JP3811974B2 - リチウム二次電池用正極とその製造方法およびリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウム二次電池用正極特にシート状正極とその製造方法およびリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムは、酸素イオン最密充填層の垂直方向にリチウムイオンとコバルトイオンまたはニッケルイオンとが交互に層状に規則配列した、いわゆるα−NaFeO2 型構造をもつ化合物である。その構造のために層内のリチウムイオンの拡散が比較的容易であり、リチウムイオンを電気化学的にドープ・脱ドープすることが可能である。この性質を利用して、次世代の高性能小型二次電池、将来的には電気自動車用電源、またはロ−ドレベリング用電力貯蔵装置として期待されているリチウム二次電池の正極材料としての応用が検討されている。
【0003】
コバルト酸リチウムは既に一部の携帯用電話やビデオカメラの電源用リチウム二次電池の正極材料として実用化されている。しかし、材料コストの面から、高価なコバルト化合物を原料とするコバルト酸リチウムよりも、資源的に豊富で安価であるニッケル化合物を用いるニッケル酸リチウムの方が有利である。
ところが、ニッケル酸リチウムはその合成法により充放電特性が大きく異なり、一般にコバルト酸リチウムに比べて大きな放電容量を示すニッケル酸リチウムの合成は難しいとされていた。これはニッケル酸リチウムではリチウムサイトにニッケルが入るタイプの置換が起こりやすく、このため適当な合成条件を選ばないとリチウムサイトにニッケルが存在する化合物となってしまい、このニッケルがリチウムイオンの拡散を阻害して充放電特性に悪影響を与えるためだと説明されている。
【0004】
近年、合成条件の最適化により、大きな放電容量を示すニッケル酸リチウムを得ようという検討がなされている。例えば、特開平5−290851号公報には、水酸化リチウムと水酸化ニッケルとを、水酸化ニッケル1モルに対して水酸化リチウム1.15〜1.75モルの所定の比率で混合した後、空気中450〜900℃で加熱処理することによりLix NiOy (1.15≦x≦1.75、y>0)を得る方法が開示されている。同公報によれば、この方法で得られたLix NiOy は大きな放電容量(150mAh/g以上)を示すことが記載されている。
また、ヨーロッパ公開特許第573040号明細書には、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、水酸化ニッケル、およびオキシ水酸化ニッケルのうち少なくともひとつのニッケル化合物1モルと、硝酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウムのうち少なくともひとつの1モルよりも過剰のリチウム化合物とを混合して焼成することによりニッケル酸リチウムを得る方法が開示されており、1<Li/Ni≦1.4の範囲で大きな放電容量が得られると記載されている。
【0005】
リチウム二次電池には液体または固体の電解質が用いられるが、それらはニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池に用いられている水溶液系の電解質に比べて電導度が小さい。そこで内部抵抗を小さくし、取り出せる電流値を大きくするために通常は正および負の電極をシート状にして電極面積を大きくし、それらをセパレータを介して積層あるいは巻回すことにより電池としている。したがって、製造工程に活物質をシート電極化する工程が含まれることになる。
しかしながら、上記のような大きな放電容量を示すニッケル酸リチウムを含む粉末を正極活物質とした場合、正極活物質を導電材、バインダー、溶媒とともに混練してペーストとし、シート状の集電体に塗布して電極とする工程において、シート状正極の密度が低くなる傾向があり、その結果限られた電池缶容積に充填できる活物質量が少なくなって十分な性能のリチウム二次電池が得られないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、大きな放電容量を示すニッケル酸リチウムを正極活物質として用いて、正極特にシート状正極の密度が大きく、限られた電池缶容積に充填できる活物質量を多くできるリチウム二次電池用正極とその製造方法および該正極を用いた優れた充放電特性をもつリチウム二次電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような事情をみて、本発明者らは鋭意検討をおこなった結果、正極の活物質としてニッケル酸リチウムを用いた場合、正極活物質を導電材、バインダー、溶媒とともに混練してペースト化する工程において該ニッケル酸リチウム粉末を水中に分散した際のpHの値を12.00以下とすることにより、ペーストを塗布して得られるシート電極の密度を高くできることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は(1)リチウム化合物とニッケル化合物とを混合して、350〜800℃で焼成して、得られたニッケル酸リチウムであり、かつ水100cm3 とニッケル酸リチウム5gとをガラス容器中で5分間混合した後、30秒間静置して得られた上澄み液を測定したpHが12.00以下であるニッケル酸リチウムを正極の活物質として用いるリチウム二次電池用正極に係るものである。
