JP2957751B2 - 農薬組成物及びその施用方法 - Google Patents

農薬組成物及びその施用方法

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JP2957751B2 JP12957791A JP12957791A JP2957751B2 JP 2957751 B2 JP2957751 B2 JP 2957751B2 JP 12957791 A JP12957791 A JP 12957791A JP 12957791 A JP12957791 A JP 12957791A JP 2957751 B2 JP2957751 B2 JP 2957751B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、農薬組成物及びその処
理方法に関する。更に詳しくは、水中で或は水面で、容
易に分散或は溶解する固形の農薬製剤を、水で破袋分散
又は溶解するシート(以下水溶紙と略す)に包んだ形態
で発泡剤又は浮力向上剤を含有するか又は含有しない農
薬組成物、発泡剤を含有する錠剤形態の農薬組成物及び
それら農薬組成物を水田外から投げ込む農薬の処理方法
に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、水田用農薬はその使用の便のため
に、種々の剤型に製剤されている。すなわち、粉剤、水
和剤、乳剤、粒剤などに製剤され、水田または稲体に散
布されている。
【0004】しかし、粉剤や水和剤は、粉立ちによる、
使用者や生産者の健康上の問題がある。特に粉剤は、散
布時のドリフトが多いため、周辺の住民や環境に対して
悪影響を与える可能性がある。また、水和剤は流動性が
悪く、製造工程においてトラブルの原因となることが多
い。乳剤は、有機溶媒による毒性の問題や火災の危険が
ある。粒剤は、こうした欠点は少ないが、活性成分によ
っては十分な防除効果が得られないことも多い。
【0005】これらのことから、最近、フロアブル(以
下FLと略す)やドライフロアブル(以下DFと略す)
といわれる新しい剤型が開発されてきた。DF剤は顆粒
水和剤とも言われ、流動性があり粉立ちが少なく、水中
で容易に分散し、水溶液または懸濁液となる。また、F
L剤は、連続相に水を用いるものと有機溶媒を用いるも
のとがあり、これらはそれぞれ分散質が液体の場合(エ
マルションタイプ)と固体の場合(サスペンションタイ
プ)に大別される。
【0006】これらFLやDFといわれる剤型は、粉立
ちがなく流動性があるという点で水和剤の上記の欠点を
解決した剤型といえるが、従来の剤型を含め、これらの
製剤を散布するためにはまずそれを水に溶解または分散
させたあとで、多くの場合散布器具を必要とする。ま
た、散布に際し、水田に入ることが必要である。特に小
規模な兼業農家にとっては溶解または分散させる容器と
散布器具とを準備し、水田に入って散布することは、経
済的負担や安全面の不安ばかりでなく、労力的にも時間
的にも負担は大きい。特に、高齢者と女性に依存するこ
との大きい最近の小規模な農家にとっては、このような
負担は耐え難いものとなっている。
【0007】このため、最近、散布に特殊な器具を必要
とせず手軽に散布できる方法として、除草剤のFLをプ
ラボトルに入れ、これをキャップ部に開けた小孔から水
田中に振り込む方法が開発された。この方法によれば、
散布に特殊な器具を必要とせず、手軽に散布できるとい
う利点があるが、散布に際しては依然として水田に入る
必要があり労力を要することや、散布方法や風向きによ
っては薬液の飛沫が作業者にかかり安全でないなどの欠
点があるため、必ずしも従来法の欠点を完全に除去し得
たとは言い難い。また、使用済みの空き瓶の処理につい
ても、瓶内に農薬が残るため、安全面や環境上の問題を
引き起こす可能性がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このため、散布に際し
て特別な器具を必要とせず、水田に入らなくても処理す
ることができ、安全で、容器の処理も簡単な処理方法が
要望されていた。このような現状に鑑みて、発明者らは
上記の条件を満たす製剤及び処理方法の開発を目指して
鋭意検討を重ね、その結果、田面水は日光の照射による
対流や風の動きによりかなり移動するので、水中に投入
されたとき、有効成分が容易に元の単粒子にまで分散す
るような物理性を有していれば、溶出した有効成分は比
較的早く拡散し、有効成分粒子の周りの溶質濃度は常に
比較的低く維持され、田面水中の有効成分濃度は理論的
に算出される拡散速度より意外なほど早く拡散均一化さ
れることを見出した。これにより、難溶性化合物の溶解
拡散も、化合物の粒度を調節すれば容易に調節が可能と
なり、従来行なわれてきたような均一な処理をしなくて
も良好な生物効果を得ることができることを見出し、本
発明を完成した。
【0009】
【発明の構成】
