JPH0248298Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車の前部車体構造、特に左右のフ
ロントピラー間において車幅方向に延びるステア
リングシヤフト支持メンバの端部とフロントピラ
ーとの結合構造の改良に関する。

（従来技術） 従来より、車両が悪路を走行する際のステアリ
ングハンドルの振動を抑制し、かつ衝突時におけ
るステアリングシヤフトの支持剛性を高めるため
の構成として、例えば実開昭60−31960号公報に
開示されているように、左右のフロントピラー間
において車幅方向に延びるステアリングシヤフト
支持メンバを設け、この支持メンバにステアリン
グシヤフトを取付けたものが知られている。この
場合、ステアリングシヤフト支持メンバの両端部
はそれぞれブラケツトを介して左右のフロントピ
ラーに結合されているが、フロントピラーまわり
の剛性が不充分なため、ステアリングハンドルの
振動が充分に防止できない問題があつた。

一方、自動車の前部車体のフロントピラーまわ
りの剛性を高める構造として、実開昭58−149258
号公報に開示されているように、カウル部とフロ
ントピラーとの結合部を閉断面構造とすることが
従来から知られている。

（考案の目的） 上述の事情に鑑み、本考案は閉断面構造を効果
的に利用して、ステアリングシヤフト支持メンバ
が結合されるフロントピラーまわりの剛性を高め
た自動車の前部車体構造を提供することを目的と
する。

（考案の構成） 本考案においては、ステアリングシヤフト支持
メンバの端部をフロントピラーに取付けるための
ブラケツトとフロントピラーの室内側壁面とによ
つて第１の閉断面が構成されている。この第１の
閉断面は、フロントピラーが構成する第２の閉断
面に対し車幅方向に隣接して並設されている。上
記第１および第２の閉断面の前方には、垂直壁部
を有するダツシユアツパーパネルが設けられてお
り、このダツシユアツパーパネルの垂直壁部の後
面に上記第１および第２の閉断面が連結されてい
る。

一方、上記ダツシユアツパーパネルの垂直壁部
前面には、ホイールエプロンレインフオースメン
トおよびカウルプレートアツパー等によつて構成
された第３の閉断面が連結されており、上記ダツ
シユアツパーパネルの垂直壁部におけるホイール
エプロンレインフオースメントの取付位置とカウ
ルプレートアツパーの取付位置との間の部分の後
面に上記第１および第２の閉断面が連結されて、
これら第１および第２の閉断面が、ダツシユアツ
パーパネルの垂直壁部を介して第３の閉断面に対
向している。

（考案の効果） 本考案によれば、第１および第２の閉断面が車
幅方向に隣接して並設され、かつ第１および第２
の閉断面と第３の閉断面とが車体前後方向に隣接
して設けられているため、ステアリングシヤフト
支持メンバの端部が取付けられているフロントピ
ラーまわりの剛性を著しく高めることができ、こ
れによつてステアリングハンドルの支持剛性が高
められるから、ステアリングハンドルの振動を防
止することができるとともに、自動車の衝突時に
フロントピラーに対して前方および側方から加わ
る荷重に対しても充分に高い剛性を備えることが
できる。

（実施例） 以下、本考案の実施例について図面を参照して
詳細に説明する。

第１図は本考案の第１の実施例を概略的に示す
斜視図で、車体前部の左右両側にはフロントピラ
ー１，１が立設されているとともに、左右のフロ
ントピラー１，１間には車幅方向に延びるダツシ
ユアツパーパネル２が配設されている。３はダツ
シユアツパーパネル２と平行に車幅方向に延びる
ステアリングシヤフト支持メンバで、その両端
は、フロントピラー１に溶接されたブラケツト４
に締付ブラケツト５をボルト締めすることにより
フロントピラー１，１にそれぞれ取付けられてい
る。ステアリングシヤフト支持メンバ３の中央部
分は、下端が車両のフロア６の隆起部６ａ上に固
定されて垂直に上方へ延びる一対の補強メンバ７
の上端に連結されている。８はステアリングシヤ
フト支持メンバ３に支持されたステアリングシヤ
フト、９はステアリングハンドルである。

