JPH0899804A - 投下点に有効成分が偏在しない水面浮遊拡展性農薬製剤 - Google Patents

投下点に有効成分が偏在しない水面浮遊拡展性農薬製剤

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JPH0899804A
JPH0899804A JP7199459A JP19945995A JPH0899804A JP H0899804 A JPH0899804 A JP H0899804A JP 7199459 A JP7199459 A JP 7199459A JP 19945995 A JP19945995 A JP 19945995A JP H0899804 A JPH0899804 A JP H0899804A
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glucose
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floating
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Masayuki Nakagawa
昌之 中川
Akihiko Kunitomo
昭彦 国友
Kinji Tanizawa
欽次 谷澤
Takeshi Hirata
毅 平田
Yasuhiro Tsujino
泰宏 辻野
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Sankyo Co Ltd
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Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】手軽に処理でき、散布者や環境に危害を与えな
い農薬製剤を提供すること。 【構成】水面浮遊性の粒核に農薬有効成分を担持させ、
水面拡展剤の拡展力を損なわない乳化分散剤を配合する
ことによって、水面拡展性と有効成分の水中への乳化分
散性を保持させた水面浮遊拡展性農薬粒剤。 【効果】安全性と省力化が求められている農業及び農薬
業界の発展に寄与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】本発明の目的は手軽に処理でき、散布者
や環境に危害を与えない農薬製剤を提供することにあ
る。
【0002】本発明は、水面浮遊性の粒核に農薬有効成
分が担持され、水面拡展剤と、澱粉系の乳化分散剤とが
配合された、投下点に農薬有効成分が偏在しない水面浮
遊拡展性粒状農薬製剤に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、水田用農薬はその使用の便のため
に、種々の剤型、例えば、粉剤、水和剤、乳剤、粒剤等
に製剤され、水面又は稲体に散布されている。
【0004】しかし、粉剤や水和剤は、粉立ちによる使
用者や生産者の健康上の問題や環境汚染の問題があり、
乳剤の場合は、有機溶媒の毒性の問題や火災の危険があ
る。粒剤はこういった欠点は少ないが、物流や経費性の
面で不利であるばかりでなく、活性成分によっては十分
な防除効果が得られない場合も多い。
【0005】これらのことから、最近、フロアブル(以
下FLと略す)やドライフロアブル(以下DFと略す)
といわれる新しい剤型が開発されてきた。これらは水に
希釈して、水溶液、懸濁液又は乳化液として使用され
る。これらFLやDFといわれる剤型は、粉立ちがなく
流動性があるという点で水和剤の上記欠点を解決した剤
型といえるが、従来の剤型を含めて、これらの製剤を散
布するためには、まずそれを水に溶解又は分散させねば
ならず、その後多くの場合、散布器具が必要であり、
又、散布に際し水田に入ることが必要となる。特に小規
模な兼業農家にとって、溶解又は分散させる容器と散布
器具を準備し、水田に入って散布することは、経済的負
担や安全面の不安ばかりでなく、労力的にも時間的にも
負担は大きい。特に、高齢者と女性に依存することの大
きい最近の農家にとっては、このような負担は耐え難い
ものとなっている。
【0006】このため、最近、散布に特殊な器具を必要
とせず、手軽に散布できる方法として、除草剤のFLを
プラボトルに入れ、これをキャップ部に開けた小孔から
水田中に振り込む方法が開発された。この方法によれ
ば、散布に特殊な器具を必要とせず、手軽に散布できる
利点があるが、散布に際しては依然として水田に入る必
要があり労力を要することや、散布方法や風向きによっ
ては薬液の飛沫が作業者にかかる等の欠点があるため、
必ずしも従来法の欠点を完全に除去し得たとは言い難
い。また、使用済みの空き瓶の処理も安全面や環境上の
問題を引き起こす可能性がある。
【0007】また、水面浮遊性粒剤としては、(1)水
浮遊性の担体を用いて浮遊させるもの(特公昭48−1
5613号公報、特公昭47−1240号公報)、
(2)特定の吸水能を有する軽石や蛭石を担体とするも
の(特公昭44−8600号公報)、(3)揮散性殺虫
化合物を用いた粒剤(特公昭49−11421号公
報)、(4)カーバメート系農薬活性成分と、その水に
対する分配系数が102 以上の有機化合物を固体担体に
保持させたもの(特開平2−174702号公報)、
(5)固体担体と、殺菌剤、除草剤又は植物成長調節性
の有効成分と、油とからなる組成物(特開平3−193
705号公報)等の技術が開示されている。しかしなが
ら、これらは散布法の点においては従来の粒剤と何ら代
わることなく、散布労力の軽減にはなり得なかった。
【0008】さらに、最近、有効成分に界面活性剤及び
発泡剤を加えた水田用除草剤(特開平3−128301
号公報)や、有効成分、界面活性剤、及び結合剤を含有
する水田除草用錠剤又はカプセル(特開平3−1738
02号公報)に関する技術が開示された。これらの製剤
を処理するに当たっては、散布者の安全や環境保護の面
から、ポリビニルアルコールのフィルムのような水溶紙
にこれらの製剤を包み、これを水田中に投げ込むのが有
力な方法となる(特開平4−226901号公報)。
【0009】このような水田投げ込み製剤は、簡単に水
田農薬の処理ができるという利点はあるものの、従来の
粒剤や粉剤のように均一散布をしないうえ、これら固形
製剤を水中に投じると、製剤は土壌表面に沈降し、ここ
で発泡して有効成分を田面水中に分散させることになる
ため、溶けきらない原体粒子は投下地点の周辺に沈降
し、また、溶解した有効成分も投下地点近傍の土壌表面
近くで高濃度の溶液を形成するため、土壌に吸着され易
い。このため、有効成分の水溶解度がかなり高い化合物
であっても製剤投下点付近の土壌に有効成分が高濃度に
吸着され、圃場条件、気象条件等によっては有効成分の
不均一による薬害や効力のムラ、また場合によっては後
作物への影響といった欠陥が生じ易いという欠点があっ
た。このような有効成分の偏在をできるだけ解消するた
めに、投げ込み製剤には通常発泡剤を配合し、固形剤を
できるだけ早く崩壊分散させるようにするとともに、発
泡力によって有効成分を拡散させるように工夫がされて
いることが多い。この際、発泡剤には、有機酸と炭酸塩
を配合し、水の存在下で両者が反応して炭酸ガスが生成
するメカニズムを利用するが、一方で発泡剤を含有する
製剤は保存中に製剤中の成分によって両者が反応してし
まうという欠点を有しており、包装が膨張したり、使用
時に発泡が弱くなったりといったトラブルが生じること
が多い。特に、投げ込み製剤は、水温の低い水田でも発
泡力によって有効成分を水中に分散させて、できるだけ
早く溶解拡散させ、土壌表面に均一な処理層を形成する
必要があるため、発泡力の低下が生じると有効成分の拡
散が不十分となり、上記のような欠陥の原因となる懸念
があった。
【0010】このため、最近、発泡剤を含有しない投げ
込み製剤の技術が開発されてきた。例えば、特開平5−
78207号公報には水溶性フィルムで包装した水面展
開性農薬製剤包装体が開示されている。この技術は農薬
有効成分を有機溶媒等に溶解し、水面展開性油状物質を
得、これをそのまま、或いは固体状物質に保持させて水
溶性フィルムに分包とするものであるが、油状物質をそ
のまま包装するには、有機溶媒の使用に伴う危険物の問
題があり、固体状物質に保持させる場合には、その固体
状物質が水溶性でないと、油状物質が完全に浮上するこ
とが出来ず、投下点に残留するため、薬害や効力不足の
原因となるし、個体状物質が水溶性の場合には、造粒時
の機器腐食の問題や有効成分の安定性の問題等がある。
【0011】また、特開平5−58804号公報、特開
平5−78204号公報には、それぞれ、農薬活性成
分、平均粒子径250μm以下のガラス中空体及び水溶
性高分子からなり、1個当たり10〜100gの重量に
成形した水面施用浮遊性農薬製剤、及び農薬活性成分、
平均粒子径250μm以下の無機浮遊性物質及び高沸点
溶剤を含有する粒子径600μm以下の個体状組成物の
10〜100gを水溶性高分子フィルムに包装した水面
施用浮遊性農薬製剤に関する技術が開示されている。し
かし、前者は、成形方法に経済性の問題があり、後者に
は、製剤方法の問題や、有効成分の物理性によっては水
面で十分な拡展性を示さなくなるという問題点がある。
【0012】また、特開平5−155703号公報に
は、見かけ比重が1より小さい粒核に、農薬有効成分及
び空気・水界面張力を変化させる物質を油状物質で被覆
した農薬製剤が開示されている。この方法は、確かに経
済性や製法の点で有利であるが、空気・水界面張力を変
化させる物質や油状物質を配合するため、有効成分化合
物の物理性によっては、投下点に有効成分が高濃度に偏
在したり、有効成分化合物が水面に浮いてしまうという
欠点がある。このため、有効成分が水に難溶性の化合物
の場合には、有効成分を田面水中に分散させるために湿
潤剤や分散・乳化剤を配合するが、これらは空気・水界
面張力を変化させる物質に対して拮抗的に作用し、製剤