また、本発明は(2)ニッケル酸リチウムが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属のモル数とニッケル酸リチウム中のNiのモル数との和に対して、前記の少なくとも1種の金属が0.1〜5モル%であるように該金属を含む複合ニッケル酸リチウムである(1)記載のリチウム二次電池用正極に係るものである。
更に、本発明は(3)リチウム化合物とニッケル化合物とを混合して、または更にこれらとTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物とを混合して、350〜800℃で焼成して、ニッケル酸リチウムまたは複合ニッケル酸リチウムを得て、該ニッケル酸リチウムまたは該複合ニッケル酸リチウムを二酸化炭素ガスを含む雰囲気で処理して得られたニッケル酸リチウムまたは複合ニッケル酸リチウムを用いる(1)または(2)記載のリチウム二次電池用正極の製造方法に係るものである。
【0009】
また、本発明は(4)リチウム化合物とニッケル化合物とを混合して、または更にこれらとTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物とを混合して、350〜800℃で焼成して、ニッケル酸リチウムまたは複合ニッケル酸リチウムを得て、二酸化炭素ガスを含む雰囲気下で該ニッケル酸リチウムまたは該複合ニッケル酸リチウムを解砕して得られたニッケル酸リチウムまたは複合ニッケル酸リチウムを用いる(1)または(2)記載のリチウム二次電池用正極の製造方法に係るものである。
更に、本発明は(5)二酸化炭素ガスを含む雰囲気下において、ニッケル酸リチウムまたはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属のモル数とニッケル酸リチウム中のNiのモル数との和に対して、前記の少なくとも1種の金属が0.1〜5モル%であるように該金属を含む複合ニッケル酸リチウム、導電材およびバインダーを溶媒とともに混練してペーストとなし、該ペーストを集電材に塗布し、ペーストが塗布された集電材を乾燥するリチウム二次電池用正極の製造方法に係るものである。
更に、本発明は(6)リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料を活物質として含む正極と、リチウム金属、リチウム合金、またはリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料を活物質として含む負極と、液体または固体の電解質とを有するリチウム二次電池において、該正極として(1)または(2)記載のリチウム二次電池用正極を用いるリチウム二次電池に係るものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウム二次電池用正極は、正極の活物質としてニッケル酸リチウムを用いる。該ニッケル酸リチウムは、リチウム化合物とニッケル化合物とを混合して、350〜800℃で焼成して、得られたニッケル酸リチウムであり、水100cm3 にニッケル酸リチウム5gをガラス容器中で5分間混合した後、30秒間静置して得られた上澄み液を測定したpHが12.00以下であることを特徴とする。該pHの測定方法は、JIS K5101のB法に準じて処理した後、JIS Z8802の7によってpHを測定する。ただし、pH計は、形式Iのものを、電極は常温用のものを用いる。
また、好ましくは正極の活物質としてニッケル酸リチウムが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属のモル数とニッケル酸リチウム中のNiのモル数との和に対して、前記の少なくとも1種の金属が0.1〜5モル%であるように該金属を含む複合ニッケル酸リチウムが挙げられる。該複合ニッケル酸リチウムを用いると、高容量での使用におけるサイクル性が向上するので好ましい。
本発明のリチウム二次電池用正極は、工業的に高密度化しやすく、扱いやすいのでシート状の正極が好ましい。
【0011】
本発明のリチウム二次電池用正極は、前述したニッケル酸リチウムを活物質として含み、具体的には、該ニッケル酸リチウム、導電材としての炭素質材料、バインダーとしての熱可塑性樹脂などを含有するものが挙げられる。
