JP4697504B2 - リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4697504B2
JP4697504B2 JP2001002618A JP2001002618A JP4697504B2 JP 4697504 B2 JP4697504 B2 JP 4697504B2 JP 2001002618 A JP2001002618 A JP 2001002618A JP 2001002618 A JP2001002618 A JP 2001002618A JP 4697504 B2 JP4697504 B2 JP 4697504B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium
composite oxide
nickel composite
lithium nickel
positive electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001002618A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002211931A (ja
Inventor
要二 竹内
厳 佐々木
良雄 右京
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2001002618A priority Critical patent/JP4697504B2/ja
Publication of JP2002211931A publication Critical patent/JP2002211931A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4697504B2 publication Critical patent/JP4697504B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムの吸蔵・脱離現象を利用したリチウム二次電池を構成することのできる正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムの吸蔵・脱離現象を利用したリチウム二次電池は、高エネルギー密度であることから、携帯電話、パソコン等の小型化に伴い、通信機器、情報関連機器の分野で広く普及するに至っている。一方で、環境問題、資源問題から、自動車の分野でも電気自動車の開発が急がれており、この電気自動車用の電源としても、リチウム二次電池が検討されている。
【0003】
このように広い分野での要望があるリチウム二次電池であるが、その価格が高いことから、他の二次電池にも増して長寿命であることが要求される。長寿命であるための要件の一つとして、充電率を高く保持した状態でリチウム二次電池を保存した場合にも、容量が減少しない、電池の内部抵抗が上昇しないといった、いわゆる保存特性が良好であることが要求される。特に、高温下では電池反応が活性化し容量の減少等も大きいことから、例えば屋外放置される可能性のある電気自動車用電源等の用途にリチウム二次電池を使用することを想定した場合には、高温下での保存特性が良好であることが重要な特性の一つとなる。
【0004】
現在では、Ni、Coを主構成元素とするリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いて構成するリチウム二次電池の開発が進められているが、このようなリチウム二次電池は、充電率を高く保持した状態で保存した場合に電池の容量の減少や内部抵抗の上昇が大きく、保存特性、特に高温下での保存特性に問題があった。
【0005】
保存特性の向上させる試みとして、例えば、特開平9−17446号公報や特開平9−92329号公報には電解液の溶媒を特定の組成にすることが示されている。また、特開平9−199126号公報では負極活物質を改良することが示されている。しかし、上記試みでは、Ni、Coを主構成元素とするリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いて構成するリチウム二次電池の保存特性は充分なものとはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者が検討を重ねた結果、上記リチウム二次電池の保存による容量の減少、内部抵抗の上昇は、充電により正極電位が上昇し、その状態が長期間保持されることで、正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物と電解液とが反応し、電解液が分解することが原因の一つであることがわかった。また、正極では、充電によってリチウムがリチウム遷移金属複合酸化物から脱離するため、その状態が長期間保持されることにより、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造が崩壊することも原因の一つと考えられる。
【0007】
本発明は、上記知見に基づいたものであり、正極活物質の結晶構造を安定化するとともに、正極活物質と電解液との反応を抑制することで、充電状態で長期間保存しても容量の減少および内部抵抗の上昇が少ないリチウム二次電池を構成することのできる正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物は、組成式LiNi1−x−yCoAl(0.1≦x≦0.2;0.05≦y≦0.1)で表され、平均粒径が1μm以上4μm以下の1次粒子が凝集して2次粒子を形成した粒子構造をもち、前記2次粒子の平均粒径は5μm以上30μm以下であって、ニッケル源及びコバルト源となりニッケルにコバルトが固溶したニッケル・コバルト水酸化物と、リチウム源、アルミニウム源となる各化合物とを混合し焼成してなることを特徴とする。
また、本発明のリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物の製造方法は、水酸化ニッケル及び水酸化コバルトを水に溶解した水溶液に強アルカリ水溶液を滴下して、ニッケル源及びコバルト源となるニッケル・コバルト水酸化物を共沈させて合成する共沈工程と、
前記ニッケル・コバルト水酸化物と、リチウム源となるリチウム化合物と、アルミニウム源となるアルミニウム化合物とを混合して混合物を得る原料混合工程と、
前記混合物を酸素雰囲気中で焼成して、組成式LiNi 1−x−y Co Al (0.1≦x≦0.2;0.05≦y≦0.1)で表され、1次粒子が凝集して平均粒径が5μm以上30μm以下の2次粒子を形成した粒子構造をもつリチウムニッケル複合酸化物を得る焼成工程と、を含み、
前記共沈工程では、前記リチウムニッケル複合酸化物の一次粒子の平均粒径が1μm以上4μm以下となるように、前記ニッケル・コバルト水酸化物の平均粒径を1μm以上4μm以下の範囲とすることを特徴とする。