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、水
中で又は水面で、容易に分散又は溶解する固形の農薬製
剤を、水で破袋分散又は溶解するシートに包んだ形態で
発泡剤又は浮力向上剤を含有してもよい農薬組成物、発
泡剤を含有する錠剤形態の農薬組成物、浮力向上剤を含
有する錠剤形態の農薬組成物及びそれら農薬組成物を水
田へ投げ込む農薬の処理方法に関する。
【0011】この方法によれば、散布器具を必要とせ
ず、水田に入らなくても処理できるため、きわめて簡単
に農薬を処理することができる。薬剤と直接接触するこ
とがないため、子供や高齢者にも安全に処理することが
可能なうえ、兼業農家にとっては、出勤の前などのわず
かな時間でも処理できる利点を有する。しかも、容器は
ガラス瓶やプラボトルを必要とせず、紙や樹脂の袋や箱
が使用できるので、用済み後は焼却処理が可能である。
【0012】本発明に使用できる農薬有効成分は、殺虫
剤や殺菌剤の場合、稲体に吸収されて移行する性質のあ
るものが望ましいが、浸透移行性がなくても、水中また
は水面に生息する虫或は水中や水面から感染する菌には
有効である。いずれの場合も、薬害の少ない化合物であ
ることが必要である。除草剤の場合、その本来の性質や
使用時期の点から、特に薬害のない化合物を選択するこ
とが望ましい。有効成分は、水溶性でも水に難溶性で
も、また固体でも液体でもかまわない。一般的には水溶
性の化合物のほうが田面水中への溶解拡散が速く、効果
は早く表われるが、反面、降雨などによる流亡や光分
解、土壌吸着などによる不活性化も早い傾向がある。逆
に、難溶性の化合物は、田面水中への溶解拡散が遅く、
効果の発現は遅い傾向はあるが、薬害や流亡、不活性化
の点では有利なことが多い。一般的には固体原体の方が
本発明に適合しやすいが、液体原体も適当な方法で固形
化すれば適用できる。
【0013】本発明に好適な有効成分は、殺虫剤では、
イソキサチオン、プロパホス、DEP、ダイアジノン、
エチルチオメトン、ホルモチオン、ジメトエート、モノ
クロトフォス、アセフェート、カルボスルファン、チオ
シクラム、カルタップ、ベンフラカルブ、カルバリル、
ブプロフェジン、BPMC、PHCなどの浸透移行性殺
虫剤、シクロプロトリン、エトフェンプロックスなど
の、イネミズゾウムシやイネドロオイムシのような水中
または水面近くに生息する害虫に有効な合成ピレスロイ
ドなどを挙げることができる。殺菌剤では、プロペナゾ
ール、イソプロチオラン、IBP、トリシクラゾールな
どのいもち剤、フルトラニル、メプロニルなどのもんが
れ剤、テクロフタラムなどを挙げることができる。除草
剤では、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラゾキシ
フェン、ピリブチカルブ、ブロモブチド、メフェナセッ
ト、ベンスルフロンメチル、ブタクロール、プレチラク
ロール、ベンチオカーブ、CNP、クロメトキシニル、
ダイムロン、ビフェノックス、ナプロアニリド、オキサ
ジアゾン、ベンタゾン、モリネート、ピペロホス、ジメ
ピペレート、エスプロカルブ、ジチオピル、TH91
3、ベンフレセート、ACN、シンメスリン、MCP
B、キンクロラック、ピラゾスルフロンエチル、KPP
314、NSK850、JC940などの水田除草剤を
挙げることができる。植物成長調節剤では、イナベンフ
ィド、パクロブトラゾール、ウニコナゾール、トリアペ
ンテノールなどを挙げることができる。
【0014】これらの有効成分は、水田に投入後できる
だけ早く田面水中に溶解拡散し効力を発揮する必要があ
る。長期間にわたり有効成分が局在すると、効力不足や
薬害を生じるなどの不都合を生じることは言うまでもな
い。したがって、有効成分がたとえ水に対する溶解度の
高いものでも、固体の場合、ある程度微粉砕しておく方
がよい。有効成分が水に対する溶解度の低いものでは特
に微粉砕が必要である。このような場合、ジェットミル
による乾式粉砕や、サンドミルまたはアトライターなど
による湿式粉砕を行なう。有効成分が液体の場合、必要
なら適当な溶媒に乳化剤とともに溶解し、適当なキャリ
ヤーに吸収させて顆粒状とすれば、固体原体と同様に扱
うことができる。
【0015】これらの有効成分は、水田に投入したとき
に容易に元の単粒子に分散して溶解し、できるだけ速く
水田全体に拡散する必要があるうえ、特に水に難溶性の
化合物の場合、分散した有効成分粒子が水面に浮遊する
と、風により吹き寄せられ有効成分の局在が加速される
ことがあるので、適当な湿潤剤を配合して有効成分を水
中に沈めることが望ましい。また、1個の重量は40-120
g程度が処理し易いから、この範囲に重量を調節するた
めに適当なキャリヤーを配合しても良い。このほか、結
合剤、粒子成長防止剤、安定剤、粉砕助剤などを必要に
応じて配合しても良い。
【0016】本剤は処理後できるだけ速く水中に溶解拡
散することが必要であるから、これらの助剤はできるか