第２図は、ステアリングシヤフト支持メンバ３
の左側のフロントピラー１に対する取付部分（第
１図にＡで示された部分）を拡大して示す斜視
図、第３図および第４図はそれぞれ第２図の−
線および−線に沿つた概略的断面図であ
る。フロントピラー１はウアターパネル１０とイ
ンナーパネル１１とにより閉断面１２（第２の閉
断面）を形成する構造となされ、これらウアター
パネル１０とインナーパネル１１の後端はフラン
ジ部１ａにおいて互いに接合されている。またダ
ツシユアツパーパネル２は、垂直壁部２ａとこの
垂直壁部２ａの下端から折曲げられて前方に延び
る水平壁部２ｂとよりなり、第３図から明らかな
ように、垂直壁部２ａにフロントピラー１の前端
が溶接されている（各溶接点はＸで示されてい
る）。ダツシユアツパーパネル２には、カウルプ
レートアツパー１３およびホイールエプロンレイ
ンフオースメント１４が接続されて前輪サスペン
シヨンタワー（図示は省略）の位置まで前方に延
びているが、第４図から明らかなように、カウル
プレートアツパー１３およびホイールエプロンレ
インフオースメント１４はダツシユアツパーパネ
ル２の水平壁部２ｂとともに閉断面１５（第３の
閉断面）を形成するように接合されており、車体
前部側方部分の強度を確保している。また、ダツ
シユアツパーパネル２の上側には、フロントガラ
スを取付けるためのマウントメンバロア１６およ
びマウントメンバアツパー１７が接合されてい
る。

ステアリングシヤフト支持メンバ３の端部が取
付けられるブラケツト４は、プレス成形された１
枚の鋼板よりなり、膨出部４ａと、この膨出部４
ａから前方に延長された延長部４ｂと、膨出部４
ａ周辺のフランジ部４ｃとよりなる。膨出部４ａ
の後端には、ステアリングシヤフト支持メンバ３
を受ける円弧状凹面１８と、この凹面１８の上下
位置に前記した締付ブラケツト５を固定するため
の垂直面１９とが形成されている。２０はこの垂
直面１９に設けられているねじ孔である。このよ
うに構成されたブラケツト４はそのブランジ部４
ｃがフロントピラー１のインナーパネル１１上に
接合されているが、フランジ部４ｃの後縁はフロ
ントピラー１のフランジ部１ａに接合されてい
る。また延長部４ｂの前端には側方へほぼ直角に
折曲されかつ取付孔２１を有するフランジ部４ｄ
が形成されている。一方、第３図から明らかなよ
うに、カウルプレートアツパー１３の後端は、そ
の側方に屈曲されたフランジ部１３ａによつてダ
ツシユアツパーパネル２の垂直壁部２ａに溶接さ
れているが、ブラケツト４のフランジ部４ｄは、
カウルプレートアツパー１３のフランジ部１３ａ
が溶接されているダツシユアツパーパネル２の垂
直壁部２ａ上の位置と重なる位置に位置決めさ
れ、かつこのフランジ部４ｄが上記フランジ部１
３ａにダツシユアツパーパネル２の垂直壁部２ａ
を間に挟んだ状態でボルト締めされている。

