JP5060390B2 - 散布性の改良された水面施用農薬粒剤 - Google Patents
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Description
1キロ粒剤の散布方法としては、散布の省力化を目的として水田に入らずに畦畔から畦畔噴頭を装着した動力散布機を用いる方法が普及している。通常、散布処理幅(畦畔間の距離)30mの水田を想定した場合、本処理方法では、片側畦畔より15m先まで粒剤を均一に散布することが要求される。そして、この散布性を改良する方法として、見掛け比重が0.3〜0.8、粒子径が0.8〜5.0mmの範囲にあり、低比重増量剤を含有することを特徴とする、均一散布に必要な時間が確保され、水中崩壊分散性にすぐれた農薬固形製剤(散布量200g〜2kg/10a)が提案されている(特許文献1)。
しかし、上記の農薬固形製剤を動力散布機を用いて処理した場合、15m幅での散布均一性に問題があり、結果として生物効果が不安定となり、散布時の粉立ちによるドリフトが発生するという欠点が生じた。
1)イソブチレンまたはジイソブチレンとマレイン酸と無水マレイン酸の共重合体の水溶性塩、およびサルフェート型、スルホネート型、ホスフェート型界面活性剤を含有することを特徴とする、水中拡展性の改善された農薬粒剤(特許文献6)。
2)殺生剤成分、無機質担体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテルおよびポリカルボン酸型界面活性剤からなり、水の硬度に関わらず安定した崩壊、拡展性を有する農薬粒剤(特許文献7)。
3)除草活性成分、ポリアクリル酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、増量剤、結合剤、界面活性剤を含有することを特徴とする、水中崩壊、拡展性にすぐれた農薬粒剤(特許文献8)。
4)平均粒子径が2μm以上の農薬活性成分、分子量400以下の糖類、ポリカルボン酸系およびポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤を含有することを特徴とする、崩壊分散性にすぐれ、難溶性有効成分の溶出率が向上した農薬粒剤(特許文献9)。
5)農薬活性成分、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量50万〜600万)、界面活性剤(表面張力が60dyne/cm以上のもの)および中空体水浮遊性担体を含有することを特徴とする、崩壊分散性にすぐれた農薬粒状組成物(特許文献10)。
6)水難溶性(10ppm以下)かつ固体の除草活性成分、スルホニルウレア系除草活性成分、陰イオン系界面活性剤(ポリアクリル酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩)、固体担体を含有することを特徴とする、水中崩壊分散性にすぐれた水田用粒剤(特許文献11)。
7)水溶解度10ppm(20℃)以下の農薬活性成分、イソブチレンまたはジイソブチレンとマレイン酸と無水マレイン酸の共重合体の水溶性塩、スルホン酸塩系分散剤、炭酸カルシウムを含有することを特徴とする、処理量が200g〜1kgの水面施用農薬粒剤(特許文献12)。
8)水溶解度0.5ppm(20℃)以下かつ融点70℃を超える除草活性成分、疎水性有機溶剤(1気圧における沸点が150℃以上)、固体担体、ポリカルボン酸型界面活性剤、合成シリケートパウダーを含有することを特徴とする、水溶解度の低い農薬活性成分の水中溶出率が向上した水田除草粒剤組成物(特許文献13)。
しかし、上記いずれの粒剤も、粒剤の散布性や、農薬活性成分の水田中への溶出性、均一性の改良を目的とするものではない。したがって、畦畔から動力散布機を用いて散布した場合においても、散布均一性、散布時の粉立ち抑制、速やかな農薬活性成分の放出による水田中への均一化を有する生物効果の安定した水面施用製剤の開発が要望されている。
(1)農薬活性成分、ポリカルボン酸系界面活性剤、植物粘質物または微生物由来の粘質物および増量剤からなる粒剤であって、その1g当たりの粒数が500〜1000、硬度が90以上であることを特徴とする水面施用農薬粒剤。
(2)植物粘質物または微生物由来の粘質物の含有量が0.01〜0.50重量部であることを特徴とする請求項1に記載の水面施用農薬粒剤。
(3)1g当たりの粒数が600〜800であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水面施用農薬粒剤。
(4)硬度が95以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水面施用農薬粒剤。
<農薬活性成分について>