ぎり水溶性のものが望ましい。水に不溶性の助剤を大量
に配合すると、水田に分散沈降した有効成分粒子が不溶
性助剤で覆われるため、有効成分の拡散が遅れ長時間局
在することになり、効力不足や薬害の原因になることが
ある。
【0017】好適な分散剤としては、例えばリグニンス
ルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸塩及び
その縮合物、フェノールスルホン酸塩及びその縮合物、
スチレンスルホン酸塩及びその縮合物、マレイン酸とス
チレンスルホン酸との縮合物の塩、アクリル酸やマレイ
ン酸などのカルボン酸縮合物の塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、ポリオキ
シエチレンアルキルアリルエーテルサルフェートの塩、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル
塩、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸
エステル塩などのアニオン性界面活性剤を挙げることが
出来る。これらの分散剤は、湿潤剤としても有用なもの
が多い。分散剤や湿潤剤はこれらに限らず、ノニオン性
やカチオン性或は両性イオン性のものであっても適当な
ものを使用できる。
【0018】好適なキャリヤーとしては、グルコース、
砂糖、乳糖などの糖類、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリ
ウムなどの水溶性無機塩類、尿素等を挙げることができ
る。炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのような、それ
自体は難溶性のものも、後述する酸との反応で発泡溶解
するので好都合である。ベントナイト、タルク、クレ
ー、硅燥土、ホワイトカーボン等の一般的に農薬のキャ
リヤーとして用いられる鉱物質を、必要に応じて生物効
果や薬害に影響を与えない範囲で配合しても差し支えな
い。
【0019】好適な結合剤としては、低分子量のデキス
トリンやポリビニルアルコール、カルボキシメチルセル
ロースのナトリウム塩などを挙げることができる。リグ
ニンスルホン酸塩は分散剤と兼用でき、比較的安価のた
め増量剤としても用いることができるので、特に有用で
ある。
【0020】これらの有効成分粉砕物及び助剤は、混合
した後、水和剤としてそのまま水溶紙に包装しても良い
が、適当な造粒機を用いて固形に製剤する方が製剤時の
作業性や包装の大きさの点で有利である。この場合の剤
型は、水中で崩壊分散の早いDF剤または錠剤が好まし
い。DF剤は、上記混合物を撹拌造粒機、転動造粒機、
流動層造粒機、噴霧乾燥機、押し出し造粒機、乾式造粒
機等により造粒して得ることができる。また、錠剤は打
錠機により得ることができる。これらの錠剤は水中で容
易に崩壊分散し、元の単粒子に分散することが望まし
い。
【0021】これら製剤中には、1種のみならず2種以
上の有効成分を含有することができる。この場合、複数
の有効成分を混合したものを造粒または打錠しても良い
し、各有効成分ごとに打錠するか或は別々の製剤を作っ
て同一分包中に混合して入れても良い。
【0022】DF剤の場合、適当な粒度は約0.1−5
mmである。あまり小さすぎると、水中に投下したとき
にいわゆるままこ状となり、きれいに分散しなくなるこ
とが多い。逆に大きすぎると分散が悪くなることが多
い。ままこが生じる場合、発泡剤を配合すると水中での
分散がよくなる。発泡剤は、炭酸ナトリウム、炭酸水素
ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸
カリウム等の炭酸塩と、クエン酸、シュウ酸、コハク
酸、リンゴ酸、マレイン酸、ホウ酸、フタル酸、無水フ
タル酸、無水マレイン酸、無水マロン酸、無水イタコン
酸などの水溶性の固体酸を固体のまま混合することによ
って得ることができる。これらは農薬成分とともに粉末
のまま分包中に配合しても良いが、取扱の便のため、造
粒するのが良い。この場合、両者を混合して造粒しても
良いし、炭酸塩と酸とを別々に造粒して配合しても良
い。両者を混合して造粒する場合、湿式造粒すると反応
するので、乾式造粒するか打錠する。農薬成分を乾式造
粒する場合や錠剤とする場合には、処方中に炭酸塩と酸
を配合して造粒あるいは打錠すれば、有効成分の含量や
返品再生処理等の点で有利である。
【0023】また、農薬有効成分を水中できれいに分散
させるためには、水田に投げこまれた分包はある程度の
時間水面に浮遊し、風に押されて漂いながら、少しづつ
有効成分を水中に分散するのが望ましい。このために
は、適当な浮力向上剤を配合すると好ましい効果が得ら
れる。浮力向上剤は水田に投げこまれた分包が水面に浮
遊するのを助けるのが目的であるから、それ自体が水よ
り軽いものはもちろんのこと真比重は水より大きくて
も、内部に空気の層を含むようなものでも、十分にその
