JP3697557B2 - 自動車の上部車体構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、車体剛性を増大させ、サンルーフユニットの沈み込みを防止することのできる自動車の上部車体構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、自動車の車体ルーフ部は、車体ルーフ部の左右に設けられ、ルーフサイドレールインナパネルとルーフサイドレールアウタパネルとを接合して閉断面に形成されたルーフサイドレールと、両側のルーフサイドレールに両端が固定された車体幅方向に延びるルーフレインフォースメントと、ルーフサイドレールの外側面に左右両側縁が固定され、ルーフレインフォースメントに下面が固定されてルーフサイドレール並びにルーフレインフォースメントを覆うルーフパネルとを備え、ルーフレインフォースメントの端部がルーフサイドレールインナパネルとルーフサイドレールアウタパネルとが接合されて上方に突設された接合フランジに固定されている（例えば、実開平２−147379号公報参照）。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の自動車の上部車体構造においては、ルーフレインフォースメントの端部がルーフサイドレールインナパネルとルーフサイドレールアウタパネルとが接合されて上方に突設された接合フランジに固定されていることにより、走行時の車体の振動などによって生じるルーフサイドレールの左右水平方向の動きが水平方向の力として作用するため、ルーフレインフォースメントとルーフサイドレールとの接合部を屈曲させる力として作用し、接合部の剛性が不足するという問題があった。
また、サンルーフユニットをルーフパネルに設置した場合には、サンルーフユニットの重量がルーフレインフォースメントに下向きに掛かることになり、この下向きの力がルーフレインフォースメントとルーフサイドレールとの接合部を車体の内側方向即ち車室内方向に屈曲させる力として作用し、ルーフサイドレールに対して捩じり力として作用することになり、接合部の剛性が一層不足し、ルーフサイドレールが変形して車室内方向に捩じられ、サンルーフユニットが沈み込む恐れがあるという問題があった。
【０００４】
本発明の目的は、車体剛性特に車体ルーフ部の剛性を増大させ、車体ルーフ部に設置されるサンルーフユニットの沈み込みを防止することのできる自動車の上部車体構造を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の自動車の上部車体構造は、車体ルーフ部へのサンルーフユニットの設置の有無を選択し得る自動車の上部車体構造であって、縦面及び横面を備える閉断面に形成され、車体ルーフ部の左右に設けられるルーフサイドレールと、断面略凹字形に形成され、ルーフサイドレールの縦面及び横面に一端側の凹字形の底壁部が接合され、他端側の接合部が水平に形成される取付ブラケットを備え、サンルーフユニットを設置しない場合には、ルーフレインフォースメントが上記取付ブラケットに支持されると共に、上記取付ブラケットの他端側の接合部には位置決めナットが設けられ、且つ上記ルーフレインフォースメントには、上記位置決めナットと嵌合して取付ブラケットに対する位置決めを容易にする位置決め開口が設けられており、
サンルーフユニットを設置しない場合には、ルーフレインフォースメントが上記取付ブラケットに支持されると共に、上記取付ブラケットの他端側の接合部には位置決めナットが設けられ、且つ上記ルーフレインフォースメントには、上記位置決めナットと嵌合して取付ブラケットに対する位置決めを容易にする位置決め開口が設けられており、一方、サンルーフユニットを設置する場合には、サンルーフユニットを支持するサンルーフセットブラケットが、上記位置決めナットとボルトにより支持されることにより、走行時の車体の振動などに起因するルーフサイドレールの左右水平方向の動きに対して取付ブラケットが一体的に追随するため、取付ブラケットの接合部においては水平方向の力が発生して剪断力として作用し、ルーフサイドレールに捩じり力が作用する恐れがなく、車体ルーフ部の車体剛性を増大させることができる。
また、ルーフサイドレールの左右水平方向の動きにより発生する水平方向の力が水平接合部において剪断力として作用し、十分な強度を確保することが容易となり、車体剛性を向上させることができる。
また、サンルーフセットブラケットを強固に支持することができるから、サンルーフユニットの沈み込みを防止することができる。
