JP2003026504A - 尿素含有農薬固形剤ならびにその製造方法 - Google Patents

尿素含有農薬固形剤ならびにその製造方法

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JP2003026504A
JP2003026504A JP2001303685A JP2001303685A JP2003026504A JP 2003026504 A JP2003026504 A JP 2003026504A JP 2001303685 A JP2001303685 A JP 2001303685A JP 2001303685 A JP2001303685 A JP 2001303685A JP 2003026504 A JP2003026504 A JP 2003026504A
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water
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pesticide
hydrocarbons
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Takeshi Shibuya
谷 剛 渋
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SDS Biotech Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明に係る農薬固形剤は、(a)CH3
(CH2n−基(nは、6以上の整数)を含む有機化合
物またはノルマルパラフィン(以下、これらの化合物を
炭化水素類という)と尿素との尿素付加物と、(b)農薬
活性成分と、(c)必要に応じてその他の補助剤と、を含
む農薬固形剤である。 【効果】 本発明に係る農薬固形剤は、担体として優れ
た特性を具える尿素を尿素付加物の形で含有する。本農
薬固形剤は、尿素に炭化水素類を添加するだけで尿素の
吸湿性が有効に抑制されており、とくに水面浮遊性の農
薬製剤として好適に利用できる。このような農薬固形剤
の製造方法は、水反撥性物質をコーティングして潮解性
を抑制する方法などに見られる種々の造粒上の制約がな
く容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、尿素含有農薬固形剤に関
する。より詳しくは、本発明は尿素を担体として使用
し、その潮解性を抑制するために尿素とノルマルパラフ
ィンなどとの付加物の形で尿素を含有する農薬固形剤お
よびその製造方法などに関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】農薬(とくに農薬粒剤や顆粒水和
剤)、肥料などの製剤には、活性成分のほかに担体が含
まれている。担体は、通常、農薬などの活性成分を保持
してその安定化を図るため、あるいは増量、賦型といっ
た加工および取り扱いの便宜性のために使用されてい
る。実際には無機塩、ホウ砂、鉱物質、無機ガラス質な
どを加工したもの、砂糖、デンプン、合成樹脂など、多
様な物質が担体として使用されている。その多くは天然
資源でありその埋蔵量には限りがある。したがって担体
としての物質は、工業的に合成され供給の安定したもの
が経済的に望ましい。
【0003】尿素も農薬製剤の担体の候補に挙げられ
る。その理由として、尿素は工業的に大量に合成される
ため安価な化合物である;その供給は安定しているた
め、いつでも容易に入手できる;さらに、尿素を実際に
担体として使用した場合、以下のような優れた特質を発
揮すると考えられるからである。尿素は、肥料として用
いられる窒素含有化合物の中で窒素含量が最も高く、植
物の根ばかりでなく葉面からも吸収されるといった特徴
を有しており、農業などの分野で単独に、あるいは他の
肥料とまぜた複合肥料として広く使用されている。この
ため尿素を農薬の担体とすれば農薬と肥料の同時施用が
可能になり、散布の手間が一回で済むなどの利点が考え
られる。
【0004】さらに昨今の環境保全の要請に対しても、
尿素は肥料としても利用されていることから、施用にと
もなう残留あるいは蓄積が生じたとしても環境汚染の弊
害がほとんど見られず、尿素は環境への負荷が極めて小
さい担体といえる。つぎに農薬の担体として尿素を見た
場合、尿素は上記のように肥料の効能も併せ持つ農薬が
作製可能であるということ以外にも、空隙を作りやすく
軽量であること、水溶解度が高いことなどが特徴に挙げ
られる。このような造粒、賦型といった加工および取り
扱いにおける尿素の利便性は、以下に述べる水面浮遊性
の農薬粒状組成物において、従来の担体にはない有利な
点をもたらすものである。
【0005】近年、農業従事者の減少および高齢化に伴
い、水田作業における省力化が急務の課題となってい
る。その解決策の一環として、水面浮遊性の農薬粒状組
成物の開発が推進されている。これまでの農薬粒剤は施
用する際に、水田圃場に入って作業したり、特殊な散布
用の機械を必要とするため極めて多大の労力を必要とし
た。この農家による薬剤散布の労力を軽減するため様々
な自己拡散性製剤、すなわち製剤粒が圃場水面を崩壊し
ながら移動し、農薬有効成分を圃場全体に行き渡らせる
タイプの農薬製剤が提案されてきた。水田の中に有効成
分を均一に効率よく分散させるためには、製剤粒子を水
面に拡散させる技術が必要となる。そのためには農薬製
剤が従来の3kg粒剤や1kg粒剤と違って水面に浮上しある
いは浮遊することが要求される。そこで水面に浮遊する
技術に関して様々な研究がなされてきた。
【0006】たとえば特開昭60-142901号公報に開示さ
れているように水溶性皮膜形成物質を使い、造粒時の水
分が抜けて生じる空隙中にある空気を製剤粒に閉じ込め
る方法がある。この方法では、そのままでは浮上性に乏
しいうえ、水溶性担体と皮膜形成物質とのバランスを取
ることが難しい。また実質的には担体が塩化カリウムに
限られてしまい、塩化カリウムの金属に対する腐食性の
高さから産業上、利用可能な装置が限られてしまうとい
う欠点がある。同様に、特開平10-17410号公報に記載さ
れた水面浮遊性農薬粒状組成物についても、造粒時に使
用した水分が抜けて残った空隙を利用して浮力を得てい
る。しかし混入可能な農薬原体量が限られるほか、製剤
粒子が土壌に捕獲されて浮上できなくなる可能性が指摘
される。
【0007】一方、浮上性担体を使用する例として、特
願昭61-205695号、特願平5-299409号、特願平5-71373号
などに提案されているようにパーライトなどの中空担体
を含む顆粒状の製剤粒を作成することで水に沈むことな
く水面を浮遊するものがある。同様に特開平7-233002号
公報、特開平9-249504号公報、特開平8-99802号公報に
記載の発明は、中空有機体や中空セラミック、オガクズ
やコルクなどの浮上性物質を練り込むことで製剤の浮上
性を獲得している。ところがこのような製剤では高価な
浮上性担体を大量に使用する必要があるほか、製造時の
混練や造粒が困難であったり、中空担体がいつまでも水
面に残り環境への影響が懸念される。
【0008】上に挙げた例以外にも、これまで提案され
ている水面浮遊性の農薬粒状組成物の多くは、担体とし
て鉱物または無機塩を使用するため、その真比重が2に
近いことが該組成物の浮上を妨げる要因となっている。
尿素は真比重が1.4と無機塩類や鉱物に比べ著しく軽
い。また尿素は、造粒性が良好であるため、粒のサイ
ズ、形状などの選択に幅が大きい。加えて、造粒時に浮
上性獲得に有利な空隙ができやすいことから、このよう
な水面浮上性の農薬製剤に関しても極めて優れた材料物
質といえる。しかしながら現実には、尿素はその吸湿性
が強いため、これまで農薬用担体として用いられること
はなかったのである。
【0009】たとえば、特公昭63-30281号公報、特開平
5-85901号公報、特開平10-17410号公報、特開平11-1402
号公報には、水面浮遊性の農薬粒状組成物などに関する
発明が開示されており、使用することができる水溶性担
体のリストの中には尿素が挙げられている。さらにこれ
らの公報には、使用される溶剤としてジオクチルフタレ
ート、メチルナフタレン、ジオクチルアジペートなどの
高沸点溶剤が望ましいと記載されている。しかしなが
ら、実施例などにおいては、塩化カリウム、塩化ナトリ
ウム、無水硫酸ナトリウムなどの担体を使用しており、
尿素を使用する技術または尿素を含めた製剤の例は、ど
こにも記載されていない。
【0010】このように尿素は、ほぼ理想的な担体とし
て望ましい特性を多く具えるにも拘わらず、尿素を農薬
製剤に担体として使用している例は、現実には皆無に近
いといってよい。尿素を担体として利用する際の最大の
障害は、その吸湿性または潮解性にある。すなわち、農
薬製剤中の尿素の吸湿性は、とくに高温条件では臨界湿
度が著しく低下することから、高温多湿の環境下では、
とりわけ顕著となる。また、昼夜の気温の差が大きい環
境では、昼間の湿気で溶解した表面が夜に冷却されて尿
素が析出して固結することも起こる。そのために、粒の
べたつき、強度の低下など物理性の低下、溶解または固
結を招き、結果として有効成分の分解なども起きて製剤
の品質劣化が避けがたく実用に適さなかったわけであ
る。
【0011】一般に農薬固形剤において吸湿性による品
質低下を防止するために、ワックスなどで製剤表面をコ
ーティングする手法が知られている。たとえば、特開昭
60-202801号公報には、粒剤形成核表面をワックスおよ
びアクリル樹脂にて被覆してなる徐放型物質が提案され
ている。さらに特開昭62-72777号公報には、パーム油お
よびその誘導体と副生物を使用する、尿素肥料およびそ
の他の物質用の被覆、結合および封止材料が開示されて
いる。
【0012】しかしながら、このような製剤表面のコー
ティングによる吸湿防止の方法では、被覆表面に切れ目
もしくは割れ目が存在すると、そこから吸湿して製剤の
強度が低下したりあるいは崩壊に至る可能性が高い。尿
素のように極めて吸湿性の高いものでは、例え、亀裂が
小さいものであっても、最終的に深刻な品質劣化をもた
らす。またコーティングを適用できる粒の形状に制限が
生じること、被覆層を形成し維持するために用いられる
ワックスなどは常温で固体に限られることなど制約が多
い。さらに、尿素のように著しい吸湿性を有する物質に
対し、実用上、安定なコーティングを形成できる条件を
設定することは、実際問題として容易なことではなく、
煩雑な検討が必要とされる。農薬固形剤の製造にこのよ
うなコーティング工程を付加することは、製造コストの
上昇につながることとなる。
【0013】一方、安価で供給が安定し、環境への負荷
も小さいなど尿素に似た望ましい特性を有しており、し