以上の説明で明らかなように、ブラケツト４が
上述のような態様でフロントピラー１およびダツ
シユアツパーパネル２の垂直壁部２ａに取付けら
れていることにより、このブラケツト４とフロン
トピラー１の室内側壁面を構成するインナーパネ
ル１１とダツシユアツパーパネル２の垂直壁部２
ａとによつて垂直壁部２ａの後方側に閉断面２２
（第１の閉断面）が形成され、かつこの閉断面２
２（第１の閉断面）は、フロントピラー１が構成
している閉断面１２（第２の閉断面）とともに、
ダツシユアツパーパネル２の垂直壁部２ａに対
し、この垂直壁部２ａにおけるホイールエプロン
レインフオースメント１４の取付位置とカウルプ
レートアツパー１３の取付位置との間の部分の後
面において連結されて、ダツシユアツパーパネル
２の垂直壁部２ａの前面に連結されている閉断面
１５（第３の閉断面）に垂直壁部２ａを介して対
向するという構成となつている。すなわち第１、
第２の閉断面２２，１２が車幅方向に隣接して並
設され、かつ第１、第２の閉断面２２，１２と第
３の閉断面１５とが車体前後方向に隣接して設け
られるため、フロントピラー１まわりの剛性を著
しく高めることができるのである。フロントピラ
ー１まわりの剛性が著しく高められるのである。

次に第５図は本考案の第２の実施例を示し、第
１の実施例である第３図との対応部分には同一符
号を付して詳細な説明は省略するが、第５図の場
合、ステアリングシヤフト支持メンバ３をフロン
トピラー１に取付けるためのブラケツトが、フロ
ントピラー１のインナーパネル１１に溶接されて
ブラケツト本体部を構成する第１ブラケツト２３
と、この第１ブラケツト２３に連結されて前方へ
延びる延長部を構成する第２ブラケツト２４とよ
りなる。そして第１ブラケツト２３がフロントピ
ラー１のインナーパネル１１とともに閉断面２５
を形成し、かつ第２ブラケツト２４がダツシユア
ツパーパネル２の垂直壁部２ａを介してカウルプ
レートアツパー１３に接続され、かつ、カウルプ
レートアツパー１３がダツシユアツパーパネル２
とホイールエプロンレインフオースメント１４と
ともに閉断面１５を構成していることにより、ス
テアリングシヤフト支持メンバ３の端部が取付け
られるフロントピラー１まわりの剛性を高めるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例を概略的に示す
斜視図、第２図は第１図の符号Ａで示す部分の拡
大斜視図、第３図および第４図はそれぞれ第２図
の−線および−線に沿つた概略的断面
図、第５図は本考案の第２の実施例を第３図に対
応して示す概略的断面図である。 １……フロントピラー、２……ダツシユアツパ
ーパネル、３……ステアリングシヤフト支持メン
バ、４……ブラケツト、４ａ……膨出部、４ｂ…
…延長部、５……締付ブラケツト、１０……フロ
ントピラーのアウターパネル、１１……フロント
ピラーのインナーパネル、１３……カウルプレー
トアツパー、１４……ホイールエプロンレインフ
オースメント、１５，２２，２５……閉断面、１
６……フロントガラスマウントメンバロア、１７
……フロントガラスマウントメンバアツパー、２
３……第１ブラケツト、２４……第２ブラケツ
ト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ステアリングシヤフトを支持して車幅方向に延
   びるステアリングシヤフト支持メンバの端部がブ
   ラケツトを介してフロントピラーに取付けられた
   構成において、 上記ブラケツトと上記フロントピラーの室内側
   壁面とによつて第１の閉断面が構成され、この第
   １の閉断面は、上記フロントピラーが構成する第
   ２の閉断面に対し車幅方向に隣接して並設されて
   いるとともに、上記第１および第２の閉断面が、
   垂直壁部を有するダツシユアツパーパネルの上記
   垂直壁部に対し、この垂直壁部におけるホイール
   エプロンレインフオースメントの取付位置とカウ
   ルプレートアツパーの取付位置との間の部分の後
   面において連結され、上記第１および第２の閉断
   面が、上記ホイールエプロンレインフオースメン
   トおよび上記カウルプレートアツパー等によつて
   構成されて上記垂直壁部の前面に連結されている
   第３の閉断面に上記垂直壁部を介して対向してい
   ることを特徴とする自動車の前部車体構造。