JP3866787B2 - 田面水中での農薬有効成分の溶出が良好な農薬粒剤 - Google Patents

田面水中での農薬有効成分の溶出が良好な農薬粒剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、崩壊拡展分散性が優れている農薬粒剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、例えば1キロ粒剤、フロアブル剤、ジャンボ剤、田植え時同時処理剤等を初めとする各種の水田省力施用除草剤の開発がなされてきている。その中で、1キロ粒剤は、水田10a当たり製剤として1kg処理する省力水田施用剤であり、従来の水田10a当たり製剤として3kg処理する3キロ粒剤に替わるものである。1キロ粒剤の場合には、散布機による散布性の面から、粒径が3キロ粒剤に比べて大きくなる傾向にある。そのような粒径の違い等から、1キロ粒剤の場合、1粒あたりカバーしなければならない面積が3キロ粒剤の約3〜11倍(1オーダーも広くなる)になり、生物効力・薬害を考慮に入れた製剤設計がますます重要となってくる。すなわち、1キロ粒剤では、粒剤の水中崩壊拡展性又は水中崩壊分散性をさらに良好にする必要がある。
【0003】
粒剤の水中崩壊拡展性又は水中崩壊分散性を良好にする方法としては、粒剤中に拡展剤又は分散剤を含有する方法(特開平5−246803号公報、特開平6−298602号公報、特公平6−39363号公報等)及び農薬有効成分を細かく粉砕する方法等が提案されている。3キロ粒剤の場合には、1粒あたりカバーしなければならない面積がせまいため、拡展剤、分散剤を必ずしも添加する必要がなく、もし添加するにしても拡展剤、分散剤の種類をそれほど吟味する必要もなかった。また、1キロ粒剤であっても、実質的に田面水中に可溶性の農薬有効成分のみを含有する粒剤(実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分を含有しない粒剤)の場合には、水中崩壊拡展性又は水中崩壊分散性を良好にするための拡展剤又は分散剤の選択はそれほど難しいことではなく、農薬有効成分によってはそうした界面活性剤を必要としない場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分(以下、特に断らない限り、不溶性有効成分とする)を含有する1キロ粒剤の場合には、水中崩壊拡展性又は水中崩壊分散性をさらに良好にしないと、粒剤を田面に処理した時、主剤(有効成分)の水中溶出速度が遅くなり、結果的に効力が十分に得られなかったり、まれに薬害が生じるという問題があった。この際、ポリカルボン酸系界面活性剤及び/又はポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤を用いると、確かに水中での崩壊拡展性又は崩壊分散性が良好になり、主剤の田面水中溶出速度が改善されはするが、不溶性有効成分を含む粒剤の場合には、こうした界面活性剤のみでは不溶性有効成分の水中での溶出を十分に早めることはできない。
【0005】
又、不溶性有効成分及び常温で液状の農薬有効成分(以下、特に断らない限り、液状有効成分とする)の両方を含有する粒剤の場合には、田面水中での粒剤の崩壊拡展性又は崩壊分散性を改善するために、不溶性有効成分の粒度を細かくすると、経時的に粒子成長等によって粒剤の水中崩壊性が著しく悪くなるという問題があった。
【0006】
特公平6−39363号公報には、(a)イソブチレン又はジイソブチレンとマレイン酸又は無水マレイン酸との共重合体の水溶性塩のポリカルボン酸系界面活性剤だけでなく、さらに、(b)サルフェート系、スルホネート系又はホスフェート系陰イオン性界面活性剤を重量比でa/b=9/1〜3/7の割合で含有することにより農薬有効成分の水中拡展性を良好にすることができるという内容の記載がある。しかしながら、この公報によると、a/b>9/1になると、農薬粒剤の水中拡展性の改善について顕著な効果が得られない。本発明では、a/b>9/1であっても、さらに分子量400以下の糖類を用いることによって、実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分を含有する粒剤について、水中での崩壊拡展性又は崩壊分散性が優れ、実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分の田面水中溶出速度を良好にするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために種々の界面活性剤、補助剤並びに添加剤を検討した結果、不溶性有効成分を含有する粒剤に、分子量が400以下の糖類並びにポリカルボン酸系界面活性剤及び/又はポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤を加えて造粒した農薬粒剤が、課題を解決できることを見い出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は、農薬有効成分、分子量が400以下の糖類、並びにポリカルボン酸系の界面活性剤及び/又はポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系の界面活性剤を含有することを特徴とする農薬粒剤を提供する。
【0009】
農薬有効成分は、実質的に田面水中に不溶性であっても可溶性であっても、本発明に使用することができるが、実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分の方が必要性及び実用性の点から好ましい。同様に、本発明の農薬粒剤は、水田10a当たり製剤として1.5kg以下の量を処理するように処方されていることが、必要性及び実用性の点から好ましい。
【0010】