本発明で用いる農薬活性成分は、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤などの一般に農薬の活性成分として使用されるものであれば特に限定されず、農薬活性成分を1種または2種以上併用しても何らかまわない。このような農薬活性成分としては次のものが挙げられる。
例えば、殺虫剤として、有機リン系(アセフェートなど)、カーバメート系(BPMCなど)、ピレスロイド系、ベンゾイルヒドラジド系、ネオニコチノイド系、トリアジン系、チオウレア系、オキサダイアジン系、フェニルピラゾール系、ネライストキシン系およびベンゾイルフェニル尿素系の殺虫剤、天然殺虫剤、生物農薬、殺ダニ剤および殺線虫剤などが挙げられる。
なお、これらに含まれる個々の具体的な農薬活性成分は、例えば「農薬ハンドブック2005年版」(財団法人 日本植物防疫協会、平成17年10月11日発行)、「SHIBUYA INDEX
9th Edition」(平成13年12月15日発行)、「The Pesticide Manual Eleventh Edition」(British
Crop Protection Council 発行)などに記載されている。
上記農薬活性成分の添加量は、水面施用農薬粒剤の全量に対して、通常0.01〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部である。
本発明の水面施用農薬粒剤にはポリカルボン酸系界面活性剤が必須成分である。
ポリカルボン酸型界面活性剤を含有しない場合、均一散布されたとしても、農薬活性成分の田面水中への溶出性にムラを生じ、農薬活性成分の水中濃度が均一化されるまでに時間を要したり、また、均一とならない場合があり、結果として生物効果不足、薬害を生ずる危険性がある。
また、本発明で使用できるポリカルボン酸系界面活性剤としては以下に例示されるものが挙げられるが、これらに限られるものではなく、1種または2種以上を併用しても何ら構わない。
例えば、マレイン酸とスチレンスルホン酸の共重合体またはその水溶性塩、イソブチレンまたはジイソブチレンとマレイン酸または無水マレイン酸との共重合体またはその水溶性塩、マレイン酸とアクリル酸の共重合体またはその水溶性塩、ポリアクリル酸またはその水溶性塩、ポリマレイン酸またはその水溶性塩などが挙げられる。
ポリカルボン酸系界面活性剤の添加量は、特に限定されないが、水面施用農薬粒剤の全量に対して、通常0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明の水面施用農薬粒剤には植物粘質物または微生物由来の粘質物を含有することが必須である。
これらの成分を添加することにより、粒剤に弾力性が付与され、散布時の衝撃による粒剤の破砕、粉立ちが抑制される。植物粘質物または微生物由来の粘質物を含有しない場合、仮に製剤硬度が良好であっても、動力散布機内においては衝撃をともなうため、硬いだけでの粒剤では破砕、粉立ちの抑制効果は小さい。このような衝撃に対処するためには硬さだけではなく衝撃を吸収できるだけの弾力性が必須となる。
添加量は、水面施用農薬粒剤の全量に対して、通常0.005〜0.750重量部、好ましくは0.01〜0.50重量部である。0.005重量部を下回る場合、粒剤に付与される弾力性が不充分であり、散布時の粉立ち抑制効果は小さくなる傾向がある。また、0.750重量部を上回る場合は弾力性が充分だが、粒剤の水田中における崩壊性が悪くなり、農薬活性成分の溶出性、均一性が不充分となる傾向にある。この、粒剤の弾力性と水田中での崩壊性の均衡が保持された添加量が0.005〜0.750重量部である。
このような目的を達成するための植物粘質物または微生物由来の粘質物としては以下に例示されるものが挙げられる。
植物粘質物としては、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビソガラクタン、大豆オカラから抽出された水溶性多糖類などが挙げられる。
微生物由来の粘質物としては、ザンサンガム、プルラン、ラムザンガム、ウェランガムなどが挙げられる。
本発明の水面施用農薬粒剤に用いられる増量剤は、通常の農薬固形製剤に使用されるものでよく、以下に例示されるものが挙げられる。
例えば、クレー、ケイ砂、ケイソウ土、ベントナイト、炭酸カルシウム、タルク、ジークライト、セリサイト、酸性白土、活性白土、珪石、軽石、ゼオライト、バーミキュライト、ホワイトカーボン、シラスバルーンなどを粉砕したガラス質粉末、セルロース、パルプ、モミガラ、木粉、デンプン、大豆粉、塩化ナトリウム、塩化カリウム、尿素、ブドウ糖、ショ糖、果糖、乳糖などが挙げられる。
添加量は、水面施用農薬粒剤の全量に対して、通常5〜98重量部、好ましくは10〜95重量部である。
