JP4623783B2 - 農薬固形製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、均一散布性良好な低用量粒状農薬固形製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粒剤などの粒状農薬固形製剤は10a当たり3〜4kg散布されていた。近年、散布労力の軽減、原料や包材等の資材の削減、輸送や保管管理費の節減などを目的にして、10a当たり1kg散布すればよいように設計された、いわゆる“1kg粒剤”が実用化されるようになった。
しかし、このような製剤は散布する量が少なくなるため、散布所要時間を制御し、均一に散布することは難しい。例えば従来の1kg粒剤は単位面積当たりの散布所要時間が3〜4kg粒剤に比べて短いために、散布途中で散布機が空になってしまい、結果として均一に散布できなくなるといった不都合もあった。1kg粒剤の出荷量が減少に転じ、1kg粒剤の出現によって大きく減少した従来の3kg/10a散布用製剤の出荷量が再び増加し始めた原因の一つに、このような散布における不均一性への問題があると考えられる。
1kg粒剤よりも更に散布量を少なくした、“500g粒剤”や“250g粒剤”も検討されているが、これらの製剤は散布機で散布すると、従来の1kg粒剤よりも単位面積当たりの散布時間はさらに短くなり、散布機による均一散布はさらに困難となる。
そこで、これらの製剤は自己拡散能力を付与することにより、散布機を使用しない畦畔からの手撒き散布などが、散布方法として検討されている。しかし、水面上の障害物、風による吹き寄せの影響を受けやすく、これらの障害を回避するため、散布機による散布も望まれていた。
また、これらの低用量製剤は、用量が低くなっても10a当たりの有効成分の投薬量は変わらないため、有効成分含量は大幅に高くなる。農薬製剤に一般に使用される増量剤である、クレーや炭酸カルシウム、タルク等と比較すると、有機粉末である有効成分の比重は非常に軽い。したがってこれらの低用量製剤の見掛け比重は、従来の3kg/10a製剤と比較して軽いものが多い。このため、これら低用量製剤の散布機による散布は、飛距離が不足し、均一散布の障害になっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、散布用低用量粒状農薬固形製剤の均一散布性の改善にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記した状況に鑑み鋭意研究した結果、低比重増量剤を使用して見掛け比重0.3〜0.8、粒子径0.8〜5.0mmの製剤とすることにより、重量に対して嵩が大きく、単位面積当たりの散布に必要な散布時間が十分確保できる低用量粒状農薬固形製剤が得られることを見出した。この知見に基づき、さらに研究して本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は
〔1〕見掛け比重が0.3〜0.8、粒子径が0.8〜5.0mmであることを特徴とする散布用低用量粒状農薬固形製剤、
〔2〕農薬活性成分および低比重増量剤を含有することを特徴とする上記〔1〕項記載の農薬固形製剤、
〔3〕粒子径が0.8〜1.7mmの粒剤である上記〔1〕項記載の農薬固形製剤、
〔4〕低比重増量剤が無機粉末、合成樹脂粉末、天然樹脂粉末および植物質微粉から選ばれる1種以上である上記〔2〕項記載の農薬固形製剤、
〔5〕水田10a当り200g〜2kg散布される上記〔1〕項記載の農薬固形製剤、および
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕項のいずれかに記載の農薬固形製剤を、湛水下水田に散布器具により散布する方法に関する。
【0006】
本発明において定義される「見掛け比重」とは、農薬公定検査法に準じた方法により得た測定値を意味する。農薬公定検査法に準じた方法とは、内径50mm容積100mLの金属製円筒容器の上(フルイ網と容器上縁との距離を20cmとする。)に、目開き2000μmの標準フルイをおき、これに試料を入れ、ハケで軽くはき落として容器を満たす。ただちにスライドグラスを用いて余剰分をすり落として秤量し、内容物の重量(Ag)を求め、次の式によって見掛け比重を算出する。
見掛け比重の算出式 : 見掛け比重=A/100
【0007】
本発明において定義される「粒子径」とは、フルイの目開きによって得られるパラメータを示し、例えば「粒子径0.8mm〜5.0mmの粒子」の場合、目開き5.0mmのフルイを通過し、目開き0.8mmのフルイを通過しない粒子を意味する。
本発明において定義される「低用量」とは、農薬固形製剤散布量の水田10a当たりの散布量が200g〜2kg程度であることを意味する。
【0008】
本発明の製剤の剤型は粒剤、顆粒水和剤などの粒状固形製剤であり、特に粒剤が好ましい。
農薬固形製剤の粒子径は0.8〜5.0mm(好ましくは0.8〜1.7mm)にすることにより、製剤を散布した際に十分な散布距離を得ることが可能となる。(散布距離とは農薬固形製剤を散布した際の飛距離を意味し、到達距離、散布幅と称されることもある。)
【0009】
散布方法は、通常の粒状農薬固形製剤(例、粒剤)と同様の方法を用いることができ、例えば、散布機による散布、手動式あるいはモーター式散粒機による散布、畦畔からの手撒き散布、水口施用、ラジコンもしくは有人ヘリコプター等による空中散布、ラジコンモーターボートによる散布、田植同時散布、土壌散布、茎葉散布、育苗箱散布、側条施用、種子処理などが挙げられる。