本発明において、分子量が400以下の糖類とは、分子量が400以下で糖構造を有するものであれば特に限定はないが、好ましくは、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、マルトース、ソルビット、ラクトース、シュークロース、マニトールのような、2糖類、単糖類及び単糖類の誘導体であり、更に好ましくは、グルコース、ソルビット、ラクトース、シュークロース、マルトースである。これらの糖類は、一種のみであっても二種以上を組み合わせても本発明に使用できる。
【0011】
通常粒剤の結合剤としてごく当り前に使用されている少糖類のデキストリン等のような分子量が400以上の糖類を、ポリカルボン酸系界面活性剤及び/又はポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤と配合しても、不溶性有効成分の溶出速度は顕著には良好にならない。
【0012】
分子量が400以下の糖類の使用量に、特に限定はないが、農薬製剤全体に対して通常約1〜15%重量部、好ましくは、2〜10%程度である。
【0013】
本発明で使用されるポリカルボン酸系界面活性剤は、カルボン酸部分構造を複数有する界面活性剤であれば特に限定はないが、好ましくは、例えば、マレイン酸とスチレンスルホン酸の共重合物又はその塩、イソブチレン又はジイソブチレンとマレイン酸の共重合物又はその塩、マレイン酸とアクリル酸の共重合物又はその塩、アクリル酸の重合物又はその塩等が挙げられる。具体的な商品としては、例えば、S−SMA3000、S−SMA1000、S−SMA1440H(以上ARCO CHEMICAL製)、ポリスターOMP、ポリスターOMA、ポリスターSMX、ポリスターSM−1015、ポリスターA−1060(以上、日本油脂製)、ソカランCP−5、ソカランCP−7、ソカランCP−9、ソカランCP−10(以上、BASF製)、GEROPON T/36、GEROPON TA/72、GEROPON SC/213(以上、ローヌプーラン製)、デモールEP(花王製)、トキサノンGR−31A(三洋化成製)等が挙げられる。更に好ましくは、イソブチレン又はジイソブチレンとマレイン酸の共重合物又はその塩であるGEROPON SC/213、デモールEPである。
【0014】
ポリカルボン酸系界面活性剤の配合量は特に限定されないが、農薬製剤全体に対して、通常約0.5〜10%重量部、好ましくは、1〜7%程度である。
【0015】
本発明で使用されるポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤は、特に限定はないが、好ましくは、例えば、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのノニオン、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルのノニオン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリスチリルフェニルエーテルのノニオン、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルのリン酸アミン塩又はリン酸カリウム塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸等が挙げられる。具体的な商品としては、NE−2607、NE−2609、NE−2611、NE−2614、NE−2616、NE−2618(以上、日本乳化剤製)、SOPROPHOR FL、SOPROPHOR FLK/70、SOPROPHOR SD/40−P、SOPROPHOR AMC、SOPROPHOR CY/8、SOPROPHOR BSU、SOPROPHOR S/25、SOPROPHOR 3D33、SOPROPHOR DSS/11、SOPROPHOR DSS/15、SOPROPHOR 796/P(以上ローヌプーラン製)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。更に好ましくは、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルのリン酸カリウム塩であるSOPROPHOR FLK/70である。
【0016】
本発明で使用されるポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤の使用量は、農薬製剤全体に対して通常約0.3〜10%重量部、好ましくは、0.5〜5%程度である。
【0017】
ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤と上記のポリカルボン酸系界面活性剤を混合して用いてもよい。これらの使用量は特に限定されないが両者あわせて農薬製剤全体に対して通常約0.3〜10%重量部、好ましくは、0.5〜7%程度である。
【0018】
本発明において、「実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分」及び「不溶性有効成分」とは、農薬有効成分の水溶解度(S(mg/L))と水田10a当たりの農薬有効成分の処理量(M(g))及び水深(h(cm))の間に、r=S/(M/10h)<10の条件を満足する農薬有効成分であるが、通常、水深は3cm程度と考えられるので、r=S/(M/30)<10の条件を満足する農薬有効成分ということもできる。その種類に特に限定はないが、例えば、ピラゾレート、エトベンザニド、ピリブチカルブ、ベンゾフェナップ、3−(2’−フルオロ−4’−クロロ−5’−シクロペンチルオキシ)−5−イソプロピリデン−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(特開昭62−167713号公報に記載の化合物)、ナプロアニリド、シハロホップブチル、クロメプロップ、ダイムロン、クミルロン、ビフェノックス等が挙げられ、好適にはピラゾレートを挙げることができる。上記rが10未満の農薬有効成分の中でも、rが1未満の物は、本発明による更に高い効果を得ることができるので、好適である。
