JP5208066B2 - イネ育苗箱施用被覆粒状物 - Google Patents
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Description
また、特に水に対する溶解度が高い農薬活性成分は、薬剤処理直後から高濃度の薬量が放出されやすく、薬害を生じたり、流亡による薬効不足を招きやすい。しかし透湿性を低くしすぎると放出される薬量が不足し薬効不足を招くことがあり、水溶解度が低い農薬活性成分に比べ、長期残効性をもった徐放粒剤に製剤化しにくいという問題があった。
これらの被覆粒剤に用いられる被膜の透湿性は、被膜の構成成分や厚みに大きく依存し、農薬活性成分とその使用方法に適合した素材の探索には、多大な労力と時間が必要である。
〔1〕a)水に対する溶解度(25℃)が0.01g/L以上である農薬活性成分、b)リグニンスルホン酸塩、c)無水芒硝およびd)固形担体からなる粒状組成物の表面を、e)水系合成樹脂エマルジョンとf)平均重合度2000以下でケン化度が69〜90モル%であるポリビニルアルコールの水溶液とを、それぞれ固形分の含有量(重量部)比が2:1〜20:1となるように混合した液で被覆することを特徴とするイネ育苗箱施用被覆粒状物。
〔2〕農薬活性成分、リグニンスルホン酸塩、無水芒硝および固形担体からなる粒状組成物を調製する工程、および水系合成樹脂エマルジョンとポリビニルアルコールの水溶液とを混合し、前記粒状組成物の表面を被覆する工程を備えていることを特徴とする〔1〕に記載のイネ育苗箱施用被覆粒状物の製造方法。
(1)水に対する溶解度(25℃)が0.01g/L以上の比較的水溶解度が高い農薬活性成分を用いても、水系合成樹脂とポリビニルアルコールで形成された被膜により育苗期間は薬剤の溶出が低く抑えられ、薬剤溶出過多による薬害や薬剤の流亡等による薬効不足を生じることがない。
(2)このため、水に対する溶解度が高く育苗箱に施用した場合、流亡によって長期的な防除効果が期待できなかった農薬活性成分や、薬害のため高濃度処理や育苗箱施用が不可能であった農薬活性成分の育苗箱処理が可能となる。したがって本発明により、適用時期の拡大および早期化による省力化が可能となる。
(3)また、水系合成樹脂エマルジョンとポリビニルアルコールの水溶液を混合した後で被覆するため、被膜内での成分ムラが生じにくく、均質な粒状剤の製造が容易となる。
(4)さらに、被膜を徐々に通過した水分が粒状組成物に浸透した際に、無水芒硝とリグニンスルホン酸塩が粒状組成物の崩壊を助長し、農薬活性成分と水分との接触面積が大きくなり農薬活性成分の溶解速度が増す。このため、被膜中のポリビニルアルコールの溶解による透湿性の向上と粒状組成物の崩壊による薬剤の溶解速度の上昇による相乗効果から、被覆粒状物からの薬剤溶出性に変曲点が得られる。これらの結果として、生育初期は溶出性を抑えて薬害の発生を防止し、その後の溶出性の高まりによって病害虫に対し高い防除効果を発揮する。本発明のイネ育苗箱施用被覆粒状物は、多層被覆工程や膨潤物質による膨潤性の管理が必要なく、効率的・経済的効果も高い。
なお、本明細書中において溶出性の変曲点とは、一定期間活性成分の溶出を抑え、一定期間後に活性成分の溶出速度を増大させること、すなわち農薬活性成分の溶出速度勾配がS字曲線を描くことをいう。
本発明に使用可能な農薬活性成分は水に対する溶解度(25℃)が0.01g/L以上であり通常イネの栽培に用いられるものであればよく、1種または2種以上を併用しても良い。このような農薬活性成分としては、次のようなものが挙げられる。
殺虫剤としては、例えば、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネライストキシン系(例えばカルタップ〔有効成分水溶解度200g/L(25℃)〕など)、ネオニコチノイド系(例えばチアメトキサム〔有効成分水溶解度0.41g/100ml(25℃)〕など)、クロロニコチノイド系、フェニルピラゾール系およびベンゾイルフェニル尿素系の殺虫剤、天然殺虫剤などが挙げられる。
殺菌剤としては、例えば、無機銅剤、有機銅剤、無機硫黄剤、有機硫黄剤、メラニン生合成阻害剤(例えばピロキロン〔有効成分水溶解度4.6g/L(25℃)〕など)、有機リン系、ベンゾイミダゾール系、ジカルボキシイミド系、酸アミド系、トリアゾール系、イミダゾール系、メトキシアクリレート系、ストロビルリン系、アニリノピリミジン系、ジチオラン系、キノキサリン系、アミノピリミジン系、フェニルピロール系、トリアジン系、シアノアセトアミド系、アニリド系、グアニジン系の殺菌剤、抗生物質系の殺菌剤(例えばカスガマイシン〔有効成分水溶解度228g/L(25℃)〕など)などが挙げられる。
これらに含まれる個々の具体的な農薬活性成分は、例えば「農薬ハンドブック2005年版」(財団法人 日本植物防疫協会 平成17年10月11日発行)などに記載されている。
本発明において使用される農薬活性成分としては、上記に限定されることはなく、必要があれば上記以外の成分を適用することができる。
これらの農薬活性成分の含有量は、製剤100重量部中に通常0.01〜90重量部、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部である。
