JP2010116420A - 農薬固形製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】見掛け比重が0.3〜0.8、粒子径が0.8〜5.0mmであることを特徴とする散布用低用量粒状農薬固形製剤を提供する。該農薬固形製剤は、従来の低用量粒状農薬固形製剤(例、1kg粒剤)と比べ、単位面積当たりの散布に際し、散布に必要な時間および散布距離を十分確保でき、均一散布が容易である。従来の粒状農薬固形製剤に対し、同等の散布時間をより少量の製剤量で確保することが可能であり、従来の粒剤などと比べ、労働力を削減できる。
【選択図】なし
Description
しかし、このような製剤は散布する量が少なくなるため、散布所要時間を制御し、均一に散布することは難しい。例えば従来の1kg粒剤は単位面積当たりの散布所要時間が3〜4kg粒剤に比べて短いために、散布途中で散布機が空になってしまい、結果として均一に散布できなくなるといった不都合もあった。1kg粒剤の出荷量が減少に転じ、1kg粒剤の出現によって大きく減少した従来の3kg/10a散布用製剤の出荷量が再び増加し始めた原因の一つに、このような散布における不均一性への問題があると考えられる。
1kg粒剤よりも更に散布量を少なくした、“500g粒剤”や“250g粒剤”も検討されているが、これらの製剤は散布機で散布すると、従来の1kg粒剤よりも単位面積当たりの散布時間はさらに短くなり、散布機による均一散布はさらに困難となる。
そこで、これらの製剤は自己拡散能力を付与することにより、散布機を使用しない畦畔からの手撒き散布などが、散布方法として検討されている。しかし、水面上の障害物、風による吹き寄せの影響を受けやすく、これらの障害を回避するため、散布機による散布も望まれていた。
また、これらの低用量製剤は、用量が低くなっても10a当たりの有効成分の投薬量は変わらないため、有効成分含量は大幅に高くなる。農薬製剤に一般に使用される増量剤である、クレーや炭酸カルシウム、タルク等と比較すると、有機粉末である有効成分の比重は非常に軽い。したがってこれらの低用量製剤の見掛け比重は、従来の3kg/10a製剤と比較して軽いものが多い。このため、これら低用量製剤の散布機による散布は、飛距離が不足し、均一散布の障害になっていた。
[1]見掛け比重が0.3〜0.8、粒子径が0.8〜5.0mmであることを特徴とする散布用低用量粒状農薬固形製剤、
[2]農薬活性成分および低比重増量剤を含有することを特徴とする上記[1]項記載の農薬固形製剤、
[3]粒子径が0.8〜1.7mmの粒剤である上記[1]項記載の農薬固形製剤、
[4]低比重増量剤が無機粉末、合成樹脂粉末、天然樹脂粉末および植物質微粉から選ばれる1種以上である上記[2]項記載の農薬固形製剤、
[5]水田10a当り200g〜2kg散布される上記[1]項記載の農薬固形製剤、および
[6]上記[1]〜[5]項のいずれかに記載の農薬固形製剤を、湛水下水田に散布器具により散布する方法に関する。
見掛け比重の算出式 : 見掛け比重=A/100
本発明において定義される「低用量」とは、農薬固形製剤散布量の水田10a当たりの散布量が200g〜2kg程度であることを意味する。
農薬固形製剤の粒子径は0.8〜5.0mm(好ましくは0.8〜1.7mm)にすることにより、製剤を散布した際に十分な散布距離を得ることが可能となる。(散布距離とは農薬固形製剤を散布した際の飛距離を意味し、到達距離、散布幅と称されることもある。)
特に、湛水下水田に散布器具により散布するのが好ましい。散布器具とは、動力式散布機、手動式あるいはモーター式散粒機による散布を示すが、これらに限定されるものではない。
例えば、真比重値が1.0以下のものとして、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、尿素樹脂粉末、プラスチック中空体等の合成樹脂粉末、ライスワックス、カルナバワックス等の天然樹脂粉末などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、真比重値が1.0以上であるが、多孔質中に含まれる空気により水に浮くものとして、珪藻土、パーライト、シラスバルーン等の無機粉末、木粉、草粉、モミガラ、トウモロコシ芯などを粉砕したものや、セルロース粉などの植物質微粉などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、必要であれば2種類以上(好ましくは、2〜3種類)を混合することも可能である。特に、プラスチック中空体が好ましい。
本発明で用いられるプラスチック中空体は、樹脂を発泡させ中空体としたものである。樹脂の例として、アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
該低比重増量剤の添加率は製剤全体に対して一般的には0.2〜90重量%程度であるが、具体的にはその添加率は低比重増量剤の真比重に依存し、農薬固形製剤の見掛け比重が、0.3〜0.8になるように添加率を低比重増量剤の種類により適宜調整する。
本発明において有効な除草剤としては、たとえば、下記の(i)〜(xii)などが用いられる。
(i)フェノキシ系除草剤、たとえば、2,4−D、MCPA、MCPCA、MCPB、クロメプロップ(chlomeprop)、ナプロアニリド(naproanilide)など。
(ii)ジフェニルエーテル系除草剤、たとえば、クロルニトロフェン(chlornitrofen)、クロメトキシニル(chlomethoxynil)、ビフェノックス(bifenox)、シハロホップブチル(cyhalofop-butyl)など。
(iii)カルバメート系除草剤、たとえば、スエップ(swep)、チオベンカルブ(thiobencarb)、エスプロカルブ(esprocarb)、モリネート(molinate)、ジメピペレート(dimepiperate)、ピリブチカルブ(pyributicarb)など。