【0019】
農薬有効成分が実質的に田面水中に可溶性か不溶性かの指標となる上記の数値rをS/(M/30)として求めると、例えば、ピラゾレートの場合、r=0.0125と10よりはるかに小さくなり、実質的に田面水に対する不溶性の程度が大きい。一方、対照的に、ベンスルフロンメチルやプレチラクロールのrはそれぞれr=70.5(pH=6において)、33.3であり、10より大きく、実質的に田面水中に可溶性の農薬有効成分である。
【0020】
本発明においては、不溶性有効成分は一種を単独で用いてもよいし又二種以上混合して用いてもよい。また、不溶性有効成分一種又は二種以上と、実質的に田面水中に可溶性の農薬有効成分一種又は二種以上とを混合して用いてもよい。それら有効成分は、水田に使用できるものであれば特に限定はなく、除草活性、殺菌活性、殺虫活性、植物生長調節活性その他の農薬用活性を有するものをすべて含有するものであり、異なる活性を有する成分を二種以上混合して用いることもできる。
【0021】
本発明に使用する農薬有効成分には、少なくとも一つは除草活性を有する成分が含まれていることが好ましい。
【0022】
本発明の農薬粒剤には、更に液状有効成分を含有させることができる。
【0023】
本発明において、「常温で液状の農薬有効成分」及び「液状有効成分」とは、通常の状態において液体のものであれば特に限定はないが、好ましくは、例えば、プレチラクロール、ジメタメトリン、ベンフレセート、チオベンカルブ等を挙げることができ、さらに好ましくは、プレチラクロール、ジメタメトリンを挙げることができる。
【0024】
液状有効成分を含む場合には、その吸油助剤として、粒剤の水中崩壊性への影響が少ないパーライトやアルカリ性のホワイトカーボンを配合することが望ましい。具体的な商品としては、パーライトには、例えば、ロカヘルプB−409(三井金属鉱山製)が、また、アルカリ性のホワイトカーボンには、カープレックス#100、カープレックス#1190(以上塩野義製薬製)、ニップシールNA(日本シリカ製)等がある。不溶性有効成分及び液状有効成分を配合する農薬粒剤の場合には、こうした吸油性助剤のうち、特に、パーライトであるロカヘルプB−409を使用すると造粒性が良好で田面水中での粒剤の崩壊性に対して影響を及ぼさず、好ましい。
【0025】
不溶性有効成分とともに液状有効成分を配合する農薬粒剤の場合には、不溶性有効成分の粒度を細かくし過ぎると、経時的に粒剤の水中での崩壊拡展性又は崩壊分散性が悪くなる。従って、粒剤の水中での崩壊拡展性又は崩壊分散性の経時的劣化を防ぐためには、不溶性有効成分の平均粒径は2μm以上が望ましい。粒度分布測定はレーザー回折法にて行う(堀場製作所製のLA700使用。)。
【0026】
本発明に使用する農薬有効成分の配合割合は、特に限定はないが、農薬粒剤全体に対して、0.1〜50%重量部が望ましい。
【0027】
本発明の農薬粒剤は上記の必須成分のほかに、通常粒剤に使用される添加剤、例えば造粒性改良助剤、粒剤の崩壊性改良助剤、結合剤、増量剤等を添加することができる。造粒性改良助剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩等、粒剤の造粒性改良助剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩、トリポリリン酸塩等、結合剤としては、例えば、デンプン、デキストリン、CMC、ポリビニルアルコール等、増量剤としては、例えば、ベントナイト、炭酸カルシウム、クレー、タルク、ケイソウ土等が挙げられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の農薬除草粒剤は、公知の方法によって容易に製造される。例えば、液状有効成分を含まない場合には、農薬有効成分、ポリカルボン酸系界面活性剤及び/又はポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤、分子量400以下の糖類、造粒性改良助剤(ジアルキルスルホコハク酸塩等)、水中崩壊性助剤、結合剤及び増量剤を、水とともに混合し、押し出し造粒し、乾燥することによって製造される。液状の農薬有効成分を含む場合には、押し出し造粒し乾燥した上記粒剤に、液状の農薬有効成分を吸収させることによって製造される。
【0029】
【実施例】
以下、調製例、実施例、比較例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
(調製例1)
ピラゾレート原体(純度93.7%)1494.2g、粒状炭酸カルシウムK3(三共精粉製)200g及びロカヘルプB−409(三井金属鉱山製)305.8gを混合し、J−O−マイザー0101型(セイシン企業製)を用いて乾式粉砕し、平均粒径が3.1μmのピラゾレートプレミックス(有効成分量70%)を得た。
【0031】
(調製例2)
ピラゾレート原体(純度93.7%)1668.5g、NE−292PG(日本乳化剤、ジアルキルスルホサクシネート塩)21.25g及び水道水810.25gを混合し、アトライター1S型(三井金属鉱山製)にて湿式粉砕し、平均粒径が、2.1μmのピラゾレートスラリーI(有効成分量62.54%)を得た。
【0032】
(調製例3)
ピラゾレート原体(純度93.7%)10672g、NE−292PG600g及び水道水8728gを混合し、アトライター1S型にて湿式粉砕し、平均粒径が、1.76μm及び0.85μmのピラゾレートスラリー(有効成分量50.0%)を得た(それぞれピラゾレートスラリーII及びピラゾレートスラリーIIIとする)。
【0033】
(調製例4)
ベンスルフロンメチル原体(純度99%)101g及び炭酸カルシウム899gを混合し、サンプルミル(不二パウダル製)を用いて粉砕し、ベンスルフロンメチルプレミックス(有効成分量10%)を得た。