本発明におけるリグニンスルホン酸塩とは、木材の主要成分であるリグニンをスルホン化することによって得られる水溶性高分子である。また、塩の部分については、特に限定されないが、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム塩などが挙げられる。なお、このようにして製造されたものが使用できることはもちろんのこと、サンエキスP−201(商品名:日本製紙株式会社製)、サンエキスP−252(商品名:日本製紙株式会社製)、Reax 85A(商品名:ウエストベーコ社製)など、工業的に生産販売されているものも使用できる。リグニンスルホン酸塩の製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明に使用できる無水芒硝としては、硫酸ナトリウム特級(純度99%以上、関東化学株式会社)のように無水硫酸ナトリウムとして市販されているものであればよく、なんら限定されるものではない。ただし、本発明中における無水芒硝の含有量としては、製剤100重量部中に0.1〜50重量部であることが好ましく、さらには0.5〜30重量部であることがより好ましい。本発明では、リグニンスルホン酸塩と無水芒硝を併用することにより粒状組成物の崩壊を助長する効果が得られる。
本発明で使用できる固体担体としては、非水溶性固体担体と水溶性担体を挙げることができる。
非水溶性担体としては、クレー、炭酸カルシウム、ケイ砂およびその粉砕物、ケイソウ土、ベントナイト、タルク、ジークライト、セリサイト、酸性白土、活性白土、珪石、軽石、ゼオライト、バーミキュライト、ホワイトカーボン、シラスバルーンなどを粉砕したガラス質粉末などの無機担体、セルロース、パルプ、モミガラ、木粉、デンプン、大豆粉などの有機担体が挙げられる。
水溶性担体としては、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、尿素、ブドウ糖、ショ糖、果糖、乳糖などが挙げられる。
固体担体は、これらに限定されるものではなく、また、これらの1種あるいは2種以上を併用しても構わない。
これらの固体担体の含有量は、製剤に対して通常0.1〜99重量部、好ましくは0.5〜90重量部である。
本発明に使用できる水系合成樹脂エマルジョンは、水に不溶性の合成樹脂組成物を水に乳化あるいは分散させたものであれば特に限定されるものではないが、好ましい水系合成樹脂エマルジョンとしては、ポリウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂である。ポリウレタン樹脂の例としては、スーパーフレックス126、スーパーフレックス150、スーパーフレックス420(以上、第一工業製薬株式会社の商品名)、ハイドランAP−40(大日本インキ化学工業株式会社製の商品名)などが挙げられる。アクリル酸エステル樹脂の例としては、モビニール745(ニチゴー・モビニール株式会社製の商品名)、ポリゾールAP−4690、ポリゾールAP−609L、ポリゾールAP−4770(以上、昭和高分子株式会社製の商品名)、アクアブリッド4173(ダイセル化学工業株式会社製の商品名)などが挙げられる。スチレン・アクリル酸エステル樹脂の例としては、モビニール860(ニチゴー・モビニール株式会社製の商品名)、ポリゾールAP−4710、ポリゾールAP−4750、ポリゾールAP−5051(以上、昭和高分子株式会社製の商品名)などが挙げられる。酢酸ビニル樹脂の例としては、モビニール116(ニチゴー・モビニール株式会社製の商品名)、ポリゾールAX−751、ポリゾールAX−820(以上、昭和高分子株式会社製の商品名)などが挙げられる。エチレン・酢酸ビニル樹脂の例としては、ポリゾールP−3、ポリゾールP−38(以上、昭和高分子株式会社製の商品名)などが挙げられる。アクリルシリコン樹脂の例としては、JSR SX−800A、JSR SX−800B、JSR SX−800T、JSR SX−808(以上、JSR株式会社製の商品名)、ロイシール6202、ロイシール6260(以上、昭和高分子株式会社製の商品名)モビニール7110(ニチゴー・モビニール株式会社製の商品名)、などが挙げられる。
本発明における被膜中の水系合成樹脂の量(固形分の重量部)としては、0.5〜40重量部であることが好ましく、さらには1.0〜20重量部であることがより好ましい。この量は、使用する農薬活性成分の水溶解度および育苗期間におけるイネへの薬害程度を考慮して適宜決められる。
本発明においてポリビニルアルコールは、透湿性の低い水系合成樹脂に添加して透湿性を徐々に高める目的で用いる。完全ケン化型のポリビニルアルコールは水溶解度が低く透湿性の変化が小さく溶出性における変曲点が得られにくい為、ケン化度69〜90モル%の部分ケン化型のものがよい。また、重合度についても、高重合度のものは水溶解度が低下する傾向があり、溶出性の変曲点を得るには重合度2000以下のものがよい。これらを満たすポリビニルアルコールとしては、例えば、クラレポバールPVA−205(株式会社クラレ製、平均重合度500、ケン化度86.5〜89.5モル%)、クラレポバールPVA−405(株式会社クラレ製、平均重合度500、ケン化度80.0〜83.0モル%)、クラレポバールPVA−210(株式会社クラレ製、平均重合度1000、ケン化度87.0〜89.0モル%)、クラレポバールPVA−420(株式会社クラレ製、平均重合度2000、ケン化度78.0〜81.0モル%)、クラレポバールL−8(株式会社クラレ製、平均重合度1000以下、ケン化度69.5〜72.5モル%)などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、また、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題はない。
例えば、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
陰イオン界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、ラウリル硫酸塩などが挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。
