70重量部、界面活性剤0.1〜30重量部、マイクロスフェアー、フライアッシュバルーンおよび発泡シラスよりなる群から選ばれる独立または複数の気室を有する物質0.3〜30重量部並びに固体担体5〜80重量部を含有し、水面に浮遊する性質と水面に浮遊後30分以内に水面または水中で崩壊する性質を有する平均粒子径が3〜10mmである農薬粒状組成物の二種以上を散布前に混合し、湛水下水田の畦畔から1m以上の距離で、全水田面積の5%〜50%に当る面積に、直接散布する農薬粒状組成物の散布方法であって、混合前の各農薬粒状組成物の1グラムあたりの平均粒数が、混合後の1グラムあたりの平均粒数に対して0.2〜0.56倍または1.48〜1.8倍の範囲にあり、各農薬粒状組成物の平均粒径の差が40〜62.3%または160.6〜200%の範囲にある農薬粒状組成物の散布方法。
  2. 農薬粒状組成物の水分含有率が、製剤100重量部に対して0.3〜6.0重量部である請求項第1項記載の農薬粒状組成物の散布方法。
  3. 農薬粒状組成物が水稲用のものである請求項第1項または第2項の何れかの項記載の農薬粒状組成物の散布方法。
  4. 農薬粒状組成物100重量部に対して、農薬活性成分0.1〜70重量部、界面活性剤0.1〜30重量部、マイクロスフェアー、フライアッシュバルーンおよび発泡シラスよりなる群から選ばれる独立または複数の気室を有する物質0.3〜30重量部並びに固体担体5〜80重量部を含有し、水面に浮遊する性質と水面に浮遊後30分以内に水面または水中で崩壊する性質を有する平均粒子径が3〜10mmである農薬粒状組成物を二種以上組合せてなり、混合前の各農薬粒状組成物の1グラムあたりの平均粒数が、混合後の1グラムあたりの平均粒数に対して0.2〜0.56倍または1.48〜1.8倍の範囲にあり、各農薬粒状組成物の平均粒径の差が40〜62.3%または160.6〜200%の範囲にあることを特徴とする粒状農薬合剤。
  5. 各農薬粒状組成物の水分含有率が、製剤100重量部に対して0.3〜6.0重量部である請求項第4項記載の粒状農薬合剤。
  6. 各農薬粒状組成物の平均粒径が、それぞれ3mm以上である請求項第4項または第5項の何れかの項記載の粒状農薬合剤。
  7. 各農薬粒状組成物が水稲用のものである請求項第4項第6項の何れか1項に記載の粒状農薬合剤。
  8. 水面施用で有効な除草剤、殺菌剤、殺虫剤および植物成長調節剤から選ばれた農薬成分を含有する農薬粒状組成物を二種以上組合せたものである請求項第4項第7項の何れか1項に記載の粒状農薬合剤。
  9. 水面施用で有効な殺菌剤を含有する農薬粒状組成物と、水面施用で有効な殺虫剤を含有する農薬粒状組成物とを組合せたものである請求項第4項第8項の何れか1項に記載の粒状農薬合剤。
  10. 除草対象雑草が異なる農薬粒状組成物の二種以上を組合せてなる請求項第4項第9項の何れか1項に記載の粒状農薬合剤。
  11. 一年生雑草に有効な除草剤を含有する農薬粒状組成物と、多年生雑草に有効な除草剤を含有する農薬粒状組成物とを組合せたものである請求項第4項第10項の何れか1項に記載の粒状農薬合剤。
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