JP3884550B2 - 非水電解質電池用電極の製造方法 - Google Patents

非水電解質電池用電極の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解質電池用電極に係り、特にLix Niyz2 (但し、0.8<x<1.2、0.8<y+z<1.2、0≦z≦0.35であり、MはCo,Al,Mn,Feの1種類以上)である電極活物質を用いた高放電電位、高放電容量の非水電解質電池用電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
高放電電位、高放電容量の非水電解質電池の中でリチウムを吸蔵・放出するリチウムイオン2次電池が実用化されている。この電池の電極は、電極活物質とバインダー等からなる塗料を電極集電体上に塗布、乾燥して電極層を形成したものであり、電極はその後必要に応じてローラープレス機等で圧縮し、切断される。従来のリチウムイオン2次電池では、正極活物質として主にリチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )が用いられている。また、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2 )を正極活物質として使用した場合、上記のLiCoO2 に比べて電池の容量は大きくなるが安全性に問題があり、LiNiO2 にCo等を添加したものが検討されている。また、特開平7−29606号には、正極活物質がリチウム含有遷移金属酸化物であり、正極合剤(電極層)の密度が2.5g/cm3 以上3.5g/cm3 以下である非水2次電池の記載がある。さらに、特開平8−17471号にはリチウムマンガン酸化物(LiMn24 )を用いてその比表面積と活物質層の密度を規定することで電池容量を向上させることが示されている。
【0003】
ここで、電池の容量を上げる方法の一つに、電極層において電極活物質と導電材とのつながりを良好にして電子の流れを向上させるとともに、電極活物質と電解液の接触を良好にして電解質イオンの移動を向上させる方法がある。電極層中の電極活物質と導電材のつながりがよくない場合、利用されない電極活物質が生じてしまい電池容量が低くなる。また、電極活物質と電解液の接触が悪いと電解質イオンの移動が阻害されて容量が低くなる。電極活物質と導電材のつながりを高める手段として、通常、ローラープレス機等による圧縮が行われるが、圧縮の程度を上げると電解液のしみ込みが悪くなり電極活物質と電解液の接触が悪くなってしまう。一方、圧縮程度が小さい場合は逆の状態となり、導電材の含有量を多くするなどの方法で電極活物質と導電材のつながりを高めることが必要となってしまい、電池に詰め込める電極活物質量が減ってしまい、電池容量の低下を来すことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
正極活物質としての上記LiCoO2 は乾式で混合し焼成され解砕されるために、その形状は角張ったものになり、電極製造段階においてある程度圧縮しても電解液がしみ込むための空隙が確保されやすい。しかし、LiNiO2 にCo等を添加したものは、湿式で合成し焼成して作る方法が一般的であり、その形状は球状になりやすく、このような球状の電極活物質を用いた電極を圧縮すると電極層が詰まりすぎて電解質イオンの流れが悪くなり容量の低下と効率が悪くなるという問題がある。一方、圧縮を弱くすると電解質イオンの流れはよくなるものの、導電材と接触していない電極活物質が生じてしまい容量が低くなるという問題がある。
【0005】
また、上記の特開平8−17471号では導電材としてアセチレンブラックとグラファイトを併用した実施例が示されているが、アセチレンブラックを用いた場合、電極層の電極集電体への付着性が悪くなり、付着性を良くするためバインダー量を増やすと電解質イオンの流れが悪くなって容量が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電極活物質と導電材とのつながりが良好で電解質イオンの流れがよく充放電容量が高い電池を可能とする非水電解質電池用電極を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明はLix Niyz2 (但し、0.8<x<1.2、0.8<y+z<1.2、0≦z≦0.35であり、MはCo,Al,Mn,Feの1種類以上)である電極活物質と、中心粒径が前記電極活物質の中心粒径よりも大きい薄片状のグラファイトである導電材とを混合粉砕して混合物を調製する工程と、少なくともバインダー、溶剤、および前記混合物とを混合して電極活物質組成塗料を調製し、該電極活物質組成塗料用いて、電極集電体にバインダー含有量が1〜5重量%の範囲内である電極層を形成する工程と、形成した前記電極層を圧縮して、電極層の単位体積における電極活物質の量を2.5g/cm 3 〜3.2g/cm 3 の範囲内とする工程と、を有するような構成とした。