(iv)酸アミド系除草剤、たとえば、プロパニル(propanil)、ブタクロール(butachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、ブロモブチド(bromobutide)、メフェナセット(mefenacet)、エトベンザニド(etobenzanid)、テニルクロール(thenylchlor)など。
(v)尿素系除草剤、たとえば、ダイムロン(dymron)など。
(vi)スルホニル尿素系除草剤、たとえば、ベンスルフロン−メチル(bensulfuron-methyl)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、ピラゾスルフロン−エチル(pyrazosulfuron-ethyl)、シノスルフロン(cinosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、サイクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)など。
(vii)トリアジン系除草剤、たとえば、シメトリン(simetryn)、プロメトリン(prometryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)など。
(viii)ダイアジン系除草剤、たとえば、ベンタゾン(bentazone)など。
(ix)ダイアゾール系除草剤、たとえば、オキサジアゾン(oxadiazon)、ピラゾレート(pyrazolate)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ベンゾフェナップ(benzofenap)など。
(x)ジニトロアニリン系除草剤、たとえば、トリフルラリン(trifluralin)など。
(xi)脂肪酸系除草剤、たとえば、ダラポン(dalapon)など。
(xii)有機リン系除草剤、たとえば、ピペロホス(piperophos)など。
(xiii)ニトリル系除草剤、たとえば、クロルチアミド(chlorthiamid)など。
(xiv)その他の除草剤、たとえば、ジチオピル(dithiopyr)、ペントキサゾン(pentoxazone)、カフェンストロール(cafenstrole)、フェントラザミド(fentrazamide)、NOJ100(ノバルティスアグロ(株)、試験番号)、ベンゾビシクロン(benzobiyclon)、オキサジメクロホン(oxaziclomefone)など。
また、本発明において有効な殺虫剤としては、たとえば(i)〜(iv)、殺菌剤としては、(v)〜(xiii)などが用いられる。
(i)有機リン系殺虫剤、たとえば、フェンチオン(fenthion)、フェニトロチオン(fenitrothion)、ピリミホス−メチル(pirimiphos-methyl)、ダイアジノン(diazinon)、キナルホス(quinalphos)、イソキサチオン(isoxathion)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、クロルピリホス−メチル(chlorpyrifos-methyl)、バミドチオン(vamidothion)、マラチオン(malathion)、フェントエート(phenthoate)、ジメトエート(dimethoate)、ジスルホトン(disulfoton)、モノクロトホス(monocrotophos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、プロパホス(propaphos)、アセフェート(acephate)、サリチオン(salithion)、トリクロルホン(trichlorphon)、EPN、ピラクロホスなど。
(ii)カルバメート系殺虫剤、たとえば、カルバリル(carbaryl)、メトルカルブ(metolcarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)(MIPC)、BPMC、プロポキスル(propoxur)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、メソミル(methomyl)、チオジカルブ(thiodicarb)など。
(iii)合成ピレスロイド系殺虫剤、たとえば、シクロプロトリン(cycloprothrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)など。
(iv)その他の殺虫剤、たとえば、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、ブプロフェジン(buprofezin)、カルボフラン(carbofuran)、フラチオカルブ(furathiocarb)、シアノフェンホス(cyanofenphos)、ニテンピラム(nitenpyram)、クロチアニジン(clotianidin)など。
(v)ポリハロアルキルチオ系殺菌剤、たとえば、キャプタン(captan)など。
(vi)有機塩素系殺菌剤、たとえば、TPN、フサライド(fthalide)、モンガード(monguard)など。
(vii)有機リン系殺菌剤、たとえば、エジフェンホス(edifenphos)、IBP(iprobenfos)など。
(viii)ベンゾイミダゾール系殺菌剤、たとえば、チオファネート−メチル(thiophanate-methyl)、ベノミル(benomyl)など。
(ix)カルボキシアミド系殺菌剤、たとえば、メプロニル(mepronil)、フルトラニル(flutolanil)、テクロフタラム(tecloftalam)、ペンシクロン(pencycuron)など。
(x)アシルアラニン系殺菌剤、たとえば、メタラキシル(metalaxyl)など。
(xi)N−ヘテロ環系エルゴステロール阻害剤、たとえば、トリフルミゾール(triflumizole)など。
(xii)抗生物質系殺菌剤、たとえば、カスガマイシン(kasugamycin)、バリダマイシンA(validamycin A)など。
(xiii)その他の殺菌剤、たとえば、プロベナゾール(probenazole)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、トリシクラゾール(tricyclazole)、ピロキロン(pyroquilon)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、フェリムゾン(ferimzon)、イプロジオン(iprodione)など。
上記した農薬活性成分のなかでも特に、イマゾスルフロン、ダイムロン、プレチラクロール、カフェンストロール、フェントラザミド、NOJ100、ベンゾビシクロンなどの除草剤が好ましい。
該農薬活性成分は製剤全体に対して1.0〜50.0重量%、好ましくは2.0〜30.0重量%用いられる。
該結合剤は製剤全体に対して0.5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%用いられる。また、必要であれば2種類以上(好ましくは、2〜3種類)を混合することも可能である。
該分散剤および湿潤剤の量は、製剤全体に対して約0.1〜20重量%、好ましくは約0.5〜15重量%、さらに好ましくは約1〜10重量%である。また、必要であれば2種類以上(好ましくは、2〜3種類)を混合することも可能である。
(1)従来の低用量粒状農薬固形製剤(例、1kg粒剤)と比べ、単位面積当たりの散布に際し、散布に必要な時間および散布距離を十分確保でき、均一散布が容易である。
(2)従来の粒状農薬固形製剤に対し、同等の散布時間をより少量の製剤量で確保することが可能であり、従来の粒剤などと比べ、労働力を削減できる。
本発明の農薬固形製剤は、安全な成分を使用しているので、植物(例、イネ)に対して薬害が実質的に無く、また人や動物に対して施用時または施用後に害はなく、安全な製剤として使用することができる。
上記の農薬固形製剤を前記した方法で散布することにより、本発明は実施される。
イマゾスルフロン(一般名)0.9部、MicrosphereF-20E(純度10%、プラスチック中空体)17.0部、デキストリン5.0部、トキサノンGR-31A(ポリアクリル酸ナトリウム)2.0部、オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤)3.0部、ホワイトカーボン5.0部、ベントナイト10.0部、炭酸カルシウム72.4部を混合し、次いで所定量の造粒水を加え、ニーダーで混錬し、1.5mmのスクリーンを装着したバスケット式造粒機で造粒した後、60℃で2時間乾燥して、見掛け比重0.48の粒剤を得た。この粒剤を、水田10a当たり散布機で1kg散布した。
イマゾスルフロン(一般名)0.9部、MicrosphereF-30E(純度10%、プラスチック中空体)11.0部、デキストリン5.0部、トキサノンGR-31A(ポリアクリル酸ナトリウム)2.0部、オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤)3.0部、ラジオライト(珪藻土)30.0部、ベントナイト10.0部、炭酸カルシウム48.0部を混合し、次いで所定量の造粒水を加え、ニーダーで混錬し、1.5mmのスクリーンを装着したバスケット式造粒機で造粒した後、60℃で2時間乾燥して、見掛け比重0.40の粒剤を得た。この粒剤を、水田10a当たり散布機で1kg散布した。
イマゾスルフロン(一般名)2.0部、サンワックス131P(ポリエチレン粉末)68.0部、セロゲン6A(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)5.0部、ネオコールYSK(ジオクチルスルホサクシネート)10.0部、炭酸カルシウム15.0部を混合し、次いで所定量の造粒水を加え、ニーダーで混錬し、1.5mmのスクリーンを装着したバスケット式造粒機で造粒した後、60℃で2時間乾燥して、見掛け比重0.38の粒剤を得た。この粒剤を水田10a当たり散布機で500g散布する。
比較例1
市販シハロホップブチル、ピラゾスルフロンエチル、メフェナセット粒剤
水田10a当たりに投下した量1kg
スクリーン径は1.2mm
見掛け比重0.92
市販ピリミバックメチル、ベンスフロンメチル、メフェナセット粒剤
水田10a当たりに投下した量1kg
スクリーン径は1.2mm
見掛け比重1.24
前記実施例1、2について得られた製剤および比較例1、2の製剤を、以下に示す方法により散布試験に付した。すなわち、10a分の製剤を散布機により散布、散布終了までに要する時間を測定した。試験結果を表1に示す。
(1)従来の低用量粒状農薬固形製剤(例、1kg粒剤)と比べ、単位面積当たりの散布に際し、散布に必要な時間および散布距離を十分確保でき、均一散布が容易である。
(2)従来の粒状農薬固形製剤に対し、同等の散布時間をより少量の製剤量で確保することが可能であり、従来の粒剤などと比べ、労働力を削減できる。
Claims (4)
- イマゾスルフロンおよび低比重増量剤を含有し、見掛け比重が0.3〜0.8、粒子径が0.8〜5.0mmである農薬固形製剤。
- 粒子径が0.8〜1.7mmの粒剤である請求項1記載の農薬固形製剤。
- 低比重増量剤が無機粉末、合成樹脂粉末、天然樹脂粉末および植物質微粉から選ばれる1種以上である請求項1または2記載の農薬固形製剤。
- 水田10a当り200g〜2kg均一散布される請求項1〜3のいずれかに記載の農薬固形製剤。
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