該炭素質材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラックなどが挙げられる。導電材として、それぞれ単独で用いてもよいし、例えば人造黒鉛とカーボンブラックとを混合して用いるといった複合導電材系を選択してもよい。
本発明で使用するバインダーとしては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の中でも、均一な混合が容易であるという点で溶媒に可溶のフッ素樹脂またはフッ素ゴムを用いることが好ましい。フッ素樹脂としてはポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体などが挙げられる。またフッ素ゴムとしては六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などが挙げられる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
活物質に対する導電材およびバインダーの混合比率としては、活物質に対して導電材5〜15重量%、バインダー1〜10重量%の範囲が好ましい。これより少量だと効果が充分ではなく、またこの範囲を超えるとシート正極の重量あたりの容量が小さくなってしまう。
さらに具体的には、本発明のリチウム二次電池用正極の製造方法としては、ニッケル酸リチウム、導電材およびバインダーを溶媒とともに混練してペーストとなし、該ペーストを集電材に塗布し、ペーストが塗布された集電材を乾燥する方法が挙げられる。
ここで使用する溶媒としては、1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)などが挙げられる。
本発明で使用する集電材としては、Al、Ni、ステンレスなどが挙げられるが、Alが好ましい。
【0012】
本発明におけるニッケル酸リチウムの製造方法としては、リチウム化合物とニッケル化合物とを混合して焼成する方法が用いられる。
また、本発明における複合ニッケル酸リチウムの製造方法としては、リチウム化合物とニッケル化合物と、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物とを混合して焼成する方法が用いられる。
使用するリチウム化合物、ニッケル化合物および前記の少なくとも1種の金属の化合物については、それぞれの炭酸塩、硝酸塩、酸化物、水酸化物などを使用することができる。
リチウム化合物とニッケル化合物との混合割合、またはリチウム化合物とニッケル化合物、前記の金属化合物との混合割合は、大きな放電容量が得られる点でリチウム過剰とすることが好ましい。
【0013】
焼成温度は、いずれの場合も、350℃以上800℃以下であり、好ましくは600℃以上750℃以下である。焼成温度が800℃を超えると、ニッケル酸リチウムにリチウムイオンとニッケルイオンとが不規則に配列した岩塩型ドメインが混入する割合が大きくなり、可逆的な充放電が阻害されるので好ましくない。また、焼成温度が350℃未満であるとニッケル酸リチウムの生成反応がほとんど進行しないため好ましくない。
焼成時間は、2時間以上が好ましく、5時間以上がさらに好ましい。
焼成雰囲気としては酸素を含む雰囲気が好ましく、より好ましくは酸素中で、さらに好ましくは酸素気流中で行われる。
【0014】
本発明のリチウム二次電池用正極の製造方法は、前記のようにして得られたニッケル酸リチウムまたは複合ニッケル酸リチウムを二酸化炭素ガスを含む雰囲気で処理して得られたニッケル酸リチウムまたは複合ニッケル酸リチウムを用いることを特徴とする。
この処理に使用される装置は二酸化炭素ガス雰囲気に置換可能な加熱機器であればよく、特に制限はない。例として真空乾燥器、ロータリーエバポレーター等が挙げられる。処理温度および処理時間にも特に制限はないが、通常の真空乾燥器が使用できるという点で室温から200℃までの処理温度が好ましい。
【0015】
また、本発明のリチウム二次電池用正極の製造方法は、前記のようにして得られたニッケル酸リチウムまたは複合ニッケル酸リチウムを二酸化炭素ガスを含む雰囲気下で解砕してして得られたニッケル酸リチウムまたは複合ニッケル酸リチウムを用いることを特徴とする。
この方法は室温で実施することができ、解砕時間は所望の粒度が得られる時間として設定すればよい。これはおそらく水中に分散した際のpHを低下させる反応の界面が解砕により随時更新されるため、該反応に要する時間が短くてよいものと思われるが、未だ詳細は明らかではない。
該解砕に使用される装置は二酸化炭素ガス雰囲気に置換可能な機器であればよく、特に制限はない。例としてボールミル、ジェットミル等が挙げられる。
本発明において、二酸化炭素ガスを含む雰囲気とは、通常の大気または大気よりも高い含有率の二酸化炭素を含む雰囲気であればよいが、二酸化炭素ガスを20体積%以上含む雰囲気が好ましく、二酸化炭素ガスを50体積%以上含む雰囲気が更に好ましい。また、処理の簡便さから、市販の二酸化炭素ボンベを用いることが好ましい。