の水面拡展性を阻害することが多い。
【0013】特に、水面展開剤としてアセチレン系やシ
リコーン系、フッ素系の界面活性剤を用いる場合には、
湿潤剤や分散剤、乳化剤として用いるその他の界面活性
剤と拮抗的に作用し、水面における広がりが劣化するた
め有効成分が水田全体に広がらず効力不足や、場合によ
っては、薬害の原因になることもある。
【0014】この他に、最近、水中で容易に有効成分を
分散させる顆粒状製剤を振込口をつけた瓶または箱に入
れ、これを水田に直接振込処理する技術も開発されつつ
ある。しかし、この場合も、顆粒状製剤は水面を浮遊拡
展した後、広い面積に渡って有効成分を分散させる方が
望ましく、前述したような水面拡展剤と湿潤剤や分散
剤、乳化剤との拮抗作用は重大な障害となる。
【0015】特公昭44−8600号公報には、粒状軽
石又は蛭石からなる担体に主剤を吸着し、高級脂肪酸で
被覆した浮遊性粒状殺虫剤組成物に関する技術が、特公
昭47−1240号公報には、焼成パーライトにポリブ
テンにより殺虫剤を固着させた浮遊性粒剤の技術が、特
公昭48−1179号公報には、稲菌核病類に有効な薬
剤を田面水上に浮上させることを特徴とする粒剤の技術
が、特公昭48−1181号公報には、発泡パーライト
に殺虫剤と発水剤を担持させた水面浮遊性粒剤の技術
が、特公昭48−1182号公報には、除草剤の乳剤を
水に浮く無機質担体に担持せしめた粒剤の技術が、特公
昭48−15612号公報には、拡展剤としてセルロー
スエーテル又はポリカルボン酸型高分子界面活性剤を担
持させた水に浮く粒状農薬組成物の技術が、特公昭64
−25702号公報には、農薬主剤と固状担体にポリオ
キシアルキレンシリコーンを配合してなる水浮遊性固状
製剤に関する技術が、また、特公平3−76281号公
報には、有効成分と乳化剤を含有する液状原液を熱膨張
岩石粉粒体に吸蔵させた水中易溶出乳化性粉粒剤に関す
る技術がそれぞれ開示されている。しかしながら、これ
らの技術は先述した技術と同様に散布法の点で従来の粉
剤や粒剤と何ら変わることなく散布労力の軽減にはなり
得ないものであり、省力を目的として水面浮遊拡展性を
維持し、特定の乳化分散剤を用いて有効成分の水中への
分散を改良した粒剤を、瓶または箱にいれて、水田に直
接振込処理するか、該粒剤を水溶紙に分包とし、これを
水田中に投げ込み処理することを目的とする下記本発明
の組成物とは発明の思想・技術内容を本質的に異にする
ものである。
【0016】特開昭58−65203号公報(特公平2
−56323号公報)には、無機又は有機の多孔質体又
は中空体に生物活性成分を合成樹脂又は石膏によって付
着させ、外界に通ずる穴をふさいで中空体にし、かつ、
比重を1.0以下、粒径5mm以下に調製した成形水面
浮遊生物活性物質含有組成物に関する技術が開示されて
おり、シラスバルーンを用いたダイアジノン5%粉粒剤
や、コルク粉末を用いたMIPC4%粉粒剤が例示され
ている。しかしながら、この技術は先述した技術と同様
に散布法の点で従来の粉剤や粒剤と何ら変わることなく
散布労力の軽減にはなり得ないのみならず、浮遊率に示
されるごとく、含有する生物活性物質の発現速度を物理
化学的に調節する効果を有する組成物に関するものであ
り、下記本発明の組成物とは、発明の思想、技術内容を
本質的に異にする。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このため、 散布に際し特別な器具を必要としない 省力的である 散布者及び環境に対して安全 容器の処理が簡単 有効成分の偏析による薬効不足や薬害の恐れがない 経時的に安定な製剤である を満足する製剤及び処理方法が要望されていた。
【0018】このような現状に鑑みて、本発明者らは上
記の条件を満たす製剤及び処理方法の開発を目指して鋭
意検討を重ねた。
【0019】その結果、水面浮遊性の粒核に農薬有効成
分を担持させ、水面拡展剤と、分子構造中に少なくとも
一つのグルコース残基を含有する乳化分散剤とを配合し
た水面浮遊拡展性農薬製剤を、振込口を付けた適当な容
器に詰め、水田中に直接振込処理するか、この製剤を水
溶紙に小分けして分包とし、これを水田中に投げ込み処
理することにより目的を達成し得ることを見いだし本発
明を完成した。
【0020】
【発明の構成】
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、水面浮遊性の
粒核に農薬有効成分を担持させ、水面拡展剤と、分子構
造中に少なくとも一つのグルコース残基を含有する乳化
分散剤とが配合された投下点に農薬有効成分が偏在しな
い水面浮遊拡展性粒状農薬製剤に関する。
【0022】本発明において使用する水面浮遊性の粒核
は、焼成バーミキュライト、発泡パーライト、発泡シラ
ス、コルク、発泡スチロール等の合成樹脂発泡体等の水
に浮く性質を有するものの粒状物およびこれらの1種以
上を含有して水に浮く性質を付与した造粒された粒核で
ある。
【0023】本発明において使用するバーミキュライト
の原料となる蛭石は、南アフリカ、米国、ロシア、オー
ストラリア、中国等に分布し、我が国では福島県に産出
する雲母質鉱物である。バーミキュライトは、この蛭石
を1000℃前後の高温で加熱焼成し、結晶水を除去す
ると共に、その際密着していた多くの雲母の層が剥離し
て、アコーデオン状に膨張した軽量の鉱物質であり、建
設材料や農園芸用材料として使用されている。原石の産
地により色が異なり、南アフリカ産の白色、米国産のシ
ルバーグレー、中国や日本の褐色〜金色系等がある。焼
成前の原石の粒度によって、得られるバーミキュライト
の粒度も1mm以下のものから5mm以上のものを含む
ものまで各種のグレードがある。
【0024】焼成されたバーミキュライトは水に投じる
と多くは浮遊するが、焼成温度が低い場合には、雲母層
の剥離が不十分で水に浮きにくい区分が生じ、逆に焼成
温度が高すぎると、脆く破砕し易いものとなる。また、
原石中に含まれる不純物が多いと焼成しても雲母層の剥
離が生じず、水に浮きにくい粒子が生じる。このような
場合には、篩を用いて未剥離の微細粒子区分を篩別除去
するか或いは風ひ又は水ひにより分級し、水に浮きにく
い区分を除去しておくことが好ましい。
【0025】また、本発明において使用するパーライト
の原料となる黒曜石、真珠岩、松脂岩は、主として第三
紀以後の比較的新しい火山岩地帯に分布し、世界的には
アメリカ大陸の西部、ヨーロッパを経てアイスランド南
部から地中海にまたがる地域と、日本からニュージーラ
ンド、オーストラリアにまたがって分布する1種の天然
産ガラスである。我が国でも、秋田、山形、福島、長
野、佐賀、大分、北海道等の各地で産する。パーライト
はこれら黒曜石、真珠岩、松脂岩を1000℃前後の高
温で加熱焼成し、結晶水や揮発性成分を気化させること
によって、軟化しているガラス質を急激に膨張させたも
ので、内部に真珠状の空泡を有する軽石であり、建築
用、断熱用、園芸用等に広く利用されている。粒度的に
は1mm以下の細かいものから5mm以上のものを含む
ものまで多くのグレードがある。原石の種類と粒度及び
膨張条件によって、製品の形状、密度、粒度分布等が変
化する。一般には、各サイズの粒子が適度に混合したも
のの製造には、真珠岩及び松脂岩が用いられ、特に細
粒、極軽量の製品には黒曜石が使用される。黒曜石から
は丸くて比較的硬度のある粒子が得られる。
【0026】本発明において使用する発泡シラスの原料
となるシラスは、主として南九州に広く分布する軽石流
降下軽石層及びこれらの二次堆積層で非晶質の火山ガラ
スが約7割を示す。我が国ではこの他に北海道、十和田
湖周辺、関東地方にも一部産出する。発泡シラスは、こ
のシラス中の火山ガラスを高温で処理して発泡させた中
空状のもので、嵩比重が小さく、不活性で混合性・流動
性が良い微細粒〜粒状体である。比較的低温で処理した
ものは、膜厚6μm程度で嵩比重が比較的大きく水に浮
きにくいものが混入する。高温で処理したものは膜厚3
μm程度で嵩比重が小さく水に浮き易くなる。しかし、
さらに高温で処理するとバルーンが破れて水に沈むよう
になる。粒度的には平均粒径が数十μmの細かいものか
ら数mmの大きいものまで各種グレードがあり、各粒度
別に嵩比重の大きいものと小さいものとがある。通常の
発泡シラスは、バルーン率が65〜95%程度である
が、発泡シラスを風ひ又は水ひして軽い部分だけを分取
すればバルーン率が高いグレードを得ることもできる。
本発明においては、これらのうちで水に浮くタイプのも
のであればどのグレードのものも使用することができ
る。
【0027】本発明において使用するコルクは、主とし
てポルトガルに産するコルク樫の樹皮の部分を砕いて粉
末〜粒状にしたもので、一般的にはこれを種々の形に加
工して壜栓やコースター、インテリア、掲示板等のボー
ド、着火剤等に使用されている。原料となるコルクには
その粒度や上記の加工メーカーから返品される成形カス
再生品の混入率によって種々のグレードがある。本発明
においてはこれらのどのグレードも使用することができ
るが、余り大きすぎるものよりも粒径が5mm程度以下
に砕いたものの方が使い易い。
【0028】本発明において使用できる発泡スチロール
等の合成樹脂発泡体は、荷造り用の緩衝材として用いら
れるものの粉状または粒状物である。これらは水に浮く
性質を有するものであればどのグレードのものも使用で
きるが、余り大きすぎるものよりも粒径が5mm程度以
下の、砕いたものの方が使いやすい。これら合成樹脂発
泡体はいつまでも水面に残る上に非天然物であるという
欠点があるが、軽いため、浮力をつけるという点では優
れており、少量の配合で粒を浮かせることができるとい
う利点がある。
【0029】これらの粒核に水浮遊性を付与する物質は
これらの内のどのグレードのものも使用できるが、本発
明はこれらの鉱物質等が水に浮く性質を利用し、これに
農薬有効成分及び水面拡展剤、並びに特定の乳化分散剤
を配合することによって水面で有効成分を含有した農薬