特に、湛水下水田に散布器具により散布するのが好ましい。散布器具とは、動力式散布機、手動式あるいはモーター式散粒機による散布を示すが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本発明の農薬固形製剤の使用量は、含まれる農薬活性成分の種類や含量、施用場所などによって異なるが、通常、水田10アール当たり約200g〜約2kg、好ましくは約500g〜約1kgである。農薬活性成分の使用量としては、上記水田10アール当たり約2g〜約1kg、好ましくは、約4g〜約600gである。
【0011】
本発明で用いられる低比重増量剤としては、有機または無機の非水溶性の粉体が用いられ、水に浮くものであれば、使用可能である。
例えば、真比重値が1.0以下のものとして、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、尿素樹脂粉末、プラスチック中空体等の合成樹脂粉末、ライスワックス、カルナバワックス等の天然樹脂粉末などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、真比重値が1.0以上であるが、多孔質中に含まれる空気により水に浮くものとして、珪藻土、パーライト、シラスバルーン等の無機粉末、木粉、草粉、モミガラ、トウモロコシ芯などを粉砕したものや、セルロース粉などの植物質微粉などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、必要であれば2種類以上(好ましくは、2〜3種類)を混合することも可能である。特に、プラスチック中空体が好ましい。
本発明で用いられるプラスチック中空体は、樹脂を発泡させ中空体としたものである。樹脂の例として、アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
該低比重増量剤の添加率は製剤全体に対して一般的には0.2〜90重量%程度であるが、具体的にはその添加率は低比重増量剤の真比重に依存し、農薬固形製剤の見掛け比重が、0.3〜0.8になるように添加率を低比重増量剤の種類により適宜調整する。
【0012】
上記した低比重増量剤に加えて、製剤の見掛け比重が0.3〜0.8となる範囲で農薬製剤に一般に使用される増量剤を併用することができる。このような増量剤としては、水溶性、非水溶性のいずれのものも使用することができる。たとえば、尿素、硫安、塩化アンモニウム、塩化カリウム等の水溶性肥料、乳糖、ブドウ糖等の可溶性の糖、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等の無機塩、ベントナイト、ジークライト、タルク、酸性白土、珪藻土、クレー、アルミナ、ホワイトカーボン等の鉱物質微粉が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、必要であれば2種類以上(好ましくは、2〜3種類)を混合することも可能である。
【0013】
本発明で用いられる農薬活性成分としては、一般に農薬として用いられるものであれば何れのものでも用いることができ、たとえば、下記するような除草剤、殺虫剤、殺菌剤や、殺ダニ剤(例、クロルベンジレートなど)、植物生長調整剤(例、パクロブトラゾールなど)、殺線虫剤(例、ベノミルなど)、誘引剤(例、オイゲノールなど)、忌避剤(例、クレオソートなど)などが用いられる。とりわけ、水面施用において有効な除草剤、殺虫剤、殺菌剤が好適に用いられる。上述した農薬活性成分は、単独でまたは2種以上(好ましくは、2〜5種類)を混合して用いることができる。除草剤、殺虫剤、殺菌剤にはさらに共力剤(例、ピペロニルブトキサイドなど)、色素(例、食用青色1号など)、肥料(例、尿素など)などを適宜混合してもよい。ここで水面施用とは、水田などの水面に投入することを意味し、農薬活性成分がその活性を示す場所は水表面に限定されない。
本発明において有効な除草剤としては、たとえば、下記の(i)〜(xii)などが用いられる。
(i)フェノキシ系除草剤、たとえば、2,4−D、MCPA、MCPCA、MCPB、クロメプロップ(chlomeprop)、ナプロアニリド(naproanilide)など。
(ii)ジフェニルエーテル系除草剤、たとえば、クロルニトロフェン(chlornitrofen)、クロメトキシニル(chlomethoxynil)、ビフェノックス(bifenox)、シハロホップブチル(cyhalofop-butyl)など。
(iii)カルバメート系除草剤、たとえば、スエップ(swep)、チオベンカルブ(thiobencarb)、エスプロカルブ(esprocarb)、モリネート(molinate)、ジメピペレート(dimepiperate)、ピリブチカルブ(pyributicarb)など。
(iv)酸アミド系除草剤、たとえば、プロパニル(propanil)、ブタクロール(butachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、ブロモブチド(bromobutide)、メフェナセット(mefenacet)、エトベンザニド(etobenzanid)、テニルクロール(thenylchlor)など。
(v)尿素系除草剤、たとえば、ダイムロン(dymron)など。