【0009】
つまり、本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、理論容量が大きくかつ比較的安価であるという観点からNiを主構成要素とし、役割の異なる2種の元素(Co、Al)でNiサイトの一部を置換したものとなっている。
【0010】
Coは、主に、リチウムニッケル複合酸化物の結晶構造を安定化する役割を果たす。リチウムニッケル複合酸化物の結晶構造の安定化による保存特性の改善効果を充分に発揮させるために、Coの置換割合、つまり組成式におけるxの値は0.1≦x≦0.2とする。さらに、Coは、元素置換による容量の減少を抑えるとともに、Li(Co,Ni)O2は全固溶型であり、結晶性の低下を最小限にとどめるという利点を有する。
【0011】
Alは、主に、酸素放出に伴う活物質の分解反応を抑え、熱安定性を向上させるという役割を果たす。リチウムニッケル複合酸化物の熱安定性の向上による保存特性の改善効果を充分に発揮させるために、Alの置換割合、つまり組成式におけるyの値は、0.05≦y≦0.1とする。さらに、Alは、熱安定性を向上させつつ、容量低下を最小限に抑えるという利点を有する。
【0012】
したがって、適正量のCo、Alで置換することにより、本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、電池を充電状態で長期間保存した場合であっても、結晶構造が崩壊することのない、安定したリチウムニッケル複合酸化物となる。
【0013】
また、一般に、リチウムニッケル複合酸化物は、略単結晶に近い粒子である1次粒子が凝集して2次粒子を形成する粒子構造を有している。そして、リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いる場合には、粉末状のリチウムニッケル複合酸化物に導電材および結着剤を混合し、ペースト状の正極合材としたものを、集電体表面に塗布等することによって正極を形成する。したがって、活物質である粉末状のリチウムニッケル複合酸化物は、粉末粒子を構成する1次粒子の粒子径が小さいほど比表面積が大きくなる。つまり、1次粒子の粒子径が小さいほど、リチウムニッケル複合酸化物における電解液との反応に関与する表面積が大きくなるため、電解液の分解反応が進行しやすいと考えられる。
【0014】
本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、二次粒子を構成する1次粒子が平均粒径で1μm以上4μm以下という大きな粒子径を有しているため、電解液との反応に関与する表面積が小さくなり、その結果、電解液の分解反応を抑制できると考えられる。つまり、本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、Niサイトを適正量のCoおよびAlにより置換し、かつ粒子構造における1次粒子の粒子径を大きくすることにより、安定な結晶構造を有し、かつ電解液との反応も少ないリチウムニッケル複合酸化物となる。
【0015】
したがって、本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いた場合には、電池を充電状態で長期間保存した場合であっても、電池容量を維持することができ、かつ電池の内部抵抗の上昇も抑制されるため、安価であり、かつ保存特性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物について、組成および粒子構造と製造方法とを説明し、その後に、本発明のリチウムニッケル複合酸化物の利用形態であるリチウム二次電池について説明する。
【0017】
〈リチウムニッケル複合酸化物の組成および粒子構造〉
本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、組成式LiNi1-x-yCoxAly2(0.1≦x≦0.2;0.05≦y≦0.1)で表され、その結晶構造は層状岩塩構造となっている。なお、本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、上記組成式で表される化学量論組成のものだけでなく、一部の元素が欠損または過剰となる非化学量論組成のものをも含むものである。
【0018】
Coの置換割合、つまり組成式におけるxの値は0.1≦x≦0.2とする。x<0.1の場合は、Coの置換量が少ないために、結晶構造の安定化が充分ではなく、反対に、x>0.2の場合は、Coの置換量が多いために、NiとCoの固溶状態が何らかの変化を生じ、リチウムニッケル複合酸化物の結晶性が低下するからである。特に、高温下での保存特性を考慮する場合には、xの値は0.12≦x≦0.17とすることが望ましい。
【0019】
また、Alの置換割合、つまり組成式におけるyの値は、0.05≦y≦0.1とする。y<0.05の場合は、Alの置換量が少ないために、結晶構造における熱安定性が充分ではなく、反対に、y>0.1の場合は、Alの置換量が多いために、放電容量が低下するからである。特に、高温下での保存特性を考慮する場合には、yの値は0.06≦y≦0.08とすることが望ましい。
【0020】
本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、平均粒径が1μm以上4μm以下の1次粒子が凝集して2次粒子を形成した粒子構造を有する。1次粒子が平均粒径で1μm未満であると、電解液との反応に関与する表面積が増加するため、電解液の分解反応が促進され、電池の内部抵抗が上昇し、容量減少の原因となるからである。反対に、4μmを越えると、それに伴い2次粒子も大きくなるため、均一に活物質が塗工された正極の作製が困難となり、また正極合材の塗膜表面が平滑になりにくくなるため電極間のショートの原因ともなり得るからである。なお、活物質が均一に塗工された正極を作製するという観点等から、2次粒子の平均粒径は、5μm以上30μm以下であることが望ましい。
【0021】
なお、1次粒子および2次粒子の平均粒径の簡単な測定法として、例えば、リチウムニッケル複合酸化物の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を利用する方法がある。すなわち、リチウムニッケル複合酸化物のSEM写真を撮影し、その写真におけるリチウムニッケル複合酸化物の1次粒子等の最長径とみなされる径と最短径とみなされる径を測定する。そして、それら2つの値の平均値をその1次粒子等の粒子径とみなして、それらの平均を1次粒子等の平均粒径として採用すればよい。
【0022】
〈リチウムニッケル複合酸化物の製造方法〉
