JP3741548B2 - ペンタシルタイプモレキュラーシーブ含有組成物およびその調製方法 - Google Patents

ペンタシルタイプモレキュラーシーブ含有組成物およびその調製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、より多くのエチレンおよびプロピレンを生産するために、接触式(catalystic)クラッキング反応に適用され得る組成物を含むモレキュラーシーブ、ならびにその調製方法に関する。この組成物は、活性化およびリン、アルカリ土類金属および遷移金属による改変により調製された、15〜60のSiO2/Al23モル比を有するペンタシルタイプのモレキュラーシーブを含む。この組成物は、本質的に、85〜98wt%のペンタシルタイプのモレキュラーシーブ、1〜10wt%のP25、0.3〜5wt%のアルカリ土類酸化物、および0.3〜5wt%の遷移金属酸化物を含む。モレキュラーシーブ構造および活性中心は、高度の熱および水熱安定性を有する。この組成物の顕著な特徴は、接触式熱分解プロセスのためのクラッキング触媒の活性成分として適用された場合にエチレンの収率が18%を越え、そしてエチレンおよびプロピレンの合計収率が40%を越えることである。
【0002】
本発明は、より多くのエチレンおよびプロピレンを生産するために、接触式クラッキング(cracking)反応に適用され得る組成物を含むペンタシル(pentasil)タイプのモレキュラーシーブ(分子ふるい)ならびにその調製方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
ペンタシルタイプのモレキュラーシーブは、Mobil Corporationにより発明され、例えば、ZSM-5(米国特許第3,702,886号、1976年)、ZSM-8(英国特許GB 1334243A号)、ZSM-11(米国特許第3,709,979号、1973年)、およびZSM-5/ZSM-11(米国特許第4,289,607号、1981年)が、改変の後、炭化水素転化反応(例えば、芳香族炭化水素アルキル化、不均化、異性化、接触式クラッキング、接触式脱ワックス、およびメタノールからのガソリンの合成など)に広く使用されている。これらの中で、ZSM−5が、最も成功して使用されている。
【0004】
ZSM−5モレキュラーシーブは、以前は、有機アミン(テトラプロピルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、n-ブチルアミン、およびエチルアミンなどを含む)をテンプレート(template)として使用することにより合成された。高いコストおよび環境汚染のために、有機物質を使わずにZSM−5を合成する方法が、同時に、広く探求された。例えば、EP 111748A(1984)において、ZSM−5ゼオライトは、水ガラス、リン酸アルミニウム、およびリン酸を用いることにより合成される;CN 85100463Aにおいて、ZSM−5ゼオライトは、水ガラス、無機アルミニウム塩および鉱酸を初期材料として用いることにより合成される; CN 1058382Aにおいて、希土類含有ZSM−5ゼオライトは、水ガラス、リン酸アルミニウムおよび鉱酸を原料として、そしてREYまたはREHYを結晶種として用いることにより合成される。JP 8571519号およびJP8577123号は、アミンを使用しない条件下で、ZSM−5を結晶種として添加することにより、ZSM−5モレキュラーシーブを合成する方法を報告した。
【0005】
異なる反応での異なる種類の要求を満たすために、ZSM-5モレキュラーシーブを改変する多くの方法およびそれらの異なる効果が報告されている。例えば、リン含有化合物を用いてZSM-5モレキュラーシーブを改変する方法が米国特許第3,972,382号および米国特許第3,965,208号に報告されており、この中で70のSiO2/Al2O3比を有するHZSM-5がトリメチルホスファイト(trimethyl phosphite)と反応され、リン含有モレキュラーシーブを調製する。この調製方法は、複雑な条件および高コストのいくつかの不利な点があり、そして得られたサンプルは、リンを含まないサンプルより低い反応性を有するが、しかし、高い選択性という利点がある。
【0006】
米国特許第4,365,104号、米国特許第4,137,195号、米国特許第4,128,592号および米国特許第4,086,287号は、キシレン異性化、メタノールを用いたトルエンアルキル化およびトルエン不均化反応において改変モレキュラーシーブを使用することによりp-キシレン選択性を改善する目的で、PおよびMgを用いたZSM-5モレキュラーシーブを改変する方法を報告している。PおよびMgの導入はモレキュラーシーブの形状選択性を増加するためである。他方で、炭化水素転化反応におけるモレキュラーシーブの酸性度および反応性は、改変によって減少する。これらの特許では、PおよびMgは別々に2段階でしみ込ませられる。すなわち、モレキュラーシーブまたはモレキュラーシーブ含有触媒は、最初にNH4H2PO4または(NH4)2HPO4水溶液でしみ込ませられ、次いでろ過し、乾燥し、そしてか焼(calcine)する;そして2番目にMg(NO3)2またはMg(CH3COO)2水溶液をしみ込ませられ、次いでろ過し、乾燥し、そしてか焼(calcine)し、そしてPおよびMg改変モレキュラーシーブまたはこのモレキュラーシーブを含有する触媒を得る。この方法では、PおよびMgの含有量は、温度、時間およびか焼の反応条件に依存するので不確定である。同時に、このMgはあまり分散され得ない。