かも吸湿性がない担体として、塩化カリウムが挙げられ
る。しかしながら、先に触れたように塩化カリウムは、
農薬の製剤時に使用される金型、製造機械などを腐食す
るなどの問題点があり尿素と同様、必ずしも実用的とは
いえない。このため、農薬製剤用担体として尿素を使用
するためには、その潮解性に起因する問題点を克服でき
る技術の出現が待望されていた。
【0014】本発明者らは、このような状況に鑑みて鋭
意研究したところ、担体として尿素を含有する農薬固形
剤であっても、その尿素をパラフィン類などと抱合した
尿素付加物とすれば尿素の潮解を引き起こさず、したが
って、農薬固形剤の品質劣化を招かない保存・安定性に
優れた農薬固形剤が得られることを見出して本発明を完
成した。さらに本発明者らは、従来の水面浮遊性の農薬
製剤が抱える上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結
果、尿素付加物に浮上性担体として難溶性あるいは非水
溶性の中空状あるいは多孔質の物質を含ませることで、
経済的に安価でかつ拡散性に優れた製剤を作りうること
も見出した。しかも尿素付加物の担体を用いた水面浮遊
性の農薬製剤は、予想外の極めて優れた特質があること
も明らかとなった。
【0015】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであり、尿素を尿素付加
物の形で担体として用いた、防湿性に優れた農薬固形剤
を提供する。さらに本発明は、保存・安定性を有するそ
の農薬固形剤の製造方法、利用法などを提供することを
目的とする。
【0016】
【発明の概要】本発明に係る農薬固形剤は、(a)CH3
(CH2n−基(nは、6以上の整数)を含む有機化合
物またはノルマルパラフィン(以下、これらの化合物を
炭化水素類という)と尿素とからなる尿素付加物と、
(b) 農薬活性成分と、(c) 必要に応じてその他の補助剤
と、を含む農薬固形剤である。
【0017】また、本発明に係る水面浮遊性の農薬固形
剤は、(a)CH3−(CH2n−基(nは、6以上の整
数)を含む有機化合物またはノルマルパラフィン(以
下、これらの化合物を炭化水素類という)と尿素とから
なる尿素付加物と、(b)農薬活性成分と、(c)必要に応じ
て浮上性担体として難水溶性または非水溶性の中空状の
物質あるいは多孔質状の物質と、(d)必要に応じてその
他の補助剤と、を含む農薬固形剤である。
【0018】本発明に係る農薬固形剤は、農薬固形剤全
量に対し、上記炭化水素類が1〜50重量%、尿素が25〜9
0重量%、ならびに上記農薬活性成分が0.1〜70重量%の
割合で含まれており、尿素に対する該炭化水素類の重量
比率(炭化水素類/尿素)が、0.05〜2であることが望
ましい。本発明による上記農薬固形剤の製造方法は、尿
素を含む混合物を混練して造粒した後に、得られた粒状
物に上記炭化水素類を含浸させることを特徴とする。
【0019】本発明の好ましい農薬製剤は、上記農薬固
形剤を水で崩壊する袋または水溶性の袋もしくはフィル
ムで包装した形状を有することを特徴とする。本発明に
よる上記農薬製剤の施用方法は、湛水下の水田に、上記
農薬製剤を10アール当たり3個〜20個の範囲で直接投入
する方法である。また、本発明による尿素含有固形剤の
吸湿による溶解もしくは強度低下を防止する方法は、尿
素を、CH3−(CH2)n−基(nは、6以上の整数)を
含む有機化合物またはノルマルパラフィンとからなる尿
素付加物として含有させることにより、尿素の潮解性を
抑制する方法である。
【0020】本発明に係る農薬固形剤は、尿素を担体と
する。本来、農薬製剤の担体として優れた特性を有する
尿素を、本発明では、単に尿素付加物の形で農薬固形剤
に含めるだけで、尿素の吸湿性に起因する製剤の品質劣
化を容易に防止することができる。このような保存・安
定性に優れる農薬固形剤は、水反撥性物質のコーティン
グによって潮解性を抑制する方法に見られるような種々
の制約がなく、その製造も容易である。
【0021】
【発明の具体的説明】本発明に係る農薬固形剤は、(a)
CH3−(CH2n−基(nは、6以上の整数)を含む有
機化合物またはノルマルパラフィンと尿素とからなる尿
素付加物と、(b) 農薬活性成分と、(c) 必要に応じてそ
の他の補助剤と、を含む農薬固形剤である。
【0022】以下、本発明に係る農薬固形剤に配合され
る尿素付加物、炭化水素類(すなわち、包接される有機
化合物)、農薬活性成分、配合量、補助剤、製剤の態様
および利用形態、浮遊性の農薬固形剤および製造方法の
順に説明する。なお、本明細書において、「炭化水素
類」とは、CH3−(CH2n−基(nは、6以上の整
数)を含む有機化合物またはノルマルパラフィンをい
う。
【0023】また「付加物」とは、1つの化合物が結晶
格子を作り、その格子に空洞が存在し、他の化合物がそ
の空洞中に閉じ込められている構造の付加化合物をい
い、包接化合物の一種である。尿素が空洞を作って他の
化合物を包接しているものを「尿素付加物」という。当
該他の化合物は、本発明では、「炭化水素類」であり、
具体的にはCH3−(CH2n−基(nは、6以上の整
数)を含む有機化合物またはノルマルパラフィンであ
り、場合によっては「包接される有機化合物」ともいう
ことがある。
【0024】「尿素含有固形剤」とは、広く尿素を含む
固形剤一般をいい、上記農薬固形剤をも包含する。尿素付加物 ・尿素 尿素は安価で造粒性が良好であることから、農薬の水溶
性担体として好適であることは、一般に認められている
(たとえば、特公昭63-30281号公報、特開平10-17410号
公報など)。とくに環境への負荷が少ないことは担体と
して優れた特性である。しかしながら、尿素は低温では
吸湿性はそれほど高くないが、高温条件では臨界相対湿
度が低下して潮解性を示す。また他の無機塩類等の化合
物と混合することで臨界相対湿度はさらに低下すること
があるのも知られている。従来、農薬の担体として尿素
を使用するには、コーティング、特殊包装といった製剤
の防湿と品質保持のための特別の対策を講じないで、そ
のままで高温多湿の環境下に耐える農薬製剤の例はない
に等しかった。このような尿素の吸湿性に対し本発明で
は、尿素付加物の形として存在させることによりその吸
湿性を抑制して粒剤の強度低下またはその崩壊を防止し
ている。以下具体的に、その尿素付加物を農薬活性成分
の担体として利用する本発明を説明する。 ・尿素付加物 尿素をノルマルパラフィンなどの有機化合物と共存させ
ると、尿素とは異なる性質を持った尿素付加物が生成す
る。尿素付加物をもたらす有機化合物としては、ノルマ
ルパラフィンの他に、分子内に長い直鎖飽和構造を持つ
ものも好適であることが知られている。尿素付加物は尿
素の飽和水溶液に、ノルマルパラフィンなどの炭化水素
類を添加するか、固体状尿素にノルマルパラフィンなど
の炭化水素類を添加することにより得られる。得られた
尿素付加物は、尿素の融点以上への加熱、あるいは尿
素、ノルマルパラフィンなどの炭化水素類のうち、少な
くともどちらか一方を溶解させる物質を添加すること
で、再び尿素とノルマルパラフィンなどの炭化水素類に
容易に分けることもできる。
【0025】尿素付加物は尿素と異なり強い吸湿性を持
たないため、これを用いた農薬固形剤を高温多湿条件に
さらしても吸湿による製剤の溶解や強度低下を起こさな
い。尿素付加物は無機塩や鉱物質と比べ真比重が著しく
小さいため、ベントナイトやタルク、無機塩類といった
真比重が2に近い天然鉱物に比べ極めて軽量な固形製剤
を得ることが可能である。また尿素を含む製剤を造粒後
に尿素付加反応を行うことにより、尿素付加反応に伴っ
て製剤粒の体積が増大し内部に多く空気を抱えた多孔質
で軽量な製剤を得ることができる。そのため浮上性に優
れ、しかも多数の成分を含有する製剤の調製も可能であ
る。
【0026】本発明に係る農薬粒剤では、容易に入手で
きる尿素を担体として、好ましく使用する。所望する場
合には、尿素誘導体であってもよい。これには、具体的
にチオ尿素などの尿素誘導体が例示される。炭化水素類(包接される有機化合物) 尿素付加物を得ることができる有機化合物は、多数知ら
れている。そのうち最も良好に包接されて尿素付加物を
形成できる化合物は、直鎖状炭化水素である。ノルマル
アルカンでは、炭素数が6以上のものが尿素付加物を形
成する。これは直鎖部分が尿素の形成する管構造に入り
込むためであり、イソオクタンのように分岐した短い分
子では尿素付加物を作ることができない。分岐構造を有
していても炭化水素の直鎖部分が長ければ、その周囲に
尿素がらせん状に位置することで尿素付加物が生成す
る。
【0027】一方、側鎖や他の官能基を有するものでも
直鎖部分が長い場合には尿素付加物を形成することがで
きる。すなわち、1-オクテン以上の直鎖状αオレフィ
ン、1−フェニルオクタデカンや高級脂肪酸およびその
塩やエステルは尿素付加物を形成することが知られてい
る。尿素の結晶に包接され得る有機化合物を具体的に例
示すると、ペンタン(低温時のみ)、ヘキサン以上の直鎖
状メタン列炭化水素、1-オクテン以上の直鎖状αオレフ
ィン、1-フェニルオクタデカン、3-メチルエイコサン、
1-シクロヘキシルエイコサン、1-シクロペンチルヘンエ
イコサンなどの炭素数20以上の直鎖を持つ炭化水素、炭
素数18、20のメチルアルカン、炭素数12(ラウリン酸)
から炭素数17(オレイン酸)までの高級脂肪酸およびそ
のメチルエステル、炭素数9以上20未満の長鎖モノメチ
ルパラフィン、シクロパラフィン(ナフテン)類、ジオ
クチルアジペート、トリクレシルホスフェートの他に、
ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、オレイン酸オ
クチルなどの高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0028】本発明に係る農薬固形剤においては、上記
の炭化水素類の中でも、概して直鎖状炭化水素以外にも
炭素数6以上の直鎖状のアルキル基を含む化合物、とく
に、直鎖飽和脂肪酸やそのエステル、直鎖飽和のアルコ
ール、および直鎖飽和のエーテルなどの誘導体が好適で
ある。この中でもとくに好ましいのは、炭素数9〜20の
モノメチルパラフィン、炭素数12〜20の飽和脂肪酸およ
びそのメチルエステルが挙げられる。
【0029】尿素付加物を形成する炭化水素類のうち、
実用上、環境負荷が小さく、低臭性で高沸点である化合
物として、パラフィン系類、シクロパラフィン類が望ま
しい。分子量が大きければ大きいだけ尿素付加物の安定
性は向上するが、尿素付加反応時には有機化合物はそれ
自身単体で液体であるか、もしくは何らかの溶媒に溶解
するなどして液体状態であることが必要である。したが
って、得られる尿素付加物の安定性、尿素付加物の形成
し易さ、環境中での分解し易さなどを総合的に考慮する
とともに安価に入手できる観点からは、分子式がCH3
(CH2)n−CH3で表されるノルマルパラフィンが最も好
ましい。なかでも炭素数12以上で融点の低いもの、すな
わちドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカ
ン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナ
デカン、エイコサンがとくに望ましいといえる。農薬活性成分 本発明の農薬固形剤に用いることができる農薬活性成分
は、とくに限定されない。具体的には除草剤、殺菌剤、
殺虫剤、植物成長調節剤などいくつかが挙げられが、こ
れらに限定されない。また、該農薬活性成分は、固体、
液体を問わず、また水溶性でも、水に難溶性であっても
よく、その性状にとくに制限はない。
【0030】このような農薬活性成分として、以下、本
発明で実際に使用できる農薬活性成分を具体的に示す
が、これらに限定されるものではない。殺虫剤としては
CYAP、MPP、MEP、ECP、ピリミホスメチル、ダイアジノ
ン、キナルホス、イソキサチン、ピリダフェンチオン、
クロルピリホスメチル、クロルピリホス、ESP、パミ
ドチオン、マラソン、PAP、ジメトエート、ホルモチ
オン、チオメトン、エチルチオメトン、ホサロン、PM
P、DMTP、プロチオホス、スルプロホス、プロフェ
ノホス、ピラクロホス、DDVP、モノクロトホス、B
RP、CVMP、ジメチルビンホス、CVP、プロパホ
ス、アセフェート、イソフェンホス、DEP、EPN、
エチオン、NAC、MIPC、MPMC、BPMC、P
HC、XMC、ベンダイオカルブ、エチオフェンカル
ブ、ピリミカーブ、カルボスフファン、ベンフラカル
ブ、フラチオカルブ、メソミル、オキサミル、チオジカ
ルブ、アラニカルブ、アレスリン、レスメトリン、ペル
メトリン、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリ
ン、トラロメトリン、フェンプロパトリン、ビフェント
リン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリ
ネート、アクリナトリン、シクロプロトリン、エトフェ
ンプロックス、シラフルオフェン、テフルトリン、カル
タップ、チオシクラム、ベンスルタップ、イミダクロプ
リド、アセタミプリド、ニテンピラム、ブプロフェジ
ン、イソプロチオラン、ジフルベンズロン、テフルベン
ズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、フルフェ
ノクスロン、ヘキサフルムロン、テブフェノジド、シロ
マジン、ベンゾエピン、フィプロニル、クロルフェナピ
ル、ジアフェンチウロン、エマメクチン安息香酸、オレ
イン酸ナトリウム、オレインサンカリウム、DBEDC、メ
タアルデヒド、デリス、硫酸ニコチン、ケルセン、フェ
ニソブロモレート、テトラジホン、BPPS、キノメチオネ
ート、アミトラズ、フェノチオカルブ、ヘキシチアゾク
ス、酸化ヘンブタスズ、ジエノクロル、フェンピロキシ
メート、テブフェンピラド、フルアジナム、ピリダベ
ン、ピリミジフェン、クロフェンテジン、エトキサゾー
ル、DPC、ハルフェンプロックス、ポリナクチン複合
体、ミルベメクチン、ビアラホス、D-D、DCIP、メチル
イソチオシアネート、ダゾメット、ベノミル、エトプロ
ホス、ホスチアゼート、メスルフェンホス、酒石酸モラ
ンテル、塩酸レバミゾール、ネマデクチン、クロルピク
リン、カーバム、カーバムナトリウムなどが挙げられ
る。
【0031】殺菌剤としては無機銅、有機銅、DBEDC、
硫酸亜鉛、ジネブ、マンネブ、マンゼブ、アンバム、ポ
リカーバメート、硫酸ニッケル塩、プロピネブ、ジラ
ム、チウラム、チアジアジン、IBP、EDDP、トルクロホ
スメチル、ピラゾホス、ホセチル、フラサイド、トリシ
クラゾール、ピロキロン、カルプロパミド、チオファネ
ートメチル、ベノミル、カルベンタゾール、チアベンタ
ゾール、イプロジオン、プロシミドン、オキシカルボキ
シン、メプロニル、フルトラニル、フラメトピル、チフ
ルザミド、メタラキシル、オキサジキシル、トリアジメ
ホン、ビテルタノール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾ
ール、テブコナゾール、プロピコナゾール、ジフェノコ
ナゾール、イプコナゾール、イミベンコナゾール、シプ
ロコナゾール、トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフ
ラゾエート、フェナリモル、ピリフェノックス、トリホ
リン、テトラコナゾール、アゾキシストロビン、クレソ
キシムメチル、メトミノストロビン、メパニピリム、ジ
プロジニル、テクロフタラム、オキソリック酸、フルス
ルファミド、ヒドロキシイソキサゾール、エクロメゾー
ル、ダゾメット、クロロネブ、メタスルホカルブ、プロ
ベナゾール、イソプロチオラン、フェリムゾン、ジクロ
メジン、ベンシクロン、フルオルイミド、キャプタン、
ジクロフルアニド、TPN、ジチアノン、DPC、ジメチリモ
ール、ジフルメトリム、フルジオキソニル、ベンチアゾ
ール、トリアジン、フルアジナム、ジエトフェンカル
ブ、シモキサニル、イミノクタジン三酢酸塩、イミノク
タジンアルベシル酸塩、プロパモカルブ塩酸塩、ジメト
モルフ、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオ
キシン、バリダシンA、ストレプトマイシン、オキシテ
トラサイクリン、ミルディオマイシンなどが挙げられ
る。
【0032】除草剤としては2、4−PA、MCPA、MCPB、
MCPP トリクロピル、クロメプロップ、ナプロアニリ
ド、フェノキサプロップエチル、シハロホップブチル、
フルアジホップ、キザロホップエチル、IPC、フェンメ
ディファム、ベンチオカーブ、オルソベンカーブ、エス
プロカルブ、モリネート、ジメピペレート、ピリブチカ
ルブ、DCPA、アラクロール、プレチラクロール、メトラ
クロール、ジメテナミド、テニルクロール、ブロモブチ
ド、エトベンザニド、ジフルフェニカン、メフェナセッ
ト、ナプロパミド、カフェンストロール、プロピザミ
ド、イソキサベン、アシュラム、DCMU、リニュロン、シ
デュロン、ダイムロン、メチルダイムロン、クミルロ
ン、カルブチレート、イソウロン、チアザフルロン、エ
チジムロン、テブチウロン、ベンスルフロンメチル、エ
トキシスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、アジムス
ルフロン、ハロスルフロンメチル、フラザスルフロン、
シノスルフロン、ニコスルフロン、リムスルフロン、チ
フェンスルフロン、イマゾスルフロン、メトスルフロン
メチル、シクロスルファムロン、ピリミノバックメチ
ル、ビスピリバックナトリウム塩、シマジン、アトラジ
ン、シメトリン、アメトリン、プロメトリン、ジメタメ
トリン、シアナジン、トリアジフラム、ヘキサジノン、
メトリブジン、ターバシル、プロマシル、レナシル、ク
ロリダゾン、ベンタゾン、ダゾメット、ピリデート、ピ
ラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、パ
ラコート、ジクワットトリフルラリン、ベスロジン、プ
ロジアミン、ペンディメタリン、MDBA、ピクロラム、イ
マザピル、イマザキン、イマザキンアンモニウム塩、ジ
チオピル、TCTP、イマザモックスアンモニウム塩、ベラ
ルゴン酸、DPA、テトラピオン、ピペロホス、アミプロ
ホスメチル、ブタミホス、SAP、グリホサ−トアンモニ
ウム塩、グリホサート(イソプロピルアミン塩)、グリホ
サートトリメシウム塩、グリホサートナトリウム塩、ビ
アラホス、グルホシネート、アイオキシニル、ビフェノ
ックス、DBN、DCBN、セトキシジム、クレトジム、ACN、
クロルフタリウム、シンメチリン、エントタール二ナト
リウム塩、ベンフレセート、ペントキサゾン、カーバ
ム、マレイン酸ヒドラジド、シアン酸塩、オキサジアゾ
ン、オキサジクロメホン、キノクラミン、クロメトキシ
ニル、シノスルフロン、ビフェノックス、フェノチオー
ル、ブタクロール、ブロモブチド、ベンスライド、ベン
ゾビシクロンなどが挙げられる。
【0033】植物調整剤としては、エテホン、インドー
ル酢酸、エチクロゼート、クロキシホナック、ジクロル
プロップ、1−ナフチルアセトアミド、4−CAP、ベン
ジルアミノプリン、ホルクロルフェニュロン、ジベレリ
ン、マレイン酸ヒドラジド、イナベンフィド、ウニコナ
ゾール-P、クロルメコート、パクロブトラゾール、フル
ルプリミドール、メピコートクロリド、プロヘキサジオ
ンカルシウム、トリネキサパックエチル、ダミノジッ
ド、メフルイジド、イソプロチオラン、オキシン硫酸塩
などが挙げられる。
【0034】これらは「農薬ハンドブック」(1998年版
社団法人 日本植物防疫協会 編)に一般名として記
載されている名称である。本発明においては、これらの
農薬活性成分を1種または2種以上組み合わせて用いる
ことができる。これらの農薬活性成分のうちでは、とく
に除草剤が好ましく用いられ、とくに上記ベンゾビシク
ロンが好ましい。配合量 本発明に係る農薬固形剤において上記農薬活性成分の含
有量はとくに限定されないが、通常は固形剤全体の重量
に対して0.1〜70重量%、より好ましくは1〜50重量%の
量で用いられる。
【0035】上記炭化水素類の添加量は、固形剤全体の
重量に対して、1〜50重量%の範囲が好適であり、必要と
する防湿性に従って変更すればよい。より好ましくは10
〜30重量%が望ましい。尿素の含有量は固形剤全体の重
量に対して、25〜90重量%が好ましく、さらに50〜60重
量%がより好ましい。また尿素に対する上記炭化水素類
の重量比(炭化水素類/尿素)は0.05〜2であることが望ま
しく、より好ましくは0.1〜0.5、とくに好ましくは0.1
〜0.3である。補助剤 本発明に係る農薬固形剤には、本発明による効果を損な
わない限りにおいて、必要に応じ種々の化合物を添加す
ることができる。必要に応じて使用される補助剤として
は、特開平11−228303号公報第[0017]欄
に記載のものと同様のものなどを使用できる。たとえば
補助担体、結合剤、農薬成分用安定化剤、消泡剤、防腐
剤、溶剤、乳化剤、滑沢剤、撥水剤、増量剤、粒子成長
防止剤、崩壊剤、分散剤、湿潤剤、着色剤、消臭剤、p
H調整剤、分解防止剤、酸化防止剤、および展着剤など
を配合できる。さらに炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸
カルシウムとクエン酸もしくはリンゴ酸といった有機酸
を組み合わせた、いわゆる発泡剤を添加することもでき
る。
【0036】尿素以外に必要に応じて加えられる補助担
体としてクレー、ベントナイト、タルク、カオリン、ホ
ワイトカーボン、ジークライト、セリサイト、酸性白
土、珪石、ケイソウ土、軽石、パーライト、ゼオライ
ト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウ
ム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸マグネシウムなどの無機物、オガクズ、コル
ク、フライアッシュバルーンなどを例示することができ
る。とくにホワイトカーボンやケイソウ土は、水分量が
多い場合に有効である。これらは増量剤としての役目も
果たす。
【0037】本発明では通常の農薬固形剤と同じく、製
造時の作業性向上および生物効果増強のために界面活性
剤を添加することができ、その種類はとくに限定されな
い。たとえば、水田に施用する農薬固形剤の場合、活性
成分の水中への拡散および水面上への拡展の向上を目的
として界面活性剤を加えてもよい。そのための界面活性
剤としては、農薬固形剤の水田への拡散性向上に寄与で
きるものを広く使用でき、具体的には特開平11-228303
号公報第[0016]欄に記載のもの、特開平3-173801
号公報第3頁に記載のものなどをとくに制限なく使用で
きる。
【0038】本発明では、一般にノニオン系、アニオン
系、カチオン系、両性の界面活性剤を固形、液状を問わ
ず用いることができる。以下、本発明において使用でき
る界面活性剤の種類を列挙するが、これらに限定される
ものではない。具体的には、ノニオン性界面活性剤とし
て、たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ア
ルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、ポリオ
キシエチレン(モノまたはジ)アルキルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキルフェ
ニルエーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン
(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェ
ニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジまたは
トリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポ
リオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたは
トリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンビスフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリ
オキシエチレン脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステルエチレンオ
キサイド付加物、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、
硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アルキルアミ
ンエチレンオキサイド付加物および脂肪酸アミドエチレ
ンオキサイド付加物などのポリエチレングリコール型界
面活性剤、たとえばグリセロール脂肪酸エステル、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪
酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン
脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル;多価アルコー
ルアルキルエーテルおよび脂肪酸アルカノールアミドな
どの多価アルコール型界面活性剤、たとえばアセチレン
グリコール、アセチレンアルコール、アセチレングリコ
ールのエチレンオキサイド付加物およびアセチレンアル
コールのエチレンオキサイド付加物などのアセチレン系
界面活性剤並びにアルキルグリコシドなどが挙げられ
る。
【0039】アニオン性界面活性剤としては、たとえ
ば、ポリアクリル酸塩、ポリメタアクリル酸塩、ポリマ
レイン酸塩、マレイン酸とオレフィン(たとえばイソブ
チレンおよびジイソブチレンなど)との共重合物の塩、
アクリル酸とイタコン酸の共重合物の塩、メタアクリル
酸とイタコン酸の共重合物の塩、マレイン酸とスチレン
の共重合物の塩、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合
物の塩、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共
重合物の塩、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物の
塩、アクリル酸とマレイン酸の共重合物の塩、N−メチ
ル−脂肪酸サルコシネート、樹脂酸塩および脂肪酸塩な
どのカルボン酸塩、たとえばアルキル硫酸エステル塩、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、
ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキルフェニル
エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(モノま
た はジ)アルキルフェニルエーテルのポリマーの硫酸
エステル塩、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはト
リ)フェニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオ
キシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニル
エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(モノ、
ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル硫酸 エステ
ル塩、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチ
リルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル塩、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマ
ーの硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステ
ル、硫酸化脂肪酸および硫酸化オレフィンなどの硫酸エ
ステル塩、たとえばパラフィンスルホン酸塩、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸の
ホルマリン縮合物の塩、クレゾールスルホン酸のホルマ
リン縮合物の塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアル
キルスルホコハク酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオ
キシエチレン(モノまたはジ)アルキルフェニルエーテ
ルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
スルホコハク酸ハーフエステル、ナフタレンスルホン酸
塩、(モノまたはジ)アルキルナフタレンスルホン酸
塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、
(モノまたはジ)アルキルナフタレンスルホン酸のホル
マリン縮合物の塩、クレオソート油スルホン酸のホルマ
リン縮合物の塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸塩、イゲポンT(商品名)、ポリスチレンスルホン
酸塩およびスチレンスルホン酸とメタアクリル酸の共重
合物の塩などのスルホン酸塩、並びに、たとえばアルキ
ル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレン(モノまたは
ジ)アルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩、ポリオ
キシエチレン(モノ、ジまたはトリ)アルキルフェニル
エーテルのポリマーの燐酸エステル塩、ポリオキシエチ
レン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル
燐酸エステル塩、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたは
トリ)ベンジルフェニルエーテル燐酸エステル塩、ポリ
オキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニ
ルエーテル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレン(モ
ノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマ
ーの燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレンブロックポリマーの燐酸エステル塩、ホスファ
チジルコリン、ホスファチジルエタノールイミンおよび
縮合燐酸塩(たとえばトリポリリン酸塩など)などの燐
酸エステル塩が挙げられる。ここでいう塩としては、ア
ルカリ金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウムな
ど)、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウ
ムなど)、アンモニウムおよび各種アミン(たとえばア
ルキルアミン、シクロアルキルアミンおよびアルカノー
ルアミンなど)などが挙げられる。
【0040】カチオン性界面活性剤としては、たとえば
アルキルアミン塩およびアルキル4級アンモニウム塩な
どが挙げられる。両性界面活性剤としては、ベタイン型
およびアミノ酸型などが挙げられる。その他の界面活性
剤としては、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系界
面活性剤が挙げられる。
【0041】本発明では、これらのアニオン性界面活性
剤およびノニオン界面活性剤を1種または2種以上組み
合わせて使用することができる。このような界面活性剤
の配合量はとくに限定されないが、本発明では、これら
界面活性剤は、本発明の農薬固形剤100重量部中に、
通常、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜10重
量部の量で含まれていることが望ましい。
【0042】本発明では通常の農薬固形剤と同様、必要
に応じて結合剤を配合することができる。用いることの
できる結合剤は、農薬固形剤に一般的に用いられるもの
である。たとえば、ベントナイトのような無機物のほ
か、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシ
メチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、ア
ルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコー
ルエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、キサ
ンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ビニルアルコール、
平均分子量6,000〜20,000のポリエチレングリ
コール、平均分子量10万〜500万のポリエチレンオ
キサイド、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポ
リアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カル
ボキシメチルデンプンおよびその塩、デキストリン、可
溶性デンプン、蔗糖、ポリビニルアルコール、ポリアク
リル酸ナトリウム塩、リグニンスルフォン酸塩、アラビ
アゴムなどを挙げることができる。また錠剤で一般に用
いられるバインダーも用いてもよい。
【0043】これらの結合剤の配合割合は、農薬固形剤
100重量部に対して、通常、0.01重量部〜10重
量部、好ましくは0.1重量部〜5重量部である。消泡
剤としては、たとえばシリコーン系(例:シリコーンエ
マルジョン)、脂肪酸系の消泡剤が挙げられる。防腐剤
としては、たとえばソルビン酸、1,2−ベンズイソチ
アゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0044】溶剤としては、上記のようにノルマルパラ
フィン、イソパラフィンなどのパラフィン類以外に農業
製剤で一般に用いられるナフテン類、アルキルベンゼン
類、芳香族類、シリコンオイルなどが挙げられる。製剤の態様および利用形態 ・剤型 潮解性が著しい尿素の吸湿による固形剤の溶解もしくは
強度の低下に対し、本発明は、尿素を尿素付加物の形態
として含有させることによりその吸湿性に起因する固形
剤の溶解もしくは強度の低下を防止している。尿素をノ
ルマルパラフィンなどの炭化水素類と共存させることに
より生成させた尿素付加物は尿素と異なり強い吸湿性を
持たないため、これを用いた尿素含有固形剤を高温多湿
条件にさらしても吸湿による製剤の溶解や強度低下を起
こさない。しかも、付加物の存在態様であっても、尿素
の担体としての優れた特性は保持されている。尿素含有
固形剤が水中に投じられると、尿素付加物の構造は崩壊
して再び尿素と炭化水素類に容易に分離する。上記のよ
うに尿素の潮解性を抑制する本発明の方法は、尿素含有
固形剤全般に対して適用することができるが、とくに農
薬固形剤に好ましく利用できる。
【0045】本発明に係る農薬固形剤の剤型は、とくに
限定されない。可能な剤型は、粒剤のほか、錠剤、丸
剤、水和剤、顆粒剤または粉末などの形態も含まれる。
農薬固形剤のうち、製造上および使用上の利便性などを
勘案すると粒剤が好ましく用いられる。その粒径は任意
であり、用途に応じて適宜決定される。粒剤として、製
造上の容易性などを考慮すると直径が0.3〜20mm、長さ
が0.1〜20mm、より好ましくは、直径が0.5〜15mmで、長
さが1〜10mmの粒剤が望ましい。あるいは、本発明の農
薬固形剤の剤型として、望ましくは直径0.3〜20mmの顆
粒状固形剤であってもよく、また直径0.5cmから10cmの
錠剤であってもよい。 ・利用形態 本発明に係る農薬固形剤は、その利用形態にとくに制限
はない。従来の粒剤や錠剤と同様に固形剤としてそのま
ま水田、畑、果樹園などに、あるいは雑草地や森林など
の非耕地などに施用してもよい。
【0046】別の剤型態様として、農薬固形剤はフィル
ムに被覆された被覆粒剤であってもよい。とくに水田施
用農薬固形剤の場合には、つぎに述べるように水溶性の
袋または水で崩壊する袋に農薬固形剤を詰めて包装した
農薬製剤が、取り扱い、施用の点から好都合である。す
なわち、このような水面浮上性包装体が湛水下の水田に
散布されると、良好に水面に浮遊し拡展(拡散)し、水
田表面あるいは水田の中などへ農薬活性成分の均一分散
を達成することができ、薬剤の散布労力の軽減、安定し
た効果、薬害の軽減などを図ることができる。水面浮遊性の農薬固形剤 尿素付加物を含有する本発明の農薬固形剤の中で、好適
に適用される態様の一つが水面浮遊性の農薬製剤であ
る。このことは該農薬固形剤に含有される尿素付加物
が、農薬分野で最も広く行なわれている押し出し造粒時
において優れた造粒性を発揮することによる。この点に
ついて以下、詳細に説明する。
【0047】一般的な押し出し造粒の工程において、担
体となる粉末、バインダー(これも粉末のことが多い)、
農薬有効成分およびその他の成分をニーダー、リボンブ
レンダーなどで適宜、加水しながら混練し、混練物を細
孔のあいたスクリーンに押し付けることで、顆粒状の物
質が得られる。これを流動層乾燥器などで乾かし、乾燥
した後に篩にかけ微細粒や粗大粒を除いて製品として袋
詰めする。
【0048】この混練過程では担体などの粉体同士が、
バインダー溶液で互いに液体架橋することで造粒物の強
度が確保される。この液体架橋は乾燥過程で固化された
後に、最終的に固体架橋となり粒子間を強固に結合させ
る。この過程が充分に行われないと製品は強度に欠け、
包装工程や輸送中に分解し粉立つおそれがある。あるい
は製剤粒として浮上性などの物理的性質の欠如といった
品質の低下へと繋がる。そればかりか液体架橋が不充分
である場合には乾燥工程で崩壊し、結果として製剤不可
能となったり、あるいは乾燥工程での崩壊による生産性
が低下することにも繋がることとなる。
【0049】この液体架橋においては粉体の粒径、バイ
ンダー溶液に対する塗れ易さが大きく関与しており、粉
体の粒径が小さいほど、バインダー溶液に対する濡れ易
さが大きいほど、強度の強い造粒物が得られることが知
られている。パーライトやシラスバルーンのような無機
物の発泡体は、通常、粒径50μm〜300μmのものが多
い。コルクやオガクズ、バーミキュライトなどの浮上物
に関しても、浮上性を維持するためには同様のサイズで
あるかさらに大きいことが要求される。一方、農薬固形
剤に用いられる担体はせいぜい数μm〜10μm程度であ
り、上記発泡体などの浮上性担体は通常農薬で用いられ
てきた通常の担体に比べ極めて大きい。
【0050】このような浮上性担体は比重が小さいこと
から重量的には少なくても、従来の技術では体積的に多
量の添加が必要となってしまう。したがって、このよう
な浮上性担体を顆粒状などの製剤として造粒し成形する
場合、これまで品質の低下や生産性の低下などから免れ
得ず、決して満足いくものではなかったのである。本発
明に係る水面浮遊性の農薬固形剤は、(a)CH3−(CH
2n−基(nは、6以上の整数)を含む有機化合物また
はノルマルパラフィンと尿素とからなる尿素付加物と、
(b)農薬活性成分と、(c)必要に応じて浮上性担体として
難水溶性または非水溶性の中空状の物質あるいは多孔質
状の物質と、(d)必要に応じてその他の補助剤と、を含
む農薬固形剤である。
【0051】このうち(a)および(b)に関しては、すで
に上記の農薬固形剤において説明したとおりである。同
様に、(a)(すなわち炭化水素類および尿素)ならびに
(b)の配合量に関しても上記の農薬固形剤において記
載したとおりである農薬固形剤に水面浮遊性能を持たせ
るには、一般に比重が1.0未満、好ましくは0.95
以下であるように調整するか、炭酸塩および水溶性固体
酸などの発泡剤を含有することが必要とされる。
【0052】ところが本発明に係る農薬固形剤は、その
ような調整または仕掛けは不必要である。なぜならば尿
素付加物の担体は、尿素に内在する吸湿性の問題を解決
できるほか、鉱物質や無機塩類にくらべて軽量であると
いう特色を持っているからである。さらに造粒後に尿素
付加反応を行うことで製剤粒が膨張し、製剤内部に多く
の微小な空隙を有する顆粒状農薬を作ることができる。
このようにして調製された尿素付加物を含む粒状もしく
は顆粒状の固形剤は、空隙の多い粒体であることから、
より多くの有効成分を保持することができる。さらに尿
素含有顆粒剤は、空隙にある空気の保持量が多いため真
の比重が小さくなり浮力が大きい。
【0053】これらの性質だけでも従来の方法に比べて
浮上性の良好な顆粒状など形状を有する農薬固形剤は作
成可能であるが、これに難水溶性あるいは非水溶性の中
空もしくは多孔質の物質をさらに加えてもよい。本発明
の浮遊性農薬固形剤において含有される難水溶性あるい
は非水溶性の中空もしくは多孔質の物質は、これまで用
いられてきた浮遊性担体を任意に選択して用いることが
でき、とくに限定されない。具体的にはパーライト、フ
ライアッシュバルーン、黒曜石、ベントナイト、クレ
ー、タルク、ケイソウ土、シラス、シラスバルーン、低
沸点炭化水素が入った熱固化樹脂カプセルを加熱膨張さ
せたバルーン、オガクズ、コルク、焼成バーミキュライ
トなどが挙げられる。
【0054】その添加量は種類、粒径、空気保持力など
により変わるが、それでも少量で済む。具体的には農薬
固形剤総重量の0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量
%、より好ましくは1〜5重量%の割合で添加すれば、
さらに浮上性に優れ、造粒性の良好な顆粒状農薬固形剤
を得ることができる。従来の浮遊性農薬製剤における浮
遊性担体の配合量は、担体の種類、剤型などによっても
異なるが、少なくとも3〜5重量%は必要とされる。水
面浮遊性を農薬固形剤に確実に付与するためには15重量
%以上が望ましいとされ、一般に30〜90重量%が推奨さ
れている。このことを考慮すると、上記の量は、浮遊効
果を損なうことなく添加量の著しい低減を実現できるこ
とを示す。これにより農薬固形剤の造粒性の向上、品質
向上につながる他の補助成分の配合量範囲が拡大するこ
と、コストの低減など多くの利点をもたらすことはいう
までもない。 ・使用できる農薬原体 農薬原体にとくに制限はないが、とくに望ましくは、水
田用の農薬有効成分に、さらに望ましくは水田用除草剤
および殺虫剤への適用が望ましい。具体的な成分は、上
述の「農薬活性成分」の項に掲げた化合物の中から適宜
選択して用いることができる。 ・その他成分 必要に応じて含有させる補助剤の種類、量などは、とく
に限定されないが、上述の「補助剤」の項で掲げた界面
活性剤、結合剤、消泡剤、防腐剤、溶剤など種々の物質
を用いることができる。とくに浮遊性農薬製剤として一
般に用いられる結合剤、有効成分の安定化剤、界面活性
剤、水面拡展剤、崩壊剤、分散剤、湿潤剤、乳化剤など
を適宜に使用することが望ましい。
【0055】結合剤は、水面浮遊性の粒核や農薬固形剤
を成形する際のバインダーとして重要である。たとえば
低分子量のデキストリン、ポリビニルアルコール、ポリ
ビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アラ
ビアゴム、ポリエチレングリコールおよびその誘導体な
どが好適である。リグニンスルホン酸塩やカルボン酸ま
たはスルホン酸タイプのポリソープは、分散剤と兼用で
き、リグニンスルホン酸塩は安価であり増量剤としても
用いることができる。
【0056】界面活性剤についてとくに限定はされない
が、たとえば上述の「補助剤」の項において界面活性剤
として掲げた化合物の中から適宜選択して用いることが
できる。水面拡展剤としては表面張力低下能の高いジア
ルキルスルホサクシネートの金属塩、アルキルベンゼン
スルホン酸の金属塩、アルコールのEO付加物などがとく
に望ましい。尿素付加反応のためには、界面活性剤をホ
ワイトカーボンに含浸させた界面活性剤がとくに望まし
い。 ・浮遊性の農薬製剤 本発明に係る浮遊性の農薬製剤は、上記農薬固形剤を水
で崩壊する袋または水溶性の袋もしくはフィルムで包装
した形状にすることによる。水で崩壊する袋または水溶
性の袋は、水溶性のフィルムまたはシートで作成され
る。水溶性のフィルムとして、ポリビニルアルコール、
ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒロドキシメチルセルロース、デキストリン、ゼラ
チン、プルラン、デンプンなどの水溶性高分子が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。その水溶性
フィルムまたは水溶性袋の形状、膜厚などは農薬製剤の
種類、剤型、用途などを考慮して決められる。たとえば
膜厚として一般に20〜70μm、フィルム強度および溶解
時間の点から好ましくは30〜40μmである。農薬製剤の
包装形状は、矩形、円筒形、立方体、直方体など必要に
応じて選択される。田面水上に投下して溶解する時間
は、数秒〜24時間程度が好ましく、30分以内に溶解が完
了するものが最も望ましい。フィルムまたは袋の溶解速
度の調節により農薬固形剤の徐放性を実現することも可
能である。
【0057】なお、袋のかわりに水溶性カプセルなどの
他の容器を用いてもよい。一包みの重量は、水田の外か
ら水田中に投げ込むためにある程度の重さが必要とさ
れ、約30〜150gであれば作業者を選ばず水田に投げ込
みやすい。これより重いと投げ込みに負担となり、軽い
と投げ込む個数が多くなるか、風などにより影響を受け
て目標地点、とくに遠方に到達し得ない。圃場が広い場
合、イネが大きく通風が悪いため田面水の移動が少ない
場合、藻や水草が繁茂して水面拡展性が悪い場合、有効
成分が極端に難溶性であるか土壌吸着性が大きく拡散し
にくい化合物である場合などには遠方まで投げ込む必要
がある。
【0058】かかる農薬製剤を水田に施用する場合、10
アール当たり、一般には数個〜数十個程度、好ましくは
3個〜20個の範囲で湛水条件の水田に畦畔を歩きながら
直接投入する。水田に投げ込む製剤の包数が多過ぎる
と、省力にならないし経済的にも不利である。逆に少な
すぎると農薬固形剤の拡展が不充分となる。このような
作業のみで極めて短時間に農薬散布が達成できる。
【0059】本発明の農薬製剤を水中に投ずると、沈む
ことなく水面を浮遊して拡散するか、または一度沈んだ
後に速やかに再浮上し水面を浮遊して拡散するか、ある
いは一度沈んだ後速やかに再浮上し水面を浮上して拡散
し、再度沈んで再浮上し水面を浮遊して再度拡散すると
いったように浮上と沈降を繰り返しながら拡散する。本
発明で得られる沈んでから浮上するタイプの浮遊性農薬
製剤は、浮上が速く土壌表面に捕捉されにくい。このよ
うに本発明の農薬製剤は、拡展性(拡散性)に優れてお
り水田全面に一様にしかも短時間に拡散することから、
作業者は必ずしも直接水田に立ち入って均一散布する必
要がなく労力軽減を実現できる。よって、上記浮遊性の
農薬製剤は、本発明の好ましい実施の一形態といえる。
もっとも、本発明はこれのみに限定されるものではな
い。製造方法 本発明に係る農薬固形剤は、特殊な装置を使用する必要
もなく、従来の農薬製造装置で、通常の農薬製造の場合
と変わらない操作で製造できる。
【0060】炭化水素類は、調製時のどの段階において
も、尿素などの成分を配合したものに添加してかまわな
い。とくに限定されないが、炭化水素類を含む全成分を
あらかじめ混合して尿素付加物を調製してから造粒して
もよいし、炭化水素類以外の成分を配合して成形した特
定形状の成形物、たとえば造粒物などに炭化水素類を添
加してもよい。尿素付加物を形成させるノルマルパラフ
ィンなどの有機化合物を添加する際には、同時に農薬有
効成分や界面活性剤、安定剤、効力増強剤などを添加す
ることができる。
【0061】本発明の利点を充分に活かすためには、本
発明による農薬固形剤の製造方法において、尿素を含有
する造粒物に高沸点溶媒の性状である炭化水素類を後で
添加することが望ましい。この場合、後から尿素付加反
応を行わせる方法は、製造時の安全性や造粒性などを考
慮すると、尿素を含み炭化水素類が未配合である造粒物
などを乾燥してから、炭化水素類を含浸させる方法が望
ましい。この炭化水素類は、毛管現象により製剤全体に
速やかに行き渡って分布する。またその際、必要に応じ
て農薬有効成分や界面活性剤などを当該溶媒に溶解し、
液体として同時に造粒物に含浸させてもよい。
【0062】本発明において使用する高沸点の炭化水素
類あるいは高沸点の分散媒(包接される有機化合物であ
る)は、農薬原体を溶解できるものであっても、できな
いものであってもかまわない。取り扱い上、その蒸気圧
は低いほうが望ましい。具体的には沸点60℃以上であっ
て水に難溶又は不溶の炭化水素類が好ましい。より好ま
しくは、沸点150℃以上のものが適する。このような炭
化水素類は、一種類でも複数の種類を混合して用いても
よい。
【0063】本発明の尿素付加物として包接され得る有
機化合物として、ヘキサン以上の直鎖状メタン列炭化水
素、1-オクテン以上の直鎖状αオレフィン、1-フェニル
オクタデカン、3-メチルエイコサン、1-シクロヘキシル
エイコサン、1-シクロペンチルヘンエイコサンなどの炭
素数20以上の直鎖を持つ炭化水素や、炭素数9〜20のモ
ノメチルパラフィン、炭素数12〜20の飽和脂肪酸および
そのメチルエステルについて、尿素付加物が生成可能で
あり利用することができる。
【0064】なお、その他の成分用の溶剤として、農薬
有効成分やその他の成分を溶解させるために、上記尿素
付加物を形成する炭化水素類とは別に、農薬製剤で一般
によく用いられる溶媒を配合することができる。含浸の
方法として、たとえば尿素を含有する造粒物をナウタミ
キサーやV字型混合機に入れ攪拌しながら、尿素付加物
を形成させる有機化合物を吹き付けるか、あるいは滴下
し造粒物に均等に行き渡らせる。これを数時間から数日
放置すると、尿素付加反応が進行し尿素付加物を得るこ
とができる。尿素付加物の生成は粒の膨張や色調の変化
で知ることができる。
【0065】ノルマルパラフィンなどの有機化合物の割
合は製剤全体の重量に対し1〜50%の範囲、さらに望ま
しくは10〜30%である。 ・尿素付加反応の触媒 尿素付加反応に要する時間を短縮するため、触媒効果を
有する化合物を用いることができる。触媒効果を有する
化合物としては水、アルコール類、ケトン類、などが知
られている。これらの触媒は、通常尿素付加物を形成さ
せる有機化合物に対し0.01から30%(w/w)の
割合で用いることができる。 ・製造方法 次に、本発明に係る農薬固形剤の組成物の好ましい製造
方法について述べる。もっとも製造方法は、これに限定
される意味ではない。エアーミルあるいはハンマーミル
などを用いて農薬活性成分をあらかじめ微粉砕してお
き、担体である尿素、その他の必要成分(溶媒を除く)
の所定量を秤量し混練して、一般的な農薬粒剤の造粒方
法である押し出し成型機により粒剤形とし、さらに乾燥
して得られた造粒物に、溶融した炭化水素類を添加、た
とえば含浸することにより製造できる。水面浮遊性の農
薬固形剤を製造する場合には、固体の農薬活性成分は、
なるべく微粉砕するのが望ましい。水に対する溶解度が
低いものはとくに必要とされる。水田等に施用されたの
ち、有効成分が速やかに溶解拡散することを図るためで
ある。
【0066】上記含浸は、押し出し造粒法で作られた尿
素を含む粒状物を混合器(たとえばV型混合器)に入れ
て、攪拌しつつ炭化水素類を粒状物に噴霧あるいは滴下
することにより行うことができる。またこの時、農薬有
効成分や界面活性剤などを同時に噴霧あるいは滴下する
ことができる。本発明の方法によれば、撥水性のワック
スなどを粒剤表面にコーティングする方法と比べると格
段に簡便で効率的な吸収法を用いて、炭化水素類を含浸
させることができる。すなわち、尿素を含む成形物に含
浸された炭化水素類は、毛管現象によって成形物全体に
速やかに行き渡るため、コーティング法のような煩雑な
条件の検討をすることなく、またコーティングのための
付加的な操作も必要としない。
【0067】
【実施例】以下、本発明について、実施例および試験例
をもってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに
何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例など
で、「部」とあるのは重量部を示し、「%」とあるのは
重量%を示す。
【0068】
【実施例1】農薬固形剤の製造 以下の配合割合からなる混合物に適宜加水しつつ混練
し、1.2mmφで押し出し造粒した。なお、尿素はハンマ
ーミルで粉砕して使用し、Rhodopol23は、Rhodopol23の
8%(w/w)水溶液として用いた。乾燥後、これにノルマル
パラフィンSHNP((株)ジャパンエナジー)を含量15%と
なるよう添加し、室温で3日間保存した。このようにし
て得られた農薬固形剤を下記の試験に供した。
【0069】 ダイムロン 22 部 尿素 57.76 ニューカルゲンBXC(竹本油脂(株)) 3 Rhodopol23 (ローディア日華(株)) 0.24 セロゲン7A (第一工業製薬(株)) 2
【0070】
【実施例2】以下の配合割合からなる混合物に適宜加水
しつつ混練し、0.8mmφで押し出し造粒した。なお、尿
素はハンマーミルで粉砕して使用した。乾燥後、ここで
得られた粒剤75部に10% ニューカルゲンD-1002EH含有ノ
ルマルパラフィンSHNP ((株)ジャパンエナジー)を25
部添加した。室温で3日間保存して、農薬固形剤を得
た。これを以下の試験に供した。
【0071】 ベンゾビシクロン、 60%フロアブル 5.0 部 尿素 67.8 ニューカルゲンEP-70 (竹本油脂(株)) 0.5 Rhodopol23 (ローディア日華(株)) 0.4 クリームデキストリン#5 (松谷化学(株)) 1.5 15%ポバール235 ((株)クラレ) 0.75 クエン酸 (和光純薬工業(株)) 0.05 ベンゾビシクロンは、以下の方法で湿式粉砕した。
【0072】 ベンゾビシクロン 60 部 SoprphorBSU (ローディア日華(株)) 1 クエン酸 (試薬特級、和光純薬工業(株)) 0.1 イオン交換水 38.9 以上の混合物をよく攪拌した後、ダイノミルKDL型
(シンマル エンタープライゼス(株))で平均粒径D50=3
μmにまで粉砕した。
【0073】
【比較例1】実施例1でノルマルパラフィンの替わりに
シリコーンオイル(KF-96-10信越化学工業(株))を使用
した以外は、実施例1と同様にして農薬固形剤を得た。
このようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。
【0074】
【比較例2】実施例2でノルマルパラフィンの替わりに
シリコーンオイル(KF-96-10信越化学工業(株))を使用
した以外は、実施例2と同様にして農薬固形剤を得た。
このようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。
【0075】
【比較例3】実施例2のノルマルパラフィン溶液を添加
する前の粒剤を農薬固形剤とした。このようにして得ら
れた農薬固形剤を下記の試験に供した。
【0076】
【試験例1】・ 拡散性試験 図-1に示すような200cm×80cmの大型バットに、20cm間
隔で長さ180cmの仕切り板を互い違いに置き、幅20cm長
さ8mの水路を作った。水を深さ5cmに張り、各サンプリ
ングポイントにプラスチックボトルの内ブタを置いた。
この水路の壁から20cmの地点に尿素付加物を含む実施例
2の農薬固形剤および比較例2の農薬固形剤をそれぞれ
1.6g投入して挙動を観察するとともに、3時間後に各サ
ンプリングポイントに置いた内ブタに、底部を取り除い
たプラスチックボトルを被せ試験水を採取した。採取し
た試験水中のベンゾビシクロンは、等容量の酢酸エチル
で2回抽出し、濃縮乾固後に10mlのアセトニトリルに溶
かしHPLCにより定量した。
【0077】トイ全体に試料が均一に広がったと仮定す
ると、トイの面積、200cm×80cm=16000cm2であり、ベ
ンゾビシクロンの投入量が1.6g×3%=48mgであることか
ら1cm 2あたり0.003mgのベンゾビシクロンが存在するこ
とになる。サンプリングに使用したプラスチックボトル
の直径が9cmであることより、サンプリングした面積は6
3.6cm2であり、試料がすべて均一に拡散したと仮定する
と、各サンプリングポイントから検出されるベンゾビシ
クロンは0.19mgである。均一に拡散した場合に検出され
る量0.19mgに対する各地点の検出量の割合を表1に示
す。
【0078】
【表1】
【0079】実施例では、投入された製剤は直ちに浮上
を始め、水面を弾けるように移動していった。一方、比
較例の製剤では、水面に浮上することなく水中で崩壊し
た。
【0080】
【試験例2】・拡散性試験の挙動(目視) 幅34cm、奥行き19cmの角型バットに水を5cmの深さに張
り、上記実施例および比較例で得た固形剤粒64.6mgを投
入し、その挙動を観察した。 実施例1:投入後、製剤は沈むことなく、水面を浮遊し
ながら崩壊した。
【0081】実施例2:投入後、製剤は一旦沈むが10秒
以内に浮上を開始し、水面を移動しながら崩壊した。 比較例1:投入後、ほとんどの粒が沈んだ。その内の半
数くらいは浮上して水面で弾けたが、残りの製剤は水中
で崩壊した。 比較例2:投入後、オイルが製剤粒から抜け出して水面
に油膜を作った。製剤粒は浮上することなく水中で崩壊
した。
【0082】比較例3:投入後、すべての粒が沈み、そ
のまま浮上することなく水中で崩壊した。
【0083】
【試験例3】・ 耐湿性試験 上記実施例および比較例で得た農薬固形剤20粒をシャー
レにとり、温度30℃、湿度85%に設定した恒温恒湿槽(須
中理化 製SL-4RH)に30分間入れて、製剤粒子の様子を
観察した。なお、恒温恒湿槽内で循環風が不均一に当た
ることを避けるため、当該シャーレはステンレス製のバ
ットに入れ、その上部をろ紙(アドバンテック 51B)で
覆った。その結果、 実施例1:粒の形を保った。
【0084】実施例2:粒の形を保った。 比較例1:溶解した。 比較例2:溶解した。 比較例3:溶解した。 以下の実施例3から実施例7までは、農薬固形剤の各成
分はつぎの組成比率であり、界面活性剤、バインダー、
浮上性担体の種類をそれぞれ変えた。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 2.0 バインダー 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 5.0 n-パラフィンsol 14.6
【0085】
【実施例3】つぎの組成からなる混合物に適宜加水しつ
つ混練し、1.2mmφで押し出し造粒し、次いで得られた
粒状物に炭化水素類を含浸させて農薬固形剤を得た。こ
のようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンNV-1203(竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :サンローズAPP-84 (日本製紙(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 :E-spheresSLG (太平洋セメント(株)) 5.0 n-パラフィンsol. :5%エタノール含有n-パラフィンYHNP 14.6 (n−パラフィンYHNPは(株)ジャパンエナジーより入手)
【0086】
【実施例4】つぎの組成からなる混合物に適宜加水しつ
つ混練し、1.2mmφで押し出し造粒し、次いで得られた
粒状物に炭化水素類を含浸させて農薬固形剤を得た。こ
のようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :Sorpol5050 (東邦化学工業(株)) 2.0 バインダー :セロゲン7A (第一工業製薬(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 :E-SpheresSLG (太平洋セメント(株)) 5.0 n-パラフィンsol. :5%エタノール含有n-パラフィンYHNP 14.6 (n−パラフィンYHNPは(株)ジャパンエナジーより入手)
【0087】
【実施例5】つぎの組成からなる混合物に適宜加水しつ
つ混練し、1.2mmφで押し出し造粒し、次いで得られた
粒状物に炭化水素類を含浸させて農薬固形剤を得た。こ
のようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンEX-70(竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :セロゲン7A(第一工業製薬(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 :E-SpheresSLG(太平洋セメント(株)) 5.0 n-パラフィンsol.:5%エタノール含有n-パラフィンYHNP 14.6 (n−パラフィンYHNPは(株)ジャパンエナジーより入手)
【0088】
【実施例6】つぎの組成からなる混合物に適宜加水しつ
つ混練し、1.2mmφで押し出し造粒し、次いで得られた
粒状物に炭化水素類を含浸させて農薬固形剤を得た。こ
のようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :SoprphorAS/500 (ローディア日華(株)) 2.0 バインダー :セロゲン7A (第一工業製薬(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 :スーパーバルーン SB250 (昭和化学工業(株)) 5.0 n-パラフィンsol.:5%エタノール含有n-パラフィンYHNP 14.6 (n−パラフィンYHNPは(株)ジャパンエナジーより入手)
【0089】
【実施例7】つぎの組成からなる混合物に適宜加水しつ
つ混練し、1.2mmφで押し出し造粒し、次いで得られた
粒状物に炭化水素類を含浸させて農薬固形剤を得た。こ
のようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンNV-1203 (竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :ゴーセノール GL-17S (日本合成化学(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 :CF-Beads (ユニオン化成(株)) 5.0 n-パラフィンsol.:5%エタノール含有n-パラフィンYHNP 14.6 (n−パラフィンYHNPは(株)ジャパンエナジーより入手) 以下の実施例8および実施例9において、農薬固形剤の
各成分はつぎの組成比率であり、それぞれ界面活性剤を
変化させた。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 2.0 バインダー 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 77.0 浮上性担体 1.0 n-パラフィンsol 14.6
【0090】
【実施例8】つぎの組成からなる混合物に適宜加水しつ
つ混練し、1.2mmφで押し出し造粒し、次いで得られた
粒状物に炭化水素類を含浸させて農薬固形剤を得た。こ
のようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンNV-1203 (竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :サンローズAPP-84 (日本製紙(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 77.0 浮上性担体 :マイクロスフィアF30-E(松本油脂製薬(株)) 1.0 n-パラフィンsol :5%エタノール含有n-パラフィンM 14.6 (n-パラフィンMは日本石油化学(株)から入手)
【0091】
【実施例9】つぎの組成からなる混合物に適宜加水しつ
つ混練し、1.2mmφで押し出し造粒し、次いで得られた
粒状物に炭化水素類を含浸させて農薬固形剤を得た。こ
のようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に供し
た。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンEX-70(竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :サンローズAPP-84 (日本製紙(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 77.0 浮上性担体 :マイクロスフィアF30-E(松本油脂製薬(株)) 1.0 n-パラフィンsol :5%エタノール含有n-パラフィンM 14.6 (n-パラフィンMは日本石油化学(株)から入手)
【0092】
【比較例4】実施例3において尿素をKClに変更した以
外は同様にして農薬固形剤を得た。このようにして得ら
れた農薬固形剤を下記の試験に供した。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンNV-1203 (竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :サンローズAPP-84 (日本製紙(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 KCl ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 :E-spheresSLG (太平洋セメント(株)) 5.0 n-パラフィンsol.:5%エタノール含有n-パラフィンYHNP 14.6 (n−パラフィンYHNPは(株)ジャパンエナジーより入手)
【0093】
【比較例5】実施例3において尿素を硫安に変更した以
外は同様にして農薬固形剤を得た。このようにして得ら
れた農薬固形剤を下記の試験に供した。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンNV-1203(竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :サンローズAPP-84 (日本製紙(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 硫安 ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 :E-spheresSLG (太平洋セメント(株)) 5.0 n-パラフィンsol.:5%エタノール含有n-パラフィンYHNP 14.6 (n−パラフィンYHNPは(株)ジャパンエナジーより入手)
【0094】
【比較例6】実施例3において尿素をタルクに変更した
以外は同様にして農薬固形剤を得た。このようにして得
られた農薬固形剤を下記の試験に供した。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンNV-1203 (竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :サンローズAPP-84 (日本製紙(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 タルク 73.0 浮上性担体 :E-spheresSLG (太平洋セメント(株)) 5.0 n-パラフィンsol. :5%エタノール含有n-パラフィンYHNP 14.6 (n−パラフィンYHNPは(株)ジャパンエナジーより入手)
【0095】
【比較例7】実施例3において、n-パラフィンをイソパ
ラフィンに変更した以外は同様にして農薬固形剤を得
た。このようにして得られた農薬固形剤を下記の試験に
供した。 ベンゾビシクロン AirMillで粒径3μmに粉砕したもの 3.2 部 界面活性剤 :ニューカルゲンNV-1203 (竹本油脂(株)) 2.0 バインダー :サンローズAPP-84 (日本製紙(株)) 2.0 クエン酸(試薬特級、和光純薬工業(株))乳鉢で磨砕したもの 0.2 尿素 ハンマーミル粉砕品 73.0 浮上性担体 :E-spheresSLG (太平洋セメント(株)) 5.0 イソパラフィン:5%エタノール含有イソパラフィンアイソゾール400 14.6 (アイソゾール400は日本石油(株)より入手)
【0096】
【試験例4】・水面浮上性試験 冷蔵庫で4℃に冷やした水道水を13cm×10cmのステンレ
ス製バットに入れ、上記の農薬固形剤100mgを投入して
その挙動を観察した。挙動は以下の5段階で評価した。
【0097】その結果を表2に示す。 ● 大部分の製剤が、沈むこと無く水面を拡散 ◎ 大部分の製剤は一度沈むが速やかに浮上を開始し、
10分以内に不浮上製剤が10粒以内となる。 □ 大部分の製剤は一度沈む。30分以内に不浮上製剤が
10粒以内となる。 △ 投入後3時間経過しても不浮上粒が10粒以上存在す
る。 × 90%以上の製剤が30分経っても浮上しない。
【0098】
【表2】
【0099】
【試験例5】・拡散性試験 長さ2m、幅30cm、深さ15cmの塩化ビニル製の長形バット
に土壌、肥料、水を加え代掻きおこなった。この時、土
壌の深さ、水深ともに約5cmとなるように調整した。水
相が澄んできた段階でイヌヒエの種子を短辺の壁面から
40cm間隔で播種した。ヒエの葉令が1葉期に達する前に
短辺の壁面より10cmの地点に上記の農薬固形剤60mgを投
入した(図2)。
【0100】水深が5cmを保つように適宜調整しながら3
0日間、茨城県つくば市の株式会社エス・ディー・エス
バイオテック つくば研究所の人工気象室で試験を行
った。30日目に、図2に示す5つの調査点、A〜Dにおけ
る除草効果を確認した。各地点の除草効果は、以下の6
段階で表わした。
【0101】結果は、表3に示すとおりであった。 ● 残草率 0〜痕跡量 ◎ 1〜10% ○ 11〜20% □ 21〜40% △ 41〜60% × 61%以上
【0102】
【表3】
【0103】
【発明の効果】本発明の農薬固形剤は、担体として尿素
を尿素付加物の形で含むため、高温多湿に強く保存安定
性に優れる。この農薬固形剤は、尿素の限界湿度以上の
環境下でもベタツキ、粒の強度不足を引き起こさないた
め、持続的にこの農薬固形剤の性能が保持される。
【0104】尿素は、造粒性が良好であるため、粒のサ
イズ、形状などの選択の幅が大きい。加えて、造粒時に
浮上性獲得に有利である空隙ができやすく、その空隙に
空気、多くの農薬成分などを含有し得る。かかる特質を
持つ尿素を担体として含む農薬固形剤を使用した水面浮
遊性農薬製剤は、水溶解度が高く、軽量で浮揚力に優れ
るため、製剤粒子が水面を拡散することにより、水田の
中に有効成分を均一に効率よく分散させることができ
る。
【0105】本発明に係る農薬固形剤は、農薬担体とし
て尿素を含むため、農薬と肥料の同時施用が可能とな
り、散布の手間が一回で済む利点を有する。さらに、尿
素は施用にともなう残留あるいは蓄積が生じても環境へ
の負荷が極めて小さいために、環境汚染の弊害がほとん
ど見られない。本発明の方法によると、コーティング法
に比べ特別の装置も必要とせず、他の農薬製造の場合と
ほとんど変わらない操作で目的物を製造することができ
る。供給が安定し安価な尿素を担体として使用するため
に、農薬固形剤の製造コストは大幅に節減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、拡散性試験用の水路の形状とサイズ
を示す。
【図2】 図2は、試験例5における播種点、投入点お
よび調査点示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 41/10 A01N 41/10 A 47/30 47/30 C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)CH3−(CH2n−基(nは、6以上
    の整数)を含む有機化合物またはノルマルパラフィン
    (以下、これらの化合物を炭化水素類という)と尿素と
    からなる尿素付加物と、(b)農薬活性成分と、(c)必要に
    応じてその他の補助剤と、を含む農薬固形剤。
  2. 【請求項2】(a)CH3−(CH2n−基(nは、6以上
    の整数)を含む有機化合物またはノルマルパラフィン
    (以下、これらの化合物を炭化水素類という)と尿素と
    からなる尿素付加物と、(b)農薬活性成分と、(c)必要に
    応じて浮上性担体として難水溶性または非水溶性の中空
    状の物質あるいは多孔質状の物質と、(d)必要に応じて
    その他の補助剤と、を含む農薬固形剤。
  3. 【請求項3】上記農薬固形剤全量に対し、上記炭化水素
    類が1〜50重量%、尿素が25〜90重量%、ならびに上記
    農薬活性成分が0.1〜70重量%の割合で含まれており、
    尿素に対する該炭化水素類の重量比率(炭化水素類/尿
    素)が0.05〜2である、請求項1または2のいずれかに
    記載の農薬固形剤。
  4. 【請求項4】尿素を含む混合物を混練して造粒した後
    に、得られた粒状物に上記炭化水素類を含浸させること
    を特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の農
    薬固形剤の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1または2のいずれかに記載の農薬
    固形剤を水で崩壊する袋または水溶性の袋もしくはフィ
    ルムで包装した形状を有することを特徴とする農薬製
    剤。
  6. 【請求項6】請求項1または2のいずれかに記載の農薬
    固形剤を水で崩壊する袋または水溶性の袋もしくはフィ
    ルムで包装した形状を有する農薬製剤を、湛水下の水田
    に、10アール当たり3個〜20個の範囲で直接投入する農
    薬製剤の施用方法。
  7. 【請求項7】尿素を、CH3−(CH2)n−基(nは、6
    以上の整数)を含む有機化合物またはノルマルパラフィ
    ンと尿素とからなる尿素付加物として含有させることに
    より、尿素の潮解性を抑制することを特徴とする尿素含
    有固形剤の吸湿による溶解もしくは強度低下を防止する
    方法。
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