両面活性剤としては、ジアルキルジアミノエチルベタイン、アルキルジメチルベンジルベタインなどが挙げられる。ただし、本発明において使用できる界面活性剤としてはこれらの例示に限られるものではなく、1種または2種以上を併用しても何ら問題はない。
半合成系のものとしては、例えば、デキストリン、可溶性デンプン、酸化デンプン、α化デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
合成系のものとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレン−アクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。本発明における結合剤は、これら例示に限られるものではなく、1種または2種以上を併用してもなんら問題はない。
次に、この混練物をバスケット式造粒機、スクリュー式造粒機などの押し出し造粒機を用いて造粒する。造粒時の押出し穴径(スクリーン径)は通常0.3〜5mm、好ましくは0.5〜2mmの範囲である。得られた造粒物をマルメライザーなどで整粒した後、流動乾燥機やベット式乾燥機などを用いて乾燥させ、次いで篩別することにより本発明で用いる上記被覆前の粒状物が得られる。
打錠法においては、押し出し造粒法により得られた粒状物の所定量をそのまま打錠機を用いて加圧圧縮して整形造粒してもよく、農薬活性成分とリグニンスルホン酸塩、無水芒硝および固体担体、更に必要に応じて結合剤、その他の界面活性剤、溶剤、補助剤を添加して混合した粉体をそのまま打錠機で加圧圧縮することにより整形造粒して粒状物としてもよい。この場合の粒状物の形態は、打錠機の臼と杵の形によって決まるが、それらは円形板状、長円形板状、角形板状、楕円球状など種々の形状、大きさのものを得ることができ、いずれも本発明において使用できるが、直径または最大径が、通常0.1〜30mm、好ましくは0.5〜20mmの範囲にあるものが好ましい。
カスガマイシン(抗生物質系殺菌剤)2.0部、リグニンスルホン酸カルシウム5.0部、無水芒硝2.0部およびクレー80.0部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)にて均一混合した後、この混合物に水11.0部を添加して双腕ニーダー(不二パウダル株式会社製)で混練した。
次に、この加水混練物を孔径1.0mmのバスケット型スクリーンを付けた押し出し造粒機で造粒した。得られた造粒物を流動層乾燥機(不二パウダル株式会社製)で乾燥した後、1.7mm〜850μmのフルイで篩別して粒状物を得た。
この粒状物89.0部を、転動流動層コーティング装置「マルチプレックスMP−01」(株式会社パウレック製)に入れ、水系合成樹脂エマルジョンとしてのポリゾールAP−4690(昭和高分子株式会社製、アクリル酸エステル樹脂35%)28.6部(固形分として10.0部)とポリビニルアルコールとしてのクラレポバールPVA−405(株式会社クラレ製、平均重合度500、ケン化度80.0〜83.0モル%)の5%水溶液20.0部(固形分として1.0部)を混合させた液を該粒状物に噴霧した。噴霧終了後引き続きコーティング装置内で乾燥させ、上記粒状物89.0部がアクリル酸エステル10.0部およびポリビニルアルコール1.0部にて被覆されているイネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のリグニンスルホン酸塩をリグニンスルホン酸ナトリウム3.0部、無水芒硝を3.0部、固体担体をケイソウ土81.0部とし、水系合成樹脂エマルジョンをアクアブリッド4173(ダイセル化学工業製、アクリル酸エステル樹脂48%)20.8部(固形分として10.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のリグニンスルホン酸カルシウムを10.0部、無水芒硝を4.0部、固体担体をゼオライト73.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1の固体担体を炭酸カルシウム80.0部、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−L8(株式会社クラレ製、平均重合度1000以下、ケン化度69.5〜72.5モル%)の5%水溶液20.0部(固形分として1.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のリグニンスルホン酸カルシウムを0.5部、無水芒硝を0.5部、固体担体を乳糖86.5部、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を10.0部(固形分として0.5部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のクレーを79.5部、水系合成樹脂エマルジョンをスーパーフレックス126(第一工業製薬製、ポリウレタン樹脂30%)33.3部(固形分として10.0部)、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を30.0部(固形分として1.5部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のクレーを78.0部、水系合成樹脂エマルジョンをポリゾールAP−4710(昭和高分子株式会社製、スチレン・アクリル酸エステル樹脂35%)28.6部(固形分として10.0部)、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−210(株式会社クラレ製、平均重合度1000、ケン化度87.0〜89.0モル%)の5%水溶液60.0部(固形分として3.