製剤を拡展させ、有効成分を水田中に均一に処理するこ
とを目的とするものであるから、農薬粒剤は少なくとも
水面を拡展し、広い範囲に拡がるまでの間は水面に浮い
ている必要がある。従って、未発泡成分や破砕された区
分を多く含み、水田に投げ込んだ直後に沈降するような
成分を多く含有するものを用いると粒剤を浮かせにくく
なり農薬有効成分が投下地点に沈降し、薬害や効力のむ
ら、ひいては投下点における残留の原因となるので好ま
しくない。一方、商品価値の面からは農薬有効成分が水
面に広範囲に拡がった後は、これら鉱物質は沈降する方
が望ましい。
【0030】さらに、これらの浮遊性の物質は一般に嵩
が高い。このため、拡展性水溶紙に分包とした場合に、
袋が大きくなりすぎると投げ込みにくくなる。この点、
バーミキュライトは吸油能が大きく、農薬有効成分を被
覆する際に液状結合剤を多く用いることができ、この液
状結合剤は製品中に残すことができるので、比較的嵩の
小さい分包とすることができる。
【0031】農薬粒剤中に配合する焼成バーミキュライ
ト、発泡パーライト、発泡シラス、コルク及び合成樹脂
発泡体等の配合量は、農薬粒剤が水中で浮遊する量であ
れば十分である。焼成バーミキュライト、発泡パーライ
ト、発泡シラスの場合、これらの種類やグレード、有効
成分の種類やその他の助剤の種類、配合量等処方によっ
ても異なるが、本発明の目的とする浮遊性を農薬粒剤に
付与するためには、通常15%以上必要であり、好まし
くは30〜90%配合する。コルクや合成樹脂発泡体の
場合はこれらに比べると少ない量で浮かすことができる
が、通常3%以上は必要であり、好ましくは5%以上配
合する。これらを混合造粒して水面浮遊性粒核として使
用する場合には、上記を目安として農薬粒剤が水中で浮
遊するように調製すれば良い。
【0032】本発明の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤に
は、水面拡展剤を配合する。水面拡展剤としては、アク
リル酸、マレイン酸等カルボン酸の共重合物やそれらに
スチレンスルホン酸、ビニル基等を共重合させたものの
ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩のようなポ
リカルボン酸型のポリソープ、ポリスチレンスルホン酸
のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩のような
ポリスルホン酸型のポリソープ、オレイン酸ナトリウム
やステアリン酸カリウムのような石鹸類、ジアルキルス
ルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、パーフルオロア
ルキルカルボン酸塩等のようなアニオン界面活性剤、ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルエステル、ソルビタンのアルキルエステル等のノニ
オン界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレン
系界面活性剤、プルロニックタイプの界面活性剤等の種
々のノニオン界面活性剤、さらには、これらノニオン界
面活性剤をリン酸又は硫酸のエステルとし、場合によっ
てはそれらを適当なアルカリで中和した界面活性剤、フ
ッ素を含有する界面活性剤、各種のカチオン又は両性イ
オン性界面活性剤、流動パラフィンやナフテン系高沸点
溶媒、低粘度のポリブテン、シリコーンオイル、マシン
油等の鉱物油類、種々の動植物油、松脂等種々の樹脂
類、樟脳白油、αピネン、樟脳、ナフタレン等が使用で
きるが、これらの内アセチレン系界面活性剤、シリコー
ン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が特に有用であ
る。
【0033】アセチレン系界面活性剤にはアセチレンア
ルコール、アセチレンジオール及びこれらにアルキレン
オキサイドを付加した界面活性剤を包含する。
【0034】アセチレンアルコールは、HOCR12
−C≡CH(R1 及びR2 はそれぞれ、C数が1〜8の
アルキル基を示す)で表される一連の化合物で、R1
メチル基、R2 がイソブチル基のものがサーフィノール
61、R1 及びR2 がメチル基のものがオルフィンB、
1 がメチル基、R2 がエチル基のものがオルフィンP
の商品名で市販されている。
【0035】アセチレンジオールは、HOCR12
C≡C−CR12 OH(R1 及びR2 は同一でも異な
っていてもよく、それぞれ、C数が1〜8のアルキル基
を示す)で表される一連の化合物で、R1 がメチル基、
2 がエチル基のものがサーフィノール82、R1 がメ
チル基、R2 がイソブチル基のものがサーフィノール1
04、R1 及びR2 がメチル基のものがオルフィンYの
商品名で市販されている。
【0036】又、これらにアルキレンオキサイドを付加
した界面活性剤は、例えば、上記アセチレンアルコー
ル、アセチレンジオールにエチレンオキサイド及び/又
はプロピレンオキサイド等を付加した界面活性剤であ
る。アルキレンオキサイドを付加したものとしては、サ
ーフィノール104にエチレンオキサイドを付加したも
のがサーフィノール400シリーズの商品名で市販され
ている。又、サーフィノール104Sは、サーフィノー
ル104(ワックス状)と無晶形二酸化ケイ素を40:
60の比率で混合粉砕した、粉末状のプレミックスであ
る。これらは、それぞれエアプロダクツ社が製造し、我
が国では日信化学(株)が販売している。
【0037】シリコーン系界面活性剤は、ジメチルポリ
シロキサンの末端及び/又は側鎖のメチル基の一部に、
ポリエチレンオキサイド及び/又はポリプロピレンオキ
サイドを導入し、場合によっては、末端のOH基をアル
キル基でエーテル化した、ポリエーテル変性シリコーン
オイルを主成分とするノニオン界面活性剤で、シルガー
ドシリーズ(ダウコーニングシリコーン(株)製)、シ
ルウェットシリーズ(ユニカー(株)製)、シリコーン
オイルKFシリーズ(信越化学(株)製)、カイネチッ
ク(ヘレナケミカル(株)製)等の商品名で市販されて
いる。
【0038】フッ素系界面活性剤は通常のアニオン、ノ
ニオン、カチオン、両性イオン系界面活性剤の水素原子
の一部または全部をフッ素原子で置換した界面活性剤
で、表面張力低下力に優れることで知られている。わが
国では、ユニダインシリーズ(ダイキン工業(株)
製)、メガファックシリーズ(大日本インキ化学工業
(株)製)フタージェントシリーズ((株)ネオス
製)、サーフロンシリーズ(旭硝子(株)製)、エフト
ップ(トーケムプロダクツ(株)製)等の商品名で販売
されている。
【0039】これら水面拡展剤の配合量は、有効成分の
種類と含有量、水面拡展剤の種類、その他成分の種類と
配合量等製剤処方や剤型によって異なるが、通常0.1
〜10%程度、好ましくは0.3〜5%程度、更に好ま
しくは0.5〜3%程度である。
【0040】本発明の水面浮遊拡展性農薬製剤には、粒
剤の水面での浮遊拡展性を維持し、農薬有効成分を乳化
分散させるために、分子構造中に少なくとも一つのグル
コース残基を含有する乳化分散剤が配合される。
【0041】本発明の分子構造中に少なくとも一つのグ
ルコース残基を含有する乳化分散剤は、好ましくは、ア
シル化されたデンプン、アシル化されたデキストリンお
よび炭化水素化されたモノもしくはオリゴグルコ−スか
ら選ばれる。ここで、デキストリンとは、デンプンの部
分的加水分解産物を意味し、加水分解の方法およびその
程度により種々のグレ−ドのものがあり、中にはヨ−ド
でんぷん反応を示さない程度に加水分解が進んだものも
あるが、本発明はそれらのいずれをも包含する。アシル
化されたデンプンもしくはデキストリンにおけるアシル
基の結合部位は、多くはグルコ−スの6位であるが、一
部は2位または3位とも結合しているものと推定され
る。また、アシル基の結合数は特に限定されないが、通
常はデンプンまたはデキストリン中のグルコース残基1
00個当たり1ないし3個であり、好適には1.5ない
し2個である。アシル基は、置換分を有しない飽和もし
くは不飽和の脂肪族アシル基であるか、またはその末端
がアミノ、ヒドロキシ、カルボキシまたはヒドロキシス
ルホニルオキシ基で置換された飽和もしくは不飽和の脂
肪族アシル基であるものが好適である。置換基の種類に
より、例えば、アミノ、カルボキシ基等の場合は、それ
らは塩を構成していてもよく、それらの塩は好ましい態
様でもある。塩を構成する原子または原子群は、かかる
置換基の対イオンとなり、たとえば置換基がカルボキシ
基の場合は、1価のカチオンを構成するナトリウム、カ
リウム、リチウム、アンモニウム等でありえ、好適には
ナトリウムである。かかる置換基が存在する場合、その
置換位置は脂肪族アシルの末端に存在する場合が特に好
ましい。脂肪族アシルが分岐している場合は、「末端」
とは必ずしも主鎖の末端であることを意味せず、側鎖の
末端であっても差し支えない。飽和もしくは不飽和の脂
肪族アシル基の炭素原子数は特に限定はないが、好適に
は5ないし20であり、更に好適には8ないし12であ
り、最も好適なのは2−(2−オクテニル)−ソジウム
スクシニル基のような、炭素原子数が12の場合であ
る。
【0042】一方、乳化分散剤が炭化水素化されたモノ
もしくはオリゴグルコースである場合、グルコース残基
数は全部で1ないし6である場合が好適であり、更に好
適には1ないし3である場合である。かかるモノもしく
はオリゴグルコースに結合する炭化水素残基の数は好適
には1であり、その結合位置はオリゴグルコースの場合
は末端のグルコースであることが好適である。炭化水素
残基は、好適には飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素
残基である。かかる残基は直鎖状でも分岐鎖状でもよ
く、炭素原子数は好適には6ないし24、更に好適には
8ないし18である。