【0008】
このような本発明では、電極層におけるバインダーの配合量と導電材種、電極活物質の単位体積当たりの量を規定することにより、電極活物質と導電材とのつながりが良好で電解質イオンの流れが極めて良好なものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の非水電解質電池用電極は、電極集電体上に少なくとも電極活物質、導電材、バインダーからなる電極層を設けたものである。そして、電極層における電極活物質とその単位体積当たりの量、バインダーの配合量、および導電材種を以下のように規定したものである。
【0011】
本発明の非水電解質電池用電極における電極活物質は、安全性の問題からMとしてCo,Al,Mn,Feの1種類以上が添加されたLix Niyz2 を使用する(但し、0.8<x<1.2、0.8<y+z<1.2、0≦z≦0.35)。そして、この電極活物質の電極層の単位体積における量を2.5g/cm3 〜3.2g/cm3 の範囲内とする。このように電極層の単位体積における電極活物質量を規定するということは、電極層における電極活物質の状態(詰まり具合)を規定することであり、電極活物質の詰まり具合を上記のように規定することが電極層における電子の流れ、電解質イオンの流れに対して重要である。電極層の単位体積における電極活物質量が上記の範囲からはずれると電極の充放電容量が低下し好ましくない。
【0012】
また、本発明の非水電解質電池用電極における電極層中のバインダー量は、1〜5重量%、好ましくは2〜4重量%である。バインダー量が1重量%未満であると、塗膜が形成しづらく、電極集電体への付着性が低く剥れやすいものとなり、5重量%を超えると、電極の充放電容量が低下してしまう。
【0013】
電極層を構成するバインダーとしては、熱可塑性樹脂またはゴム弾性を有するポリマーを、一種または混合して用いることができ、具体的には、フッ素系ポリマー、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド等を挙げることができる。これらの中でも、フッ素原子/炭素原子の原子比が0.75〜1.5、好ましくは0.75〜1.3であるフッ素系ポリマーは特に好適に使用することができ、原子比が1.5を超える場合、電池の容量が充分に得られず、0.75未満の場合、電解液にバインダーが溶解してしまい好ましくない。このようなフッ素系ポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−三フッ化エチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられ、更に主鎖の水素をアルキル基で置換したフッ素系ポリマーも用いることができる。これらのフッ素系ポリマーの中でも選択溶解性(電解液に対する溶解性が低く、溶解可能な溶剤が存在する)を示すものが好ましく、例えば、フッ化ビニリデン系ポリマーの場合、電解液に用いられるカーボネート系の溶媒等には溶解しにくいが、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤には溶解可能である。
【0014】
また、本発明の非水電解質電池用電極における導電材は、薄片状のグラファイトであることが要求される。薄片状とは厚さが薄く、面としては広がりを持っているということである。人造黒鉛、天然黒鉛で厚さの薄いものや膨張黒鉛の粉砕品がこの範疇に入る。具体的には、中越黒鉛工業所(株)製のLFシリーズ、昭和電工(株)製のUFGシリーズ、LONZA社製のKSシリーズ、関西熱化学(株)製のMICROCARBO−Gシリーズ、エコス技研(株)製のエコスカーボンシリーズ等が挙げられる。このグラファイトの中心粒径は電極活物質の中心粒径よりも大きいことが必要である。薄片状のグラファイトの中心粒径が電極活物質の中心粒径よりも小さい場合、導電材同士のつながりが悪くなって充放電のサイクル寿命が悪くなる等の不具合が生じる。
【0015】
尚、中心粒径は日機装(株)製マイクロトラックのようなレーザー粒度分布計を用いて測定され、頻度累積が50%である累積パーセント径をいう。