(vi)スルホニル尿素系除草剤、たとえば、ベンスルフロン-メチル(bensulfuron-methyl)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、ピラゾスルフロン-エチル(pyrazosulfuron-ethyl)、シノスルフロン(cinosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、サイクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)など。
(vii)トリアジン系除草剤、たとえば、シメトリン(simetryn)、プロメトリン(prometryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)など。
(viii)ダイアジン系除草剤、たとえば、ベンタゾン(bentazone)など。
(ix)ダイアゾール系除草剤、たとえば、オキサジアゾン (oxadiazon)、ピラゾレート(pyrazolate)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ベンゾフェナップ(benzofenap)など。
(x)ジニトロアニリン系除草剤、たとえば、トリフルラリン(trifluralin)など。
(xi)脂肪酸系除草剤、たとえば、ダラポン(dalapon)など。
(xii)有機リン系除草剤、たとえば、ピペロホス(piperophos)など。
(xiii)ニトリル系除草剤、たとえば、クロルチアミド(chlorthiamid)など。 (xiv)その他の除草剤、たとえば、ジチオピル(dithiopyr)、ペントキサゾン(pentoxazone)、カフェンストロール(cafenstrole)、フェントラザミド(fentrazamide)、NOJ100(ノバルティスアグロ(株)、試験番号)、ベンゾビシクロン(benzobiyclon)、オキサジメクロホン(oxaziclomefone)など。
また、本発明において有効な殺虫剤としては、たとえば(i)〜(iv)、殺菌剤としては、たとえば (v)〜(xiii)などが用いられる。
(i)有機リン系殺虫剤、たとえば、フェンチオン(fenthion)、フェニトロチオン(fenitrothion)、ピリミホス-メチル(pirimiphos-methyl)、ダイアジノン(diazinon)、キナルホス(quinalphos)、イソキサチオン(isoxathion)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、クロルピリホス-メチル(chlorpyrifos-methyl)、バミドチオン(vamidothion)、マラチオン(malathion)、フェントエート (phenthoate)、ジメトエート(dimethoate)、ジスルホトン(disulfoton)、モノクロトホス(monocrotophos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、プロパホス(propaphos)、アセフェート(acephate)、サリチオン(salithion)、トリクロルホン(trichlorphon)、EPN、ピラクロホスなど。
(ii)カルバメート系殺虫剤、たとえば、カルバリル(carbaryl)、メトルカルブ(metolcarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)(MIPC)、BPMC、プロポキスル(propoxur)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、メソミル(methomyl)、チオジカルブ(thiodicarb)など。
(iii)合成ピレスロイド系殺虫剤、たとえば、シクロプロトリン(cycloprothrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)など。
(iv)その他の殺虫剤、たとえば、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、ブプロフェジン(buprofezin)、カルボフラン(carbofuran)、フラチオカルブ(furathiocarb)、シアノフェンホス(cyanofenphos)、ニテンピラム(nitenpyram)、クロチアニジン(clotianidin)など。
(v)ポリハロアルキルチオ系殺菌剤、たとえば、キャプタン(captan)など。
(vi)有機塩素系殺菌剤、たとえば、TPN、フサライド (fthalide)、モンガード(monguard)など。
(vii)有機リン系殺菌剤、たとえば、エジフェンホス(edifenphos)、IBP(iprobenfos)など。
(viii)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、たとえば、チオファネート-メチル(thiophanate-methyl)、ベノミル(benomyl)など。
(ix)カルボキシアミド系殺菌剤、たとえば、メプロニル (mepronil)、フルトラニル(flutolanil)、テクロフタラム(tecloftalam)、ペンシクロン(pencycuron)など。
(x)アシルアラニン系殺菌剤、たとえば、メタラキシル (metalaxyl)など。
(xi)N-ヘテロ環系エルゴステロール阻害剤、たとえば、トリフルミゾール(triflumizole)など。
(xii)抗生物質系殺菌剤、たとえば、カスガマイシン(kasugamycin)、バリダマイシンA(validamycin A)など。
