JP4280017B2 - 水田用農薬固形剤 - Google Patents
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Description
【本発明の属する技術分野】
本発明は水面に直接散布する水田用農薬固形剤、その製造方法及びその散布方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、農薬製剤として、粒剤、粉剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒状水和剤等が知られている。また、最近では環境に対する配慮及び農家の健康に対する意識の高まりから、粉立ちのある剤型が敬遠される傾向にある。さらに、例えば、農家の高齢化、兼業化及び女性労働に負うところが多くなったことから、農薬散布の省力化が叫ばれており、農薬用薬剤の製剤形態の改良が求められている。
【0003】
このため、機械を用いずに処理できるフロアブル剤や、製剤中の有効成分含量を高めて、製剤としての散布量を低減した、いわゆる1Kg粒剤が多く用いられるようになってきた。しかし、フロアブル剤は、例えば、風向きによって、処理時に散布者に飛沫がかかる問題及び空瓶処理の問題があり、また、1Kg粒剤は、例えば、散布器具を必要とすること及び均一散布に難点があることなどの欠点がある。
【0004】
このような状況の下、近年、水田に入らずに畦畔から投げ込むだけで散布可能な省力化製剤が検討されている。これら製剤は、水田に均一に散布されることが前提となる製剤であり、良好な成分拡散性を得るために、農薬活性成分が水面を浮遊し、拡散することが望まれている。このような要望に対し、多くの検討が行われており、最近、農薬の固形製剤を水溶性のフィルムに分包し、この分包を水田に入らずに、畦畔から投げ込むだけで処理可能な省力農薬製剤(すなわち、水田投げ込み用農薬製剤)が提案され(特開平3−173802号公報)、一部は商品化されており、これらは「ジャンボ剤」又は「パック剤」とも呼ばれている。
【0005】
このような水田投げ込み製剤として、農薬活性成分の拡散を目的として水面を浮遊拡展するように調製された各種の農薬固形剤が開発されており、例えば、特公昭48−15613号公報、特公昭47−1240号公報、特開昭53−99327号公報及び特開平9−183701号公報には、水面浮遊性の担体を用いて水田面を浮遊するようにした農薬固形剤が開示されている。
【0006】
しかしながら、これら公報に開示されている農薬固形剤は、稲体が小さく、水面に、雑草、藻、油膜等の障害物がない条件で処理する場合には、風の力にも助けられて、剤粒が水面で広く拡散するので、水田に入らずに畦畔から散布するいわゆる額縁散布でも高い効果を発現するが、稲体が大きくなり、風の力を利用できなくなった後や、水面に浮草、藻、油膜等の障害物がある条件で処理すると、剤粒が自力で拡散しにくいため、有効成分が局在化したりまたは有効成分の拡散に時間を要し、十分な生物効果を発揮できなくなったり、薬害を生じたりすることがある。このような場合には従来の粒剤と同様に、水田に入って散布することが必要となり、労力の軽減という点で好ましくない。
【0007】
このような欠点を解決するために、(1)水面拡展剤として、アセチレン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はジアルキルスルホサクシネート界面活性剤を用いる水田投げ込み製剤(特開平6−336403号公報、特開平8−99802号公報、特許第2766973号公報)、(2)水面拡展剤として、C4〜C10アルキルアルコールのC2 〜C4 アルキレンオキサイド付加物を用いる水田投げ込み製剤(特開2000−351701号公報)(3)水面拡展剤として、比重が1以下の農薬活性成分を用いた水田投げ込み製剤(特開2001−240502号公報)等が提案されている。しかしながら、これらの技術によっても、上記のような水面に障害物がある条件や、稲が大きくなってからの処理では農薬有効成分の十分な拡散が得られず、十分な生物効果を発揮させることができない場合や薬害が生ずる場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、水面拡展性に優れた水田用農薬固形剤を開発すべく鋭意検討した結果、今回、比重が1.15以下であり且つ水溶解度が0.01〜10%の範囲内にある有機溶剤、特に、2−フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、1−メチルナフタレン、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート及び3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールより選ばれる有機溶剤の1種又は2種以上の組み合わせからなる水面拡展剤と、界面活性剤、特に、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩、イソブチレン−マレイン酸共重合物、ポリカルボン酸塩及びポリアクリル酸塩より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなる界面活性剤を、農薬活性成分と共に、水面浮遊性の粒核を含む粒状担体に担持させると、得られる水田用農薬固形剤は水面に障害物がある条件や、稲が大きくなってからの処理でも優れた水面拡展性を示し、また、それを水溶性フィルムに包装すれば、水田に入らずに畦畔から投げ込むだけで散布可能であり、しかも処理地点に農薬活性分が留まることなく、風による吹き寄せもなく、水面に障害物がある条件や、稲体が大きくなってからの処理でも優れた水面拡展性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明は、水面浮遊性の粒核を含む粒状担体に、水面拡展剤、農薬活性成分及び界面活性剤を担持させて製剤化してなる水田用農薬固形剤であって、水面拡展剤が比重1.15以下で且つ水溶解度が0.01〜10%の範囲内にある少なくとも1種の有機溶剤からなることを特徴とする水田用農薬固形剤を提供するものである。
【0010】
本発明は、また、上記の水田用農薬固形剤を水溶性フィルムに分包してなる水田投げ込み用分包を提供するものである。
【0011】
本発明は、さらに、上記の水田用農薬固形剤又は水田投げ込み用分包を用いた、水田有害生物の駆除方法を提供するものである。
【0012】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
水面浮遊性の粒核
本発明の農薬固形剤は、該農薬固形剤を水面に浮かせるための水面浮遊性の粒核を含有する。
【0014】
水面浮遊性の粒核は、微細粒状で、水に難溶性ないし不溶性で且つ水面に浮ぶことのできるものであれば、その材質には特に制限はなく、例えば、発泡シラス、発泡パーライト、発泡軽石及び焼成バーミキュライト等の鉱物性物質;コルク、木粉、セルロース、ケナフ等の植物性物質;発泡ポリスチロール粉粒体、塩化ビニル樹脂粉末等の合成樹脂粉粒体;マツモトマイクロスフェアーF30等のプラスチック中空体;又はこれらの混合物等があげられ、中でも、発泡シラス、焼成バーミキュライト、発泡パーライト及びコルクが好適である。これらは、通常、1以下、特に0.05〜0.9の範囲内の見かけ比重及び4〜1400μm、特に10〜500μmの範囲内の平均粒径を有していることが好ましい。
【0015】
これらの水面浮遊性の粒核の使用量は、用いる粒核の種類や農薬固形剤を構成するその他の成分の種類、量等に応じて変えることができるが、少なくとも最終農薬固形剤を水面に浮かせるだけの量、一般には、最終農薬固形剤の見かけ比重を0.1〜0.8、特に0.2〜0.4の範囲内にするのに必要な量であることができる。具体的には、農薬固形剤の重量を基準にして、一般に1〜90重量%、好ましくは3〜70重量%、さらに好ましくは5〜60重量%の範囲内とすることができる。
水面拡展剤
本発明の農薬固形剤においては、水面拡展剤として、比重が1.15以下、好ましくは0.85〜1.12の範囲内にあり且つ水に対する溶解度(以下、水溶解度という)が0.01〜10%(w/v)、好ましくは0.05〜7%(w/v)の範囲内にある有機溶剤を使用する。なお、本明細書において水溶解度は20℃における測定値である。
【0016】
本発明に従い水面拡展剤として使用される有機溶剤は、上記で特定する比重及び水溶解度を有するものであれば、その種類には特に制限はないが、一般には、沸点が150℃以上、特に約180〜約280℃の範囲内にある比較的高沸点のものが適している。そのような有機溶媒としては、特に、2−フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、1−メチルナフタレン、2−メトキシ−3−メチルブチルアセテート及び3,5,5−トリメチルー1−ヘキサノールが好適であり、これらはそれぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0017】
水面拡展剤としての上記有機溶剤は、通常、水田用農薬固形剤の重量を基準にして、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲内で使用することができる。
界面活性剤
本発明においては、農薬固形剤の水面拡展性をより一層よくするために、上記の有機溶剤に、該有機溶剤と共働して農薬固形剤の水面拡展性をさらに向上させる効果のある界面活性剤が併用される。
【0018】
そのような目的で使用される界面活性剤としては、例えば、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩、イソブチレン−マレイン酸共重合物、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩等があげられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0019】
これらの界面活性剤は、通常、水田用農薬固形剤の重量を基準にして、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは2〜10重量%の範囲内で使用することができる。
【0020】
さらに、本発明の農薬固形剤においては、水面拡展性を向上させる目的で使用される上記の界面活性剤に加えて、必要に応じて、粒核の湿潤、農薬固形剤の崩壊、農薬活性成分の水中への懸濁・分散、製剤時の造粒性の向上等を目的として、上記以外の他の界面活性剤を配合することもできる。