さらに、サンルーフユニットを設置する場合にはサンルーフセットブラケットを強固に支持することができるからサンルーフユニットの沈み込みを防止することができ、スラライドルーフを設置しない場合にはルーフサイドレールの左右水平方向の動きにより発生する水平方向の力が水平接合部において剪断力として作用することになり、十分な強度を確保することができるから、車体剛性を向上させることができる。
【０００６】
【実施例】
本発明の第１実施例を図１乃至図４を参照して説明する。
サンルーフを備えていない自動車の車体１のルーフ部２は、ルーフパネル２Ａと、ルーフパネル２Ａの下部に車体幅方向に延設されたルーフレインフォースメント３と、ルーフ部２の両側縁に車体前後方向に延びるルーフサイドレール４とを備えており、ピラー10、11、12、13の上端に接合されている。
ルーフサイドレール４は、ルーフサイドレールインナパネル41とルーフサイドレールアウタパネル42とが接合された閉断面に形成され、ルーフサイドレールアウタパネル42の略水平方向に延びる部分の上面として形成された横面420 と、上端に上方に延びて立設されたルーフサイドレールインナパネル41とルーフサイドレールアウタパネル42との接合フランジ部43の車体幅方向外側面として形成された縦面430 とを備えている。
【０００７】
取付ブラケット５は、断面略凹字形に形成され、底壁部５０と、底面部５０の両側縁に設けられて上方に延びる一対の側壁部５４，５４と、側壁部５４の上端において外側に延びるフランジ部５５とを備えており、底壁部５０は、一端側（本実施例では車体外方端側）に設けられた第１水平部５１と、第１水平部５１に連続して立ち上げられた傾斜壁部５２と、傾斜壁部５２に連続して設けられた他端側（本実施例では車体内方端側）に設けられた略水平に延びる第２水平部（接合部）５３と、第２水平部５３に設けられた位置決めナット５６とを備えており、底壁部５０の第１水平部５１の下面がルーフサイドレール４の横面４２０に接合され、傾斜壁部５２の下面が縦面４３０に接合される。
【０００８】
ルーフレインフォースメント３は、断面凹字形に形成され、ルーフレイン底面部３１と、ルーフレイン底面部３１の両側縁に設けられて上方に延びる一対のルーフレイン側面部３２と、ルーフレイン側面部３２の上端において外側に延びるルーフレイン支持フランジ部３３と、ルーフレイン底面部３１の車体外方端付近に設けられた取付ブラケット５の位置決めナット５６の外径より大きな内径を有する位置決め開口３４とを備えている。
【０００９】
ルーフサイドレール４に一端側即ち第１水平部５１及び傾斜壁部５２が接合された取付ブラケット５の他端側即ち第２水平部５３上に、ルーフレインフォースメント３の端部が載置されて接合固定されるもので、ルーフレインフォースメント３のルーフレイン底面部３１の車体外方端が取付ブラケット５の第２水平部５３上に合致して固定される。
この時、ルーフレイン底面部３１の位置決め開口３４に第２水平部５３の位置決めナット５６が嵌合しており、スポット溶接などの接合作業時における位置決めを容易にするものである。
【００１０】
この構成により、走行時の車体の振動などに起因するルーフサイドレール４の左右水平方向の動きに対して取付ブラケット５が一体的に追随するため、取付ブラケット５の接合部である第２水平部53においては水平方向の力が発生して剪断力として作用し、ルーフサイドレール４に捩じり力が作用する恐れがなく、車体ルーフ部の車体剛性を増大させることができる。
また、取付ブラケット５の水平接合部即ち第２水平部53にルーフレインフォースメント３の端部が接合されることにより、ルーフサイドレール４の左右水平方向の動きにより発生する水平方向の力が水平接合部（第２水平部53）において剪断力として作用し、十分な強度を確保することが容易となり、車体剛性を向上させることができる。
【００１１】
図５及び図６に基づいて第２実施例を説明すると、サンルーフユニット装着車両であり、サンルーフユニット７は、ルーフパネル２Ａのサンルーフ開口20を開閉するスライドルーフ等のサンルーフ70と、開口710 を有するサンルーフユニットプレート71と、サンルーフユニットプレート71の側縁フランジ711 と取付ブラケット５とに結合されるサンルーフセットブラケット72と、サンルーフセットブラケット72とサンルーフ開口20の周縁フランジ21とに結合される枠状に形成されたフィキシングプレート73とを備えている。
【００１２】
取付ブラケット５が、底壁部５０の第１水平部５１がルーフサイドレール４の横面４２０に、傾斜壁部５２が縦面４３０に接合されてルーフサイドレール４に固定されており、取付ブラケット５の第２水平部（接合部）５３の下面に、サンルーフセットブラケット７２の車体内側部分である水平部７２１がボルト９と位置決めナット５６で結合され、ルーフサイドレール４のルーフサイドレールインナパネル４１の内側面にサンルーフセットブラケット７２の車体外側部分である傾斜部７２２がボルト９で結合されている。