本発明の水面施用農薬粒剤は、1g当たりの粒数を500〜1000、好ましくは600〜800とする必要がある。
1g当たりの粒数が500未満の場合、均一散布が難しく、散布にムラが生じる可能性がある。仮に、水田中に粒剤が均一に散布されたとしても、1粒がカバーする面積が大きくなってしまい、農薬活性成分が田面水中で均一化しにくくなることで効果不足・薬害などの問題が生じる可能性がある。
また、1g当たりの粒数が1000を超える場合、畦畔から畦畔噴頭を装着した動力散布機を用いて散布すると、1粒当たりの重量が軽量であるために散布飛距離が確保されず、均一散布できない可能性がある。結果として、農薬活性成分が田面水中で均一化されず、効果不足・薬害などの危険性をはらんでしまう。
水面施用農薬粒剤の1g当たりの粒数を500〜1000にするためには、予め1g当たりの粒数が500〜1000の粒状担体に農薬活性成分を固着させるか、または、農薬活性成分、担体、その他補助剤などを混合したものに加水、混練し、押出造粒した粒状成形物を整粒、篩別により粒数が500〜1000となるように調製すればよい。
本発明の水面施用農薬粒剤では、硬度を90以上、好ましくは95以上とする必要がある。
硬度が90未満の場合、畦畔噴頭を装着した動力散布機から農薬粒剤を散布した際、畦畔噴頭内で農薬粒剤の破砕が起こり、粒剤から生じた微粉が粒剤とともに散布され、散布者への曝露、周辺環境へのドリフトといった問題が生じるためである。仮に、前述した植物粘質物または微生物由来の粘質物の添加による弾力性の付与効果がある場合でも、硬度が90未満となると、粉立ちの抑制効果は小さい。
(粒剤の硬度測定試験)
1)粒剤を500μm目開きの標準網篩で充分に篩別し、網上の残渣がほとんど落ちなくなったものを試料とする。
2)試料100gを精秤し、直径30±2mm、重量35±3gの磁性玉3個(総重量105g)の入ったボールミル用磁性ポット(内径100mm、内深100
mm)に入れる。
3)このボールミル用磁性ポットを可変ローラーの上に設置し、75回転/1分間の回転速度で正しく15分間回転させる。
4)磁性ポットから試料を取り出し、500μmの標準篩にて充分に篩別し、篩を通過した微粉生成量(A)を精秤する。
5)微粉生成量(A)から次式により粒剤の硬度を算出する。
本発明の水面施用農薬粒剤は、上記した必須成分の他に、本発明の効果を失わない程度であれば以下のような補助剤を添加してもかまわない。
例えば、界面活性剤としては非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤および両性界面活性剤などが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
陰イオン系界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、ラウリル硫酸塩などが挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、ジアルキルアミノエチルベタイン、アルキルジメチルベンジルベタインなどが挙げられる。
本発明で使用できる界面活性剤としてはこれらの例示に限られるものではなく、1種または2種以上を併用してもかまわない。
半合成系としては、デキストリン、可溶性デンプン、酸化デンプン、α化デンプン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロースなどが挙げられる。
合成系のものとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
造粒法としては、押出造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法、流動層造粒法、撹拌混合造粒法、圧縮造粒法および打錠法などを挙げることができる。円柱状の造粒物を得る場合は、押出造粒法が好ましく、また球状の造粒物を得る場合は、転動造粒法および撹拌混合造粒法が好ましい。
押出造粒法においては、まず農薬活性成分と界面活性剤、さらに必要に応じて、結合剤、各種の補助剤、固体担体を添加して、ジュースミキサー、ハンマーミル、レディゲミキサーまたはリボンミキサーなどを用いて均一に混合する。この混合物に水を添加して双腕ニーダーまたはリボンミキサーなどを用いて混練する。
次に、この混合物をバスケット型造粒機、スクリュー式造粒機などの押出造粒機を用いて造粒する。造粒時の押出し穴径(スクリーン径)は通常0.3〜5mm、好ましくは0.5〜2mmの範囲である。得られた造粒物をマルメライザーなどで整粒した後、流動層乾燥機やベッド式乾燥機などを用いて乾燥させ、次いで篩別することにより本発明で用いられる水面施用農薬粒剤が得られる。