【0016】
また、本発明のリチウム二次電池用正極の製造方法は、二酸化炭素ガスを含む雰囲気下においてニッケル酸リチウム、導電材およびバインダーを溶媒とともに混練してペーストとなし、該ペーストを集電材に塗布し、ペーストが塗布された集電材を乾燥することを特徴とする。
本発明で使用する導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラックなどの炭素質材料が挙げられる。それぞれ単独で用いてもよいし、例えば人造黒鉛とカーボンブラックとを混合して用いるといった複合導電材系を選択してもよい。
本発明で使用するバインダーとしては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の中でも、均一な混合が容易であるという点で溶媒に可溶のフッ素樹脂またはフッ素ゴムを用いることが好ましい。フッ素樹脂としてはポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体などが挙げられる。またフッ素ゴムとしては六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などが挙げられる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明で使用する溶媒としては、1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)などが挙げられる。
本発明で使用する集電材としては、Al、Ni、ステンレスなどが挙げられるが、Alが好ましい。
活物質に対する導電材およびバインダーの混合比率としては、活物質に対して導電材5〜15重量%、バインダー1〜10重量%の範囲が好ましい。これより少量だと効果が充分ではなく、またこの範囲を超えると正極の重量あたりの容量が小さくなってしまう。
このペースト化工程に使用される装置は、二酸化炭素ガス雰囲気に置換可能な機器であればよく、特に制限はない。例としてボールミル、ビーズミル等が挙げられる。
本発明によって正極活物質を導電材、バインダー、溶媒とともに混練してペーストとする工程においてペーストを塗布して得られるシート電極の密度を高くできる理由については、二酸化炭素ガスがペーストの粘度上昇を抑制することが関係していると思われるが、未だ明らかではない。
【0017】
次に、本発明のリチウム二次電池は、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料を活物質として含む正極と、リチウム金属、リチウム合金、またはリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料を活物質として含む負極と、液体または固体の電解質とを有するリチウム二次電池において、該正極として前記のリチウム二次電池用正極を用いることを特徴とする。
【0018】
本発明のリチウム二次電池の負極としては、リチウム金属、リチウム合金、またはリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が用いられる。リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料が挙げられる。炭素質材料として、電位平坦性が高く、また平均放電電位が低いため正極と組み合わせた場合大きなエネルギー密度が得られるという点で、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を主成分とする炭素質材料が好ましい。
本発明のリチウム二次電池の負極としては、リチウム金属、リチウム合金、またはリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が用いられる。リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料が挙げられる。炭素質材料として、電位平坦性が高く、また平均放電電位が低いため正極と組み合わせた場合大きなエネルギー密度が得られるという点で、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を主成分とする炭素質材料が好ましい。
黒鉛材料を用いる場合、初期充放電時における不可逆容量を小さくしてリチウムの利用効率を向上することができるという理由から、黒鉛材料をシランカップリング剤で処理することおよび/または黒鉛材料と擬黒鉛質カーボンブラックとを混合して用いることが好ましい。
該シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。処理に用いるシランカップリング剤の量は黒鉛材料100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量部であり、特に好ましくは0.5〜5重量部である。