目的を達することができる。好適な浮力向上剤は、例え
ば発泡性樹脂の粒状物、軽石及びその表面をステアリン
酸やステアリン酸カルシウムの如き疎水性物質で被覆し
たもの、ステアリン酸のような固体の高級脂肪酸、ステ
アリルアルコールのような固体の高級アルコール、固型
パラフィンのようなパラフィン類、カルナバロウのよう
な固体ワックス、タルクのようなそれ自体疎水性の鉱物
質微粉さらには非晶質の二酸化ケイ素にジメチルジクロ
ルシラン等を処理してその表面を疎水加工した合成法シ
リカ等を挙げることができる。これらの分包中配合量は
その目的を達することができれば特に制限はないが、あ
まり多すぎると袋が大きくなりすぎて、投げこみにくく
なるので、通常は袋内容物の1/2程度以下を配合す
る。発泡剤と併用する場合には、発泡剤の配合量を減量
でき、より良好な分散を得ることができる。
【0024】錠剤の場合、その大きさは投げ込みに適当
な重量である必要がある。水溶紙に分包しない場合に
は、投げ込みやすさの点から1錠の重量は1g−120
g程度が適当である。これより軽い場合には、風の影響
を受けて目標地点まで到達しない場合が生じる。また、
これより重い場合には、稲をなぎ倒したり土中に潜り込
んだりして有効成分の分散が良好でない場合が生じる。
水溶紙に分包する場合は、1袋の重量が問題となるの
で、1錠の重量はより軽いものでもかまわない。
【0025】このような処理方法をとる場合に、最も重
要なことは広い範囲にわたる原体粒子の分散と速やかな
溶解拡散である。同様の剤型、処理方法として、かつ
て、水溶性の殺虫剤を直径約1cmの丸剤となし、これ
を水田中にバラ撒く処理方法が試みられたことがあった
が、この製剤は発泡剤や浮力向上剤が配合されず、また
水溶紙にも包装されていなかった。このような製剤では
水中での分散や溶解拡散が遅く、余程水溶性が高く、土
壌吸着性が小さく、かつ、薬害懸念のない化合物でない
限り薬効不足や薬害の原因となる。又、このような製剤
をより遠くまで投げるために、1錠が数十gといった大
きさにすると、慣性のために土壌中に埋もれてしまうこ
ともあって、ますます田面水中への溶解拡散は遅くなり
薬効不足や薬害の原因となる。
【0026】本発明においては錠剤を水溶紙に包装しな
い場合は発泡剤又は浮力向上剤の配合を必須とする。水
田に投入されたときの発泡剤配合の効果は顕著で、大き
な錠剤であっても、水中で激しく発泡して、土壌面から
浮き上がり、細かく分散するので、有効成分が難溶性で
あっても溶解拡散が早く、良好な生物効果を発揮するこ
とができる。
【0027】錠剤を水溶紙に包装する場合も、発泡剤又
は浮力向上剤を配合する方が良いが、袋の中に含まれる
空気の浮力によって水面に浮き上がり、風に流されなが
ら広い範囲に分散するので、水中で速やかに崩壊分散す
るような錠剤処方にしておけば、あえてこれらを配合し
なくても良好な生物効果を得ることができる。
【0028】かくして得られた製剤は、適度な重量を有
する発泡剤や浮力向上剤を含有する錠剤の場合はそのま
ま投げ込んでも良いが、それ以外の固形製剤の場合は水
溶紙に分包したものを投げ込む。
【0029】水溶紙の材質は、例えばセルロース又はメ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース及びその塩のようなセルロース
の誘導体、ポリビニルアルコール、プルラン、デンプン
系、ポリアルキレンオキサイド系等が使用できるが、溶
解した水溶紙が内容物の周りにゲル状に付着すると内容
物がきれいに分散しなくなることがあり、また、水溶紙
は投げ込みに耐え得る強度が必要である。この意味で、
セルロース及びその誘導体より成るものは、破れにくく
かつ水中では繊維がバラバラにほぐれ分散するので好適
である。また、ポリアルキレンオキサイド系水溶紙も強
度があり、水中での溶解時間が早く、ゲル状に付着しな
いので特に有用である。このような水溶紙はプルランよ
りなるものとしてプルランフィルム(林原株式会社
製)、セルロース及びカルボキシメチルセルロースのナ
トリウム塩よりなるものとしてディゾルボ(三島製紙株
式会社製)、ポリビニルアルコールよりなるものとして
ソルブロン(アイセロ化学株式会社製)、ハイセロン
(日合フィルム株式会社製)、トスロン(東京セロファ
ン紙株式会社製)、クラレビニロンフィルム(クラレ株
式会社製)、ポリアルキレンオキサイド系のものとし
て、ポリオキシアルキレングリコールと多価カルボン酸
及びその低級アルキルエステルよりなるフレキシーヌ
(水溶性樹脂パオゲンをフィルム状としたもの、第一工
業製薬株式会社製)等の商品名で入手することができ
る。
【0030】また、水溶紙は成形できると便利である。
端部は糊で封じても良いが、作業性に問題がある。この
点で、ヒートシールができるものが好都合である。しか
し、材質によってはヒートシールすると溶けにくくなる
ことがあるので、ヒートシールにより分散溶解性に影響
のないものが好ましい。