また、農薬活性成分を添加せずに上記の方法で粒剤を調製した後、農薬活性成分を含浸させるなどして調製してもよい。
本発明における水面施用農薬粒剤は、通常の水面施用農薬粒剤と同様に水田に処理することができる。手での散粒や、人力散粒機や動力散粒機などの散粒機を使用して水田へ施用することができる。また、航空機や有人ヘリコプター、無線誘導式無人ヘリコプターなどの使用や、田植機に装着された機械から田植と同時に水田へ散粒することもできる。
本発明における水面施用農薬粒剤の水田への施用量は、特に限定されないが、省力的に施用する点から10aあたり500g〜1.5kgで処理することが望ましい。
なお、以下の実施例、比較例において「部」は、「重量部」の意味である。
[実施例1]
フルトラニル(酸アミド系殺菌剤)21.0部、マレイン酸とスチレンスルホン酸の共重合体のナトリウム塩4.0部、ザンサンガム0.02部、ポリビニルアルコール3.0部および炭酸カルシウム71.98部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)にて混合粉砕した後、この混合物に水20.0部を添加し双腕ニーダー(不二パウダル株式会社製)で混練した。次に、この加水混練物を孔径1.0mmのバスケット型スクリーンを装着した押出造粒機にて造粒した。得られた造粒物を整粒したのち流動層乾燥機(不二パウダル株式会社製)で乾燥した。これを1180〜710μmの篩で篩別して水面施用農薬粒剤を得た。
粒剤組成をフルトラニル(酸アミド系殺菌剤)21.0部、マレイン酸とアクリル酸の共重合体4.0部、ラムザンガム0.1部およびベントナイト74.9部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[実施例3]
粒剤組成をIBP(有機リン系殺菌剤)17.0部、イソブチレンと無水マレイン酸の共重合体のナトリウム塩5.0部、ウェランガム0.15部、ポリエチレングリコール2.0部およびケイソウ土75.85部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[実施例4]
粒剤組成をIBP(有機リン系殺菌剤)17.0部、マレイン酸とスチレンスルホン酸の共重合体のナトリウム塩5.0部、ザンサンガム0.05部、デキストリン5.0部、ホワイトカーボン12.0部およびクレー60.95部とした以外は実施例1と同様に調製した。
粒剤組成をBPMC(カーバメート系殺虫剤)12.0部、マレイン酸とアクリル酸の共重合体3.5部、ザンサンガム0.03部、デキストリン5.0部、ホワイトカーボン9.0部およびクレー70.47部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[実施例6]
粒剤組成をBPMC(カーバメート系殺虫剤)12.0部、イソブチレンと無水マレイン酸の共重合体のナトリウム塩5.0部、アラビアガム0.25部、ポリビニルピロリドン1.5部およびケイソウ土81.25部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[実施例7]
粒剤組成をアセフェート(有機リン系殺虫剤)5.0部、イソブチレンとマレイン酸の共重合体4.0部、ウェランガム0.01部、メチルセルロース5.0部およびベントナイト85.99部とした以外は実施例1と同様に調製した。
粒剤組成をアセフェート(有機リン系殺虫剤)5.0部、マレイン酸とアクリル酸の共重合体4.0部、グアーガム0.15部およびタルク90.85部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[実施例9]
粒剤組成をビフェノックス(ジフェニルエーテル系除草剤)16.0部、マレイン酸とスチレンスルホン酸の共重合体4.0部、ウェランガム0.1部、デキストリン3.0部、乳糖76.7部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[実施例10]
粒剤組成をビフェノックス(ジフェニルエーテル系除草剤)16.0部、イソブチレンとマレイン酸の共重合体4.0部、アラビアガム0.45部、炭酸カルシウム79.55部とした以外は実施例1と同様に調製した。
粒剤組成をブタクロール(酸アミド系除草剤)10.0部、イソブチレンと無水マレイン酸の共重合体のナトリウム塩5.0部、ザンサンガム0.04部、デキストリン1.5部、ホワイトカーボン7.0部および炭酸カルシウム76.46部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[実施例12]
粒剤組成をブタクロール(酸アミド系除草剤)10.0部、マレイン酸とアクリル酸の共重合体のナトリウム塩4.5部、ラムザンガム0.1部、デキストリン2.0部、ホワイトカーボン7.0部、クレー76.4部とした以外は実施例1と同様に調製した。