該擬黒鉛質カーボンブラックとしては、X線回折における格子間隔d002 が3.38〜3.46Åであり、真比重が1.9〜2.1、揮発分が0.5重量%以下、数平均粒子径が10〜100nm程度のものが好ましく、また窒素吸着法による比表面積は10〜300m2 /g程度が好ましい。例として、クレオソート油、エチレンボトム油、天然ガス等を原料にしたファーネスブラックやアセチレンを原料としたアセチレンブラック等のカーボンブラックを2500〜2800℃程度の高温で熱処理したものが挙げられる。
黒鉛材料と擬黒鉛質カーボンブラックとの混合割合は、黒鉛材料70〜99重量%に対して擬黒鉛質カーボンブラック30〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは黒鉛材料80〜97重量%に対して擬黒鉛質カーボンブラックが20〜3重量%であり、特に好ましくは黒鉛材料90〜96重量%に対して擬黒鉛質カーボンブラックが10〜4重量%である。
また、電解液として、エチレンカーボネートを含有しないときには、ポリエチレンカーボネートを含有した負極を用いると、サイクル特性と大電流充放電特性が向上するので好ましい。
炭素質材料の形状は薄片状、球状、繊維状、または微粉末の凝集体などのいずれでもよく、必要に応じてバインダーとしての熱可塑性樹脂を添加することができる。熱可塑性樹脂としては、PVDF、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0019】
本発明のリチウム二次電池の電解質としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解質溶液、または固体電解質のいずれかから選ばれる公知のものが用いられる。リチウム塩としては、LiClO4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiBF4 、LiCF3 SO3 、LiC(CF3 SO2 )3 、LiN(CF3 SO2 )2 、Li2 B10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4 などのうち一種または二種以上の混合物が挙げられる。
【0020】
有機溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物が挙げられるが、通常はこれらのうちの二種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネート、または環状カーボネートとエーテル類の混合溶媒がさらに好ましい。 環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。
【0021】
固体電解質としてはポリエチレンオキサイド系、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの高分子電解質、またはLi2 S−SiS2 、Li2 S−GeS2 、Li2 S−P2 S5 、Li2 S−B2 S3 などの硫化物系電解質、またはLi2 S−SiS2 −Li3 PO4 、Li2 S−SiS2 −Li2 SO4 などの硫化物を含む無機化合物系電解質が挙げられる。また、高分子に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。
なお、本発明のリチウム二次電池の形状は特に限定されず、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などのいずれであってもよい。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、特に断らない限り、充放電試験用の電極と平板型電池の作製は下記の方法によった。
活物質であるニッケル酸リチウム粉末88wt(重量)%、導電材としてアセチレンブラック(商品名デンカブラック50%プレス品、電気化学工業株式会社製)6wt%、バインダーとしてフッ素樹脂(商品名テフロン30−J、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)6wt%を水を用いて混練してペーストとし、集電体となる#200ステンレスメッシュに該ペーストを塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、電極を得た。
【0023】
正極として得られた電極を、電解液としてプロピレンカーボネート(以下、PCということがある。)と1,2−ジメトキシエタン(以下、DMEということがある。)の1:1混合液に過塩素酸リチウムを1モル/リットルとなるように溶解したものを、セパレーターとしてポリプロピレン多孔質膜を、また対極(負極)として金属リチウムを組み合わせて平板型電池を作製した。
また、pHの測定方法は、JIS K5101のB法に準じて、水100cm3 にニッケル酸リチウム5gをガラス容器中で5分間混合した後、30秒間静置して得られた上澄み液のpHを、JIS Z8802の7によって測定した。pHの測定装置として、東亜電波工業株式会社製ガラス電極式水素イオン濃度計HM−40Vを使用し、27℃で測定した。
【0024】
比較例1
硝酸リチウム(和光純薬工業株式会社、試薬特級グレード)144.8gを水100gに溶解させ、さらに塩基性炭酸ニッケル〔NiCO3 ・2Ni( OH)2・4H2 O、ただしNi含有量43.9重量%:和光純薬工業株式会社、試薬グレード、平均粒径20μm〕267.4gを加えてよく分散させた後、ロータリーエバポレーターを用いて水を蒸発させ、ムライト炉心管を使用した管状炉に入れ、酸素流量750cm3 /minの酸素気流中において720℃で6時間焼成した。得られたニッケル酸リチウム粉末は、粉末X線回折によりα−NaFeO2 型構造を有することが確認された。
また、水中に分散した際のpHは12.03であった。
得られた粉末を用いて平板型電池を作製し、充電最大電圧4.2V、放電最小電圧2.5V、0.17mA/cm2 の定電流で充放電試験を実施した。3サイクル目の放電容量は169mAh/gであり、良好なサイクル特性を示した。
【0025】
次に円筒型電池とするため、活物質であるニッケル酸リチウム粉末と導電材としての人造黒鉛粉末(商品名KS−15、Lonza社製)の混合物に、バインダーとしてPVDFの1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)溶液を、活物質:導電材:バインダー=87:10:3(重量比)の組成となるように加えて、ポリエチレン製ポットに入れ、15mmφナイロン被覆スチールボールを用いてボールミルにより大気雰囲気で混練した。このとき、PVDFのNMP溶液の濃度は重量比でPVDF:NMP=3:45とした。続いてドクターブレードによりAl箔に塗布し、真空乾燥させた後ロールプレスを行ってシート状正極とした。得られたシート状正極の密度は3.21g/cm3 であった。
【0026】
実施例1
比較例1で得られたニッケル酸リチウム粉末を、ロータリーエバポレーターの中に入れ、そこへ二酸化炭素ガスボンベから高純度二酸化炭素ガスを5cm3 /minで流しながら、室温で3時間処理した。処理後の粉末を水中に分散した際のpHは11.96であった。
得られた粉末を用いて平板型電池を作製し、比較例と同様の条件で充放電試験を実施した。3サイクル目の放電容量は174mAh/gであり、良好なサイクル特性を示した。
次に円筒型電池とするため、比較例1と同様にしてシート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.35g/cm3 であった。
【0027】
実施例2
比較例1で得られたニッケル酸リチウム粉末を真空乾燥器に入れ、真空脱気した後、二酸化炭素ガスボンベから高純度二酸化炭素ガスを供給して、高純度二酸化炭素ガスに置換し、180℃で3時間保持した。処理後の粉末を水中に分散した際のpHは11.85であった。
得られた粉末を用いて平板型電池を作製し、比較例1と同様の条件で充放電試験を実施した。3サイクル目の放電容量は171mAh/gであり、良好なサイクル特性を示した。
次に円筒型電池とするため、比較例1と同様にしてシート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.39g/cm3 であった。
【0028】
実施例3
比較例1で得られたニッケル酸リチウム粉末を真空乾燥器に入れ、真空脱気した後、二酸化炭素ガスボンベから高純度二酸化炭素ガスを供給して、高純度二酸化炭素ガスに置換し、200℃で3時間保持した。処理後の粉末を水中に分散した際のpHは11.66であった。
得られた粉末を用いて平板型電池を作製し、比較例1と同様の条件で充放電試験を実施した。3サイクル目の放電容量は172mAh/gであり、良好なサイクル特性を示した。
次に円筒型電池とするため、比較例1と同様にしてシート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.41g/cm3 であった。
【0029】
実施例4
比較例1と同様にして焼成を行った後、得られた焼成物をアルミナ製ボールミルに入れ、二酸化炭素ガスボンベから高純度二酸化炭素ガスを供給して、アルミナ製ボールミルを高純度二酸化炭素ガスで置換した。該高純度二酸化炭素雰囲気でアルミナボールミルで解砕し、ニッケル酸リチウム粉末を得た。得られた粉末はX線回折測定でα−NaFeO2 型構造をもつことが確認された。また水中に分散した際のpHは11.89であった。
得られた粉末を用いて平板型電池を作製し、比較例1と同様の条件で充放電試験を実施した。3サイクル目の放電容量は170mAh/gであり、良好なサイクル特性を示した。
次に円筒型電池とするため、比較例1と同様にしてシート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.39g/cm3 であった。
【0030】
実施例5
比較例1で得られたニッケル酸リチウム粉末を用いて、シート状正極の混練雰囲気を高純度二酸化炭素雰囲気とした以外は比較例1と同様にして、シート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.40g/cm3 であった。
【0031】
実施例6
比較例1と同様にして焼成を行った後、得られた焼成物をアルミナ製ボールミルに入れ、二酸化炭素ガスボンベから高純度二酸化炭素ガスを供給して、アルミナ製ボールミルを高純度二酸化炭素ガスで二酸化炭素ガス濃度が約50%となるように置換した。該高純度二酸化炭素を約50%含む雰囲気でアルミナボールミルで解砕し、ニッケル酸リチウム粉末を得た。得られた粉末はX線回折測定でα−NaFeO2 型構造をもつことが確認された。また水中に分散した際のpHは11.90であった。
得られた粉末を用いて平板型電池を作製し、比較例1と同様の条件で充放電試験を実施した。3サイクル目の放電容量は171mAh/gであり、良好なサイクル特性を示した。
次に円筒型電池とするため、比較例1と同様にしてシート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.39g/cm3 であった。
【0032】
比較例2
まず硝酸ガリウム(Ga( NO3 )3 ・6.2H2 O:高純度化学研究所株式会社製、試薬3Nグレード)11.02gを水150gに溶解させ、続いて水酸化リチウム一水塩(LiOH・H2 O:和光純薬工業株式会社製、試薬特級グレード)4.53gを加えて溶解させた。溶液はいったん白濁した後、ほぼ透明となった。さらに硝酸リチウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級グレード)101.2gを溶解させ、続いて塩基性炭酸ニッケル〔NiCO3 ・2Ni( OH)2・4H2 O、ただしNi含有量43.9重量%:和光純薬工業株式会社製、試薬グレード、平均粒径20μm 〕196.6gを加えてよく分散させた後、ロータリーエバポレーターを用いて水を蒸発させ、ムライト炉心管を使用した管状炉に入れ、酸素流量750cm3 /minの酸素気流中において660℃で15時間焼成した。このときガリウムのガリウムとニッケルとの和に対するモル比は0.02となるようにした。
【0033】
得られた粉末を用いて平板型電池を作製し、以下の条件で定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を実施した。ただし、電解液はエチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)との30:35:35混合液にLiPF6 を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6 /EC+DMC+EMCということがある。)を用いた。
充放電の条件は、充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.3mA/cm2 、放電最小電圧3.0V、放電電流0.3mA/cm2 であった。
この試料ではガリウムの添加により高容量での使用におけるサイクル性が向上しており、11サイクル目の放電容量は183mAh/g、11回目から20回目までの容量維持率(=20回目の放電容量/11回目の放電容量)は1.005であった。
またこの粉末を水中に分散した際のpHは12.04であった。
次に円筒型電池とするため、比較例1と同様にしてシート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.24g/cm3 であった。
【0034】
実施例7
比較例2で得られたガリウムを添加したニッケル酸リチウム粉末を用いて、シート状正極の混練雰囲気を高純度二酸化炭素雰囲気とした以外は比較例1と同様にして、シート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.38g/cm3 であった。このように、本発明はニッケル酸リチウムが性能改善のための添加物(本実施例ではガリウム)を含む場合についても適用可能である。
【0035】
比較例3
まず硝酸リチウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級グレード)12.07gを水16.7gに溶解させた。続いてメタスズ酸(H2 SnO3 :日本化学産業株式会社製、純度95%)0.56gと塩基性炭酸ニッケル〔NiCO3 ・2Ni(OH)2 ・4H2 O、ただしNi含有量43.9重量%:和光純薬工業株式会社製、試薬グレード、平均粒径20μm 〕21.84gを加えてよく分散させた後、ロータリーエバポレーターを用いて水を蒸発させ、アルミナ炉心管を使用した管状炉に入れ、酸素流量50cm3 /minの酸素気流中において660℃で15時間焼成した。このときスズのスズとニッケルとの和に対するモル比は0.02となるようにした。
【0036】
得られた粉末を用いて平板型電池(電解液はLiPF6 /EC+DMC+EMC)を作製し、比較例2と同様の条件で定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を実施した。この試料ではスズの添加により高容量での使用におけるサイクル性が向上しており、11サイクル目の放電容量は191mAh/g、11回目から20回目までの容量維持率(=20回目の放電容量/11回目の放電容量)は0.984であった。
またこの粉末を水中に分散した際のpHは12.05であった。
次に円筒型電池とするため、比較例1と同様にしてシート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.23g/cm3 であった。
【0037】
実施例8
比較例3で得られたスズを添加したニッケル酸リチウム粉末を真空乾燥器に入れ、真空脱気した後、二酸化炭素ガスボンベから高純度二酸化炭素ガスを供給して、二酸化炭素ガスに置換し、180℃で3時間保持した。処理後の粉末を水中に分散した際のpHは11.76であった。 次に円筒型電池とするため、比較例1と同様にしてシート状正極を作製した。得られたシート状正極の密度は3.40g/cm3 であった。このように、本発明はニッケル酸リチウムが性能改善のための添加物(本実施例ではスズ)を含む場合についても適用可能である。
なお、実施例1、2、3、4、6、8におけるpHと正極密度を示す点および比較例1、2、3におけるpHと正極密度を示す点を図1に示す。
【0038】
【発明の効果】
本発明のリチウム二次電池用シート状正極は、シート状正極の密度が大きく、限られた電池缶容積に充填できる活物質量を多くできる。該シート状正極を用いたリチウム二次電池は、優れた充放電特性を有するので工業的価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例におけるpHと正極密度と関係を示す図。
【符号の説明】
1、2、3、4、6、8・・・それぞれ実施例1、2、3、4、6、8におけるpHと正極密度を示す点。
C1、C2、C3・・・それぞれ比較例1、2、3におけるpHと正極密度を示す点。
Claims (3)
- リチウム化合物とニッケル化合物とを混合して、350〜800℃で焼成して、次いで二酸化炭素ガスを50体積%以上含む雰囲気で保持または解砕して得られたニッケル酸リチウムであり、かつ水100cm3とニッケル酸リチウム5gとをガラス容器中で5分間混合した後、30秒間静置して得られた上澄み液を測定したpHが12.00以下であるニッケル酸リチウムを正極の活物質として用いることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
- リチウム化合物とニッケル化合物とを混合して、更にこれらとTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物とを混合して、350〜800℃で焼成して、次いで二酸化炭素ガスを50体積%以上含む雰囲気で保持または解砕して得られた複合ニッケル酸リチウムであり、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属のモル数とニッケル酸リチウム中のNiのモル数との和に対して、前記の少なくとも1種の金属が0.1〜5モル%であるように該金属を含む複合ニッケル酸リチウムであり、かつ水100cm3と該複合ニッケル酸リチウム5gとをガラス容器中で5分間混合した後、30秒間静置して得られた上澄み液を測定したpHが12.00以下である複合ニッケル酸リチウムを正極の活物質として用いることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
- リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料を活物質として含む正極と、リチウム金属、リチウム合金、またはリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料を活物質として含む負極と、液体または固体の電解質とを有するリチウム二次電池において、該正極として請求項1または2記載のリチウム二次電池用正極を用いることを特徴とするリチウム二次電池。
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