本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、以下の方法によれば、より簡便に製造することができる。すなわち、ニッケル源及びコバルト源となりニッケルにコバルトが固溶したニッケル・コバルト水酸化物を共沈させて合成する共沈工程と、ニッケル・コバルト水酸化物と、リチウム源となるリチウム化合物と、アルミニウム源となるアルミニウム化合物とを混合して混合物を得る原料混合工程と、前記混合物を酸素雰囲気中で焼成する焼成工程とを含んで構成される方法である。各工程における条件を適宜調整することにより、所望の1次粒子の平均粒径を有するリチウムニッケル複合酸化物を製造することができる。以下、各工程について説明する。
【0023】
(1)共沈工程、原料混合工程
本共沈工程は、ニッケル源及びコバルト源となりニッケルにコバルトが固溶したニッケル・コバルト水酸化物を共沈させて合成する。
本原料混合工程は、リチウム源となるリチウム化合物と、ニッケル化合物と、コバルト源となるコバルト化合物と、アルミニウム源となるアルミニウム化合物とを混合して混合物を得る工程である。
【0024】
リチウム源となるリチウム化合物としては、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム等を用いることができる。特に、比較的低融点であることから水酸化リチウム、硝酸リチウムを用いることが望ましい。
【0025】
コバルト源となる化合物としては、水酸化コバルト、炭酸コバルト、硝酸コバルト等を用いることができる。ニッケル源となるニッケル化合物としては、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル等を用いることができる。アルミニウム源となるアルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を用いることができる。特に、反応性が高いという理由から、水酸化コバルト、水酸化ニッケルを、また、焼成時にガスが発生しないという理由から、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウムを用いることが望ましい。
【0026】
バルトはニッケルと全固溶体を形成するため、ニッケルにコバルトが固溶したニッケル・コバルト複合化合物を用いる。特に、上記水酸化コバルト、水酸化ニッケルを用いる場合には、ニッケル・コバルト複合化合物を簡単に合成する方法として、例えば、水酸化ニッケルおよび水酸化コバルトを水に溶解した水溶液を強アルカリ水溶液に滴下して、ニッケル・コバルト水酸化物(以下、水酸化物という。)を共沈させて合成する方法を用いることができる。この方法によれば、リチウムニッケル複合酸化物の核となる粒子の粒子径をコントロールすることができるため、所望の1次粒子の粒子径に応じたリチウムニッケル複合酸化物を容易に得ることができる。特に、1次粒子の平均粒径が1μm以上4μm以下のリチウムニッケル複合酸化物を製造するためには、水酸化物の1次粒子の平均粒径を1μm〜4μmの範囲となるように合成すればよい。また、水酸化ニッケル等を水に溶解した水溶液は、反応性および収率を共に満足させるという観点から、その濃度は0.5〜2Mとなるように調整することが望ましい。
【0027】
強アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水等を用いることができる。中でも、経済性を考慮すれば、水酸化ナトリウム水溶液を用いることが望ましい。水酸化ナトリウム水溶液を用いる場合には、1〜5M程度の濃度のものを使用することが望ましい。
【0028】
上記反応を均一に行うために、水酸化ニッケル等を水に溶解させた水溶液を強アルカリ水溶液に滴下する際には攪拌して行うことが望ましい。攪拌速度、強アルカリ水溶液のpH値、反応温度等の条件は、合成される水酸化物粒子の粒子径等に影響することから、所望の粒子を得るために適宜設定すればよい。例えば、強アルカリ水溶液のpH値は、反応中略一定となるように調整することが望ましく、その値は、11〜12とすることが望ましい。また、反応温度は、適度な反応速度を得るため、20〜40℃とすることが望ましい。なお、上記水酸化物は沈殿物として得られるため、これを濾別、洗浄等して、他の化合物との混合に用いればよい。
【0029】
上記各原料の混合は、通常の粉体の混合に用いられている方法で行えばよい。具体的には、例えば、ボールミル、ミキサー、乳鉢等を用いて混合することができる。原料の混合割合は、製造しようとするリチウムニッケル複合酸化物の組成に応じた割合とすればよい。
【0030】
(2)焼成工程
本焼成工程は、原料混合工程で得られた混合物を酸素雰囲気中で焼成してリチウムニッケル複合酸化物を得る工程である。焼成温度は、750℃以上950℃以下とすることが望ましい。焼成温度が750℃未満であると、反応が充分に進行せず、結晶性が低くなるからである。反対に、950℃を超えると、リチウムがガス化し、反応への寄与率が低くなるからである。なお、焼成時間は焼成が完了するのに充分な時間であればよく、通常、12時間程度行えばよい。
【0031】
〈リチウム二次電池〉
本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として使用して、リチウム二次電池を構成することができる。以下、そのリチウム二次電池の主要構成について説明する。一般にリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極および負極と、この正極と負極との間に挟装されるセパレータと、正極と負極の間をリチウムイオンを移動させる非水電解液とから構成される。本実施形態の二次電池もこの構成に従うため、以下の説明は、これらの構成要素のそれぞれについて行うこととする。
【0032】
正極は、上述したように、リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極活物質に導電材および結着剤を混合し、必要に応じ適当な溶媒を加えて、ペースト状の正極合材としたものを、アルミニウム等の金属箔製の集電体表面に塗布、乾燥し、その後プレスによって活物質密度を高めることによって形成することができる。
【0033】
本実施形態においては、上記本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とする。なお、リチウムニッケル複合酸化物うち1種類のものを正極活物質として用いることも、また、2種類以上のものを混合して用いることもできる。
【0034】
正極に用いる導電材は、正極活物質層の電気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質の1種または2種以上を混合したものを用いることができる。結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすもので、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0035】