【0031】この意味で、セルロース及びカルボキシメ
チルセルロースのみからなる水溶紙は成形性が悪く、強
度面でもやや劣る傾向があるが、これに適当な熱可塑性
樹脂を塗布したディゾルボWAPやポリビニルアルコー
ルのフィルムを貼り合わせたディゾルボWALはヒート
シールが可能となり強度も良好なため好適な包装材料と
なる。また、ポリビニルアルコールやポリアルキレンオ
キサイド系のフィルムはヒートシールが可能であるが、
水溶性のため、高湿度下や、塗れた手で触ると互いにく
っついたり穴が開いたりする傾向がある。このような場
合、これらのフィルムに簡単な防湿加工を施すとこれら
の欠点を大幅に改良することができる。すなわち、これ
らのフィルムにアルミニウム等の金属を蒸着させ、ごく
薄い被膜を形成させることにより、これらの欠点を実質
的に改良することができる。
【0032】1包の重量は、約40g−120gが最も
投げ込み易い。この程度の重さであれば、子供、女性、
高齢者でも容易に15m程度以内の目標とした地点に投
げ込むことが可能である。これ以上重いと投げ込むのが
苦痛となり、広い面積を処理するのは容易ではない。ま
た、これ以下では風の影響を受けて目標とした場所に到
達せず、投げ込む際にかなり力を入れないと遠くまで投
げられない。従って、前述した製剤と発泡剤だけで1包
みの重量が軽すぎるような場合には、適当な増量剤を分
包の中に配合して重量を調節すると良い。適当な増量剤
は砂や炭酸カルシウムの破砕粒のような、吸着性の少な
い比較的重いものが好ましい。鉱物質粉末の造粒物のよ
うなものを増量剤に用いると、有効成分が吸着された
り、分散した有効成分粒子の周りを鉱物質微粉末が覆っ
て、有効成分の溶出拡散を妨害し、薬害や効力不足の原
因となることがある。
【0033】2種以上の有効成分を同時に処理する場
合、配合すると分解が生じたり、崩壊分散が劣化したり
する場合がある。このような場合、通常は2種類以上の
製剤を別々に作り、これらを混合することにより解決で
きる事が多いが、それでも解決できない場合は、1包を
2つ以上に仕切って別々の製剤を入れることも可能であ
る。このようにすれば、従来配合禁忌とされていた2種
以上の有効成分も、同時処理が可能となる。処理された
分包を水面にしばらく浮いているように調節すれば、浮
遊する分包は風の影響を受けて流される。従って、中仕
切りを入れて、中に入れるそれぞれの製剤の親水性を変
えておくと、1つの薬剤を先に分散させたのち、時間を
おいて離れた場所に他の薬剤を分散させる事も可能であ
る。このような時間差処理を希望するときには、中仕切
りのシールを2重線(2本)にしておくと、一方の薬剤
の部分の袋が破れても、他方の薬剤の部分の袋は破れ
ず、目的を達することができる。
【0034】このような分包を投げ込める距離は約15
mである。両側の畦畔から投げ込めば、有効成分の性質
にもよるが、約50m幅の水田が十分にカバーできる。
【0035】10アール当りの投げ込み分包数は、少な
いほど省力になるが、数十アール当たり1包といったよ
うに極端に少ない数では、有効成分の性質によっては効
力不足になったり薬害が生じたりする事がある。しか
し、余り多くなりすぎると省力の意味をなさなくなるか
ら、10アール当り30包程度以下にとどめると良い。
この場合、数歩に1包を投げ込むことになる。好適な投
げ込み分包数は、10アール当り3−20包程度であ
る。
【0036】発泡剤や浮力向上剤を錠剤処方中に配合し
た錠剤の場合は、水溶性シートに分包することなく、そ
のまま水田に投げ込むことができる。この場合、手で投
げることになるので、直接手に触れないように、手袋等
適当な保護具を着用する。
【0037】このような錠剤や分包は、紙や樹脂等の袋
や箱で外装する。ただ、水溶紙は水がかかると破れるた
め、適当な防水加工を施した外装を用いる事が望まし
い。発泡剤を配合する場合には、吸湿によって反応し発
泡しなくなる場合があるので、アルミ箔を張り合せる等
して密閉された包装が望ましい。外装が膨らむような場
合は、アルミ箔部分にのみ小さな穴をあけておくと、外
装の膨張を防ぎ、吸湿をも防ぐことができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の実施態様をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0039】(実施例1)殺虫剤の分包例 カルホス水面展開剤( 殺虫剤、三共株式会社製)500mlを
オイルQ(粒状高吸油性デキストリン、日澱化学株式会
社製)1000gに吸収させ、固形化したイソキサチオン水
面展開剤を得た。得られた固形化したイソキサチオン水
面展開剤1500gを水溶紙ディゾルボWAP(三島製紙株
式会社製)に100 gずつ15包に分包し、端部はヒート
シールした。得られた分包を、10アール当り15袋の
割合で田植え3日目の水田に処理した。水田中で袋は約
50秒後に破れ、中から固形化したイソキサチオン水面
展開剤が水中に分散し始めると同時に、放出されたイソ
キサチオン水面展開剤が水面を拡展し、水田一面に展開
した。約5分後に袋はボロボロになって沈んだが、中に
は何も残っていなかった。イネミズゾウムシに対する殺
虫効果をカルホス水面展開剤と比較したが、両者はほぼ
同等に有効であった。また、ともに薬害は見られなかっ
た。
【0040】(実施例2)殺菌剤の分包例 テクロフタラム原体80部、粒状炭酸カルシウム7部、
ネオゲンパウダー(ドデシルベンゼンスルホン酸のナト
リウム塩を主成分とする湿潤分散剤、第一工業製薬株式
会社製)3部、ウエットールSSP(フェノールスルホ
ン酸ナトリウムの縮合物、BASF株式会社製)10部
を混合し、ジェットオーマイザー0101型(セイシン企業
株式会社製)を用いて粉砕した。粉砕品50部、粉砕し
たグルコース50部を混合し、ローラーコンパクターミ
ニ型(フロイント産業株式会社製)を用いてロール圧7
0kg/cm2で乾式造粒した。造粒品を0.5 −3.35mm区分に
整粒し、テクロフタラム40%を含有するDFを得た。
別に、(無水)クエン酸40部、炭酸カルシウム粉末4
0部、砂糖20部を混合し、エックサンプルミル(不二
パウダル株式会社製)で粉砕し、ローラーコンパクター
を用いて乾式造粒した。この造粒品を0.5 −3.35mm区分
に整粒し、発泡剤を得た。DF500gと発泡剤250
gを混合し、水溶紙ディゾルボWALに75gずつ10
包に分包し、端部はヒートシールした。得られた分包を
10アール当り10袋の割合で穂ばらみ前期の水田に処
理した。水田中で袋は約2分後に破れ、中からDFが水
中に発泡分散し始めた。袋は稲に引っ掛かったり、風に
流されたりしながら、水中に薬剤を放出し続け、約20
分後に放出は終った。この間、袋は約8m移動し、移動
線に沿って薬剤の放出跡が見られたが、2日後には見え
なくなった。シラハガレ病に対する効果を同時に散布し
たシラハゲン粉剤S(4kg/10a で均一散布)と比較した
ところ、両者間に有意な差は認められなかった。また、
両区とも薬害は見られなかった。
【0041】(実施例3)除草剤の分包例 ピラゾレート原体50部、ピラゾスルフロンエチル原体
0.4 部、ネオコールSWCE(ジエチルヘキシルスルホ
サクシネートのナトリウム塩、第一工業製薬株式会社
製)1.0 部、トキサノンGR31A(アクリル酸系ポリソープ
の40%水溶液、三洋化成工業株式会社製)1.0 部、サ
ンエキスP252 (リグニンスルホン酸ナトリウム、山陽
国策パルプ株式会社製)48.2部、水100 部をアトライタ
ー1S型(三井三池製作所株式会社製)により1時間粉砕
し、ピラゾレートスラリーを得た。このスラリーをスプ
レードライヤーL−8型(大川原化工機株式会社製、熱
風温度110 ℃)で噴霧乾燥し、ピラゾレート50%及び
ピラゾスルフロンエチル0.4%を含む粉末を得た。この
粉末をフローコーターFLミニ型(フロイント産業株式
会社製)を用いて水を噴霧して造粒し、粒径0.5 −1.5m
m区分に整粒し、ピラゾレート50%及びピラゾスルフ
ロンエチル0.4 %を含有するDFを得た。上記DF500
gと実施例2の発泡剤250gを混合し、水溶紙ディゾル
ボWAPに75gずつ10包に分包し、端部はヒートシ
ールした。得られた分包を田植え後3日目の水田(10
アール)に畦畔からできるだけ均等になるように投げ込
んだ。水田中に投げ込まれた分包は水面に浮遊し、約2
0秒後に水溶紙の破れた部分から、DF剤が発泡を伴っ
て水中に分散し始め、原体の一部は水面を拡展した。袋
はDF剤を分散しながら風に流されて約5m移動した
後、空き袋となった水溶紙は20分後にバラバラになっ
て沈んだ。分散沈降した原体は、稲の植え筋に沿って幅
約5mの範囲に地表面を拡展した。地表面に沈んだ原体
は3日後には見えなくなった。30日後の除草効果をピ
ラゾレート8.3 %,ピラゾスルフロンエチル0.07%を含
有する粒剤均一散布区(3kg/10a 処理)と比較したが、
両区とも極大の効果が得られ、薬害は見られなかった。
【0042】(実施例4)殺虫剤の錠剤例 ジメトエート原体90部、ネオゲンパウダー4部、粒状
炭酸カルシウム6部をジェットオーマイザー0101型を用
いて粉砕した。粉砕品65部、グルコース25部、サン
エキスP252 の10部を混合し、フローコーターFLミ
ニ型を用いて造粒乾燥し、粒径0.1 −0.5mm 区分の顆粒
を得た。別に炭酸カルシウム粉末及びコハク酸粉末をそ
れぞれ同様に造粒した。ジメトエート顆粒34.2g,炭酸
カルシウム顆粒20g、コハク酸顆粒15.8gを混合し、
打錠機を用いて1錠の重量が70gの発泡分散型錠剤を
得た。この錠剤を、10アール当り15個の割合で水田
中に投げ込んだ。錠剤は約30mの距離までは十分に投
げ込むことが可能であった。水田中で錠剤は激しく発泡
し、約25分後に原体は完全に分散状態となって、水中
に拡散した。同時に処理したジメトエート粒剤区(6kg/
10a を均一に手撒き)と、ツマグロヨコバイに対する密
度抑制効果をすくいとり法により比べたが、効果に有意
差はなかった。また、薬害は見られなかった。
【0043】(実施例5)殺虫剤の錠剤例 実施例4と同様にしてジメトエート顆粒0.98g,炭酸カル
シウム顆粒0.57g、コハク酸顆粒0.45gを含有する1錠
の重量が約2gの錠剤を得た。この錠剤を1050g/10a の
割合で、畦畔からバラバラに投げ込んだ。錠剤は約10
mの距離までは十分に投げ込むことができた。水田中で
錠剤は激しく発泡し、数分後に原体は完全に分散状態と
なって、水中に拡散した。同時に処理したジメトエート
粒剤区(6kg/10a を均一に手撒き)と、ツマグロヨコバ
イに対する密度抑制効果をすくいとり法により比べた
が、効果に有意差はなかった。また、薬害は見られなか
った。
【0044】(実施例6)殺虫錠剤の分包例 実施例5と全く同様にして一錠の重量が約0.5gの錠剤を
得た。得られた錠剤70gをハイセロンC−200(日
合フィルム株式会社製のポリビニルアルコールを主成分
とする水溶性フィルム)に分包とした。この分包を10
アール当り15包の割合いで水田中にできるだけ等間隔
になるように投げこんだ。水田中で袋は約3分後から発
泡を伴って溶けはじめ、その溶けた部分から崩壊した錠
剤が水中に分散し始めた。袋が完全に沈降するまでには
約35分を要し、この間に風に流されて投下地点より約
15m移動した。水中への分散は袋が沈降するまで続き
沈降した原体は植え筋に沿って拡散したが、約5時間後
には見えなくなった。同時に処理したジメトエート粒剤
区(6kg/10a を均一に手撒き)と、ツマグロヨコバイに
対する密度抑制効果をすくいとり法により比べたが、効
果に有意差はなく、薬害も見られなかった。
【0045】(実施例7)殺菌剤の分包例 下記有効成分化合物100 部、ネオゲンパウダー4部、砂
糖40部、無水クエン酸30部、炭酸マグネシウム粉末
26部を混合し、ジェットオーマイザーにより粉砕し
た。混合粉末をローラーコンパクターにより乾式造粒し
た後、0.3 −5 mm区分に整粒し、有効成分50%を含有
する発泡性の乾式造粒物を得た。この造粒物800 gをデ
ィゾルボWAPに50gずつ10包に分包した。得られ
た分包を、10a当り10包の割合で穂ばらみ前期の水
田に畦畔から投げ込んだ。約10秒後に袋の破れた部分
から、粒が発泡しながら分散した。稲丈が高いため風の
影響を受けにくく、袋は1m程度しか移動しなかった
が、約15分後に袋が沈むまでの間分散は続き、周囲の
水は懸濁状態となった。3時間後に水は澄み、土表面に
は原体の沈降が見られた。しかし、この沈降物は翌日に
は認められなくなった。40日後にモンガレ病に対する
防除効果を同一化合物の10%粒剤(4kg/10a 均一散布
区)と比較したが、防除効果に有意差は見られなかっ
た。また、薬害は見られなかった。
【0046】有効成分化合物:6−(3−ブロモフェニ
ル)−3(2H)ピリダジノン (実施例8)除草剤の分包例 浅田ファイン1号(粒状軽石,浅田製粉株式会社製)9
7部を加熱撹拌しながら、ステアリルアルコールの5%
塩化メチレン溶液60部を噴霧し乾燥して浮力向上剤を
得た。実施例3で得たピラゾレート50%及びピラゾス
ルフロンエチル0.4 %を含有するDF500 gとこの浮力
向上剤200 gを混合し、フレキシーヌ(厚さ70μm )
に70gづつ10包に小分けした。得られた分包を田植
え後3日目の水田(10アール)に畦畔からできるだけ
均等になるように投げ込んだ。水田中に投げ込まれた分
包は水面に浮遊し、約30秒後にフィルムの破れた部分
からDFが水中に分散した。袋はDFを分散しながら風
に流されて約4m移動し、この間にDFは水中に完全に
分散した。空になった袋から浮力向上剤のみがバラバラ
になって水中を漂った。30日後の除草効果をピラゾレ
ート8.3 %,ピラゾスルフロンエチル0.07%を含有する
粒剤均一散布区(3kg/10a 処理)と比較したが、両区と
も極大の効果が得られかつ薬害は見られなかった。
【0047】(実施例9)除草剤の分包例 実施例3で得たピラゾレート50%及びピラゾスルフロ
ンエチル0.4 %を含有するDF500 gと実施例2の発泡
剤50g及び実施例8の浮力向上剤200 gを混合し、ト
スロンET−20#35(東京セロファン紙株式会社
製)に75gづつ10袋に小分けし、端部はヒートシー
ルした。得られた分包を実施例3と同様に水田に処理し
た。水田に投げこまれた分包は水面に浮遊し、約1分2
0秒後にDF剤が発泡を伴って水中に分散し始めた。袋
は風に流され約12m移動し約20分後に袋の中には浮
力向上剤のみが残ったが、やがてフィルムの溶解ととも
に分散し見えなくなった。この間DFは袋から水中に分
散し続け、沈降巾は約5m以上に及んだ。地表面に浮い
た原体は薄く、翌日には全く見えなくなった。効果、薬
害を実施例3と同様に調査したが、差は見られなかっ
た。