【0007】
米国特許第4,260,843号では、形状選択性を増加するためのPおよびBeを用いたZSM-5モレキュラーシーブを改変する方法を報告している。米国特許第4,288,647号は、形状選択性を改良するためのCa、Sr、BaおよびPを用いたZSM-5モレキュラーシーブを改変する方法を報告している。これらの特許では、モレキュラーシーブの改変方法は、PおよびMgを用いた上記の方法と基本的に同じであるが、改変されたモレキュラーシーブの活性はさらに低下している。
【0008】
上記特許では、モレキュラーシーブの前駆体は、そのSiO2/Al2O3比が12より高く、一般に30より高いと記載されている(米国特許第3,972,832号)。改変P元素含有量は一般に0.25重量%より高く、アルカリ土類元素含有量は0.25重量%より高く、かつ0.25〜25重量%の範囲であることが要求される。実施態様の実施例において、アルカリ土類元素(Mg、Caなど)含有量は一般にP元素含有量より高い。上記特許の目的は、主にモレキュラーシーブの形状選択性を増加することであり、これは、異性化反応および不均化反応においてキシレンに対する選択性を上昇させるために全て用いられる。一般に、アルカリ土類改変の後、モレキュラーシーブの酸性度は減少し、そして炭化水素転化におけるその触媒活性も減少することが認められている。
【0009】
エチレンを生産するための接触式熱分解プロセスはエチレン生産を増加するための新たな方法である。エチレンを生産するための従来の蒸気クラッキング法は、高いクラッキング温度および供給ストック(供給原料、feedstock)の質に対する厳密な要求という不利な点があった。蒸気クラッキング法によるエチレン生産はフリーラジカル反応の機構により実施され、これが高い温度を要求することは知られている。本発明の出願人は低級炭素オレフィンを生産するための接触式クラッキングにおける一連のプロセスおよび触媒を、特許(例えば、米国特許第4,980,053号、米国特許第5,326,465号、米国特許第5,358,918号、米国特許第5,380,690号、米国特許第5,670,037号など)に記載している。これら全ての特許では、クラッキング触媒は一般にPおよび希土類元素を有する高シリカペンタシルタイプゼオライトを含み、そして全てC3 =〜C5 =オレフィン生産を増加するためのものであり、比較的低いエチレン収率を有する。ZSM-5モレキュラーシーブを含む触媒を用いた接触式クラッキングの条件下で、中間サイズ化細孔システムおよび高い形状選択能力のためにC3 =〜C5 =オレフィンは著しく増加するが、しかし、この反応はなおカルボニウムイオン機構によるものである。CN1083092Aでは、架橋された柱支持(pillared)クレイ含有モレキュラーシーブまたは希土類含有ペンタシルタイプモレキュラーシーブを触媒として680〜780℃の温度範囲で使用することによるエチレンおよびプロピレンを生産するための接触式熱分解プロセスが報告されており、これでエチレンが著しく増加し得る。この触媒は、金属成分を含まない。
【0010】
より多くのエチレンの生産には、高い反応温度および再生温度が必要であることを考慮すれば、モレキュラーシーブ活性成分が、構造および活性中心の両方の点でより良い熱安定性および水熱安定性を有していなければならない。すなわち、過酷な水熱処理条件下で、モレキュラーシーブは高い活性を有していなければならない。さらに、カルボニウムイオンの形成およびその直接クラッキングが増加すること、特に第1級カルボニウムイオンの形成およびその直接クラッキングを増加すること、同時に、第1級カルボニウムイオンから第2級または第3級カルボニウムイオンへの異性化を抑制することが必要とされる。従って、モレキュラーシーブの形状選択的クラッキング能力を強化することが要求され、一方で望ましくは、オレフィン収率を増加するための特定の脱水素能力を有するべきである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ペンタシルタイプモレキュラーシーブ含有組成物を提供することであり、これはより多くのエチレンおよびプロピレンを生産するための接触式クラッキング反応に適用され得、そしてより良い熱安定性および水熱安定性を有し、そして先行技術の触媒性物質と比較すると、接触式熱分解プロセスに用いられる場合、さらにエチレン収率を増加し得る。
【0012】
本発明の別の目的は、前記組成物を含有するペンタシルタイプのモレキュラーシーブを調製するための方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の組成物は、より多くのエチレンおよびプロピレンを生産するための接触式クラッキング反応に適用され得る、ペンタシルタイプのモレキュラーシーブ組成物であって、
85〜98wt%のペンタシルタイプのゼオライト(これは、15〜60のSiO2/Al23モル比を有する)
1〜10wt%のリン(P25に基づく)、
0.3〜5wt%のアルカリ土類金属(その酸化物に基づく)、および
0.3〜5wt%の遷移金属(その酸化物に基づく)
を含む、ペンタシルタイプのモレキュラーシーブ組成物である。
【0014】
1つの実施態様において、上記モレキュラーシーブ組成物は、
88〜95wt%のペンタシルタイプのゼオライト(これは、15〜60のSiO2/Al23モル比を有する)
2〜8wt%のリン(P25に基づく)、
0.5〜3wt%のアルカリ土類金属(その酸化物に基づく)、および
0.5〜3wt%の遷移金属(その酸化物に基づく)
を含む。
【0015】
1つの実施態様において、前記ペンタシルタイプのゼオライトは、ZSM-5、ZSM-8、またはZSM-11の構造タイプを有するモレキュラーシーブである。
【0016】
別の実施態様において、前記ペンタシルタイプのゼオライトは、ZSM-5の構造タイプを有するモレキュラーシーブである。
【0017】
1つの実施態様において、前記ペンタシルタイプのゼオライトは、15〜40のSiO2対Al23モル比を有する。
【0018】
1つの実施態様において、前記アルカリ土類金属は、マグネシウムまたはカルシウムである。
【0019】
1つの実施態様において、前記遷移金属は、周期表のIB、IIB、VIB、VIIB、VIII族から選択される金属である。
【0020】
1つの実施態様において、前記遷移金属は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群より選択される金属である。
【0021】
別の実施態様において、前記遷移金属は、Ni、CuまたはZnから選択される金属である。
【0022】
本発明の方法は、上記組成物を調製するための方法であって:
最初に、ペンタシルタイプのゼオライトを、リン含有化合物、アルカリ土類金属化合物および遷移金属化合物を含む水溶液に添加し、均一に混合し、そして0.5時間より長い時間しみ込ませ、得られる混合物が(乾燥基準で)
85〜98wt%のペンタシルタイプのモレキュラーシーブ
1〜10wt%のリン(P25に基づく)、
0.3〜5wt%のアルカリ土類金属(その酸化物に基づく)、および
0.3〜5wt%の遷移金属(その酸化物に基づく)
を含む、工程;ならびに
次いで、該混合物を乾燥し、そして450〜650℃で1〜4時間か焼する工程
を包含する。
【0023】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記混合物が(乾燥基準で)
88〜95wt%のペンタシルタイプのモレキュラーシーブ
2〜8wt%のリン(P25に基づく)、
0.5〜3wt%のアルカリ土類金属(その酸化物に基づく)、および
0.5〜3wt%の遷移金属(酸化物に基づく)
を含む。
【0024】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記ペンタシルタイプのモレキュラーシーブが、ZSM-5、ZSM-8、またはZSM-11タイプのモレキュラーシーブである。
【0025】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記ペンタシルタイプのモレキュラーシーブが、ZSM-5タイプのモレキュラーシーブである。
【0026】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記ペンタシルタイプのモレキュラーシーブが、15〜40のシリカ対アルミナモル比を有する。
【0027】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記リン含有化合物がリン酸、リン酸水素塩(hydrogen phosphate)、またはリン酸塩(phosphate)である。
【0028】
本発明の方法の別の実施態様では、前記リン含有化合物がリン酸である。
【0029】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記アルカリ土類金属化合物がマグネシウムまたはカルシウムの化合物である。
【0030】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記アルカリ土類金属化合物が、その硝酸塩または塩化物である。
【0031】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記遷移金属化合物が、周期表のIB、IIB、VIB、VIIB、またはVIII族から選択される金属を含む化合物である。
【0032】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記遷移金属が、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群より選択される金属である。
【0033】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記遷移金属が、Ni、CuおよびZnから選択される金属である。
【0034】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記遷移金属化合物が、その硝酸塩または塩化物である。
【0035】
本発明の方法の1つの実施態様では、前記混合物の前記水対固形物重量比が、(1〜3):1である。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物を含むペンタシルタイプのモレキュラーシーブは、本質的に、85〜98wt%、好ましくは88〜95wt%、のペンタシルタイプのモレキュラーシーブ(15〜60のSiO2/Al23モル比を有する)、1〜10wt%、好ましくは2〜8wt%のリン(P25に基づく)、0.3〜5wt%、好ましくは0.5〜3wt%のアルカリ土類金属(酸化物に基づく)、および0.3〜5wt%、好ましくは0.5〜3wt%の遷移金属(酸化物に基づく)を含む。
【0037】
本発明の1つの実施態様によれば、前記組成物中の前記ペンタシルタイプのモレキュラーシーブは、ZSM-5、ZSM-8、またはZSM-11構造タイプのモレキュラーシーブであり、好ましいモレキュラーシーブは、ZSM-5構造タイプであり、15〜60のシリカ対アルミナモル比を有し、好ましくは15〜40であり、そしてより低いシリカ対アルミナ比が、より多くのエチレンを得るのに有利である。
【0038】
本発明の前記組成物中の前記アルカリ土類金属は、好ましくは、マグネシウムまたはカルシウムから選択される。
【0039】
1つの実施態様において、本発明の前記組成物中の前記遷移金属は、周期表のIB、IIB、VIB、VIIB、VIII族から選択され、脱水素機能を有する金属であり、好ましくは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znからなる群から選択され、より好ましくは、Ni、CuまたはZnから選択される。
【0040】
本発明の組成物において、前記リン、アルカリ度類金属および遷移金属は、モレキュラーシーブにそれらの化合物をしみ込ませることまたは混合することにより、前記モレキュラーシーブに導入される。次いで、モレキュラーシーブは、乾燥されそしてか焼されて交互作用を引き起こす。これにより、リン、アルカリ土類金属および遷移金属は、モレキュラーシーブ上で固化して固定化される。
【0041】
本発明によれば、本発明の組成物を含む前記ペンタシルタイプのゼオライトの調製方法は、最初に、ペンタシルタイプのモレキュラーシーブを、リン含有化合物、アルカリ土類化合物および遷移金属化合物を含む水溶液に添加し、完全に混合し、そして0.5時間より長い時間しみ込ませ、ここで、得られる混合物は、85〜98wt%、好ましくは88〜95wt%のペンタシルタイプのゼオライト(乾燥基準)、1〜10wt%、好ましくは2〜8wt%のリン(P25に基づく)、0.3〜5wt%、好ましくは0.5〜3wt%のアルカリ土類金属(酸化物に基づく)、および0.3〜5wt%、好ましくは0.5〜3wt%の遷移金属(酸化物に基づく)を含む、工程、次いで、混合物を乾燥し、そして450〜650℃で1〜4時間か焼する工程を包含する。
【0042】
本発明の方法において、前記リン含有化合物は、リン酸、リン酸水素塩(hydrogen phosphate)、2価リン酸塩(dihydric phosphate)またはリン酸塩(phosphate)であり得、リン酸が好ましい。
【0043】
本発明の方法において、前記アルカリ土類金属化合物は、好ましくは、マグネシウムまたはカルシウムの化合物であり、これらは、その硝酸塩、硫酸塩または塩化物であり得、好ましくは、硝酸塩または塩化物である。
【0044】
本発明の方法の1つの実施態様において、前記遷移金属含有化合物は、周期表のIB、IIB、VIB、VIIB、VIII族から選択される、脱水素機能を有する金属の化合物であり、好ましい金属化合物は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnの化合物から選択される化合物であり、より好ましい化合物は、Ni、CuまたはZnの化合物から選択され、これらは、その硝酸塩、硫酸塩、または塩化物であり得、好ましくはその硝酸塩または塩化物であり、最も好ましくは、その塩化物である。
【0045】
本発明の方法の1つの実施態様において、前記混合物は、(1〜3):1の水対固形物重量比を有する。
【0046】
本発明の方法において、前記か焼は、空気中または蒸気の中で進行させ得る。
【0047】
従来技術の方法(米国特許第4,137,195号中の段階的なしみ込みおよびか焼)と比較して、本発明の方法は、しみ込みおよびか焼を通して、1工程のみを必要とするが、しみ込みおよびか焼のための一連の工程を必要としない。このため、この方法は、調製プロセスを単純化するだけでなく、エネルギー消費および調製コストを低減する;さらに、得られる生成物は適切な水熱安定性を有し、そして接触式熱分解クラッキングに使用された場合にエチレンの収率が、従来技術の方法における収率を越える。
【0048】
上記の特許の報告の中で、活性化元素(element)(例えば、アルカリ土類金属または遷移金属)の導入は、形状選択特性を増強し得るが、反応活性が減少する。これは、導入される活性化元素の量がゼオライトにより制限されるからである。本発明の研究の過程において、導入される活性化元素の量が、ゼオライトのシリカ対アルミナ比により修正されることがわかった。すなわち、シリカ対アルミナ比が低いほど、導入されるべき活性化元素の能力が高い。低いシリカ対アルミナ比を有するモレキュラーシーブについては、より多量の活性化元素が導入される場合、それは、依然として高い反応活性を維持し得る。より高度な量の活性化元素が導入されるほど、より強力なその形状選択特性が存在することを考慮すると、それゆえ、より低いシリカ対アルミナ比を有するゼオライトの選択は、接触式熱分解クラッキング反応においてエチレンを生産するのに有利である。しかし、従来技術において、一般的に、より高いシリカ対アルミナ比が反応に有利であることが強調されている。このことは、本発明の特別な特徴である。
【0049】
本発明において、活性化元素(例えば、アルカリ土類金属)が導入された後に、ゼオライトのブロンステッド(Bronsted)酸部位の数が減少し得るが、ルイス(Lewis)酸部位は相対的に増加することが分かっている。ルイス酸部位の増加は、エチレン生産に有利である。
【0050】
ペンタシルタイプのモレキュラーシーブに導入される遷移金属(例えば、Ni、Co、Zn、Cu、Cr、Mn)は、一般的に、水素化または脱水素化または芳香族化反応のための活性成分として使用される。これは、なぜなら、これらの元素が、より強力な水素移動(hydrogen transfer)特性を有するからである。エチレンを生産するための接触式クラッキング反応において、これらの元素の導入は、モレキュラーシーブの水素移動能力を増強し得るが、オレフィン生成物に対する選択性を増加させる利点がない。本発明者らの研究において、リン元素の存在下において、その脱水素活性のために、遷移金属の水素移動能力が明らかに抑制されること、およびオレフィン、特にエチレンおよびプロピレンに対する選択性が増大することがわかっている。従って、本発明においては、リンおよびアルカリ土類元素のペンタシルタイプゼオライトへの導入をベースとして、エチレン収率を改良するために遷移金属(例えば、Ni、Zn、Cu)を、さらに導入する。同時に、リンの存在は、モレキュラーシーブの水熱安定性を増強し得る。これは、本発明の別の顕著な特徴である。
【0051】
結論として、本発明は、モレキュラーシーブを含む組成物を提供している。このことにより、接触式熱分解クラッキング反応により生産される低級炭素オレフィン、特にエチレンおよびプロピレンが、従来技術と比較して、顕著に増大し得る。さらに、前記組成物は、良好な水熱安定性を有する。
【0052】
合成によって得られたZSM-5モレキュラーシーブは、斜方晶系の結晶系に属する。無機アンモニウム交換によって、NH4ZSM-5はそこから調製され得、そしてHZSM-5は、500〜600℃でのか焼後に得られる。これらの調製プロセスにおいて、モレキュラーシーブの構造対称性は、基本的に未変化であることが見出される。厳しい高温の水熱処理下で、ZAM-5モレキュラーシーブの構造対称性の変化は起こり、その重要な特徴は、X線回折(XRD)パターンの2θ=24.4#でのピークが広がりまたはさらに分割することである。構造対称性のこの変化は、クラッキング反応におけるモレキュラーシーブの反応活性の減少と一致する。従って、本発明の実施例および比較例において、活性中心の水熱安定性は、X線回折(XRD)パターンによって判断され得る。同時に、活性は、反応物としてテトラデカン(nC14)を用いてパルスマイクロ反応(pulse-micro-reaction)で評価される。
【0053】
本発明において、実施例および比較例で用いられるモレキュラーシーブ材料、およびそれらの特性は、以下のように列挙される:
1.有機テンプレートとしてのエチルアミンにより合成された、ZSM-5A(the Qilu Petrochemical Co.のZhoucun触媒工場により製造)は、か焼によって脱テンプレートした。そのシリカのアルミナに対するモル比は52.0であり、NH4 +交換後のNa2O含有量は0.10重量%である。
【0054】
2.25.0のシリカのアルミナに対するモル比、および0.10重量%のNH4 +交換後のNa2O含有量を有する、ZSM-5B(Changling Refineryの触媒工場により製造)。
【0055】
3.19.0のシリカのアルミナに対するモル比、および0.05重量%のNH4 +交換後のNa2O含有量を有する、ZSM-5C(本発明者らの実験室にて合成(実施例1))。
【0056】
本発明において、実施例および比較例で使用されるモレキュラーシーブの化学的組成物は、X線蛍光(XRF)分光測定によって決定される。
【0057】
さらなる説明は、本発明の以下のような実施例によってなされる。
【0058】
【実施例】
(実施例1)
この実施例は、本発明において用いられる、より低いシリカのアルミナに対する比を有するZSM-5ゼオライトの合成を示す。
【0059】
24.6gのメタ-アルミン酸ナトリウムを、667gの脱カチオンされた水に溶解し、次いで71.7gのH3PO4(85重量%)を撹拌しながら添加した。均一に撹拌した後、この溶液を、643gの水ガラス(SiO2 28重量%、Na2O 9.0重量%)に添加し、そして4時間撹拌し、次いで19.5gのZSM-5モレキュラーシーブ(Zhoucun catalyst plantにより製造、SiO2/Al2O3=52.0)を結晶種として添加した。2時間連続的に撹拌した後、この混合物をステンレス鋼のオートクレーブに移し、175℃、15時間の撹拌下で結晶化させ、次いで室温まで冷却した。次いで、この結晶化生成物を濾過し、洗浄し、そして120℃で乾燥し、そしてZSM-5Cサンプルを得た。サンプルの相対結晶化度(ZSM-5Aとの比較)は、XRD分析によって得られた92%であった。
【0060】
このサンプルは、90℃で2時間、モレキュラーシーブ対硝酸アンモニウム対脱カチオン水(decationized water)の1:1:20の重量比の下で交換され、次いで濾過され、そして水洗され、濾過ケーキは、同一条件下で再度交換され、そして120℃で乾燥された。アンモニウムタイプのZSM-5Cサンプルを、0.05重量%のNa2O含有量で得た。
【0061】
(比較例1)
本比較例は、通常のHZSM-5モレキュラーシーブの効果を例示する。
【0062】
適度な量のNH4 +交換ZSM-5Aモレキュラーシーブを、か焼のためにセラミック容器にとり、次いでマッフル炉中、550℃で2時間か焼した。得られたサンプルを、20〜40メッシュの粒子までペレット化した。適度な量の粒子モレキュラーシーブを、ステンレス鋼管リアクターに供給し、次いで脱カチオン水を用いて、8h-1の空間速度で温度800℃、100%水蒸気雰囲気にて4時間エージングした。同じ水熱処理条件下にて、ZSM-5Bおよび5Cのアンモニウム交換モレキュラーシーブサンプルを、か焼し、そして高温水熱処理した。得られたサンプルを、それぞれDZSM-5A、DZSM-5BおよびDZSM-5Cと命名した。X線回折分析およびテトラデカン(nC14)マイクロパルスリアクター評価を、上記の3つのエージングしたサンプルについて行い、そして結果を表1に列挙する。マイクロパルスリアクター評価の条件は、以下であった:ロードしたモレキュラーシーブの量は0.1gであり、反応温度は480℃であり、そしてN2流速は30ml/分であり、nC14のパルス供給は0.5マイクロリットルであった。
【0063】
【表1】
Figure 0003741548
高温水蒸気処理後、2θ=24.4°のピークが2重ピークに分裂し、そしてnC14の転化率が同時に顕著に低下しているので、通常のHZSM-5モレキュラーシーブの構造が変化したことが観察され得る。
【0064】
(比較例2)
本比較例は、先行技術のPおよびMg元素により改変されたZSM-5の効果を例示する。
【0065】
19gのZSM-5Bモレキュラーシーブサンプル(乾燥基準)を、1.9gの(NH4)2HPO4を40gの脱カチオン水に溶解することにより調製した水溶液に加えた。室温で12時間攪拌後、120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼した。得られたサンプルを、1.51gのMg(CH3COO)2・4H2Oを40gの脱カチオン水に溶解することにより調製した別の水溶液と再度混合した。室温で12時間攪拌後、120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼した。このサンプルを、D-2と表す。XRF分析は、P2O5およびMgO含量がそれぞれ5.0重量%および1.4重量%であったことを示した。
【0066】
比較例1に記載の方法に従って、サンプルD-2をペレット化し、100%水蒸気雰囲気中、800℃で4時間水熱エージングした。XRDおよびnC14パルスマイクロリアクター評価の結果を表2に列挙する。
【0067】
(比較例3)
19gのZSM-5Aモレキュラーシーブサンプル(乾燥基準)を、1.9gの(NH4)2HPO4を40gの脱カチオン水に溶解することにより調製した水溶液に加え、混合物を室温で約12時間攪拌し、次いで120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼した。
【0068】
得られたサンプルを、0.43gのZnCl2を40gの脱カチオン水に溶解することにより調製した水溶液とさらに混合した。混合物を室温で12時間攪拌し、次いで120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼した。得られたモレキュラーシーブをD-3と表す。XRF分析は、P2O5およびZnOの含量がそれぞれ5.0重量%および1.3重量%であったことを示した。
【0069】
比較例1に記載の方法に従って、上記サンプルD-3をペレット化し、そして100%水蒸気雰囲気中、800℃で4時間水熱エージングする。XRDおよびnC14マイクロパルスリアクター評価の結果を、表2に列挙する。
【0070】
(実施例2)
ZSM-5Bモレキュラーシーブサンプル19g(乾燥ベース)を85wt% H3PO4 1.62g、脱カチオン水(decationized water)40g、MgCl2・6H2O 1.48gおよびNi(NO3)2・6H2O 0.70gを混合して調製した水溶液中に添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼(calcine)した。得られたモレキュラーシーブをZEP-11と呼ぶ。XRF分析によれば、P2O5、MgOおよびNiOの含有量はそれぞれ4.9wt%、1.4wt%および0.86wt%であった。
【0071】
比較例1に記載した方法によって、ZEP-11サンプルを高温水熱(hydrothermal)条件下でエージングした。XRDおよびnC14パルスマイクロリアクター評価の結果を表2に示す。
【0072】
(実施例3)
ZSM-5Bモレキュラーシーブサンプル19g(乾燥ベース)を85wt% H3PO4 1.62g、脱カチオン水40g、MgCl2・6H2O 0.98gおよびNi(NO3)2・6H2O 2.09gを混合して調製した水溶液中に添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼した。得られたモレキュラーシーブをZEP-12と呼んだ。XRF分析によって、P2O5、MgOおよびNiOの含有量はそれぞれ4.9wt%、0.91wt%および2.6wt%であることが示された。
【0073】
比較例1に記載した方法によって、得られたZEP-12サンプルを高温水熱条件下でエージングした。XRDおよびnC14パルスマイクロリアクター評価の結果を表2に列挙する。
【0074】
(実施例4)
ZSM-5Bモレキュラーシーブサンプル19g(乾燥ベース)を85wt% H3PO4 1.62g、MgCl2・6H2O 1.48gおよびZnCl2 0.33gを脱カチオン水40g中に溶解して調製した水溶液中に添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼した。得られたモレキュラーシーブをZEP-13と呼んだ。XRF分析によって、P2O5、MgOおよびZnOの含有量はそれぞれ4.9wt%、1.4wt%および0.94wt%であることが示された。
【0075】
比較例1に記載した方法によって、得られたZEP-13サンプルを高温水熱条件下でエージングした。XRDおよびnC14パルスマイクロ反応評価の結果を表2に列挙する。
【0076】
(実施例5)
ZSM-5Cモレキュラーシーブサンプル19g(乾燥ベース)を85wt% H3PO4 1.62g、脱カチオン水40g、MgCl2・6H2O 1.00gおよびZnCl2 0.65gを混合して調製した水溶液中に添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、次いで120℃で乾燥し、そして650℃で1時間か焼した。得られたモレキュラーシーブをZEP-14と呼ぶ。XRF分析によって、P2O5、MgOおよびZnOの含有量はそれぞれ4.9wt%、0.94wt%および1.9wt%であることが示された。
【0077】
比較例1に記載した方法によって、得られたZEP-14サンプルを高温水熱条件下でエージングした。XRDおよびnC14パルスマイクロ反応評価の結果を表2に列挙する。
【0078】
(実施例6)
ZSM-5Bモレキュラーシーブサンプル 19g(乾燥基準)を、85重量%H3PO4 1.62g、脱カチオン水 40g、MgCl2・6H2O 1.48gおよびCu(NO3)2・3H2O 0.57gを混合することにより調製された水溶液に添加した。この混合物を、室温で2時間撹拌し、次いで、120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼した。得られたモレキュラーシーブをZEP-15と呼んだ。XRF分析は、このサンプルが、P2O5 4.9重量%、MgO 1.4重量%およびCuO 0.91重量%を含むことを示した。
【0079】
比較例1に記載される方法に従い、得られたZEP-15サンプルを、高温水熱条件化でエージングした。XRDおよびnC14パルス-マイクロ-反応評価の結果を表2に列挙する。
【0080】
(実施例7)
ZSM-5Cモレキュラーシーブサンプル 19g(乾燥基準)を、85重量%H3PO4 1.62g、脱カチオン水 40g、CaCl2・2H2O 0.53gおよびCu(NO3)2・3H2O 1.15gを混合することにより調製された水溶液に添加した。得られた混合物を、室温で2時間撹拌し、次いで、120℃で乾燥し、そして550℃で2時間か焼した。得られたモレキュラーシーブをZEP-16と呼んだ。XRF分析は、このサンプルが、P2O5 4.9重量%、CaO 1.0重量%およびCuO 1.9重量%を含むことを示した。
【0081】
比較例1に記載される方法に従い、得られたZEP-16サンプルを、高温水熱条件化で熟成(エージング)させた。XRDおよびnC14パルス-マイクロ反応評価の結果を表2に列挙する。
【0082】
【表2】
Figure 0003741548
NiおよびZnのような遷移金属導入後に、モレキュラーシーブが、XRDパターンにおいて2θ=24.4°での単一ピーク、およびnC14の高い転化率を維持したことは、表2から観察され得る。
【0083】
(実施例8)
重量基準(乾燥基準)で15:15:70の、モレキュラーシーブ:アルミナゾル(Al2O3中で計算される):カオリンの重量比に基づき、D-2、D-3、ZEP-11、ZEP-13、ZEP-15モレキュラーシーブサンプルを用いて、通常のスプレードライ方法により、活性成分としてエージングされることなく、5つの触媒を調製した。低級炭素オレフィンを製造するために、市販の触媒CHP-1(これは、Zhoucun Catalyst Plant of Qilu Petrochemical Co.により製造される20重量% HZSM-5モレキュラーシーブを含む)を比較触媒として選択した。上記の6つの触媒を、100%蒸気雰囲気、800℃で4時間エージングし、そしてフィード(供給)ストック(feed stock)として軽ディーゼル燃料画分を用いるマイクロ反応器(リアクター)およびフィードストックとしてVGOを用いる流動化固定床反応器(fluidized fixed bed reactor)により評価した。
【0084】
フィードストックとして軽ディーゼル燃料画分を用いるマイクロ反応評価の結果を表3に列挙する。評価条件は、反応温度 520℃、触媒/オイル比 3.2、重量毎時空間速度(weight hourly space velocity) 16h-1、および触媒供給量 5.0gであった。軽油は、229〜340℃の範囲の沸点を有した。
【0085】
流動化固定床反応器での接触式熱分解反応の結果を表4に列挙する。評価条件は以下の通りであった:反応温度 700℃、触媒対オイル比 10、供給毎時空間速度 10h-1、および水/オイル重量比80:20。使用されたフィードストックは、346〜546℃の沸点を有するVGO画分であった。
【0086】
表3および表4から、遷移金属(Ni、Zn、またはCu)をモレキュラーシーブに導入することにより、エチレン収率が著しく増加することが観察され得る。
【0087】
【表3】
Figure 0003741548
【0088】
【表4】
Figure 0003741548
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、ペンタシルタイプモレキュラーシーブ含有組成物が提供される。これはより多くのエチレンおよびプロピレンを生産するための接触式クラッキング反応に適用され得、そしてより良い熱安定性および水熱安定性を有し、そして先行技術の触媒性物質と比較すると、接触式熱分解プロセスに用いられる場合、さらにエチレン収率を増加し得る。この組成物の顕著な特徴は、接触式熱分解プロセスのためのクラッキング触媒の活性成分として適用された場合にエチレンの収率が18%を越え、そしてエチレンおよびプロピレンの合計収率が40%を越えることである。
【0090】
本発明によればまた、前記組成物を含有するペンタシルタイプのモレキュラーシーブを調製するための方法が提供される。

Claims (21)

  1. より多くのエチレンおよびプロピレンを生産するための接触式クラッキング反応のための、ペンタシルタイプのモレキュラーシーブ組成物であって、
    85〜98wt%のペンタシルタイプのゼオライト(これは、15〜60のSiO/Alモル比を有する)
    1〜10wt%のリン(Pに基づく)、
    0.3〜5wt%のアルカリ土類金属(その酸化物に基づく)、および
    0.3〜5wt%の周期表の VIII 族、 IB 族および IIB 族からなる群から選択される遷移金属(その酸化物に基づく)
    を含む、ペンタシルタイプのモレキュラーシーブ組成物。
  2. 請求項1に記載のモレキュラーシーブ組成物であって、
    88〜95wt%のペンタシルタイプのゼオライト(これは、15〜60のSiO/Alモル比を有する)
    2〜8wt%のリン(Pに基づく)、
    0.5〜3wt%のアルカリ土類金属(その酸化物に基づく)、および
    0.5〜3wt%の遷移金属(その酸化物に基づく)
    を含む、モレキュラーシーブ組成物。
  3. 前記ペンタシルタイプのゼオライトが、ZSM-5、ZSM-8、またはZSM-11の構造タイプを有するモレキュラーシーブである、請求項1に記載のモレキュラーシーブ組成物。
  4. 前記ペンタシルタイプのゼオライトが、ZSM-5の構造タイプを有するモレキュラーシーブである、請求項3に記載のモレキュラーシーブ組成物。
  5. 前記ペンタシルタイプのゼオライトが、15〜40のSiO対Alモル比を有する、請求項1、3または4に記載のモレキュラーシーブ組成物。
  6. 前記アルカリ土類金属がマグネシウムまたはカルシウムである、請求項1に記載のモレキュラーシーブ組成物。
  7. 前記遷移金属がFe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群より選択される金属である、請求項に記載のモレキュラーシーブ組成物。
  8. 前記遷移金属が、Ni、CuまたはZnから選択される金属である、請求項に記載のモレキュラーシーブ組成物。
  9. 請求項1に記載の組成物を調製するための方法であって:
    最初に、ペンタシルタイプのゼオライトを、リン含有化合物、アルカリ土類金属化合物および周期表の VIII 族、 IB 族および IIB 族からなる群から選択される遷移金属化合物を含む水溶液に添加し、均一に混合し、そして0.5時間より長い時間しみ込ませ、得られる混合物が(乾燥基準で)
    85〜98wt%のペンタシルタイプのモレキュラーシーブ
    1〜10wt%のリン(Pに基づく)、
    0.3〜5wt%のアルカリ土類金属(その酸化物に基づく)、および
    0.3〜5wt%の遷移金属(その酸化物に基づく)
    を含む、工程;ならびに
    次いで、該混合物を乾燥し、そして450〜650℃で1〜4時間か焼する工程
    を包含する、方法。
  10. 請求項に記載の方法であって、前記混合物が(乾燥基準で)
    88〜95wt%のペンタシルタイプのモレキュラーシーブ
    2〜8wt%のリン(Pに基づく)、
    0.5〜3wt%のアルカリ土類金属(その酸化物に基づく)、および
    0.5〜3wt%の遷移金属(酸化物に基づく)
    を含む、方法。
  11. 前記ペンタシルタイプのモレキュラーシーブが、ZSM-5、ZSM-8、またはZSM-11タイプのモレキュラーシーブである、請求項に記載の方法。
  12. 前記ペンタシルタイプのモレキュラーシーブが、ZSM-5タイプのモレキュラーシーブである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ペンタシルタイプのモレキュラーシーブが、15〜40のシリカ対アルミナモル比を有する、請求項11または12に記載の方法。
  14. 前記リン含有化合物がリン酸、リン酸水素塩(hydrogen phosphate)、またはリン酸塩(phosphate)である、請求項に記載の方法。
  15. 前記リン含有化合物がリン酸である、請求項または14に記載の方法。
  16. 前記アルカリ土類金属化合物がマグネシウムまたはカルシウムの化合物である、請求項に記載の方法。
  17. 前記アルカリ土類金属化合物が、その硝酸塩または塩化物である、請求項または16に記載の方法。
  18. 前記遷移金属がFe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群より選択される金属である、請求項に記載の方法。
  19. 前記遷移金属が、Ni、CuおよびZnから選択される金属である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記遷移金属化合物が、その硝酸塩または塩化物である、請求項18または19に記載の方法。
  21. 前記混合物の前記水対固形物重量比が、(1〜3):1である、請求項に記載の方法。
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