負極は、負極活物質である金属リチウムを、一般の電池のそれと同様に、シート状にして、あるいはシート状にしたものをニッケル、ステンレス等の集電体網に圧着して形成することができる。負極活物質には金属リチウムに代え、リチウム合金、またはリチウム化合物をも用いることができる。
【0036】
また負極のもう一つの形態として、負極活物質にリチウムイオンを吸蔵・脱離できる炭素物質を用いて負極を構成させることもできる。使用できる炭素物質としては、天然黒鉛、球状あるいは繊維状の人造黒鉛、コークス等の易黒鉛化性炭素、フェノール樹脂焼成体等の難黒鉛化性炭素等を挙げることができ、これらの1種を単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。この場合は、負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶媒を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布乾燥して形成することができる。
【0037】
炭素物質を負極活物質とした場合、正極同様、負極結着剤としてはポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0038】
正極と負極の間に挟装されるセパレータは、正極と負極とを隔離しつつ電解液を保持してイオンを通過させるものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
【0039】
非水電解液は、有機溶媒に電解質を溶解させたもので、有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン等の1種またはこれらの2種以上の混合液を用いることができる。また、溶解させる電解質としては、溶解させることによりリチウムイオンを生じるLiI、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6等を用いることができる。
【0040】
なお、上記セパレータおよび非水電解液という構成に代えて、ポリエチレンオキシド等の高分子量ポリマーとLiClO4やLiN(CF3SO22等のリチウム塩を使用した高分子固体電解質を用いることもでき、また、上記非水電解液をポリアクリロニトリル等の固体高分子マトリクスにトラップさせたゲル電解質を用いることもできる。
【0041】
以上のものから構成されるリチウム二次電池であるが、その形状はコイン型、積層型、円筒型等の種々のものとすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とし、正極および負極から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間をそれぞれ導通させるようにして、この電極体を非水電解液とともに電池ケースに密閉して電池を完成させることができる。
【0042】
〈他の実施形態の許容〉
これまでに説明した本発明のリチウムニッケル複合酸化物、リチウム二次電池の実施形態は例示にすぎず、本発明のリチウムニッケル複合酸化物、また本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池は、上記実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0043】
【実施例】
上記実施形態に基づいて、1次粒子の平均粒径、組成におけるCo、Alの置換割合が異なるリチウムニッケル複合酸化物を種々製造した。そして、それらのリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池を作製し、高温保存試験を行うことにより電池の保存特性を評価した。以下、説明する。
【0044】
〈Co、Alの置換割合と電池の容量および内部抵抗増加率との関係〉
(a)製造したリチウムニッケル複合酸化物
正極活物質として用いるリチウムニッケル複合酸化物において、Co、Alの置換割合と電池の容量および内部抵抗増加率との関係を調べるために、Co、Alの置換割合の異なる種々のリチウムニッケル複合酸化物を製造した。具体的には、Alの置換割合を5モル%とし(以下、Al、Coの置換割合において%はモル%を意味する)、Coの置換割合を15、20、30、および40%としたもの、Alの置換割合を10%とし、Coの置換割合を15、20、および30%としたものの計7種のリチウムニッケル複合酸化物を製造した。なお、リチウムニッケル複合酸化物の1次粒子の平均粒径は1μmとした。
【0045】
リチウム源としてLiOH・H2Oを、ニッケル、コバルト、アルミニウム源としてNi(OH)2、Co(OH)2、Al(OH)3をそれぞれ製造しようとするリチウムニッケル複合酸化物の組成となるように混合した。なお、予め、2MのNi(OH)2およびCo(OH)2の各水溶液を混合し、この水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、水酸化物粒子を析出合成しておいた。反応温度は30℃、反応中のpH値は、11〜12であった。析出した水酸化物粒子を濾別、洗浄した後、LiOH・H2O、Al(OH)3と混合した。なお、水酸化物の1次粒子の平均粒径は、2μmとした。そして、上記混合物を、酸素気流中、850℃で12時間焼成してリチウムニッケル複合酸化物を得た。
【0046】
Alの置換割合が5%であってCoの置換割合が小さいものから順に、#01、02、03、04と、また、Alの置換割合が10%であってCoの置換割合が小さいものから順に、#05、06、07と番号付けした。なお、#01、#02、#05、および#06のリチウムニッケル複合酸化物が本発明のリチウムニッケル複合酸化物に相当するものである。
【0047】
(b)リチウム二次電池
上記7種のリチウムニッケル複合酸化物をそれぞれ正極活物質に用いてリチウム二次電池を作製した。正極は、まず、正極活物質となるそれぞれのリチウムニッケル複合酸化物85重量部に、導電材としてのカーボンブラックを10重量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを5重量部混合し、溶剤として適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加して、ペースト状の正極合材を調製し、次いで、このペースト状の正極合材を厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布し、乾燥させ、その後ロールプレスにて圧縮し、正極合材の厚さが片面当たり40μmのシート状のものを作製した。このシート状の正極は54mm×450mmの大きさに裁断して用いた。