【0034】
(実施例1)
炭酸カルシウム883.8g、調製例1で得たピラゾレートプレミックス377.2g、調製例4で得たベンスルフロンメチルプレミックス112.2g、トリポリリン酸ナトリウム60g、アミコールNo.1(日澱化学製)100g、SOPROPHOR FLK/70 60g、グルコース100g、ロカヘルプB−409 200gを小型ニーダーに順次投入し、10分間混合した後、NE−292PGを4g含んだ水道水300mlを添加して10分間練合した。練合物を押し出し造粒機(スクリーンの目開き0.8mmφ)で造粒し、流動層乾燥機で乾燥後、整粒(フルイ目開き0.5〜1mm)して、粒剤を約1600g得た。この粒剤1600gに対し、プレチラクロール原体(純度96.3%)を86.7g吸収させ、目的のサンプルを試製した。
【0035】
実施例1と同様にして下記の処方にて粒剤を得た。ただし、ジメタメトリン原体(純度97.6%)とプレチラクロール原体配合の粒剤(実施例10、11及び比較例11、12の粒剤)については、液状原体をのぞく原料で押し出し造粒して試製した粒剤にジメタメトリン原体とプレチラクロール原体の混合液を吸収させた。
【0036】
(実施例2)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 10.00
ロカヘルプB−409 15.00
ベントナイト(穂高製) 5.00
炭酸カルシウム 30.19
(実施例3)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
GEROPON SC/213 5.00
シュークロース 10.00
ロカヘルプB−409 15.00
ベントナイト(穂高製) 5.00
炭酸カルシウム 30.19
(実施例4)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
SOPROPHOR FLK/70 3.00
ソルビトール 5.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 44.19
(実施例5)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
SOPROPHOR FLK/70 3.00
ラクトース 5.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 44.19
(実施例6)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
デモールEP 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 15.00
炭酸カルシウム 39.19
(実施例7)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートスラリーI 21.11
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
デモールEP 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 15.00
炭酸カルシウム 44.49
(実施例8)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 15.00
炭酸カルシウム 39.19
(実施例9)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートスラリーI 21.11
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 15.00
炭酸カルシウム 44.49
(実施例10)
原料 重量部(%)
ピラゾレートプレミックス 28.29
プレチラクロール原体 5.14
ジメタメトリン原体 0.68
アミコールNo.6H 5.00
NE−292PG 0.20
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 10.00
ベントナイト(穂高製) 10.00
炭酸カルシウム 32.69
(実施例11)
原料 重量部(%)
ピラゾレートスラリーI 31.66
プレチラクロール原体 5.14
ジメタメトリン原体 0.68
アミコールNo.6H 5.00
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 10.00
ベントナイト(穂高) 10.00
炭酸カルシウム 41.35
(実施例12)
原料 重量部(%)
ピラゾレートプレミックス 37.71
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
SOPROPHOR FLK/70 5.00
グルコース 5.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 34.09
(実施例13)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
NE−292PG 0.20
アミコールNo.6H 5.00
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 5.00
ベントナイト(穂高) 5.00
炭酸カルシウム 47.19
(実施例14)
原料 重量部(%)
ピラゾレートプレミックス 37.71
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
NE−292PG 0.20
アミコールNo.6H 5.00
SOPROPHOR FLK/70 3.00
グルコース 5.00
炭酸カルシウム 46.09
(比較例1)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
NE−292PG 0.20
アミコールNo.1 5.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 52.19
(比較例2)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
グルコース 5.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 47.19
(比較例3)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
SOPROPHOR FLK/70 3.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 49.19
(比較例4)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
GEROPON SC/213 5.00
ロカヘルプB−409 15.00
ベントナイト(穂高製) 5.00
炭酸カルシウム 40.19
(比較例5)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 10.00
NE−292PG 0.20
SOPROPHOR FLK/70 3.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 44.19
(比較例6)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートプレミックス 18.86
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
SOPROPHOR FLK/70 3.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 49.19
(比較例7)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートスラリーII 26.40
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
デモールEP 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 15.00
炭酸カルシウム 44.71
(比較例8)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートスラリーIII 26.40
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
デモールEP 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 15.00
炭酸カルシウム 44.71
(比較例9)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートスラリーII 26.40
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 15.00
炭酸カルシウム 44.71
(比較例10)
原料 重量部(%)
ベンスルフロンメチルプレミックス 5.61
ピラゾレートスラリーIII 26.40
プレチラクロール原体 5.14
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 15.00
炭酸カルシウム 44.71
(比較例11)
原料 重量部(%)
ピラゾレートスラリーII 39.60
プレチラクロール原体 5.14
ジメタメトリン原体 0.68
アミコールNo.6H 5.00
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 10.00
ベントナイト(穂高製) 10.00
炭酸カルシウム 41.69
(比較例12)
原料 重量部(%)
ピラゾレートスラリーIII 39.60
プレチラクロール原体 5.14
ジメタメトリン原体 0.68
アミコールNo.6H 5.00
GEROPON SC/213 5.00
グルコース 3.00
ロカヘルプB−409 10.00
ベントナイト(穂高) 10.00
炭酸カルシウム 41.69
(比較例13)
原料 重量部(%)
ピラゾレートプレミックス 37.71
トリポリリン酸ナトリウム 3.00
アミコールNo.1 5.00
NE−292PG 0.20
SOPROPHOR FLK/70 5.00
ロカヘルプB−409 10.00
炭酸カルシウム 39.09
【0037】
【試験例】
(試験例1)
上記実施例1及び比較例1〜3で得た粒剤を使用して、下記方法にて溶出試験を行った。
【0038】
温室にて900cm2 のプラスチック製バットに、水田土壌を約3kg入れ、代かきを行った。翌日、水深を3cmに保ち、静水条件下で上記粒剤を90mg処理した。その後、経時的にサンプリングを行い、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ヒドロキシピラゾール(以下、DTPと略す。ピラゾレートの加水分解物で、除草活性本体である。DTPの田面水中での溶出速度が生物効果に影響を及ぼす。)の田面水中濃度をHPLC法で分析した。なお、溶出期間中は毎日散水し水深を3cmに保った。
【0039】
表1に、DTPの田面水中溶出濃度の経時的推移を示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003866787
粒剤中にグルコースもSPOROPHOR FLK/70も含まない比較例1の粒剤の場合、田面水中での粒剤からのDTP溶出速度はきわめて遅い。比較例1の粒剤にさらにグルコースを配合した比較例2の粒剤の場合でも同様である。比較例1の粒剤にさらにSPOROPHOR FLK/70を配合すると(比較例3の粒剤)、田面水中での粒剤からのDTPの溶出速度は良好になるが、比較例1の粒剤にさらにグルコースとSPOROPHOR FLK/70を配合すると(実施例1の粒剤)、これらの相乗効果により、田面水中での粒剤からのDTPの溶出速度が驚くべきほど良好になることがわかる。
【0041】
(試験例2)
試験例1と同様にして実施例2及び比較例4で得たサンプルを使用して田面水中溶出試験を行い、DTP、ベンスルフロンメチル、プレチラクロールの田面水中溶出濃度をHPLC法で分析した。その結果を表2に示す。表2より、田面水中に実質的に可溶性のベンスルフロンメチルやプレチラクロールの場合には、GEROPON SC/213とグルコースの相乗効果はないが、実質的に田面水中に不溶性のピラゾレートの場合には、ベンスルフロンメチルやプレチラクロールと同一粒剤中に配合されているにもかかわらず、GEROPON SC/213だけでなくグルコースを配合させることにより、田面水中での粒剤からのDTPの溶出速度が驚くべきほど良好になることがわかる。
【0042】
【表2】
Figure 0003866787
(試験例3)
試験例1と同様にして実施例2〜5及び比較例4〜6で得たサンプルを使用して田面水中溶出試験を行い、DTPの田面水中溶出濃度をHPLC法で分析した。その結果を表3に示す。表3より、グルコースだけでなく、シュークロースやソルビトール、ラクトースなどの分子量が400以下の糖類にも、ポリカルボン酸系界面活性剤又はポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤との相乗効果により、田面水中での粒剤からのDTPの溶出速度を目覚ましく良好にする働きがあるが、分子量が400以上のアミコールNo.1のようなデキスリン(少糖類)の場合には顕著な効果は得られないことがわかる。
【0043】
【表3】
Figure 0003866787
(試験例4)
実施例6〜11、比較例7〜12で得た粒剤を50℃、2週間(50℃×2W)虐待経時した。直径が約9cmのシャーレ中に10度硬水を入れ、粒剤を5粒投下し、粒剤がその原形をとどめなくなるまでの時間、粒剤の水中崩壊性、粒剤の水中崩壊の型を試製直後品と比較観察した。その結果を表4、5、6に示す(表4〜6において崩壊性は目視判定にて、◎非常に良好、○良好、△やや不良、×不良の4段階で判断した。)。表4〜6より、液状の農薬有効成分を配合する場合には、ピラゾレート原体の平均粒径は2μm以上にすることが望ましいことがわかる。
【0044】
【表4】
Figure 0003866787
【0045】
【表5】
Figure 0003866787
【0046】
【表6】
Figure 0003866787
(試験例5)
試験例1と同様にして実施例12及び比較例13で得た粒剤を使用して田面水中溶出試験を行い、DTPの田面水中溶出濃度をHPLC法で分析した。ただし、粒剤の処理量は、水田10a当たり製剤として500g処理になるように900cm2 のプラスチック製バットに45mg処理した。その結果を表7に示す。表7より、本発明で得られた粒剤は水田10a当たり製剤として500g処理する製剤であっても、田面水中での粒剤からのDTPの溶出をきわめて良好にすることができることがわかる。
【0047】
【表7】
Figure 0003866787
【0048】
【発明の効果】
以上より、本発明の農薬粒剤は、田面水中で容易に崩壊拡展もしくは崩壊分散し、実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分の粒剤からの溶出速度をきわめて良好にする。

Claims (9)

  1. 実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分、分子量が400以下の糖類、並びに、マレイン酸とスチレンスルホン酸の共重合体又はその塩;イソブチレン又はジイソブチレンとマレイン酸の共重合体又はその塩;マレイン酸とアクリル酸の共重合体又はその塩;及びアクリル酸の重合体又はその塩から選択されるポリカルボン酸系界面活性剤及び/又はポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル系界面活性剤を含有し、田面に直接処理することを特徴とする農薬粒剤。
  2. 農薬有効成分が除草活性成分である、請求項1に記載の農薬粒剤。
  3. 農薬有効成分がピラゾレートである、請求項1に記載の農薬粒剤。
  4. 分子量が400以下の糖類が、グルコース、ソルビット、ラクトース、シュークロース及びマルトースの中から選ばれるすくなくとも一種以上の糖類である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の農薬粒剤。
  5. 水田10a当り製剤として1.5kg以下の量を処理するように処方された、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の農薬粒剤。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の農薬粒剤に、さらに常温で液状の農薬有効成分を含有することを特徴とする農薬粒剤。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の農薬粒剤に、さらに常温で液状の農薬有効成分及びパーライトを含有することを特徴とする農薬粒剤。
  8. 常温で液状の農薬有効成分プレチラクロール又はジメタメトリンである、請求項6又は7に記載の農薬粒剤。
  9. 実質的に田面水中に不溶性の農薬有効成分の平均粒径が2μm以上である、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の農薬粒剤。
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