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のクレーを79.0部、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−420(株式会社クラレ製、平均重合度2000、ケン化度78.0〜81.0モル%)の5%水溶液40.0部(固形分として2.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のクレーを79.0部、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−205(株式会社クラレ製、平均重合度500、ケン化度86.5〜89.5モル%)の5%水溶液40.0部(固形分として2.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1の農薬活性成分をピロキロン(メラニン生合成阻害剤)12.0部、リグニンスルホン酸カルシウムを3.0部、クレーを74.5部、ポリゾールAP−4690を22.9部(固形分として8.0部)、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を10.0部(固形分として0.5部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例10のクレーを72.5部、水系合成樹脂エマルジョンをスーパーフレックス420(第一工業製薬株式会社製、ポリウレタン樹脂32%)25.0部(固形分として8.0部)、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−217(株式会社クラレ製、平均重合度1700、ケン化度87.0〜89.0モル%)の5%水溶液50.0部(固形分として2.5部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例10のリグニンスルホン酸塩をリグニンスルホン酸ナトリウム2.0部、クレーを75.0部、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−420(株式会社クラレ製、平均重合度2000、ケン化度78.0〜81.0モル%)の5%水溶液20.0部(固形分として1.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1の農薬活性成分をカルタップ(ネライストキシン系殺虫剤)4.0部、クレー76.0部、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を60.0部(固形分として3.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例13のクレーを74.0部、水系合成樹脂エマルジョンをスーパーフレックス126 33.3部(固形分として10.0部)、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−205の5%水溶液100.0部(固形分として5.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例13のリグニンスルホン酸塩をリグニンスルホン酸ナトリウム8.0部、固体担体をゼオライト74.0部、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を40.0部(固形分として2.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1の農薬活性成分をチアメトキサム(ネオニコチノイド系殺虫剤)2.0部、リグニンスルホン酸カルシウムを2.0部、無水芒硝を5.0部、クレーを84.0部、ポリゾールAP−4690を17.1部(固形分として6.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例16のクレーを83.8部、水系合成樹脂エマルジョンをスーパーフレックス126 20.0部(固形分として6.0部)、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を24.0部(固形分として1.2部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例16のクレーを84.5部、水系合成樹脂エマルジョンをポリゾールAP−4750(昭和高分子株式会社製、スチレン・アクリル酸エステル樹脂45%)13.3部(固形分として6.0部)、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を10.0部(固形分として0.5部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例16のリグニンスルホン酸カルシウムを6.0部、無水芒硝を10.0部、固体担体をゼオライト75.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例16のリグニンスルホン酸塩をリグニンスルホン酸ナトリウム1.0部、無水芒硝を8.0部、固体担体をケイソウ土81.5部、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−420の5%水溶液30.0部(固形分として1.5部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例16のリグニンスルホン酸塩をリグニンスルホン酸ナトリウム0.5部、無水芒硝を1.0部、固体担体を乳糖90.1部、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−420の5%水溶液8.0部(固形分として0.4部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のクレーを81.0部、クラレポバールPVA−405の水溶液を無添加とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のクレーを90.0部、ポリゾールAP−4690を無添加とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1の無水芒硝を無添加とし、クレーを82.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のリグニンスルホン酸塩を無添加とし、クレーを85.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のリグニンスルホン酸塩に変えてポリオキシアルキレンアルキルエーテル3.0部とし、クレーを82.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のリグニンスルホン酸塩に変えてアルキルマレイン酸共重合物3.0部とし、クレー82.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例1のクレーを91.0部とし、粒状物を水系合成樹脂エマルジョンおよびポリビニルアルコールの水溶液で被覆しない以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒状物を得た。
実施例1のクレーを71.0部、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を200.0部(固形分として10.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒状物を得た。
実施例1のクラレポバールPVA−405 1.0部を水に溶解せずポリゾールAP−4690 28.6部(固形分として10.0部)と混合した以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒状物を得た。
実施例2のケイソウ土を81.7部、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を6.0部(固形分として0.3部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒状物を得た。
実施例6のクレーを81.0部とし、クラレポバールPVA−405の水溶液を無添加とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒状物を得た。
実施例6のクレー71.0部とし、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を200.0部(固形分として10.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒状物を得た。
実施例7のクレーを81.0部とし、クラレポバールPVA−210の水溶液を無添加とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒状物を得た。
実施例1のリグニンスルホン酸塩をリグニンスルホン酸ナトリウム2.0部、クレーを83.0部、水系合成樹脂エマルジョンをスーパーフレックス126 33.3部(固形分として10.0部)、ポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−117(株式会社クラレ製、平均重合度1700、ケン化度98.0〜99.0モル%)の5%水溶液を20.0部(固形分として1.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
比較例14の無水芒硝を無添加とし、クレーを85.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例10の無水芒硝を無添加とし、クレーを76.5部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例11のクレーを75.0部、ポリビニルアルコールの水溶液を無添加とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例11のクレーを74.7部、クラレポバールPVA−217の5%水溶液を6.0部(固形分として0.3部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例12のポリビニルアルコールをクラレポバールPVA−624(株式会社クラレ製、平均重合度2400、ケン化度95.0〜96.0モル%)の5%水溶液20.0部(固形分として1.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例12のポリビニルアルコールの水溶液をクラレポバールPVA−105(株式会社クラレ製、平均重合度500、ケン化度98.0〜99.0モル%)の5%水溶液20.0部(固形分として1.0部)とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例13のクラレポバールPVA−405 3.0部を水に溶解せずポリゾールAP−4690 28.6部(固形分として10.0)と混合した以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒状物を得た。
実施例13のリグニンスルホン酸塩を無添加とし、クレーを81.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例14のリグニンスルホン酸塩を無添加とし、クレーを79.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例14のリグニンスルホン酸塩に変えてジアルキルスルホコハク酸ナトリウム5.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例15のゼオライトを84.0部とし、水系合成樹脂エマルジョンを被覆しない以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例15のゼオライトを66.0部、クラレポバールPVA−405の5%水溶液を200.0部(固形分として10.0部)とした以外は実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例16のリグニンスルホン酸塩を無添加とし、クレーを86.0部とした以外は実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例18のリグニンスルホン酸塩を無添加とし、クレーを86.5部とした以外は実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例20のケイソウ土を83.0部とし、ポリビニルアルコールの水溶液を無添加とした以外は実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例21の乳糖を90.5部とし、ポリビニルアルコールの水溶液を無添加とした以外は実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
実施例21の乳糖を91.1部とし、無水芒硝を無添加とした以外は実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒状物を得た。
1000ml容量の大きさの共栓付き三角フラスコに35℃の3度硬水1000mlを入れ、実施例および比較例により調製したイネ育苗箱施用被覆粒状物1gを投入し、三角フラスコを30回倒立後、35℃の恒温器に静置する。それから、所定期間後に三角フラスコを30回倒立し、直ちに試験液5mlを採取する。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析し、溶出率(%)を次式により算出した。
育苗箱に培養土4Lを入れ、種籾(品種:コシヒカリ)180g、調製したイネ育苗箱施用被覆粒状物50gを処理した。播種から20日後(本田への移植時期に相当)にイネ苗の生育程度を調査し、薬害程度をイネ・ムギ等殺菌剤圃場試験法(平成2年5月(社)日本植物防疫協会出稿)に準拠した下記の評価基準にて評価した。
○:無処理区対比で80%以上(薬害は認められない)。
△:無処理区対比で50〜79%(生育が劣り薬剤の影響が認められる)。
×:無処理区対比で49%以下(生育不良で移植できない)。
〔葉いもち防除効果確認試験〕
水稲薬害試験と同様に育苗したイネ苗を使用し、1区50m2(5m×10m)とした水田に播種から20日後に機械移植した。薬剤処理から30日後、60日後におけるイネいもち病あるいはニカメイチュウに対する薬効をイネ・ムギ等殺菌剤圃場試験法(平成2年5月(社)日本植物防疫協会出稿)あるいはイネ・ムギ等殺虫剤圃場試験法(平成2年5月(社)日本植物防疫協会出稿)に準拠した下記の評価基準にて評価した。
○:防除価80〜100(十分な効果が認められる)。
△:防除価60〜79(効果にバラツキが認められる)。
×:防除価59以下(薬剤の有効性が認められない)。
実験結果を表1〜6に示す。
実施例1、6、7、11、20、21および比較例1、11、13、17、29,30との溶出実験において、ポリビニルアルコールが被覆膜に欠損している場合、被膜の崩壊は起こりにくいため、活性成分の溶出量は少ないままである。また、実施例1、12および比較例14、19、20を比較した場合、ポリビニルアルコールの平均重合度の値が2000より大きい場合、およびケン化度が90モル%以上の場合も、被膜の崩壊は起こりにくいため、活性成分の溶出量は少ないままである。
さらに特開2002−29903に従い調製した比較例15は、溶出制御効果の持続を目的とし、無水芒硝を欠き、ケン化度が90モル%以上であるため、実施例で認められる変曲点が得られておらず、活性成分の溶出量は少ないままである。
Claims (2)
- a)水に対する溶解度(25℃)が0.01g/L以上である農薬活性成分、b)リグニンスルホン酸塩、c)無水芒硝およびd)固形担体からなる粒状組成物の表面を、e)水系合成樹脂エマルジョンとf)平均重合度2000以下でケン化度が69〜90モル%であるポリビニルアルコールの水溶液とを、それぞれ固形分の含有量(重量部)比が2:1〜20:1となるように混合した液で被覆することを特徴とするイネ育苗箱施用被覆粒状物。
- 農薬活性成分、リグニンスルホン酸塩、無水芒硝および固形担体からなる粒状組成物を調製する工程、および水系合成樹脂エマルジョンとポリビニルアルコールの水溶液とを混合し、前記粒状組成物の表面を被覆する工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載のイネ育苗箱施用被覆粒状物の製造方法。
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