【0048】
対向させる負極は、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ(黒鉛化MCMB)を活物質として用いた。まず、負極活物質となる黒鉛化MCMBの95重量部に、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを5重量部混合し、溶剤として適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加し、ペースト状の負極合材を調製し、次いで、このペースト状の負極合材を厚さ10μmの銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥させ、その後ロールプレスにて圧縮し、負極合材の厚さが片面当たり30μmのシート状のものを作製した。このシート状の負極は56mm×500mmの大きさに裁断して用いた。
【0049】
上記それぞれ正極および負極を、それらの間に厚さ25μm、幅58mmのポリエチレン製セパレータを挟んで捲回し、ロール状の電極体を形成した。そして、その電極体を18650型円筒形電池ケース(外径18mmφ、長さ65mm)に挿設し、非水電解液を注入し、その電池ケースを密閉して円筒型リチウム二次電池を作製した。なお、非水電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で1:1に混合した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解したものを用いた。
【0050】
なお、上記#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池をそれぞれ#01〜#07のリチウム二次電池とした。
【0051】
(c)リチウム二次電池の保存特性の評価
上記#01〜#07のそれぞれのリチウム二次電池について保存特性を評価した。まず、コンディショニングとして、温度20℃下にて、電流密度0.2mA/cm2の定電流で4.1Vまで充電した後、電流密度0.2mA/cm2の定電流で3.0Vまで放電を行った。コンディショニングの後、初期容量を測定するために、温度20℃下にて、3サイクルの充放電を行った。その充放電条件は、電流密度0.1mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、さらに4.1Vの定電圧で2時間充電を続け、その後、電流密度0.1mA/cm2の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとするものである。この充放電の3サイクル目の放電容量を、20℃における初期容量とした。
【0052】
次いで、初期の内部抵抗を算出するために、入出力パワー測定を行い、入出力時の内部抵抗を算出した。入出力パワー測定は以下の条件で行った。まず、各リチウム二次電池の初期容量の50%まで充電した状態(SOC50%)で、1Aの電流で10秒間放電させ、10秒目の電圧を測定した。再びSOC50%の状態に充電した後、3Aの電流で10秒間放電させ、10秒目の電圧を測定した。さらに、SOC50%の状態に充電した後、5Aの電流で10秒間放電させ、10秒目の電圧を測定した。そして、電圧の電流依存性を求め、電流−電圧直線の勾配を出力時の内部抵抗とした。また、同様の手順で充電を行い、各10秒目の電圧を測定して、電流−電圧直線の勾配から入力時の内部抵抗を求めた。求めた入出力時の内部抵抗の平均値を初期内部抵抗とした。
【0053】
次に、保存試験を行った。保存試験は、電流密度0.2mA/cm2の定電流で電圧が4.1Vに到達するまで充電を行った後、さらに4.1Vの定電圧で充電を続け、合計7時間の充電を行うことにより、各二次電池をSOC100%の状態とした後、60℃の恒温槽に1ヶ月間保存することとした。保存後に、上記と同様にして入出力時の内部抵抗を求め、その平均値を保存後内部抵抗とした。そして、保存試験の前後における内部抵抗の値から、式[{(保存後内部抵抗/初期内部抵抗)−1}×100]を用いて内部抵抗増加率を計算した。
【0054】
#01〜#07の二次電池について、初期容量と内部抵抗増加率との関係を図1に示す。図1から、1次粒子の平均粒径が同じ場合に、Coの置換割合が大きいリチウムニッケル複合酸化物を用いた二次電池ほど初期容量は小さくなることがわかる。さらに、Alの置換割合が大きいリチウムニッケル複合酸化物を用いた二次電池ほど内部抵抗の増加は小さくなることがわかる。したがって、実用的な二次電池の容量として140mAh/g以上が必要となることを考慮すると、Coの置換割合が10〜20%、かつAlの置換割合が5〜10%である本発明のリチウムニッケル複合酸化物を用いた二次電池(#01、#02、#05、および#06)は、容量が大きく、かつ内部抵抗の増加が小さいことが確認できた。
【0055】
〈Co、Alの置換割合および1次粒子の粒子径と容量残存率との関係〉
(a)製造したリチウムニッケル複合酸化物
(1)第1シリーズのリチウムニッケル複合酸化物
組成式LiNi0.85Co0.1Al0.052で表される規則配列層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物であって、その1次粒子の平均粒径が、0.2μm、1μm、4μm、5μmと異なる4種のものを製造した。
【0056】
上記#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物の製造において、原料となる各化合物の混合割合を、Li、Ni、Co、Alがモル比で1:0.85:0.1:0.05とした以外は、#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物と同様に製造した。なお、水酸化物の1次粒子の平均粒径は、製造しようとするリチウムニッケル複合酸化物の1次粒子の粒子径を考慮して適宜調製した。
【0057】
本リチウムニッケル複合酸化物を第1シリーズのリチウムニッケル複合酸化物とし、1次粒子の平均粒径が0.2μm、1μm、4μm、5μmの順に#11、#12、#13、#14と番号付けした。
【0058】
(2)第2シリーズのリチウムニッケル複合酸化物
組成式LiNi0.7Co0.2Al0.12で表される規則配列層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物であって、第1シリーズと同様、その1次粒子の平均粒径が異なるものを4種製造した。#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物の製造において、原料となる各化合物の混合割合を、Li、Ni、Co、Alがモル比で1:0.7:0.2:0.1と変更した以外は、#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物と同様に製造した。