サンルーフセットブラケット７２の水平部７２１の車体内側端の下にサンルーフユニットプレート７１の側縁フランジ７１１を重合させ、上にフィキシングプレート７３の側縁部７３１を重合させてボルト８で三者を結合している。
【００１３】
この構成により、ルーフサイドレール４に固定された取付ブラケット５と、ルーフサイドレール４とに結合されたサンルーフセットブラケット72を強固に支持することができるから、サンルーフユニット７の沈み込みを防止することができるとともに、車体剛性を向上させることができる。
【００１４】
【発明の効果】
本発明は上述のとおり構成されているから、以下に述べるとおりの効果を奏する。
車体ルーフ部へのサンルーフユニットの設置の有無を選択し得る自動車の上部車体構造であって、縦面及び横面を備える閉断面に形成され、車体ルーフ部の左右に設けられるルーフサイドレールと、断面略凹字形に形成され、ルーフサイドレールの縦面及び横面に一端側の凹字形の底壁部が接合され、他端側の接合部が水平に形成される取付ブラケットを備え、サンルーフユニットを設置しない場合には、ルーフレインフォースメントが上記取付ブラケットに支持されると共に、上記取付ブラケットの他端側の接合部には位置決めナットが設けられ、且つ上記ルーフレインフォースメントには、上記位置決めナットと嵌合して取付ブラケットに対する位置決めを容易にする位置決め開口が設けられており、一方、サンルーフユニットを設置する場合には、サンルーフユニットを支持するサンルーフセットブラケットが、上記位置決めナットとボルトにより支持されることにより、走行時の車体の振動などに起因するルーフサイドレールの左右水平方向の動きに対して取付ブラケットが一体的に追随するため、取付ブラケットの接合部においては水平方向の力が発生して剪断力として作用し、ルーフサイドレールに捩じり力が作用する恐れがなく、車体ルーフ部の車体剛性を増大させることができる。
また、ルーフサイドレールの左右水平方向の動きにより発生する水平方向の力が水平接合部において剪断力として作用し、十分な強度を確保することが容易となり、車体剛性を向上させることができる。
また、サンルーフセットブラケットを強固に支持することができるから、サンルーフユニットの沈み込みを防止することができる。
さらに、サンルーフユニットを設置する場合にはサンルーフセットブラケットを強固に支持することができるからサンルーフユニットの沈み込みを防止することができ、スライドルーフを設置しない場合にはルーフサイドレールの左右水平方向の動きにより発生する水平方向の力が水平接合部において剪断力として作用し、十分な強度を確保することが容易となり、車体剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１実施例を示す図２のＩ部拡大斜視図である。
【図２】 本発明を適用する車体の斜視図である。
【図３】 図１におけるIII −III 線断面図である。
【図４】 図１におけるIV−IV線断面図である。
【図５】 本発明の第２実施例の要部拡大斜視図である。
【図６】 図５におけるVI−VI線断面図である。
【符号の説明】
１ 車体、２ ルーフ部、２Ａ ルーフパネル
３ ルーフレインフォースメント、４ ルーフサイドレール
５ 取付ブラケット、７ サンルーフユニット、10，11，12，13 ピラー
72 サンルーフセットブラケット

Claims (1)

1. 車体ルーフ部へのサンルーフユニットの設置の有無を選択し得る自動車の上部車体構造であって、縦面及び横面を備える閉断面に形成され、車体ルーフ部の左右に設けられるルーフサイドレールと、断面略凹字形に形成され、ルーフサイドレールの縦面及び横面に一端側の凹字形の底壁部が接合され、他端側の接合部が水平に形成される取付ブラケットを備え、
   サンルーフユニットを設置しない場合には、ルーフレインフォースメントが上記取付ブラケットに支持されると共に、上記取付ブラケットの他端側の接合部には位置決めナットが設けられ、且つ上記ルーフレインフォースメントには、上記位置決めナットと嵌合して取付ブラケットに対する位置決めを容易にする位置決め開口が設けられており、一方、サンルーフユニットを設置する場合には、上記位置決めナットと結合可能なボルトを備え、上記位置決めナットと上記ボルトにより、サンルーフユニットを支持するサンルーフセットブラケットを支持するものであることを特徴とする自動車の上部車体構造。

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