粒剤組成をフルトラニル(酸アミド系殺菌剤)21.0部、マレイン酸とスチレンスルホン酸の共重合体4.0部、アラビアガム0.003部、メチルセルロース4.0部、ベントナイト70.997部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[比較例2]
粒剤組成をフルトラニル(酸アミド系殺菌剤)21.0部、イソブチレンとマレイン酸の共重合体4.0部、ザンサンガム0.8部、クレー74.2部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[比較例3]
粒剤組成をIBP(有機リン系殺菌剤)17.0部、マレイン酸とアクリル酸の共重合体のナトリウム塩4.5部、メチルセルロース4.0部、ホワイトカーボン15.0部、クレー59.5部とした以外は実施例1と同様に調製した。
粒剤組成をIBP(有機リン系殺菌剤)17.0部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル4.0部、アラビアガム0.15部、ホワイトカーボン12.0部、クレー66.85部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[比較例5]
粒剤組成をBPMC(カーバメート系殺虫剤)12.0部、イソブチレンと無水マレイン酸の共重合体のナトリウム塩3.5部、ウェランガム0.02部、デキストリン4.0部、クレー80.48部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[比較例6]
粒剤組成をBPMC(カーバメート系殺虫剤)12.0部、マレイン酸とアクリル酸の共重合体3.5部、ザンサンガム1.0部、ホワイトカーボン10.0部、クレー73.5部とした以外は実施例1と同様に調製した。
粒剤組成をアセフェート(有機リン系殺虫剤)5.0部、ラウリル硫酸ナトリウム3.5部、ラムザンガム0.25部、ホワイトカーボン2.0部、クレー89.25部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[比較例8]
粒剤組成をアセフェート(有機リン系殺虫剤)5.0部、ポリビニルアルコール4.0部、クレー91.0部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[比較例9]
粒剤組成をビフェノックス(ジフェニルエーテル系除草剤)16.0部、マレイン酸とスチレンスルホン酸の共重合体のナトリウム塩4.0部、ウェランガム0.03部、ホワイトカーボン12.0部、ベントナイト67.97部とした以外は実施例1と同様に調製した。
粒剤組成をビフェノックス(ジフェニルエーテル系除草剤)16.0部、ザンサンガム0.02部、デキストリン3.0部、タルク80.98部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[比較例11]
粒剤組成をブタクロール(酸アミド系除草剤)10.0部、イソブチレンとマレイン酸の共重合体4.0部、アラビアガム0.01部、デキストリン5.0部、ホワイトカーボン8.0部、クレー72.99部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[比較例12]
粒剤組成をブタクロール(酸アミド系除草剤)10.0部、マレイン酸とアクリル酸の共重合体5.0部、グアーガム0.05部、ホワイトカーボン9.0部、乳糖75.95部とした以外は実施例1と同様に調製した。
[試験例1]散布性試験
図1に示す幅5m、長さ16m、水深5cmの水田に畦畔多孔噴頭(丸山製作所製、飛粒)が装着された動力散布機(丸山製作所製、MD6010)を用いて、噴頭を地表面から15度の角度に設定後、粒剤を80g散布(1kg/10aに相当)し、この際、散布された粒剤の最大到達飛距離(m)を目視にて確認した。なお、散布時の風速は0〜1.0m/秒であり、散布は風上から行った。散布24時間後に散布地点および散布地点から3.0m、6.0m、9.0m、12.0mおよび15.0m地点のそれぞれ幅が1.5m、3.5m地点にて採水、HPLCにて分析し、理論上農薬活性成分が均一に田面水中に分散した場合の水中濃度を100%としたときの比率を水中溶出率(%)として次式により求めた。
水中溶出率(%)の値が大きい程農薬活性成分が良好に溶出しており、各地点における水中溶出率(%)のバラツキが小さい程、農薬活性成分が水田中に均一化されていると評価できる。また、最大到達飛距離(m)が大きい程、粒剤の処理可能な面積が大きいことを示す。
その試験結果を表1、2に示す。
直噴管(ホクエツ製、サンプスター)が装着された動力散布機(丸山製作所製、MD6010)を用いて粒剤を約400g吐出し、これを直噴管先端部に予め接続しておいた布袋にて捕捉した。捕捉した粒剤を精秤後、500μmの試験篩にて篩別し、篩通過分の重量(C)を精秤した。篩通過重量(C)から次式により崩壊率(%)を算出し、散布時の粉立ちを評価した。
実施例1〜12は、散布性試験、崩壊性試験により評価した田面水中の農薬活性成分の均一性、散布時の崩壊性、最大到達飛距離のいずれにおいても良好な結果を示した。特に、ポリカルボン酸系界面活性剤を含有し、植物粘質物または微生物由来の粘質物の含有量が0.01〜0.50重量部であり、1g当たりの粒数が600〜800である実施例1、5、8および9については、散布飛距離が充分に確保され、散布後の各地点における水中溶出率(%)が散布距離に関わらずほぼ一定の値を示すと共に、ほぼ理論値に近い水中濃度が得られるというすぐれた結果を示した。
また、植物粘質物または微生物由来の粘質物の含有量が0.01〜0.50重量部であり、なおかつ製剤硬度が95を超える実施例1、2、4〜6、8〜10については散布機を用いた崩壊性試験においても崩壊率が1.5%以下というすぐれた形態安定性を示し、顕著に粉立ちの抑制を示した。
散布飛距離に関しては、1g当たりの粒数が500〜1000の範囲にある実施例1〜12の全ての製剤が、片側畦畔からの必要散布距離15mまで散布可能であり、良好な散布性を示した。
田面水中の農薬活性成分の溶出性および均一性については、比較例1〜12の全てにおいて実施例1〜12に劣る結果を示した。
これらの比較製剤において、ポリカルボン酸系界面活性剤を含有しない比較例8および10、ポリカルボン酸系界面活性剤以外の界面活性剤を使用した比較例4、7および植物粘質物または微生物由来の粘質物の含有量が0.750重量部を超える比較例2および6については、水田中での粒剤の崩壊性が悪いために、理論水中濃度よりかなり低い水中溶出率(%)で推移する結果を示した。また、1g当たりの粒子数が500〜1000の範囲にない比較例5、6、11、12については、散布後の各地点における水中溶出率(%)にバラツキを生じる結果となった。1g当たりの粒数が500未満の比較例6および11は、散布飛距離が十分だが、1粒のカバー面積が大きいという特徴を有し、1g当たりの粒数が1000を超える比較例5および12は、1粒のカバー面積が小さいが、散布飛距離が不十分という特徴を有しており、両者に共通する粒数と散布均一性のバランスの悪さが水中溶出率(%)にバラツキを生んだ。
これらの比較例1〜12において、比較例1、3、8が粒剤の弾力性不足、比較例4、5、9が粒剤の硬度不足という理由により散布時の崩壊性が大きくなることで散布性が悪くなり、各地点における水中溶出率(%)にバラツキが生じた。これらの比較製剤については,いずれも散布時の崩壊率(%)が大きく、粉立ちが顕著であった。
また、粒剤の散布飛距離については比較例1、3、4、5、8、9、12が十分な散布飛距離を保持できていない結果を示した。
これらの比較製剤において、比較例5および12は粒数過多のため、比較例1、3、8は粒剤の弾力性不足、比較例4、9は硬度不足による散布時の粒剤の崩壊のために1粒当たりの重量が軽量化され、散布飛距離が十分に保持されない結果を示した。
試験例1および試験例2の試験結果は、本発明において規定されたポリカルボン酸系界面活性剤、植物粘質物または微生物由来の粘質物、1g当たりの粒子数、硬度が、水田への畦畔噴頭を用いた農薬粒剤の均一散布にいずれも必須構成要件であることを示している。
すなわち、ア)田面水中の農薬活性成分の溶出性に関わる因子がポリカルボン酸系界面活性剤および植物粘質物または微生物由来の粘質物、イ)均一性に関わる因子が1g当たりの粒子数、製剤硬度、植物粘質物または微生物由来の粘質物、ウ)散布時の崩壊性に関わる因子が製剤硬度および植物粘質物または微生物由来の粘質物、エ)粒剤の最大到達飛距離に関わる因子が1g当たりの粒子数、製剤硬度、植物粘質物であることを示している。
Claims (3)
- 農薬活性成分、ポリカルボン酸系界面活性剤、製剤中の含有量が0.01〜0.50重量部である植物粘質物または微生物由来の粘質物および増量剤からなる粒剤であって、その1g当たりの粒数が500〜1000、全農法による硬度が90以上であることを特徴とする水面施用農薬粒剤。
- 1g当たりの粒数が600〜800であることを特徴とする請求項1に記載の水面施用農薬粒剤。
- 全農法による硬度が95以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載の水面施用農薬粒剤。
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