【0016】
本発明の非水電解質電池用電極を構成する電極集電体としては、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何でもよいが、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル、チタン、焼成炭素等を用いることができ、さらにこれらの表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものであってもよいが、特に耐酸化性、電極の柔軟性およびコストなどを考慮すればアルミニウム箔が望ましい。
【0017】
本発明の非水電解質電池用電極は、電極集電体上に電極層を形成し、その後、ローラープレス機等で圧縮し、切断することにより製造される。
【0018】
電極集電体への電極層の形成は、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート法、ディップ法、キスコート法およびスクイズ法等の一般的によく知られた塗布法によって電極活物質組成塗料を塗布することより行う。なかでもエクストルージョン法が好ましく、5〜100m/分の速度で塗布できるように、電極活物質組成塗料の溶剤組成、乾燥条件を選定することにより、良好な塗膜を得ることができる。
【0019】
上記の電極活物質組成塗料は、上述の電極活物質と導電材、バインダー、溶剤を混合して製造するのが一般的である。より性能の高い電極を作るためには、電極活物質と導電材とのつながりをよくするため、塗料化する前に処理することが好ましい。この場合、電極活物質と薄片状のグラファイトを混合粉砕してグラファイト同士のスタックを取り除き、必要に応じてさらにグラファイトを粉砕して薄片化することが好ましい。混合粉砕にはニーダーやオングミル等が使用できる。
【0020】
また、上記の電極活物質組成塗料用の溶剤としては、一般の有機溶剤を使用することができ、具体的にはヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等の有機溶剤を挙げることができ、これらの溶剤は単独でも2種以上の混合したものでも使用することができる。これらのなかで、アミド系の溶剤は上記フッ素系ポリマーを溶解可能なため好ましく使用することができる。
【0021】
電極層の単位体積における電極活物質量を上述にように2.5g/cm3 〜3.2g/cm3 の範囲とするためには、ローラプレス機等の圧縮工程で調整することができ、上記の範囲になるような圧力を設定する。圧縮を一回かけて上記の範囲になるようにしてもよく、数回かけて上記の範囲になるようにしてもよい。圧縮を数回かける場合、各回の圧力を変更してもよい。
【0022】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
下記組成の電極活物質組成塗料を調製した。
【0023】
電極活物質組成塗料
・電極活物質(LiNi0.8 Co0.22 ) … 92重量部
中心粒径10μm
・導電材(LONZA社製Graphite KS25)… 4重量部
薄片状、中心粒径11μm
・バインダー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)) … 4重量部
エルフアルケムジャパン社製KYNAR741
・溶剤(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)) … 67重量部
上記の電極活物質組成塗料の調製は、まず、PVDF(4重量部)をNMP(67重量部)に溶解し、バインダー溶液(71重量部)を調製した。次に、電極活物質(92重量部)と導電材(4重量部)をオングミルに投入し20分間混合粉砕した。これに上記バインダー溶液(71重量部)を加えてハイパーミキサーにて60分間撹拌混合して、電極活物質組成塗料を得た。
【0024】
次に、上記の電極活物質組成塗料を、ブレードコーターにてアルミニウム箔の電極集電体の片面に塗布・乾燥して電極層を形成した。その後、アルミニウム箔の他の面に同様の塗布操作を行って電極層を形成した。このように両面に電極層が形成された電極集電体をローラープレス機で圧縮して電極層の単位体積における電極活物質の量が2.9g/cm3 となるようにし、所定の大きさに切断して実施例1の電極を得た。
(実施例2)
ローラープレス機による圧縮の圧力を上げて、電極層の単位体積における電極活物質の量が3.2g/cm3 となるようにした他は、実施例1と同様にして実施例2の電極を得た。
(実施例3)
ローラープレス機による圧縮の圧力を下げて、電極層の単位体積における電極活物質の量が2.5g/cm3 となるようにした他は、実施例1と同様にして実施例3の電極を得た。
(比較例1)
ローラープレス機による圧縮の圧力を上げて、電極層の単位体積における電極活物質の量が3.4g/cm3 となるようにした他は、実施例1と同様にして比較例1の電極を得た。
(比較例2)
ローラープレス機による圧縮の圧力を下げて、電極層の単位体積における電極活物質の量が2.1g/cm3 となるようにした他は、実施例1と同様にして比較例2の電極を得た。
(実施例4)
実施例1と同様の調製手順により下記組成の電極活物質組成塗料を調製した。
【0025】
電極活物質組成塗料
・電極活物質(LiNi0.8 Co0.22 ) … 91重量部
中心粒径10μm
・導電材(LONZA社製Graphite KS25)… 4重量部
薄片状、中心粒径11μm
・バインダー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)) … 5重量部
エルフアルケムジャパン社製KYNAR741
・溶剤(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)) … 67重量部
次に、上記の電極活物質組成塗料を使用し、電極層の単位体積における電極活物質の量が2.8g/cm3 となるようにした他は、実施例1と同様にして実施例4の電極を得た。
(比較例3)
実施例1と同様の調製手順により下記組成の電極活物質組成塗料を調製した。
【0026】
電極活物質組成塗料
・電極活物質(LiNi0.8 Co0.22 ) … 89重量部
中心粒径10μm
・導電材(LONZA社製Graphite KS25)… 4重量部
薄片状、中心粒径11μm
・バインダー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)) … 7重量部
エルフアルケムジャパン社製KYNAR741
・溶剤(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)) … 67重量部
次に、上記の電極活物質組成塗料を使用し、電極層の単位体積における電極活物質の量が2.8g/cm3 となるようにした他は、実施例1と同様にして比較例3の電極を得た。
(比較例4)
実施例1と同様の調製手順により下記組成の電極活物質組成塗料を調製した。
【0027】
電極活物質組成塗料
・電極活物質(LiNi0.8 Co0.22 ) …95.5重量部
中心粒径10μm
・導電材(LONZA社製Graphite KS25)… 4重量部
薄片状、中心粒径11μm
・バインダー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)) …0.5重量部
エルフアルケムジャパン社製KYNAR741
・溶剤(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)) … 67重量部
次に、上記の電極活物質組成塗料を使用し、電極層の単位体積における電極活物質の量が2.8g/cm3 となるようにした他は、実施例1と同様にして比較例4の電極を得た。
(実施例5)
導電材としてLONZA社製Graphite KS25の代わりに、LONZA社製Graphite KS44(薄片状、中心粒径17μm)を使用した他は、実施例1と同様にして実施例5の電極を得た。
(比較例5)
導電材としてLONZA社製Graphite KS25の代わりに、薄片状のアセチレンブラック(電気化学工業(株)製デンカブラック 中心粒径11μm)を使用した他は、実施例1と同様にして比較例5の電極を得た。
(比較例6)
導電材としてLONZA社製Graphite KS25の代わりに、LONZA社製Graphite KS6(薄片状、中心粒径3.8μm)を使用した他は、実施例1と同様にして比較例6の電極を得た。
(比較例7)
導電材としてLONZA社製Graphite KS25の代わりに、大阪ガス(株)製MCMB(球形状、中心粒径11μm)を使用した他は、実施例1と同様にして比較例7の電極を得た。
(各電極の評価)
上述の各電極(実施例1〜5、比較例1〜7)について、電極特性、電極集電体に対する電極層の付着性を下記の方法で評価して結果を下記表1に示した。
【0028】
電極特性
各電極を縦25mm、横20mmの大きさに切断し、上端部を5mmの幅で電極層を除去して20mm角の電極層を残した。電極層を除去した上端部にリードとしてステンレス線をスポット溶接し、電極(作用極)を作成した。次に、この電極(作用極)を用いて、図1に示したような充放電容量測定用セルを作製した。すなわち、ビーカー1中に、ステンレス線に接続したリチウム板を用いた1対の対極4と、同様の参照極5を有するルギン管6と、さらに対極4の中間に上記電極(作用極)3を配置し、電解液7には、電解質塩として1mol/lの過塩素酸リチウムをエチレンカーボネイトとジエチルカーボネイトの体積比1:1の混合溶媒に溶解したものを用い、ビーカー1およびルギン管6をシリコン栓2で封じて充放電容量測定用セルを作製した。次いで、充放電容量測定用セルに、6mAの定電流で3Vから4.2V(Potential vs Li/Li+)までの範囲で充放電を5回繰り返して行い、1回目のLiイオン吸蔵時の容量(初期容量)と5回目の容量を測定した。
【0029】
付着性
JIS K 5400 8.5.1碁盤目法に準じて試験を行い、電極のアルミニウム箔への付着性を調べた。すなわち、アルミニウム箔の両面に形成した電極の片面を引掻き試験器(ERICHSEN社製MODEL295、1mm間隔11枚刃)を用いて碁盤目状に切り傷をつけJISに準じて点数をつけた。
【0030】
【表1】
Figure 0003884550
表1に示されるように、実施例1〜5の電極は、いずれも5回の充放電において容量が高いレベルで維持され、また、電極層の付着性も良好であった。
【0031】
これに対して、電極層中の電極活物質量が2.5g/cm3 〜3.2g/cm3 の範囲からはずれる電極(比較例1、2)は、充放電において容量が低いものであった。また、電極層中のバインダー量が5重量%を超える電極(比較例3)は充放電における容量が低く、バインダー量が1重量%を下回る電極(比較例4)は、塗膜形成が不十分で、付着性が極めて悪く電解液中で剥れが生じて測定できないものであった。さらに、導電材としてアセチレンブラックを使用した電極(比較例5)は、5回の充放電における容量は本発明と同レベルにあるが、電極の付着性が悪く実用に供し得ないものであった。中心粒径が電極活物質の中心粒径よりも小さい薄片状のグラファイトを使用した電極(比較例6)と、薄片状ではなく球状のグラファイトを使用した電極(比較例7)は、充放電における容量が低いものであった。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば電極集電体上に少なくとも電極活物質、導電材、バインダーからなる電極層を設け、上記電極活物質をLix Niyz2 (但し、0.8<x<1.2、0.8<y+z<1.2、0≦z≦0.35であり、MはCo,Al,Mn,Feの1種類以上)として電極層中に2.5g/cm3 〜3.2g/cm3 の範囲内で含有させ、電極層中のバインダー量を1〜5重量%の範囲内とし、導電材を中心粒径が電極活物質の中心粒径よりも大きい薄片状のグラファイトとして非水電解質電池用電極とするので、電極活物質と導電材とのつながりが良好で電解質イオンの流れが極めて良好なものとなり、電極集電体への電極層の付着性が優れ、かつ、充放電容量の高い非水電解質電池用電極が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】充放電容量測定用セルの構造を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…ビーカー
2…シリコン栓
3…電極(作用極)
4…対極
5…参照極
6…ルギン管
7…電解液

Claims (1)

  1. Lix Niyz2 (但し、0.8<x<1.2、0.8<y+z<1.2、0≦z≦0.35であり、MはCo,Al,Mn,Feの1種類以上)である電極活物質と、中心粒径が前記電極活物質の中心粒径よりも大きい薄片状のグラファイトである導電材とを混合粉砕して混合物を調製する工程と、
    少なくともバインダー、溶剤、および前記混合物とを混合して電極活物質組成塗料を調製し、該電極活物質組成塗料用いて、電極集電体にバインダー含有量が1〜5重量%の範囲内である電極層を形成する工程と、
    形成した前記電極層を圧縮して、電極層の単位体積における電極活物質の量を2.5g/cm 3 〜3.2g/cm 3 の範囲内とする工程と、を有することを特徴とする非水電解質電池用電極の製造方法
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