【0043】アシル化されたデンプンもしくはデキスト
リンの具体例としては、オクテニルコハク酸ナトリウム
塩のエステル化物が米国のFDAにより食品添加物とし
て認可されており、わが国では松谷化学(株)からエマ
ルスター・シリーズとして下記一般式で示されるn−オ
クテニルコハク酸澱粉が市販されている。一方、炭化水
素化されたモノもしくはオリゴグルコースの具体例とし
ては、日本精化(株)からスクラ−フ・シリ−ズが、ヘ
ンケル社からプランタレン・シリ−ズが、またICI社
から Atlas G73500、 Arlatone G73900等がそれぞれ市販
されている。
【0044】
【化1】
【0045】[式中、Stは澱粉(デキストリンを含
む)を表わす。]
【0046】これら乳化分散剤の配合量は、有効成分の
種類と含有量、水面拡展剤の種類、その他成分の種類と
配合量等製剤処方や、水溶性紙に分包とするか否か、水
面浮遊性粒核の種類等によって異なるが、水面拡展剤の
拡展性を減殺せずしかも所望の乳化分散効果を示す範囲
内で適宜選択され、通常、製剤中0.1〜20%程度、
好ましくは0.3〜10%程度、更に好ましくは0.5
〜5%程度である。
【0047】本発明に使用できる農薬有効成分は、殺虫
剤や殺菌剤の場合、稲体に吸収されて移行する性質のあ
るものが望ましいが、浸透移行性がなくても、水中又は
水面に生息する虫或は水中や水面から感染する菌には有
効である。いずれの場合も、薬害の少ない化合物である
ことが必要である。除草剤の場合、その本来の性質や使
用時期の点から、特に薬害のない化合物を選択すること
が望ましい。有効成分は、水溶性でも水に難溶性でも、
また固体でも液体でも構わない。本発明の粒剤には2種
以上の有効成分を含有することも可能である。
【0048】本発明に好適な有効成分は、殺虫剤では、
イソキサチオン、プロパホス、トリクロルフォン、ダイ
アジノン、ダイスルフォトン、ホルモチオン、ジメトエ
ート、モノクロトフォス、アセフェート、カルボフラ
ン、カルボスルファン、チオシクラム、カルタップ、ベ
ンスルタップ、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、カル
バリル、ブプロフェジン、フェノブカルブ、メトールカ
ルブ、プロポクシュア、メソミル、イミダクロプリド、
ニッテンピラム、N−(2−クロロ−5−ピリジルメチ
ル)−N’−シアノ−N−メチルアセトアミジン(NI
−25、アセタミプリド)等の浸透移行性殺虫剤、シク
ロプロトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェ
ン等のイネミズゾウムシやイネドロオイムシのような水
中又は水面近くに生息する害虫に有効な合成ピレスロイ
ドを挙げることができる。殺菌剤では、プロベナゾー
ル、イソプロチオラン、イプロベンフォス、トリシクラ
ゾール、ピロキロン、0301の有効成分等のいもち
剤、フルトラニル、メプロニル、MON−240、S−
658(フラメトピル)、(RS)−2−(4−フルオ
ロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール
−1−イル)−3−トリメチルシリル−プロパン−2−
オール(F−155)等のもんがれ剤、テクロフタラ
ム、ベノミル等を挙げることができる。除草剤では、ピ
ラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラゾキシフェン、ピ
リブチカルブ、ブロモブチド、ブタミホス、メフェナセ
ット、ベンスルフロンメチル、アニロホス、ブタクロー
ル、プレチラクロール、チオベンカルブ、クロルニトロ
フェン、クロメトキシフェン、ダイムロン、ビフェノッ
クス、ナプロアニリド、オキサジアゾン、ベンダゾン、
モリネート、ピペロフォス、ジメピペレート、エスプロ
カルブ、ジチオピル、イマゾスルフロン、ベンフレセー
ト、キノクラミン、シンメチリン、MCPA及びそのナ
トリウム塩、カリウム塩等の塩及びエステル、2,4−
D及びそのナトリウム、カリウム塩等の塩並びにエステ
ル、MCPB、キンクロラック、ピラゾスルフロンエチ
ル、3−N−(2−フルオロ−4−クロロ−5−シクロ
ペンチロキシフェニル)−5−イソプロピリデン−1,
3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(KPP−31
4)、N−[2−(3−メトキシ)チエニルメチル]−
N−クロロアセト−2,6−ジメチルアニリド(NSK
−850、テニルクロール)、1−(2−クロロベンジ
ル)−3−(α,α−ジメチルベンジル)ウレア(JC
−940)、シノスルフロン、シメトリン、ジメタメト
リン、n−ブチル−(R)−2−[4−(2−フルオロ
−4−シアノフェノキシ)フェノキシ]プロピオネート
(DEH−112、シハロホップブチル)、2’,3’
−ジクロロ−4−エトキシメトキシベンズアニライド
(HW−52、エトベンザニド)、1−(ジエチルカル
バモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルス
ルホニル)−1,2,4−トリアゾール(CH−90
0、カフェンストロール)、HOE−404、1H−ピ
ラゾール−5−スルホンアミド、N−{[(4,6−ジ
メトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]}
−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾール
−5−イル)(DPX47、アジムスルフロン)、N−
[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノ
カルボニル]−3−メチル−5−(2−クロロ−2,2
−ジフルオロエトキシ)−4−イソチアゾールスルホン
アミド、2−[2−(3−クロロフェニル)−2,3−
エポキシプロピル]−2−エチルインダン−1,3−ジ
オン(MK243)、メチル−2−[(1,4,6−ジ
メトキシピリミジン−2−イル)オキシ]−6−[1−
(メトキシイミノ)エチル]ベンゾエート(KUH92
0)、MY100、NBA061等の水田除草剤を挙げ
ることができる。植物成長調節剤ではイナベンフィド、
パクロブトラゾール、ウニコナゾール、トリアペンテノ
ール等に適用できる。
【0049】これらの内でも特に好ましい有効成分は、
20℃における水に対する溶解度が2000ppm以下
の比較的難溶性の化合物である。これら比較的難溶性の
有効成分の場合には、水に濡れにくい為、湿潤剤、分散
・乳化剤等を配合しないと有効成分が水面に浮いてしま
うために十分な生物活性が発揮されないことが多いが、
反面、通常の湿潤剤、乳化・分散剤等を配合すると水面
拡展剤の拡展力が低下し、粒剤が水面で十分に広がらな
い内に有効成分が遊離するので、有効成分が投下点の近
傍に高濃度に偏在することになり、生物効果のムラや、
場合によっては薬害の原因となることがある。本発明の
粒剤の場合、粒剤が水面で広範囲に拡展してから有効成
分を遊離するため、上記のような生物効果のムラや薬害
の懸念の少ない理想的な農薬製剤を得ることが出来る。
【0050】固体の有効成分は、粒度が粗いと粒核に十
分被覆できず、溶解速度が遅いため水田の投入点に有効
成分が濃厚に沈降する原因となる。有効成分は水田に投
入後、早い内に田面水中に溶解拡散し、効力を発揮する
必要がある。長期間にわたり有効成分が局在すると効力
不足や薬害などの不都合を生じることは言うまでもな
い。従って、たとえ水に対する溶解度が高いものでも、
固体の場合、ある程度微粉砕しておく必要がある。水に
対する溶解度が低いものでは特に微粉砕が必要である。
このため、ハンマーミル、ジェットミル等による乾式粉
砕やサンドミル又はアトライター等による湿式粉砕を行
う。
【0051】湿式粉砕した有効成分は、噴霧乾燥等の方
法により乾燥した後粉砕して、乾式粉砕した有効成分と
同様に取り扱うか、又は本発明の水浮遊性の粒核それ自
身又は/及び無晶形二酸化珪素、珪藻土、珪酸カルシウ
ム、高吸油性樹脂等適当な吸油性の高いキャリヤーに吸
収させ、必要があれば乾燥粉砕して、乾式粉砕した有効
成分と同様に取り扱う。本発明の粒核を造粒する場合に
は湿式粉砕した有効成分を練り込んで造粒、乾燥するこ
ともできる。
【0052】液状原体の場合は、必要に応じて、適当な
溶剤や、本剤が必要とする物理性に影響を与えない程度
の乳化剤に溶解し、本発明の水浮遊性粒核それ自身又は
/及び上記のような吸油性の高いキャリヤーや高吸油性
デキストリン、高吸油性樹脂等に吸収させるか、又は該
液状原体と相溶性のある樹脂や化学物質又は他の固体の
農薬有効成分等と固溶体を形成し、これを粉砕すれば、
固体の有効成分と同様に取り扱うことができる。
【0053】本発明の農薬粒剤には、種々の目的でその
他の補助剤を配合することができる。その他の補助剤
は、結合剤、崩壊剤、分散剤、湿潤剤、増量剤、溶剤、
乳化剤、撥水剤、粒子成長防止剤、安定剤等である。特
に、崩壊剤、分散剤、湿潤剤、乳化剤は浮遊した粒剤か
ら有効成分をぼた落ちさせないという点で重要である。
【0054】これらの内で、結合剤は、被覆法で粒剤を
調製する際に被覆助剤として、又、水面浮遊性の粒核や
農薬粒剤を成形する際のバインダーとして重要である。
【0055】水面浮遊性粒核や農薬粒剤を成形する際の
結合剤は、焼成バーミキュライト、発泡パーライト、発
泡シラス、コルク、合成樹脂発泡体及び必要に応じてそ
の他の補助剤、農薬有効成分、水面拡展剤および乳化分
散剤等の混合物を、粒剤に成形するために用いる。この
目的で用いる好適な結合剤としては、デキストリンやポ
リビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキ
シメチルセルロースの塩、メチルセルロース、アラビア
ゴム、ポリエチレングリコール及びその誘導体、タブ
粉、ベントナイト等を挙げることができる。リグニンス