【0059】
本リチウムニッケル複合酸化物を第2シリーズのリチウムニッケル複合酸化物とし、1次粒子の平均粒径が0.2μm、1μm、4μm、5μmの順に#21、#22、#23、#24と番号付けした。
【0060】
(3)第3シリーズのリチウムニッケル複合酸化物
組成式LiNi0.83Co0.15Al0.022で表される規則配列層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物であって、その1次粒子の平均粒径が異なるものを4種製造した。#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物の製造において、原料となる各化合物の混合割合を、Li、Ni、Co、Alがモル比で1:0.83:0.15:0.02と変更した以外は、#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物と同様に製造した。
【0061】
本リチウムニッケル複合酸化物を第3シリーズのリチウムニッケル複合酸化物とし、1次粒子の平均粒径が0.2μm、1μm、4μm、5μmの順に#31、#32、#33、#34と番号付けした。
【0062】
(4)第4シリーズのリチウムニッケル複合酸化物
組成式LiNi0.65Co0.15Al0.22で表される規則配列層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物であって、その1次粒子の平均粒径が異なるものを4種製造した。#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物の製造において、原料となる各化合物の混合割合を、Li、Ni、Co、Alがモル比で1:0.65:0.15:0.2と変更した以外は、#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物と同様に製造した。
【0063】
本リチウムニッケル複合酸化物を第4シリーズのリチウムニッケル複合酸化物とし、1次粒子の平均粒径が0.2μm、1μm、4μm、5μmの順に#41、#42、#43、#44と番号付けした。
【0064】
(5)第5シリーズのリチウムニッケル複合酸化物
組成式LiNi0.9Co0.05Al0.052で表される規則配列層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物であって、その1次粒子の平均粒径が異なるものを4種製造した。#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物の製造において、原料となる各化合物の混合割合を、Li、Ni、Co、Alがモル比で1:0.9:0.05:0.05と変更した以外は、#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物と同様に製造した。
【0065】
本リチウムニッケル複合酸化物を第5シリーズのリチウムニッケル複合酸化物とし、1次粒子の平均粒径が0.2μm、1μm、4μm、5μmの順に#51、#52、#53、#54と番号付けした。
【0066】
(6)第6シリーズのリチウムニッケル複合酸化物
組成式LiNi0.7Co0.25Al0.052で表される規則配列層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物であって、その1次粒子の平均粒径が異なるものを4種製造した。#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物の製造において、原料となる各化合物の混合割合を、Li、Ni、Co、Alがモル比で1:0.7:0.25:0.05と変更した以外は、#01〜#07のリチウムニッケル複合酸化物と同様に製造した。
【0067】
本リチウムニッケル複合酸化物を第6シリーズのリチウムニッケル複合酸化物とし、1次粒子の平均粒径が0.2μm、1μm、4μm、5μmの順に#61、#62、#63、#64と番号付けした。
【0068】
上記第1〜6シリーズの各リチウムニッケル複合酸化物について、その組成および1次粒子の平均粒径を表1にまとめて示す。なお、#12、#13、#22、および#23のリチウムニッケル複合酸化物が本発明のリチウムニッケル複合酸化物に相当するものである。
【0069】
【表1】
Figure 0004697504
【0070】
(b)リチウム二次電池
第1〜6シリーズのリチウムニッケル複合酸化物をそれぞれ正極活物質に用いて、上記#01〜#07のリチウム二次電池を作製したのと同様に、24種類のリチウム二次電池を作製した。なお、第1シリーズのリチウムニッケル複合酸化物(#11〜#14)を正極活物質に用いたリチウム二次電池を第1シリーズのリチウム二次電池とし、第2シリーズのリチウムニッケル複合酸化物(#21〜#24)を正極活物質に用いたリチウム二次電池を第2シリーズのリチウム二次電池とし、第3シリーズのリチウムニッケル複合酸化物(#31〜#34)を正極活物質に用いたリチウム二次電池を第3シリーズのリチウム二次電池とし、第4シリーズのリチウムニッケル複合酸化物(#41〜#44)を正極活物質に用いたリチウム二次電池を第4シリーズのリチウム二次電池とし、第5シリーズのリチウムニッケル複合酸化物(#51〜#54)を正極活物質に用いたリチウム二次電池を第5シリーズのリチウム二次電池とし、第6シリーズのリチウムニッケル複合酸化物(#61〜#64)を正極活物質に用いたリチウム二次電池を第6シリーズのリチウム二次電池とした。
【0071】
(c)リチウム二次電池の保存特性の評価
上記第1〜6シリーズの各リチウム二次電池について保存特性を評価すべく、上記#01〜#07の二次電池の保存特性の評価で行ったのと同様に、コンディショニング、初期容量の測定、および保存試験を行った。そして、保存試験後の各電池を温度20℃下にてそれぞれ放電した時の容量を測定して残存容量とし、式[残存容量/初期容量×100]から容量残存率を求めた。
【0072】
第1〜6シリーズの各二次電池について、正極活物質であるリチウムニッケル複合酸化物の1次粒子の平均粒径と容量残存率との関係を図2に示す。図2から明らかなように、本発明のリチウムニッケル複合酸化物を用いた#12、#13、#22、および#23の二次電池は、容量残存率が約90%と高い値となった。一方、1次粒子の平均粒径が1μm以上4μm以下のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いた二次電池であっても、そのリチウムニッケル複合酸化物の組成が本発明のリチウムニッケル複合酸化物の組成と異なるものを用いた二次電池は、容量残存率が約50〜70%と低下している。