【0048】(実施例10)除草剤の分包例 ハイセロンS400にアルミを50オングストロームの
厚さに蒸着させて、ポリビニルアルコール25μmとア
ルミ50オングストロームよりなるフィルムを得た。得
られたフィルムのアルミ面が外側になるようにした袋
に、実施例3のDF500gと実施例2の発泡剤250
gを混合したものを75gずつ小分けし、端部はヒート
シールした。得られた分包を実施例3と同様に水田中に
投げ込んだ。水田中で分包は水面に浮遊すると、アルミ
部分が細かい粉末状となって水面に拡散した。投入後、
1分40秒後にDF剤が発泡を伴って水中に分散し始
め、原体の一部は水面に拡展した。袋はDF剤を分散し
ながら風に流されて約7m移動した後沈んだ。沈降した
原体は稲の植え筋に沿って、幅約5mの範囲に地表面に
広がったが3日後には見えなくなった。30日後の除草
効果、薬害を実施例3と同様に粒剤と比較したが、極大
の効果を示し、薬害も見られなかった。なお、この袋は
濡れた手で触っても直ちに破れることなく、作業性は良
好であった。
【0049】(実施例11)除草剤の分包例 フレキシーヌ(厚さ30μm)にアルミを50オングス
トロームの厚さに蒸着させて、フレキシーヌ30μmと
アルミ50オングストロームよりなるフィルムを得た。
実施例10と全く同様にして分包を調製し、得られた分
包を実施例3と同様に水田中に投げ込んだ。水田中で分
包は水面に浮遊し、アルミ部分が細かい粉末状となって
水面に拡散した。投入後、約20秒後にDF剤が発泡を
伴って水中に分散し始め、原体の一部は水面に拡展し
た。袋は約3分後には完全に溶解し、この間にDF剤は
投入地点から半径約5mの範囲に分散沈降した。沈降し
た原体は3日後には見えなくなった。30日後の除草効
果、薬害を実施例3と同様に粒剤と比較したが、極大の
効果を示し、薬害も見られなかった。なお、この袋は濡
れた手で触っても直ちに破れることなく、作業性は良好
であった。
【0050】(実施例12)除草剤の分包例 フレキシーヌ(厚さ70μm)にアルミを50オングス
トロームの厚さに蒸着させて、フレキシーヌ70μmと
アルミ50オングストロームよりなるフィルムを得た。
実施例10と全く同様にして分包を調製し、得られた分
包を実施例10と同様に水田中に投げ込んだ。投入され
た分包は、水田中で約40秒後に発泡を伴ってDF剤を
分散し始めた。袋は約5分後には完全に溶解し、この間
にDF剤は投入地点から半径約7mの範囲に分散沈降し
た。沈降した原体は2日後にはほぼ見えなくなった。3
0日後の除草効果、薬害を実施例3と同様に粒剤と比較
したが、極大の効果を示し、薬害も見られなかった。な
お、この袋は濡れた手で触っても直ちに破れることな
く、作業性は良好であった。
【0051】
【効果】以上のように、本発明は、特殊な散布器具を用
いることなく、水田に入らずに農薬を施用することが可
能となる、新規な組成物と処理技術を提供するものであ
る。従来の農薬製剤及びその処理方法に比べて簡単かつ
省力的で、作業者及び環境に対する安全性、経済性の面
で農業の発展に寄与するところが極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 豊邦 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式 会社内 (72)発明者 寺村 正弘 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式 会社内 (56)参考文献 特開 昭53−99327(JP,A) 特開 昭60−61504(JP,A) 特開 昭58−65203(JP,A) 特開 昭60−142901(JP,A) 特開 昭60−45180(JP,A) 特公 昭47−27930(JP,B1) 特公 昭51−46816(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01N 25/14 A01N 25/12 A01N 25/34 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】浮力向上剤を含有する、水中で又は水面
    で、容易に分散又は溶解する顆粒状水和剤を、水で破袋
    分散又は水に溶解するシートに包んだ形態である農薬組
    成物。
  2. 【請求項2】1包の重量が40g乃至120gである、
    請求項1に記載の農薬組成物。
  3. 【請求項3】シートがセルロースまたはその誘導体を含
    むシートである、請求項1又は2に記載の農薬組成物。
  4. 【請求項4】シートがポリアルキレンオキサイド系の水
    溶性フィルムを含むシートである、請求項1又は2に記
    載の農薬組成物。
  5. 【請求項5】顆粒状水和剤の粒径が0.1−5mmであ
    、請求項1乃至4に記載の農薬組成物。
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