ルホン酸塩やカルボン酸又はスルホン酸タイプのポリソ
ープは、分散剤と兼用でき、ベントナイトやリグニンス
ルホン酸塩は比較的安価なため増量剤としても用いるこ
とができるので特に有用である。
【0056】また、ベントナイトやカルボキシメチルセ
ルロースのナトリウム塩は結合力が強く、水中での粒の
崩壊時間を調節することが出来、しかも、それ自身に膨
潤性を有するため、一旦崩壊した後は粒剤を完全に崩壊
させることが出来るという利点を有する。
【0057】この目的で用いる結合剤の配合量は、結合
剤の種類、水面浮遊性粒核の種類、組成及び作り方、農
薬粒剤の処方、作り方及び形状、有効成分の種類や物理
性、その他の補助剤の種類や配合量等処方によって異な
るが、ベントナイトの場合、通常5〜70%程度、好ま
しくは10〜50%である。その他の結合剤の場合は、
通常0.1〜30%程度、好ましくは0.5〜20%程
度である。
【0058】水面浮遊性の粒核の表面に有効成分及びそ
の他の助剤を被覆する場合の結合剤としては、上記の結
合剤を用いて水により被覆した後、必要なら乾燥して製
品としても良いが、適当な液体又は液状化できる結合剤
を用いて水面浮遊性の粒核の表面に被覆しても良い。こ
のような結合剤は被覆後、蒸発させても良いが、揮散し
にくい油状(又は液状化した)結合剤を用いて被覆し、
製品中にこれら結合剤を残せば、乾燥工程を省略できる
ので、有利な方法となる。この場合、結合剤には有効成
分に粒子成長、分解等の悪影響を与えず、水面浮遊性の
粒核の表面に有効成分を均一に被覆できる性質を有する
ものが好ましい。一般には、高沸点、低毒性で引火性が
低く、低粘度で、比重が1より小さく、有効成分に対し
て溶解力の低い溶媒が良い。このような油状結合剤の例
としては、低粘度の流動パラフィン、塩素化パラフィ
ン、イソパラフィン、マシン油、ポリブテン、パラフィ
ン系、ナフテン系、芳香族系の各種高沸点溶媒等の鉱物
油、ヤシ油、大豆油、ナタネ油等の植物油、鯨油、鰯油
等の動物油、シリコーンオイル及びその誘導体、オレイ
ン酸、ヤシ油脂肪酸、マレイン酸、フマール酸、フター
ル酸、アジピン酸等のモノ−又はジ−カルボン酸の種々
のエステル、トリブチルホスフェートやトリスクロルエ
チルホスフェート等のリン酸の種々のエステル等の可塑
剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジ
オール等のグリコール類及びそれらの種々のエステル及
び/又はエーテル類、ε−カプロラクトン、γ−ブチロ
ラクトン等のラクトン類、N−メチルピロリドン、種々
の液状界面活性剤等を挙げることができ、中でも流動パ
ラフィン、マシン油、ポリブテン、カルボン酸エステル
等は比較的安価で有効成分に悪影響を与えないものが多
く、それら自身も安定で、かつ揮散性の低いものが多い
ので好適である。
【0059】もちろん、これら油状の結合剤は、2種以
上を混ぜ合わせて混合使用することができる。これらの
うちで、界面活性剤の中には種類と配合量によって、水
面拡展剤の水面拡展性を阻害したり、逆に、水面拡展剤
によってそれ自身のもつ水面拡展性や湿潤性、乳化・分
散性等の特性を阻害されたりする場合があるので注意を
要する。又、親水性の高い油状物質を用いる場合には、
得られる農薬粒剤を水中に投入した場合に、粒剤が沈み
易くなるので、農薬有効成分によっては注意を要する。
【0060】この目的で用いる油状結合剤の配合量は、
水面浮遊性粒核の種類や組成、油状結合剤の種類、有効
成分の種類や物理性、その他の補助剤の種類や配合量等
処方によって異なるが、通常3〜50%程度、好ましく
は10〜40%程度である。
【0061】崩壊剤、分散剤には多くの場合アニオン界
面活性剤を用いる。好適な崩壊剤、分散剤としては、例
えばリグニンスルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンス
ルホン酸塩及びその縮合物、フェノールスルホン酸塩及
びその縮合物、スチレンスルホン酸塩の縮合物、マレイ
ン酸とスチレンスルホン酸との縮合物の塩、アクリル酸
やマレイン酸等のカルボン酸縮合物の塩、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ラウ
リルサルフェートの塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルサルフェートの塩、ポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテルサルフェートの塩、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、ポリオ
キシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル
及びその塩等のアニオン界面活性剤やトリポリリン酸ナ
トリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩を
あげることができる。これら崩壊剤や分散剤は、湿潤剤
としても有用なものが多い。崩壊剤、分散剤や湿潤剤は
これらに限らず、ノニオン性やカチオン性或いは両性イ
オン性の界面活性剤であっても適当なものを使用でき
る。また、ベントナイト、澱粉、カルボキシメチルセル
ロースやカルボキシメチル化澱粉及びこれらの塩、ポリ
ビニルピロリドンの架橋体、微結晶セルロース、高吸水
性樹脂等の水を吸収して膨潤する性質を有するものも崩
壊分散剤として特に有用である。
【0062】これらの内、界面活性剤は水面拡展剤の作
用を阻害するものがあるので注意が必要である。
【0063】増量剤は有効成分を適当な濃度に稀釈し、
投げ込み易い量に調整するために用いる。好適な増量剤
としては、ベントナイト、タルク、クレー、珪藻土、無
晶形二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
等の一般的に農薬のキャリヤーとして用いられる鉱物質
微粉の他に、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化
ポリプロピレン等の樹脂粉末、グルコース、砂糖、乳糖
等の糖類、カルボキシメチルセルロース及びその塩類、
澱粉及びその誘導体、微結晶セルロース、木粉、米糠、
ふすま、モミガラの粉末、コーヒー豆粉末、セルロース
粉末、甘草粉末等の有機物、硫酸ナトリウム、硫酸アン
モニウム、塩化カリウム等の水溶性無機塩類、尿素等を
挙げることができる。
【0064】これらの内、ベントナイトは結合剤、崩壊
剤としても有用であること、炭酸カルシウムは安価で有
効成分の安定性に悪影響を与えることが少ないこと、木
粉やオガクズは安価で軽いので、水中で粒剤を浮かせ易
いという利点があるので有利である。
【0065】溶剤は液状原体を稀釈したり、低融点原体
を液状にする場合に必要に応じて配合する。従って原体
に対して溶解力があり、原体の安定性に影響を与えず、
高沸点低毒性で、引火性の低いものを選択して用いる。
例えば、パラフィン系、芳香族系、ナフテン系の高沸点
溶媒や可塑剤として用いられるオレイン酸、マレイン
酸、フマール酸、ヤシ油等種々の動植物油より得られる
脂肪酸、フタール酸、アジピン酸、リン酸等のエステル
類、ヤシ油、ナタネ油等の植物油や鯨油、鰯油等の動物
油等を用いることが出来る。一般に、農薬の原体は比重
が1以上のものが多い。このような場合、乳化粒子をで
きるだけ長時間に渡り水中に留め、水田に広く拡散させ
るためには、比重が1より小さく低粘度の溶剤を用いる
方が良いことが多い。この意味で、流動パラフィンや低
分子量のポリブテン等は特に好ましい。
【0066】乳化剤は、すでに述べた本発明の乳化分散
剤に加えて、液状原体又は原体の溶液を水中に乳化させ
るために必要に応じて用いる。原体や溶剤に応じて乳剤
の乳化剤を選択するのと同様にして選択して用いる。一
般の乳剤の場合と異なり、使用時に人為的に攪拌をする
ことはないので、できるだけ自己乳化性が良く微細な乳
化をする界面活性剤を選択するようにする。
【0067】ただ、これらの乳化性を有する界面活性剤
は、水面拡展剤との間でお互いの作用を阻害するものが
あるので注意が必要である。
【0068】また、撥水剤は主として水溶性の高い有効
成分の場合に、有効成分の溶出を抑制して水面にできる
だけ広範囲に広げたのち水中に溶解させるために配合す
る。好適な撥水剤としては、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸ナトリウム等
の脂肪酸塩、ステアリルアルコール等の高級アルコー
ル、ステアリン酸等の高級脂肪酸、シリコーンオイル及
びその誘導体、フッ素系界面活性剤、カチオン界面活性
剤、疎水性シリカ、流動パラフィン、マシン油等であ
る。
【0069】粒子成長防止剤や安定剤は有効成分の性質
に応じて必要があれば配合する。その他にも、固形剤中
には必要に応じて色素、苦味剤その他の種々の補助剤を
配合することができる。
【0070】本発明においては、水面浮遊性粒核に農薬
有効成分、水面拡展剤、及び必要に応じてその他の補助
剤を混合し被覆するか、又は上記の各成分を適当な形に
成形することにより、水面で浮遊拡展し、有効成分が水
中に分散溶解する農薬粒剤を製造する。
【0071】得られる粒剤は、水中で崩壊しても良い
し、あるいは非崩壊性でもかまわない。ただ、農薬有効
成分が液状または低融点化合物を含有する場合には、粒
剤が非崩壊性だと、有効成分が粒の中に取り込まれて完
全に溶出しなくなることあるので、崩壊型粒剤に調製す
る方が有利である。融点が高い(融点50℃以上)有効
成分からなる場合は、崩壊型粒剤であれば、有効成分を
練り込み造粒しても、予め調製しておいた造粒キャリヤ
ーに有効成分プレミックスを被覆してもよいが、非崩壊
型粒剤の場合、有効成分を練り込み造粒すると、水中で
有効成分が完全に溶出しなくなることがあるので、予め
調製しておいた造粒キャリヤーに、有効成分プレミック
スを被覆する方法を採用すべきである。
【0072】これらの製剤を得るために、固体の原体の
場合には、前述したように通常乾式又は湿式により原体
を微粉砕する。湿式粉砕した場合は湿式粉砕したスラリ
ーをそのまま又は分散剤等を加えてスプレードライヤー
等を用いて乾燥し、乾式粉砕した原体と同様に水面浮遊
性粒核、水面拡展剤、本発明の乳化分散剤及びその他の
助剤と共に粒剤に製剤しても良いが、スラリーを水面浮
遊性粒核、水面拡展剤、本発明の乳化分散剤及び他の助
剤の一部又は全部と予め混合し、また必要であれば造粒
するなどしたのち乾燥しても良い。
【0073】かくして得た原体の粉砕品は、水面浮遊性
粒核、水面拡展剤、本発明の乳化分散剤及びその他の助
剤と混合したのち、乾式又は湿式により粒剤に製剤す
る。湿式成形機としては押し出し造粒機や混合造粒機、
流動層造粒機、転動造粒機等が、乾式成形機としてはロ
ーラーコンパクター、打錠機、ブリケッティングマシ
ン、油圧成形機等が使用できる。ローラーコンパクタ
ー、打錠機、ブリケッティングマシン、油圧成形機等の
圧縮成形の場合には、圧が高過ぎると成形物が水に浮か
なくなる傾向があるので、圧を低めにするか、緩衝効果
を有する物質を配合する等の注意が必要となる。
【0074】粒剤に製剤するには、予め水面浮遊性粒核
及び/又はその他の助剤を混合後、上記の成形機を用い
て有効成分を含有しないか又は一部の有効成分のみを含
有する、いわゆる「基粒」をまず調製し、これに有効成
分を残余のその他成分と共に被覆又は吸収させてもよい
し、全原料成分を予め混合後、上記の成形機を用いて、
直接粒剤に成形してもよい。有効成分やその他の助剤の
配合方法や配合順序等は有効成分や個々の助剤の物理性
や、それらに期待する役割によって、適宜選択すること
ができる。例えば、有効成分の一部を基粒中に含有さ
せ、残部を基粒に被覆又は吸収させたり、湿式成形する
際に結合剤や分散剤、湿潤剤等を練合水に溶解させた
り、水面拡展剤を製剤工程の最終段階で固形剤の表面に
被覆させたりすることも可能である。
【0075】液状又は液状にした原体の場合には、前述
した方法で水面浮遊性粒核又は吸油能のあるキャリヤー
に吸収し、固体の原体と同様の方法で粒剤とするか、水
面浮遊性粒核及びその他の助剤を予め粒剤に成形し、こ
れに液状又は液状化した原体を吸収させることにより目
的とする粒剤を得ることができる。
【0076】尚、水面拡展剤は粒剤の中に含有されてい
てもそれなりの効果を発揮するが、表面に存在する方が
より効率的に効果を発揮することが多い。このため、農
薬有効成分、水面浮遊性粒核及びその他の助剤を含有す
る粒剤をまず調製し、得られた粒剤の表面に水面拡展剤
を被覆するか又は吸収させるようにすると拡展効果がよ
り有効に発現される。
【0077】粒剤の粒度は粒径が0.6mmより細かい
部分が多いと水中で沈み易かったり、粒の崩壊が早すぎ
たりする。また、投げ込み剤の場合には、袋の表面近く
の粒剤だけが濡れてしまうために一袋分の粒剤が大きな
塊状となり粒の拡展が極端に阻害されたりする。逆に粒
径が5mm以上と言った大きすぎるものでは、風で吹き
寄せられ易くなる上、粒の崩壊分散に時間がかかるの
で、吹き寄せられた場所で崩壊分散して有効成分の偏析
の原因になる。以上のような理由から、粒剤は0.71
0〜4.760mm程度である必要がある。この粒度区
分に少なくとも90%以上は入ることが望ましい。
【0078】かくして得られた本発明の農薬粒剤は、適
当な振込口を付けた箱、瓶、袋等から直接水田中に振込
処理するか、水溶紙に分包として畦畔等から投げ込み処
理する。本発明の農薬製剤は、水面で拡展しながら有効
成分を遊離するから、一般的な粒剤のように水田に入っ
て均一散布しなくても畦畔等から水田中に適宜処理すれ
ば十分な生物効果をあげることが出来る。
【0079】箱、瓶、袋等を用いて直接水田中に振り込
み処理する場合の包装形態は、紙、合成樹脂、ガラス、
金属等の箱、瓶または袋に適当な振込口を付けたものが
便利である。振込口は、樹脂製のキャップに数mm〜数
cm程度の穴を開けたような簡単なもので十分であり、
商品形態としてこのような容器に本発明の粒剤を直接封
入しても良いし、通常の包装形態で製品としたものを振
込口の付いた専用の容器に移し変えて処理しても良い。
包装材質は紙のものであれば使用後直ちに焼却処分が出
来るので有利である。
【0080】投げ込み処理の場合は、本発明の製剤を適
当な水溶紙に分包とする。水溶紙とは、水の中で溶解ま
たは分散するような性質を有するフィルムまたはシート
を意味する。水溶紙は例えばポリビニルアルコールまた
はその誘導体よりなるもの、プルランフィルムよりなる
もの、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩とセ
ルロースよりなるもの、ポリエチレンオキサイド及びそ
の誘導体よりなるもの等を挙げることが出来る。
【0081】本発明の水面で浮遊拡展性を有するように
調製した農薬粒剤は、拡展性を有しない水溶紙に分包と
した場合、水溶紙が農薬粒剤の拡展を阻害してしまうこ
とがある。この間に水面拡展剤が水に溶け出してしまい
拡展力を失うため、分包とせずに水面に処理した状態か
ら期待するほどの水面拡展性は見られなくなる。このた
め有効成分は投下点近傍の狭い範囲に局在してしまい、
好ましい結果を得ることはできない。従って、本発明に
おいては拡展性水溶紙を用いるのが望ましい。
【0082】拡展性水溶紙とは、それ自体水中で容易に
分散又は溶解し、当該農薬粒剤を水面に拡展させる性質
を有するフィルム又はシ−トである。このような拡展性
水溶紙としては、例えば、ポリビニルアルコール及び/
又はその誘導体よりなるフィルム(以下、PVAフィル
ムと略す)を挙げることができる。
【0083】PVAフィルムは重合度1000〜200
0程度、ケン化度85〜95%程度のポリビニルアルコ
ールを少量の可塑剤、安定剤等と共にフィルム化したも
ので、重合体の中に少量のカルボン酸等の共重合物を含
有するフィルムをも包含する。フィルムは機械強度、耐
寒強度が大きく水溶性であることが必要であり、その意
味で原料となるポリビニルアルコールの重合度が高すぎ
たり、ケン化度が高すぎたりすると冷水に溶けにくくな
るので好ましくない。フィルムの厚さは25〜70μm
程度のものが使用できるが、フィルム強度、溶解時間の
点で30〜50μm程度のものが好ましい。
【0084】水溶紙の端部は糊で封じてもよいが、作業
性に問題がある上、糊付けした部分が溶解しにくくなる
ことが多い。この点でヒートシールできるものが好都合
である。
【0085】分包にする場合の1包みの重量は、投げ込
み易さの点から、約30〜150gが好ましい。この程
度の重さであれば、子供、女性、高齢者でも容易に15
m以内の目標とした地点に投げ込むことが可能である。
これ以上重いと、投げ込むのが苦痛となり、広い面積を
処理するのは容易ではない。また、これ以下では風の影
響を受けて目標とした地点に到達し得ない。
【0086】水田に投げ込む分包の個数は多過ぎると投
げ込むのが面倒となり省力にならないし経済的にも不利
である。また、少な過ぎると農薬粒剤の拡展が不十分と
なる。一般的には10a当たり数個から数十個程度、好
ましくは5個から20個程度である。
【0087】かくして得られた水田投げ込み用農薬製剤
は、水面に拡展した後は、速やかに有効成分が水中に分
散又は乳化し、順次溶解拡散しなければならない。粒剤
が有効成分を遊離するまでに沈降するようだと沈降した
地点に有効成分の偏析が生じる。また、粒剤から有効成
分が分散せず長時間水面に漂っていると風による吹寄せ
がおこる。
【0088】本発明の農薬粒剤は、本発明の水面拡展剤
の効力を低下させない乳化分散剤を配合してあるので、
粒剤が水面で拡展したのちは、有効成分を水中に速やか
に乳化分散させるので吹き寄せや拡展不足による有効成
分の偏析を防ぐことが出来る。
【0089】本発明の農薬粒剤は、水面で拡展した後
は、速やかに有効成分が水中に分散、溶解することが必
要である。そのため、後に述べる方法で測定した水中投
入20分後における有効成分の水面浮遊率が50%程度
以下になることが好ましい。
【0090】得られた粒剤はそのまま、あるいは水溶紙
に分包して、紙袋、樹脂袋又はアルミ箔貼り合わせ樹脂
袋等の袋や紙、合成樹脂、ガラス、金属等の箱や瓶で外
装する。本発明の粒剤は、物理性の点では、吸湿に対し
て経時的に安定である。従って、発泡剤を配合する製剤
ほど吸湿に対して注意を払う必要はないが、水溶紙は水
がかかると破れてしまうので、適当な防水加工を施した
外装を用いるべきである。
【0091】
【実施例】
(実施例1)F−155原体(96%)78.13部、
カープレックス#100(塩野義製薬(株)製、無晶形
二酸化珪素)10.00部、ネオペレックスNo.6F
(花王(株)製、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリ
ウム塩を主成分とする界面活性剤)2.00部、エマル
スター#30Aの9.87部を混合し、ジェットオーマ
イザー0101型(セイシン企業(株)製、ジェットミ
ル)により粉砕し、F−155を75%含有するプレミ
ックスを得た。別に、シラックスPB03(発泡シラス
平均粒径75μm,シラックスウ社製)70.0部、マ
ツノリンM−22(α化澱粉、松谷化学工業(株)製)
1.0部、ベントナイト(豊順鉱業(株)製、穂高印)
24.0部、タブ粉5.0部を混合し、ニューコール2
91PG(ジエチルヘキシルスルホサクシネートのナト
リウム塩、日本乳化剤(株)製)0.2%液を粉末10
0重量部に対し110部の量で練合し、バスケット型造
粒機L−5型を用いて1.0mmのスクリーンを通して
押し出し造粒した。粒を流動層乾燥機を用いて100℃
で乾燥し、4.760〜0.710mmのふるいでふる
い分け、造粒キャリヤーを得た。造粒キャリヤー70.
7部をナウタミキサーに仕込み、スーパーオイルCの1
0.0部を加えて粒の表面を湿らせ、上記プレミックス
16.8部を加えて混合し、粒の表面に被覆した。次い
で、サーフィノール104Sの2.5部を加えて混合・
被覆し、F−155を12.6%含有する粒剤を得た。
【0092】(実施例2)ピロキロン原体(99.2
%)24部、タルク(局方)3部、カープレックス#8
0(塩野義製薬(株)製、無晶形二酸化珪素)1部を混
合し、ハンマーミルにより粉砕し、ピロキロン85%を
含有するプレミックスを得た。実施例1で得たF155
のプレミックス11.2部、コルク(0.2〜0.5m
m区分)15.0部、セロゲン7A(カルボキシメチル
セルロースのナトリウム塩、第一工業製薬(株)製)の
4.0部、ベントナイト40.8部を混合し、水を粉末
100重量部に対し140部の量で加えて練合し、バス
ケット型造粒機L−5型を用いて、1.5mmのスクリ
ーンを通して押し出し造粒した。粒を流動層乾燥機を用
いて70℃で乾燥し、4.760〜0.710mmのふ
るいでふるい分け、F155の濃厚粒剤を得た。得られ
た粒剤71.0部をナウタミキサーに仕込み、スーパー
オイルCの10.0部を加えて粒の表面を湿らせ、ピロ
キロンプレミックス16.5部を加えて混合し、粒の表
面に被覆した。次いで、サーフィノール104Sの2.
5部を加えて混合・被覆し、F−155を8.4%とピ
ロキロンを14.0%含有する粒剤を得た。
【0093】(実施例3)HOE404原体(98%)
12.2部、カープレックス#100の51.0部、サ
ーフィノール104Sの5.0部、エマルスター#30
Aの31.8部を混合し、ジェットオーマイザーにより
粉砕し、HOE404を12%含有するプレミックスを
得た。また、アニロホス原体(91.8%)38.13
部、サーフィノール104の5.0部、ソルベッソ15
0(芳香族系高沸点溶媒、エクソン化学(株)製)5
6.87部を均一に溶解し、アニロホスを35%含有す
るプレミックスを得た。別に、コルク15.0部、セロ
ゲン5A(カルボキシメチルセルロースのナトリウム
塩、第一工業製薬(株)製)4.0部、ベントナイト4
0.0部、木粉(ネオライト興産(株)製)41.0部
を混合し、ニューコール291PGの0.2%液を粉末
100重量部に対し140部の量で練合し、バスケット
型造粒機L−5型を用いて1.5mmのスクリーンを通
して押し出し造粒した。粒を流動層乾燥機を用いて10
0℃で乾燥し、4.760〜0.710mmのふるいで
ふるい分け、造粒キャリヤーを得た。造粒キャリヤー6
7.8部をナウタミキサーに仕込み、アニロホスプレミ
ックス27.0部を加えて粒の表面を湿らせ、HOE4
04のプレミックス4.2部を加えて混合し、粒の表面
に被覆した。次いで、サーフィノール104Sの1.0
部を加えて混合・被覆し、HOE404を0.50%、
アニロホスを9.45%含有する粒剤を得た。
【0094】(実施例4)F−155原体60部、エマ
ルスター#100の20部、カープレックス#100の
3.0部、サーフィノール104Sの5.0部、炭酸カ
ルシウム12.0部を混合し、ジェットオーマイザーに
より粉砕し、F−155を60%含有するプレミックス
を得た。ヒルコン1号(仮焼バーミキュライト、ヒルイ
シ化学工業(株)製、0、5mmアンダーカット品)3
9部をナウタミキサーに仕込み、乳酸n−ブチル(試薬
1級)30部を加えて粒の表面を湿らせ、F−155プ
レミックス30部を加えて混合し、粒の表面に被覆し
た。次いで、サーフィノール104Sの1.0部を加え
て混合・被覆し、F−155を18.0%含有する粒剤
を得た。
【0095】(実施例5)トリシクラゾール原体75
部、エマルスター#30の20部、カープレックス#8
0の5部を混合し、ハンマーミルで粉砕し、トリシクラ
ゾールを75%含有するプレミックスを得た。発泡シラ
スPB03の70部、マツノリンM−22の6部、タブ
粉5.0部、炭酸カルシウム粉末(カルフィン600、
足立石灰工業(株)製)19部を混合し、ニューコール
291PGの0.2%液を粉末100重量部に対し90
部の量で練合し、バスケット型造粒機L−5型を用いて
1.0mmのスクリーンを通して押し出し造粒した。粒
を流動層乾燥機を用いて100℃で乾燥し、4.760
〜0.710mmのふるいでふるい分け、造粒キャリヤ
ーを得た。造粒キャリヤー67.8部をナウタミキサー
に仕込み、スーパーオイルCの14.2部を加えて粒の
表面を湿らせ、トリシクラゾールプレミックス16.0
部を加えて混合し、粒の表面に被覆した。次いで、サー
フィノール104Sの2.0部を加えて混合・被覆し、
トリシクラゾールを12.0%含有する粒剤を得た。
【0096】(実施例6)メフェナセット原体56.0
部、ダイムロン原体24.0部、ロンダックス原体(9
9.8%)2.68部、ネオペレックスNo.6Fの
1.32部、サーフィノール420の6.0部、炭酸カ
ルシウム粉末10.0部を混合し、ジェットオーマイザ
ー0101型により粉砕し、原体の混合プレミックスを
得た。コルク20.0部、炭酸カルシウム粉末27.0
部、ベントナイト20.0部、セロゲン7Aの1.0
部、原体プレミックス25.0部を加えて混合し、スク
ラーフAG−8(50%水溶液)の10.0部と水を粉
末100重量部に対し105部の量で加えて練合し、バ
スケット型造粒機L−5型を用いて1.5mmのスクリ
ーンを通して押し出し造粒した。粒を流動層乾燥機を用
いて100℃で乾燥し、4.760〜0.710mmの
ふるいでふるい分け、粒剤を得た。得られた粒剤98.
0部に、サーフィノール104Sの2.0部を加えて混
合し、粒の表面に被覆してメフェナセット14.0%、
ダイムロン6.0%、ベンスルフロンメチル0.67%
を含有する粒剤を得た。
【0097】(実施例7)ピリブチカルブ原体48.0
部、ダイムロン原体36.0部、ロンダックス原体(9
9.8%)4.0部、カープレックス#80の5.8
部、ネオペレックスNo.6Fの1.2部、サーフィノ
ール420の5部を混合し、ジェットオーマイザー01
01型により粉砕し、原体の混合プレミックスを得た。
コルク15.0部、木粉31.0部、ベントナイト1
8.0部、セロゲン5Aの4.0部、原体プレミックス
25.0部を加えて混合し、スクラーフAG8′(50
%水溶液)の10.0部と水を粉末100重量部に対し
95部の量で加えて練合し、バスケット型造粒機L−5
型を用いて1.5mmのスクリーンを通して押し出し造
粒した。粒を流動層乾燥機を用いて100℃で乾燥し、
4.760〜0.710mmのふるいでふるい分け、粒
剤を得た。得られた粒剤98.0部に、サーフィノール
104Sの2.0部を加えて混合し、粒の表面に被覆し
て、ピリブチカルブ12.0%、ダイムロン9.0%、
ベンスルフロンメチル1.0%を含有する粒剤を得た。
【0098】(実施例8)ロンダックス原体(97%)
10.31部、エマルスター#30Aの30.00部、
カープレックス#80の30.00部、炭酸カルシウム
粉末29.69部を混合し、ハンマーミルにより粉砕し
てベンスルフロンメチル10.0%を含有するプレミッ
クスを得た。シラックスPB20(発泡シラス、シラッ
クスウ社製)54.8部をナウタミキサーに仕込み、ス
ーパーオイルCの21.0部を加えて混合し、粒の表面
を湿らせた。次いで、プレミックス20.4部を加えて
混合し、粒の表面に被覆し、さらにサーフィノール10
4Sの3.8部を加えて混合・被覆し、ベンスルフロン
メチルの濃厚粒剤を得た。別に、プレチラクロール原体
(97.2%)98.86部とハイテノールNE15
(ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの
アンモニウム塩)1.14部を混合し、プレチラクロー
ルのプレミックスを得た。シラックスPB20の73.
1部をナウタミキサーに仕込み、プレチラクロールのプ
レミックス20.6部を加えて混合し、更にサーフィノ
ール104Sの6.3部を加えて混合・被覆し、プレチ
ラクロールの濃厚粒剤を得た。ベンスルフロンメチルの
濃厚粒剤52.5部とプレチラクロールの濃厚粒剤4
7.5部を混合し、ベンスルフロンメチルを1.07
%、プレチラクロールを9.40%含有する粒剤を得
た。
【0099】(実施例9)ピラゾレート原体63部をニ
ューコール291PGの2.3%水溶液37部にに懸濁
させ、ダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)
を用いて粉砕した。シラックスPB03の65部、エマ
ルスター#30Aの5部、セロゲン7Aの5部、ベント
ナイト7.72部をニーダー中で混合し、得られたスラ
リー19.05部を水で希釈して加え、粉末100重量
部に対し水50部の量で練合し、バスケット型造粒機L
−5型を用いて1.5mmのスクリーンを通して押し出
し造粒した。粒を流動層乾燥機を用いて100℃で乾燥
し、4.760〜0.710mmのふるいでふるい分
け、ピラゾレートの濃厚粒剤を得た。得られた粒剤9
4.88部に、プレチラクロール(97.2%)3.0
9部とハイテノールNE15の0.03部、サーフィノ
ール82の1.00部、マレイン酸n−ブチル1.00
部を混合した溶液を加えて混合し、吸収させ、ピラゾレ
ート12%、プレチラクロール3%を含有する粒剤を得
た。
【0100】(実施例10)ベンタゾン原体85部、カ
ープレックス#80の5部、エマルスター#30Aの1
0部を混合し、ジェットオーマイザーを用いて粉砕し、
ベンタゾン85%を含有するプレミックスを得た。ヒル
コン1号の35部をナウタミキサーに仕込み、スーパー
オイルCの34部を加えて粒の表面を湿らせた。ベンタ
ゾンのプレミックス28.2部及びサーフィノール10
4Sの2.8部を順次加えて混合し、粒の表面に被覆し
た。得られた粒剤はベンタゾンを24%含有する。
【0101】(実施例11)メガファック110の1部
とカープレックス#80の4部から成る混合物を、ハン
マーミルで粉砕してメガファック110の20%プレミ
ックスを得た。実施例1のサーフィノール104Sの代
わりにこのプレミックスを用いた以外は実施例1と全く
同様に処理して、F155を12.6%含有する粒剤を
得た。
【0102】(実施例12)シリコーンオイルKF60
17の2部とカープレックス#100の3部から成る混
合物を、ハンマーミルで粉砕してシリコーンオイルKF
6017の40%プレミックスを得た。実施例1のサー
フィノール104Sの代わりにこのプレミックスを用い
た以外は実施例1と全く同様に処理して、F155を1
2.6%含有する粒剤を得た。
【0103】(比較例1〜11)実施例1のF−155
プレミックスのうち、エマルスター#30Aの代わりに
表2の界面活性剤を加えてプレミックスを調製し、その
他の工程は実施例1と全く同様にしてF−155を1
2.6%含有する粒剤を得た。
【0104】(比較例12〜13)実施例1のF−15
5プレミックスのうち、エマルスター#30Aの代わり
にネオペレックスNo.6Fを用いてF−155プレミ
ックスを調製した。このF−155プレミックスを使用
した他は実施例11及び12と全く同様にしてF−15
5を12.6%含有する粒剤を得た。
【0105】(試験例1)実施例及び比較例で得られた
粒剤の物理性を下記の方法により測定し、表1に示し
た。
【0106】(拡展距離の測定法)無風の室内に幅90
cm、長さ7m、深さ10cmの枠を発泡スチロールで
作成し、水平に設置した。内面に黒色のビニールシート
を張り、水を入れて水深5cmに調整した。端から50
cmの位置に粒剤2gを投入し、3分後に粒剤の先端が
移動した距離を測定した。水が汚れると拡展距離が大き
く異なるので、1試験毎に水とビニールシートを取り替
える。
【0107】(有効成分の水面浮遊率)容量1Lのガラ
ス製のビーカーに、水温25℃の3度硬水を1L入れ
る。粒剤1gを投入し、25℃の恒温下に10分間静置
したのち、ガラス棒を用いて水面を1秒間に1回の割合
で50回撹はんし、更に10分間静置する。水面浮遊物
をアスピレータを用いて50ml以内で全量採取し、吸
引された水及び固形物中の有効成分量を分析し、20分
後に浮遊している有効成分量を求める。別に、粒剤の有
効成分含量を測定し、投入した粒剤中の有効成分量を求
め、両者の比率を有効成分の水面浮遊率とする。
【0108】(懸垂度)図1に記載の懸垂度試験管に、
25℃の3度硬水500mlを入れる。粒剤1gを投入
し、3分後に目盛り部に沈降した試料のml数を読みと
り懸垂度とする。
【0109】表に示したように、実施例のサンプルはい
ずれも拡展距離が4m以上を示したが、本発明の乳化分
散剤以外の界面活性剤を用いた比較例のサンプルは、拡
展が阻害された。界面活性剤を用いないと有効成分の浮
遊率が高く、懸垂度も劣化した。
【0110】(試験例2)実施例及び比較例で得られた
粒剤の各50gを、ハイセロンC200(ポリビニルア
ルコールフィルム、厚さ40μm、日合フィルム(株)
製)に分包とした。1区画を10x10mに畦シートで
区切った水田の中央に、直径が約10cmになるように
6本の箸を立てて袋が動かないようにし、その中に得ら
れた粒剤の分包を落とした。分包が破袋し、内部の粒剤
が水面に拡展したのち、風下の吹き寄せ部に棒を立て
た。処理4日目に、投下点、吹き寄せ部、吹き寄せの反
対側の3地点から、直径10cm、深さ10cmの土壌
を採取し、凍結させた。凍結した土壌を取り出し、表層
から1cmの層を輪切りにし、土壌中に存在する各成分
を分析して、投下点及び吹き寄せ部に存在する有効成分
量の、吹き寄せの反対側地点の量に対する倍率を求め
た。結果を表3に示した。
【0111】表に示したように、実施例のサンプルは、
いずれも投下点及び吹き寄せ部に存在する有効成分量
の、吹き寄せの反対側地点の量に対する比率が、約2倍
以下であったが、比較例のサンプルは比率が高く有効成
分の偏析が見られた。
【0112】(試験例3)実施例2の粒剤を、振出口を
付した箱に入れ、0.75kg/10aの割合で、畦畔
から約3mの範囲に振込処理したところ、粒剤は水面を
広範囲に拡展した。いもち病及びもんがれ病に対する防
除効果を、F155を2%とピロキロンを3.3%含有
する崩壊型の粒剤の3kg/10a均一散布区と比較し
たところ、同等の効果が得られ、薬害も見られなかっ
た。粒は約20分後には全量崩壊・分散し、見えなくな
った。
【0113】(試験例4)実施例7の粒剤を、振出口を
付した箱に入れ、0.5kg/10aの割合で、畦畔か
ら約3mの範囲に振込処理したところ、粒剤は水面を広
範囲に拡展した。除草効果を、カルショットフロアブル
(ベンスルフロンメチル1%及びピリブチカルブ12%
を含有する懸濁濃縮製剤、三共(株)製)の均一散布区
と比較したところ、同等の効果が得られ、薬害も見られ
なかった。粒は約20分後には全量崩壊・分散し、見え
なくなった。
【0114】(試験例5)実施例8の粒剤を、振出口を
付した箱にいれ、0.5kg/10aの割合で、畦畔か
ら約3mの範囲に振込処理したところ、粒剤は水面を広
範囲に拡展した。除草効果を、市販のゴルボ粒剤(プレ
チラクロール2%及びベンスルフロンメチル0.17%
を含有する粒剤、武田薬品工業(株)製)3kg/10
aの均一散布区と比較したところ、同等の効果が得ら
れ、薬害も見られなかった。粒は崩壊し、約20分後に
は全量崩壊し、浮遊するシラスは翌日には殆ど見えなく
なった。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は手軽に処理
でき、散布者や環境に危害を与えない農薬製剤を提供す
るものであり、安全性と省力化が求められている農業及
び農薬業界の発展に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験例において用いた懸垂試験器を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 43/56 C 43/78 101 43/88 105 43/90 102 104 //(A01N 43/78 47:30) (72)発明者 平田 毅 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会 社内 (72)発明者 辻野 泰宏 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会 社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水面浮遊性の粒核に農薬有効成分が担持さ
    れ、水面拡展剤と、分子構造中に少なくとも一つのグル
    コース残基を含有する乳化分散剤とが配合されたことを
    特徴とする水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  2. 【請求項2】水面拡展剤がアセチレン系界面活性剤、シ
    リコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤より選ばれ
    る1種以上である請求項1に記載の水面浮遊拡展性粒状
    農薬製剤。
  3. 【請求項3】分子構造中に少なくとも一つのグルコース
    残基を含有する乳化分散剤が、アシル化されたデンプ
    ン、アシル化されたデキストリン、および炭化水素化さ
    れたモノもしくはオリゴグルコースから選ばれる請求項
    1に記載の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  4. 【請求項4】アシル基の個数が、デンプンまたはデキス
    トリンのグルコース単位100個当たり1ないし3であ
    り、当該アシル基は、置換分を有しない飽和もしくは不
    飽和の脂肪族アシル基であるか、または当該脂肪族アシ
    ル基の末端がアミノ、ヒドロキシ、カルボキシもしくは
    ヒドロキシスルホニルオキシまたはそれらの塩で置換さ
    れた飽和もしくは不飽和の脂肪族アシル基であるか、ま
    たはグルコース残基が1ないし6のモノもしくはオリゴ
    グルコースでありそれに結合する炭化水素残基が飽和も
    しくは不飽和の脂肪族炭化水素残基である請求項3に記
    載の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  5. 【請求項5】アシル基の個数が、デンプンまたはデキス
    トリンのグルコース残基100個当たり1.5ないし2
    であり、当該脂肪族アシル基の末端が1個のカルボキシ
    の塩で置換された炭素原子数5ないし20の飽和もしく
    は不飽和の脂肪族アシル基であるか、またはグルコース
    残基が1ないし3のモノもしくはオリゴグルコースであ
    りそれに結合する炭化水素残基が炭素原子数6ないし2
    4の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素残基である請
    求項4に記載の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  6. 【請求項6】アシル基の個数が、デンプンまたはデキス
    トリンのグルコース残基100個当たり1.5ないし2
    であり、当該脂肪族アシル基の末端が1個のカルボキシ
    の塩で置換された炭素原子数8ないし12の飽和もしく
    は不飽和の分枝状脂肪族アシル基であるか、またはグル
    コース残基が1ないし3のモノもしくはオリゴグルコー
    スでありそれに結合する炭化水素残基が炭素原子数8な
    いし18の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素残基で
    ある請求項5に記載の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  7. 【請求項7】アシル基の個数が、デンプンまたはデキス
    トリンのグルコース残基100個当たり1.5ないし2
    であり、当該脂肪族アシル基の末端が1個のカルボキシ
    の塩で置換された炭素原子数8ないし12の不飽和の分
    枝状脂肪族アシル基であるか、またはグルコース残基が
    1ないし3のモノもしくはオリゴグルコースでありそれ
    に結合する炭化水素残基が炭素原子数8ないし18の飽
    和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素残基である請求項6
    に記載の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  8. 【請求項8】アシル基の個数が、デンプンまたはデキス
    トリンのグルコース残基100個当たり1.5ないし2
    であり、当該脂肪族アシル基が2−(2−オクテニル)
    −ソジウムスクシニル基であるか、またはグルコース残
    基が1ないし3のモノもしくはオリゴグルコースであり
    それに結合する炭化水素残基が炭素原子数8ないし18
    の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素残基である請求
    項6に記載の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  9. 【請求項9】水面浮遊性の粒核が、発泡シラス、焼成バ
    ーミキュライト、発泡パーライト、コルク並びにこれら
    を含有する水面浮遊性の造粒物より選ばれる1種以上で
    ある請求項1に記載の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  10. 【請求項10】水に対する溶解度が2000ppm 以下で
    ある農薬有効成分の1種以上を含有する請求項1に記載
    の水面浮遊拡展性粒状農薬製剤。
  11. 【請求項11】請求項1に記載の水面浮遊拡展性粒状農
    薬製剤を水溶紙に分包とした水田投げ込み用農薬製剤。
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