【0073】
本発明のリチウムニッケル複合酸化物の組成と異なる組成として、例えば、Coの置換割合が10%未満であるリチウムニッケル複合酸化物を用いた場合には(図中▼印)、Coの置換量が少ないために、結晶構造が充分に安定化されていないと考えられる。反対に、Coの置換割合が20%を超えるリチウムニッケル複合酸化物を用いた場合には(図中■印)、Coの置換量が多いために、リチウムニッケル複合酸化物の結晶性が低下したと考えられる。また、Alの置換割合が5%未満のリチウムニッケル複合酸化物を用いた場合には(図中◆印)、Alの置換量が少ないために、結晶構造の熱安定性が充分ではないと考えられる。反対に、Alの置換割合が10%を超えるリチウムニッケル複合酸化物を用いた場合には(図中▲印)、Alの置換量が多いために、格子歪みが大きく、容量残存率が低下したものと考えられる。
【0074】
さらに、1次粒子の平均粒径が0.2μmのリチウムニッケル複合酸化物を用いた場合には、その組成で差はあるものの、容量残存率は約40〜65%と低い値となっている。これは、リチウムニッケル複合酸化物の比表面積が大きいため、電解液との反応が促進されたためと考えられる。また、5μmのリチウムニッケル複合酸化物を用いた場合も、その組成で差はあるものの、容量残存率は約35〜55%と低い値となっている。これは、1次粒子が大きくなりすぎると、それに伴い2次粒子も大きくなるため、正極においてリチウムニッケル複合酸化物が均一に存在していないためと考えられる。
【0075】
したがって、本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、充電率の高い状態で長期間保存した場合であっても、容量残存率の高い、すなわち大きな容量が維持できる二次電池を構成し得ることが確認できた。
【0076】
以上より、本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池は、充電率の高い状態で長期間保存しても、容量の減少が少なく、かつ内部抵抗の上昇の小さいリチウム二次電池であることが確認できた。
【0077】
【発明の効果】
本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、その結晶構造が安定化されており、電解液との反応も抑制されるため、これを正極活物質として二次電池を構成した場合には、充電状態で長期間保存しても容量の減少が小さく、かつ内部抵抗の上昇が少ない、保存特性に優れたリチウム二次電池となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 #01〜#07の二次電池について、初期容量と内部抵抗増加率との関係を示す。
【図2】 第1〜6シリーズの各二次電池について、正極活物質であるリチウムニッケル複合酸化物の1次粒子の平均粒径と容量残存率との関係を示す。

Claims (2)

  1. 組成式LiNi1−x−yCoAl(0.1≦x≦0.2;0.05≦y≦0.1)で表され、平均粒径で1μm以上4μm以下の1次粒子が凝集して2次粒子を形成した粒子構造をもち、前記2次粒子の平均粒径は5μm以上30μm以下であって、
    ニッケル源及びコバルト源となりニッケルにコバルトが固溶したニッケル・コバルト水酸化物と、リチウム源、アルミニウム源となる各化合物とを混合し焼成してなることを特徴とするリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物。
  2. 水酸化ニッケル及び水酸化コバルトを水に溶解した水溶液に強アルカリ水溶液を滴下して、ニッケル源及びコバルト源となるニッケル・コバルト水酸化物を共沈させて合成する共沈工程と、
    前記ニッケル・コバルト水酸化物と、リチウム源となるリチウム化合物と、アルミニウム源となるアルミニウム化合物とを混合して混合物を得る原料混合工程と、
    前記混合物を酸素雰囲気中で焼成して、組成式LiNi 1−x−y Co Al (0.1≦x≦0.2;0.05≦y≦0.1)で表され、1次粒子が凝集して平均粒径が5μm以上30μm以下の2次粒子を形成した粒子構造をもつリチウムニッケル複合酸化物を得る焼成工程と、を含み、
    前記共沈工程では、前記リチウムニッケル複合酸化物の一次粒子の平均粒径が1μm以上4μm以下となるように、前記ニッケル・コバルト水酸化物の平均粒径を1μm以上4μm以下の範囲とすることを特徴とするリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
JP2001002618A 2001-01-10 2001-01-10 リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4697504B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001002618A JP4697504B2 (ja) 2001-01-10 2001-01-10 リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001002618A JP4697504B2 (ja) 2001-01-10 2001-01-10 リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002211931A JP2002211931A (ja) 2002-07-31
JP4697504B2 true JP4697504B2 (ja) 2011-06-08

Family

ID=18871098

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001002618A Expired - Fee Related JP4697504B2 (ja) 2001-01-10 2001-01-10 リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4697504B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4760805B2 (ja) * 1996-08-12 2011-08-31 戸田工業株式会社 リチウムニッケルコバルト複合酸化物その製法及び二次電池用正極活物質
BRPI1008625A2 (pt) * 2009-02-20 2016-03-01 Umicore Nv pó de óxido de metal de lítio para uso como um material de catodo em uma bateria recarregável, uso, e, processo para a fabricação do mesmo.