【0021】
使用可能な他の界面活性剤としては、例えば、アルルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホサクシネ−ト、リグニンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルエーテルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルホスフェート塩、脂肪酸塩、イソブチレン−マレイン酸共重合体塩、スチレン−マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチルフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン界面活性;更に、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等があげられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0022】
上記他の界面活性剤は、通常、水田用農薬固形剤の重量を基準にして、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは2〜10重量%の範囲内で使用することができる。
農薬活性成分
本発明の水田用農薬固形剤において使用される農薬活性成分は、水田に発生、生息、飛来する動物性又は植物性の有害生物(本明細書においてこれを水田有害生成物という)、例えば、有害昆虫、有害微生物、雑草等に作用し、それらを枯殺し又は生育を阻害する物質を包含し、具体的には、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤などがあげられる。
【0023】
そのような農薬活性成分は、水面施用処理が可能であれば、特に制約なく使用することができ、液状のものであっても、また固体状のものであってもよい。
【0024】
用いうる殺虫剤としては、例えば、イソキサチオン、ダイアジノン、ダイスルフォトン、プロパホス、トリクロルフォン、ホルモチオン、ジメトエート、モノクロトフォス、アセフェート、カルボフラン、カルボスルフォン、チオシクラム、カルタップ、ベンスルタップ、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、ブプロフェジン、フェノブカルブ、メトールカルブ、プロポクシュア、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド等の浸透移行性殺虫剤;シクロプロトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン等のイネミズゾウムシやイネドロオイムシのような水中又は水面近くに生息する害虫に有効な合成ピレスロイド等があげられる。
【0025】
用いうる殺菌剤としては、例えば、プロベナゾール、イソプロチオラン、イプロベンフォス、トリシクラゾール、ピロキロン、カルプロパミド、オリブライト、アゾキシストロビン、7−フルオロ−1,2,5,6−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3.2.1−i.j]キノリン−4−オン等のイモチ剤;フルトラニル、メプロニル、チフルザミド、フラメトピル、2−(4−フルオロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−3−トリメチルシリルプロパン−2−オール等の紋枯剤;テクロフタラム;ベノミル等があげられる。
【0026】
用いうる除草剤としては、例えば、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラゾキシフェン、ピリブチカルブ、ブロモブチド、ブタミホス、メフェナセット、ベンスルフロン−メチル、アニロホス、ブタクロール、プレチラクロール、チオベンカルブ、クロルニトロフェン、クロメトキシフェン、ダイムロン、ビフェノックス、ナプロアニリド、オキサジアゾン、オキサジアルギル、ベンタゾン、モリネート、ピペロホス、ジメピペレート、エスプロカルブ、ジチオピル、イマゾスルフロン、ベンフレセート、キノクラミン、シンメチリン、MCPAもしくはそのナトリウム塩、カリウム塩等の塩類又はエステル類、2,4−Dもしくはそのナトリウム塩、カリウム塩等の塩類又はエステル類、MCPBもしくはそのナトリウム塩、カリウム塩等の塩類又はエステル類、キンクロラック、ピラゾスルフロンエチル、ペントキサゾン、テニルクロール、インダノファン、クミルロン、シノスルフロン、シメトリン、ジメタメトリン、シハロホップブチル、エトベンザニド、カフェンストロール、エトキシスルフロン、アジムスルフロン、シクロスルファムロン、ピリミノバックメチル、オキサジクロメホン、4−(2−クロロフェニル)−N−シクロヘキシル−4,5−ジヒドロ−N−エチル−5−オキソ−1H−テトラゾール−1−カルボキシアミド(NBA061)、[3−(2−クロロ−4−メチルスルホニルベンゾイル)−4−フェニルチオ]ビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン(ベンゾビシクロン、SB−500)、メチル=N−[4−(ベンゾチアゾール−2−イルメトキシ)−2−メチルフェニル]カルバマート、メチル=N−[4−(ベンゾオキサゾール−2−イルメトキシ)−2−メチルフェニル]カルバマート等の水田除草剤があげられる。
【0027】
用いうる植物生長調節剤としては、例えば、イナベンフィド、パクロブトラゾール、ウニコナゾール、トリアペンテノールがあげられる。
【0028】
以上に述べた如き農薬活性成分はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
農薬活性成分の使用量は、その種類、活性の程度、使用目的等に応じて広範囲にわたって変えることができるが、一般的には、水田用農薬固形剤の重量を基準にして、0.05〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは1〜40重量%の範囲内とすることができる。
その他の添加剤
本発明の水田用農薬固形剤には、以上に述べた水面拡展剤、界面活性剤及び農薬活性成分の他に、必要に応じて、例えば、水面浮遊剤、崩壊剤・分散剤、湿潤剤、粘結剤、増量剤、造粒性向上剤、溶剤、安定剤等のその他の添加剤を含有せしめることもできる。
【0030】
例えば、本発明の水田用農薬固形剤には、粉末原料を造粒して粒剤を調製する場合に、粒に硬度を付与するために、粘結剤を配合することができる。用いうる粘結剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、澱粉、還元澱粉糖化物、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グァーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等があげられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
用いられる粘結剤の量には特に制限はないが、通常、水田用農薬固形剤の重量を基準にして、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは2〜10重量%の範囲内が適している。
【0032】
また、本発明の水田用農薬固形剤には増量剤を配合することができる。用いうる増量剤としては、一般に農薬のキャリヤーとして用いられるものが同様に使用可能であり、例えば、無機担体として、クレー、ベントナイト、タルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ジークライト、セリサイト、酸性白土、珪石、珪藻土、軽石、ゼオライト、バーミキュライト、塩化カリウム、尿素、ホワイトカーボン、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、パーライト、硫酸マグネシウム、アタパルジャイト等;有機担体として、グルコース、マルトース、シュークロース、ラクトース等があげられる。これらの増量剤はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
上記増量剤の配合量には特に制限はないが、通常、水田用農薬固形剤の重量を基準にして、0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜60重量%、更に好ましくは2〜25重量%の範囲内の量で用いることができる。
【0034】
さらに、本発明の水田用農薬固形剤には、製剤中での農薬活性成分の安定化又は製剤の物理性の安定化等のために、必要に応じて、安定剤を配合することができる。用いうる安定剤としては、例えば、pH調節剤、酸化防止剤、光安定剤、揮散防止剤、固体酸活性の防止剤、色素又は乾燥剤等が包含される。
水田用農薬固形剤の製造
本発明の水田用農薬固形剤は、以上に述べた各成分を通常の農薬製剤の調製法に準じて造粒することにより粒剤とすることができる。具体的には、例えば、1)農薬活性成分、水面浮遊性の粒核、水面拡展剤、界面活性剤及びその他の添加剤の混合物を加水混練し、押し出し造粒機にて造粒後、乾燥し、整粒する方法;2)水面浮遊性の粒核を前述した増量剤等のその他の添加剤と共に予め粒状に成形した水面浮遊性の粒状担体を撹拌混合機に仕込み、撹拌しながら、液状もしくは液状化した農薬活性成分又はその濃厚プレミックスを加えて吸収担持させる方法、等の方法によって製造することができる。
【0035】
上記2)の方法において、予め成形される粒状担体は、通常、1以下、特に0.2〜0.5の範囲内の見かけ比重を有することができ、また、0.3〜5mm、特に0.5〜2mmの範囲内の粒径を有していることが好ましい。さらに、上記2)の方法において、水面拡展剤、界面活性剤及びその他の添加剤は、粒状担体と共に撹拌混合機に仕込むことができ及び/又は農薬活性成分又はその濃厚プレミックスに予め混合しておいてもよい。
【0036】
かくして製造される農薬固形剤の粒の形状は特に制限されるものではなく、例えば、円柱状、球状、錠剤状、不定形等の形態をとることができ、また、その粒径は、通常、0.1〜10mm、好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.5〜2mmの範囲内が適当である。
【0037】
また、本発明の水田用農薬固形剤は、水中に投じたとき、崩壊性の粒剤でも非崩壊性の粒剤でも所望の効果を発揮する。
【0038】
本発明の水田用農薬固形剤は、場合により、水溶性フィルムに分包することにより、水田投げ込み型の製剤とすることもできる。
【0039】
本発明の水田用農薬固形剤を水溶性フィルムに分包とする場合の水溶性フィルムは、水に迅速に溶解又は分散するような性質を有するものが好ましく、用いうる水溶性フィルムの材質としては、例えば、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体、プルランフィルム、ポリエチレンオキサイドもしくはその誘導体等があげられ、特に、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体が好適である。
【0040】
水溶性フィルムの厚さは特に制限されないが、通常、20〜80μm、好ましくは30〜50μmの範囲内が適当である。
【0041】
水溶性フィルムの端部は糊で封じてもよく、又はヒートシールしてもよい。
【0042】
水田に投げ込み処理をするための分包の重量は、通常、1パック当たり10〜200g、好ましくは25〜100gの範囲内とすることができる。
【0043】
水田に投げ込み処理をするための分包は、必要に応じて、紙、樹脂又はこれらにアルミ箔を貼り合わせたり、アルミやシリカを蒸着したもの、金属、木材等から作製された袋、箱又は瓶で外装することができる。
【0044】
本発明の水田用農薬固形剤は分包化しない場合も上記分包を外装するのと同様に包装することができる。
【0045】
本発明の水田用農薬固形剤は物理性の点では、吸湿に対して経時的に安定である。従って、発泡剤を含有する製剤に比べ吸湿に対して注意を払う必要はないが、水溶性フィルムは水がかかると破れてしまうので、適当な防水加工を施した外装を用いることが望ましい。
施用法
本発明の水田用農薬固形剤は、通常の粒剤と同様に、水田に入って均一処理することもできるが、水面における拡散性がきわめて良好であるので、1)畦畔に沿って水田中に振り込み処理する(額縁散布)か、又は2)水田に水を入れる際に水口を処理し、潅漑用水とともに水田中に拡散させる(水口処理)等の方法で施用することができる。
【0046】
また、本発明の水田用農薬固形剤を水溶性フィルムに分包とした水田投げ込み用分包は、1)畦畔等から投げ込み処理する(投げ込み処理)か、又は2)水田に水を入れる際に水口を処理し、潅漑用水とともに水田中に拡散させる(水口処理)等の方法で施用することができる。
【0047】
本発明の水田用農薬固形剤又は水田用農薬固形剤を水溶性フィルムに分包とした水田投げ込み用分包は、水面に障害物のある圃場や稲体の大きくなった圃場でも、農薬活性成分を水田中に均一に拡散することができ、薬害を生じることなく、十分な生物効果をあげることができる。
【0048】
本発明の水田用農薬固形剤を水溶性フィルムに分包とした水田投げ込み用分包は、水面で広範囲に拡展し、農薬活性成分も広範囲に拡散するから、通常の大きさの水田では、無理に遠くまえ投げ入れる必要はなく、畦畔から2〜5m先の水面に投げ込む程度で十分である。
【0049】
本発明の水田用農薬固形剤を水溶性フィルムに分包とした水田投げ込み用分包の水田10a当たりの投げ込み個数は、好ましくは1〜30個、さらに好ましくは5〜20個である。
【0050】
【実施例】
以下、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。以下「部」は重量部を表す。
【0051】
なお、実施例1〜14で用いる水面拡展剤の比重、水溶解度は下記表−1に示すとおりである。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例1
インダノファン3部、シメトリン8部、MCPB−E4.8部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート2部、カルボキシメチルセルロ−ス8部、珪藻土10部及び発泡シラス52.2部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリ−ンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−1)を得る。
【0054】
実施例2
インダノファン3部、シメトリン8部、MCPB−E4.8部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、2−フェノキシエタノール2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス52.2部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100重量%に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリ−ンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−2)を得る。
【0055】
実施例3
インダノファン3部、シメトリン8部、MCPB−E4.8部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、1−フェノキシ−2−プロパノール2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス52.2部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリ−ンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−3)を得る。
【0056】
実施例4
インダノファン3部、シメトリン8部、MCPB−E4.8部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、1−メチルナフタレン2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス52.2部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−4)を得る。
【0057】
実施例5
インダノファン3部、シメトリン8部、MCPB−E4.8部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス52.2部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−5)を得る。
【0058】
実施例6
フェントラザミド6部、ブロモブチド18部、ベンゾフェナップ18部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、1−フェノキシ−2−プロパノール2部、カルボキシメチルセルロース10部、及び発泡シラス36部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水45部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリ−ンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−6)を得る。
【0059】
実施例7
ベンゾビシクロン4部、ベンゾフェナップ16部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、イソブチレン−マレイン酸共重合物2部、1−フェノキシ−2−プロパノール2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土3部、及び発泡シラス55部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水50部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−7)を得る。
【0060】
実施例8
アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリアクリル酸塩2部、カルボキシメチルセルロース10部、コルク15部、珪藻土5部及び発泡シラス22.2部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物64.2部に対して水45部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して、浮遊性空粒を得る。浮遊性空粒64.2部に撹拌混合機に仕込み、撹拌しながら、アニロホス8部、ベンフレセート12部、シメトリン9部、MCPB−E4.8部及び1−フェノキシ−2−プロパノール2部の混合物を50℃に加温し溶解した液を加えて吸収させて水田用農薬固形剤(実施例−8)を得る。
【0061】
実施例9
アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩2部、カルボキシメチルセルロース2部、コルク15部、珪藻土20部及び発泡シラス28.1部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物67.1部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリ−ンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して、浮遊性空粒を得る。浮遊性空粒67.1部を撹拌混合機に仕込み、撹拌しながら、モリネート24部、シメトリン4.5部、MCPB−E2.4部及び1−フェノキシ−2−プロパノール2部の混合物を50℃に加温し溶解した液を加えて吸収させて水田用農薬固形剤(実施例−9)を得る。
【0062】
実施例10
ピロキン10部、フラメトピル3部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート2部、カルボキシメチルセルロ−ス8部、珪藻土10部及び発泡シラス55部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−10)を得る。
【0063】
実施例11
イソプロチオラン36部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート2部、カルポキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス32部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−11)を得る。
【0064】
実施例12
イミドクロプリド2部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス66部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(実施例−12)を得る。
【0065】
実施例13
実施例−1の水田用農薬固形剤をポリビニルアルコール製の水溶性フィルム袋に、1袋当たり50gを入れ、ヒートシールして密封し、水田投げ込み用分包(実施例−13)を得る。
【0066】
実施例14
実施例−9の水田用農薬固形剤をポリビニルアルコール製の水溶性フィルム袋に、1袋当たり100gを入れ、ヒートシールして密封し、水田投げ込み用分包(実施例−14)を得る。
【0067】
比較例1〜6で用いる水面拡展剤の比重、水溶解度は下記表−2に示すとおりである。
【0068】
【表2】
【0069】
比較例1
インダノファン3部、シメトリン8部、MCPB−E4.8部、ジメチルプロピレングリコール2部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス52.2部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(比較例−1)を得る。
【0070】
比較例2
インダノファン3部、シメトリン8部、MCPB−E4.8部、ジメチルプロピレングリコール2部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩2部、ジオクチルスルホサクシネート10部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス52.2部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(比較例−2)を得る。
【0071】
比較例3
アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩2部、カルボキシメチルセルロース2部、コルク15部、珪藻土20部及び発泡シラス30.1部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物67.1部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して、浮遊性空粒を得る。浮遊性空粒69.1部を撹拌混合機に仕込み、撹拌しながら、モリネート24部、シメトリン4.5部、及びMCPB−E2.4部、2−エトキシエチルアセテート2部の混合物を50℃に加温し溶解した液を加えて吸収させて水田用農薬固形剤(比較例−3)を得る。
【0072】
比較例4
ピロキン10部、フラメトピル3部、2−エトキシエチルアセテート2部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス57部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(比較例−4)を得る。
【0073】
比較例5
イソプロチオラン36部、ジプロピレングリコールモノメチルアセテート2部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、カルボキシルメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス32部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(比較例−5)を得る。
【0074】
比較例6
イミドクロプリド2部、3−メトキシ−3−メチル1−ブタノール2部、アルキルアリルスルホネート無機リン酸塩10部、ポリカルボン酸塩2部、カルボキシメチルセルロース8部、珪藻土10部及び発泡シラス66部を混合容器に秤り込み、万能混合機で5分間混合し、この混合物100部に対して水80部を添加した後、更に5分間混練する。この混練物を1.5mm径のスクリーンを付けたバスケット型造粒機(畑鉄工所株式会社製)で造粒し、整粒後の粒を乾燥し、得られた粒を篩い分け(2.38〜0.5mm)して水田用農薬固形剤(比較例−6)を得る。
【0075】
次に、以上の実施例1〜14ならびに比較例1〜6で得られた水田用農薬固形剤の効果を以下の試験例1〜2により評価した。
【0076】
試験例1(水面拡展性試験)
無風の室内に、幅45cm、長さ7.2m、深さ10cmの木枠を水平に設置した。木枠の内面にポリエチレンシートを張り、水を入れて水深5cmに調整した。水面の乱れが静まった後、実施例1〜9、11、13及び比較例1、2、4、6の水田用農薬固形剤は1.62g、実施例10、12及び比較例3、5の水田用農薬固形剤は3.24gをそれぞれ木枠の端から内側10cmの位置に投入した。処理30分、3時間、6時間及び24時間後に、図1に示す投入点及び投入点より、1、3、5、7m離れた地点で、水深2cmの位置の農薬有効成分の水中濃度を測定することにより、水田用農薬固形剤の水面拡展性を調査した。その結果を表3〜11に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】
【表9】
【0084】
【表10】
【0085】
【表11】
【0086】
上記表3〜11から明らかなように、本発明の水田用農薬固形剤は、比較例の水田用農薬固形剤に比べて、農薬有効成分の拡散が速く、且つ水中における農薬有効成分の均一性が良好であった。
【0087】
試験例2(圃場における農薬有効成分の均一性と除草効果及び薬害)
20×50mに区切った水田に田植えをした。ノビエ3葉期に水深5cmになるように調整し、実施例13及び実施例14の水田投げ込み用分包を図2に示す地点に投入した。散布24時間後に図2に示す地点(A〜M)より水を採取し、農薬有効成分の水中濃度を分析して求めた。その結果を表12、13に示す。
【0088】
【表12】
【0089】
【表13】
【0090】
更に、水田投げ込み用分包処理40日後に、水採取地点A〜Mのノビエに対する除草効果及び薬害を調べたところ、処理区では、どの地点においても、ノビエの残草はなく、薬害も認められなった。
【0091】
以上のように、本発明の実施例13及び実施例14の水田投げ込み用分包は、圃場において、農薬有効成分の水田中での拡散が良く、処理1日後には、ほぼ圃場全体に均一に広がり、除草効果も良好であった。
【0092】
【発明の効果】
本発明の水田用農薬固形剤は、農薬有効成分の拡散が速く、水中における農薬有効成分の均一性が良好である。また、本発明の水田用農薬固形剤を水溶性フィルムで包装した水田投げ込み用分包は、水田に直接投げ入れても、水面拡展性が良く、水田における農薬有効成分が水田全体に均一拡散する効果を有する。したがって、本発明の水田用農薬固形剤及び水田投げ込み用分包は、農家が安心して使用することができ、水田農業の省力化に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における水田用農薬固形剤の投入点と農薬有効成分濃度測定位置を示す図である。
【図2】試験例2における水田用農薬固形剤の投入点と農薬有効成分濃度測定位置を示す図である。
Claims (11)
- 水面浮遊性の粒核を含む粒状担体に、水面拡展剤、農薬活性成分及び界面活性剤を担持させて製剤化してなる水田用農薬固形剤であって、水面拡展剤が比重1.15以下で且つ水溶解度が0.01〜10%の範囲内にある2―フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート及び3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールより選ばれる少なくとも1種の有機溶剤であり、界面活性剤がアルキルアリルスルホネート無機リン酸塩、イソブチレン−マレイン酸共重合物、ポリカルボン酸塩及びポリアクリル酸塩より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする水田用農薬固形剤。
- 水面浮遊性の粒核が発泡シラス、焼成バーミキュライト、発泡パーライト及びコルクより選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載の水田用農薬固形剤。
- 粒状担体が水面浮遊性の粒核及び増量剤を含む予め成形された粒である請求項1又は2に記載の水田用農薬固形剤。
- 水田用農薬固形剤が粒径0.1mm〜10mmの粒剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水田用農薬固形剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水田用農薬固形剤を水溶性フィルムに分包してなる水田投げ込み用分包。
- 水溶性フィルムがポリビニルアルコール又はその誘導体よりなるフィルムであることを特徴とする請求項5に記載の水田投げ込み用分包。
- 分包の重量が1パックあたり10g〜200gである請求項5又は6に記載の水田投げ込み用分包。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水田用農薬固形剤を畦畔に沿って水田に振り込み処理することを特徴とする水田有害生物の駆除方法。
- 水田に水を入れる際に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水田用農薬固形剤で水口処理し、該農薬固形剤を灌漑用水とともに水田中に拡散させることを特徴とする、水田有害生物の駆除方法。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載の水田投げ込み用分包を10aあたり1〜30個、水田に投げ込み処理することを特徴とする、水田有害生物の駆除方法。
- 水田に水を入れる際に、請求項5〜7のいずれか1項に記載の水田投げ込み用分包で水口を処理し、該農薬固形剤を灌漑用水とともに水田中に拡散させることを特徴とする、水田有害生物の駆除方法。
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