(xiii)その他の殺菌剤、たとえば、プロベナゾール(probenazole)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、トリシクラゾール(tricyclazole)、ピロキロン(pyroquilon)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、フェリムゾン (ferimzon)、イプロジオン(iprodione)など。
上記した農薬活性成分のなかでも特に、イマゾスルフロン、ダイムロン、プレチラクロール、カフェンストロール、フェントラザミド、NOJ100、ベンゾビシクロンなどの除草剤が好ましい。
該農薬活性成分は製剤全体に対して1.0〜50.0重量%、好ましくは2.0〜30.0重量%用いられる。
【0014】
また、本発明の製剤には、必要により、結合剤を加えてもよい。該結合剤としては、たとえば、デキストリン、アルファデンプン、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、リグニンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
該結合剤は製剤全体に対して0.5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%用いられる。また、必要であれば2種類以上(好ましくは、2〜3種類)を混合することも可能である。
【0015】
また、本発明の製剤には、必要により、界面活性剤を加えてもよい。界面活性剤としては、たとえば、アニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤が挙げられ、それらの具体例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホネート(例、ネオペレックスNo.6Fパウダー(花王(株)製)、ニューカルゲンWG−3(竹本油脂(株)製))、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例、エマルミン110(三洋化成工業(株)製)、エマルゲン404(花王(株)製))、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(エマルゲン903(花王(株)製)、ノニポール110(三洋化成工業(株)製))、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート(ニューカルゲンNX−360(竹本油脂(株)製))、例えば、ジオクチルスルホサクシネート(ペレックスOT−P(花王(株)製)、サンモリンOT70(三洋化成工業(株)製)、ネオコールYSK(第一工業製薬(株)製)、エアロールCT−1(東邦化学(株)製)、ニューカルゲンEP−70G(竹本油脂 (株)製)),ジトリデシルスルホサクシネート(例、ペレックスTR(花王(株)製),ジシクロヘキシルスルホサクシネート(例、ペレックスCS(花王(株)製)などのジアルキルスルホサクシネート、さらにサーフィノール104、104A、104E、104H、TG、TG-E、PC、61、82、40、465(何れもエア・プロダクツ社製)、オルフィンE1010、E1004(何れも日信化学工業製)等の商品名で知られているアセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、単独で、あるいは必要に応じて2種以上を任意の割合に混合して用いてもよい。これらのうち特にジオクチルスルホサクシネート、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。界面活性剤に、さらに分散剤および湿潤剤として、リグニンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩、例えば、ポリカルボン酸金属塩,ポリカルボン酸アンモニウム塩などのポリカルボン酸塩等を製剤中に加えても良い。これらのうち特に高級アルコール硫酸エステル塩(例、ニューカルゲンWG−6(竹本油脂(株)製))、ポリカルボン酸金属塩(例、ニューカルゲンWG−5(竹本油脂(株)製))が好ましい。
該分散剤および湿潤剤の量は、製剤全体に対して約0.1〜20重量%、好ましくは約0.5〜15重量%、さらに好ましくは約1〜10重量%である。また、必要であれば2種類以上(好ましくは、2〜3種類)を混合することも可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の農薬固形製剤は、農薬活性成分および低比重増量剤を均一に分散させた後、造粒することにより製造される。本発明の製剤は、まず農薬活性成分、低比重増量剤、必要により結合剤、界面活性剤、分散剤、湿潤剤、増量剤を混合し、これらを均一に分散されたものを製造する。均一に分散するとは、粒剤1個中において、上記の構成成分が、その内部と表面付近とにほぼ含量比通りに等しく存在することを言う。例えば、均一に分散された粒剤を製造するには、通常の湿式法と同様に上記の構成成分を、通常よく使用される混合機、たとえばリボンブレンダーや、V型混合機、バーチカルグラニュレーター等に投入し、よく混合した後、ニーダーに移し水を加え、練合してから押し出し造粒機により造粒し、乾燥、篩過後、粒子径0.8〜5.0mmの粒を得る。粒状固形製剤を得られるのであれば、この方法に限定されるものではない。
本発明の農薬固形製剤は、安全な成分を使用しているので、植物(例、イネ)に対して薬害が実質的に無く、また人や動物に対して施用時または施用後に害はなく、安全な製剤として使用することができる。
上記の農薬固形製剤を前記した方法で散布することにより、本発明は実施される。
【0017】
【実施例】
以下に実施例、比較例および試験例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ここにおいて用いられる%は特に記載のない限り、全て重量%を示す。
実施例1
イマゾスルフロン(一般名) 0.9部、MicrosphereF-30E(純度10%、プラスチック中空体) 17.0部、デキストリン 5.0部、トキサノンGR-31A(ポリアクリル酸ナトリウム) 2.0部、オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤) 3.0部、ホワイトカーボン 5.0部、ベントナイト10.0部、炭酸カルシウム72.4部
を混合し、次いで所定量の造粒水を加え、ニーダーで混錬し、1.5mmのスクリーンを装着したバスケット式造粒機で造粒した後、60℃で2時間乾燥して、見掛け比重0.48の粒剤を得た。この粒剤を、水田10a当たり散布機で1kg散布した。
【0018】
実施例2
イマゾスルフロン(一般名) 0.9部、MicrosphereF-30E(純度10%、プラスチック中空体) 11.0部、デキストリン 5.0部、トキサノンGR-31A(ポリアクリル酸ナトリウム) 2.0部、オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤) 3.0部、ラジオライト(珪藻土) 30.0部、ベントナイト10.0部、炭酸カルシウム48.0部
を混合し、次いで所定量の造粒水を加え、ニーダーで混錬し、1.5mmのスクリーンを装着したバスケット式造粒機で造粒した後、60℃で2時間乾燥して、見掛け比重0.40の粒剤を得た。この粒剤を、水田10a当たり散布機で1kg散布した。
【0019】
実施例3
イマゾスルフロン(一般名) 2.0部、サンワックス131P(ポリエチレン粉末) 68.0部、セロゲン6A(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩) 5.0部、ネオコールYSK(ジオクチルスルホサクシネート) 10.0部、炭酸カルシウム15.0部
を混合し、次いで所定量の造粒水を加え、ニーダーで混錬し、1.5mmのスクリーンを装着したバスケット式造粒機で造粒した後、60℃で2時間乾燥して、見掛け比重0.38の粒剤を得た。この粒剤を水田10a当たり散布機で500g散布する。
【0020】
【比較例】
比較例1
市販シハロホップブチル、ピラゾスルフロンエチル、メフェナセット粒剤
水田10a当たりに投下した量1kg
スクリーン径は1.2mm
見掛け比重0.92
【0021】
比較例2
市販ピリミバックメチル、ベンスフロンメチル、メフェナセット粒剤
水田10a当たりに投下した量1kg
スクリーン径は1.2mm
見掛け比重1.24
【0022】
試験例1
前記実施例1、2について得られた製剤および比較例1、2の製剤を、以下に示す方法により散布試験に付した。すなわち、10a分の製剤を散布機により散布、散布終了までに要する時間を測定した。試験結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
比較例1および比較例2の1kg粒剤の散布に要した時間はそれぞれ2.2分と1.8分であったが、一般に農家が水田10a当たりに散布機を用いて、通常の速度で歩行しながら製剤を均一に散布するには時間が短すぎる。一方、実施例1および実施例2の1kg粒剤の散布に要した時間はそれぞれ4.2分と4.5分であり、比較例1および比較例2の場合に比べて2分以上延長されている。この延長された時間により、従来の1kg粒剤に比べて単位面積当たりの散布時間が確保し易くなり、均一散布が容易に達成される。
【0024】
【発明の効果】
本発明の農薬固形製剤の効果として、次の点を挙げることができる。
(1)従来の低用量粒状農薬固形製剤(例、1kg粒剤)と比べ、単位面積当たりの散布に際し、散布に必要な時間および散布距離を十分確保でき、均一散布が容易である。
(2)従来の粒状農薬固形製剤に対し、同等の散布時間をより少量の製剤量で確保することが可能であり、従来の粒剤などと比べ、労働力を削減できる。
Claims (4)
- 湛水下水田に、散布器具により低用量粒状農薬固形製剤を均一に散布する方法であって、当該農薬固形製剤が、
農薬活性成分、
低比重増量剤、
アセチレングリコール系界面活性剤、および
ポリカルボン酸金属塩
を含有し、
見掛け比重が0.3〜0.8、
粒子径が0.8〜5.0mmである、農薬固形製剤を均一に散布する方法。 - 粒子径が0.8〜1.7mmの粒剤である農薬固形製剤を均一に散布する請求項1記載の方法。
- 低比重増量剤が無機粉末、合成樹脂粉末、天然樹脂粉末および植物質微粉から選ばれる1種以上である農薬固形製剤を均一に散布する請求項1または2記載の方法。
- 水田10a当り200g〜2kgの農薬固形製剤を均一に散布する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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