JP7499474B2 (ja) 2019-02-28 2024-06-14 パナソニックIpマネジメント株式会社 非水電解質二次電池
JP2022182590A (ja) * 2021-05-28 2022-12-08 ソニーグループ株式会社 情報処理装置及び情報処理方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08339806A (ja) * 1995-06-09 1996-12-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液二次電池およびその正極活物質の製造法
JPH0917446A (ja) * 1995-06-29 1997-01-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液二次電池
JPH0992329A (ja) * 1995-09-27 1997-04-04 Sony Corp 非水電解液二次電池
JPH09199126A (ja) * 1996-01-19 1997-07-31 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液二次電池およびその負極の製造法
WO1998006670A1 (fr) * 1996-08-12 1998-02-19 Fuji Chemical Industry Co., Ltd. Oxyde composite de lithium/nickel/cobalt, procede pour sa preparation, et materiau actif de cathode pour batterie rechargeable
JPH1059725A (ja) * 1996-08-16 1998-03-03 Sakai Chem Ind Co Ltd 粒子状組成物及びその製造方法並びにリチウムイオン二次電池
JPH1069910A (ja) * 1995-11-24 1998-03-10 Fuji Chem Ind Co Ltd リチウムニッケル複合酸化物、その製造方法および二次電池用正極活物質
JPH11219706A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Dowa Mining Co Ltd リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法およびリチウムイオン二次電池
JP2000030693A (ja) * 1998-07-10 2000-01-28 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08339806A (ja) * 1995-06-09 1996-12-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液二次電池およびその正極活物質の製造法
JPH0917446A (ja) * 1995-06-29 1997-01-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液二次電池
JPH0992329A (ja) * 1995-09-27 1997-04-04 Sony Corp 非水電解液二次電池
JPH1069910A (ja) * 1995-11-24 1998-03-10 Fuji Chem Ind Co Ltd リチウムニッケル複合酸化物、その製造方法および二次電池用正極活物質
JPH09199126A (ja) * 1996-01-19 1997-07-31 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液二次電池およびその負極の製造法
WO1998006670A1 (fr) * 1996-08-12 1998-02-19 Fuji Chemical Industry Co., Ltd. Oxyde composite de lithium/nickel/cobalt, procede pour sa preparation, et materiau actif de cathode pour batterie rechargeable
JPH1059725A (ja) * 1996-08-16 1998-03-03 Sakai Chem Ind Co Ltd 粒子状組成物及びその製造方法並びにリチウムイオン二次電池
JPH11219706A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Dowa Mining Co Ltd リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法およびリチウムイオン二次電池
JP2000030693A (ja) * 1998-07-10 2000-01-28 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002211931A (ja) 2002-07-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6236197B2 (ja) リチウム電池用正極及びリチウム電池
KR101243912B1 (ko) 양극 활물질 및 이를 채용한 양극과 리튬 전지
JP4186507B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用炭素含有リチウム鉄複合酸化物およびその製造方法
JP4963330B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウム鉄複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池
JP5565465B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP3811974B2 (ja) リチウム二次電池用正極とその製造方法およびリチウム二次電池
JP4111806B2 (ja) 非水電解質二次電池及びその製造方法
JP2000195517A (ja) リチウム二次電池
JP2012009458A (ja) リチウム二次電池
JP3858699B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物およびそれを用いたリチウム二次電池
CN112313817A (zh) 正极材料和二次电池
KR101115416B1 (ko) 리튬 이차 전지용 양극 활물질, 이의 제조 방법 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지
JP4788075B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウム遷移金属複合酸化物およびそれを用いたリチウム二次電池
JP2016042461A (ja) 正極材、それを含む正極、及び該正極を含むリチウム電池
CN112424976A (zh) 正极活性物质和二次电池
JP3579280B2 (ja) 非水電解液二次電池用負極およびこの負極を備えた非水電解液二次電池
US20150017535A1 (en) Cathode active material, method of preparing the cathode active material, and cathode and lithium secondary battery including the cathode active material
JP4678457B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウム遷移金属複合酸化物およびそれを用いたリチウム二次電池
JP4145138B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP2003068300A (ja) リチウム二次電池用正極活物質材料およびそれを用いたリチウム二次電池
JP5181455B2 (ja) 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および、これを用いた非水系電解質二次電池
JP4114918B2 (ja) コバルト酸リチウム及びその製造方法並びに非水電解質ニ次電池
JP4810729B2 (ja) リチウム遷移金属複合酸化物及びその製造方法
JP4697504B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物及びその製造方法
JP5978024B2 (ja) 非水二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071019

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110111

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110216

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees